ホリーズ

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ホリーズ
左からエリック・ヘイドック、アラン・クラーク、グラハム・ナッシュ、トニー・ヒックス、ボビー・エリオット(1964年)
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド サルフォード
ジャンル
活動期間 1962年 -
レーベル
公式サイト ホリーズ公式サイト
メンバー
  • トニー・ヒックス(ギター)
  • ボビー・エリオット(ドラムス)
  • レイ・スタイルズ
  • イアン・パーカー
  • ピーター・ハワース
  • スティーヴ・ラウリ
旧メンバー メンバーを参照

ホリーズ: The Hollies)は、イギリスロックバンド。1962年に結成され、ブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するバンドの一つであり、3声のハーモニーが特徴だった。1966年に発売したシングル『バス・ストップ』でアメリカでも大ヒットを記録した。2010年にロックの殿堂入りをした。

来歴[編集]

アラン・クラークグラハム・ナッシュの2人は、マンチェスター市内の小学校の同級生として出会った。2人は親友となり、ギターを弾きながら歌うコーラス・デュオを結成。エヴァリー・ブラザーズの影響をうけた「リッキー・アンド・デイン(ヤング)」と名乗るデュオは活動の場を広げ、エリック・ヘイドックがベーシストとして在籍していたバンドとの共演を果たした。2人はヘイドックと新バンドの結成を決断する。そしてドラムのドン・ラスボーン、リードギターのヴィック・ファレルを加え、1962年に「ドミネイターズ・オブ・リズム」というバンドが結成された。

同年12月、マンチェスターのライブハウス「オアシス・クラブ」に出演した際、楽屋で関係者からバンド名を問われたメンバーは、ホリーズと紹介するよう答えた[2]。ナッシュは、バディ・ホリーへのあこがれから「ホリーズ」と名付けたと回想している[3]。ファレルは安定した生活を捨ててプロになることに難色を示し、バンドを脱退してしまう。ギタリスト不在となったホリーズは、アマチュア・バンド「ザ・ドルフィンズ」のギタリストで16歳のトニー・ヒックスを勧誘した。

1963年1月、リヴァプールキャヴァーン・クラブに出演したホリーズは、ビートルズに続くバンドを探していたEMIパーロフォンのプロデューサーであったロン・リチャーズの接触を受けた。直ちにEMIのオーディションに合格したホリーズは、パーロフォンと所属契約を結ぶ。

1963年4月、ホリーズのプロとして初の録音がアビイ・ロードにあるEMIスタジオで行われる。そして翌5月にシングル『(Ain't That) Just Like Me』でレコード・デビューし、全英シングルチャートで最高位25位を獲得した[4]。だが、ラスボーンの技量に満足していなかったリチャーズはドラマーの交代を勧め、ラスボーンをロード・マネージャーに転向させる。後任にはヒックスのドルフィンズ時代の僚友であったボビー・エリオットが加入した。これによりクラーク、ナッシュ、ヒックス、エリオット、ヘイドックの5人体制が完成した。

1963年12月、3枚目のシングルの『ステイ』[注 1]が初の全英チャート上位10位に到達した。1964年1月に発売したファースト・アルバム『ステイ・ウィズ・ザ・ホリーズ』は、全英2位の大ヒットを記録する。この成功により、デビュー1年未満の新人バンドでありながら、ホリーズは3月にNMEポールウィナーズ・コンサートへの出演を決めた。1966年にはヘイドックがマネジメント料を巡る問題で脱退し、ドルフィンズのベーシストであったバーニー・カルヴァ―トが加入する。同年6月のシングル「バス・ストップ[注 2]は全英シングルチャートで最高位5位[4]Billboard Hot 100でも最高位5位を獲得し、ホリーズは世界的な知名度を獲得した。

1966年10月、5枚目のアルバム『フォー・サーテン・ビコーズ』は、クラーク、ナッシュ、ヒックスによる自作曲だけで構成された初のアルバムとなった。続く1967年6月、サイケデリック・ロックを中心とする『エヴォリューション』を発表。同年シングルでは「オン・ア・カルーセル」「キャリー・アン」などを発表しヒットさせた。同年11月にはナッシュが主導したコンセプト・アルバム『バタフライ』を発表する。しかし、このアルバムと、同時期にナッシュが作曲したシングル「キング・マイダス」の商業的失敗により、ポップな楽曲を志向していたクラークとヒックスから反発を招いてしまう。

