JR東日本GV-E400系気動車

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JR東日本GV-E400系気動車
基本情報
製造所 川崎重工業
主要諸元
最高速度 100 km/h
車両定員 座席36・立席99(GV-E400)
座席40・立席111(GV-E401)
座席51・立席121(GV-E402)
自重 42.2t (GV-E400)
40.3t (GV-E401)
39.7t (GV-E402)
車体長 20,000 mm
車体幅 2,800 mm
車体高 3,640 mm
車体 軽量ステンレス(efACE)
台車 軸梁式ボルスタレス台車
DT87(動台車)
TR270(従台車)
機関 DMF15HZB-G直噴式直列6気筒ディーゼルエンジン
機関出力 450PS/2000rpm
主電動機 かご形三相誘導電動機 MT81
主電動機出力 105kw
歯車比 7.07
制御方式 コンバータ+VVVFインバータ制御
制御装置 C127形主変換装置
制動装置 電気指令空気ブレーキ
抑速ブレーキ
機関・排気ブレーキ
直通予備ブレーキ
耐雪ブレーキ
保安装置 統合型ATS装置(ATS-P・ATS-Ps)
EB
乗務員無線、防護無線
デッドマン装置
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GV-E400系気動車(GV-E400けいきどうしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の一般形電気式気動車である。

概要[編集]

日本国有鉄道時代に製造され老朽化したキハ40系気動車の置換えを目的に新造された車両であり、今回の車両新造では、高品質で安価であり、十分なアフターケアが行われる製品を広く国内外に求める方針とし、車体や各機器の調達を国内外で公募調達を行っている。電気式気動車はディーゼルエンジンにより発電機を駆動させて発電した電力を制御装置を介して主電動機を駆動する方式のため、電車で培ってきた技術やメンテナンス方法がフィードバックできるほか、液体式気動車に駆動装置として搭載していた、液体変速機(トルクコンバーター)・推進軸(プロペラシャフト)・変速機構(トランスミッション)・逆転機構・台車に装備された減速機などがなくなったことによる機械的駆動部分の減少や電車との共通部品の採用や台車の駆動軸の多軸化などにより、安全安定輸送と質の高いサービスを提供することを目的としている。

車両称号は機関(ディーゼルエンジン)で発電して主電動機を駆動する意味が伝わるものとするため、GV(Generating Vehicle)とし、次の百の位の数字は気動車の100とディーゼルハイブリッド車の200・300に続く次の世代車両として400を選定してGV-E400系としている。

2018年現在では、両運転台車のGV-E400形を1両、片運転台車のGV-E401形とGV-E402形の各1両を2両編成とした1編成の計3両を量産先行車として製造している。

車体[編集]

エクステリアデザインは、長年に渡り沿線の日常を支える公共交通としての信頼感と時代が変わっても風化しないシンプルさを兼ね備える外観とし、先頭部は大きなガラス面とエッジの立った構成により、金属の塊から削り出した印象となっている。また、先頭部から側面へ繋がる面構成と稜線の工夫により、全体の一体感を高める力強い立体構成としている。側面下部には、安定感を感じられるように、新潟色の黄色とトキピンク色をドットにより表現することで、シンプルで先進性を感じさせるデザインとしているが、これは、新津運輸区に配備される量産先行車のデザインである。

インテリアデザインはお客様を包み込むことで安心していただける空間とするため、全体を温かみのあるトキピンク色を基調としたくつろげる色彩に統一している。また、出入口部の座席の袖仕切を明るい色彩とし、シートを落ち着いた色彩とすることで、奥行きや立体感を感じられるデザインとしている。

