ソフトロック

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ソフトロック
Soft-rock
様式的起源 ロック、クラシック音楽インストゥルメンタル
文化的起源 1960年代中期~1970年代前半
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イギリスの旗 イギリス
カナダの旗 カナダ
使用楽器 ギターベースドラムヴァイオリンチェロボーカル木管楽器鍵盤楽器など
融合ジャンル
アダルト・コンテンポラリー
関連項目
AOR

ソフトロック(Soft Rock)は、1960年代半ばから1970年代前半にかけて製作、バロック・ポップ的なサウンドや、美しいメロディコーラスを持つ曲に代表されたポピュラー音楽、ロックのジャンル。ただし、範囲は曖昧で明確になっているわけではない。

概要[編集]

ソフト・ロックの草分け的なグループとしては、1960年代半ばから後半にかけてのアソシエーション、トミー・ジェイムス&ションデルズ[1]、ゾンビーズ、デイヴ・クラーク・ファイヴ[2]らがあげられる。なお、ソフトロックという音楽用語の特徴は、日本の国内外で解釈が異なっている点にある。

例えば百科事典英語版では、柔らかくて聞き心地が良い音楽と定義し、アダルト・コンテンポラリー的な取り上げ方をされている。ロックに「ソフト」という言葉を充てることは、ときにはロックのファンの一部を怒らせることもある。ジョージ・カーリン(コメディアン)は、「ソフトロックはロックではない。そしてそれは音楽ではない」 「それはただソフトなだけなのだ」と手厳しい。

また、イージー・リスニングやMOR (middle of the road)〈中道、ロックとポップスとの中間という意〉と呼ばれているジャンルの内、一部のアーティストを指しているとの見解もある。その後、ソフト・ロックはアルバムを中心に大人向けの音楽を作るAORや、アダルト・コンテンポラリーへと変化していったというのが、百科事典英語版の見解のようである。「ハードではないロック」で、「アダルト・コンテンポラリー・ミュージック」(日本でいうAOR)に近い分類がなされている。なお、有名なインターネット音楽サイト、All Musicはフランク・シナトラ、バーブラ・ストライザンドらのエンターテイナーを「ソフト・ロック」としてあげるなどの、致命的な誤りが見られる。

詳細[編集]

ヨーロッパではフランスのシルヴィ・バルタン、フランソワーズ・アルディ、フランス・ギャル、イタリアのジリオラ・チンクエッティらがヒットを出した。日本では、東芝音楽工業から当時リリースされたハーパース・ビザールやアソシエイション[3]のアルバム、またワーナー・パイオニアからのブレッドのアルバムに、ソフト・ロックの王者などのキャッチフレーズが付けられていた。日本人の作曲家によるソフト・ロックの例としては、筒美京平が作曲し西田佐知子が歌った「くれないホテル」、浜口庫之助が作曲し島倉千代子が歌った「愛のさざなみ」などがあげられる。またグループ・サウンズのフィンガーズにも、ソフト・ロックとのキャッチフレーズが付けられた。

さらに、日本でのソフトロック認識には、1960年代半ばから1970年代前半までという時代区分の条件がつく事もある。ソフトロックというジャンルは、ポップスと呼ぶほど軟弱ではないロックという意味合いもある。ソフトロックの定義や該当アーティストが固定化しない所以である。

なお、この「ソフトロック」ブームによる、日本発の世界初CD化の例も多い。また、ここ数年、日本発「ソフトロック」の定義は輸出されているが、それは専ら「サンシャイン・ポップ」と呼ばれている。その名の下で海外でもコンピレーションが編まれ、アルバムやシングルの音源の復刻も行われるようになった。

主なアーティスト[編集]

ソフトロックのおもな楽曲[編集]

作曲家、編曲家、プロデューサー[編集]

イギリス[編集]

トニー・ハッチ、トニー・マコウレイらがよく知られている。またグレアム・グールドマンは「バス・ストップ」の作曲者である。マインド・ベンダーズの「グルービー・カインド・オブ・ラブ」は十代のキャロル・セイガーが作曲した。

アメリカ[編集]

アメリカの作曲者では、ディック&ドン・アドリッシ兄弟がいる[4]。彼らはアソシエーションの「ネバー・マイ・ラブの作曲者である。トミー・ジェイムズの「クリムゾン&クローバー」はトミー・ジェイムズと他一人が作曲者としてクレジットされている。 バート・バカラックは、カンサス州生まれで、40年代にはピアノ奏者としてバンド活動し、アメリカ音楽の有名作曲家がバート・バカラックである。1957年から作詞家のハル・デヴィッドとタッグを組み、ディオンヌ・ワーウィック『ウォーク・オン・バイ』「サンホセへの道』『恋にさようなら』『小さな願い』、カーペンターズ『遙かなる影』、B.J.トーマス『雨にぬれても』[5]など、ストリングスアレンジが特徴的な、洗練されたポップ作品を数々生み出して行った。作曲技法にはジャズやクラシック、R&Bを基調としている。ソフトロックへの影響を語る上で欠かせない重要作曲家である。

