東武60000系電車

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東武60000系
営業運転開始記念ステッカーが貼られた60000系61601F
営業運転開始記念ステッカーが貼られた60000系61601F
編成 6両編成
営業最高速度 100 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.23 km/h/s
減速度 3.5 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
編成定員 850名
車両定員 Tc=133名 他=146名
全長 Tc=20,130mm 他=20,000 mm
全幅 2,800mm
車側灯間2,876 mm
全高 4,050mm
パンタ付車両4,080 mm
車両質量 Tc1=27.7t M1=33.1t M2=33.1t T1=28.0t M3=31.9t Tc2=27.8t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式)
主電動機 全閉外扇式かご形三相誘導電動機
TM-12型 165kW
歯車比 98:15=6.53
駆動装置 CFRP製TD継手式平行カルダン
制御装置 IGBT-VVVFインバータ制御
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
SS181M形(TRS-12M形)・SS181T形(TRS-12T形)
制動方式 回生ブレーキ併用全電気指令式空気制動
保安装置 東武形ATS
製造メーカー 日立製作所

東武60000系電車(とうぶ60000けいでんしゃ)は、2013年平成25年)に登場した東武鉄道通勤型電車。2013年(平成25年)6月15日から野田線で営業運転を開始した。

概要[編集]

50000系を基本に「人と環境にやさしい次世代車両」をコンセプトに新たに設計した車両で[1]、更なる環境への配慮や省メンテナンス・省エネルギー化(電気使用量は代替対象の8000系と比べて約40%削減)、バリアフリーの推進や安全性・快適性の向上を図っている。

野田線用として2012年度から導入が開始されており[2]、第一期計画として2015年度まで順次導入される模様である[3]。2012年度に2編成(12両)、2013年度は6編成(36両)の新造が予定されている[4]

車体[編集]

日立製作所の鉄道車両製作システム「A-train」による軽量車体で、FSW溶接オールアルミダブルスキン構体である。外装の多くの部分は無塗装アルミのシルバー色であるが、先頭車前面下部と各車側面上部には、東武グループグループロゴカラーであるフューチャーブルーを帯状に、ドア脇には視認性の高いブライトグリーンを配し、野田線沿線の自然環境と調和したデザインとなっている。

前面と側面の行先表示器は3色表示式のLED式である。側面の行先表示機は行先表示と号車表示の交互表示が可能で、走行中は消灯する。野田線は普通列車しかないため、前面・側面とも種別は表示されない。

非常脱出用ハシゴは50000系と異なり、中間車の床下ではなく前面の非常扉に配置されている。

2014年(平成26年)4月1日に野田線が「東武アーバンパークライン」の愛称名を導入したのに伴い、1号車と6号車の前面と側面両側にロゴが付けられた。

室内[編集]

東武60000系電車の車内の様子

50000系を基本にしているが、妻面は木目調で、車内照明にはLED式を採用しており車掌側設定により通常の50%・25%の明るさへの切り替えが可能(50%に設定すると照明器具1つにつき半分の部分が消灯され、25%に設定すると照明自体が千鳥配置で消灯される)。なお導入当初はややピンク色のLEDが使われていたがのちに白色LEDに取り換えられた。各中間車には車椅子スペースを各一箇所ずつ設置している(M1とM2は柏方、T1とM3は大宮・船橋方)。

座席は掛け幅460mmのオールロングシートで、モケットは一般席が爽やかな水の流れをイメージしたブルー系である。優先席は安心感や優しさを感じさせるブラウン系で、ディンプル加工で滑りにくい形状の握り棒を設けて全席から立席しやすいよう配慮している。

4か国語(日本語・英語・中国語・韓国語)対応の17インチワイドLCDの車内案内表示装置を各ドア上部に設置し、行き先・次駅案内・駅設備・ドア開方向等を表示している。またラジオ受信装置を廃止する一方で、東武鉄道の車両では初となる公衆無線LANサービスを行っている。

貫通扉は全面ガラス張りになっており、野田線沿線8市の「市の花・市の花木」および「区の花」である「サクラ」(埼玉県さいたま市・さいたま市大宮区 Tc1-M1間)、「フジ」(埼玉県春日部市 M1-M2間)、「ヒマワリ」(千葉県柏市船橋市 T1-M3間)、「ツツジ」(千葉県野田市流山市松戸市 M2-T1間)、「キキョウ」(千葉県鎌ケ谷市 M3-Tc2間)を描いたステッカーが貼られている。

主要機器[編集]

