特別急行券

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各種JR特急券の例。左上:座席を指定した特急券新幹線特急券、左下:自由席特急券、右上:立席特急券(特定特急券区間)、右下:特定特急券
国鉄時代の硬券の特急券。赤いラインが3本入っていた。

特別急行券(とくべつきゅうこうけん)とは、特急券(とっきゅうけん)ともいい、基本運賃と特別急行の料金(特急料金)を区分している運賃制度において、特別急行列車(特急)に乗車するときに乗車券とともに必要となる券である。

概要[編集]

アメリカでは20世紀の初頭、インターアーバン電車に食堂車やパーラーカーを連結した、LIMITEDと称する急行列車を運転し、乗客からは特別料金を徴収した。この列車から日本の特急列車の英訳語がLIMITED EXPRESSとなった。

ヨーロッパの鉄道ではかつては基本となる運賃に対しては乗車券を購入し、さらに速い列車を利用する場合には特急券を購入するというシステムが一般的であった[1]。ヨーロッパでは、特別の客車で編成された豪華列車に別料金を徴収して乗客を乗せることは19世紀から存在したが、これもアメリカの例と同様に速度に対する対価より、豪華な空間提供の対価である要素が強い。日本の特急に近い物としては、TEE列車の特急券がその代表的な物であった。TEEの特急券は距離により金額が決められていた。

日本でも特急の利用には乗車券とは別立ての特急券を要するシステムがとられている。

一方、ヨーロッパでは包括運賃制度が一般的な運賃制度となってきており、超高速列車や寝台列車でも列車(車両)ごとに運賃と他料金(特急料金や寝台料金)を一括して運賃設定を行っていることが多く、この場合には切符も一括されており別立ての特急券は存在しない[1]

JR[編集]

特急券(指定席)[編集]

概要[編集]

旧国鉄及びJR各社の場合、原則として特急列車では急行列車と異なり、座席指定制を原則としていた。

1972年エル特急が設定されて以降自由席を設置した列車が増えたことや、1985年に設定された新特急などのように自由席を中心とした列車が設定されたことによりその意義が薄れているが、JR東日本の「はやぶさ」・「はやて」・「こまち」・「成田エクスプレス」など全車指定席としている列車や、その他の基幹的な列車の場合には現在も基本的には指定席制を採用している。

そのため単に「特急券」と称する場合は、列車およびその座席かつ乗車区間がともに指定されたもの、いわゆる「指定席特急券」を指し、券面に記載されている列車・区間にのみ有効である。注意しないといけないのは、券面に記載されている発駅から乗車しなかった場合、効力を失うケースがあることである。これは旅客営業規則の下記の規定による。

  • 第173条 指定席特急券は、これを所持する旅客が、その指定の乗車駅で乗車しない場合は、他の旅客にその座席または旅客車を指定して急行券の発売をすることがある。この場合、指定駅で乗車しなかった旅客は、当該急行券に指定された座席を請求し、または旅客車に乗車することができない。

ここで説明されているのは、自由席特急券で乗車した乗客が、着席されていない指定席に対して車内で車掌に差額を支払い、指定席特急券を発券してもらうようなケースである(列車の発車前のマルスシステムでは排他制御が働くため、別の乗客に区間の重複する指定券を発券することは通常はない)。たとえば東海道新幹線に東京からの指定券を用意して品川から乗車するような未乗車区間が短い例ではこのようなケースは現実にはまず起こり得ない(条文を見てもわかるとおり、着席しなければ必ず別の乗客に発券するという趣旨ではなく、職員の判断に委ねられる)。

乗り遅れた場合には払い戻しはできないが、同区間を運行するその日の後続列車に自由席がある場合には自由席に乗車することが可能である。ただし、全車指定席の列車でも後続列車への乗車を認めている場合があり、「はやぶさ」「はやて」「こまち」「かがやき」では立席の利用が、「ひたち・ときわ」「成田エクスプレス」「スワローあかぎ」では空席の利用が、それぞれ可能である。それ以外の列車では後続の全車指定席の列車への乗車はできないが、同経路の自由席のある列車の自由席には乗車できる(例:「スーパービュー踊り子」に乗り遅れた場合は、「踊り子」の自由席に乗車できる)。なお、接続する列車の運休・遅延により乗り継げなかった場合は後続列車への振替を請求できる。

また、近年では近距離での利用促進を計るため自由席を中心に新幹線を含めた一部の列車では定期乗車券での利用が認められており、一部の特急列車では定期券にこれを追加する事で乗車可能としている。

しかし、もともとは長距離利用を前提としていたため、寝台特急などでは定期乗車券での利用を認めておらず[2]、特急券等のほか普通乗車券も必要である。

発売期間[編集]

