JR西日本227系電車

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JR西日本227系電車
227系0番台 A38編成(2017年9月21日)
227系0番台 A38編成
(2017年9月21日)
基本情報
運用者 西日本旅客鉄道
製造所 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
製造年 2014年 -
製造数 158両(2016年現在)
運用開始 2015年3月14日
主要諸元
編成 2・3両(全車0.5M電動車
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V (架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h(準備工事)
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 3.9 km/h/s
減速度(非常) 3.9 km/h/s[# 2] / 4.4 km/h/s[# 3]
編成定員 408名(3両編成)
259名(2両編成)
車両定員 133名(クモハ227形)
126名(クモハ226形)
149名(モハ226形)
自重 40.2 t(クモハ227形)
40.5 t / 40.6t[# 1](クモハ226形)
37.1 t(モハ226形)
編成重量 117.8 t / 117.9 t[# 1](3両編成)
80.7 t / 80.8 t[# 1](2両編成)
全長 20,000 mm
車体長 19,500 mm
19,570 mm(先頭車両)
全幅 2,950 mm
車体幅 2,950 mm
全高 4,085 mm[# 4]
車体高 3,630 mm
3,680 mm(先頭車両)
車体 ステンレス
台車 軽量ボルスタレス軸梁式台車(ヨーダンパ準備)
動力台車:WDT63B
付随台車:WTR246F・WTR246G
主電動機

かご形三相誘導電動機 (WMT106A)(0番台)


全閉式かご形三相誘導電動機(WMT107)(1000番台)
主電動機出力 270 kW(WMT106A、0番台)
220 kW(WMT107、1000番台)
駆動方式 WN継手式中実軸平行カルダン方式
歯車比 1:6.53
編成出力 3両編成→270 kW×2×3 = 1,620 kW
2両編成→270 kW×2×2 = 1,080 kW(0番台)
220 kW×2×2 = 880 kW(1000番台)
制御方式 2レベルIGBT素子VVVFインバータ(0番台)
フルSiC素子VVVFインバータ(1000番台)
制御装置 WPC15A(1C2M・静止形インバータ一体型)(0番台)
WPC16 (1C2M・静止形インバータ一体型)(1000番台)
制動装置 電気指令式直通回生純電気式〕・抑速耐雪駐車ブレーキ付き)
保安装置

ATS-SW2・ATS-DW(0番台)
ATS-SW2・ATS-P3車上主体列車制御システム(1000番台)

EBTE装置(0番台)
EB-N(デッドマン装置)TE装置(1000番台)
車両異常挙動検知システム
防護無線
出典:0番台:(鉄道ファン 2015, p. 64)
1000番台:[1]脚注:
  1. ^ a b c 塗油装置付き
  2. ^ 110 km/h時
  3. ^ 120 km/h時
  4. ^ パンタグラフの折りたたみ時の高さ
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227系電車(227けいでんしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車である[2]

概要[編集]

2014年平成26年)時点で広島支社が保有していた電車は、いずれも日本国有鉄道(国鉄)時代に製造された車両であり、従来は近畿圏(アーバンネットワーク)への新車投入で捻出された、比較的若い車両などを転用して置き換えが行われてきた。しかし、経年35年以上の車両が大半を占めるなど老朽化や設備の陳腐化が進み、老朽車両の取り換えが急務とされていた[3]。これを受けて、2013年(平成25年)3月に発表された「中期経営計画2017」で、広島都市圏(広島シティネットワークなど)への新型車両の投入と新保安システムの導入が記されていた[4]

これらの状況に鑑み、225系などで採用された安全性向上設計を盛り込み、より安全性の高い保安装置や伝送技術の発達などの新技術を積極的に採用した広島エリア向け新型車両として開発されたのが本系列である[3]。広島地区の在来線に新型電車[注 1]が投入されるのはJR発足以降初めてで[5]、国鉄時代から通算しても115系3000番台以来32年ぶりになる[6][7]。そして、2015年3月14日のダイヤ改正により広島地区の在来線で運行を開始した。広島地区向けに投入された車両には「Red Wing(レッド ウィング)」という車両愛称が付けられている[8]

2両編成と3両編成があり、この2タイプの編成を併合・分割することで最大8両まで編成を自在に構成することで旅客の需要に柔軟に対応できる[3]。原則として従来形式との併結運用は行わない[9]

