ペイパーバック・ライター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ペイパーバック・ライター
ビートルズシングル
初出アルバム『オールディーズ
B面 レイン
リリース
録音 アビー・ロード・スタジオ 1966年4月13日4月14日
ジャンル ハードロック[1]
パワー・ポップ[2]
サイケデリック・ロック[3][4]
時間
レーベル パーロフォン(イギリス)
キャピトル・レコード(アメリカ)
オデオン(日本)
プロデュース ジョージ・マーティン
チャート最高順位
ビートルズシングル盤 U.K. 年表
恋を抱きしめよう
両A面
デイ・トリッパー
(1965年)
ペイパーバック・ライター
b/w
レイン
(1966年)
イエロー・サブマリン
両A面
エリナー・リグビー
(1966年)
ビートルズシングル盤 U.S. 年表
ひとりぼっちのあいつ
b/w
消えた恋
(1966年)
ペイパーバック・ライター
b/w
レイン
(1966年)
イエロー・サブマリン
両A面
エリナー・リグビー
(1966年)
ビートルズシングル盤 日本 年表
ひとりぼっちのあいつ
b/w
消えた恋
(1966年)
ペイパーバック・ライター
b/w
レイン
(1966年)
イエロー・サブマリン
b/w
エリナー・リグビー
(1966年)
オールディーズ 収録曲
A面
  1. シー・ラヴズ・ユー
  2. フロム・ミー・トゥ・ユー
  3. 恋を抱きしめよう
  4. ヘルプ!
  5. ミッシェル
  6. イエスタデイ
  7. アイ・フィール・ファイン
  8. イエロー・サブマリン
B面
  1. キャント・バイ・ミー・ラヴ
  2. バッド・ボーイ
  3. デイ・トリッパー
  4. ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!
  5. 涙の乗車券
  6. ペイパーバック・ライター
  7. エリナー・リグビー
  8. 抱きしめたい
ミュージックビデオ
「Paperback Writer」 - YouTube
テンプレートを表示

ペイパーバック・ライター」 (Paperback Writer)は、1966年5月にビートルズが発表した、12枚目のオリジナル・シングル曲である。

解説[編集]

レノン=マッカートニーの作品。実質的にはポール・マッカートニーの作った楽曲である。リード・ヴォーカルはポール。

歌詞は手紙の体裁をとっており、小説家を志望する人物が自身の作品を本(ペーパーバック)として出版してくれるよう熱烈に訴えかけるというもの。これはポール自身がビートルズの母体のバンド、ザ・クオリーメンに加入する前に抱えていた夢が投影されている。それまで主にラヴ・ソングを手がけていたポールだが、前作「恋を抱きしめよう/デイ・トリッパー」以降、題材の幅を広げている。ジョン・レノンはこの楽曲について「この曲は“デイ・トリッパー”の息子だ。ポールの曲だけどね。」とコメントしている[10]

「ペイパーバック・ライター」は、1966年4月13日14日EMIスタジオでレコーディングされた。サウンド面では、ウィルソン・ピケットのレコードに影響されたジョン・レノンの要望に応え、初めてラウド・スピーカーを導入して録音した曲である。これによりベースライン(低音)がはっきりと聴こえるようになり、これ以降解散するまでベースギターがビートルズ・サウンドの中核となった[11]

本作はアルバム『リボルバー』の制作中に録音されたが、『リボルバー』には収録されていない。その後ビートルズがライヴ活動を停止したため、本作はビートルズがコンサートで演奏した最後の新曲となった。日本では来日公演直前(1966年6月15日)にシングルが発売されており、コンサートでも『新曲』として紹介されたが、「真剣にコンサートに打ち込んでいる時期のものではなかった」とジョンが言うように演奏の質は高いものではなかった。すでにこの時期、ビートルズはアルバム制作とコンサートでの演奏とを切り離しており、この曲にも多くのオーヴァー・ダビングが施されているため、後にメンバーは、この曲のステージ演奏では音の厚みが出せず、再現できなかったと述べている。

ポールは2015年4月28日の日本武道館公演でもこの曲を演奏しており、『1966年と2015年の両方で演奏された曲』の2曲のうちの1曲である(もう一曲は『イエスタデイ』)。

ステレオ・ヴァージョン[編集]

「ペイパーバック・ライター」のリアル・ステレオ・ヴァージョンは、1966年12月にリリースされたコンピレーション・アルバム『オールディーズ』ステレオ盤に収録された。アメリカでは1970年にリリースされたコンピレーション・アルバム『ヘイ・ジュード』に収録された。

CDでは1988年3月にリリースされたアルバム『パスト・マスターズ Vol.2』に収録された。

シングル盤[編集]

シングル盤は米国では1966年5月30日、英国では1966年6月10日にリリースされた(共にB面は「レイン」)。

ビルボード』(Billboard)誌では、1966年6月25日に週間ランキング第1位を獲得。ビルボード誌1966年年間ランキングは第32位。『キャッシュボックス』誌では2週連続第1位を獲得し、年間ランキングでは43位だった。こちらは『ビルボード』誌では最高位23位、『キャッシュボックス』誌では最高位31位を記録している。アメリカでは100万枚以上のセールスを記録している。イギリスの「NME」誌では2週連続最高位第1位を獲得し、50万枚以上のセールスを記録している。初登場順位は2位で、「抱きしめたい」以来続いたイギリスチャート初登場ナンバー1の記録がストップした。