基本的に該当列車の発車日(始発駅基準)の1ヶ月前の午前10時から発売され、のりばへの移動時間を考慮し、発車時刻のおよそ5 - 10分前に終了する。

例えば、1月1日の21時26分に高松駅を出る寝台特急「サンライズ瀬戸」の指定券は、12月1日の10時ちょうどに発売開始となる。なお、この列車に1月2日の0時40分発車となる大阪駅から乗車する場合でも、発売開始日は12月1日である。

また、一部のみどりの窓口や旅行代理店では、「予約」と称し1ヶ月前より以前から指定席の申込を受け付けている場合があるが、指定席には予約という制度は無く、あくまで対象の窓口で発売日の10時に発券処理を実施してもらう権利の予約である[3]

閑散期・繁忙期[編集]

JR東日本JR東海JR西日本JR四国北海道新幹線九州新幹線及びJR各社間を利用する場合、指定制である特急券の額は乗車する日によって料金が変わる。期間等は以下のとおり[4]

名称 期間 料金
通常期 閑散期・繁忙期以外の日 基本料金(下記に掲げるものや、市販の時刻表等で表示される料金)
閑散期

以下の期間の祝日及びその前日・振替休日を除く月曜日から木曜日

  • 1月16日 - 2月末日
  • 6月
  • 9月
  • 11月1日 - 12月20日
基本料金より200円引き
繁忙期
  • 3月21日 - 4月5日
  • 4月28日 - 5月6日
  • 7月21日 - 8月31日
  • 12月25日 - (翌年)1月10日
基本料金より200円増し

以下の列車・区間を利用する場合は、特急料金は時期によって変化しない(すべて通常期の料金で計算)。

座席未指定券[編集]

JR東日本の全車指定席の列車において、乗車日と乗車区間のみを指定したもの。旅客営業規則では「未指定特急券」、券面上では「特急券(座席未指定)」と称する。乗車する列車・座席は別途指定することができ(購入時の指定も可能)、指定しないままでも車内の空席を利用できる。座席指定の有無によらず料金は同一である。

2015年3月14日のダイヤ改正より、常磐線特急「ひたち・ときわ」の全列車[6]、「スワローあかぎ」、「成田エクスプレス」で導入した。

「ひたち・ときわ」「スワローあかぎ」は、特急料金が通年同額となり、料金も通常の指定席より安価に設定される(自由席料金よりは高い)。また、車内購入時の料金が事前購入時の260円増しとなる[7][8]

「ひたち」「ときわ」「スワローあかぎ」の特急料金[9]
50kmまで 100kmまで 150kmまで 200kmまで 300kmまで
事前料金 750円 1,000円 1,550円 2,200円 2,500円
車内料金 1,010円 1,260円 1,810円 2,460円 2,760円
  • 「スワローあかぎ」は150km以内が最長。
  • グリーン車を利用する場合の特急料金は、事前料金から520円引き。

「スワローあかぎ」は前年の2014年3月15日の改正時から導入していたが、この時は専用の「スワローあかぎ料金券」の場合に適用され、車内で購入する場合は通常の指定席料金が適用された(料金券を使用せず、通常の指定席券で購入することも可能であった)。なお、指定席料金は通常のB特急指定料金だった。高崎支社ではこの方式を(現在の方式も含め)「スワローサービス」と称している[10]

「成田エクスプレス」は、満席の場合のみ発売となっていた「立席特急券」(次項参照)に代わって導入したもので、座席未指定料金は通常の指定席料金(A特急料金)と同額である[7]

立席特急券[編集]

「はやぶさ」・「こまち」など一部の全車座席指定制列車では、自由席特急券もしくは特定特急券に相当する額で座席指定を受けない条件で利用することができる立席特急券(りっせきとっきゅうけん)を発行する場合がある。

この特急券は、「乗車する列車・区間が指定された自由席特急券」という位置づけである。座席の指定を受けないという点では自由席特急券と同じであるが、異なるところは乗車する列車が指定されている点にある。自由席特急券では有効の期間・区間内であれば一回に限りどの列車の自由席に乗ってもよいとされているため、この立席特急券は指定席特急券の一種として扱われている。

読みについては、旅客営業規則上は現在でも「リッセキトッキュウケン」と記されているのだが(223条3号様式裏面)、職員が口頭で案内等をする際には「たちせきとっきゅうけん」と言うこともある。

