JR東海の車両形式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
東海旅客鉄道(JR東海) > JR東海の車両形式

JR東海の車両形式(ジェイアールとうかいのしゃりょうけいしき)は東海旅客鉄道(JR東海)に在籍する、あるいは在籍した鉄道車両の一覧である。

概要・特徴[編集]

JR旅客会社6社のうち「国鉄型車両」の淘汰がもっとも進んでおり、2015年度以降在籍する鉄道車両は1986年製造の211系電車0番台(8両)を除いて、JR東海発足後に製造された車両となっている。電車については全車両が軽合金製車体[注釈 1]回生ブレーキを採用しており、JR旅客鉄道会社6社では初めて保有電車の100%省エネルギー化を達成した[注釈 2]

また、事業用車両を含めた動力分散化を進めた結果、JR旅客会社6社の中で唯一、機関車と客車、貨車を保有していない。エリア内を日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物列車が走行するため、管内で機関車牽引列車が全くなくなったわけではないが、機関車牽引の旅客列車は他社からの乗り入れも含めて運行されていない。

車両の標準化・共通化にも積極的であり、新幹線車両はN700系にほぼ統一され、在来線車両(普通・快速用)は車体構造を共通化したオールステンレス車両313系電車キハ25形気動車の増備を進めている[注釈 3]。車体塗色も車種の違いを問わずほぼ共通化されており、新幹線車両は国鉄時代を踏まえた「白地の車体+窓下に青帯」、在来線車両も311系電車以降のステンレス車は「無塗装+オレンジ色の帯」(特急形車両は側窓部分にダークブラウンの帯を巻く)で共通化されている。なお、在来線車両のうち、民営化初期には「湘南色」と呼ばれるオレンジ色と緑色の帯の車両が製造されていた。

前述の意向から、ジョイフルトレインや観光列車と呼ばれる特殊車両の保有についても消極的で、2013年の「トレイン117」の廃車を最後にジョイフルトレインは姿を消している。

会社発足以降登場した新型電車のほとんどは電子音の警笛が搭載されているが、JR東海の在来線では西日本旅客鉄道(JR西日本)と共同開発した285系電車を除いて空気笛の警笛のみを使用している。また、JR7社で唯一、全ての新造車両で車両番号に国鉄車両と同じフォントを使用している。

行先表示器は、他社がLED化を進める中で、主に幕式の行先表示器を採用し続けてきたが、N700系・313系3次車以降に製造された車両はフルカラーLEDを採用している。車内案内表示器も、他社が液晶ディスプレイへの移行を進める中で、現在もLED表示器を採用し続けている。ただし新幹線は現在開発中のN700Sから液晶ディスプレイを採用する予定。

2008年に日本車輌製造を連結子会社化したことを踏まえ、以降のステンレス車両新造は同社で行われており、保有する車両のほぼ全形式で製造を担当している。かつては日本車輌製造の他、日立製作所川崎重工業近畿車輛東急車輛製造の5社に発注していたが、日立製作所へは同社が1998年頃からステンレス車製造を取止めてアルミ車のみの製造へ移行した関係で新幹線車両のみ発注を継続しており[注釈 4]、その他の3社については東急車輛製造へは1999年度、近畿車輛へは2006年度[注釈 5]、川崎重工業へは2009年度を最後として発注を終了した。なお、超電導リニア車両(L0系)は日本車輌製造と三菱重工業で製造していたが、2017年度に三菱重工業が超電導リニア車両の製造から撤退したため、2018年度以降は日本車輌製造と日立製作所での製造に変更された。

新幹線車両[編集]

表 - JR東海保有新幹線車両の変遷
形式 営業最高速度 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 備考
東海道 山陽
0系 210 km/h* 0系(1964年 - 1999年) *のちに220km/h
100系 220 km/h* 100系(1985年 - 2003年) *一部編成は230km/h
300系 270 km/h 300系(1992年 - 2012年)
700系 270 km/h 285 km/h 700系(1999年 - 2020年)
N700系 270 km/h 300 km/h N700系 2007年より運行
N700A系 285 km/h 300 km/h N700A系 2013年より導入
事業者 国鉄(1987年まで) JR東海(1987年移管)

東海道新幹線の全区間を保有していることもあり、同線で使用されたことのある車種のうち西日本旅客鉄道(JR西日本)が単独で発注した500系を除くすべての形式を保有したことがある。

