近鉄7000系電車

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近鉄7000系電車
近鉄7020系電車
共通事項
基本情報
運用者 近畿日本鉄道
製造所 近畿車輛
運用範囲 近畿日本鉄道けいはんな線
大阪市交通局中央線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750V第三軌条方式
最高運転速度 近鉄線内: 95 km/h
地下鉄線内: 70 km/h
編成長 108,400 mm (6両編成)
全長 18,900 mm [1]
全幅 2,900 mm [1]
全高 3,745 mm [1]
車体材質 普通鋼 [1]
主電動機 かご形三相誘導電動機
駆動方式 WNドライブ
制御方式 VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用
全電気指令式電磁直通空気ブレーキ
保安装置 WS-ATC
デッドマン装置
備考 電算記号:HL
ワンマン運転対応
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近鉄7000系電車(きんてつ7000けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)の所有する同社東大阪線(現・近鉄けいはんな線)用の一般車両(通勤形電車)である。

本項では同系の増備車である7020系電車についても記載する。

7000系[編集]

近鉄7000系電車
改造後の7000系(九条駅)
改造後の7000系(九条駅
基本情報
製造年 1984年 - 1989年
製造数 9編成54両
主要諸元
車両定員 (Tc1・Tc2)125(39)人
(M1・T・M2・M3)135(45)人
自重 (Tc1・Tc2)34.0 t
編成重量 207.0 t
台車 KD-92・KD-92A [1][2]
主電動機 かご形三相誘導電動機
型式:MB-5011A [1]
主電動機出力 140kW [1]
編成出力 1,680kW
制御方式 GTO素子VVVFインバータ制御
制御装置 三菱電機製MAP-144-75V03 [1]
日立製作所製VF-HR-104 [1]
制動装置 HRDA-1[1]
備考 定員の括弧内は着席定員
ク7100はTc1、モ7200はM1、サ7300はT、
モ7400はM2、モ7500はM3、ク7600はTc2
で表している。
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第27回(1987年
ローレル賞受賞車両

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近鉄東大阪線(現・近鉄けいはんな線)の開業に向けて製造された車両で[1][2]大阪市営地下鉄中央線に乗り入れるため、集電方式は直流750V第三軌条方式となっている[1][2]。車内放送装置には近鉄のワンマン運転に対応していない車両では初めて自動放送装置が搭載された(ただし初期はテープ放送であった)。

コスモスクエア長田寄りからク7100(Tc)-モ7200(M)-サ7300(T)-モ7400(M)-モ7500(M)-ク7600(Tc) の6両編成を組成している[1][2]愛称スーパー・エレクトロニック・コミューター[3]。電算記号はHL(0番台)[1]

1987年鉄道友の会ローレル賞受賞、1986年には通商産業省(当時)グッドデザイン商品(当時)に選定された[1][2]鉄道車両がグッドデザイン商品に選定されたのはこれが初めてであった。

試作車
乗務員扉の高さが低い先行試作車の7602

1984年7月にク7103-モ7503-モ7502-ク7602の4両が東大阪生駒電鉄の車両として先行試作され、完成部分の路線にて走行試験を行った。この先行試作車両は他車と比べて乗務員扉の高さが低いのが特徴である。1986年の東大阪線開業時にはこの4両は近鉄に編入され、後述の量産車と共に6両編成を組成した。

量産車

1986年の東大阪線開業に合わせて製造され、先述の試作車を含めて6両編成8本48両(7101F - 7108F)が用意された[1][2]1989年には7110Fが増備されたが、増備車が日立製制御装置だったため、三菱製に割り当てる奇数番号の編成を飛ばしたことにより、第9編成は欠番となっている[1][2]。なお、7101F - 7105Fが軌道線、7106F - 7108F・7110Fが鉄道線所属とされている[2]

車体デザイン[編集]