なお、かつて運行されていた寝台特急でも、B寝台の一部を座席車として利用できる区間を設けていたものがあった(ただし利用できる号車、発売席数は限定された)[11]大阪行き「日本海」のように指定席とした区間もあったが、ほとんどの寝台特急では自由席扱い(立席)としていた。下りでは出発日翌朝に停車する駅より終点までの区間で、上りでは始発から出発日当日夜間の停車駅までの区間で、それぞれ利用可能としたケースが多く、寝台特急でこの立席特急券の制度を最後まで採用していたのが「あけぼの」であった。「寝台券」のページも参照のこと。

自由席特急券[編集]

自由席特急券の例

特別急行列車自由席車がある場合には乗車する際に自由席特急券を発行する。一般に、(通常期の)特急券から指定席料金(520円)を引いた額に相当する金額である(通年同額)。一部の特急列車では定期券にこれを追加する事で乗車可能となる。

列車の指定は無く、指定日当日[12]に出発するどの在来線特急列車にも乗車できる。原則として1枚で乗れるのは1列車に限られ、特急列車を乗り継ぐ際にはそれぞれに特急券が必要であるが、例外的に乗り継ぎが認められる区間が存在する(→乗り継ぎ料金制度)。

在来線特急の料金体系[編集]

特急料金の体系としては、基本であるA特急料金と、安価に設定されているB特急料金[13]の2つがある。

B特急料金は特定の区間で定められておりその区間内だけを利用する場合はB特急料金となるが、他の区間にまたがって乗車する場合には乗車する全区間にわたってA特急料金が必要となる。なおB特急料金の料金自体は旧国鉄では全国一律であったが、JR分立化によってJR各社が旧運輸大臣・国土交通大臣への届出による事から少しずつ崩れてきており、短区間の利用促進のため区間を限って安価な料金区分を設定するケースも見られる。

また、B特急料金区間であっても「成田エクスプレス」や「スーパービュー踊り子」のようにA特急料金が適用される列車もある。

JR各社の特急料金[編集]

新幹線の場合、三角表と称される駅間から料金を割り出す方式を採っている。

なお、特定特急券では区間により金額が異なる。

JR各社の在来線特急料金表(2015年現在)[9]
金額は。「 - 」は設定内無し。
料金種別 A特急料金 B特急料金
会社管内 JR全社[14] JR北海道[15] JR東日本[16] JR東海[17] JR西日本 JR九州
営業キロ・
座席指定の有無
指定席 自由席 指定席 自由席 指定席 自由席 指定席 自由席 指定席 自由席 指定席 自由席 あそぼーい!
展望席
(指定席)[18]
25kmまで 1,270 750 830 310 1,030 510 1,170 650 1,170 650 810[要検証 ] 300 1,020[要検証 ]
50kmまで 1,140 620 1,130 620 1,340
75kmまで 1,700 1,180 1,650 1,130 1,450 930 1,500 980 1,490 970 1,330[要検証 ] 820 1,540[要検証 ]
100kmまで 1,440[要検証 ] 930 1,650[要検証 ]
150kmまで 2,350 1,830 2,320 1,800 1,860 1,340 1,930 1,410 1,920 1,400 1,740[要検証 ] 1,230 1,960[要検証 ]
200kmまで 2,680 2,160 2,680 2,160 2,250 1,730 2,250 1,730 2,250 1,730 1,890[要検証 ] 1,380 2,100[要検証 ]
300kmまで 2,900 2,380 2,900 2,380 2,460 1,940 2,460 1,940 2,460 1,940 2,000[要検証 ] 1,490 2,210[要検証 ]
400kmまで 3,110 2,590 3,110 2,590 2,680 2,160 2,680 2,160 2,680 2,160 2,160[要検証 ] 1,650 2,370[要検証 ]
401km以上 3,430 2,910 3,430 2,910 3,000[要検証 ] 2,490 3,000[要検証 ] 2,490 3,000 2,490[要検証 ]
600kmまで (B特急料金は【401km以上】が上限)
601km以上 3,760 3,240 3,760 3,240

B特急料金で利用可能な区間[編集]

