JR貨物チキ100形貨車

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JR貨物チキ100形貨車
基本情報
製造所 輪西車両所郡山車両所新小岩車両所**
製造年 1989年(平成元年)*
製造数 5両
消滅 2000年(平成12年)
主要諸元
車体色 青22号
軌間 1,067 mm
全長 20,400 mm
全幅 2,615 mm
全高 2,098 mm
荷重 33 t
自重 22.3 t
換算両数 積車 5.5
換算両数 空車 2.2
台車 TR223
軸距 14,200 mm
最高速度 95 km/h
備考 *コキ50000形からの改造初年
**改造所
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JR貨物チキ100形貨車(JRかもつチキ100がたかしゃ)は、1989年(平成元年)にコキ50000形から改造された、日本貨物鉄道(JR貨物)のスライドバンボディシステム方式インターモーダル用貨車長物車)である。

ここでは本形式の元となった試作車であるチキ900形についても記述する。

概要[編集]

従来のコンテナ輸送は、貨車とトラックとの間での積み替えの際、フォークリフトなどの荷役機械を使わなければならない欠点があった。また、JR貨物が発足してから30ftコンテナ輸送が増加したが、その荷役にはトップリフター等の割高な機械が必要となった。これら欠点を解消するため、いすゞ自動車はJR貨物と共同でトラックの積載容量・重量を確保しつつ、トラックとの鉄道荷役を簡便化した「スライドバンボディシステム(Slide Vanbody System = SVS)」を開発した。

スライドバンボディシステム[編集]

スライドバンボディシステムとは、トラックの荷台(バンボディ)の下面にそりを設け、トラックに装備した油圧ウィンチでワイヤーを介してバンボディのみをスライドさせ、貨車に積み替える荷役方式である。この方式の利点として、フォークリフトなどの荷役機械を使用しないため、架線下でも積替えが容易であり、かつ迅速に行えること、大形荷台の鉄道利用が容易であること、ピギーバック方式とは異なり、荷台だけが載るため積載効率が優れていること[1]、トラックの使用効率が高くなることや長距離運行を減らせることなどが挙げられる。その一方でトラックが来ないと荷降ろしできないなどの欠点もある。

本形式は実質的にはコンテナ車であるが、積荷がトラックのバンボディ[2]であり、コンテナ車でも車運車でもない独特の貨車であるため、その形状から長物車に分類された。

構造[編集]

車体上に積降しする際、スライドバンボディを滑らせるための滑り板とボディの緊締装置、スライドバンボディを牽引するためのワイヤー滑車装置が設置された。なお、スライドバンボディ牽引の動力はトラックに装備した油圧ウィンチである。塗色はスカイブルー(青22号)に変更され、車体中央には白色の「SVS」ロゴが標記された。下廻りは種車のままで、最高運転速度は95km/h、ブレーキ装置はCL形空気ブレーキ台車はTR223である。

形式別概説[編集]

チキ900形[編集]

JR貨物チキ900形貨車
チキ900形、チキ900-11993年5月16日、新興駅
チキ900形、チキ900-1
1993年5月16日、新興駅
基本情報
製造所 広島車両所**
製造年 1988年(昭和63年)*
製造数 1両
消滅 2000年(平成12年)
主要諸元
車体色 青22号
軌間 1,067 mm
全長 20,400 mm
全幅 2,640 mm
全高 2,098 mm
荷重 27 t
自重 20.5 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 2.0
台車 TR223
軸距 14,200 mm
最高速度 95 km/h
備考 *コキ50000形からの改造年
**改造所
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27t積SVS方式の試作車1988年(昭和63年)3月31日に、コキ50000形から1両が広島車両所で改造された。日本国有鉄道時代に製作したチキ900形[3]とは別の形式である。積荷は、30ftのスライドバンボディ2個で1個積は考慮されていない。

番号の新旧対照は、次のとおり。

  • コキ52074 → チキ900-1

チキ100形[編集]

33t積SVS方式の量産車で、1989年(平成元年)にコキ50000形から5両が輪西車両所郡山車両所新小岩車両所で改造製作された。国鉄時代に製作されたチキ100形[4]とは別の形式である。積荷は、20ftのスライドバンボディ(U30S形コンテナ)3個である。種車にあったコンテナ緊締装置は撤去されたが、バンボディの脱落防止のため、バンボディを固定する緊締装置が外れると非常ブレーキが作動する機能を装備している。

番号の新旧対照は、次のとおり。

  • コキ51006 → チキ100-1
  • コキ52673 → チキ100-2
  • コキ50983 → チキ100-3
  • コキ52516 → チキ100-4
  • コキ50053 → チキ100-5

運用の変遷[編集]

本系列は運用コストや専用トラックの汎用性などの問題、着発線荷役方式(E&S方式)の普及、荷役方式が類似し、コンテナ車に積載できるスワップボディコンテナの登場などにより、スライドバンボディシステムの存在意義は薄れ実用化には至らず、6両で製作が打ち切られた。チキ900形は試作車であるため、試験終了後は定期運用には使用されなかったが、チキ100形は苫小牧駅 - 相模貨物駅間で自動車部品輸送に運用された。1996年(平成8年)に通常のコンテナ輸送に切り替えられ運用離脱休車となり、チキ900形・チキ100形共に2000年(平成12年)9月に廃車となった。

脚注[編集]

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  1. ^ ピギーバック方式の場合、トラックがそのまま貨車に載るため、運転室(キャブ)までも運ぶので無駄なスペースが発生し、積載効率が劣る。
  2. ^ ただし、バンボディはコンテナとして扱われた。
  3. ^ 1968年(昭和43年)に製作した50t積3軸ボギーの長物車である。
  4. ^ 1969年(昭和44年)から1970年(昭和45年)にかけてトキ15000形を改造製作したラワン材専用の長物車である。

参考文献[編集]

関連項目[編集]