JR西日本683系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
JR西日本・北越急行683系電車
JR西日本所有車(0番台)
JR西日本所有車(0番台)
設計最高速度 160 km/h(8000番台以外は準備工事)
起動加速度 1.8 km/h/s
減速度 4.6 km/h/s(常用最大)
5.2 km/h/s(非常)
車体材質 アルミニウム合金
軌間 1,067 mm
電気方式 交流 20,000V (60Hz)
直流 1,500V
架空電車線方式
歯車比 1 : 5.22
駆動装置 WNドライブ
制御装置 PWMコンバータ (WPC12) +PWM IGBT素子VVVFインバータ (WPC11)
1C1M制御(静止形インバータ一体型)
台車 軸梁式ボルスタレス台車ヨーダンパ付)
制動方式 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ
直通予備抑速・耐雪ブレーキ付き)
保安装置 ATS-PATS-Sw
EBTE装置
製造メーカー 川崎重工業近畿車輛日立製作所日本車輛製造(2000番台「しらさぎ」用のみ)、新潟トランシス(北越急行所有の8000番台のぎ装を担当)

683系電車(683けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)と北越急行が設計、製造した、交直両用特急形車両である。

概要

北陸方面の特急列車で運用されていた485系はリニューアル工事を施工するなど延命を行ったが、経年が30年前後と老朽化が進行していた[1]。485系の置き換え用として製造されたのが本系列である。681系の後継車として2001年3月3日のダイヤ改正から運用を開始した。

製造メーカーは川崎重工業近畿車輛日立製作所日本車輌製造新潟トランシスである。

2012年7月1日時点でのJR西日本・北越急行両社の合計車両数は270両である[2]。JRグループ発足後設計・製造された特急車両では、特急「あずさ」などで運用される東日本旅客鉄道(JR東日本)E257系の249両[3]を凌いで最多となる。

車両単位での681系との混結はできないが、編成単位では681系との相互連結を可能とした。

製造時期や投入列車などにより番台区分がなされ、0番台、2000番台、4000番台、8000番台が存在する。

構造

各番台の共通事項に関してここで記し、増備ごとの変更点は次節で詳述する。

車体

非貫通型先頭車
貫通型先頭車(貫通扉は準備工事のみ)
下枠交差式パンタグラフ(0番台)

車体はアルミニウム合金製とし、妻構体を除く台枠および構体は中空トラス断面のダブルスキン構造を採用する[4]。先頭車両の形状には連結時の編成間の移動を考慮した貫通構造と非貫通構造が存在するが、多客時の増結[* 1]や他線への転用を考慮した結果、貫通型先頭車両の割合が増加している[* 2]。非貫通構造の運転台は、681系に倣って前頭部は大型曲面1枚ガラスの流線形とした。先頭部の密着連結器は格納式から固定式に変更し、連結器カバーを簡素化している[5]前部標識灯は腰部に2基と運転台直上に2基の計4基、後部標識灯は腰部に2基搭載する。非貫通構造先頭車両に関しては、灯具ガラス形状が変更されており、前部標識灯と後部標識灯が一体化されている点が特徴である[5]

車体長は21,160/20,670mm(先頭車/中間車)、車体幅は2,915mmである。床面高さは681系比で35mm低い1,125mmとし、ホームとの段差をより小さくしている[4]。車体断面は既存車両との整合性を考慮して681系とほぼ同一であるが、アルミ押し出し形材を使用して屋根構体を構成することから屋根断面形状をすべて同一とし、屋根高さを60mm下げている[4][* 3]。曲線通過速度は681系と同様に半径700mのカーブの場合で最大本則+25km/hの走行が可能である。

側面窓はUVカットガラスを使用し、座席2列毎の独立窓になっているが、窓と窓の間を黒塗装で繋げることで連続窓の様に見せて681系と併結した時に違和感が出ないようにしている。

主要機器

電動車(M車)は直流電車相当の機器のみを搭載し、付随車(Tp車)に集電装置変圧器整流器などの交直流対応装備が搭載されるというM-Tp(pはパンタグラフのp)ユニット構成となっている。これにより、電動車は直流電車と機器の共通化が容易となり、保守上も特高圧機器と高低圧機器の混在によるトラブル防止のメリットがある。それに加えて、ユニットを組まない付随車(T車)を組み込むことで編成を構成している。ユニット間に付随車を挟んでM-T-Tpといった組成も可能となっている[6]

