あしずり (列車)
![]() |
画像提供依頼:2700系およびN2000系で運行される「あしずり」の画像提供をお願いします。(2020年12月) |
あしずり | |
---|---|
![]() 2000系気動車による特急「あしずり」 (高知駅 2000年) | |
概要 | |
国 |
![]() |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 高知県 |
前身 | 急行「あしずり」 |
運行開始 | 1990年11月21日 |
運営者 |
四国旅客鉄道(JR四国) 土佐くろしお鉄道 |
路線 | |
起点 | 高知駅 |
終点 | 中村駅・宿毛駅 |
営業距離 |
115.1 km(高知 - 中村間) 138.7 km(高知 - 宿毛間) |
運行間隔 | 7.5往復 |
列車番号 | 2070D+号数 |
使用路線 |
JR四国:土讃線 土佐くろしお鉄道:中村線・宿毛線 |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
座席 |
グリーン車指定席:1号車(半室) 普通車指定席:1号車(半室、土曜・休日2号は除く) 普通車自由席:1 - 3号車(1号車半室、平日2号は1号車除く) |
技術 | |
車両 |
2000系気動車 2700系気動車 (JR四国高松運転所・高知運転所) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 非電化 |
最高速度 | 最高120 km/h (75 mph) |
あしずりは、四国旅客鉄道(JR四国)および土佐くろしお鉄道が、高知駅 - 中村駅・宿毛駅間を土讃線・中村線・宿毛線経由で運行している特急列車である。
概要[編集]
高知県内の主要都市を結ぶ優等列車として、高松駅 - 須崎駅間の準急「土佐」1号・3号の運転区間が窪川駅まで延長されたのを機に「足摺」として1961年4月に運転を開始した。
1968年10月には高知駅以西を急行で走る「南風」「足摺」は統合されて「あしずり」に改称されて7往復運転され、1972年3月に特急「南風」が運転開始されて以降は土讃本線の優等列車として共存していたが、国鉄末期になると利用客が減少し、「南風」に統合されるなどして3往復にまで運転本数が減らされた。1988年3月に瀬戸大橋線が開業したのにあわせて四国内の特急列車の整備が行われたが、「あしずり」は急行列車のまま残された。
しかし、1990年に2000系気動車が「南風」に投入されたことにより車両運用に余裕ができたため、同年11月に「あしずり」は特急列車化された。
列車名は高知県土佐清水市にある足摺岬から採られている。この名前は一般公募によって決められたもので、128票で公募1位であった(以下、2位「竜馬」3位「よさこい」4位「黒潮」となっていた)[1]。
運行概況[編集]
あしずり | ||||||||
← 宿毛・中村 高知 →
| ||||||||
| ||||||||
| ||||||||
| ||||||||
|
2021年3月13日現在、高知駅 - 中村駅間に7往復、高知駅 - 宿毛駅間に1往復の計8往復が運転されている。高知駅で岡山・高松方面の特急「南風」・「しまんと」と接続しており、各列車は基本的に高知駅の同一ホームで乗り換えとなる。
特急に格上げされてからは「南風」・「しまんと」を高知駅で系統分離した色合いが強く、運行本数が上下で違っていたり、運行本数が大きく変わったりしている。使用車両が2000系気動車になってからは、高知運転所からの送り込み列車の色合いが強くなり、上りは大抵の場合「南風」・「しまんと」として高松駅・岡山駅に直通するため、下り5本、上り1本になったり、下り5本のみの時期もあったが、2003年 - 2011年までは臨時も含めて上り列車の運行はなく、定期運行は下りの「あしずり1号」1本のみ設定されていた[注釈 1]。2011年3月には10年ぶりとなる上り列車が「あしずり2号」として復活し、その後「南風」・「しまんと」が系統分離され、高知駅発着となる列車が増えたため、それに伴って「あしずり」の本数も増加することになった。
2019年9月3日より6・9号に2700系気動車が投入され、2020年3月14日より8・9号で運用している(9月27日までは6号は水曜日から土曜日まで、9号は火曜日から金曜日まで2700系気動車で運転)。2020年7月18日より2・15号に2700系気動車が投入され、さらに2021年3月13日改正ダイヤより5・14号に2700系気動車が投入、3往復が2700系による運転となった。
停車駅[編集]
高知駅 - (旭駅) - (朝倉駅) - 伊野駅 - 佐川駅 - (多ノ郷駅) - 須崎駅 - 土佐久礼駅 - 窪川駅 - 土佐佐賀駅 - (土佐上川口駅) - 土佐入野駅 - (古津賀駅) - 中村駅 - 平田駅 - 宿毛駅