2016年3月25日現在。ただし、以下の区間内でも、特定特急料金区間を除く。また、現在特急列車を運転していない路線・区間もある。
会社 路線名
五十音順
区間 備考
東日本旅客鉄道北海道旅客鉄道東海旅客鉄道管内 吾妻線 全線[要検証 ]
赤羽線 全線 埼京線池袋 - 赤羽駅間。湘南新宿ライン山手貨物線)経由の列車の場合、料金計算上池袋 - 赤羽駅間を赤羽線経由とする場合があるため。[BLE 1]
伊東線 全線
羽越本線 新発田駅 - 秋田駅
内房線 全線
江差線 五稜郭駅 - 木古内駅
奥羽本線 秋田駅 - 青森駅
海峡線 全線
鹿島線 全線
北上線 全線
京葉線 全線
上越線 高崎駅 - 石打駅
常磐線 日暮里駅 - 勝田駅
仙山線 全線
総武本線 全線 錦糸町駅 - 御茶ノ水駅間を含む。
外房線 全線
高崎線 全線
中央本線 東京駅 - 竜王駅
津軽線 青森駅 - 中小国駅間
東海道本線 東京駅 - 三島駅 [BLE 2]
東北本線 東京駅 - 黒磯駅 指定区間では宇都宮線の愛称がある。
成田線 全線 成田駅 - 我孫子駅間も含む
南武線 川崎駅 - 立川駅
日光線 全線
根岸線 全線
白新線 全線
函館本線 函館駅 - 五稜郭駅間
磐越西線 郡山駅 - 喜多方駅
武蔵野線 全線
山手線 全線 [BLE 1]
横須賀線 全線
横浜線 全線
両毛線 新前橋駅 - 前橋駅
西日本旅客鉄道管内 大阪環状線 全線
関西本線 木津駅 - 新今宮駅
関西空港線 全線
紀勢本線 新宮駅 - 和歌山駅
山陰本線 京都駅 - 浜坂駅
山陽本線 神戸駅 - 姫路駅 運行上JR神戸線の愛称がある。
東海道本線 京都駅 - 神戸駅間 JR京都・神戸線の愛称がある。
七尾線 全線 [BLE 3]
奈良線 全線
播但線 全線
阪和線 全線
福知山線 全線
舞鶴線 全線
九州旅客鉄道 境界駅の下関駅も含む在来線全線。 ただし、一部区間で特定料金区間あり。
  1. ^ a b 列車特定区間
  2. ^ 東海旅客鉄道管内の熱海駅 - 三島駅間発着で営業キロが150kmまでの区間は設定金額が異なる。上表参照。
  3. ^ 七尾線の50kmを超える区間(七尾線の全区間営業キロは59.5km)においても特定料金として50km以下の料金が適用される。特急料金等│きっぷのルール:JRおでかけネット

特定特急券[編集]

新幹線・在来線の特に限定された列車や乗車区間において、発売される。料金は特別に定められる。

一般には自由席を利用する際に設定されるが、一部、指定席でも設定されている場合がある。在来線の場合には特急列車に格上げする形で急行列車を全廃した線区が多い。なお、B特急料金はこの「特定特急券」と同じ経緯で設定されたものである。

なお、新幹線においては以下のものが特定特急券として扱われている。

  1. 九州新幹線を除く各新幹線の以下の期間までに開業した区間において、隣接駅間の自由席特急券相当のもの(開業後その間に駅が出来た場合は、出来た駅も対象に含む)。同区間の新幹線の指定席特急料金が2,300円台かかるのに対し、自由席利用の場合は860 - 980円と大幅に割引されている。ただし、在来線特急扱いの秋田新幹線山形新幹線の場合についてはこのような設定はない。
    例として東海道新幹線:東京駅 - 品川駅 - 新横浜駅間や名古屋駅 - 岐阜羽島駅間、山陽新幹線:三原駅 - 東広島駅 - 広島駅間など
    例として東北新幹線:北上駅 - 新花巻駅 - 盛岡駅間、上越新幹線:熊谷駅 - 本庄早稲田駅 - 高崎駅間、北陸新幹線安中榛名駅 - 軽井沢駅間など
    例外として隣接駅間ではないが東北新幹線の東京駅 - 大宮駅間にも設定されている。上野駅 - 大宮駅間の特定特急券の料金に東京駅までの210円を加算し、1,070円となっている。
  2. 九州新幹線の新八代駅 - 川内駅間以外の隣接駅間と博多駅 - 久留米駅間の自由席特急券相当のもの。
  3. 東海道・山陽新幹線東京駅 - 小倉駅間の新幹線停車駅と九州新幹線の新鳥栖駅又は久留米駅との相互間の自由席特急券相当のもの。
  4. 山陽新幹線の小倉駅と九州新幹線の新鳥栖駅 - 鹿児島中央駅間の新幹線停車駅との相互間の自由席特急券相当のもの。
  5. 東海道新幹線・山陽新幹線において、「のぞみ」・「みずほ」の自由席に乗車するために必要な特急券。
  6. 東北新幹線の盛岡駅 - 新青森駅各駅間と秋田新幹線の盛岡駅 - 秋田駅各駅間の立席特急券相当のもの。
    自由席が設置されていない「はやて」・「はやぶさ」または「こまち」において、盛岡駅 - 新青森駅間または盛岡駅 - 秋田駅間の利用に限り、普通車指定席の空いている席を利用できる。ただし、当該座席の座席指定席特急券を所持する乗客が来た時点で席を代わらなければならない。
  7. 北海道新幹線の2016年3月26日開業区間では、東北新幹線の「はやて」と「はやぶさ」が新青森駅から新函館北斗駅まで乗り入れており、同区間でも上記と同様の特定特急券が発売されている[19]

