フリー・アズ・ア・バード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
フリー・アズ・ア・バード
ビートルズシングル
初出アルバム『ザ・ビートルズ・アンソロジー1
リリース
録音 オリジナル録音:ニューヨークのジョン・レノン自宅(1977年
追加録音:ポール・マッカートニーの自宅スタジオ(1994年2月~3月)
ジャンル ロック
時間
レーベル アップル・レコード
プロデュース ジェフ・リンジョン・レノンポール・マッカートニージョージ・ハリスンリンゴ・スター
チャート最高順位
ビートルズ シングル 年表
マキシ・シングル「ベイビー・イッツ・ユー
(1995年)
マキシ・シングル「フリー・アズ・ア・バード」
(1995年)
マキシ・シングル「リアル・ラヴ
(1996年)
ミュージックビデオ
「Free As A Bird」 - YouTube
テンプレートを表示

フリー・アズ・ア・バード」 (Free as a Bird) は、イギリスロックバンドビートルズの楽曲。ジョン・レノンの未完成曲を残りの3人のメンバー、ポール・マッカートニージョージ・ハリスンリンゴ・スターが手を加えて完成させた。

イギリスでは1970年の「レット・イット・ビー」以来、25年ぶりの新曲のシングルである。また、ビートルズとしては初のメンバーによるセルフプロデュース作品となった。

ザ・ビートルズ・アンソロジー1』のオープニング・ナンバーでもある。イギリスでは初登場2位。

レコーディングとエピソード[編集]

1994年、アンソロジー企画が進み、ポールがヨーコに「彼の未発表曲はないか?」と尋ね、ヨーコは1977年ごろレコーディングしていた未発表曲のデモテープ[注 1]をポールに渡した[4]。他のメンバーも含めてレコーディングを行い、実質上ビートルズのメンバー4人全員で完成させた曲。プロデューサーは、ビートルズの殆どの楽曲を手がけていたジョージ・マーティンが聴覚の衰えを理由に断った[注 2]ため、代わりにジョージ・ハリスンと仲が良かったジェフ・リンが担当し、1994年2月にポールの自宅スタジオで録音が開始された。

持ち込まれたテープは自宅スタジオでマルチトラックで録音されたものではなく、市販のカセットテープに録音されているものであった。そのため、ジョンの弾くピアノと歌声が1トラックで録音されており、雑音も入っていた[5]。1トラックしかないためにピアノや雑音を消すことはほとんど不可能に近かったが、ジェフ・リンが細心の注意を払い、雑音とピアノを可能な限り消すことに成功した。

この曲の制作途中に3人は感傷的になったりしたが、段々とジョンをダシにして笑うことも出来るようになってきた。「いつもジョンが調子を外す」などと言って笑いあった。リンゴは「まるでビートルズじゃないか」と言ったという。また、ポールは、いちいち感傷的になる気持ちを抑えるために、「自分のパートを早々と済ませたジョンが、あとはやっといてくれ、と休暇に出かけてしまった」という風に考えるようにしていた[6]

最初の音はリンゴ・スターによるスネア・ドラム(2発)でその後、ジョージのギターとなる。ジョージは、トレードマークのスライドギターを曲中で演奏している。このスライド・ギターのアレンジについて、ポールは当初難色を示していたようだが、最後には「素晴らしい」と評価している。ジョンが完成させていなかった、サビの部分の歌詞と後半部の間奏は、新たにジョージとポールとで書き下ろした[7]。元々、この曲が選ばれた理由は「また『ジョンと一緒に』曲を作れるから」だった。

アウトロには、ジョージが当時凝っていたというウクレレの音に紛れて、ジョンの“Made by John Lennon”と聞こえるセリフがあるが[8][9]、これはジョンがビートルズ時代にたまたま言った「よくやったね」と言う言葉を逆回転させたものである[10]

