JR九州キハ72系気動車

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JR九州キハ72系気動車
由布院駅に停車中のキハ72系気動車(2011年9月13日)
由布院駅に停車中のキハ72系気動車
(2011年9月13日)
基本情報
運用者 九州旅客鉄道
製造所 JR九州小倉工場
製造年 1999年・2015年
製造数 1編成5両
運用開始 1999年3月13日
投入先 久大本線
主要諸元
編成 4両→5両編成
軌間 1,067 mm
最高速度 120 km/h[1]
台車 空気ばね式ボルスタレス台車
動力伝達方式 液体式
機関 DMF13HZA
機関出力 450 ps / 2,000 rpm
編成出力 1324 kW (1800 ps)
制動装置 電気指令式[1]
保安装置 ATS-SKATS-DKEB装置、防護無線
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キハ72系気動車(キハ72けいきどうしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の特急形気動車1999年(平成11年)に登場した[1]

久大本線のリゾート特急ゆふいんの森」用車両として登場。「新ゆふいんの森」と称される。また、かつて同列車に使用していたキハ183系1000番台が「ゆふいんの森II世」の通称とされていたことや、キハ71系から数えて同列車に使用される3代目の車両であることから「ゆふいんの森III世」、「三代目ゆふいんの森」と称される[1]場合もある。

製造の背景[編集]

特急「ゆふいんの森」はキハ71系とキハ183系1000番台各1編成を使用した2往復体制で運行されていたが、キハ183系を大村線の特急「シーボルト」に転用し、キハ71系と同等のサービスレベルを持つ車両を新製することとなった[1]。キハ71系のように車体のみの新製ではなく、足回りも含めての完全な新製車となった。最終組み立ては九州旅客鉄道小倉工場である。

初代「ゆふいんの森」専用車として生まれたキハ71系と、「オランダ村特急」から転用されたキハ183系1000番台では外観が大きく異なっていたが、本系列はキハ71系の増備目的ということもあり、その意匠を受け継いでいる[1]

編成[編集]

本系列は切り離しての使用や、他系列との併結での営業運転は考慮していない。車内設備は普通車のみのモノクラスで、車両の仕様諸元に関わらず形式はすべて72形(キハ72形・キサハ72形)で統一されており、車両番号が連番となっている。

登場時は下り側(由布院寄り)からキハ72 1(1号車)- キハ72 2(2号車)- キハ72 3(3号車)- キハ72 4(4号車)の4両編成であったが、2015年7月18日より中間車1両(キサハ72 4)が増備され[2](構体は近畿車輛[3])、キハ72 1(1号車)- キハ72 2(2号車)- キハ72 3(3号車)- キサハ72 4(4号車)- キハ72 5(5号車)の5両編成となり、キハ72 4はキハ72 5に改番された。

構造[編集]

車体[編集]

キハ71系と同じグリーンメタリックの車体塗装をまとうハイデッカー構造であり、前面形状もキハ71系に比べて前照灯が若干小さくなるなどの差異もあるが、ほぼ同じ意匠とされた[1]LED式の矩形尾灯を採用するなどのアップデートも見られるほか、前面の化粧パネルやワイパーピボットカバーなどにも、同社の787系から883系、そして本系列の後に登場する885系などを手がけた水戸岡鋭治率いるドーンデザイン研究所の共通手法が散見される。側面はキハ71系の広幅窓と異なり、787系や883系などのような1座席毎の独立した狭幅窓とされている[1]

運転台は低い位置に置かれるが、シアターシート[注 1]ではないこともあり、同じく前面展望構造を採る名鉄1000系ほど極端に低められてはいない。

隣の車両に移る際、キハ71系ではいったん階下に下りて移動するようになっていたが、本系列では連結面通路を客室通路と同レベルの高さとしたうえで、デッキ構造の渡り廊下を通し、階下に下りることなく隣の車両に移動できるようになっている[1]。これにより車内販売のワゴンサービスが可能となった(キハ71系はトレイサービス)。デッキと客室や通路の床の間は4段のステップでつながれている。

主要機器[編集]

先述のように、本系列ではディーゼルエンジン液体式変速機や、台車も含めて新製されている。

エンジンはキハ200系と同じDMF13HZA (450ps/2000rpm) を用いている。これがキハ72 2には2基、他のキハ72形には1基搭載されている。キサハ72 4にはエンジンが搭載されない。