車体構造の中で最も強度を要する車体下部の台枠を除き、ステンレス鋼により構成された軽量ステンレス車体である。客室扉は片側2扉としており、片開き扉を採用している。踏切事故対策として前頭部は前面を強化しており、側面からの衝撃に対する安全向上対策として、台枠の横梁と側構体の柱と屋根構体の垂木の位置を合わせてリング構造とすることで、衝撃荷重を受けた時の車体構体の変形量抑制を図っている。吊り手高さをロングシート部では1,630mm、車端部では1,580mmとしており、ロングシート部の中間部にスタンションポールを設けて、立ち座りのつかみ棒とするとともに着席区分の明確化を図っている。

車内の座席配置はセミクロスシートとしており、車内中央部に片側2列と片側1列としたクロスシートを両端部にロングシートを配置している。ロングシート部の中間にスタンションポールを設置しており、つかみ棒や立ち座りの手がかりと着席区分を明確にしており、ロングシート部の出入口部の袖仕切を冬季での寒さ対策として大型化している。バリヤフリーに対する機能として、各客室扉引戸の鴨居部に扉開閉表示灯の設置、車端部に車椅子スペースと向かいにJIS規格の電動・手動車椅子で使用可能な洋式トイレを設置している。洋式トイレはボタン操作で扉が開閉する自動扉とし、扉はボタンの近くのロックボタンで施錠できるほか、便器に近い位置に設置されたロックボタンでも施錠できるようにしている。汚物処理装置は真空式として臭気対策をはかっており、客室内の見通しを妨げないように枕木方向の寸法を抑えた構造としている。なお客室内の天井照明はLED照明としている。

車両の室内中央から前位運転室寄りに各種機器を配置する機器室を設置している。側窓は上下分割の上部降下窓と下部固定窓を組合わせることで窓の面積を確保しており、ガラスには可視光線日射熱線紫外線の透過率が少なく紫外線を100%カットするグリーン色の強化型のIRカットガラスを採用しており、これにより、ブラインドカーテンを省略している。

前部標識灯後部標識灯は、前面上部のきせの中に2灯のLED前部標識灯を外側に、2灯のLED後部標識灯を内側にそれぞれ配置しており、ガラス防曇対策として、前面窓の熱線ガラスを前部上部のきせ内にまで大形化している。ワイパーはセレーションレスとしてキー溝構造の電動式を採用しており、耐雪仕様としてシングルアームとしている。

床下ぎ装では、床下の主回路搭載スペースを確保するため、トイレの汚物タンクは床上タンク式とし、制御用蓄電池の2段化、機器箱の一体化などにより、床下のぎ装スペースを確保している。なお、床下の機器配置はGV-E400形を基本配置としており、GV-E401形は同配置とし、GV-E402形は点対称の配置としている。

放送装置は通常の車内外放送と連絡通話機能を有しており、車内外放送の切替えは5km/h未満では車内外放送、5km/h以上では車内放送をそれぞれ行うことが可能であり、車内放送の入・切はモニタ装置画面から設定可能である。非常通話装置はブザー音とともに乗務員と相互に通話可能なタイプとしており、どの車両から非常通報が扱われているかをモニタ装置画面から確認可能としている。

屋根上には、空調装置の他に列車無線アンテナを設置しているが、GPS/準天頂アンテナと次世代閉塞アンテナの台座を準備工事として設置しているほか、空気ばねの空気圧監視装置、移動禁止システム、耐衝撃性燃料タンク、燃料漏れ検知装置、GPS列車接近警報装置を備えている。

主要機器[編集]

主回路の見取り図

機関・主発電機[編集]

機関はDMF15HZ形を基本としたDMF15HZD-G形であり、総排気量15.24リットルの4サイクル直列6気筒横形の燃料直接噴射式である。ターボチャージャーアフタークーラー付きで、定格出力は450PS/2000rpmである。燃料噴射系統に高圧電子制御システムであるコモンレールと高圧フェエルサプライポンプを採用することで、クリーンな排出ガス性能と低騒音を実現している。

主発電機は開放形強制通風方式の定格出力305kWのDM115形三相誘導発電機を搭載しており、機関とは直結駆動され、車両に必要な電力を供給している。

制御装置[編集]

