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西鉄3000形電車

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西鉄3000形電車
Nishi-Nippon Railroad - Series 3000 - 01.JPG
基本情報
製造所 川崎重工業
主要諸元
編成 3両編成 (Tc-M-Tc)
2両編成 (Mc-Tc)
5両編成 (Tc-M-T-M-Tc)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
車両定員 先頭車118人(座席44人)
中間車131人(座席56人)
車両重量 先頭車 26 - 28t
中間車 35t
全長 19,500 mm
全幅 2,770 mm
全高 4,096mm
パンタグラフ搭載車4,170 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機
主電動機出力 175kW
歯車比 101:16
編成出力 2連 175kw×3個=525kw
3連 175kw×4個=700kw
5連 175kw×7個=1225kw
制御装置 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
純電気ブレーキ
保安装置 西鉄型ATS
Wikipedia laurier W.png
第47回(2007年
ローレル賞受賞車両

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西鉄3000形電車(にしてつ3000けいでんしゃ)は、西日本鉄道(西鉄)天神大牟田線用の電車2007年(平成19年)鉄道友の会ローレル賞受賞車[1][2]

概要

当初は老朽化した600形700形を、後に2000形および8000形を置き換えるべく、2005年(平成17年)から製造された。導入にあたっては、車両は、鉄道事業の商品であるという考えのもと、以下の3つのコンセプトのもと、車両の仕様を決定した。

一新
現存の車両とは異なる新しいデザインで車両を作り、「ときめき」を感じる車両を作る。
快適
お客様の立場に立ち誰もが利用しやすい「ぬくもり」、「やすらぎ」を提供できる車両を作る。
高品質
社会の共感を得ることができるような「ゆとり」ある移動空間を提供できる車両を作る。

技術的には、車体組み立てへのレーザー溶接を日本のオールステンレス量産車両として初めて採り入れたことが最大の特徴としている。これにより低コストながら高品位な車体が実現できるとしている。以上のようなコンセプトや先進技術の初採用が評価され、2007年(平成19年)のローレル賞を受賞した。

2017年には3両2編成が柳川観光列車「水都」として改造され、7月22日より運行を開始した[3]

車両構造

試乗会開催時における西鉄3000形

車体

車体は軽量化により消費電力を低減するため西鉄車両として初めてステンレス製車体を採用した。側面は2000形5000形に準じ、両開き式の扉を片側3か所に配置しているが、車体幅は従来車よりの2,670mmよりも54mm拡大した2,724mmとし、客室スペースの拡大を図っている。

前頭部は普通鋼製で、傾斜をつけ、丸みのある形状としている。前面は貫通形で、前面窓は両側とも下部を斜めに切ったパノラミックウインドウとなっている。従来車の前面方向幕は行先と列車種別を同時に表示するものであったが、本形式では列車前方から見て左側の窓上に列車種別表示器を、右側窓上に行先表示器を分けて装備した。前照灯および尾灯は従来車と同様に前面窓下に設置しているが、前照灯は従来のシールドビームから高輝度HIDランプディスチャージヘッドランプ)に変更された。

車体塗装は無塗装ステンレス地(前頭部は銀色地)とし、車体側面窓下に西鉄のコーポレートカラーでもある、ブルー・イエロー・レッドの3色の帯を入れ、側面上部にもブルーの帯を入れている。また、貫通扉や、前面排障器(スカート)はブルーとなっている。

パンタグラフは従来の下枠交差式から、振動に対し追従性に優れるシングルアーム式とし、2両編成は大牟田方先頭車に、3両編成は中間車に2基ずつ設置している。冷房装置は従来の集約分散式から集中式に変更されたが、冷房能力は1台あたり46.5kWとし、1両あたりの能力は従来どおりである。なお、高輝度HID前照灯、シングルアーム式パンタグラフ、集中式冷房装置についても西鉄初の採用となった。

台車・機器

台車6050形6157F(F=編成)以来採用されている川崎重工業製の軸梁式軸箱支持ボルスタレス台車KW-161B(動力台車)、KW-162B(付随台車)を採用している。主電動機は出力175kWの全閉外扇形台車装架式かご形三相誘導電動機SEA-412で、2両編成の制御電動車モ3100の連結面側台車は7000形・7050形と同様に、主電動機は1個のみの搭載とされたため、2両編成は1C3M(1基の制御器で3個の主電動機を制御する)となっている。3両編成の大牟田側制御車ク3000は将来の主電動機増設に対応するよう、制御車でありながら台車は動力台車が装着された。