M車には車両制御装置[* 4][* 5]空気圧縮機を、Tp車には主変圧器、主整流器、集電装置を搭載する。

主変圧器 (WTM27) は走行風利用自冷式を採用し、1,200kVAの容量を備える[7]

主整流器 (WPC12) は、通商産業省資源エネルギー庁によって示された「高圧又は特高圧で受電する需要家の高調波ガイドライン」に対応するために、自励式PWMコンバータが採用されている[8]

車両制御装置は、IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータ WPC11 である。1基の装置中にインバータを5基(主回路部4基+補助電源部1基)搭載し、インバータ1基で1台の主電動機を制御する1C1M制御方式を採用している。補助電源部が故障した際には主回路用インバータをCVCF制御することで補助電源のバックアップとしている。

空気圧縮機は除湿装置と一体化した、低騒音型スクリュー式 WMH3098-WRC1600 を搭載する[9]。スクリュー式空気圧縮機は223系2000番台などでの採用実績がある。

集電装置は、681系と同一の下枠交差式パンタグラフ WPS27C である。4000番台は集電装置への着雪防止が考慮されたためシングルアーム式 WPS28D に変更された。

空調機器は、集中式の WAU704B が1両あたり1基搭載される。ロールフィルタ部に空気清浄機機能[* 6]を搭載し、送風機の制御段数が2段から3段へと増加させることでより細かな制御が可能になっている[5]。また、環境対策から冷媒フロンから3種混合ガスに変更されている[5]。冷凍能力は36,000kcal/hである。

デッドセクション通過時は運転席の交直切替スイッチを操作することで主回路が切り替わる。車内照明は直流電源方式で、デッドセクション通過時には蓄電池からの供給に切り替わるため、基本的に消灯しない。

台車

台車は、軸はり式のボルスタレス台車WDT301(電動台車)・WTR301(付随台車)である。乗り心地改善のために空気ばね中心間隔が30 mm拡大されて1,980 mmとなり、床面高さの低下から、台車は側枠の形状を変更し枕ばね取り付け位置が20mm引き下げられた。WDT301 の基礎ブレーキ装置は踏面ユニット方式であり、681系で採用されたキャリパディスクブレーキ方式に変更できるよう準備工事がなされている[* 7]。これは、130 km/hを超える速度での運用を考慮していないためである。WTR301の基礎ブレーキ装置は、踏面ブレーキとディスクブレーキ(1軸2枚)の併用である。

その他装備

保安装置は、新製当初からATS-SWおよびATS-Pのほか、EBTE装置が搭載される[8]

警笛は、AW-5および電子笛が先頭車両床下に搭載されている。

車内

683系のドア開閉時に鳴動するチャイム

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

編成中の付随車(3両に2両の割合)でトイレ洗面所が設置され、そのうち編成中の1か所は車椅子に対応したものである。

客室両端には、3色LED式の車内案内表示装置が設置されており、4000番台は大型化されている。また、乗降扉にはドアチャイムが設置されている。音色は223系などと同一である。 デッキと客室との仕切扉は自動ドアであるがタッチセンサ式とすることで混雑時の仕切扉の無駄な開閉が見直された。

普通車は通路を挟んで横2列+2列の4アブレストリクライニングシートが配置されており、肘掛内蔵テーブルや、シートバックテーブルが備えられている。シートピッチは970mmで、座席モケットの色は、奇数号車はサーモンピンク、偶数号車はグレーブルーと分けられているが、4000番台では全車がブルーに統一され、腰掛の形状変更により乗り心地の向上が図られている。

グリーン車は通路を挟んで横2列+1列の3アブレストでリクライニングシートが配置されている。シートピッチは1,160mmで、肘掛内蔵テーブルやフットレストが備えられている。681系や新幹線500系のグリーン席と同様に、背もたれ上部にヘッドレストが装備されているのが特徴である。

2000番台には、普通車の最前列・最後尾列の座席にモバイルコンセントが設置されており、4000番台はグリーン車の全席にも設置が拡大されている。

4000番台は携帯電話の普及により、車内公衆電話は製造当初から設置されておらず、携帯電話の通話などに利用できるフリースペースを2・6・8号車に設置している。このスペースは当初喫煙ルームを予定していた[10]が、製造中に在来線特急全面禁煙化の方針に転換したため、『鉄道ファン』『鉄道ピクトリアル』両誌に掲載された形式平面図では業務用室扱いとなっていた。その後、営業運転開始とともに、携帯電話の通話などに利用できるフリースペースとして機能することになった[11]

