東武300系電車

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東武1800系電車 > 東武300系・350系電車
東武300系・350系[注釈 1]
特急きりふり
特急きりふり
主要諸元
編成 300系 6両(現存せず)
350系 4両
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 2.23 km/h/s
減速度(常用) 3.7 km/h/s
減速度(非常) 5.0 km/h/s
編成定員 300系 408人
350系 268人
車両定員 下記参照
自重 下記参照
編成重量 300系 227 t
350系 147.5 t
全長 先頭車 20,200 mm
中間車 20,000 mm
全幅 2,878 mm
全高 4,200 mm
車体材質 普通鋼
主電動機 直流直巻補極補償巻線付電動機 TM-63
主電動機出力 130 kW
搭載数 4基 / 両
編成出力 300系 2,080 kW
350系 1,040 kW
制御装置 電動カム軸超多段式直並列バーニヤ抵抗制御
制動装置 発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ(HSCブレーキ)抑速ブレーキ
保安装置 東武形ATS
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東武300系電車(とうぶ300けいでんしゃ)は東武鉄道電車急行列車「きりふり」・「ゆのさと」用として1991年平成3年)7月21日に営業運転を開始した。その後、「きりふり」・「ゆのさと」の特急列車への格上げにより、実質的に急行用から特急用となった[注釈 2]

本項では300系[注釈 1]の4両編成車で、おもに特急列車「しもつけ」に運用される350系電車(350けいでんしゃ)[注釈 1]についても記述する。

概要[編集]

伊勢崎線 - 日光線系統では、優等列車として特急の他に快速急行が存在したが、この快速急行には快速用の6050系が使われており、車両のグレードなどサービス面での向上が求められていた[1]

こうした中、急行(1999年より特急)「りょうもう」で使用されていた1800系のうち、200系の増備で運用を離脱した1813編成・1816編成・1817編成・1818編成を改造し、6両編成を300系、4両編成を350系とした。

350系の改造種車となった1800系は6両編成2本であったことから、352編成のみ中間車を方向転換の上先頭車改造している。このため352編成は客室窓の窓割りや台車の構造が351編成・353編成と異なっている。

この300系・350系の登場により「快速急行」は「急行」に変更された。また、これに伴い快速急行運用から6050系が撤退、運用の空きができたために団体用などの臨時列車にも使用されるようになった。そのため、従来これらの臨時列車に充当されていた5700系が営業運転から離脱した。

現在では、後述するように特急へと格上げされ、主に伊勢崎線・日光線・宇都宮線内で運用されている。

  • 300系:6両編成2本(12両)・総定員408名[2]
  • 350系:4両編成3本(12両)・総定員268名[3]

車体[編集]

車体塗装は6050系やデビュー時の100系に倣い、ジャスミンホワイトを基調としパープルルビーレッドとサニーコーラルオレンジの帯を巻いた日光線優等列車のイメージカラーを採用している。前面の灯具類は全て1800系1819編成と同じ角型に交換された。

内装[編集]

車内座席は全て、種車そのままのリクライニング機能がない回転クロスシートである。フットレストを備え、背面に折り畳み式テーブルがあるほか、窓の下に細長いテーブルが折り込まれており、利用者はそれを引き出して使用することができる。デッキ内にはトイレ(和式)、清涼飲料水自動販売機がある。車内販売サービスは行われていない。テレホンカード専用車内電話もあったがmova停波のため2012年3月31日で撤去された。のちに300系は自動販売機も撤去された。

主要機器[編集]

種車の1800系で使われていたものが流用されたが、両系列ともに、日光付近の勾配に対応するため、1800系時代には無かった発電ブレーキ抑速ブレーキを追加装備している。それに関連して主電動機を375V定格のTM-63に統一のうえ、300系を1800系時代の3M3T編成から4M2T編成としている。

改造種車[編集]

300系[編集]

  • 301編成←1818編成
  • 302編成←1817編成

350系[編集]

  • 351編成←1816編成のうち登場時の4両
  • 352編成←1813編成・1816編成のうち6両編成化時に増備された中間車各2両
  • 353編成←1813編成のうち登場時の4両

編成表[編集]

凡例 
Tc:制御車、M:電動車
CON:制御装置、MG:電動発電機、CP:電動空気圧縮機、PT:集電装置
300系
 
号車 6 5 4 3 2 1
形式 クハ300-1形
(Tc1)
モハ300-2形
(M2)
モハ300-3形
(M1)
モハ300-4形
(M4)
モハ300-5形
(M3)
クハ300-6形
(Tc2)
搭載機器 MG・CP CON・PT MG・CP CON・PT
自重 34.0 t 39.5 t 40.0 t 39.5 t 40.0 t 34.0 t
定員 64人 72人 68人 68人 72人 64人
車両番号 301-1
302-1
301-2
302-2
301-3
302-3
301-4
302-4
301-5
302-5
301-6
302-6
350系
 
浅草
号車 4 3 2 1
形式 クハ350-1形
(Tc1)
モハ350-2形
(M2)
モハ350-3形
(M1)
クハ350-4形
(Tc2)
搭載機器 MG・CP CON・PT
自重 34.0 t 39.5 t 40.0 t 34.0 t
定員 64人 72人 68人 64人
車両番号 351-1
352-1
353-1
351-2
352-2
353-2
351-3
352-3
353-3
351-4
352-4
353-4