また、新幹線の回送線を活用した在来線区間(上越線越後湯沢駅 - ガーラ湯沢駅間、博多南線の博多駅 - 博多南駅間)では、全列車が特急扱いとされており、新幹線区間とは別に100円として特定特急料金が設定されている。

新幹線特急券[編集]

新幹線用新幹線特急券と称する。在来線特急用特急券(特別急行券)と称するが、これは、新幹線と在来線とは特別急行列車の料金体系が異なるためで、例えば、山陽新幹線新大阪駅 - 姫路駅間のように併走する在来線にも特急列車(この区間では、「スーパーはくと」・「はまかぜ」)が走っている場合では、新幹線特急券を有する場合には新幹線を利用し、「スーパーはくと」の特急券を有している場合には「スーパーはくと」を利用することができる。

新幹線の場合には、目的地まで有効である新幹線特急券を持っている場合では、新幹線の列車を乗り換えても新幹線改札を出ない限り有効である。詳しくは、新幹線特急料金の通算を参照のこと。

グリーン車、グランクラス、寝台車を利用する場合の特急料金[編集]

グリーン車に乗車するにはグリーン券が、グランクラスに乗車するにはグランクラス券が、寝台車に乗車するには寝台券がそれぞれ別に必要である。ただし、これらの料金には座席指定料金に相当する額(以下「指定額」)がそれぞれの料金に含まれているとみなされるため、特急料金としては指定額を減額した額が適用される。基本的には自由席特急料金と同額となる。

乗継料金制度[編集]

特に定められた条件で、特急列車を乗り継ぐ場合、一方の列車の特急料金が半額となるなどの割引制度や通し計算になる制度が存在する。これについては「乗り継ぎ料金制度」の項目を参照されたい。

特急料金不要の特例区間[編集]

特急列車を利用するには特急料金が必要だが、特例として乗車券だけで特急列車に乗車できる区間がある。これらは普通列車が全く運転されていない区間、あるいはごく短区間の利用者に対して配慮されたものである。

普通列車が全く運転されていないことによる特例区間[編集]

在来線の指定区間内に限り、普通乗車券のみで特急の普通車自由席を利用できる制度である。

この特例は、「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」などの「普通列車に限って利用可能」という特別企画乗車券(以下「普通列車専用券」)でも同様に適用され、指定された区間のみであれば普通車自由席のみ利用することができる。

特例が適用されない例

次の場合には特例が適用されず、実際に乗車した全区間の特急料金が必要となる。この場合、上記の普通列車専用券は使用できないため、別途運賃も必要となる。

  • 区間内であっても適用されない例(後述の「過去の特例区間」も参照)
    • 指定席やグリーン車を利用した場合
    • 自由席であっても、特例区間外にまたがって乗車した場合
  • 新幹線車両を使用する区間
  • 普通列車が一往復でも存在する区間
    • 例えば石北本線の上川 - 白滝間は、沿線集落の過疎化、無人化による乗降客数減少が民営化当時と比べても著しくなったため駅の廃止、普通列車の減便を行った。その結果、現在の当区間はほとんどの時間帯で特急列車を使わざるを得ない状態となったが、それでも一日2往復の普通列車(内1往復は特別快速「きたみ」)が存在するため、特急料金不要の特例は適用されていない。
現在の特例区間
過去の特例区間
  • 津軽海峡線津軽線海峡線): 蟹田駅 - 木古内駅間(2002年12月1日 - 2016年3月21日
    本区間の場合、特急「スーパー白鳥」・「白鳥」に格上げしたうえで、従来の快速「海峡」が廃止されたことにより設定された。北海道新幹線の開業に伴いこの区間における本特例は廃止となり、以後は青春18きっぷなどの特別企画乗車券で商品ごとに同新幹線を利用出来る特例あるいは利用するための条件を規定している(北海道新幹線#乗車券の特例制度を参照の事)。
    一方で、鉄道による北海道への唯一の連絡路線である津軽海峡線の青函トンネルが絡む区間であるにもかかわらず、区間末端の蟹田・木古内両駅に全列車停車しなかったことや、津軽線江差線との接続の兼ね合いから、利用についての説明がなされた区間でもある。
    本事例では、木古内駅から特急「白鳥」を利用して青森駅まで移動する場合、特例区間である木古内駅 - 蟹田駅間を越えて乗車することになる。ここで木古内駅 - 青森駅まで同じ特急列車に乗車し続けた場合は、乗車券のほかに木古内 - 青森まで有効な特急券が必要であった。
    また、「いったん蟹田駅で特急列車からホームに降り、再度同じ特急列車に乗車した」だけでは下車したことにならず、この特例は適用されなかった(改札口を出てあらためて出札する必要があった)。この際、一部の解説本で「一度ホームに降りてから再度同じ列車に乗れば問題ない」と記載されているものがあるが、これは有人駅に限り(旅客営業規則第3条)誤りとなる。
    なお蟹田駅で下車し、後続の特急列車(つまり別の列車)に乗り換えた場合は特例が適用され、必要な特急料金は蟹田 - 青森間だった。