リニューアル工事

2015年1月28日に、683系の全車両に対してリニューアル工事が行われることがJR西日本より発表された[12]。2015年秋頃から2018年度末までに681系とあわせて177両にリニューアルが順次施工される予定[13][14]

リニューアル内容は以下の通り[12]

  • 車両外観
    • 従来のホワイトボディとブルーのラインを基調に、大きな窓をさらに強調するような塗装に変更される。車体側面にあるサンダーバードのシンボルマークは、北陸新幹線にも使用されている銅色をデザインし、長く親しまれている「サンダーバード」らしさと新しさを表現したデザインに変更される。
  • 車内設備
    • グリーン車の座り心地が改善され、客室内を落ち着きと趣きのあるデザインに変更される。普通車の座席はブルーを基調とした最新のデザインに統一される。
    • モバイルコンセントがすべての編成のグリーン車全席、普通車客室出入口付近の席に整備される。
    • グリーン車と普通車の身体障がい者対応のトイレにJR西日本の在来線車両としては初めて温水洗浄機能付き暖房便座が導入され、グリーン車以外のトイレにもすべて暖房便座が整備される。

番台区分別概説

形式・編成

電動車は奇数形式、付随車については電動車とユニットを組み集電装置と特高圧機器を搭載するTp車が偶数形式、単独付随車であるT車が奇数形式を称する。車両の向きによる形式区分はされていない。

クモハ683形 (Mc)
車体前位に運転台をもつ普通車で、クハ682形・サハ682形とユニットを組んで使用される。後位に車椅子対応設備を設け、車両制御装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
モハ683形 (M)
編成の中間に組成される、運転台のない普通車で、クロ682形・クハ682形・サハ682形とユニットを組んで使用されている。車両制御装置・電動空気圧縮機などが搭載されている。
クロ683形 (Tsc)
車体後位に運転台を持つグリーン車である。前位にトイレ・洗面所を設ける。
クロ682形 (Tpsc)
車体後位に運転台を持つグリーン車で、モハ683形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所・喫煙コーナー[* 8]を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。
クハ683形 (Tc)
車体前位に運転台をもつ普通車である。後位にトイレ・車椅子対応設備を設ける。
クハ682形 (Tpc')
車体後位に運転台を持つ普通車で、クモハ683形・モハ683形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。
サハ683形 (T)
編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。トイレ・洗面所・車内販売準備室・車椅子対応設備・多目的室・自動販売機・業務用室・車掌室が備えられている。
サハ682形 (Tp)
編成の中間に組成される、運転台のない普通車で、クモハ683形・モハ683形とユニットを組んで使用されている。前位にトイレ・洗面所・公衆電話を設け、主変圧器・主整流装置・集電装置などが搭載されている。
JR西日本
← 金沢・和倉温泉・名古屋
大阪・米原 →
0番台 クロ683
-0
サハ682
-0
モハ683
-1000
サハ683
-300
サハ682
-0
クモハ683
-1500
クハ682
-500
モハ683
-1300
クハ683
-700
2000番台
旧「しらさぎ」用
クモハ683
-3500
サハ683
-2500
サハ682
-2200
モハ683
-3400
クロ682
-2000
クモハ683
-3500
サハ683
-2400
クハ682
-2700
2000番台
「サンダーバード」用
クハ682
-2700
サハ683
-2400
クモハ683
-3500
4000番台 クロ683
-4500
サハ682
-4300
モハ683
-5400
サハ682
-4400
モハ683
-5000
サハ683
-4700
サハ683
-4800
サハ682
-4300
クモハ683
-5500
JR西日本(元北越急行)
← 米原
金沢・名古屋 →
8000番台
現「しらさぎ」用
クハ683
-8700
モハ683
-8000
クハ682
-8500
クモハ683
-8700
サハ682
-8000
サハ683
-8000
モハ683
-8300
サハ682
-8000
クロ683
-8000

0番台

JR西日本 0番台
0番台(非貫通車)
0番台(非貫通車)
編成 基本編成:6両 (2M4T)
付属編成:3両 (1M2T)
営業最高速度 130 km/h
編成定員 536名 (9両編成時)
編成質量 347.3t (9両編成時)
出力 245kW / 基 (WMT105)
台車 WDT301・WTR301
製造メーカー 川崎重工業
近畿車輛
日立製作所

特急「雷鳥」で使用している485系の置き換えを目的に登場した。2001年から2002年にかけて6両基本編成6本(T21 - T26編成)、3両付属編成6本(T31 - T36)が製造された。車体側面には681系T編成と同様に THUNDERBIRD と表記したエンブレムを配している。色はグレーとブルーと□ホワイトである。