制御装置は、東芝純電気ブレーキ付きIGBT素子によるVVVFインバータで、2両固定編成用と3両固定編成用の2タイプが存在する。2両固定編成はVVVFユニット1群と静止形インバータ (SIV) ユニットを1セット、3両固定編成はVVVFユニット2群とSIVユニットを1セットとし、一体箱に収めて、ぎ装の省スペース化を図っている。制御方式は、主電動機を高速かつ高精度に制御可能なベクトル制御を採用し、高粘着制御を可能とした。さらに、3両編成にはトリプルモードを搭載し、通常走行時の1C2M-VVVF制御の他に、1C4M-VVVF制御や、CVCF (SIV) 制御の3つのモードを制御ユニットに持たせることによって、インバータ1群故障時または、SIV故障時においても切り替え健全なインバータユニットを活用し起動加速度2.5km/h/sを維持しつつ営業運転が可能になっている。

運転台にはカラー液晶ディスプレイを設置しており、主幹制御器は無接点式のワンハンドル形を採用した。

車内

西鉄3000形車内
LCD案内表示器(3017号車)

座席は乗降扉間が転換式クロスシートで、8000形2000形とは異なり乗降扉寄りの座席も転換式となっている。なお、乗降扉と座席の間には仕切り板が取り付けられており、車端の連結部には4人掛けのロングシートを設置している。また室内の騒音低減を図るため、車両間に妻引き戸が設置されている。乗降扉の室内側はステンレス無塗装仕上げである。

車内には液晶ディスプレイが設置されており、主に列車の行き先、停車駅案内、西鉄のCMを流している。7000・7050形と同様にLED式の車内案内表示器もドア上部に千鳥配置で設置されている。

液晶ディスプレイは3001Fで試行的に装備され、3002F・3103F・3104FはLED式案内表示器のみ装備されていたが、3105F以降では液晶ディスプレイが落成時から設置された代わりに、ドア上部のLED式案内表示器は省略された。

液晶ディスプレイ未設置編成についても、2008年(平成20年)2月に3103F、同年3月には3002Fと3104Fにそれぞれ設置された。

7000・7050形・600形・313形と同様に発車予告用の電子ベルも装備されている。

形式番号・編成

以下の各形式がある。編成ごとに車両番号の末尾2桁の数字は統一されている。

  • ク3000:3・5両編成の大牟田方先頭車、制御車(台車は動力台車)、SIV(三相交流200V、60Hz、105kVA)設置
  • モ3100:2両編成の大牟田方先頭車、制御電動車(電動機3個)、パンタグラフ2基、SIV(三相交流200V、60Hz、70kVA)設置
  • モ3300:3・5両編成の中間電動車(電動機4個)、パンタグラフ2基
  • サ3400:5両編成の中間付随車
  • モ3600:5両編成の中間電動車(電動機3個)、パンタグラフ2基
  • ク3500福岡(天神)太宰府方先頭車、制御車

編成は以下のようになっている。

← 大牟田
福岡(天神)・太宰府 →
末尾の番号
30xx
(Tc)
33xx
(M)
35xx
(Tc)
  01・02・06・07・15・16・17・18
31xx
(Mc)
35xx
(Tc)
  03・04・05・08・13・14・19・20
30xx
(Tc)
33xx
(M)
34xx
(T)
36xx
(M)
35xx
(Tc)
09・10・11・12

製造

当初は2005年度から2007年度までに3両編成3本、2両編成4本の計17両を製造することが発表[4]されたが、2007年(平成19年)2月27日に発表された第11次中期経営計画(2007 - 2009年度)の中において、本形式32両の追加投入が盛り込まれた。

2006年(平成18年)3月に3両編成・2両編成各2本(末尾01 - 04)、2007年8月に3両編成・2両編成各1本(末尾05・06)[5]、2008年3月に3両編成・2両編成各1本(末尾07・08)、2009年3月に5両編成2本(末尾09・10)[6]、2010年3月に5両編成2本と2両編成1本(末尾11 - 13)が落成し、2005年度から2009年度までに13編成42両が就役した。