ごく短区間の利用者に対して配慮された区間の例[編集]

この区間の場合、特急列車を含めたすべての列車がこの区間では普通列車として運行されているのを便宜上「特急」と案内していることに依るものであり、厳密には特例ではない。
例えば、別府駅から特急「にちりん」に乗車して宮崎駅を越えて乗り通し宮崎空港駅まで移動する場合、宮崎駅 - 宮崎空港駅間は普通列車となるため、乗車するのに必要な特急券は別府駅 - 宮崎駅までに有効なものでよい。
この特例は両駅相互間の普通車自由席に乗車する場合に限って適用され、同区間でも普通車指定席やグリーン車に乗車する場合や、青森駅から新青森駅を越えて奥羽本線秋田駅方面の特急列車に通して乗車する場合、新青森駅から青森駅を越えて津軽海峡線津軽線)の函館駅方面の特急列車に通して乗車する場合には、新青森駅 - 青森駅間の特急券も必要である。「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」は設定当初は適用の対象とされていなかったが、2012年夏季より乗車することができるようになった(「青春18きっぷ」(夏季・冬季)の発売について(JR東日本) (PDF) )。

いずれも、遠方とを結ぶターミナル - 市街地間のアクセスを考慮している。新青森駅 - 青森駅間の特例について「青春18きっぷ」「北海道&東日本パス」に適用されなかったのは、いずれのきっぷも新幹線が利用できず、遠方とを結ぶターミナル(新青森駅) - 市街地間(青森駅)のアクセスという建前にそぐわないためであった。

特殊販売について[編集]

JRにおいて、以下の特殊な事情について規定を定めている。

  • 2時間以上すでに遅れている、ないしは運行する場合に2時間以上遅れそうな場合には「遅延特約」ないしは「遅延承知」と称して遅れることに対して払い戻さない事を条件に5割引をして販売する場合がある。なお、この制度は急行にも適用される。また、すでに購入済みの特急券(購入時点では遅れは発生していない)については、2時間以上の遅れが生じた場合、特急料金を全額払い戻しできる(既に2時間以上の遅れが生じている特急列車にこれから乗車する場合は特急料金は徴収されず、運賃のみが徴収される)。ただし、新幹線並行路線で新幹線に振り替え乗車した場合は払い戻しされない。
  • 特急列車については「専用車両を使用すること」が前提となっているが、事故などにより専用車両を使用して運行する都合が付かない場合「編成変更特約」と称してそのことに対して払い戻さない事を条件に最大5割引をして販売する場合がある[20]
    • この制度を適用した事例としては、旧国鉄時代にこの適用があったとされる著名な事例として、以下の事例が挙げられる。これらは、専用車両がなかった、ないしはそれに準用するが冷房装置の取り付けがない等の理由で行われた。
      • 事故により特急形車両が充当できず、急行形車両である153系電車157系電車を用いて運行された在来線特急時代の「こだま」。特に前者では「かえだま」と揶揄された。
      • 設定当時不定期列車として運行された寝台特急みずほ」は登場時、当時すでに存在した20系客車の充当が困難であったため、夏季の利用について特急料金の割引で対応。
      • 1969年より1970年まで車両の手当が付かなかったため、暫定的に「北斗(下り)2号・(上り)1号」に急行形車両であるキハ56系気動車を用いた。
      • 臨時列車では12系客車で運行された在来線特急時代の特急「つばさ」がある。これは当時キハ181系気動車の手配が困難であったためである。その後も臨時「つばさ」は設定されたが、特急と同じ車内設備を持つ14系客車が使用されるようになったため、特急料金の値引きはなくなっている。
      • 変わったところでは、在来線特急時代の「あさま」の代走に近郊形115系電車が使用されたことがあったが、この場合は所要時間変えずに運行された特急運用としたことで、「自由席特急料金の100円引き」として本制度が適用されたそうである[要出典]。しかし、近年は「近郊形代走に特急料金は頂けない」として、上記のような場合は快速扱いとして料金を徴収していない。
  • 天候の悪化等の理由により間引き運転がなされ普通列車が運行されない場合、状況的に特急列車に乗車せざるを得ないと判断された際は特急料金不要で特急列車への乗車が認められる場合がある。無論、普通列車が運行されない場合の特例であり、普通列車が運行している状況下では特急料金が必要である。