2015年9月29日に「“JRシティネットワーク広島”のブランディング(227系電車と路線記号カラーデザイン)」として、2015年度グッドデザイン賞(移動用機器・設備部門)を受賞している[10][11][注 2]

新造以来広島地区にのみ投入されてきたが、2019年春をめどに和歌山線桜井線および紀勢本線の一部に投入されることが発表されている(1000番台)。なお、以下において特記なき記述は基本形式(0番台)について記し、和歌山線・桜井線向け1000番台については別途記述する。

構造[編集]

JR西日本が所有する225系や521系3次車で採用された安全性向上のための構造を積極的に取り入れた車両となっており、車内設備や旅客サービスを改善している[3]

なお、本文中にある、車両の部位を示す「前位」は岡山寄り、「後位」は下関・あき亀山寄りを示す。

車体[編集]

車体長は19,570/19,500mm(先頭車/中間車)、車体幅は2,950mm、20m級車体に片側3箇所の両開き扉という、近郊形としてはオーソドックスな構成である[12]。ホームドア設置を考慮して単編成時および複数編成連結時にかかわらずドア位置が同一となるよう、連結面-車端出入り口寸法および全長を先頭車・中間車で共通化させている[12]。材質はステンレス鋼 (SUS301, SUS304) を使用し、321系から採用されているスポット溶接とレーザ連続との溶接構造を採用している[13][12]。ただし、運転台部分は製である[12]

2005年(平成17年)4月25日に発生したJR福知山線脱線事故を受け、列車が衝突した際に運転席周りに比べて相対的に強度を低くした先頭上部が先につぶれることで力を上方へ逃がし、乗客への衝撃と客室の変形を抑える構造(クラッシャブルゾーンともえ投げ方式)を225系・521系3次車に引き続いて採用している[12]。このほかにも床・側板・屋根の接合を強固にし、側面衝突やオフセット衝突に対しても変形を少なくする設計となっている[12]。2編成もしくは3編成連結しての運用も考慮し、常時貫通タイプとしている。

前部標識灯(前照灯)およびフォグランプにはHID後部標識灯(尾灯)にはLEDが使用されている[14]。前照灯および尾灯の配置は521系3次車に準じている。側窓は225系と同様のレイアウトで3枚構成とされ、下降窓+大型固定窓+下降窓で構成されている[15]

転落防止幌に関しては、舞子駅で起きた乗客転落死亡事故を踏まえて、従来車で取り付けられていた中間車同士の連結面だけでなく先頭車両同士の連結の場合も考慮し、運転台側面に先頭車間転落防止幌が取り付けられている。

車体のカラーリングについては、広島出身の榮久庵憲司の主宰する「GKデザイン総研広島」にデザインの依頼を行い、アーバンネットワークとは違った広島らしいデザインが検討された[16][17]。その結果、シンボルカラーとして広島県木である「もみじ」や広島東洋カープ厳島神社大鳥居などにちなみ、親しみやすさを感じさせる赤を採用[16]。カラーリングの配置もアーバンネットワークで見られる横帯主体ではなく、車体端部に縦方向の赤太線を配すことで、2・3両が基本となる編成の短さを強調した[16]。側窓下には赤細帯を配している[18]。また、前面貫通扉と側面車端部には「JRシティネットワーク広島」のロゴと新たに制定された愛称「Red Wing」のロゴマークが張り付けられている[9][18]

外面の行先表示には新たにフルカラーLED式を採用し、従来では分けられていた列車種別と行先表示を一体化させている。2016年の広島東洋カープのリーグ優勝時には、優勝記念として優勝決定翌日の9月11日から一週間の期間限定で、普通列車に限り列車種別表示部分に球団マスコットの「カープ坊や」のLED表示が行われている[19]。これは特別に設定したものではなく、元々「カープ坊や」表示の設定が用意されていたといい、優勝を機に満を持しての登場となった[17]。なお、2016年は日本シリーズ期間中も表示されたほか、2017年もリーグ優勝決定翌日の9月19日より「カープ坊や」が表示されている[20][注 3]

主要機器[編集]

321系や225系などで採用された、1車両中に動力台車と付随台車を1台ずつ配置し運転に必要な機器類を1両にまとめて搭載する0.5Mシステムと呼ばれる考え方を基本とし、すべての車両が電動車となっている。そのため、全車両に車両制御装置[注 5]を搭載することを基本とし、クモハ227形には集電装置および空気圧縮機を追加している。