詳細ならびにJR東海が所有しない形式(番台)については各車両記事を参照のこと。

現有車両[編集]

700系
東海道新幹線の第四世代車両。JR西日本との共同開発により1999年に営業運転を開始。本形式の投入により0系と100系を完全に置き換えた。
最高速度が285km/h(東海道新幹線内は270km/h)に設定され、JR西日本が500系で目指した高速運転性能と乗り心地・快適性のバランスを考えられた。
本系列は2020年3月のダイヤ改正をもって、東海道新幹線から引退する予定である。
JR東海は「のぞみ」用16両編成として最大60本960両を保有したが、2012年以降は300系置き換えのためのJR西日本への譲渡[1][2]や定期運用の「のぞみ」からの撤退、初期車の廃車などもあり、2017年4月現在で11本336両が残るのみである[3]
N700系
700系を基本に『最速・快適・環境への適合』[4]をキーワードとして、さらなる性能向上を目指した東海道新幹線の第五世代車両。JR西日本との共同開発により2007年に営業運転を開始した。
東海道新幹線での最高速度は従来と同じ270km/hに留まるものの、エアロダブルウィングと称する先頭形状の改善、加速性能の向上、新幹線初となる車体傾斜装置や空気抵抗を低減する連結部の全周ほろの導入などにより、所要時間の短縮を達成している。車内は全席禁煙とされ、喫煙者向けに喫煙ルームが設けられた。
2005年に試作車(9000番台)1本が落成し、2007年から2012年にかけて量産車(0番台)80本(1,280両)が製造された。現在も700系に代わり「のぞみ」への投入が続いており、2013年からはブレーキや走行装置に改良を加え、東海道新幹線でも最高速度285km/hに対応するN700A(1000番台)に増備が移行した。在来車も2017年3月までにN700Aと同等仕様(2000番台)に改造された。
N700S系
#導入予定車両を参照。
923形
ドクターイエロー」と呼ばれる総合試験車両で、T4編成1本(7両)を有する。

廃形式[編集]

0系
1964年の開業時以来使用されてきた車両。JR東海には1,339両(「ひかり」用16両編成53本、「こだま」用12両編成38本、保留車35両)が承継された。最高速度は220 km/hに引き上げられていた。
承継後はおもに「こだま」に用いられ、指定席の一列4人掛け化や16両編成化などの改良が実施されたが、後継車両登場もあり1999年にJR東海での営業運転を終了した。
100系
国鉄末期の1985年に登場した東海道新幹線の第二世代車両。国鉄からの承継車両である食堂車付きのX編成7本112両と、JR東海自社発注分であるカフェテリア付きのG編成50本800両の912両が最大で存在した。
X編成・G編成とも2階建車両を2両組み込んでいるのが特徴で、個室も設けられた[5]
のぞみ」の大増発にともない、東海道新幹線全列車の最高速度を270km/hに引き上げたため撤退が早まり、2003年にJR東海での営業運転を終了した。
300系
東海道新幹線の高速化を図るため、JR東海が初めて自社開発した東海道新幹線の第三世代車両。アルミニウム合金車体をはじめとした徹底した軽量化と、インバータ制御を用いた交流モーターの採用による小型化・高出力化により営業最高速度270km/hを実現。一方で、食堂車や2階建車両は組み込まず、普通車・グリーン車のみによる16両編成とした。
1992年に登場し、この車両とともに「のぞみ」が登場。東京・新大阪間を従来より約30分速い2時間30分で結び、大幅な時間短縮を達成した。
700系及びN700系の投入により運用離脱や廃車が行われ、2012年3月16日に東海道・山陽新幹線ともに引退した。
955形
「300X」と呼ばれた高速試験車で1995年に製造。2002年まで運用された。
922形
ドクターイエロー」と呼ばれる総合試験車両で、国鉄から承継したもの。T2編成1本(7両)が存在したが2001年に運用終了、廃車となった。

在来線現有車両[編集]

電車[編集]

気動車[編集]

民営化後の新形式については、国鉄時代と一線を画する独自の2桁の形式数字をとる。

導入予定車両[編集]

