スムーズジャズ
| スムーズジャズ Smooth Jazz | |
|---|---|
| 様式的起源 |
フュージョン ポップ・ミュージック リズム・アンド・ブルース |
| 文化的起源 | 1970年代、アメリカ合衆国 |
| 使用楽器 | サクソフォーン、ギター、ピアノ、トランペット、シンセサイザー、エレクトリックベース、ドラムス |
スムーズジャズ(英: Smooth Jazz)は、ジャズのサブジャンル。フュージョンから派生したジャンルであり、即興演奏よりもリズムやグルーヴが重視され、洗練された側面が強調されている[1][2]。シンセサイザー、ファンク調のリズムおよびベース、しなやかなギター、トランペットやアルト・サックスまたはソプラノ・サックスが主に使用される[1]。
ハード・バップのような理知的な雰囲気や、ソウル・ジャズやグルーヴ系のような泥臭さのあるファンクの要素はなく、主張しすぎない滑らかな演奏がなされ、個々のパートよりも全体的なサウンドの響きが重視される[1]。
フュージョンとともに「コンテンポラリー・ジャズ」に含まれることがあり、AORなどとともに「NAC(ニュー・アダルト・コンテンポラリー)」に含まれることがある[3][4][5]。日本ではスムースジャズとも発音・表記される[3][4]。
歴史
[編集]1970年代半ばのアメリカでジャズとイージーリスニングに軽快なR&Bを組み合わせた音楽がフュージョンに取って代わる形で登場[1][6][4]。フュージョンに見られるような即興演奏における「冒険的な試み」を避け、メロディの構成を重視するといった特徴があった[1][6]。当初は「スムーズ・ラジオ」として認知されていたが、1980年代に入ってから「スムーズ・ジャズ」と称されるようになる[7]。「スムーズ・ジャズ」という名称は、1980年代後半に行われたラジオ局のマーケティング活動として行われたフォーカスグループにおいて、参加者の1人が「スムーズ・ジャズ」という言葉を考案し、それがそのまま定着したもの[8][9]。
スムーズ・ジャズの先駆けとなる作品として、ヒュー・マセケラの「Grazing in the Grass」(1968年)、ボブ・ジェームスの「Nautilus」(1974年)、グローヴァー・ワシントン・ジュニアの「Mister Magic」(1975年)などが挙げられ、スムーズ・ジャズ初期のヒット作としてはジョージ・ベンソンの「Breezin'」(1976年)、チャック・マンジョーネの「Feels So Good」(1977年)[10]、ボビー・コールドウェルの「What You Won't Do for Love」(1978年)、スパイロ・ジャイラの「Morning Dance」(1979年)[11]、グローヴァー・ワシントン・ジュニアとビル・ウィザースが共演した「Just the Two of Us」(1981年)が挙げられる。
1980年代から1990年代にかけては、アニタ・ベイカー、シャーデー、アル・ジャロウ、グローヴァー・ワシントン・ジュニア、ケニー・Gなどが数々のヒット曲を発表し、スムーズ・ジャズの人気を高めた[12][13][4]。
一般的にスムーズ・ジャズは遅めのテンポであり、BPMがおよそ90から105となっている。プログラムされたリズムやパッド音、サンプリング音などで構成されたバッキング・トラックの上にリードとなるメロディ楽器が重ねられ、メロディ楽器はソプラノサックスとテナーサックスが最も人気があり、ギターがそれに次ぐ。
ケニー・Gが1992年に発表したアルバム『ブレスレス』はケニー・Gの人気絶頂期を迎えた作品であった一方で、その「味気ない」サウンドに対する批判が目立つようにもなった[7]。音楽評論家のジョージ・グラハムは、「ケニー・Gのようなミュージシャンのいわゆる『スムースジャズ』サウンドには、1970年代の全盛期におけるフュージョンシーンの最高峰を特徴づけていた情熱と創造性が全くない」と評した。
「スムーズ・ジャズ」はラジオの放送フォーマットとして人気を博し、1980年代から1990年代にかけての隆盛を経て、2000年代初頭には徐々に衰退した[4]。2009年までにはアメリカの多くの放送局が「スムーズ・ジャズ」のフォーマット採用を取りやめている[14]。
主なミュージシャン
[編集]※出典[1]
- BWB
- TAKE 6
- アコースティック・アルケミー
- アル・ジャロウ
- アレックス・ブニオン
- イエロージャケッツ
- ウェイマン・ティスデイル
- ウォーレン・ヒル
