ビートレスク
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ビートレスク (Beatlesque; [ˌbiːtəlˈɛsk], Beatles-esque) は、イギリスのロックバンド、ビートルズに音楽的に似ていることを指す用語。定義が曖昧なため、様々な種類のアーティストに対して用いられている[1]。
定義
[編集]ビートルズらしさをより明確にするため、ラジオプロデューサーのケヴィン・ハウレット、音楽プロデューサーのロブ・ボーマン、クラトゥのドラマーであるテリー・ドレーパーが、次の8項目を提案している。
- 「ペニー・レイン」のようなピアノのトーン・クラスター(「ゲッティング・ベター」や「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」にも登場する)
- 壮大なエンディング(「イッツ・オール・トゥ・マッチ」)
- ブルーグラスに影響を受けた密集和声
- 「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のようなチェロ
- レノン=マッカートニーの文体の対比
- リンゴ・スターのように左利きのドラマーが右利き用のドラムキットを用いること
- クラトゥのように、観客がビートルズの延長線上にあると感じるバンド
- ビートルズのサウンドを模倣したもの(オリジナル性のないコピー)[1]
『トロント・スター』誌のジャック・サカモトは、「パニック!アット・ザ・ディスコから、ビリー・ジョエル、レッド・ホット・チリ・ペッパーズに至るまでが、ビートルズに似ていると言われることがある。しかし、ビートルズ自身がこのビートルズらしさを持っているかどうかについては、議論の余地がある」と述べている[1]。『カルチャー・ソナー』のスコット・フレイマンは、ビートルズらしいバンドには、「複数のソングライターとヴォーカリストが在籍し、歌い手やソングライターがバックバンドを従えたバンドの形式となっている」としている[2]。
また、『ローリング・ストーン』誌のロブ・シェフィールドは、2017年、「ビートルズ的」という言葉が最も似合うのはポール・マッカートニーだとし、「ビートルズが嫌いなら、それはポールが嫌いだから。欠点はあるにしろビートルズを愛しているなら、その欠点はポールの欠点だ」と評している[3]。
関連するアーティスト
[編集]ビートルズ的と評される著名なアーティスト
- バッドフィンガー[1][2] – ビートルズが創設したアップル・レコードからの最初のアーティスト。楽曲「カム・アンド・ゲット・イット」(1969年)、「嵐の恋」(1970年)、「デイ・アフター・デイ」(1971年)はそれぞれ、ポール・マッカートニー、ビートルズのローディーだったマル・エヴァンズ、ジョージ・ハリスンがプロデュースしている。
- ビッグ・スター[2][4] – 1970年代、ビートルズに影響を受けた作品を発表して高い評価を受けたが、不和が絶えず、短命に終わった。商業的な成功には至らなかったものの、批評家からは絶賛され、カルト的な人気を得ている[5]。
- バーズ[6][7] – 「アメリカのビートルズ」と呼ばれることがある[2]。長期的にみたサウンドやスタイルの影響力はビートルズに匹敵するほどであるが、レコードの売り上げでは及ばなかった[8]。
- チープ・トリック[2][9] – 「アメリカのビートルズ」と呼ばれることがある[9]。また、1980年のアルバム『オール・シュック・アップ』はジョージ・マーティンがプロデュースを担当しており、オーケストラをバックにビートルズの楽曲を演奏したライヴが『Sgt. Peppers Live』(2009年)に収録されている[10]。
- エレクトリック・ライト・オーケストラ[1][2][4] – 「ビートルズの後継となる」ことを目指して結成され、ビートレスクのバンドとしては珍しく長期にわたって商業的な成功を得た。また、フロントマンのジェフ・リンは、1980年代後半からジョージ・ハリスンと共同作業を行うようになり、ビートルズ関連のプロジェクトにも多く参加している。1970年代のはじめ、ジョン・レノンはELOを「ビートルズの息子」として賞賛し、1973年の楽曲「ショウダウン」をお気に入りに挙げている[4]。
- クラトゥ[1] – ビートルズが再結成したとの誤った噂が流れた[1]。「カナダのビートルズ」と呼ばれることがある[11]。
- オアシス[1][2][12] – ビートルズからの影響をメディアは「執着」と報道した[13]。1991年から2009年までのキャリアにおいて、文化的、社会的に広範囲な成功をおさめ、ビートルズ以来の人気バンドとなった[2]。
- スクイーズ[2] – クリス・ディフォードとグレン・ティルブルックの作曲ペアは、レノン=マッカートニーと比較されることがある。
その他
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h Sakamoto, John (1 November 2013). “What do we really mean by 'Beatlesque'?”. Toronto Star
- ^ a b c d e f g h i j k l Freiman, Scott (12 November 2016). “15 Bands Following in the Beatles' Footsteps”. CultureSonar. 3 January 2019閲覧。