2001年(平成13年)3月3日ダイヤ改正ですべての「スーパー雷鳥」を置き換えるために、2001年1月から2月にかけて基本編成4本(T21 - T24編成)、付属編成4本(T31 - T34編成)の36両が落成した[15][* 9]

JR西日本持ちの「はくたか」で運用していた485系8両編成2本を681系に置き換えるため、2001年12月から2002年2月にかけて基本編成2本(T25・T26編成)、付属編成2本(T35・T36編成)の18両が落成した[15]

後述する683系4000番台の増備により、全車両が2009年10月から2011年3月にかけて京都総合運転所(現:吹田総合車両所京都支所)に転出し[16][17]、編成番号については基本編成がT21 - T26からW31 - W36に、付属編成がT31 - T36からV31 - V36に変更された。

2000番台

「しらさぎ」用編成

JR西日本 2000番台
2000番台
2000番台
編成 基本編成:5両 (2M3T)
付属編成:3両 (1M2T)
営業最高速度 130 km/h
編成定員 466名 (8両編成時)
編成質量 310.9t(8両編成時)
出力 245kW / 基 (WMT105)
台車 WDT301・WTR301
製造メーカー 川崎重工業
近畿車輛
日立製作所
日本車輌製造
2000番台(付属編成)

「しらさぎ」「加越」で使用していた485系の置き換えを目的として、2002年 - 2003年にかけて5両基本編成12本(S1 - S12編成)、3両付属編成9本(S21 - S29)が製造された。 車体側面には白鷺イラストを添えた SHIRASAGI のエンブレムを配している。投入当初はエンブレムの上部に小さくShirasagi Kaetsuと表記した(登場時のパンフレットでも確認できる)が、「加越」の名称が消滅した2003年10月以降に消されている。客室窓の下部の帯は「サンダーバード」用T編成の青一色と異なり上側が、下側をオレンジ色とし「サンダーバード」用のものより若干帯が太い。オレンジ色のラインに関してJR西日本では「『サンダーバード』との誤乗車を防ぐために入れた。名古屋に直通するイメージを簡単にあらわしたものである[* 10]」としている。これらのカラーパターンは先代の485系リニューアル車でも使われていた。

この番台のクロ683形のみ乗降口が先頭の運転台側にあり、他の番台では乗降口がある場所には2枚の窓を縦に繋げ、独立した禁煙スペースを設けたが、2009年6月からは全面禁煙となったため、フリースペースに変更された。

2003年3月15日ダイヤ改正で名古屋駅 - 富山駅間の「しらさぎ」4往復に投入するために、2002年11月から12月にかけて、基本編成4本(S01 - S04編成)、付属編成6本(S21 - S26編成)の38両が落成した[18]。同年6月1日に、485系で運転されていた残たりの「しらさぎ」の4往復を本系列で置き換えるために、2003年4月から5月にかけて、基本編成4本(S05 - S08編成)、付属編成2本(S27・S28編成)の26両が落成した[18]。同年7月19日に、485系で運転されていた「加越」を本系列で置き換えるために、2003年6月から7月にかけて基本編成4本(S09 - S12編成)、付属編成1本(S29編成)の23両が落成した[18]

2015年3月14日のダイヤ改正で、「しらさぎ」が681系もしくは元北越急行の683系8000番台による6両編成での運転に変更され、同年3月13日限りで運用から離脱した。今後は、交流機器の使用をやめて形式も289系に変更した上で[19][20]、サハ683形が脱車・増結が可能であることから5両編成を6両編成と4両編成に組み替えて特急くろしお北近畿ビッグXネットワークで使用されている381系電車を置換予定となっている。これに先立ち、同日付で5両編成5本と3両編成1本が吹田総合車両所京都支所に、3両編成6本が福知山電車区に転属している[21]。なお、2015年4月28日にS10が289系に改造出場されたが、交流機器は撤去されておらず、SHIRASAGI のエンブレムも存置されたまま回送された[22]。また、同年5月27日には4両編成とされたS06編成の試運転が行われた[23]。S06は北近畿方面用でダークレッドの帯が施されており、北近畿ビッグXネットワークに投入される。

「サンダーバード」用編成

2005年(平成17年)に「サンダーバード」増結用に2000番台3両編成を4本(R10 - R13) の12両が製造された。方向転換(S編成とは向きが逆)を行ってT編成との整合性を取っている。また、車両番号はS編成からの連番になっている。全車が近畿車輛で製造されている。