N700Sの先頭車
N700Sのロゴ
新幹線車両
N700S系
2020年度を目処に導入開始される予定のN700系の後継車両。2016年6月24日に確認試験車(量産先行車)の制作が発表された[6][7]。JR東海単独での開発車両である[8][注釈 6]。「S」は、「最高の」を意味する "Supreme" の頭文字から採ったもの。
日本車輌製造日立製作所笠戸事業所で製造される[注釈 7]
先頭車両のデザインはN700系・N700Aの「エアロダブルウィング形」を進化させた「デュアル・スプリーム・ウィング形」と呼ばれる双対の翼を広げたような形状として、トンネル突入時の騒音を低減させ、走行抵抗も減らすことを目指す[9]
駆動システムに発熱が少ない炭化ケイ素 (SiC) 素子を使用して冷却機構を簡略化し、駆動システムの大幅な小型軽量化を目指す[10]また、機器の小型軽量化と床下機器配置の最適化により、従来の16両編成だけではなく、基本設計をそのまま用いて12両や8両など、台湾高速鉄道700T型の置き換えを想定)やアメリカテキサス州高速鉄道計画等を意識した様々な編成を構成させることを可能とする「標準車両」を目指して制作される[要出典]
車内の快適性・利便性の向上を目指して、普通車全座席にモバイル用コンセントを設置。グリーン車にはフルアクティブ制振制御装置を搭載し、乗り心地の向上も図るとしている[11]
確認試験車は2018年2月に浜松工場へ順次陸送された[12]。また、2018年3月7日にはN700Sのシンボルマークが決定し[13]、同年3月10日には報道公開された[14][15]。そして同年3月20日に走行試験を開始した[16][17]。この車両は試験研究用車両としても利用され、試験走行試験期間は3年間を計画としており、リチウムイオンバッテリーによる自走走行試験も同年9月に、本来の16両編成の他に8両編成に短編成化での試験走行を同年10月に実施を計画しており[18]、更には同年6月から乗り心地向上での「次期軌道状態監視システム」開発に走行試験をする計画もある[19]。なお、N700Sの確認試験車は、量産車の登場後はN700系Z0編成の後継として、引き続き確認試験車として使用される見込みである[20]
2019年6月6日には米原京都間で360km/h走行の報道公開の試験運行がなされ、362km/hの速度を達成しているが東海道新幹線の営業速度を変更する予定はない。尚、最高試験速度は363km/hと公表している[21]
2019年7月10日には災害時の停電対応目的でのバッテリー自走走行を報道公開している[22]
2019年8月7日の発表では、保線の測定としての「軌道状態監視システム」に加えて「トロリ線状態監視システ ム」と「ATC信号・軌道回路状態監視システム」も営業用車両3編成にて導入する計画である[23]
また、JR西日本もN700系[24]の後継車両にJR東海と同じN700S系を採用する予定[25]
在来線車両
形式未定
キハ85系の後継として2022年度を目処に導入される予定のハイブリッド特急型気動車。2017年6月7日に確認試験車(量産先行車)の導入が発表された[26][27]
JR東日本HB-E210系やJR西日本の87系寝台気動車と同様の発電用エンジンと蓄電池を組み合わせたシリーズハイブリッド方式を採用。確認試験車は2019年度に完成する予定。

過去の在来線車両[編集]

機関車[編集]

電車[編集]

気動車[編集]

客車[編集]

定期列車用の車両は国鉄から1両も承継されておらず、いずれも臨時列車・イベント用であった。

貨車[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ ただし、285系電車のみ車体は普通鋼製である。
  2. ^ 同時に全ての営業用車両の集電装置が、シングルアーム式パンタグラフになった。
  3. ^ このため、JR東海の在来線のほぼ全路線で、313系タイプの車体をもつ車両を見ることができる。
  4. ^ このため、日立製作所製のVVVF装置を搭載したJR東海の車両が存在する。
  5. ^ なお、近畿車輛では2010年度から2011年度にかけて213系5000番台飯田線への転用改造を行った。
  6. ^ 300系以来の自社単独開発車両。編成記号は300系と同じく『』編成となる。
  7. ^ このため、日立製作所でもN700S系用のVVVF機器が製造される。

出典[編集]