1968年、ボブ・ディランのカバーのみで構成されたアルバムを録音する際、ナッシュが難色を示しバンドと対立、同年12月に脱退することとなる。その後ナッシュはバーズを脱退したデヴィッド・クロスビーバッファロー・スプリングフィールドスティーブン・スティルスと共にクロスビー、スティルス&ナッシュを結成した。後にニール・ヤングも加わり、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング(CSN&Y)となった。なおナッシュ離脱前の1968年4月に、日本公演を果たしている。

一方のホリーズは1969年2月、スウィンギング・ブルー・ジーンズのテリー・シルヴェスターを加えシングル「ごめんねスザンヌ」を発表。同年5月にはボブ・ディランのカバーアルバム『ホリーズ・シング・ディラン』を発表した。1970年には「ヒー・エイント・ヘヴィ・ヒーズ・マイ・ブラザー(兄弟の誓い)」をヒットさせている。

1971年12月、クラークがソロ活動をするため脱退。クラークの後任としてスウェーデン人歌手ミカエル・リックフォースをボーカルとして加えるも、人気は低迷。しかし皮肉にも1972年5月にクラーク脱退前の楽曲「ロング・クール・ウーマン(喪服の女)」が発売され全米2位に到達する。1973年にはバンドからの要請でクラークが再加入。1974年に発売されたシングル「ジ・エアー・ザット・アイ・ブリーズ(安らぎの世界へ)」[注 3]がヒットした。

1980年代はカムバック・ヒットを放ったのが目立つ程度だが、バンドは音楽活動を継続した。1996年、『Buddy Holly Tribute - Not Fade Away』に収録の「Peggy Sue Got Married」はバディ・ホリーの音源にホリーズがコーラスと演奏を加えたものであり、この録音のためにナッシュが一時的に復帰した。2000年にクラークが癌の妻を看病するため脱退。後任にはザ・ムーブ のカール・ウェインが加入するも2004年に他界。その後ピーター・ハワースが加入し、2006年には23年ぶりのアルバム『ステイン・パワー』、2009年にはハワース加入後2作目のアルバム『ゼン・ナウ・オールウェイズ』を発表した。

2010年、ロックの殿堂入りを果たした[5]

メンバー[編集]

現在のラインナップ
  • トニー・ヒックス (Tony Hicks) – リードギター、バック・ボーカル (1963年–)
  • ボビー・エリオット (Bobby Elliott) – ドラム (1963年–)
  • レイ・スタイルズ (Ray Stiles) – ベース (1986年–1990年、1991年–)
  • イアン・パーカー (Ian Parker) – キーボード (1991年–)
  • ピーター・ハワース (Peter Howarth) – リード・ボーカル、リズム・ギター (2004年–)
  • スティーヴ・ラウリ (Steve Lauri) – リズム・ギター、バック・ボーカル (2004年–)
旧メンバー
  • アラン・クラーク (Allan Clarke) : リード・ボーカル、ハーモニカ、ギター (1962年-1971年、1973年-1978年、1978年-1999年)
  • グラハム・ナッシュ (Graham Nash) : リズム・ギター、ボーカル (1962年-1968年、1982年-1983年、1995年-1996年)
  • エリック・ヘイドック (Eric Haydock) : ベース (1962年-1966年)
  • ドン・ラスボーン (Don Rathbone) : ドラム (1962年-1963年)
  • バーニー・カルヴァート (Bernie Calvert) : ベース、ピアノ (1966年-1981年)
  • テリー・シルヴェスター (Terry Sylvester) : リズム・ギター、ボーカル (1969年-1981年)
  • ミカエル・リックフォース (Mikael Rickfors) : リード・ボーカル、ハーモニカ、ギター (1971年-1973年)
  • アラン・コーツ (Alan Coates) : ギター、ボーカル (1981年-2004年)
  • デニス・ハインズ (Denis Haines) : キーボード (1981年-1988年)
  • スティーヴ・ストラウド (Steve Stroud) : ベース (1981年-1985年)
  • カール・ウェイン (Carl Wayne) : リード・ボーカル (2000年-2004年)