- ウォルター・ビーズリー
- エヴァレット・ハープ[4]
- エリック・ダリウス[4]
- エリック・マリエンサル
- カーク・ウェイラム[4]
- キャンディ・ダルファー
- グラント・ガイスマン
- クリス・ボッティ、トランペット
- クレイグ・チャキーソ
- グレッグ・カルーカス
- グローヴァー・ワシントン・ジュニア[4]
- ケヴィン・ユーバンクス
- ケニー・G[4]
- ザッカリー・ブルー
- ザ・サックス・パック[4]
- ジーン・ダンラップ
- ジェイ・ベッケンスタイン
- ジェシー・J
- ジェフ・カシワ
- ジェフ・ローバー
- ジェラルド・アルブライト
- シャーヒーン&セーペア
- ジョイス・クーリング
- ジョー・サンプル
- ジョージ・ハワード[4]
- ジョージ・ベンソン
- ジョナサン・バトラー
- ジョン・クレマー
- ジョン・ルシアン
- スキップ・マーティン
- スタンリー・タレンタイン
- スティーヴ・リード
- スパイロ・ジャイラ
- スペシャルEFX
- タック&パティ
- ダン・シーゲル
- チャック・マンジョーネ
- デイヴィッド・サンボーン
- デイヴィッド・ベノワ
- デイヴ・グルーシン
- デイヴ・コーズ[4]
- トム・スコット
- ドン・グルーシン
- ナジー[4]
- ニューヨーク・ヴォイセス
- ネスター・トーレス
- ネルソン・ランジェル
- ノーマン・コナーズ
- バーニー・ウィリアムス
- パウリーニョ・ダ・コスタ
- ピーセズ・オブ・ア・ドリーム
- ピーター・ホワイト
- ヒューストン・パーソン
- ヒロシマ
- フィリップ・カテリーン
- フォープレイ
- ブライアン・カルバートソン
- ベン・シドラン
- ポール・テイラー
- ボニー・ジェイムス[4]
- ボビー・コールドウェル
- ボビー・ライル
- ボブ・ジェームス
- マイク・スターン
- マイケル・パウロ[4]
- マイケル・フランクス
- マイケル・リントン
- ミンディ・エイベア[4]
- ユージ・グルーヴ[4]
- ラス・フリーマン
- ラリー・カールトン
- リー・リトナー
- リチャード・エリオット[4]
- ザ・リッピントンズ
- ロニー・ジョーダン
- ロニー・ロウズ
- 松居慶子
コンピレーション・アルバム
[編集]2020年から2023年にかけて、音楽ライターの中田利樹が選曲したスムーズ・ジャズのコンピレーション・アルバムのシリーズがタワーレコード限定で発売された[15]。
| 発売日 | タイトル | 規格品番 |
|---|---|---|
| 2020年7月15日 | Afterglow AOR AGE Smooth Jazz Collection 1.[CDアルバム]
2.[CDアルバム]
|
WQCP-1614[16] |
| 2021年7月9日 | Nightfall AOR AGE Smooth Jazz Collection 1.[SHM-CD]
2.[SHM-CD]
|
PROZ-1135[17] |
| 2022年5月25日 | Morning Glory - AOR AGE Smooth Jazz Collection DISC1
DISC2
|
WQCP-1626[18] |
| 2023年12月20日 | Night Breeze - AOR AGE Smooth Jazz Collection DISC1
DISC2
|
SIC7-30000[19] |
主なレーベル
[編集]- GRPレコード(ヴァーヴ/ユニバーサル・ミュージック傘下)
- ヘッズ・アップ(テラーク/コンコード傘下)
- ナラダ・プロダクション(ナラダ・レコード、ナラダ・ジャズ(ジャズ部門)とも。ヴァージン/EMI傘下)
- ハイアー・オクターヴ(ナラダ傘下)
- ピーク・レコード(コンコード傘下)
- ウィンダム・ヒル・レコード(RCA/BMG傘下) - 現在はジャズ部門を閉鎖。
- ランデヴー・エンタテインメント
- アーティストリー・ミュージック
- シャナキー・レコード(レゲエ中心、インデペンデント・レーベル)
脚注
[編集]- 1 2 3 4 5 6 “Smooth Jazz Music Genre Overview” (英語). AllMusic. 2026年7月13日閲覧。
- ↑ “The Roots of Smooth” (英語). 2018年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年7月14日閲覧.