- ( )は一部列車のみ停車。
- 旭駅・朝倉駅:下り1・5号/上り6・10号のみ通過。
- 多ノ郷駅:下り9・11・13・15号/上り2・4号のみ停車。
- 土佐上川口駅:下り5号/上り8・14号のみ停車。
- 古津賀駅:上り16号のみ停車。
- 停車駅の詳細は以下の表を参照(2020年3月現在)。
- ■:全列車停車
- □:一部列車のみ直通(全列車停車)
- ●:大部分停車、一部の列車が通過。
- ◀:上りのみ停車、下りは通過。
- ○:大部分通過、一部の列車が停車。
- -:通過
運行時間帯\駅名 | 高知駅 | 旭駅 | 朝倉駅 | 伊野駅 | 佐川駅 | 多ノ郷駅 | 須崎駅 | 土佐久礼駅 | 窪川駅 | 土佐佐賀駅 | 土佐上川口駅 | 土佐入野駅 | 古津賀駅 | 中村駅 | 平田駅 | 宿毛駅 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
上り2本/下り1本 | ■ | - | - | ■ | ■ | - | ■ | ■ | ■ | ■ | - | ■ | - | ■ | □ | □ | 上りの日中半数、下り初便。 上りのうち1本のみ宿毛始発。 |
上り4本/下り6本 | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ● | ■ | ■ | ■ | ■ | - | ■ | ○ | ■ | □ | □ | 上りの早朝および夕方の半数、下りの大半。 上りの夕方2本、下りの日中2本は多ノ郷通過。上り最終便は古津賀停車。夕方の下り1本は宿毛行。 |
上り2本/下り1本 | ■ | ◀ | ◀ | ■ | ■ | - | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | ■ | - | ■ | 上りは日中と夕方に1本ずつ、下りは日中に1本。 旭・朝倉は上りのみ停車。 | ||
上り停車本数 | 8 | 6 | 6 | 8 | 8 | 2 | 8 | 8 | 8 | 8 | 2 | 8 | 1 | 8 | 1 | 1 | |
下り停車本数 | 8 | 6 | 6 | 8 | 8 | 4 | 8 | 8 | 8 | 8 | 1 | 8 | 0 | 8 | 1 | 1 |
車両[編集]
高知運転所・高松運転所に所属する2000系気動車5往復と2700系気動車3往復が使用されている。
ただし、新型コロナウイルス感染症による乗客減により「しまんと1号」高松〜高知間と「しまんと10号」高知〜高松間が一時期運休したのに伴い、その期間は高松運転所2700系使用列車が高知運転所2000系(2000+2200+2100)の3両編成に変更されていた。
1993年3月18日まではキハ181系気動車、キハ185系気動車も使用されていた。
沿革[編集]
準急「足摺」から急行「あしずり」まで[編集]
- 1961年(昭和36年)4月15日:高松駅 - 窪川駅間を運行する準急列車として「足摺」が運転開始。従来の準急「土佐」1号・3号のダイヤを踏襲。
- 1963年(昭和38年)
- 1965年(昭和40年)10月1日:「土佐」の1往復が土佐佐賀駅まで運転区間を延長し、「足摺」に編入。
- 1966年(昭和41年)3月5日:「足摺」が急行列車になる。
- 1968年(昭和43年)10月1日:ヨンサントオのダイヤ改正により、高松駅 - 窪川駅間急行の名称を「あしずり」に変更し、同時に同じ区間を運行していた「南風」も統合する。また、「土佐」の1往復が土佐佐賀駅まで延長する形で編入し、7往復体制になる。
- 1970年(昭和45年)10月1日:中村線の土佐佐賀駅 - 中村駅間開業に伴い、「あしずり」2往復が中村駅まで延長。
- 1972年(昭和47年)3月:「あしずり」の運転区間が中村駅まで延長。
- 1974年(昭和49年)3月1日:「あしずり」の1往復が予土線経由で宇和島駅まで乗り入れ開始(予土線区間は普通列車)。
- 1975年(昭和50年)3月10日:「あしずり」1往復が「南風」に統合。「あしずり4号」の運転区間が中村駅→高知駅間に変更。これにより「あしずり」は中村駅 - 高松駅間で5往復、中村駅 - 高知駅間で上り1本になる。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「あしずり」1号の始発を土佐山田駅に変更し、土佐山田駅 - 高知駅間は普通列車とする。
- 1982年(昭和57年)11月15日:「あしずり」の1往復が廃止され、中村駅 - 高松駅間が下り4本/上り5本、中村駅 - 土佐山田駅間が下り1本、中村駅 - 高知駅間が上り1本になる。
- 1985年(昭和60年)3月14日:「あしずり」の下り1本/上り2本が廃止し、予土線への乗り入れも廃止。