ドア位置をS編成と同じにすることで、6号車(9号車)富山・和倉温泉寄りと7号車(10号車)大阪寄りでこれまで不便だった乗降をスムーズにしている。車体側面の帯色はT編成と同一である。

4000番台

JR西日本 4000番台
4000番台
4000番台
編成 9両編成(3M6T
営業最高速度 130 km/h
編成定員 546名
編成質量 353.9t
出力 255kW / 基 (WMT105A)
台車 WDT301・WTR301
製造メーカー 川崎重工業
近畿車輛

老朽化の進む特急「雷鳥」で運用されていた485系を置き換えるために製造されたグループ。9両編成12本(T41 - T52編成)が製造された。本番台の投入によって「雷鳥」が廃止された。既存車(0・2000番台)との相違点を以下に列挙する。

車体
着席定員の増加および他線区への転用を考慮に入れて9両貫通編成とし、両運転台とも貫通型先頭車両とした[24][* 11]。また、アルミニウム合金製車体としては初めてオフセット衝突対策構造を取り入れている[25]
走行機器
集電装置は、積雪による離線防止を図るためにシングルアーム式パンタグラフ WPD28D を搭載する[26]。集電舟は在来車と共通の3元系金属すり板である[26]
空調装置は、室内熱交換器の容量アップや室内送風機の変更による低騒音化、構成部品の見直しによる軽量化を図った集中式 WAU704D を搭載する[26]
誘導障害対策を強化するためにサハ682形にフィルタ箱を追加するとともに、クロ683形に車内コンセント用の充電整流装置を追設する[26]
主電動機は、絶縁種別見直しによって1時間定格出力を255kWに強化した WMT105A を搭載する。台車形式は不変ながらも、側バリバネ棒構成を見直して雪かき受部の強度アップを図るとともに速度発電機を非接触タイプに変更している[26]
車内設備
普通車座席モケットのカラーを青系に統一し[24]、車いす対応便所や多目的室は大型化されている[27]

第1編成は2008年12月に近畿車輛で落成し、同年12月14日に金沢まで甲種車両輸送が実施され[28]、金沢総合車両所に配置された。その後、2009年2月3日に公式試運転[29]、同年4月29日に富山駅・福井駅・金沢駅の順に車両見学会が行われた[30]

2009年6月1日のダイヤ改正で「サンダーバード」で営業運転を開始した[31]。2011年7月22日に最終編成が近畿車輛から出場したが、この編成は前面上部の前照灯が変更されている[32]

8000番台

JR西日本(元北越急行) 8000番台
8000番台(非貫通車)
8000番台(非貫通車)
編成 基本編成:6両 (2M4T)
付属編成:3両 (1M2T)
営業最高速度

JR線内 130 km/h

ほくほく線内 160 km/h
編成定員 536名
編成質量 354.9t
出力 245kW / 基 (WMT105)
台車 HDT301・HTR301
製造メーカー 車体:川崎重工業
艤装:新潟トランシス

特急「はくたか」で使用していた東日本旅客鉄道(JR東日本)の485系3000番台での運用を置き換えるために製造したグループで北越急行が所有していた。車両愛称は681系2000番台と同じSnow Rabbit Expressノックダウン生産であり、新潟トランシス(車体は川崎重工業)で製造され、2005年(平成17年)3月1日に営業運転を開始した。

書類上の所属は北越急行六日町運輸区であるが、保守整備は681系2000番台と同じくJR西日本に委託しており、金沢総合車両所で一括して整備している。付属編成の先頭車は0番台、2000番台と同様の貫通構造である。最高速度は160km/hで、683系では唯一160km/h運転を行う編成である。160km/h運転に対応するため、電動車では他番台で省略されていた681系電動車と同様のキャリパ式ディスクブレーキが復活した。

付属編成の乗降扉位置は既存編成との整合性を取るために変更せず、6号車と7号車の間には乗務員用の扉しかない。基本編成の3号車と4号車の間にも乗降扉は設けられておらず、屑物入れと自動販売機用のスペースになっている。