私鉄[編集]

私鉄においても、特急あるいはそれに準じる名称の速達列車を運行している場合があるが、列車の性格ないしは、会社の判断により特急料金を徴する場合と徴しない場合がある。なお、本項目では冒頭にもある通り有料列車における基本的に目的地への速達サービスに対するものを中心に挙げる。たいていの場合、速達サービスと着席サービスが一体であり、それが分離されているものは少数にとどまっている。

私鉄における特急券の例。左上:東武鉄道、左下:西武鉄道、右上:小田急電鉄、右下:近畿日本鉄道

指定席特急券[編集]

私鉄の場合、JRとの乗入れ列車を含む有料特急を走らせている場合には特急券が必要である。この場合、多くは速達サービスと着席サービスが一体であり、列車予約が早い段階から行われ、発券される(JRにおいては乗車1ヶ月前からであるが、大体2ヶ月前から3日前程度)。そのため、乗車当日になると目的の列車の座席が無い場合もあり得る。

なお、以下の鉄道会社では「指定券」としての特性を生かし、以下のサービスを行っている。

東武鉄道[編集]

東武鉄道では、特急料金を列車の運行する時間帯による割引を実施している。共に詳細はスペーシア・「りょうもう」も参照されたい。基本的には、以下の通りであるが、列車指定となっている。

  • 「午後割」…浅草駅を12時台 - 16時台までに出発する下り特急列車
  • 「夜割」…始発駅をおおむね17時以降に出発する上り特急列車。

近畿日本鉄道・北近畿タンゴ鉄道[編集]

近畿日本鉄道北近畿タンゴ鉄道では、両者とも乗り継ぎ料金制度を採用している。具体的な内容は当該項目を参照されたい。

立席特急券・自由席特急券[編集]

  • 長野電鉄の特急は全席自由席ながらも、運賃のほか特急料金が必要である(距離に関係なく全区間100円)。
  • 富山地方鉄道の特急には指定席車と自由席車のいずれも設けられている。
  • 富士急行の「フジサン特急」では展望車のほか自由席が設けられているが、自由席でも運賃以外に特急料金が必要である。なお「フジサン特急」は車両検査の際、一般型車両で代走しており特急料金も半額に値下げされる。

座席指定券・着席整理券・特別車両券[編集]

特急列車に自由席車と指定席車が併結されているケースとして、以下のものが挙げられる。自由席車が料金不要で乗車券のみで利用できるのに対し指定席車に料金が必要な列車では、速達サービスに対する料金ではないため、特急券ではなく、座席指定券着席整理券特別車両券等として発行される。自由席・指定席ともに特急料金が必要な列車では、指定席車利用では特急券に座席指定券等を追加する必要がある。

京浜急行電鉄[編集]

京浜急行電鉄が運行する京急ウィング号の場合、着席整理券の購入が必要となっている。しかし、それ以後の上大岡駅以南の停車駅間では、着席整理券が不要であり、他の快特と同じく料金不要で利用可能である。従って、純然たる全席座席指定列車とは言えない。

京成電鉄[編集]

京成電鉄では、有料特急であるスカイライナー、シティライナーおよびモーニングライナー・イブニングライナーを利用する場合において、特急券が必要である。

京成電鉄では通勤形車両を使用した特急、および特急より速達の快速特急(ともに料金不要)を運転しているため、最も速達であるスカイライナーの券は「スカイライナー券」となっているが、駅の案内および放送では「特急券」とも案内されている。

名古屋鉄道[編集]

名古屋鉄道の「快速特急」・「特急」の1・2号車(上り先頭の1・2両目)ないしは中部国際空港発着の「ミュースカイ」全車両に設定されている特別車「μ」の座席は、座席指定制としている特別車両券「ミュー(μ)チケット」として、名鉄の主要駅や旅行会社で1乗車360円で発券される。また、特定駅での特定方面同士の乗り継ぎの場合、同時購入する場合に限って1乗車と同額の「乗継ミューチケット」が発売される。

南海電気鉄道[編集]

