JR四国2700系気動車

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JR四国2700系気動車
JR shikoku 2700 20190311 Tadotsu Factory.jpg
2700系気動車 多度津工場にて
基本情報
運用者 四国旅客鉄道(JR四国)
製造所 川崎重工業車両カンパニー
製造年 2019年
製造数 16両(2019年9月時点)[1]
運用開始 2019年8月6日(先行運用)[1]
主要諸元
編成 2両編成(2700+2750)、3両編成(2700+2750+2800)
軌間 1,067 mm
最高速度 130 km/h
起動加速度 2.3 km/h/s
減速度(常用) 2.353 km/h/s
減速度(非常) 4.3 km/h/s
編成定員 98名
車両定員 46名(2700形)
52名(2750形)
32名(2800形)
自重 46.8- 49.6 t
編成重量 93.7 t(2両編成時)
143.3 t(3両編成時)
車体長 20,800 mm
車体幅 2,786.4 mm
車体高 3,445 mm
床面高さ 1,105 mm
車体 ステンレス
台車 制御付自然振子装置組込ボルスタレス台車
S-DT70
動力伝達方式 液体式
機関 SA6D140HE-2
機関出力 331 kW (450 ps) × 2基
変速機 電子式自動変速機 DW24A
変速段 変速2段、直結4段
編成出力 1,324 kW (1,800 ps) (2両編成時)
1,986 kW (2,700 ps) (3両編成時)
制動装置 電気指令式空気ブレーキ
機関ブレーキ・排気ブレーキ併用
耐雪ブレーキ・抑速ブレーキ・フラット防止装置付
備考 出典:鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』第634号 P.30
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2700系気動車(2700けいきどうしゃ)は、2019年(平成31年)に登場した四国旅客鉄道(JR四国)の特急形気動車である。

概要[編集]

1989年(平成元年)に開発された同社2000系気動車の置き換えを目的として製造された車両である[2]。元々、2000系気動車の置き換えには、車体傾斜装置8600系電車同様の空気ばね式を採用し、構造の簡素化によりメンテナンス費用の軽減を目指した2600系気動車を開発し、量産化して投入する予定であった[3]。だが、2017年に製作した2600系先行試作車を用いて走行試験を行ったところ、特にカーブが連続する区間を有する土讃線において空気ばね制御に用いる空気容量の確保に課題があることが判明したため、2600系の量産化は中止とし、代わりに2000系同様の制御付き自然振子装置を採用して2600系をベースに再設計・製造されたのが本形式である[2]。振り子式車両の新製は2008年のJR九州883系電車の増結用中間車以来11年ぶり、新系列に至っては2001年のJR西日本キハ187系気動車以来18年ぶりの登場となった。

2019年1月に先行試作車2両編成2本(4両)が川崎重工業車両カンパニーにて製造された[4]。同年1月23日に多度津工場にて、2752-2702の2両が報道陣に公開された[4][5]。同年7月より量産車が登場し、翌8月6日の高徳線運用開始以降、土讃線など使用線区を順次拡大している。

車体構造[編集]

車体の基本構造は2600系を踏襲し、ステンレス製で、レーザー溶接を用いて組み立てられた。車体傾斜方式を変更し傾斜角が大きくなった結果(後述)、2600系に比べて車体の裾の絞り込みが大きくなった。裾の絞り込みによって窓側の座席の足元が狭くなる問題があったが、空調機器の配置を見直すことである程度の確保はされてある[4]

エクステリアデザインも概ね2600系を踏襲し、日本の伝統意匠をアレンジした「Neo Japonisme」をコンセプトとする。本車両が香川県徳島県高知県を結ぶ特急列車に充当されることから、徳島県の阿波踊り・高知県のよさこい祭りの情熱を表したディープレッドをベースに吉兆の伝統配色である「赤と金」を配する一方で、新たに香川特産のオリーブをイメージしたグリーンのラインをそれぞれ配色している。


主要機器[編集]

車両システムや電気機器、サービス設備も、車体傾斜装置を除いて2600系とほぼ同様となっている。なお、2000系・2600系との総括制御は不可能である[5]

車体傾斜装置[編集]

JR四国 2700系特急型気動車 S-DT70台車

2000系気動車と同様、制御付自然振り子装置を採用するが、振り子機構は2000系のコロ式から8000系電車の試作車で採用されたベアリングガイド式に変更されている[3]。傾斜角度は2000系や8000系と同じ5度となり、2600系の2度より大きくなっている[5]。台車は、2017年度から2000系の台車置き換えに使用されているS-DT69形をベースにしたS-DT70形で、軸箱支持方式はコイルバネ+円筒積層ゴムを用いたウイングバネ式[6]

地上データを各車に搭載しているTC装置に保存しており、ATS地上子によって自車の位置を補正する。この地点検知にエラーが発生した場合でも自然振子となり曲線通過速度を低下させることなく走行可能である。

動力機関[編集]

JR四国 2700系特急型気動車 エンジン SA6D140HE-2

2600系気動車と同じコマツ製の環境対応形ターボ・アフタークーラー付き直列6気筒エンジンSA6D140HE-2形(450 PS / 2,100 rpm) を各車に2基搭載する[5]。最高運転速度は130 km/h[5]。ただ熱交換器は、車体傾斜方式の変更による床下ぎ装スペースの減少にともない、形状を変更した新型を採用している[7]