2015年からは8000形との置き換えを目的に導入が進められ、2015年に2両編成1本・3両編成2本(末尾14 - 16)が投入され、2016年に2両編成2本・3両編成2本(末尾17 - 20)が投入された[7]。これにより3両編成8本、2両編成8本、5両編成4本の20編成60両となった。

運用

2006年3月25日から営業運転を開始した。営業運転開始当初は、3両編成2本を連結した6両編成を主に急行に使用し、2両編成2本を連結した4両編成を主に普通に使用していた。その後同年6月3日からは、3両編成と2両編成を連結した5両編成で主に急行に使用されるようになった。2008年より2000形を代替し、2010年3月までの増備で5両編成での最大8本使用が可能となり、日中のすべての急行に3000形が使用されることが多くなった。

2012年(平成24年)夏には、電力需給逼迫により節電要請が出されたため、平日昼間の列車が減車され、通常では行われない5両編成での特急運用や3両編成単独での運用も行われた。

製造が再開された後の2015年(平成27年)4月より8000形の廃車が始まったため、8000形の代替として[8]6両編成(3両編成2本または2両編成3本連結)で特急に使用されるようになった。それ以前にも正月ゴールデンウィークなどの多客期に7両編成として特急運用に入った例や、先述の節電運行時の5両編成特急運用などはあったが、これ以降、通常時にも特急に使用されるようになった。また、2017年7月22日より、3両編成2本(6両編成で運用)が「水都」となり特急に使用されている。5両編成はこれ以降も日中の急行に使用されているが、日中の急行は3000形だけでは賄えなくなったため9000形や5000形も運用されるようになっている。

なお、従来の特急・急行用車両と同様、ラッシュ時には普通列車にも使用される。

ラッピング車両

2016年3月に福岡ドームで開催されたももいろクローバーZのライブにあわせて、2016年3月3日から5月21日まで3011編成に、メンバーが各車両[注 1]にラッピングされた「毎日トレイン にしてつ電車だZ」が運行された[9]。また、3月19日からは急行運用の一部駅到着時に、メンバーによる車内アナウンスも行われていた[10]

2016年7月23日から9月28日まで、3010編成がアニメ映画『ONE PIECE FILM GOLD』のラッピングを施された[11]

2017年2月1日から5月11日まで、3012編成が大木町の農産物をPRするラッピングを施した「おお貴族ラッピング電車」として運行された[12][13]

2017年7月21日から9月8日まで、3012編成が『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』公開を記念した「にしてつポケモンクイズラリー」に合わせ、ドア部分に映画のシーン及びポケモンをラッピング、さらにピカチュウのヘッドマークを掲出した「ポケモントレイン」として運行された[14][15]

2018年5月25日から12月下旬まで、3015+3016編成が「にしてつ110年目の車窓から」をコンセプトに、天神大牟田線系統の全62駅をデザインした110周年記念ラッピング車両として運行された[16][17]

2018年8月11日から天神エリアで開催される「TENJIN AMURO MONTH」及び安室奈美恵のファイナルイベント「namie amuro Final Space」に併せ、5輌1編成にメインビジュアルと展覧会メインビジュアルで装飾したラッピング電車を8月11日から9月16日まで運転[18]。期間中は西鉄福岡(天神)駅の発車メロディが代表曲である「Hero」(オルゴール調)に変更された。

「水都」

2代目「水都」

老朽化した初代「水都」(8000形8061F)を代替するため[3]3017F+3018Fを改造した編成。初代同様、柳川の四季を踏襲し、内装は外装と同じ伝統色で統一感を持たせている。2号車(3317)の車端部にディスプレイキャビネットを設置し、新たに立花家史料館から寄贈された柳川藩主立花家伝来の文化財レプリカが展示される。また、新たに同日から一部駅でサービスを開始した「Nishitetsu Train Free Wi-Fi」に対応し、西鉄電車の車内では初のWi-Fi接続サービスが提供されている[19]。同サービスはNTTBPの訪日外国人向けフリーWi-Fiアプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」に対応しており、路線バスの一部(100円バス、連節バス、Fukuoka Airport Bus)及びはかた号で運用している「Nishitetsu Bus Free Wi-Fi」及び福岡市が展開している「Fukuoka City Wi-Fi」と認証連携する[20]