221系以降の設計思想を引き継ぎ、1 - 3位側(海寄り)に空制部品関係を、2 - 4位側(山寄り)に電気部品関係を集中的に配置する[21]

電源・制御機器[編集]

車両制御装置は WPC15A と呼称され、東芝および三菱電機が製造を担当する[22]主電動機を制御する主回路部と補機類の電源となる補助電源部(補助電源装置)が一体化したユニットで、IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータである[23]。主回路部はインバータ1基で2基の電動機を制御する、いわゆる1C2M構成のVVVFインバータを搭載する。これに対し補助電源部は三相交流 440 V、75 kVA の容量を有しており[23]、主回路部と同じくIGBTを用いた2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、他車の車両制御装置の補助電源部と並列運転を行うことで故障時の編成全体での冗長性を確保する設計である[21]

空気圧縮機は、除湿装置と一体化した低騒音型スクリュー式 WMH3098-WRC1600 をクモハ227形に搭載する[23]。スクリュー式空気圧縮機は223系2000番台以降などでの採用実績がある。

集電装置はシングルアーム型パンタグラフ WPS28E が採用され、クモハ227形後位寄りに1基搭載する[23]。バネ上昇式・空気下降式であり、上昇検知装置および電磁カギ外し装置を備える[23]。破損時の落下防止を目的として、パンタグラフ枠の上下に碍子を配置して貫通ボルトで固定する貫通碍子を用いたほか、大容量カーボンすり板を採用する[24]。なお、第二パンタグラフは準備工事とされている[25]

主電動機かご形三相誘導電動機 WMT106A が採用され、各車両に2基搭載する[23]。センサレスベクトル制御を採用し、1時間定格出力は 270 kW に増強されている[23]

空調装置は、新鮮外気導入機能を備えた集約分散式である WAU708B を屋根上に1両あたり2台搭載しており、容量は 20,000 kcal/h 以上である[23]

車両情報システムとして、321系225系で実績のあるデジタル転送装置を採用している。基幹伝送速度を10Mbpsから100Mbpsに向上させ、編成内で二重系構成とすることで、将来のさまざまなニーズにもソフトで対応することが可能なシステムとなっている[21]

車両異常挙動検知システムを装備しており、各車の下部に搭載されている車両制御装置の脇にはその表示灯箱が装備されている[23]

台車[編集]

台車は、車体と同様に川崎重工業および近畿車輌が製造を担当する[22]。メンテナンス性の向上および部品共通化の観点から、225系や321系などで実績のある軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス台車である[26]。牽引装置は1本リンク式である[13]。車体のロール方向の剛性向上のため、空気ばね間距離を 2,000 mmに拡大し、空気ばね高さを925 mmに低減させた設計は225系や321系と同等である[21]。さらに、空気ばねの自動高さ調整装置の高さ調整棒には、動物などと接触した際の保護ガードを設けることで信頼性の向上を図っている[21]。軸箱と台車枠との間に軸ダンパが装備されているが、ヨーダンパは準備工事としている。クモハ227形とモハ226形の場合は前位寄りに付随台車、後位寄りに電動台車を装着している[9]。クモハ226形の場合はその逆である[9]

電動台車は WDT63B と呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキである[23]。付随台車は中間車(モハ226形)が WTR246F 、先頭車(クモハ227形・クモハ226形)が WTR246G と呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキ+1軸2枚のディスクブレーキである[23]。加えて、WTR246G にはバネ式駐車ブレーキが備えられている[23]

合成制輪子を使用し[13]、制輪子・ブレーキライニング着脱のワンタッチ化、ワンタッチカプラ化された空気ホースを採用する[26]。また、特定の編成にはフランジ塗油装置を取り付けている[24]

ブレーキ[編集]

321系以来の標準システムとなる、電力回生併用電気指令式空気ブレーキ方式を採用する[24]。常用ブレーキ、非常ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキおよび直通予備ブレーキを備えるが、非常ブレーキに関しては設計最高速度が120km/hであることから、増圧機能を有している[24]。なお、抑速ブレーキは40km/h以上で動作する[22]

