フリー・アズ・ア・バード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ビートルズ > ビートルズの曲名一覧 > フリー・アズ・ア・バード
ビートルズ > ビートルズの作品 > フリー・アズ・ア・バード
フリー・アズ・ア・バード
ビートルズシングル
初出アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー1
B面 クリスマス・タイム
リリース
規格
録音
ジャンル ロック
時間
レーベル アップル・レコード
作詞・作曲
プロデュース
  • ジェフ・リン
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
  • ジョージ・ハリスン
  • リンゴ・スター
ゴールドディスク
下記を参照
チャート最高順位
下記を参照
ビートルズ シングル 年表
  • フリー・アズ・ア・バード
  • (1995年 (1995)
ザ・ビートルズ・アンソロジー1 収録曲
フリー・アズ・ア・バード
(1)
スピーチ:ジョン・レノン
(2)
ミュージックビデオ
「Free As A Bird」 - YouTube
テンプレートを表示

フリー・アズ・ア・バード」 (英語: Free as a Bird) は、ビートルズの楽曲。1980年に暗殺されたジョン・レノンが遺した未完成曲を、残りの3人のメンバー、ポール・マッカートニージョージ・ハリスンリンゴ・スターが手を加える形で完成させた。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』に1970年の「レット・イット・ビー」以来、25年ぶりの新曲として収録された。同年にシングル盤としても発売され、イギリスの全英シングルチャートで最高2位[2]、アメリカのBillboard Hot 100チャートで最高6位を獲得[3]。なお、本作はビートルズとしては初のメンバーによるセルフプロデュースによる楽曲となった。

2018年[注 1]に公開された韓国映画『スウィング・キッズ』で使用された[4]

背景[編集]

1994年、アンソロジー企画が進み、ポール・マッカートニージョージ・ハリスンリンゴ・スターの3人は新たな楽曲をレコーディングすることを計画[5]。90年代に入り、ジョン・レノンの息子であるジュリアン・レノンショーン・レノンが音楽活動を開始したこともあり、ジョンの代役として迎えて再結成することも考えられたが、「ジョンがいてこそのビートルズ」という考えから実現することはなかった[6][7]

その後、ポールがオノ・ヨーコに「彼の未発表曲はないか?」と尋ね、ヨーコは1977年頃にジョンが自宅で録音した未発表曲「フリー・アズ・ア・バード」「グロー・オールド・ウィズ・ミー」「リアル・ラヴ」「ナウ・アンド・ゼン」の4曲[8]のデモテープをポールに渡した[5]

この時の出来事について、ポールは「ヨーコとショーンは僕らに何曲かデモを聴かせてくれた。ジョンが自宅でモノラルカセットに録った新曲が2曲があったんだ。ショーンには迷惑かけたくなかったからどうするべきかを訊いたら『死んだ人間がリード・ボーカルというのは少し変だけど、もし良ければやってみてよ』と答えた。そこで僕らは『もし出来に不満があったら、リリースを拒否してもいい』と言って引き受けた。それをジョージとリンゴに伝えたら『もし僕らが気に入ったらどうするんだ?』と言われた」「ヨーコには『僕らにいろいろ条件を付けないでくれ。これは精神的にとても難しいことだから。僕らは2時間もスタジオで一緒にいたらお互いが嫌になって出て行くかもしれないから。今ですら十分キツいんだからね』と言った」と回顧している[9]

レコーディング[編集]

ビートルズの多くの楽曲のプロデュースは、ジョージ・マーティンが手がけていたが、聴覚の衰えを理由に断った[注 2]。このため、ジョージ・ハリスンは代替として親交のあるジェフ・リンを推薦[10]

1977年にジョンが自宅スタジオで録音したテープは、市販のカセットテープに録音されているものであり、ピアノと歌声が1トラックで録音されており、雑音も入っていた[11]。そのうえ、モノラル録音でピアノとボーカルの音が同じ大きさであったことから、ボーカルの抽出は困難であった。そこで、ポールがゴーストとしてレノンの声に重なるように歌を録音。これによりボーカルに少し深みが加わり、ボーカルの抽出に成功した[12]。抽出後、ジェフはエンジニアと共にジョンの声をサンプリングして調整を行なった。翌朝スタジオに来たポールは、音源を聴いた上でリンの作業を称えた[12]