台車はヨーダンパ付き空気ばねボルスタレス台車のDT602K(キハ72 2)、DT603K(キハ72 2以外の動力台車)、TR602K(キサハ72 4および付随台車)を使用している。キハ71系では種車の関係でコイルばねを使用する揺れ枕吊り台車の車両が存在するが、本系列では全車両とも空気ばね台車に統一されている。さらに変速機に爪クラッチを採用し、加速性能を向上させている[4][5]。ブレーキシステムは電気指令式である。

このようにキハ71系に比較すると車両性能の向上が図られており、キハ71系では最高速度が95km/hであったのに対し、本系列では120km/hとされた[1]。ただし、検査等での運休時はキハ185系を使用した「ゆふ」として運転されるため、120km/h対応のダイヤは組まれていない。遅延したときなどに限り、120km/h運転が行われることがある。

運転席はやや中心線寄りに配置され、L字形のコンソールで囲まれている。マスター・コントローラーは左手操作の横軸式、ブレーキ電気指令式で、右手操作の縦軸ハンドルとなっている。

保安装置は登場時にはATS-SK形であった。のちの省令により『パターン連続照査機能』等を装備し、SK形と互換性のある、ATS-DK形に変更され、専用のコンソールが設置された。

接客設備[編集]

室内の材や天井内張りを初め、各座席の肘掛やボックス席ビュッフェのテーブル、化粧台まわりなどにも、同社の新幹線800系特急用車両でおなじみの難燃木材がふんだんに使われており、同社らしさを表現している[注 2]

座席はシートピッチ1000mmの回転式リクライニングシートとされ、近年の同社特急形普通車と同等の仕様となっている。現在この種の座席では、前席背面収納式の大型テーブルが主流となっているが、この場合、座席を向かい合わせのボックス席とするとテーブルが使えない欠点がある。そこで、グループ旅行などの需要も重視される本系列では、1人用大型テーブル2組を中央肘掛内に収納し、向かい合わせでの使用時にボックス中央に4つのテーブルが集合する設計となっている[注 3]

3号車の中程には同社787系と類似の、それぞれの区画の背面がガラスパーティションで仕切られた4人用簡易コンパートメントが4組ある[注 4]。ボックス席ながら若干のリクライニングも可能となっているほか、中央の木製大型テーブルは、脚の無いカンチレバー構造で壁面に取り付けられ、天板も前後が4分割の折りたたみ式となっており、出入りと使用時の利便性を両立している。窓際には卓上照明も備わる。

2015年に増備された4号車には乗降扉が設けられていないため、4号車の乗客は隣の車両などから乗り降りする必要がある。但し、4号車はエンジンが搭載されていない付随車のため、他の車両よりは静粛である。

供食設備としては、キハ71系では2号車にカフェテリアを設けているが、本系列では3号車に売店併設のビュッフェを設けた。ビュッフェカウンターラウンドタイプで、通路窓側にも立席用のカウンターが備わっており、どちらの天板も難燃木製である。また、この立席部分には床から幕板にまで達する大型窓が3つ並んでおり、本編成のアクセントともなっている。

そのほか車椅子対応トイレの設置など、バリアフリー対策がなされている。また、全車両でWi-fiが利用出来る。

運用[編集]

落成以来、筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター(本チク)に配置されており、久大本線特急「ゆふいんの森」(由布院・別府方面行き)の1・2・5・6号(博多駅 - 由布院駅間運転)の2往復に使用されている。運休日には、キハ185系で「ゆふ」71・72・75・76号として同じ時刻・停車駅で自由席を設けて運転される。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 座席を階段状に配し、後方席からの視界を良くしたもの。
  2. ^ 同社は内装にを意識した天然素材を多用すると共に、「鉄道ルネサンス」を標榜している。
  3. ^ ただし、回転式座席と片持ち支持のテーブルの組み合わせなので、それぞれの天板は完全な面一とはならない[6]
  4. ^ 通路側には仕切りや扉は無い。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 鉄道ジャーナル』第33巻第4号、鉄道ジャーナル社1999年4月、 75頁。
  2. ^ 特急「ゆふいんの森」 - JR九州ホームページ
  3. ^ キハ72系増備車が近畿車輛から出場 - 鉄道ファン、2015年1月28日。
  4. ^ 同じ機構を採用しているのは他に「ゆふいんの森」キハ71形、一般形のキハ200形・キハ220形がある。いずれも本系列と同型の機関・変速機を持つ(71系は機関換装による)。
  5. ^ 九州を走るエコ車両(JR九州 環境報告書2017)-九州旅客鉄道(2017年10月1日、10月2日にオリジナルをアーカイブ化。)
  6. ^ 小糸工業の製品紹介ページ(車両用シート)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]