主電動機かご形三相誘導電動機のTM12型(出力165kW)で、速度センサレス制御により不要となったPGセンサを廃止した他、密閉構造化で低騒音化や省メンテナンス化を図っている。制御装置は日立製のPWM方式の2レベルVVVFインバータ制御装置で、新型IGBTモジュールの採用などで容積を約30%小型軽量化させている。

台車は側梁が4面溶接構造のモノリンク軸箱支持装置式軽量ボルスタレス空気ばね台車(SS181M/SS181T 東武形式:TRS-12M/TRS-12T形)で、差圧弁の設置場所を従来の台車横梁上部から側梁外部に変更してメンテナンス性を向上させている。ユニット式の基礎ブレーキ装置はM台車・T台車ともに設けることでブレーキの速達性と軽量化を図っている。

集電装置にはシングアーム式パンタグラフのPT7112形をモハ62600形(M1)とモハ65600形(M3)に各1基(1編成2台)ずつ設置し、東武鉄道初のパンタ上昇検知装置も搭載している。

補助電源装置は小型軽量化されたIGBT素子の低騒音静止形インバータ (SIV)で、モハ63600形(M2)とサハ64600形(T1)に各1基(1編成2台)ずつ搭載しており、サハ64600形(T1)には片側のSIVの故障時に備えて電磁接触器も設けている。容量は200kVAで、架線からの直流電源を交流440V60Hzに変換する。

戸閉装置はナブテスコ社製の「Rack☆Star」型を採用している[5]。また、車内保温のため各車両の柏方の1扉のみ開扉できるドアカット機構を有している。

ブレーキ装置は保安ブレーキ・抑圧ブレーキ付きの回生ブレーキ併用デジタル指令・アナログ変換式の全電気指令式で、遅れ込め制御も行っている。各車には車輪の滑走を防止する滑走防止装置を設置している。また、速度70km以上の走行中に作動した際の非常ブレーキ増圧機能や開扉時の転動防止機能もある。 東武鉄道初のバックアップ制御を導入しており、1両のブレーキが作動不能の場合には、車両情報制御装置からの指令により健全な5両のブレーキ圧力を15%上昇させることで、編成のブレーキ力を確保できるようになっている。ただし社内規定に基づき、徐行運転となる。

車両情報制御装置は日立製のATIで、運転計器のグラスコックピット化や従来のモニター画面との二画面化がなされている。

形式および組成[編集]

形式[編集]

クハ61600形(Tc1)
柏向き制御車。6号車として使用される。大宮・船橋方には優先席が設置されている。定員133名。
モハ62600形(M1)
中間電動車。5号車として使用される。柏方には優先席と車椅子スペースが設置されている。定員146名。
モハ63600形(M2)
中間電動車。4号車として使用される。62600形と同じく、柏方に優先席と車椅子スペースが設置される。定員146名。
サハ64600形(T1)
付随車。3号車として使用される。柏方には優先席が、大宮・船橋方には車椅子スペースが設置されている。定員146名。
モハ65600形(M3)
中間電動車。2号車として使用される。64600形と同じく、柏方には優先席が、大宮・船橋方には車椅子スペースが設置されている。定員146名。
クハ66600形(Tc2)
大宮・船橋向き制御車。1号車として使用される。柏方には優先席が設置されている。定員133名。

編成表[編集]

 
← 柏
大宮・船橋 →
組成 クハ61600
(Tc1)
モハ62600
(M1)
モハ63600
(M2)
サハ64600
(T1)
モハ65600
(M3)
クハ66600
(Tc2)
搭載機器  ATS・B1・B5・B6 INV-8 SIV・CP SIV・CP INV-4 ATS・B1・B5・B6 

※ 柏駅で方向転換をするため、このようになっている。

凡例
INV-8:VVVF制御装置(1C8M) INV-4:VVVF制御装置(1C4M) SIV:補助電源装置(静止形インバータ) CP:電動空気圧縮機
ATS:TPS-ATS装置 B1:焼結式蓄電池100V-100Ah B5:焼結式蓄電池15V-30Ah B6:焼結式蓄電池15V-6Ah

脚注[編集]

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参考文献[編集]

  • 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2013年8月号「東武鉄道新型車両60000系の概要」(東武鉄道(株)鉄道事業本部車両部設計課 倉持直樹/著)
  • 交友社鉄道ファン』2013年8月号「新車ガイド 東武鉄道60000系」(東武鉄道(株)鉄道事業本部車両部設計課 高木誠/著)

関連項目[編集]


外部リンク[編集]