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国鉄セキ8000形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄セキ8000形貨車
セキ8000形、セキ8029 1988年8月16日、岩見沢駅
セキ8000形、セキ8029
1988年8月16日、岩見沢駅
基本情報
車種 石炭車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
改造所 大宮工場名古屋工場、他*
改造年 1981年(昭和56年)
改造数 155両
消滅 1998年(平成10年)
主要諸元
車体色
専用種別 石炭
化成品分類番号 なし
軌間 1,067 mm
全長 9,000 mm
全幅 2,720 mm
全高 3,155 mm
ホッパ材質 耐候性高張力鋼
荷重 30 t
実容積 35.7 m3
自重 16.0 t
換算両数 積車 4.5
換算両数 空車 1.6
台車 TR63G
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 5,250 mm
最高速度 75 km/h
備考 *改造所
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国鉄セキ8000形貨車(こくてつセキ8000がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1981年度(昭和56年度)から1983年度(昭和58年度)にかけてク5000形台車を流用して製作した、30 t 積の石炭車貨車)である。

概要

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老朽化したセキ3000形・セキ6000形を置き換えるために1981年度(昭和56年度)から1983年度(昭和58年度)にかけて155両(セキ8000 - セキ8154)が国鉄工場にて改造製作された。

当時の財政事情から台車は余剰となっていたク5000形からTR63C・TR63CFを流用し、改造したTR63Gである。石炭車では唯一のころ軸受け台車である。

従来のセキは高重心かつ軸距の短さから脱線事故が多発したことや[1]、速度面で劣っていたが[2]、本形式ではこれらを解消するため、走行性能改善を留意した設計となされ、積車時でも最高速度75 km/h速度を目標とした[3]

車体はセキ3000形の構造を踏襲したが、車体長は250 mm長くなり、8,050 mmとなった。荷役方式は側扉からの自重落下方式で開閉は手動で行う。

運用の変遷

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本形式は当初、北海道地区でセキ3000形・セキ6000形と共に使用され、国鉄分割民営化に際しては日本貨物鉄道(JR貨物)に155両全車が継承された。しかしエネルギー革命による石炭産業の斜陽化により石炭輸送がなくなると、鹿児島本線大牟田駅 - 伊田線金田駅間や美祢線美祢駅 - 宇部線宇部港駅間において石灰石輸送に転用された。1990年度(平成2年度)から廃車となる車両が現れ、宇部線の石灰石輸送がトラックに切り替わった1998年(平成10年)までに全廃され、日本国内から保存車を除く石炭車が消滅した。

保存車

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セキ8000形、セキ8026
2009年9月8日、江別市

北海道電力江別発電所専用線の跡地に保存。専用線の小型ディーゼル機関車と連結されて保存されている。

脚注

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  1. ^ 根室本線では脱線事故が多発したこともあり、対策としてセキ3000形の台車を改造したセキ6000形に限定し、セキ1000形・セキ3000形の運用を禁止したほどである。
  2. ^ セキ3000形は空車時は65 km/h、積車時は55 km/h。セキ6000形は空車時・積車時共に65 km/h。
  3. ^ 大部分の車は従来のセキ3000形・セキ6000形と共に使用されたのでその機能を活かすことがなかったが、私有車であるホサ8100形と混用された九州配属車で75 km/h走行を実施した。

参考文献

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  • 吉岡心平 「国鉄貨車教室 第62回」 - 『レイルマガジン 2006年8月号 No.275』(ネコ・パブリッシング) p.126
  • 吉岡心平『RM LIBRARY 151 無蓋ホッパ車のすべて(上)』(ネコ・パブリッシング、2012年)ISBN 978-4-7770-5322-3

関連項目

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