JR東日本の485系3000番台の運用を置き換えるにあたっては、JR東日本が新規に車両を開発・新造すること[* 12]もひとつの手段ではあった。しかし「はくたか」の運行区間のうち自社線内となるのは、直江津駅 - 犀潟駅間および六日町駅 - 越後湯沢駅間と非常に短いこと、ほくほく線での最高160km/hの高速運転には車両側に高速性能や気密構造が要求されること、仮にJR東日本が車両を新造した場合、北陸新幹線開業後に他線区に転用することがほぼ確実であることなどに鑑み、新潟地区など他線区の置き換えと同時に新造したり、1編成だけ新造するのは不合理との判断がなされ、北越急行が置き換える車両を受け持つことになった。このことにより走行距離相殺のバランスが崩れ、ほくほく線内においてはJR東日本への車両使用料の支払いがなくなり、逆にJR東日本・西日本線の走行時には両社から北越急行への車両使用料の支払いが発生する。北越急行としては、北陸新幹線開業後の採算悪化に備え早めに収入を上げるという判断も働いた[33]

北越急行からJR西日本に譲渡後は金沢総合車両所に移籍されて、2015年4月23日現在、「サンダーバード」「しらさぎ」で運行をされている。この時点では北越急行色の塗装であったが[34]、その後「しらさぎ」塗装に変更されている[35]。ただし、前者ではSnow Rabbit Express のエンブレムが配していたが、後者ではSHIRASAGI のエンブレムは配していない。


車両配置と運用線区

2015年4月1日現在の車両配置[36]および2015年3月14日現在の運用範囲を以下に示す。

JR西日本

金沢総合車両所

金沢総合車両所には、2000番台3両編成4本(R10 - R13編成)、4000番台9両編成12本(T41 - T52編成)、2000番台5両編成6本(S01・S02・S07・S09・S11・S12編成)、2000番台3両編成2本(S27・S28編成)、8000番台6両編成1本(N03編成)、8000番台3両編成1本(N13編成)の合計165両が配置されている。

T編成は特急「サンダーバード」(大阪駅 - 金沢駅間)と「びわこエクスプレス」(大阪駅 - 米原駅間)で運用されている。多客期には12両編成で運転されることもある。2011年5月中旬頃からは従来の489系に代わって、特急「はくたか」の異常時代走にも運用されたこともあった[37]

R編成は波動用編成であり、681系T11編成と共用で「サンダーバード」の増結用や臨時列車団体専用列車として運用されている。

S編成は2015年4月現在は運用を有していない。2014年3月15日改正時点では特急「しらさぎ」で運用され、米原駅発着は原則5両編成、名古屋駅発着は原則8両編成(基本5両+付属3両)であったが、多客期には最大11両編成(基本5両+付属3両+付属3両)で運転することもあり、米原駅で増解結を行っていた。また、「しらさぎ」3・12号については金沢駅で富山駅発着の基本編成5両と、和倉温泉駅発着の付属編成3両と増解結を行っていた。米原駅で増解結した編成の間合い運用を兼ね、米原駅発着となる下り53号・61号と上り54号・62号を中心に基本5両+付属3両の8両編成で運転される場合があった。このほか、東海道本線「ホームライナー大垣」「ホームライナー関ヶ原」にも使用されていた。なお、S編成は289系に改造予定の車両であり、4両編成に組成変更される5両編成3 - 4本は福知山電車区、3両編成2本(S27・S28編成)と6両編成に組成変更される5両編成2 - 3本は吹田総合車両所日根野支所(旧・日根野電車区)へ転属する予定である。

N編成は、同所所属の681系と共通運用で、特急「しらさぎ」で運用されている。名古屋駅、米原駅発着の列車とも原則6両編成、多客期には米原駅で増解結を行い、北陸本線では最大9両編成(基本6両+付属3両)で運転される。名古屋駅発着の列車は、東海旅客鉄道(JR東海)管内は6両編成で運転される。

吹田総合車両所京都支所

吹田総合車両所京都支所(旧:京都総合運転所)には、0番台6両編成6本(W31 - W36編成)、0番台3両編成6本(V31 - V36編成)、2000番台5両編成6本(J02 - J07編成)、2000番台3両編成1本(I03編成)の87両が配置されている。

W編成とV編成は、同所所属の681系と共通運用で、特急「サンダーバード」6往復(大阪駅 - 金沢駅・和倉温泉駅間)と、「ダイナスター」1往復(福井駅 - 金沢駅間)、「能登かがり火」3往復(金沢駅 - 和倉温泉駅間)[36]で運用されている。「サンダーバード」は9両編成(基本6両+付属3両)で運転されており、大阪駅 - 和倉温泉駅間の1往復に関しては、金沢駅で増解結を行い、金沢以北には6両編成のみが入線する。「ダイナスター」「能登かがり火」は6両編成で運転されている。

金沢所属時代の2003年3月15日には小浜線電化開業記念列車として小浜線にも乗り入れた[38]