プレ「ソフトロック」的なもののルーツには、1950年代に隆盛を極めたドゥーワップなどのコーラスポップと、1960年代前半、活躍を見せたフィル・スペクター[6]である。アレンジャーのジャック・ニッチェレオン・ラッセルラリー・ネクテルハル・ブレインキャロル・ケイらのロスの有名ミュージシャンたち、それにキャロル・キングバリー・マンなど、商業主義的なブリル・ビルディング人脈のソングライターたちがそのサウンドを支えた。彼のスタイルは、ウォール・オブ・サウンドと呼ばれた。ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」、クリスタルズの『ダ・ドゥ・ロンロン』などのヒット曲を生んだが、ガール・グループ自体は評価が低かった。

フィル・スペクターの影響を受けたアーティストは多く、中でもザ・ビーチ・ボーイズブライアン・ウィルソンは、スペクター・サウンドを信奉した。先に挙げたスペクター系のミュージシャンを起用し、代表作の『ペット・サウンズ』(1966年)をつくり上げた。ビートルズの『ラバー・ソウル』に影響されたこのサウンドは、それまでのロックとは異なった作風を示したのが66年の『ペット・サウンズ』である。『ペット・サウンズ』に続く『スマイル』(制作中止。2004年に完成)では、当時無名だったヴァン・ダイク・パークスがブライアンと共作をしている。

1960年代後半、アメリカ西海岸はフォークロックフラワーロックサイケデリックの時代を迎えていた。初期のバーズクロスビー、スティルス&ナッシュバッファロー・スプリングフィールドピーター・ポール&マリーでは、美しいコーラスを基調としたサウンドが重視されている。さらに、スペクター系のミュージシャンは、ママス&パパスなどのダンヒル系フォーク・ロックも支えた。また、ビートルズの『サージェント・ペパー・ロンリーハーツ・クラブバンド』のサイケデリック・ロックやコンセプト・アルバムブームの影響も強かったが、英国でもゾンビーズの『オデッセイ&オラクル』、ホリーズの『バタフライ』などのサイケ/ソフトロックの名作も生まれている。

ゲイリー・アッシャーとカート・ベッチャーはもいた。サーフィン/ホット・ロッド時代、『イン・マイ・ルーム』などをブライアン・ウィルソンと共作したゲイリー・アッシャーは、バーズの一連のアルバムを手がけつつ、カート・ベッチャーと共に一部ではソフトロックの佳作とされたミレニアムやサジタリアスのアルバムを制作する。ブライアン・ウィルソンと並ぶコーラス・アレンジの天才とも言えるカート・ベッチャーは、コラージュの才にも長け幻想的サウンドを構築した。

レニー・ワロンカーの一連のサウンドは、バーバンク・サウンドと呼ばれる。中でも、この人脈が集結してつくり上げたのが、ハーパース・ビザールである。ノスタルジックで幻想的なサウンドを実現した。

ワロンカーはソフトロックよりもむしろ、アメリカ・ポピュラー・ミュージック史を再構築して、現代調に開示する作風を持つヴァン・ダイク・パークスの『ソング・サイクル』、『ディスカバー・アメリカ』や、知的で皮肉をこめた政治権力批判を得意とするランディ・ニューマン、そして古いルーツ・ミュージックやR&Bを再現し、ハワイアンやキューバ音楽などワールド・ミュージック紹介もおこなったライ・クーダーなどをプロデュースした。

21世紀の世界のソフトロック[編集]

これら、アメリカ西海岸発のサウンド「ソフトロック」の持つコーラスやメロディ、そして執拗なスタジオワークなどは、日本では大滝詠一山下達郎などに受け継がれた。1990年代初頭に登場したピチカート・ファイヴ小西康陽などの渋谷系アーティストにも影響を与えた。また、海外でもジム・オルークオリヴァー・トレマー・コントロールハイ・ラマズなどに受け継がれ、「音響派」と呼ばれる小さな動きとなった。

フランス、イタリアなど、ヨーロッパ諸国の過去のソフトロックも、再評価が行われている。日本ではフランスなどのソフトロック系のアルバムが再発されている。

脚注[編集]

  1. ^ http://www.allmusic.com/artist/tommy-james-mn0000620386
  2. ^ ソフトロックでは「ビコーズ」がヒット
  3. ^ 「ネバー・マイ・ラブ」「チェリッシュ」などがヒットした
  4. ^ http://www.discogs.com/artist/147999-Addrisi-Brothers
  5. ^ ほかに「フックト・オン・ア・フィーリング」などの代表曲がある
  6. ^ http://rateyourmusic.com/artist/phil_spector

関連項目[編集]

外部リンク[編集]