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幌馬車

(ほろ)は、風雨や砂ぼこりなどを防ぐために車両などに取り付ける覆い。トラックオープンカー鉄道車両乳母車馬車などに用いられ、これを取り付けた馬車は幌馬車と呼ばれる。

鉄道における幌[編集]

列車車両間に使用されており、以下の2つの種類がある。

貫通幌[編集]

車両間の通路を構成する蛇腹状の覆いは貫通幌(かんつうほろ・主にターポリン製)といい、人が車両から隣の車両へと移動する際、安全に移動できるように設置されている。

両側についている貫通幌を両幌、片側のみに付けられている幌は片幌といわれる。取り外し可能な幌は、幌を必要としない運用では常時外して置くことがある。また、多層建て列車の場合は、併合時にどちらにも幌がない、あるいは両方ともに幌があって列車間を貫通させられなくなる事態を避けるため、分割時にどちらの車両に幌を残しておくか、車両や乗務員同様幌にも「運用」が存在することもある。

両幌は両端に金属製の枠があり、これと車体側の枠とをつなげて使用する。多くの場合上部にはフックなどがあり、車体から外す、あるいは車体の片側に取り付けるなどの折りたたみ時にずれないようになっている。車体に固定する場合は回転式のハンドルのようなものが使われるが、鉄道会社によってそれが幌側についているもの(阪急電鉄など)と車体側についているもの(近畿日本鉄道)がある。

また、編成の先頭(最後尾)に出る車両の貫通扉の周囲を一段凹ませて幌を収納可能にし、幌が付いていてもスマートに見せる仕様も見られる。これらは幌がない場合も、幌枠に似せた金属無地の枠を出しているデザインが多い。

清掃等の整備に手間がかかったり、頻繁に列車の解結を行う場合は重くて作業しづらいことなどは貫通幌の難点といえる。そこで、この難点を解消する為に、最近では、自動貫通幌引出装置を搭載した車両が登場していたり、あらかじめ幌アダプターが搭載された車両が登場している。

外国の車両ではゴム製の太いパイプ状の筒を貫通路の上部と左右に配置し、連結時にゴムの弾性を利用して密着させるタイプのものがドイツで考案されており、このタイプの幌が広く普及している。日本でもこれに似たものが、JR東日本253系電車が先頭部に内蔵していた。ただし、このタイプの幌は急カーブなどで幌同士の間に隙間が開いたりする場合が多く危険なため、先の253系の場合も乗務員や車内販売員などの通行に限定され、それ以外の時は貫通扉が施錠され一般客の通行は出来ないようになっていた。

つり幌[編集]

貫通幌の一種で、構造は貫通幌の左右上にバネ装置を取り付け、幌をそれに吊りかけているものをつり幌という。旧式の幌であり、国鉄時代に製造された客車(12系14系24系50系等)や旧型車両(昭和20年代・30年代製造車両)によく採用されていた。他の例として京阪2600系電車0番台があり、2000年代後半においてもつり幌が使用されているが、同30番台には幌がついておらず(製造当初にはつけられていたが、バネ装置が内蔵された成田リコ式で、外側に出ている0番台車とは異なる構造だった)、0番台車との連結用にバネを取り付けるための金具が貫通扉の左右上に残るのみである。

構造上バネ装置が視界の妨げになったり、保守や連結作業に手間がかかる等の理由で、近年つり幌を採用した新造車はまったくといってよいほどなく、現行車両も少なくなりつつあり、衰退している。

外幌[編集]

車両間の外側に設置される幌は外幌と呼ばれている。

列車編成として空気抵抗やそれによる騒音を少なくするための一環として設置される。小田急ロマンスカー連接車新幹線電車のものが代表例。車両間にプラットホームから利用者が転落するのを防止するためのものは、転落防止幌(ガードスクリーン)とも呼ばれる。このタイプの場合、転落防止が主目的のため、車両間が密着している必要はない。

外国の貫通幌[編集]

ヨーロッパでは主として車体正面部にゴム製の円い幌をつけている。イギリスやアメリカではセンターバッファ(緩衝器)付きの巨大な幌が使われ、韓国、台湾、中国などアジア諸国にも採用されている。日本では新京阪鉄道(現阪急京都線)のP-6形に採用されたのが唯一の例であるが、保守に手間がかかり前方が見えないなどの理由で1960年代に撤去された。

自動車における幌[編集]

トラック[編集]

トラックの荷台部分に架装して積荷を風雨や直射日光から保護するために使用する。荷台に幌骨と呼ばれる金属製の枠組を取り付け、その上から幌をかぶせて組み立てる。素材は綿ポリエステル製の帆布が使われている。荷室の後面のみが開閉できるものが多いが、側面もカーテン状に開閉できるものや、アコーディオン蛇腹)式に折りたためるものなど、バリエーションがある。 車体工法が未熟であった黎明期以来、平ボデー+幌はトラックの標準であったが、アルミ合金製の荷箱やウィングボディの普及により、現在では少数派となっている。

乗用車[編集]

乗用車では、幌の構造から、キャビン上半が全て幌の「ソフトトップ」、サッシ付きまたはフルドアを持ち、屋根のすべてまたは大半が幌の「キャンバストップ」、リアドアより後ろのみが幌の「ランドーレット」などがあり、乗員が風雨や直射日光を避けるため、あるいは風や陽光を浴びるため、開閉、もしくは着脱を選択できる。開閉式のものでは、手動以外に電動のものもある。

ソフトトップの詳細はオープンカーを参照。

連節バス[編集]

京成バスボルボ・B10M
(アステローペの連接版)

連節バスでは鉄道車両と同様に、車体間を結ぶために使用されている。

建築における幌[編集]

膜構造として分類される。

簡易なものでは溶接を用いて構築したフレームに幌をかけた店舗や住宅等の状のものがあり、大規模なものでは野球場の屋根を覆うものがある。

関連項目[編集]