制御装置[編集]

機関・排気ブレーキ併用の電気指令式空気ブレーキを採用。常用ブレーキ、非常ブレーキ、直通予備ブレーキ、耐雪ブレーキ、抑速ブレーキ、救援ブレーキの6系統を有している。

山間部を走行することを考慮し、連続する下り勾配での制輪子の摩耗低減のため、抑速ブレーキでは機関ブレーキを併用している[7]

車内設備[編集]

客室内の設備などは2600系を踏襲している。屋根高さの低減の影響を極力小さくできるよう、可能な限り天井高さを確保し、荷棚スペースを確保している。室内はデッキの扉面やシートモケットに伝統文様をアレンジしたデザインを施し、徳島が育んだ「ジャパンブルー」、高知から望む太平洋の「オーシャンブルー」を使用している。

座席についても2600系を基本としているが、車体形状の変更により細部の形状を変更した。座席周りは、フットレストを撤去して足元を広くとるとともに可動式枕を撤去し枕部のクッション性を確保している。客室照明は2600系と同タイプのLED照明を用いた間接照明とした。

インバウンド需要を見込み、公衆無線LANサービス「JR四国無料公衆無線LANサービス」にも対応している[1]。また、スマートフォン等の普及に対応するため、全席にコンセントを設置している[2]

セキュリティー強化を目的に、各車両の客室および出入り口に防犯カメラを設置した[2]

編成[編集]

JR四国 2700系特急型気動車 うずしお 2706+2756 2019年9月25日

列車は2700形と2750形で組成される2両編成、および2両編成の松山・徳島・高知方に2800形を増結した3両編成で構成される。2000系と異なり、全車が運転台付きである。

2700形
Mc車[1](高松方先頭車)。全室普通席車。
車椅子スペースを客室後位側に設置し、車椅子固定用ベルト、手すり、非常通報ボタンを設置している。また、車椅子スペースの隣には、車椅子から移動可能な腰掛(跳ね上げ式肘掛、車椅子固定用ベルト付き)を設置している。座席撤去に伴い背面テーブルが使用できない座席については、中肘掛にインアームテーブルを設置している。また、車いすで利用可能な多機能トイレを設置しており、簡易オストメイト機能とともに、暖房・温水洗浄機能付き便座としたほか、ベビーベット、ベビーチェアを設置。荷物置き場、水タンク移設等の設計変更により2600系から形状が変更されている。定員46人[1]
2750形
Mc'車[1](松山・徳島・高知方先頭車)。全室普通席車。
暖房機能付き便座を備えた洋式便所を有する。定員52人[1]
2800形
Msc車[1]。松山・徳島・高知方の半室をグリーン席としており、車両中間に間仕切りを有する。
定員36人(グリーン席12席、普通席24席)[1]

沿革・運用[編集]

先行試作車は高松運転所に配置され営業運転を行っている。量産車の投入も進んでおり、高知地区[8]・徳島地区[9]でそれぞれ試運転が行われている。2020年度までにグリーン席付車両を含め40両程度を投入する予定としている[10]

2019年7月29日、先行的に8月6日以降の一部日程で高徳線の特急「うずしお」4往復(2600系運用)に投入し、9月3日以降は土讃線の特急「しまんと」「あしずり」各1往復にも投入後、9月28日より特急「南風」「しまんと」「あしずり」計5往復及び「うずしお」7.5往復を置き換える計画が発表され[1]、8月6日に高松駅で出発式が行われた[11]

脚注[編集]

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出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j “新型特急気動車「2700系」の営業運転について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2019年7月29日), http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2019%2007%2029%2002.pdf 2019年7月29日閲覧。 
  2. ^ a b c d “新型特急気動車「2600 系」の営業運転開始について” (PDF) (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2017年9月25日), オリジナルの2017年9月30日時点によるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20170930213918/http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2017%2009%2025%2001.pdf 2017年9月25日閲覧。 
  3. ^ a b 松沼猛 (2019年2月28日). “JR四国特急、「振子式」脱却阻んだ過酷なカーブ”. 東洋経済オンライン. 2019年6月22日閲覧。
  4. ^ a b c 秋にも土讃線で運行 新型特急2700系公開 JR四国」『徳島新聞』、2019年1月24日。2019年6月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e JR四国2700系が公開される”. 鉄道ファン railf.jp (2019年1月23日). 2019年6月22日閲覧。
  6. ^ 『鉄道ジャーナル』第634号, p. 33.
  7. ^ a b 『鉄道ジャーナル』第634号, p. 34.
  8. ^ JR四国2700系が中村へ”. 鉄道ファン railf.jp (2019年7月28日). 2019年8月17日閲覧。
  9. ^ 徳島地区で2700系の試運転が実施される”. 鉄道ファン railf.jp (2019年7月8日). 2019年8月17日閲覧。
  10. ^ 『鉄道ジャーナル』第634号, p. 35.
  11. ^ “新型特急で訪日客取り込め JR四国、周遊しやすく”. 日本経済新聞. (2019年8月7日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48279390W9A800C1LA0000/ 2019年8月17日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 四国旅客鉄道(株)鉄道事業本部運輸部車両課「新型特急気動車2700系の新製」『鉄道ジャーナル』第634号、鉄道ジャーナル社、2019年8月、 33 - 35頁。

関連項目[編集]