- 1986年(昭和61年)11月1日:「あしずり」の1往復が「南風」に統合。
- 1987年(昭和62年)3月23日:「南風」の下り1本が「あしずり」に統合。
- 1988年(昭和63年)4月1日:JR四国中村線が廃止され、土佐くろしお鉄道に転換。「あしずり」は窪川駅 - 中村駅間が快速列車になる。4月10日には「あしずり」下り2本の高松駅~高知駅間が特急「しまんと」に変更され、「あしずり」の下り列車は4本中3本が高知駅発となった。(上り列車は3本とも高松駅まで運転。)
- 1989年(平成元年)7月22日:「あしずり」「土佐」の1往復が特急「しまんと」に編入。同時に「あしずり」の高松駅乗り入れ終了。
特急「あしずり」[編集]
- 1990年(平成2年)11月21日:「あしずり」が特急列車になり、高知駅 - 中村駅間を下り2本/上り1本で運転開始。同時にエル特急に指定される。
- 1991年(平成3年):「あしずり」が3往復に増発(キハ181系を使用)。時刻表では「しまんと1・12号」を含めグリーン車連結の3両編成になっていたが、実際は毎日1両の増結が入り3両で運行されたことはなかった。
- 1993年(平成5年)
- 3月18日:「あしずり」の全列車が2000系になり、下り2本/上り1本になる。
- 10月:「あしずり」が下り3本/上り2本になる。
- 1997年(平成9年)10月1日:土佐くろしお鉄道宿毛線開業により、「あしずり」の一部列車が宿毛駅発着になる。
- 1998年(平成10年)
- 1999年(平成11年)3月13日:「あしずり」が下り5本/上り1本になる。
2000年代の動き[編集]
- 2001年(平成13年)3月3日:「あしずり」の上り列車が廃止され、下り5本のみとなる。
- 2003年(平成15年)10月1日:「あしずり」の宿毛駅への乗り入れを中止し、「あしずり1号」(高知駅→中村駅間)のみの運行となる。
- 2006年(平成18年)3月18日:この日の改正で号数表示が無くなる。
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)3月14日:高知駅 - 須崎駅間の臨時特急「あしずり51号」が設定され、下り2本に。定期列車に再び号数表示される[4]。
2010年代の動き[編集]
- 2010年(平成22年)3月13日:「あしずり51号」が廃止[5]。
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により、次のように変更[6]。
- エル特急の呼称を廃止。
- 2001年以来10年ぶりとなる上り列車「あしずり2号」(中村駅→高知駅)が運転開始。
- 毎日運転の臨時特急として下り「あしずり51号」(高知駅→宿毛駅)と上り「あしずり54号」(中村駅→高知駅)を設定。これによって宿毛駅乗り入れを再開する。これにより「あしずり1号」は3号に変更。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により次のように変更[7]。
- 「南風」「しまんと」の中村駅・宿毛駅発着列車を系統分割する形で、「あしずり」を3往復増発。これによって5往復(1往復は毎日運転の臨時)体制となる。また、「あしずり9号」が「アンパンマン列車(オレンジ)」での運転となる。
- 毎日運転の臨時列車として、早朝に窪川駅始発の「あしずり52号」を設定。
- 「あしずり54号」を廃止。
- 2013年(平成25年)3月16日:ダイヤ改正により、1往復(4・7号)が多ノ郷駅に臨時停車するようになる[8]。
- 2014年(平成26年)3月15日:ダイヤ改正により次のように変更[9]。
- 中村駅・宿毛駅発着の「南風」を系統分離し、「あしずり」2.5往復(下り3本/上り2本)を増発。
- 「あしずり3号」を「しまんと1号」に統合し、廃止。
- 宿毛駅発着列車の一部を中村駅発着に変更する。
- 毎日運転の臨時「あしずり」1往復(51・52号)を廃止。
- 2019年(平成31年・令和元年)
2020年代の動き[編集]
- 2020年(令和2年)
- 3月14日:土佐くろしお鉄道中村発の「南風」6号の中村 - 高知間が分離され、「あしずり」2号に変更となった。これにより、2700系気動車で運行の「あしずり」6号が8号に変更となった。「あしずり」15号が多ノ郷駅に新規停車する。また、古津賀駅停車の「あしずり」が14号から16号に変更した[12][13][14]。
- 5月16日:新型コロナウイルス感染症による乗客減により、「あしずり」1号・10号が6月12日まで運休、さらに5月16日からは「あしずり」5号・14号も6月12日まで運休[15]。
- 7月2日:下り3号、上り6・12号で2000系アンパンマン列車(オレンジ)によるラストランを実施。