ブレーキ制御装置 WC114 は各車両に2基搭載し、台車ごとに個別制御を行う。これにより故障時の冗長性を高めたほか、装置自体を各台車直近に配置することで空気配管を簡素化、応答性も向上させている。

運転台[編集]

グラスコックピット構造の運転台。

運転台計器盤は計器類と表示灯を廃し、タッチパネルの液晶モニターに表示するグラスコックピット構造の計器盤設定器を運転台正面に2台と右側そで部に1台を採用している[27]。JR西日本の在来線車両では当形式が初採用である。主幹制御器は、221系以来実績のあるブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型 WMC107 を搭載する[13]。力行ノッチは5段、常用ブレーキは7段である[25]。運転台周りの基本的な割り付けは225系に準じているが、ワンマン運転に対応するため運転台高さを225系より100mm低い200mmとしている[24]

前面ガラスには飛散防止フィルムが貼り付けられている[27]ワイパーは運転士側に予備を含めて2本、助士側に1本、貫通扉に1本の計4本を装備する。貫通扉ワイパーに関しては、複数編成連結時における旅客通りぬけ時の接触を防ぐため、貫通扉上部のカバー内にワイパーを収める構造とした[14]

その他装備[編集]

連結器は、中間連結部は胴受けおよび元空気ダメ(MR)引通し付き半永久連結器を、先頭車運転台寄りの連結器は電気連結器・自動解結装置付き密着連結器を採用する[22][13]

保安装置は ATS-SW2 のほか、車両にデータベースを登録する新保安システム ATS-DW を初めて搭載しており[注 6]、ATS-P は準備工事とされている[22]。先頭車の運転台寄り(クモハ227形前位寄りおよびクモハ226形後位寄り)の下部にはドア誤扱い防止用のホーム検知センサーが取り付けられている。警笛は、空気笛であるAW-2、AW-5のほか、電子笛が先頭車両床下に搭載されている[28][29]

出入り口付近にワンマン運転時の入口・出口を表示する出入口表示器は準備工事とされている[30][31]

車内[編集]

「広島らしさ」をイメージした赤色を基調としたモケットの転換クロスシート

基本構造はアーバンネットワーク地区で運用されている223系・225系と同じシートピッチ 910 mm の転換クロスシートが扉間に5列(扉横は固定式)、車端部(運転台およびトイレ設置部を除く)にロングシート、出入口付近には収納式の補助席が設置されている。座席のモケットは「広島らしさ」をイメージした赤色を基調としたものを使用している。

車内照明はLEDを採用して省エネルギー化の推進を図った。LEDの光を一旦天井面に均一に照らしてから、その反射により室内を照らす間接照明式とすることで、LED照明特有のぎらつきや影を低減させている[9]

つり革手すりは大型化され、緊急時につかまりやすく考慮されており、オレンジ色に変更されている。また、手すりの端部を曲線化することにより、乗客が手すりに衝突した時でも衝撃力が集中しないように配慮されている。

バリアフリー新法の施行により、車椅子スペースを先頭車(編成で2箇所)に設置するほか、クモハ226形に設けられるトイレ車椅子対応の大型洋式トイレとなった。客用ドアの室内側には黄色のラインを追加し、鴨居部には扉開閉予告灯を2灯設置している。ドアエンジンは直動空気式である WTK131 を採用し、新たに開発された戸締め力弱め機能および戸挟み検知機構を備える[23]ドアチャイムは223系・225系と同じものだが、本系列は半自動時にもドアチャイムが鳴るようになっている。

車内案内表示装置は223系1000番台以降と同様のLED1行タイプのものが、乗降扉の上に1両あたり3箇所の千鳥状に配置されている。

形式[編集]

2両編成用・3両編成用で番台区分等は行われず、3両編成用は1-、2両編成用は65-の車番が割り当てられ、同番同士で編成が組まれる[32]

クモハ227形 (Mc)
上り向き制御電動車。前位寄りに運転台、3位寄りに車椅子スペースを備え、車両制御装置、蓄電池、空気圧縮機、集電装置などを搭載する。
クモハ226形 (M'c)
下り向き制御電動車。1位寄りに車椅子スペース、2位寄りに身障者対応トイレ、後位寄りに運転台を備え、車両制御装置、蓄電池などを搭載する。
モハ226形 (M')
中間電動車。車両制御装置、蓄電池などを搭載する。
編成表[21]
編成番号
← 福山
徳山・あき亀山 →
A編成 形式
クモハ227
-0
(Mc)
 