運用概況[編集]

2006年3月18日ダイヤ改正で列車種別変更が行われ、従来の座席指定制の急行列車はすべて特急列車に昇格した。ただし、100系「スペーシア」と車内設備に格差があることから、特急料金は改正前の急行料金並みに抑制される等の措置がとられている。それに伴い、側面種別表示は緑地に白文字から金色地に白文字と変更になった。また、前面種別表示も緑色の「急行」から金色の「特急」へと変更になった。

2009年1月現在、種車となった1800系の最終編成(1819編成)が臨時快速や団体専用列車として日光線東武日光駅まで乗り入れており、臨時特急に入った300系・350系と顔を並べることもある。

種車の製造から45年前後経過しており、近年は老朽化が顕著である。そのような中、300系が次項の通りダイヤ改正前日の2017年4月20日を最後に運用を終了した。

300系[編集]

1997年3月までは急行「きりふり」「ゆのさと」で運用されていたが、両列車の定期運用廃止により定期運用を失った時期もあった。その後、2006年3月のダイヤ改正で特急へと格上げされたと同時に設定された浅草南栗橋行き「きりふり」283号(2015年現在は285号)、2013年3月のダイヤ改正からは浅草発春日部行き「きりふり」283号(どちらも平日運転)として300系の定期運用が復活した。この列車はJRでいう「ホームライナー」的要素が強い。他に臨時運転の「きりふり」「ゆのさと」および団体専用列車(「伊勢崎市民号」など)に使用される。車両故障等でやりくりがつかない場合100系「スペーシア」の代走に使われるが、サービス面で大きく劣ることから特急料金不要の措置がとられる。

また、2001年から冬季に運転される臨時夜行列車「スノーパル」と、翌2002年からは毎年6月 - 10月に運転される臨時夜行列車「尾瀬夜行」に従来使用されていた6050系に代わって300系が充当されていた。

2015年12月には野田線経由の浅草発運河行き臨時特急「きりふり」267号にも充当された[4]

500系「リバティ」の導入による運行形態の変更に伴い、2017年4月20日を最後に運用を終了した[5]。また、同年4月16日には引退記念列車としてきりふり275号が浅草駅から東武日光駅まで運行された[6][7]

350系[編集]

浅草駅 - 東武宇都宮駅間の特急「しもつけ」の1往復に使われており、300系と同様に臨時運転の「きりふり」や「ゆのさと」にも使われている。なお、2005年2月28日までは野岩鉄道会津鉄道に乗り入れる浅草駅 - 会津田島駅間の急行「南会津」の運用もあり、この運用を引き継いだ浅草駅 - 新藤原駅間の急行「ゆのさと」には2006年3月17日まで使用された。

2014年6月からは毎週金曜日に浅草発新栃木行き臨時特急「きりふり」269号に充当されている。

353編成は2010年4月24日から同年8月まで「スカイツリートレイン」として運行されていた。これは車内に東京スカイツリーの写真等を展示しているものであり、前面や側面にもラッピングがされていた。またこの期間、特急「きりふり」275号は「ゆのさと」275号に変更されていた。なお、運行初日の「ゆのさと」275号のみ特別ヘッドマークを取り付けての運行であったが、車両不具合のため浅草発はラッピング無しの351編成で運転され新栃木で353編成と車両交換を行った。なお、「スカイツリートレイン」の名称は2年半後の2012年10月から6050系を改造した展望列車634型の臨時特急の愛称に使われた。

前項の通り300系は2017年4月20日を最後に運用を終了したが、本系列は翌日のダイヤ改正以降も引き続き運用される。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b c 東武では同一系列内の区分に関して「型」の表記を使用しており、本系列においてはそれぞれ300型・350型と表記される。
  2. ^ 元々準急形・急行形車両であった車両が特急列車への格上げによって事実上の特急形車両になった事例は他にも同社の200・250系をはじめ、国鉄157系電車名鉄キハ8000系気動車がある。

出典[編集]

  1. ^ 花上嘉成諸川久『日本の私鉄 <10>東武 カラーブックス』、保育社、1991年8月、ISBN978-4586508136
  2. ^ 稲葉克彦「東武鉄道現有車両諸元表」、『鉄道ピクトリアル』第58巻第1号臨時増刊号(通巻799号)、電気車研究会、東京、2008年1月、 277-278頁、 ISSN 0040-4047
  3. ^ 稲葉克彦「東武鉄道現有車両諸元表」、『鉄道ピクトリアル』第58巻第1号臨時増刊号(通巻799号)、電気車研究会、東京、2008年1月、 278頁、 ISSN 0040-4047
  4. ^ 浅草駅から東武アーバンパークライン 清水公園駅方面に直通する運河駅行き臨時特急を初運転! (PDF)”. 東武鉄道 (2015年11月10日). 2015年11月12日閲覧。
  5. ^ 東武鉄道300系が引退 - 交友社 鉄道ファン railf.jp 2017年4月21日
  6. ^ ありがとう300型!きりふり275号で引退記念運転イベントを実施します (PDF)”. 東武鉄道 (2017年3月27日). 2017年3月27日閲覧。
  7. ^ 東武鉄道で『ありがとう300型 引退記念運転』 - 交友社 鉄道ファン railf.jp 2017年4月17日

外部リンク[編集]