- 1 2 “ジャズのジャンルガイド<歴史、特徴、代表曲を紹介>(後編)”. Audio-Technica (2025年7月13日). 2026年7月13日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 “Smooth Jazz Vibes THE SAX vol.56 特集”. THE SAX ONLINE. pp. 1-5. 2026年7月13日閲覧。
- ↑ “contemporary jazz” (英語). dictionary.cambridge.org (2026年7月8日). 2026年7月13日閲覧。
- 1 2 “Fusion”. AllMusic. 2011年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月7日閲覧。
- 1 2 ジョイア, テッド『The History of Jazz』Oxford University Press、2011年5月9日、337頁。ISBN 9780195399707。
- ↑ Marshall, Colin (July 6, 2023). “The Rise and Fall of Smooth Jazz”. The New Yorker.
- ↑ Network, Smooth Jazz (2025年1月16日). “Allen Kepler Celebrates 40 Years in Smooth Jazz” (英語). Smooth Jazz Network. 2025年7月4日閲覧。
- ↑ (英語) Chuck Mangione: Feels So Good Tracks & Reviews | AllMusic 2026年7月10日閲覧。
- ↑ (英語) Spyro Gyra - Morning Dance, (1979) 2026年7月10日閲覧。
- ↑ Larson, Thomas (2002). History and Tradition of Jazz. Kendall Hunt. p. 188. ISBN 9780787275747
- ↑ “EVENTS | Smooth Jazz New York” (英語). Smooth Jazz New York. 2026年7月10日閲覧。
- ↑ Layman, Will (2014年9月22日). “Jazz of the '00s: Jumping Past the Great Divide » PopMatters” (英語). 2026年7月13日閲覧。
- ↑ “タワレコ発!アメリカのスムース・ジャズ系ラジオ局の定番の楽曲を集めたコンピレーション第4弾。超人気曲から、隠れ名曲までをCD2枚に凝縮した『Night Breeze - AOR AGE Smooth Jazz Collection』 - TOWER RECORDS ONLINE”. 2026年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年7月14日閲覧.
- ↑ “Afterglow AOR AGE Smooth Jazz Collection<タワーレコード限定>”. TOWER RECORDS ONLINE. 2026年7月14日閲覧。
- ↑ “Nightfall AOR AGE Smooth Jazz Collection<タワーレコード限定>”. TOWER RECORDS ONLINE. 2026年7月14日閲覧。
- ↑ “Morning Glory - AOR AGE Smooth Jazz Collection<タワーレコード限定>”. TOWER RECORDS ONLINE. 2026年7月14日閲覧。
- ↑ “Night Breeze - AOR AGE Smooth Jazz Collection<タワーレコード限定>”. TOWER RECORDS ONLINE. 2026年7月14日閲覧。