  1. ^ 東海道・山陽新幹線から来春300系が引退します (PDF) - 東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道 2011年10月20日
  2. ^ 700系C編成3本の側面JRマークが青に - railf.jp. (2010年9月11日) 2010年9月11日閲覧
  3. ^ 『JR電車編成表2017夏』ジェー・アール・アール、交通新聞社、2017年。9784330787176。
  4. ^ 新幹線N700系」東海旅客鉄道。
  5. ^ 木俣政孝「100系New新幹線─設計上の狙い─」『鉄道ファン』285号、1985年。
  6. ^ “東海道・山陽新幹線 次期新幹線車両 N700S 確認試験車の製作について” (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2016年6月24日), http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000030982.pdf 2016年6月25日閲覧。 
  7. ^ “JR東海「N700S」東海道・山陽新幹線次期車両の確認試験車、2018年春完成へ”. マイナビニュース. (2016年6月25日). http://news.mynavi.jp/news/2016/06/25/008/ 2016年6月25日閲覧。 
  8. ^ “次世代の新幹線N700S 細かすぎる5つの変更点”. NIKKEI STYLE. (2018年1月10日). https://style.nikkei.com/article/DGXMZO25202380Y7A221C1000000?channel=DF260120166491 2018年1月10日閲覧。 
  9. ^ 【動画】「エッジの効き」特徴の新・新幹線「N700S」姿を現す 「DSW形」採用で能力アップ - 乗り物ニュース(2017.10.01版)2017年10月7日閲覧
  10. ^ “次期新幹線車両「N700S」量産車の仕様および投入計画について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2019年1月25日), https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000039300.pdf 2019年1月26日閲覧。 
  11. ^ 上新大介 (2019年1月25日). “JR東海N700S、新幹線新型車両2020年7月デビューへ - N700系置換え”. マイナビニュース (マイナビ). https://news.mynavi.jp/article/20190125-n700s/ 2019年1月26日閲覧。 
  12. ^ JR東海「N700S」が陸送される”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年2月18日). 2018年3月11日閲覧。
  13. ^ “N700Sのシンボルマークを決定!” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2018年3月7日), オリジナルの2018年3月7日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20180307094826/http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000036551.pdf 2018年3月7日閲覧。 
  14. ^ 「N700S」確認試験車が公開される”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年3月10日). 2018年3月11日閲覧。
  15. ^ 上新大介 (2018年3月10日). “N700S確認試験車 - JR東海の新幹線新型車両、車内も公開! 写真78枚”. マイナビニュース (マイナビ). https://news.mynavi.jp/article/20180310-n700s/ 2018年3月11日閲覧。 
  16. ^ 上新大介 (2018年2月17日). “JR東海N700S、新型車両の先頭車公開! 3/20から走行試験、写真30枚”. マイナビニュース (マイナビ). https://news.mynavi.jp/article/20180217-585735/ 2018年3月11日閲覧。 
  17. ^ 「N700S」が試運転を実施”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年3月27日). 2018年3月27日閲覧。
  18. ^ JR東海,「N700S」確認試験車の走行試験内容を発表”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年3月23日). 2018年3月23日閲覧。
  19. ^ “東海道新幹線 次期軌道状態監視システムの開発について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2018年5月30日), オリジナルの2018年5月31日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20180531214314/http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000037346.pdf 2018年6月2日閲覧。 
  20. ^ 松沼 猛 (2018年7月14日). “試運転用「N700S」は営業運転に使わないのか”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2018年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年1月26日閲覧。
  21. ^ 時速360km!東海道新幹線N700S試運転に乗ってみた”. 鉄道新聞. 鉄道新聞社 (2019年6月6日). 2019年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月11日閲覧。
  22. ^ JR東海「N700S」バッテリ走行の様子を報道陣に公開”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2019年7月10日). 2019年7月11日閲覧。
  23. ^ “東海道新幹線 N700S営業車による地上設備計測の実施について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2019年8月7日), オリジナルの2019年8月7日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20190807054921/https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000039804.pdf 2019年8月11日閲覧。 
  24. ^ 500系の後継車両もN700S系となる予定。
  25. ^ “JR西日本、山陽新幹線で「500系」後継車開発せず”. 日刊工業新聞. (2018年5月5日). https://newswitch.jp/p/12853 2018年12月19日閲覧。 
  26. ^ “ハイブリッド方式による次期特急車両(試験走行車)の新製について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 東海旅客鉄道, (2017年6月7日), http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000034155.pdf 2017年6月7日閲覧。 
  27. ^ 上新大介 (2017年6月7日). “JR東海、キハ85系に代わる次期特急車両を新製 - 試験走行車は2019年度完成”. マイナビニュース (マイナビ). http://news.mynavi.jp/news/2017/06/07/229/ 2017年6月7日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]