PMWコンバータ部とVVVFインバータ部と補助電源装置部で構成されたC127主変換装置を搭載している。半導体素子にはダイオード側にSiC素子を採用しており、PMWコンバータは三相2レベル方式電圧形PWNコンバータ、VVVFインバータは三相2レベル方式電圧形VVVFコンバータ、補助電源装置部は半導体素子にハイブリッドSiC素子を採用した2レベル方式の静止形インバータ(SIV)であり、主発電機からの三相交流をPWNコンバータで直流に変換し、変換した直流をVVVFコンバータで三相可変電圧可変周波数交流に変換して主電動機の三相誘導電動機を駆動させる。補助電源装置部は変換した直流を三相または単相一定電圧一定周波数に変換して車両の補助回路機器に電力を供給しており、出力63kVAの三相交流440V、出力7kVAの単相交流100Vをそれぞれ出力する。インバータ部は1台の制御装置で2台の主電動機を駆動させる1C2M方式を採用している。

主回路のシステムには、「機関始動モード」、「定電圧制御モード」、「抑速制御モード」の3つのモードがある。機関始動モードは主変換装置に内蔵されたシステム起動用バッテリー(総電圧346V・最大出力32kW)により、主変換装置のPMWコンバータによる制御を介して機関に直結している主発電機を起動用モーターとして駆動させ、機関へ指令を送って機関が自立回転するまで機関始動を行うモードであり、そのため、機関にはスターターを装備していない。定電圧制御モードは機関自立回転後に車両の補助回路機器と主電動機の負荷に安定した電力を供給するため、中間リンク電圧を一定に制御するとともに、主発電機で発電した電力を車両の補助回路機器と主電動機とで分け合うモードである。抑速制御モードは抑速ブレーキ時おいて主発電機の回生ブレーキにより発生した回生電力を車両の補助回路機器の電力と機関を主発電機で駆動させる電力で消費させるモードである。

主電動機[編集]

主電動機として全閉形自己通風方式の出力105kwのMT81形三相誘導電動機を搭載しており、全閉構造とすることで内部清掃が不要としている。軸受とそのグリース交換時には、電動機の回転子の分解が不要な回転子非解体交換構造を採用している。

制動装置[編集]

電気指令式空気ブレーキ方式を採用しており、ブレーキ指令には引通し線による電気指令で行なわれる。常用ブレーキ・非常ブレーキ・直通予備ブレーキ・耐雪ブレーキの4つのブレーキ系統を有しており、常用ブレーキはブレーキ制御装置内のブレーキ制御器でマスコンのノッチ指令に応じた指令空気圧の指令と制御を行い、指令空気圧は応荷重機能付きの中継弁に送られた後に、ノッチ指令に応じたブレーキシリンダー圧力が出力される。

電動空気圧縮機[編集]

空気圧縮機には、スクロール式の潤滑油が不要なオイルフリータイプを採用しており、空気圧縮機(スクロールコップレッサー)で圧縮・加熱された後にアフタークーラーにより冷却され、除湿装置で除湿された後に2次側に供給される。なお、除湿された水分はパージ空気とともに、水蒸気として大気に排出している。なお、電動空気圧縮機はブレーキ制御装置内のブレーキ制御器で制御している。

冷房装置[編集]

屋根上に出力が38.4kw(33000kcal/h)のAU741形集中形空調装置を搭載しており、室外上面カバーの板厚アップや補強追加により耐寒耐雪仕様としている。空調制御は年間を通じて、カレンダー機能による季節認識と車内の温度・湿度・車外温度および乗車率を検知して、冷房・暖房・送風・除湿モードを自動で選択する全自動制御とし、最適温度設定を行っている。内蔵されたヒータで急速暖房と除湿を行い、暖房では、座席下の吊り下げ式のヒータ、内蔵された電気ヒータ、デッキ部の壁設置ヒータなどで行う。なお、空調制御で用いた各種データは、空調制御器に蓄積可能なデータロガー機能を有している。