J編成とI編成は289系に改造予定の車両であり、3両編成1本(I03編成)と6両編成に組成変更される5両編成2 - 3本が同車両所日根野支所、4両編成に組成変更される5両編成3 - 4本が福知山電車区へ転籍する予定になっている。

福知山電車区

福知山電車区には、3両編成6本(FH301 - FH306編成)の18両が配置されている。いずれも289系に改造予定の車両である。

北越急行(北陸新幹線開業以前)

8000番台(貫通車)

六日町運輸区に6両編成1本 (N03) と3両編成1本 (N13) が配置されていたが、車両の管理はJR西日本に委託されており、金沢総合車両所の681系「はくたか」用の編成と共通運用で、特急「はくたか」「おはようエクスプレス」(泊駅 → 金沢駅間)で運用されていた。

また、使用車両に関する問い合わせが多いことから、編成運用計画一覧が北越急行公式ウェブサイトで公開されていた。付属編成は両側とも貫通構造になっているが、その構造を利用した12両編成での運用や付属編成2本を連結する運用は定期列車では存在しなかった[* 13]

2015年3月14日の北陸新幹線開業後は681系2000番台とともに、同日付で全車がJR西日本によって買い取られ、その後は開業前まで運用していた683系2000番台と同一の「しらさぎ」塗装に変更された[35][39]。ただし、前者で施されたSHIRASAGI のエンブレムが後者では施されていない。また、私鉄・第三セクター所属車両がJR車籍に編入されるのは、209系3100番台キハ125形400番台に次いで3例目となる。

脚注

出典

[ヘルプ]
  1. ^ “8月定例会見(「しらさぎ」「加越」への新車投入について)” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2002年8月21日), オリジナルの2003-4-11時点によるアーカイブ。, http://web.archive.org/web/20030411062416/http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/k020821.html#1 2015年5月5日閲覧。 
  2. ^ ジェー・アール・アール『JR電車編成表 2012夏』交通新聞社、2012年。ISBN 978-4-330-28612-9
  3. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.405。ISBN 978-4-330-21211-1
  4. ^ a b c 『鉄道ファン』通巻481号、p.61
  5. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻481号、p.62
  6. ^ 『鉄道ファン』2012年1月号、交友社、2011年、p.41
  7. ^ 車両システム・推進制御システム・主変圧器--製品紹介-- - 三菱電機車両システム
  8. ^ a b 『鉄道ファン』通巻481号、p.59
  9. ^ 『鉄道ファン』2009年5月号 交友社 2009年 「新車ガイド JR西日本683系4000番台」 p.73
  10. ^ 鉄道ジャーナル』2009年8月号、鉄道ジャーナル社
  11. ^ 『鉄道ジャーナル』2009年9月号、鉄道ジャーナル社。
  12. ^ a b “特急「サンダーバード」のサービス向上に向けた取り組みについて” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2015年1月28日), http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/01/page_6729.html 2015年1月28日閲覧。 
  13. ^ “JR西特急サンダーバード改装へ 北陸新幹線と統一感”. 47NEWS(共同通信) (全国新聞ネット(共同通信社)). (2015年1月28日). http://www.47news.jp/CN/201501/CN2015012801001106.html 2015年1月28日閲覧。 
  14. ^ “サンダーバード、内外装見直しへ 北陸新幹線金沢開業で今秋から”. 福井新聞 (福井新聞社). (2015年1月29日). http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/pickup_photo/62949.html 2015年2月6日閲覧。 
  15. ^ a b ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.145。ISBN 978-4-330-21211-1
  16. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2010夏』交通新聞社、2010年。pp.398 - 399。ISBN 978-4-330-14310-1
  17. ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.359。ISBN 978-4-330-21211-1
  18. ^ a b c ジェー・アール・アール編『JR電車編成表 2011夏』交通新聞社、2011年、p.116。ISBN 978-4-330-21211-1
  19. ^ “「くろしお」「こうのとり」「きのさき」「はしだて」へ289系(683系)車両を投入します” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2015年4月28日), http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/04/page_7100.html 2015年4月30日閲覧。 
  20. ^ “JR西日本、南紀・北近畿の特急に「289系」投入…683系の改名”. Response.. (2015年4月28日). http://response.jp/article/2015/04/28/250026.html 2015年4月30日閲覧。 
  21. ^ 「JR電車編成表2015夏」ISBN 9784330569154 p.361。福知山への1本のみ3月18日付。
  22. ^ railf.jp(鉄道ニュース) (2015年4月30日). “289系が回送される”. 交友社. 2015年5月4日閲覧。
  23. ^ 塗装変更された289系が本線で試運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2015年5月28日
  24. ^ a b 『鉄道ファン』通巻577号、p.66
  25. ^ 『鉄道ファン』通巻577号、p.67
  26. ^ a b c d e 『鉄道ファン』通巻577号、p.71
  27. ^ 『鉄道ファン』通巻577号、p.70
  28. ^ 683系4000番台,甲種輸送される - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2008年12月15日
  29. ^ 683系4000番台が公式試運転を実施 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2009年2月4日
  30. ^ 特急「サンダーバード」の新製車両見学会の開催について - 西日本旅客鉄道プレスリリース
  31. ^ 683系4000番台が営業運転を開始 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp 2010年6月20日
  32. ^ 683系4000番台が近畿車両から出場 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp 2011年7月23日
  33. ^ 新たに「はくたか」仲間入りする特急車両(683系)について”. 北越急行 (2005年2月22日). 2009年2月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年4月23日閲覧。 [ ] -
  34. ^ railf.jp(鉄道ニュース)、鉄道ファン ) (2015年4月23日). “683系8000番台が"サンダーバード"に”. 交友社. 2015年4月24日閲覧。
  35. ^ a b 鉄道ジャーナル社「北陸新幹線開業に伴うJR西日本車両の動き」、『鉄道ジャーナル』2015年6月号、成美堂出版2015年、 91-95頁。
  36. ^ a b ジェー・アール・アール『JR電車編成表』2015夏、交通新聞社、2015年、pp.135, 136, 144, 190、ISBN 9784330569154
  37. ^ 鉄道ホビダス『RM News』 (2011年7月27日). “683系4000番代T52編成 出場試運転”. ネコ・パブリッシング. 2015年5月5日閲覧。
  38. ^ わだちNo.95(2003年5月号) (PDF) - 鉄道友の会
  39. ^ 『鉄道ファン』2015年2月号、交友社、2014年、「北越急行"はくたか"の時代」、p.30 - 53