改造費用は3,300万円。

2017年7月22日に福岡(天神)駅で8000形「水都」と並べての引継式が開催され、同日福岡(天神)11:00発大牟田行き特急より営業運転を開始した。

「旅人」

2代目「旅人」

8000形で最後まで残った初代「旅人」(8051F) の代替を目的として、3010編成を改造した車両。2017年9月16日に運行開始[21]

「水都」と同様に、「Nishitetsu Train Free Wi-Fi」サービスが利用できる。

外装は、8000形旅人とは異なり太宰府の名所・四季を絵巻風にデザイン。それに伴い、各車両のテーマも5つに再編され、3号車には新たに願い事の紙と祈願箱が設置される。改造費用は3,300万円。

2017年9月16日に西鉄福岡(天神)駅で、8000形初代「旅人」との引継式が行われ、10時48分発太宰府行き急行より運用が開始された。

脚注

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注釈

出典

  1. ^ 西日本鉄道ニュースリリース「鉄道友の会選定 西鉄3000形車両が「ローレル賞」受賞!」
  2. ^ 鉄道友の会「2007年 ブルーリボン・ローレル賞選定車両」
  3. ^ a b 柳川観光列車「水都」3000形車両にリニューアル!平成29年7月22日(土)運行開始! - 西日本鉄道 2017年06月23日
  4. ^ 西日本鉄道ニュースリリース「西鉄天神大牟田線に『新型3000形車両』を導入します!」
  5. ^ 西日本鉄道ニュースリリース 「ローレル賞」受賞の3000形 追加導入します!〜より快適な移動時間をご提供〜 - 2007年8月24日(インターネット・アーカイブ)
  6. ^ 西鉄3000形,5連貫通編成が営業運転を開始 - 交友社鉄道ファン」railf.jp鉄道ニュース 2009年3月28日
  7. ^ 【西鉄】3000形新造車が特急運用入り”. 鉄道ホビダス (2015年3月24日). 2015年9月18日閲覧。
  8. ^ 西日本新聞朝刊、2015年3月5日付
  9. ^ ももクロ×にしてつ タイアップ企画「毎日トレイン にしてつ電車だZ」ももクロ仕様のラッピング電車が登場!大好評「西鉄紫駅だZ」看板も再登場します! - 西日本鉄道ニュースリリース(2016年3月2日発表)
  10. ^ ももクロ×にしてつ タイアップ企画第二弾 ラッピング電車にてメンバーによる車内アナウンス開始! - 西日本鉄道 2016年3月18日(2016年3月22日閲覧)
  11. ^ 西鉄3000形に映画「ONE PIECE FILM GOLD」のラッピング車が登場 - railf.jp(鉄道ファン・交友社) 2016年6月24日(2016年6月26日閲覧)
  12. ^ 西鉄電車×大木町 タイアップ企画!「おお貴族ラッピング電車」を運行いたします! - 西日本鉄道ニュースリリース(2017年1月27日発表)
  13. ^ 西鉄で「おお貴族」号が運転される - railf.jp(鉄道ファン・交友社) 2017年2月3日(同日閲覧)
  14. ^ にしてつ・ポケモンクイズラリー - 西日本鉄道 2017年7月20日(2017年7月22日閲覧)
  15. ^ 西鉄天神大牟田線に「ポケモントレイン」登場 - railf.jp(鉄道ファン・交友社) 2017年7月25日(2017年7月25日閲覧)
  16. ^ 西鉄グループはおかげさまで110周年 110周年記念ラッピング電車・バスの運行! - 西日本鉄道 2018年5月21日(2018年5月28日閲覧)
  17. ^ 西鉄3000形に110周年記念ラッピング - railf.jp(鉄道ファン・交友社) 2018年5月26日(2017年5月28日閲覧)
  18. ^ TENJIN AMURO MONTH コラボレーション企画を実施します! - 西日本鉄道 2018年8月1日(2018年8月10日閲覧)
  19. ^ 「Nishitetsu Train Free Wi-Fi」導入について - 西日本鉄道 2017年6月3日(2017年7月22日閲覧)
  20. ^ 西鉄バス一部路線において『Japan Connected-free WiーFi』が利用可能になります - 西日本鉄道 2017年6月23日(2017年7月22日閲覧)
  21. ^ 太宰府観光列車「旅人-たびと-」リニューアル! - 西日本鉄道 2017年8月25日(2017年8月25日閲覧)

参考文献

外部リンク