車体は全普通鋼[1][2][* 1]車体長は19mと近鉄標準の20.7mと比べ短いが、車体幅2,900mmと近鉄の車両の中でも最も広く[1][2]、検査回送時に走行する他線区の車両限界を考慮して、側面とTc車前面は腰部から上部までが直線に傾斜しており、裾を1500Rの滑らかな曲線で大きく絞った独特なスタイルをしており[1]、断面上で広幅が最大となっている窓下の位置に座席を配置することで車内空間と立席定員数を確保している[1]。正面形状は連結を考慮しない非常用の貫通扉を装備したデザインとされ[1][2]、塗装はパールホワイトにソーラーオレンジとアクアブルーの帯という他の近鉄一般車と大きく異なったものとなっており[1][2]、側面帯には「◎KINTETSU」(◎は近鉄社紋)のロゴが入る。このカラーリングは東大阪線時代に開業した各駅の意匠にも使用されている。

大阪線五位堂検修車庫検査を受けるため、回送の際には編成を分割、集電靴とドアステップが取り外され電動貨車に牽引される[1]

近鉄の車両では珍しく、前照灯が運転台より下に配されている。近鉄で前照灯が運転台より下に配されている車両は、本系列と後述の7020系を除けば50000系「しまかぜ」しか存在しない。

主要機器[編集]

制御装置は1C4M制御(1台で主電動機4個を制御)のGTO素子VVVFインバータ制御が採用され[2]、制御装置のメーカーは末尾が奇数の編成は三菱電機製、偶数の編成は日立製作所製と異なる[1][2]主電動機は三菱電機製のかご形三相誘導電動機を採用して電動車1両に4基搭載、モーター出力は140kWである[1]

台車近畿車輛製KD-92形(筒形ゴムブッシュ軸箱案内方式)を採用し[1][2]、ホイールベース間隔は2,100mm[2]集電装置はTC-19形を採用し、M車とTc車コスモスクエア側の台車に設置されている[2]。Tc車に圧縮機と補助電源装置として120kVAのサイリスタ発電装置を装備している。制動装置はHRDA-1形(回生ブレーキ連動の全電気指令電磁直通ブレーキ)を採用[1][2]冷房装置は両端屋根に設けたCU-78形(能力20,000kcal/h)のユニットクーラーからダクトを通してラインデリアを併用して送風している。運転台は横軸2ハンドル式デスクタイプ[2]、連結器は大阪市交通局型の密着連結器を両Tc車とTc-M-T間およびM-M-Tc間にそれぞれ装備している[2]

改造[編集]

車体更新

2006年3月27日のけいはんな線の開業に合わせて、2004年に増備用として次項で述べる7020系が登場したことから、本系列も2004年から2006年にかけて車体更新工事が行われた[1]。外装は妻面の窓構造を除いた各部仕様が7020系とほぼ同一に更新され、行先表示器のLED化、車体側面の社名ロゴや車両番号も7020系に準じたデザイン・字体に変更された[1]。車内インテリアも7020系に準じた内装材に交換されたが[1]、座席モケットが本系列独自のデザインに変更され、座席のバケットシート化は行われていない。主要機器は更新以前の仕様をそのまま使用しているが、最高速度向上に伴う制御装置の一部部品の交換も行われた。

アートライナー[編集]

配置検車区[編集]

2017年4月現在、9編成54両が東花園検車区東生駒車庫に配置されている[4]

アートライナー 7104F (生駒駅にて)
アートライナー 7105F (生駒駅にて)
※現在は通常塗装に戻っている
7000系の車内(学研奈良登美ヶ丘駅にて)

7020系[編集]

近鉄7020系電車
近鉄7020系7124F(九条駅)
近鉄7020系7124F(九条駅)
基本情報
製造年 2004年 - 2005年
製造数 4編成24両
運用開始 2004年12月1日
主要諸元
編成 6両編成(3M3T)
編成定員 790(258)人
車両定員 (Tc1・Tc2)125(39)人
(M1・T・M2・M3)135(45)人
台車 KD-92B・KD-92C [1]
主電動機 MB-5104A [1]
主電動機出力 145 kW × 4 [1]
歯車比 14:103(7.36)
編成出力 1,740kW
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制御装置 三菱電機
型式:MAP-154-75V131 [1]
制動装置 KEBS-21A [1]
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2006年3月27日のけいはんな線生駒駅 - 学研奈良登美ヶ丘駅間の開業に伴い、運行距離が伸びる分の車両不足を補うために2004年から2005年にかけて6両編成4本(24両)が新製され、2004年12月1日に営業運転を開始している[1]。既存の7000系をベースに、同時期に製造されていた「シリーズ21」に準拠したバリアフリー設備の設置や細部の設計変更などを施している[1]。ただし、近鉄では公式には本系列を「シリーズ21」の車両群とは扱っていない[1]。電算記号は7000系と同じくHL(20番台)[1]