1980年にレノンが暗殺されたこともあり、制作途中に3人は感傷的になったりしたが、いちいち感傷的になる気持ちを抑えるために、「自分のパートを早々と済ませたジョンが、あとはやっといてくれ、と休暇に出かけてしまった」という風に考えるようにしていた[7]。レノンが遺したデモテープを基に録音が進められていたが、大部分は完成していなかった。そのため、サビの部分の歌詞と後半部の間奏は、新たにマッカートニーとハリスンによって書き下ろされた[13]。このほか、コードやアレンジが変更された。また、ハリスンは曲中でスライドギターを演奏した[13]

1994年2月から1995年3月の間にイギリスサセックスにあるマッカートニーの自宅スタジオで、オーバー・ダビングが行なわれた[14]。アウトロに対して、ジョージが当時凝っていたというウクレレとレノンの台詞を逆回転させた音が加えられた[15][16]。このレノンの台詞は、マッカートニーによると「意図的なものではなく、最終ミックスを試聴した後に発見されたもの」[15]だという。

このセッションでリンの手腕を高く評価したポールは、直後に製作開始したソロ・アルバム『フレイミング・パイ』でリンを共同プロデューサーに起用した。

ミュージック・ビデオ[編集]

本作のミュージック・ビデオは、ジョー・ピトカ英語版が監督の下、ヴィンセント・ジョリエットが制作した。飛んでいる鳥の視点から「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、「ペニー・レイン」、「ドクター・ロバート」、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、「ペイパーバック・ライター」、「ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル」、「エリナー・リグビー」、「フール・オン・ザ・ヒル」など、多数のビートルズの楽曲の歌詞をモチーフにしたシーンで構成されている[17]

当時最新の映像技術も導入されており、ビデオ内には既存映像からの切り抜き流用されたメンバーやポールの飼い犬マーサがCG合成で登場しているほか、女優のケイト・フォード英語版が出演している。

ビデオの最後にウクレレ奏者の後ろ姿が映されている。ハリスンはウクレレ奏者として出演することを依頼したが、「現代のビートルズがビデオに登場するのは違和感がある」と判断したピトカによって拒否された。2001年のハリスンの死後、ピトカはこの判断について後悔している[18]

1997年にグラミー賞 最優秀短編ミュージックビデオ賞を受賞した。

2015年版ミックス[編集]

ビートルズの映像作品『ザ・ビートルズ1+』には、共同プロデューサーのジェフ・リンとスティーヴ・ジャイによるリミックス・ヴァージョンが収録されている[19]。このヴァージョンには以下のような違いがある。

  1. ジョンのヴォーカルに掛かっていたエフェクトが外されている。
  2. ジョンのヴォーカルをなぞる形で歌っていたポールのヴォーカルがはっきり聴こえるようになっている。
  3. ジョージのヴォーカルが別テイクに差し替えられており、歌い回しが異なる。
  4. アウトロのジョンの台詞が逆回転ではない。

その他にもドラムのエコーや音の質感、ステレオの定位、楽器の個々のバランスなど、細かな違いがある。

演奏[編集]

クレジットはイアン・マクドナルド英語版によるもの[20]

シングル収録曲[編集]

7インチシングル
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「フリー・アズ・ア・バード」(Free As A Bird)  
2.クリスマス・タイム(Christmas Time (Is Here Again))  
合計時間:
CD
#タイトル作詞・作曲時間
1.「フリー・アズ・ア・バード」(Free As A Bird) 
2.アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア (アンソロジー未収録のテイク9)」(I Saw Her Standing There (Take 9))レノン=マッカートニー
3.こいつ (ジス・ボーイ) (アンソロジー未収録のテイク12&13)」(This Boy (Take 12 & 13))レノン=マッカートニー
4.クリスマス・タイム(Christmas Time (Is Here Again)) 
合計時間:

チャート成績[編集]

認定[編集]

国/地域 認定 認定/売上枚数
イギリス (BPI)[52] Silver 200,000^
アメリカ合衆国 (RIAA)[53] Gold 500,000^

^認定のみに基づく出荷枚数

カバー[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 日本では2020年に公開。
  2. ^ ただしアンソロジー・アルバム全体のプロデュースは担当している。

出典[編集]

  1. ^ (1995年) 『Anthology 1』のアルバム・ノーツ. Apple Records.
  2. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2016年5月16日閲覧。
  3. ^ The Beatles Chart History”. Billboard. 2019年5月5日閲覧。
  4. ^ “タップダンスの振付、巨大セット、音楽…『スウィング・キッズ』監督やスタッフが“すごさ”を解説”. cinemacafe.net (イード). (2020年2月15日). https://www.cinemacafe.net/article/2020/02/15/65837.html 2020年4月4日閲覧。 
  5. ^ a b The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love - 0:00:50–0:01:04) Starr talking about the idea of recording incidental music for the Anthology project.
  6. ^ “95年に発表されたビートルズ曲『フリー・アズ・ア・バード』”. Middle Edge (株式会社ディー・オー・エム). (2017年6月27日). https://middle-edge.jp/articles/CIisF 2020年4月4日閲覧。 
  7. ^ a b The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:01:25–0:01:46) Harrison talking about their agreement that if one of them wasn't there, they could be not replaced, and that only Lennon could be the fourth Beatle.
  8. ^ Everett 1999, p. 8.
  9. ^ Du Noyer, Paul, "They Were the Most Brilliant, Powerful, Lovable Pop Group on the Planet ... But Now They're Really Important", Q Magazine, December 1995, in Sawyers 2006, p. 179
  10. ^ MacDonald 1997, p. 331.
  11. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:03:10–0:03:32) McCartney talking about the quality of Lennon's demo cassette.
  12. ^ a b “ELOのジェフ・リン、ザ・ビートルズへの思いと“Free As A Bird”秘話を語る”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2015年11月10日). https://rockinon.com/news/detail/133772 2020年4月4日閲覧。 
  13. ^ a b The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:03:50) Harrison talking about changing chords and arrangement in the song.
  14. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:06:47) McCartney talking about recording and finishing the song.
  15. ^ a b O'Hagan, Sean (2005年9月18日). “Macca beyond”. The Observer. 2020年4月4日閲覧。
  16. ^ Montagne's, Renee (2002年11月26日). “Paul McCartney Gets Back to The Beatles”. NPR. 2018年10月22日閲覧。
  17. ^ Ingham, Chris (2003). The Rough Guide To the Beatles. Rough Guides. p. 93. ISBN 1-84353-140-2 
  18. ^ "The Beatles Anthology" DVD 2003 (Special Features: Making the Free as a Bird video – 0:10:16) Pytka talking about Harrison and the ukulele player.
  19. ^ “『ザ・ビートルズ1』、ビートルズ初のミュージック・ビデオ集として映像作品でリリース”. NME Japan (BandLab UK Limited.). (2015年9月15日). https://nme-jp.com/news/5153/ 2020年4月4日閲覧。 
  20. ^ MacDonald 1997, p. 330.
  21. ^ "Australian-charts.com – The Beatles – Free as a Bird". ARIA Top 50 Singles. 2020年8月25日閲覧。
  22. ^ "Austriancharts.at – The Beatles – Free as a Bird" (in German). Ö3 Austria Top 40. 2020年8月25日閲覧。
  23. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Free as a Bird" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年8月25日閲覧。
  24. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Free as a Bird" (in French). Ultratop 50. 2020年8月25日閲覧。
  25. ^ "Top RPM Singles: Issue 2864." RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。
  26. ^ "Top RPM Adult Contemporary: Issue 2859." RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。