ディスコグラフィ[編集]

アルバム[編集]

イギリス盤[編集]

  • 『ステイ・ウィズ・ザ・ホリーズ』 - Stay with The Hollies (1964年)
  • 『イン・ザ・ホリーズ・スタイル』 - In The Hollies Style (1964年) ※旧邦題『これがホリーズ・スタイル』
  • 『ホリーズ』 - Hollies (1965年) ※旧邦題『ホリーズ登場!』
  • 『ウッド・ユー・ビリーヴ?』 - Would You Believe? (1966年)
  • 『フォー・サーテン・ビコーズ』 - For Certain Because (1966年)
  • 『エヴォリューション』 - Evolution (1967年)※旧邦題『栄光のホリーズ』
  • 『バタフライ』 - Butterfly (1967年)
  • 『ホリーズ・シング・ディラン』 - Hollies Sing Dylan (1969年)
  • 『ホリーズ・シング・ホリーズ』 - Hollies Sing Hollies (1969年)
  • 『コンフェッションズ・オブ・ザ・マインド』 - Confessions of the Mind (1970年)
  • 『ディスタント・ライト』 - Distant Light (1971年)
  • 『ロマニー』 - Romany (1972年)
  • 『アウト・オン・ザ・ロード』 - Out on the Road (1973年)
  • Hollies (1974年)
  • Another Night (1975年)
  • Write On (1976年)
  • 『ロシアン・ルーレット』 - Russian Roulette (1976年)
  • A Crazy Steal (1978年)
  • 『531-7704』 - Five Three One-Double Seven o Four (1979年)
  • バディ・ホリー』 - Buddy Holly (1980年)
  • ホワット・ゴウズ・アラウンド』 - What Goes Around... (1983年)
  • 『ステイン・パワー』 - Staying Power (2006年)
  • Then, Now, Always (2009年)

アメリカ盤[編集]

  • 『ヒア・アイ・ゴー・アゲイン』 - Here I Go Again (1964年)
  • 『ヒア!ヒア!』 - Hear! Here! (1965年)
  • 『ビート・グループ!』 - Beat Group! (1966年)
  • バス・ストップ』 - Bus Stop (1966年)
  • Stop! Stop! Stop! (1967年)
  • Evolution (1967年)
  • Dear Eloise / King Midas in Reverse (1967年)
  • Words and Music by Bob Dylan (1969年)
  • He Ain't Heavy, He's My Brother (1969年)
  • 『ムーヴィング・フィンガー』 - Moving Finger (1970年)
  • Distant Light (1972年)
  • Romany (1972年)
  • Out on the Road (1973年)
  • Hollies (1974年)
  • Another Night (1975年)
  • A Crazy Steal (1978年)
  • What Goes Around... (1983年)

シングル[編集]