プロモーション・フィルム[編集]

1965年からビートルズは、複数のテレビ番組に出演する代わりに、自前のフィルムを制作して放送局に配っていた。新作シングルのプロモーションとしては、この曲が初めて作られたものだった。少なくとも4つのヴァージョンが確認されており、番組ごとに別のものを制作していた。

1966年5月19日にスタジオ内で演奏する姿をビデオで撮影したもの(モノクロ2本とカラー1本)と、翌日に屋外でカラーフィルムで撮影されたものの2種類から制作された計4ヴァージョンが存在する。スタジオ内での演奏シーンはアビー・ロード第1スタジオで、屋外のものはロンドン郊外のチジックハウスという場所で撮影されている[12]。当時、イギリスのテレビ放送はモノクロだったため、カラー版はアメリカの番組用に制作されたもの[13][14]。なお、この時ポールは、バイク事故で前歯を折ってしまっていたため、歯を見せないように意識して歌っているのがわかる。また、この5月19日にスタジオで撮影されたモノクロ写真は、同年8月に発売されたアルバム『リボルバー』のジャケット裏面で使用されている。

カップリング曲の「レイン」も、同様に複数のヴァージョンが制作されている。いずれのバージョンも2015年11月6日に発売された『ザ・ビートルズ1』のDVD・Blu-rayに収録されている。

これらの監督は、後に『レット・イット・ビー』を監督することになるマイケル・リンゼイ=ホッグである。

パーソネル[編集]

「ペイパーバック・ライター」の演奏者については、いくつか論争が起きている。ギタープレーヤー誌(1990年7月号、2005年1月号)で、ポールはオープニングのリフをエピフォン・カジノのギターで演奏したと証言しており[15]、実際に該当するレコーディング・セッション時も残っている[16]。音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版は、2005年に出版した書籍『Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties』でリードギターを担当したのはジョージ・ハリスンのみであるとし[17]、作家のケネス・ウォマック英語版もポールが担当したのはベースリード・ボーカルのみとしている[18]。ロバート・ロドリゲスとウォルター・エベレット英語版は、メインのギターリフを担当したのはポールとし、ジョージが最初のフィルを担当したとしている[19][20]

以下、ロバート・ロドリゲスの書籍を出典としたクレジット[19]

収録アルバム[編集]

カバー・バージョン[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Scott Miller, Music: What Happened?, (125 Records, 2010), ISBN 0-615-38196-0, P.39.
  2. ^ John M. Borack, Shake some action: the ultimate power pop guide, (Shake Some Action – PowerPop, 2007), ISBN 0-9797714-0-4, P.175.
  3. ^ DeRogatis, Jim. Turn on Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock. p. 48. 
  4. ^ Icons of Rock. ABC-CLIO. pp. 170–. ISBN 978-0-313-33845-8. 
  5. ^ Kent, David (2005). Australian Chart Book (1940–1969). Turramurra: Australian Chart Book. ISBN 0-646-44439-5. 
  6. ^ Official Singles Chart Top 50(23 June 1966 - 29 June 1966)”. Official Charts Company (1966年6月23日). 2019年12月31日閲覧。
  7. ^ Top 100 Songs|Billboard Hot 100 Chart”. Billboard (1966年6月25日). 2019年12月31日閲覧。
  8. ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950-1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. pp. 32–34. 
  9. ^ Offizielle Deutsche Charts (Enter "Beatles" in the search box)” (German). GfK Entertainment Charts. 2019年12月31日閲覧。
  10. ^ 『PLAYBOYインタビュー ジョン・レノン』、1981年 集英社
  11. ^ Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. p. 74. ISBN 0-517-57066-1. 
  12. ^ "Shooting the "Paperback Writer" promotional video" at thebeatles.com
  13. ^ マーク・ルイソン著『ザ・ビートルズ全記録1』プロデュースセンター出版
  14. ^ マーク・ルイソン著『ビートルズ・レコーディング・セッション』シンコーミュージック出版、1990年
  15. ^ McCartney And His Casino on Cover of Guitar Player”. Epiphone.com (2005年10月25日). 2011年7月22日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2019年12月31日閲覧。
  16. ^ Babiuk, Andy. Beatles Gear. pp. 179, 182, 183. 
  17. ^ MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). p. 195. ISBN 1-84413-828-3. 
  18. ^ Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. p. 710. ISBN 978-0-313-39171-2. 
  19. ^ a b Rodriguez, Robert (2012). Revolver: How the Beatles Reimagined Rock 'n' Roll. Milwaukee, WI: Backbeat Books. p. 115–16. ISBN 978-1-61713-009-0. 
  20. ^ Everett, Walter (1999). The Beatles as Musicians: Revolver Through the Anthology. New York, NY: Oxford University Press. p. 42-43. ISBN 0-19-512941-5. 

外部リンク[編集]