戸閉装置[編集]

直動空気式の半自動機能付きで、戸閉力弱め機構により、ドアに挟まった際には、ドアが閉まった後に一旦に戸閉力を弱めて容易に脱出できるようにしている。

乗務員室[編集]

運転室は半室仕様の貫通構造となっており、非貫通時においては、客室との間に設けられた妻引戸により、運転室と助手側の空間を客室と完全に仕切ることが可能である。貫通時においても、運転室側の引戸と助手側の開戸で仕切ることが可能である。なお、客室を仕切る妻引戸は内蔵されたドアクローザーで自然に閉まる機能を有しており、ワンマン運転時には助手側背面に収納された運賃箱を客室側に展開して仕切ることで、乗務員の安全が図れる構造としており、助士側開戸上部に後方確認のミラーを取付けている。

主幹制御器は左手操作のワンハンドルマスコンとしており、運転台の機器配置は、既存の気動車を基本としながら、電気式気動車特有の機器を配置している。運転台の計器盤内の機器は大形化されているが、既存の気動車と同等の前方視認性を確保している。

本形式はATS-P形とATS-Ps形の機能を一つにした統合型ATS車上装置を搭載しており、ブレーキ出力を非常ブレーキのみとすることで、装置の小型化とぎ装での配線の削減を図っている。また、運転台のATS動作表示器にPPs統合型動作表示器を採用している。これは、従来のP表示灯とPs表示灯、パターン速度のインジケーターを一つのユニットに集約し、ATSブレーキの動作要因と装置の故障要因を表示できる機能の追加や乗務員支援のための音声機能を強化している。車上装置は送受信制御部・継電器盤・PPs切換器で構成されており、運転台選択スイッチの設定により、関係機器類が自動的に切り替わるようになっている。

運転台には7.5インチのタッチパネル式表示設定器を搭載しており、モニター装置と接続された主回路・ブレーキ制御装置・空調制御器・ワンマン制御装置・ディーゼル機関などの状況情報を把握することが可能なほか、乗務員支援機能としてワンマンおよびツーマン運転時の設定、自動放送や前面・側面表示器などの案内表示器の設定、自動放送装置および前面・側面表示器に対するテスト指令の送信、モニタ装置の動作チェック機能の自己診断機能、運転状況記録・故障記録・状況監視記録をすべてモニタ装置に記録する検修支援機能がある。なお、モニター装置は運転情報記録装置機能を備えたMON29Aを搭載しており、基幹伝送をARCNET方式からイーサネット方式に変更、機器間伝送はRS-485、編成間伝送はARCNETを採用している。

台車[編集]

軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス台車で、形式は電動台車がDT87形、付随台車がTR270形ではあり、軸距離は2100mmである。車軸軸受は円錐ころ軸受のJT12H形を採用しており、ミュージェット噴射装置を装備している。基礎ブレーキには、両者とも踏面片押し式のユニットブレーキとしている。

今後の予定[編集]

2018年1月にGV-E400系の量産先行車である、両運転台車のGV-E400形、片運転台車で2両編成を組むGV-E401形とGV-E402形の計3両が落成して新津運輸区に配属され、各機器の基本性能の評価と検証のため、新潟地区で走行試験を実施している。その後に量産車63両が製作されることになっており、量産車については新潟地区に2019年度までに、秋田地区は2020年度に投入予定であることが明らかにされている。

参考文献[編集]

  • 渡邊竜太郎(JR東日本鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター)、2018、「キハ40系置換え用電気式気動車に量産先行車が登場」、『鉄道ファン』58巻(通巻686号(2018年6月号))、交友社 pp. 54-58

関連項目[編集]

JR北海道H100形気動車 - 北海道旅客鉄道(JR北海道)が製造した基本仕様が同じ電気式気動車であり、同社で運用されているキハ40系の置換え用として量産先行車2両が落成して各種試験を実施している。