南海電気鉄道の場合、南海本線特急「サザン」のみが10000系専用車両に「自由席」の通勤型車両を併結した“一部座席指定”制となっており、座席指定券の扱いを行っている。

なお、高野線特急「こうや」、「りんかん」空港特急「ラピート」については運行当初より“全車座席指定”制を採っており、これらの列車の指定券は「特別急行券」と区別する。

中小私鉄[編集]

先述の通り、富山地方鉄道の特急・富士急行の「フジサン特急」の乗車には指定席・展望車・自由席のいずれも乗車券のほか特急券を要するが、富山地方鉄道特急指定席ではさらに座席指定券、「フジサン特急」の展望車利用には着席整理券を必要とする。

イタリア鉄道[編集]

イタリア鉄道フェッロヴィーエ・デッロ・スタート(FS)では普通運賃に特急料金や寝台料金を追加する運賃制度であるが、駅や窓口などの購入形態により切符は乗車券と特急券が分かれている場合もあれば、1枚にまとめられている場合もある[21]

脚注[編集]

  1. ^ a b 土屋武之『鉄道の未来予想図』実業之日本社、2013年、61頁
  2. ^ とりわけ、寝台特急の場合、1997年より運行を開始している「サンライズ瀬戸出雲」の「ノビノビ座席」として連結されている普通車座席は座席指定制となっているため、末端部分とはいえ短距離の利用は難しいともいえる。また寝台特急では昼間時座席使用である「ヒルネ」では最後に行っていた「あけぼの」まで立席特急券と定期券の利用を認めていなかった。
  3. ^ JR東日本の運営するえきねっとでは1ヶ月7日前から申し込むことが出来るが、これも同様に1ヶ月前10時の発券処理の権利予約である。
  4. ^ a b きっぷあれこれ 特急券 - 東日本旅客鉄道
  5. ^ 特急「あかぎ」号に確実に座れる「指定席車両」を設定いたします! (PDF) - 東日本旅客鉄道高崎支社、2013年9月19日、2013年9月20日閲覧
  6. ^ 常磐線特急「ひたち」「ときわ」について - 東日本旅客鉄道
  7. ^ a b 2015年3月ダイヤ改正について (PDF) - 2014年12月19日 東日本旅客鉄道高崎支社
  8. ^ スワローあかぎ(スワローサービス) - 東日本旅客鉄道
  9. ^ a b 「きっぷのあれこれ「特急券」」『JR時刻表』2015年6月号、交通新聞社、2015年5月25日、月刊版。ASIN B00UJXLH5A
  10. ^ 特急「スワローあかぎ」号が新登場 さらなる着席サービス向上のため、「スワローサービス」を開始します (PDF) - 2013年12月20日 東日本旅客鉄道高崎支社
  11. ^ 寝台特急「さくら」など開放型のA寝台を連結した列車ではA寝台が座席利用できた区間もあったが、A寝台車はグリーン車扱いとされたためグリーン車指定席券が必要であった。
  12. ^ 2014年4月1日発売分より指定日当日のみとなったが、それ以前は2日間有効だった http://www.jreast.co.jp/press/2013/20131208.pdf (PDF)
  13. ^ 従来急行の運転が中心であった線区において、特急昇格・急行全廃の際実質的に料金値上げとなる額を緩和するために設けられたものであり、長距離区間を除いて原則A特急料金と急行料金のほぼ中間に当たる金額に設定されている。ただしJR四国ではB特急料金の設定がない。またJR北海道・東日本・九州では逆に短距離区間において急行料金より安い特急料金が設定されており、この区間は特急料金・急行料金とも同額となる特例が設けられている。
  14. ^ 基礎的な特急料金であり、2社間又は、同一会社内でも発着駅のいずれかがB料金区間外であれば全乗車区間に適用される。
  15. ^ B特急料金適用区間は除く。
  16. ^ JR東日本管内のB特急料金にはJR北海道管内である津軽海峡線中小国駅以北を含む。
  17. ^ JR東海のB特急料金区間は下記の通りであるが、JR東日本管内から連続するB特急料金区間で適用される。例としては「踊り子」で大船駅 - 三島駅間乗車時などがある。
  18. ^ 上記にあるとおり「あそぼーい!」展望席は通年単一料金。
  19. ^ 「北海道新幹線の特急料金等について」(pdf) 別紙2-2 JR北海道 2015年10月13日
  20. ^ [1] 東日本旅客鉄道旅客営業規則第2章第7節「急行券の発売」 - 2012年9月11日閲覧
  21. ^ JTBパブリッシング『ララチッタ イタリア(2017年版)』、4頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]