このセッションでジェフ・リンの手腕を高く評価したポールは、直後に製作開始したソロ・アルバム『フレイミング・パイ』でリンを共同プロデューサーに起用した。

プロモーション・ビデオ[編集]

映像版「ビートルズ・アンソロジー」に合わせて製作されたビデオは、飛んでいる鳥の視点から「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、「ペニー・レイン」、「ドクター・ロバート」、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」、「ペイパーバック・ライター」、「ザ・コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル」、「エリナー・リグビー」、「フール・オン・ザ・ヒル」など、多数のビートルズの楽曲の歌詞をモチーフにしたシーンで構成されている[11]。監督はジョー・ピトカ

また、当時最新の映像技術も導入されており、ビデオ内には既存映像からの切り抜き流用されたメンバーやポールの飼い犬マーサがCG合成で登場しているほか、女優のケイト・フォードが出演している。

1997年にグラミー賞 最優秀短編ミュージックビデオ賞を受賞した[10]

2015年版ミックス[編集]

ビートルズのミュージック・ビデオ集のDVDBDザ・ビートルズ1+』にはプロデューサーのジェフ・リン監修によるリミックス・ヴァージョンが収録されている。このヴァージョンには以下のような違いがある。

  1. ジョンのヴォーカルに掛かっていたエコーが外されている。
  2. ジョージのヴォーカルが別テイクに差し替えられており、歌詞がオリジナル・ヴァージョンと異なる。
  3. アウトロのジョンの台詞が逆回転ではない。

その他にもドラムのエコーや音の質感、ステレオの定位、楽器の個々のバランスなど、細かな違いがある。

演奏[編集]

クレジットはイアン・マクドナルドによるもの[12]

シングル収録曲[編集]

  1. フリー・アズ・ア・バード - Free As A Bird
  2. アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア - I Saw Her Standing There
  3. こいつ(テイク12&13) - This Boy (Take12&13)
  4. クリスマス・タイム - Christmas Time (Is Here Again)

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ この時に「グロー・オールド・ウィズ・ミー」「リアル・ラヴ」「ナウ・アンド・ゼン」のテープも渡されている[3]
  2. ^ ただしアンソロジー・アルバム全体のプロデュースは担当している。

出典[編集]

  1. ^ Official Singles Chart Top 100”. Official Charts Company. 2019年5月5日閲覧。
  2. ^ The Beatles Chart History”. Billboard. 2019年5月5日閲覧。
  3. ^ Everett, Walter (1999). The Beatles As Musicians: Revolver through the Anthology. New York: Oxford University Press. p. 8. ISBN 978-0-19-512941-0. 
  4. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love - 0:00:50–0:01:04) Starr talking about the idea of recording incidental music for the Anthology project.
  5. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:03:10–0:03:32) McCartney talking about the quality of Lennon's demo cassette.
  6. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:01:25–0:01:46) Harrison talking about their agreement that if one of them wasn't there, they could be not replaced, and that only Lennon could be the fourth Beatle.
  7. ^ The Beatles Anthology DVD 2003 (Special Features: Recording Free as a Bird and Real Love – 0:03:50) Harrison talking about changing chords and arrangement in the song.
  8. ^ O'Hagan, Sean (2005年9月18日). “Macca beyond”. The Observer. 2008年1月28日閲覧。
  9. ^ Montagne's, Renee (2002年11月26日). “Paul McCartney Gets Back to The Beatles”. NPR. 2018年10月22日閲覧。
  10. ^ a b Facts, Song. “Free As A Bird by The Beatles”. Songfacts. 2018年10月22日閲覧。
  11. ^ Ingham, Chris (2003). The Rough Guide To the Beatles. Rough Guides. p. 93. ISBN 1-84353-140-2. 
  12. ^ MacDonald, Ian (1997). Revolution in the Head : The Beatles' Records and the Sixties. Pimlico / Random House. p. 330. ISBN 978-0-7126-6697-8. 

関連項目[編集]