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 681系の場合、編成中間側の先頭車のみ貫通構造とされていたために連結両数は最大でも9両(基本6両+付属3両)に制約されていた。683系では付属編成の両先頭車両とも貫通構造にすることで、付属編成を2編成使用した12両編成(基本6両+付属3両+付属3両)の組成を可能とした。
  2. ^ 4000番台は両先頭車両とも貫通構造であるが、クロ683形4500番台のみ貫通扉が準備工事とされている。
  3. ^ 681系の場合、パンタグラフ艤装部分のみ屋根を平らにしていた。
  4. ^ 主回路用インバータ(VVVF制御装置)と補助電源用インバータ (SIV) を一体化したもの
  5. ^ 編成ごとに東芝製と三菱電機製の2種類が使用されている。
  6. ^ 禁煙車は準備工事のみ。ただし、後年の全席禁煙化による元喫煙車への対応は不明。
  7. ^ HDT301(8000番台)は160 km/h運転を行うため、681系同様のキャリパ式ディスクブレーキが落成時から採用されている。
  8. ^ 2009年の全面禁煙化後は灰皿を撤去しフリースペースに変更。
  9. ^ 通常、車両の新製日時に関しては編成ごとに記されるものである。しかし、T21編成に関しては2001年1月9日に落成したが、1号車のクロ683-1のみ同年2月28日に落成となっている。これに関して、製造時のミスによりクロ683-1の落成が遅れたとの説があるが、真偽は不明である。
  10. ^ JR東海のコーポレートカラーはオレンジ色である。
  11. ^ クロ683形の貫通路は準備工事の段階であり、扉が開く状態にはなっていない。
  12. ^ JR東日本在来線交流電化区間の商用電源周波数は50Hzだが、北陸本線梶屋敷駅以西に乗り入れるためには60Hz対応設備を要する。当時常磐線で運用していた特急車両のE653系は、50/60Hz双方の電源周波数に対応する。
  13. ^ ほくほく線開業10周年記念の団体臨時列車で681系と683系の付属編成同士を連結させ6連で運転したことはある。

参考文献

  • 田中章(JR西日本車両部在来線新製改良)「683系特急形交直流電車」、『鉄道ファン』第481号、交友社、2001年5月、 58 - 64頁。
  • 伊藤陽一(JR西日本鉄道本部車両部車両設計室)「683系4000番台」、『鉄道ファン』第577号、交友社、2009年5月、 66 - 73頁。
  • 『データで見るJR西日本』 - 西日本旅客鉄道、p.117

外部リンク