国鉄クモユ141形電車

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国鉄クモユ141形電車
基本情報
製造所 汽車製造 ,日本車両
主要諸元
台車 国鉄DT21形台車
主電動機 国鉄MT57形
主電動機出力 100 kW
搭載数 4基 / 両
歯車比 17:82
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クモユ141形電車(クモユ141がたでんしゃ)とは、鉄道郵便輸送用として1967年(昭和42年)から製造され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍を有した電車郵便車)である。

概要[編集]

国鉄電車で全室を郵便室とした初の形式で、1967年に1 - 5の5両、1968年(昭和43年)に6 - 10の5両、郵便電車としては最多の計10両が日本車輌製造汽車製造で製造された。郵政省所有し、国鉄に車籍を置く私有車両である。

従来、荷物車・郵便車として使用する電車はモハ72形など旧性能電車からの改造でまかなわれ、クモニ13形クモユニ74形クモニ83形などが各線区で使用されていた。1967年に高崎線上越線系統普通列車の電車化を実施するにあたり、運転速度などの理由から改造充当とせず、純粋な新形式車両として設計された車両がこのクモユ141形である。

上越線・信越本線系統のほか一時は東海道本線京阪神近辺でも使用された。1986年11月の鉄道郵便輸送終了で用途を喪失し、分割民営化前に全車が除籍・廃車された。

構造[編集]

前後に運転台をもつ両運転台式で、1両での運転も可能である。正面は103系電車に類似する傾斜配置の3連窓で、灯火類は正面窓下左右にシールドビームの前照灯標識灯を設ける。この意匠は、先に製造された郵便・荷物電車のクモユニ82形・クモニ83形などと同様のもので、いわゆる「荷電」の標準形態である。スカートは装備せず、台車端部にスノープロウを装備する。外部塗色は緑2号+黄かん色の「湘南色」で、クモニ83形などと同一の塗り分けである。

側面中央には区分室採光窓が幕板部に配される。側窓は郵袋室の側扉窓・乗務員室扉窓を除きHゴム支持の固定窓で開閉はできない。車内労働作業環境改善のため冷房装置が当初より装備され、屋根上にAU12形分散式冷房装置を4基搭載する。

車内設備は同時期に製造されたオユ10形客車とほぼ同一の構成で、鉄道郵便局員郵便物を区分けする区分室・押印台などを中央に配し、小包などを保管する締切室・郵袋室を両端に配する。郵便室の荷重は7tである。

1両単位で運用する必要から、電装方式は主回路機器を1両にすべて搭載する「1M方式」とされた。これは101系電車以降の直流形新性能電車[1]では初の採用例である。

電動機は100kWの直流直巻電動機MT57形を4基装備する[2]。歯数比は17:82=1:4.82で、近郊形電車と同一である。主抵抗器・主制御器など各機器は艤装空間の制限から小型化され、発電ブレーキは省略された。台車は国鉄近郊形電車の標準形式DT21B形である。

制御回路には新旧自動切替装置を搭載し、他の形式との併結に対応する。113系115系153系などの新性能電車、70系80系などの旧性能電車に対応し、本形式の運転台から他車の発電ブレーキを制御することも可能である。

運用の変遷[編集]

1 - 5は製造直後に新前橋電車区(現・高崎車両センター)に配置されたが、翌1968年10月1日のダイヤ改正に伴い長岡運転所(現・長岡車両センター)に転属し、引き続き高崎線・上越線系統で使用された。

6 - 10は宮原電車区(現・網干総合車両所宮原支所)に新製配置され、東海道本線大阪口で使用された。1978年10月2日ダイヤ改正に伴い長野運転所(現・長野総合車両センター)に転属した。

以降、長野新潟地区と東京を結ぶ列車系統において、旅客列車への併結・荷物列車への組み込みで使用されたが、1986年(昭和61年)の鉄道郵便輸送廃止により全車廃車された。

脚注[編集]

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  1. ^ 新性能電車では電装機器を2両に分散搭載するMM'ユニット電動車方式が基本である。
  2. ^ 端子電圧を750Vとし、2個直列2並列(2S2P)の主電動機接続構成に対応させたもので、定格速度の高い線区での運用を考慮した結果の採用。

参考文献[編集]

  • 鉄道ジャーナル社 『国鉄現役車両1983』 鉄道ジャーナル別冊No.4 1982年
  • 電気車研究会 『急行形電車 郵便・荷物電車 事業用電車』 JR電車ライブラリー6 1997年 ISBN 4885480884
  • ジェー・アール・アール 『国鉄新性能電車履歴表』 2001年 ISBN 4882839024
  • 日本貨物鉄道 『写真でみる 貨物鉄道百三十年』 2007年