コスモスクエア・長田寄りからク7120(Tc)-モ7220(M)-サ7320(T)-モ7420(M)-モ7520(M)-ク7620(Tc)の6両編成を組成している[1]。7000系とは異なり、本系列では車両に対する愛称は命名されていない。

主要機器[編集]

7000系はGTO素子によるVVVFインバータ制御を採用しているが、本系列ではIGBT素子によるVVVFインバータ装置を採用しており、4編成全車が三菱電機製の制御装置に統一されている[1]。電動機出力は7000系の140kWから145kWに増強され、高速運転性能を向上させている[1]

車体デザイン[編集]

基本的な意匠は7000系とほぼ同じであるが、側窓形状(一段下降窓から左右一体の上下2分割式窓、上段は内側に開く)や行先表示器LED式となり側面にも設置されたこと[1]、正面窓のワイパー増設、側面帯内の「◎KINTETSU」ロゴおよび車両番号のフォント変更[1]、片持ち式の座席[1]、妻面窓の大きさが差違点である。

車内インテリア[編集]

車内は同時期に製造されていた9020系・9820系など他のシリーズ21車両をベースとしているが[1]、床材は乗降口部分のノンスリップ加工が省略された代わりに耐摩擦加工が施され、黄色の砂模様を散りばめて視認性を向上させた。座席モケットのデザインも変更されたが、座席の材質そのものは9020系などと同一になっている[1]。以上の仕様は、床材のデザインは7000系と2006年以降の車体更新車両に継承され、座席モケットのデザインは7000系や5200系を除いた車体更新車両に継承されており、7000系更新車との内装の差異は座席構造と車内照明カバーの有無のみとなっている。

配置検車区[編集]

2017年4月現在、4編成24両が東花園検車区東生駒車庫に配置されている[4]

アートライナー[編集]

  • 7121F:けいはんな線PR列車 (2008年6月下旬運転終了)
アートライナー 7121F (生駒駅にて)
※現在は通常塗装に戻っている
7020系の車内

参考文献[編集]

  • JTBキャンブックス『近鉄電車 大軌デボ1形から「しまかぜ」「青の交響曲」まで100年余りの電車のすべて』 p.95・p.96・p.227 - p.237 (著者 三好好三、編者 福田静二、出版・発行所 JTBパブリッシング 2016年)ISBN 978-4-533-11435-9 C2065
  • カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」 p.34 - p.37・p.131・p.151(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4-586-50905-8

脚注[編集]

注釈
  1. ^ 近鉄の一般車両において普通鋼車体のVVVFインバータ車両は本系列や7020系を除外すると、1420系1421F(7000系の登場当時は1250系1251F)や5200系が存在する。
出典
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av JTBキャンブックス『近鉄電車 大軌デボ1形から「しまかぜ」「青の交響曲」まで100年余りの電車のすべて』 p.95・p.96・p.227 - p.237 (著者 三好好三、編者 福田静二、出版・発行所 JTBパブリッシング 2016年)ISBN 978-4-533-11435-9 C2065
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t カラーブックス「日本の私鉄 近鉄2」 p.34 - p.37・p.131・p.151(著者・編者 諸河久・山辺誠、出版・発行 保育社 1998年) ISBN 4-586-50905-8
  3. ^ グッドデザイン賞受賞概要 - 日本産業デザイン振興会
  4. ^ a b 鉄道ファン』2017年8月号 交友社 「大手私鉄車両ファイル2017 車両配置表」

関連項目[編集]

外部リンク[編集]