- ^ Williams, John (4 May 2017). “The Inexhaustible Four”. The New York Times 10 July 2019閲覧。
- ^ a b c “ELO: The band the Beatles could have been”. The Guardian. (16 October 2008) 9 December 2014閲覧。
- ^ Big Star: The Unluckiest Band In America : NPR
- ^ Inglis, Sam (2003). Neil Young's Harvest. Bloomsbury Publishing. p. 12. ISBN 978-1-4411-8896-0
- ^ Kemp, Mark (2006). Dixie Lullaby: A Story of Music, Race, and New Beginnings in a New South. University of Georgia Press. p. 27. ISBN 978-0-8203-2872-0
- ^ Schinder, Scott; Schwartz, Andy (2008). Icons of Rock. Greenwood Press. pp. 257–258. ISBN 978-0-313-33846-5
- ^ a b Szczechowski, Joe (21 October 2015). “Cheap Trick's five most underrated songs”. Axs.com 26 December 2018閲覧。
- ^ SGT. Pepper Live – Cheap Trick|AllMusic
- ^ North of America The Sepultura EP Review|Pitchfork
- ^ Young, Clive (2004). Crank It Up: Live Sound Secrets of the Top Tour Engineers. Hal Leonard. p. 167. ISBN 978-1-61774-510-2
- ^ Glassman, Julie (30 November 2001). “The Beatles' musical footprints”. BBC News
- ^ Crouse, Richard (2012). Who Wrote the Book Of Love?. Doubleday Canada. p. 108. ISBN 978-0-385-67442-3
- ^ George, Nelson (2003). The Death of Rhythm and Blues. Penguin Publishing Group. p. 165. ISBN 978-1-101-16067-1
- ^ Unterberger, Richie (2003). Eight Miles High: Folk-rock's Flight from Haight-Ashbury to Woodstock. Backbeat Books. pp. 39–. ISBN 978-0-87930-743-1
- ^ David Giles (14 November 1987). “The Likely La's”. NME (United Kingdom). オリジナルの26 October 2009時点におけるアーカイブ。 1 July 2011閲覧。.
- ^ Bob Stanley (10 June 1989). “Side Lines”. Melody Maker (United Kingdom). オリジナルの26 October 2009時点におけるアーカイブ。 1 July 2011閲覧。.
- ^ Unterberger, Richie. “Por Favor! - Los Shakers”. AllMusic. May 10, 2017閲覧。
- ^ Riley, Tim (2002). Tell Me Why: A Beatles Commentary. Da Capo Press. p. 340. ISBN 978-0-306-81120-3
- ^ Johnston, Richard (2004). How to Play Rhythm Guitar: The Basics & Beyond. Backbeat Books. p. 63. ISBN 978-0-87930-811-7
- ^ “Panic at the Disco's Secret Influences From the Beatles to Alice in Wonderland to Fellini, the cultural inspirations that make up the band's sound and vision”. Rolling Stone .
- ^ “Ten Years Ago, Panic at the Disco Took a 'Pretty' Big Risk With Their Second Studio Album”. Billboard .
- ^ “Let! Them Be”. SPIN: 92. (April 2008) .