モハ226
-0
(M')
 
クモハ226
-0
(M'c)
搭載機器 Cont, CP Cont Cont
車両重量(t) 40.2 37.1 40.5
40.6[注 7]
S編成 形式
クモハ227
-0
(Mc)
 
クモハ226
-0
(M'c)
 
搭載機器 Cont, CP Cont
車両重量(t) 40.2 40.5
40.6[注 7]
  • Cont:車両制御装置、CP:空気圧縮機

1000番台[編集]

2018年3月7日、和歌山線桜井線紀勢線の一部で運用している105系117系の置換を目的として、本形式を2019年春から導入することが発表された。近畿圏へは初投入となる[33]

和歌山線・桜井線に投入される1000番台は2両編成28本(56両)で、カラーリングは近畿エリアの車両デザインを継承し、奈良と和歌山エリアに共通する文化・歴史・自然の奥深さを表現した緑色が配されている[34]。車内はオールロングシートとなり、ICOCA対応の車載型IC改札機も搭載される。定員は260人。IC改札機は105系・117系の置き換えが完了する予定の2020年春をめどに運用開始する予定である[35]。また、2023年度に和歌山線で導入予定の移動閉塞「車上主体列車制御システム」に対応しており、本形式は無線式ATCの車上装置が搭載されることになっている[36]。2018年9月3日に川崎重工をSD01 (1001)、SD2 (1002)編成が出場し、9月8日に吹田総合車両所で報道公開され[34]、9月10日に同車両所日根野支社新在家派出所まで回送された[37]

運用[編集]

2017年(平成29年)10月時点で158両(3両編成(A編成)42本(A01-42)・2両編成(S編成)16本(S01-16))が下関総合車両所広島支所に配置されており[38]、山陽本線福山駅 - 徳山駅間と呉線・可部線の全線で運用されている。

2014年10月から2015年3月上旬にかけて31両(A01 - A11・S01・S02編成)が新製され[38]2015年(平成27年)3月14日のダイヤ改正で呉線(「安芸路ライナー」が中心)および山陽本線糸崎駅 - 岩国駅(一部由宇駅[注 8])間で運用を開始。運用開始日にはこの日に開業した新白島駅岩国駅でセレモニーが行われた[7]

引き続き同年3月下旬から2016年2月にかけて125両(A12 - A42・S03 - S16編成)が新製され[38]、2015年(平成27年)10月3日の運用修正で可部線全線で[40]2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正で、山陽本線福山駅 - 糸崎駅間[41]および由宇駅 - 徳山駅[42]で営業運転を開始している。同時に、山陽本線三原駅 - 岩国駅間及び可部線・呉線では平日昼間時間帯の運用ならびに土休日運転の快速「シティライナー」を227系で統一した(土休日日中の各駅停車は旧型車両での運用あり)[42]

開発・運用に至るまで[編集]

試験のために入線した223系MA21編成

本系列への採用に先駆けて2012年および2013年223系MA21編成(中間2両減車)により、ATS-M形(現ATS-DW)の実用試験が行われた[43]

運用開始に先立ち、2014年9月から近畿車輛および川崎重工業より製造された編成が甲種輸送の上、自走で回送されている[44]。広島地区で乗務員訓練に供されるほか、網干総合車両所に貸し出された編成による性能試験が行われている[45][46][47]。これらの車両はいずれも下関総合車両所広島支所(広ヒロ)配属となっている[48]

2015年3月6日には、新型車両が次世代の広島近郊の公共輸送を支える翼的な役割を担うこと、前面に取り付けられている転落防止幌が翼を広げたように見えることから、「未来へ羽ばたく赤い翼」を意味する「Red Wing」(レッドウィング)の車両愛称名を与え[8]、前面、側面、編成間転落防止幌に「Red Wing」のロゴを掲出している。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 気動車ではJR西日本管内のほぼ全域に導入されたキハ120形芸備線に投入されている。
  2. ^ 合わせて、広島地区に導入された路線記号カラーデザインについても同時受賞している[10][11]
  3. ^ 岡山支社福山列車区の乗務員が担当する福山駅 - 糸崎駅間の普通列車では、担当乗務員により時折カープ坊やを表示せず、通常の「普通 Local」(路線記号・ラインカラーなし)で運転した例もあった(乗務員によっては広島支社管内同様に表示していた)。
  4. ^ 遅れて導入した岡山支社管内の路線記号とラインカラーには対応していないため、福山駅 - 糸崎駅間運転の普通列車ではラインカラーと路線記号を表示していない。
  5. ^ 主回路用インバータ(VVVF制御装置)と補助電源用インバータ (SIV) を一体化したもの
  6. ^ ただし、運用開始時点では地上設備が未整備のため当面は使用されず、車体にも ATS-DW が搭載されている旨の表記がない。
  7. ^ a b 塗油器を搭載した車両
  8. ^ 広島駅 - 岩国駅間で運用される1日11往復のうち2往復が由宇駅まで運行する[39]