  27. ^ a b “Top National Sellers”. Music & Media 13 (1): 11. (6 January 1996). https://www.americanradiohistory.com/UK/Music-and-Media/90s/1996/MM-1996-01-06.pdf 2020年8月25日閲覧。. 
  28. ^ “Eurochart Hot 100 Singles”. Music & Media 13 (1): 9. (6 January 1996). https://www.americanradiohistory.com/UK/Music-and-Media/90s/1996/MM-1996-01-06.pdf 2020年8月25日閲覧。. 
  29. ^ "The Beatles: Free as a Bird" (in Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2020年8月25日閲覧。
  30. ^ "Lescharts.com – The Beatles – Free as a Bird" (in French). Les classement single. 2020年8月25日閲覧。
  31. ^ "Offiziellecharts.de – The Beatles – Free as a Bird". GfK Entertainment Charts. 2020年8月25日閲覧。
  32. ^ “Top National Sellers”. Music & Media 13 (5): 13. (3 February 1996). https://www.americanradiohistory.com/UK/Music-and-Media/90s/1996/MM-1996-02-03.pdf 2020年8月25日閲覧。. 
  33. ^ Íslenski Listinn Topp 40 (9.12. '95 – 15.12. '95)” (アイスランド語). Dagblaðið Vísir (1995年12月9日). 2020年8月25日閲覧。
  34. ^ "The Irish Charts – Search Results – Free as a Bird". Irish Singles Chart. 2020年8月25日閲覧。
  35. ^ "Nederlandse Top 40 – week 51, 1995" (in Dutch). Dutch Top 40 2020年8月25日閲覧。
  36. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Free as a Bird" (in Dutch). Single Top 100. 2020年8月25日閲覧。
  37. ^ "Charts.org.nz – The Beatles – Free as a Bird". Top 40 Singles. 2020年8月25日閲覧。
  38. ^ "Norwegiancharts.com – The Beatles – Free as a Bird". VG-lista. 2020年8月25日閲覧。
  39. ^ "Official Scottish Singles Sales Chart Top 100". Scottish Singles Top 40. 2020年8月25日閲覧。
  40. ^ Salaverri, Fernando (September 2005). Sólo éxitos: año a año, 1959–2002 (1st ed.). Spain: Fundación Autor-SGAE. ISBN 84-8048-639-2 
  41. ^ "Swedishcharts.com – The Beatles – Free as a Bird". Singles Top 100. 2016年5月16日閲覧。
  42. ^ "Swisscharts.com – The Beatles – Free as a Bird". Swiss Singles Chart. 2016年5月16日閲覧。
  43. ^ "The Beatles Chart History (Hot 100)". Billboard. 2016年5月16日閲覧。
  44. ^ "The Beatles Chart History (Adult Contemporary)". Billboard. 2017年10月21日閲覧。
  45. ^ "The Beatles Chart History (Adult Pop Songs)". Billboard. 2017年10月21日閲覧。
  46. ^ "The Beatles Chart History (Mainstream Rock)". Billboard. 2017年10月21日閲覧。
  47. ^ "The Beatles Chart History (Pop Songs)". Billboard. 2017年10月21日閲覧。
  48. ^ Årslista Singlar – År 1995” (Swedish). Topplistan. 2016年2月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月25日閲覧。}
  49. ^ “Top 100 Singles 1995”. Music Week: 9. (13 January 1996). 
  50. ^ RPM Year End Top 100 Hit Tracks”. RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。}
  51. ^ RPM Year End Top 100 Adult Contemporary Tracks”. RPM. Library and Archives Canada. 2020年8月25日閲覧。}
  52. ^ "British single certifications – The Beatles – Free as a Bird". British Phonographic Industry. 2020年8月25日閲覧 Enter Free as a Bird in the field Keywords. Select Title in the field Search by. Select single in the field By Format. Select Silver in the field By Award. Click Search
  53. ^ "American single certifications – The Beatles – Free as a Bird". Recording Industry Association of America. 2020年8月25日閲覧 If necessary, click Advanced, then click Format, then select Single, then click SEARCH

参考文献[編集]

外部リンク[編集]