- 7月18日:下り15号、上り2号が2700系による運転に変更[16]。
- 2021年(令和3年)3月13日:ダイヤ改正により、2700系使用列車が2本増発(下り5号・上り14号が2000系から置き換え)され、合計6本となる[17]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 2006年3月18日からは号数表示が無くなり、「あしずり」とのみ表記されていたが、2009年3月14日のダイヤ改正より、毎日運転の臨時特急「あしずり51号」が設定されたことにより復活。2010年に一度「あしずり」51号が廃止されて以降も「あしずり」1号の呼称は残された。
出典[編集]
- ^ “「宇和海」「あしずり」新特急の愛称決まる”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (1990年9月8日)
- ^ 『時刻表復刻版 1975年 03月号』,JTBパブリッシング(Kindle版、位置No. 173/639)
- ^ “平成20年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2007年12月20日), オリジナルの2007年12月23日時点におけるアーカイブ。 2007年12月23日閲覧。
- ^ “平成21年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2008年12月19日), オリジナルの2008年12月22日時点におけるアーカイブ。 2008年12月22日閲覧。
- ^ “平成22年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2009年12月18日), オリジナルの2009年12月21日時点におけるアーカイブ。 2009年12月21日閲覧。
- ^ “平成23年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2010年12月17日), オリジナルの2010年12月20日時点におけるアーカイブ。 2010年12月20日閲覧。
- ^ “平成24年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2011年12月16日), オリジナルの2011年12月17日時点におけるアーカイブ。 2011年12月17日閲覧。
- ^ “平成25年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2012年12月21日), オリジナルの2012年12月24日時点におけるアーカイブ。 2012年12月24日閲覧。
- ^ “平成26年3月ダイヤ改正について” (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2013年12月20日), オリジナルの2013年12月25日時点におけるアーカイブ。 2013年12月25日閲覧。
- ^ “平成31年3月ダイヤ改正について”. 2019年4月2日閲覧。
- ^ “新型特急気動車「2700 系」の営業運転について”. 四国旅客鉄道. 2019年8月1日閲覧。
- ^ “土佐くろしお鉄道からのお知らせ” (日本語). 土佐くろしお鉄道. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “2020年3月ダイヤ改正について”. JR四国. 2020年3月11日閲覧。
- ^ 交通新聞社『JR時刻表』2020年3月号
- ^ “新型コロナウイルスの影響による運休等について【特急列車】 :JR四国”. www.jr-shikoku.co.jp. 2020年5月22日閲覧。
- ^ 『JR時刻表』2020年7月号
- ^ “2021年3月ダイヤ改正について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 四国旅客鉄道, (2020年12月18日), オリジナルの2020年12月18日時点におけるアーカイブ。 2020年12月21日閲覧。
参考文献[編集]
- 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』中央書院、2001年7月24日。ISBN 4-88732-093-0。ISBN 978-4-88732-093-2。
外部リンク[編集]
- 車両情報<2000系特急気動車> - 四国旅客鉄道
- アンパンマン列車 - 四国旅客鉄道 四国旅行 JR四国ツアー(駅コミ)
- 特急車両2000系 - 土佐くろしお鉄道
- 特急「南風」「あしずり」アンパンマン列車 - 土佐くろしお鉄道
|