基本的にUKでのリリースに基づく。

  • "(Ain't That) Just Like Me" / "Hey What's Wrong With Me" (1963年)
  • サーチン」 - "Searchin'" / "Whole World Over"
  • "Stay" / "Now's The Time"
  • "Just One Look" / "Keep Off That Friend of Mine" (1964年)
  • "Here I Go Again" / "Baby That's All"
  • "We're Through" / "Come on Back"
  • 「イエス・アイ・ウイル」 - "Yes I Will" / "Nobody" (1965年)
  • 「アイム・アライヴ」 - "I'm Alive" / "You Know He Did"
  • 「恋は窓から」 - "Look Through Any Window" / "So Lonely"
  • 恋をするなら」 - "If I Needed Someone" / "I've Got a Way of My Own"
  • 「アイ・キャント・レット・ゴー」 - "I Can't Let Go" / "Running Through the Night" (1966年)
  • バス・ストップ」 - "Bus Stop" / "Don't Run And Hide"
  • 紳士泥棒のテーマ」 - "After The Fox" / "The Fox-Trot" (Side B not by the Hollies)
  • ストップ・ストップ・ストップ」 - "Stop! Stop! Stop!" / "It's You"
  • 恋のカルーセル」 - "On a Carousel" / "All the World Is Love" (1967年)
  • キャリー・アン」 - "Carrie Anne" / "Signs That Will Never Change" (1967年)
  • 「キング・マイダス」 - "King Midas in Reverse" / "Everything Is Sunshine" (1967年)
  • 「ジェニファー・エクルス」 - "Jennifer Eccles" / "Open Up Your Eyes" (1968年)
  • 「リッスン・トゥ・ミー」 - "Listen to Me" / "Do the Best You Can" (1968年)
  • ごめんねスザンヌ」 - "Sorry Suzanne" / "Not That Way at All" (1969年)
  • 「兄弟の誓い」 - "He Ain't Heavy, He's My Brother" / "'Cos You Like to Love Me" (1970年)
  • 「迷える僕」 - "I Can't Tell the Bottom From the Top" / "Mad Professor Blyth" (1970年)
  • 「懐かしのガソリン・アレー」 - "Gasoline Alley Bred" / "Dandelion Wine" (1970年)
  • "Hey Willy" / "Row the Boat Together" (1971年)
  • 「ロング・クール・ウーマン (喪服の女)」 - "Long Cool Woman in a Black Dress" / "Cable Car" (1972年)
  • "The Baby" / "Oh Granny"
  • "Magic Woman Touch" / "Indian Girl"
  • "The Day That Curly Billy Shot Down Crazy Sam Mcgee" / "Born a Man" (1973年)
  • 「安らぎの世界へ」 - "The Air That I Breathe" / "No More Riders" (1974年)
  • "Son of a Rotten Gambler" / "Layin' to the Music"
  • "I'm Down" / "Hello Lady Goodbye"
  • "Sandy (4th Of July, Asbury Park)" / "Second Hand Hang-Ups" (1975年)
  • "Boulder to Birmingham" / "Crocodile Woman" (1976年)
  • "Star" / "Love Is the Thing"
  • "Daddy Don't Mind" / "C'mon"
  • "Wiggle That Wotsit" / "Corrine"
  • "Hello to Romance" / "48 Hour Parole" (1977年)
  • "Amnesty" / "Crossfire"
  • "Something to Live For" / "Song of the Sun" (1979年)
  • "Soldier's Song" / "Draggin' My Heels" (1980年)
  • "Heartbeat" / "Take Your Time"
  • "Holliedaze" / "Holliepops" (1981年)
  • "Take My Love and Run" / "Driver"
  • ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」 - "Stop! In the Name of Love" / "Musical Pictures" (1983年)
  • "Too Many Hearts Get Broken" / "You're All Woman" (1985年)
  • "This Is It" / "You Gave Me Strength" (1987年)
  • "Reunion of the Heart" / "Too Many Hearts Get Broken"
  • "He Ain't Heavy, He's My Brother" / "Carrie" (1988年, Reissue)
  • "Find Me a Family" / "No Rules" (1989年)
  • "Purple Rain / Naomi" / "Two Shadows" (1990年, On sale at concert venues only)
  • "The Woman I Love" / "Purple Rain (Live)" (1993年)
  • "Hope" / "Shine on Me" (2005年)
  • "So Damn Beautiful" / "Too Much Too Soon" (2006年)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ドゥーワップ・グループ、モーリス・ウィリアムズ&ゾディアックスの全米ヒットのカバーである。
  2. ^ グレアム・グールドマンの作曲。
  3. ^ アルバート・ハモンドの作曲。

出典[編集]

  1. ^ a b c d Unterberger, Richie. The Hollies | Biography & History - オールミュージック. 2020年11月7日閲覧。
  2. ^ Dawn Eden, 30th Anniversary essay, March 1993, in 30th Anniversary Collection.
  3. ^ Kerns, William. “Holly's influence will not fade away”. Lubbockonline.com. 2021年1月6日閲覧。
  4. ^ a b HOLLIES | full Official Chart History”. Official Charts Company. 2020年11月7日閲覧。
  5. ^ “2010年度ロックの殿堂入りアーティスト決定”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2009年12月16日). https://www.barks.jp/news/?id=1000056496 2020年11月7日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]