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パワー・ポップ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パワー・ポップ
Power pop
様式的起源 ロックハードロックガレージロックポップ・ロック
文化的起源 1970年代。イギリスアメリカ合衆国にて。
使用楽器 ドラム
ギター
キーボード
ベース
シンセサイザー
派生ジャンル ギターポップ
融合ジャンル
ニュー・ウェイヴ
パンク・ロック
シンセポップ
関連項目
ポップ・パンク
ブリットポップ
オルタナティヴ・ロック
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パワー・ポップPower pop)とは、ロックの形態の一種である。ポップなメロディと、はじけるようなサウンドが特徴となっている。イギリスアメリカ1970年代に発生した。

概要

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一般的には1960年代ビートルズ等に代表されるブリティッシュ・ロックを起源としており、イギリスで発生したジャンルとも言える[1][2]

オールミュージックは、このスタイルを「ザ・フーの歯ごたえのあるハードロックと、ザ・ビートルズザ・ビーチボーイズの甘いメロディシズムとの間のクロスであり、ザ・バーズの鳴り響くギターが適切に投入されている」と説明している。[3]

ちなみに「パワー・ポップ」という呼称は、ザ・フーピート・タウンゼントが、自分たちのサウンド・スタイルをそう呼ぶようになったのが発端だと言われている[4]。それ以降、「ポップ・ロックグラム・ロックパンクなどの中で、はじけるようにポップなサウンドが特徴の音楽」を、「パワー・ポップ」と呼ぶようになった[5]。 パワー・ポップは1970年代に全盛期を迎えた。

歴史

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チープ・トリックのライブ
(1978年)

パワーポップの出発点は1960年代のザ・フーのサウンド・スタイルであり、彼らに影響を受けたザ・ムーヴナッズらがそれに続いた。しかし、パワーポップのジャンルを確立した元祖とされているバンドは、1970年代初期にビートルズの流れを引き継ぎながら、ポップで適度にハードなサウンドを奏でていたバッドフィンガー[6]ラズベリーズ[7]である。

同時期には当時は無名だったビッグ・スターがデビューし、1970年代中頃にはドワイト・トゥイリー・バンドビー・バップ・デラックスパイロットなども登場した。ただし、70年代前半はパワー・ポップというジャンルがレコード会社音楽産業において脚光を浴びることは少なった。ドワイト・トゥイリー・バンド、とパイロットはヒット曲を持っている。

1970年代後半になると、アメリカでは1978年カーズチープ・トリック1979年ザ・ナックなど、メジャーなヒットを飛ばすバンド群が、パワー・ポップとして人気を博すようになった[8]。その後も、フレイミン・グルーヴィーズプリムソウルズルビナーズ20/20など、後続のバンド達もアメリカから次々と登場し、1970年代末をパワー・ポップ黄金期と呼ぶ「一部の」音楽評論家まで登場したが、これはあくまでも少数意見である[9]。 一方、同時代のイギリスでは、トム・ロビンソン・バンドや、スージー・アンド・ザ・バンシーズニック・ロウXTCプリテンダーズブラム・チャイコフスキーなどのパンクニュー・ウェイヴ勢の一部が、メロディアスでポップなパワー・ポップを演奏していた。

1980年代前半から中頃にかけては、マーシャル・クレンショウロマンティックスが、1970年代を想起させるパワー・ポップを発表した。また1980年代後半には、マシュー・スウィートヴェルヴェット・クラッシュなどが登場した。しかし、いずれのミュージシャンも一定の人気はあるものの、商業的には大きな成功を収められず、パワー・ポップ自体も1970年代の『パワー・ポップ黄金期の十年』当時の勢いを失っていった。

1990年代初頭には、グランジ/オルタナティヴ・ロックに注目が集まった。パワー・ポップ・バンドではザ・ポウジーズティーンエイジ・ファンクラブジェリー・フィッシュといったバンドが登場した。ウィーザーは、パワー・ポップ・バンドとしてヒットも出すことができた。

2000年以降になると、ファウンテインズ・オブ・ウェインオール・アメリカン・リジェクツなどのバンド達が登場し始めた。特にオール・アメリカン・リジェクツは、若い世代のファンを獲得し、ヒットを記録した。

パワー・ポップに分類されるアーティスト

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脚注

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  1. ^ https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%83%E3%83%97%5Bpower%20pop%5D-813613
  2. ^ http://www.nostalgiacentral.com/music/powerpop.htm
  3. ^ https://www.allmusic.com/style/power-pop-ma0000002793
  4. ^ http://www.bounce.com/article/article.php/4732
  5. ^ Power pop
  6. ^ ポール・マッカートニー作曲の「カム・アンド・ゲット・イット」などのヒット曲を持つ
  7. ^ 「ゴー・オール・ザ・ウェイ」「明日を生きよう」「レッツ・プリテンド」などの代表曲がある
  8. ^ Power pop
  9. ^ Power pop

外部リンク

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