出典[編集]

  1. ^ “JR西日本227系1000番台 - 和歌山線・桜井線の新型車両、主要諸元は” (日本語). マイナビニュース. https://news.mynavi.jp/article/20180911-227sd01/ 2018年9月12日閲覧。 
  2. ^ データで見るJR西日本(西日本旅客鉄道、p.122)
  3. ^ a b c d 『車両技術』通巻250号、p.41
  4. ^ JR西日本グループ中期経営計画2017 (PDF) 西日本旅客鉄道、2013年3月13日
  5. ^ “JR西日本、227系の概要発表 - JR発足後初! 広島地区へ新型電車を276両投入”. マイナビニュース. (2014年6月19日). http://news.mynavi.jp/news/2014/06/19/424/ 2014年6月19日閲覧。 
  6. ^ “先頭車両に“耳”…理由は? JR西、新型「227系」公開”. SankeiBiz. (2014年9月26日). http://www.sankeibiz.jp/business/news/140926/bsd1409262128010-n1.htm 2014年9月26日閲覧。 
  7. ^ a b “広島市に新白島駅開業”. NHK NEWS WEB. (2015年3月14日). http://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20150314/4909031.html 2015年3月14日閲覧。 
  8. ^ a b “新型車両「227系」の車両愛称名導入について” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2015年3月6日), http://www.westjr.co.jp/press/article/2015/03/page_6919.html 2015年3月7日閲覧。 
  9. ^ a b c d e 鉄道ファン 2015, p. 62.
  10. ^ a b 「JRシティネットワーク広島」のブランディングへの取り組みが2015年度グッドデザイン賞を受賞しました - 西日本旅客鉄道ニュースリリース 2015年9月29日
  11. ^ a b 鉄道車両 [“JRシティネットワーク広島”のブランディング(227系電車と路線記号カラーデザイン)|受賞対象一覧] - 日本産業デザイン振興会
  12. ^ a b c d e f 『車両技術』通巻250号、p.47
  13. ^ a b c d e 『車両技術』通巻250号、p.43
  14. ^ a b 『車両技術』通巻250号、p.52
  15. ^ 『車両技術』通巻250号、p.48
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  46. ^ 227系A01・A02編成が近畿車輛から出場『鉄道ファン』交友社、railf.jp鉄道ニュース、2014年10月7日。
  47. ^ 227系が網干 - 大久保間で試運転『鉄道ファン』交友社、railf.jp鉄道ニュース、2014年11月19日。
  48. ^ 鉄道ファン 2014, p. 58.

参考文献[編集]

専門記事
  • 城戸宏之(JR西日本車両部車両設計室)他2名「JR西日本 227系近郊形直流電車」、『車両技術』第250号、日本鉄道車輌工業会、2015年9月、 41 - 59頁。
鉄道ファン
  • 「JR西日本227系近郊形直流電車」、『鉄道ファン』第644号、交友社、2014年12月、 58 - 60頁。
  • JR西日本鉄道本部車両部「227系近郊形直流電車」、『鉄道ファン』第647号、交友社、2015年3月、 61 - 64, 210 - 212。
  • 福原俊一「「JRシティネットワーク広島」のブランディング」、『鉄道ファン』第660号、交友社、2016年4月、 96 - 99頁。
鉄道ジャーナル
  • 村上悠太(撮影)「広島地区に投入される新型車両 227系近郊形電車」、『鉄道ジャーナル』第578号、鉄道ジャーナル社、2014年12月、 106 - 107頁。
レイルマガジン

外部リンク[編集]