コンテンツにスキップ

ユー・キャント・ドゥ・ザット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビートルズ > 作品リスト > ユー・キャント・ドゥ・ザット
ビートルズ > 曲名リスト > ユー・キャント・ドゥ・ザット
ユー・キャント・ドゥ・ザット
ビートルズ楽曲
英語名You Can't Do That
リリース
  • アメリカ合衆国の旗 1964年3月16日
  • イギリスの旗 1964年3月20日
  • 日本の旗 1964年4月5日
A面キャント・バイ・ミー・ラヴ
録音
ジャンル
時間2分33秒
レーベル
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
チャート順位
後述を参照
ビートルズ シングル U.K. 年表
ビートルズ シングル U.S. 年表
ビートルズ シングル 日本 年表
ハード・デイズ・ナイト 収録曲
家に帰れば
(B-4)
ユー・キャント・ドゥ・ザット
(B-5)
アイル・ビー・バック
(B-6)

ユー・キャント・ドゥ・ザット」(You Can't Do That)は、ビートルズの楽曲である。1964年にイギリスで発売された6作目のシングル盤『キャント・バイ・ミー・ラヴ』のB面曲として発売された[3]レノン=マッカートニー名義となっているが、実質的にはジョン・レノンによって書かれた楽曲[4][5][6]。B面曲として発売された後、3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ハード・デイズ・ナイト』にも収録された。

曲の構成

[編集]

「ユー・キャント・ドゥ・ザット」は、所有欲の強さと嫉妬心を題材とした楽曲で[7]、フィリップ・マーゴティンとジーン・ミシェル・ゲドンは「『ジェラス・ガイ』の前身」としている[8]。1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューで、レノンは本作について「ウィルソン・ピケットをやってみた。1小節にカウベルを4回鳴らして、コードは"Chatoong"ってところ」と語っている[9]。本作においてレノンは、ギターソロも演奏しており[4]、1964年に「僕はリズムを刻むときにいつも何か面白いことをしてやろうと試みて、だいたい良い感じにできていた。『ユー・キャント・ドゥ・ザット』は良い例だ。リードギターというよりはリズムギターっぽく弾いた。録音したときに音が薄くならないようにするためにね。ジョージみたいなリードギタリストではないけど、たまにはリードを取りたいと思うときもある」と語っている[10][11]

ジョージ・ハリスンは、スタジオで本作のイントロとアウトロのギターリフを書いていて、『ローリング・ストーン』誌のトム・ペティとのインタビューで「スタジオにいて、「何かしなくちゃ」と思って書いた」と振り返っている[12]

1964年に公開されたビートルズ主演の映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』の撮影の一環で、本作を演奏するシーンも撮影されたが、最終的にカットされることとなった[13]

レコーディング、リリース

[編集]

「ユー・キャント・ドゥ・ザット」 レコーディングは、1964年2月25日にEMIレコーディング・スタジオで行われ[14]、同日には「アンド・アイ・ラヴ・ハー」や「恋する二人」のレコーディングも行われた[15]。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』には、ガイド・ボーカルが含まれた初期のテイクが収録された[16]

エド・サリヴァン・ショー』への出演のためにアメリカ合衆国ニューヨーク州に滞在していたときに、ハリスンに贈られたリッケンバッカー・360/12(1964年製)が[5][17]本作のレコーディングで使用された[5]

本作は、1964年3月16日にアメリカで、同月20日にイギリスで、4月5日に日本で発売されたシングル盤『キャント・バイ・ミー・ラヴ』のB面に収録された。その後イギリスで発売されたオリジナル・アルバム『ハード・デイズ・ナイト』、アメリカで発売された『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』に収録され[3]、解散後に発売されたコンピレーション・アルバム『ロックン・ロール・ミュージック』にも収録された。

1964年にBBCラジオで演奏されており[18]、2013年に発売された『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』には1964年7月16日に放送された『Top Gear』での音源が収録された。また、2016年に発売された『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』には、ボーナス・トラックとして1965年8月23日のハリウッド・ボウル公演でのライブ音源[19]が収録された。

1964年5月22日にジョージ・マーティンがテイク9にピアノをオーバー・ダビングし、アルバムバージョンとして発表する計画があったが、最終的には実行されなかった[20]

クレジット

[編集]

※出典[4]

カバー・バージョン

[編集]

ニルソンによるカバー

[編集]
「ユー・キャント・ドゥ・ザット」
ニルソンシングル
初出アルバム『パンディモニアム・シャドウ・ショウ英語版
リリース
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
チャート最高順位
後述を参照
ニルソン シングル 年表
  • ユー・キャント・ドゥ・ザット
  • (1967年)
パンディモニアム・シャドウ・ショウ英語版 収録曲
調子外れの賛美歌
(A-4)
ユー・キャント・ドゥ・ザット
(A-5)
スリープ・マイ・レディ・フレンド
(A-6)
テンプレートを表示

ハリー・ニルソンは、1967年に発売したアルバム『パンディモニアム・シャドウ・ショウ英語版』に「ユー・キャント・ドゥ・ザット」のカバー・バージョンを収録[21]。ニルソンのカバー・バージョンでは、10曲程度のビートルズの楽曲の要素と融合されている[22]

ニルソンのカバー・バージョンは、「初のマッシュアップ曲」とされている[23]。シングル・カットされており、カナダの音楽雑誌『RPM』のチャートで最高位10位[24]、アメリカの『ビルボード』誌のBubbling Under the Hot 100で最高位122位を記録した[25]

その他のアーティストによるカバー

[編集]

チャート成績

[編集]
ビートルズ版
チャート (1964年) 最高位
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[29] 6
カナダ (CHUM Chart)[30]
33
US Billboard Hot 100[31]
48
ニルソン版
チャート (1967年) 最高位
Canada Top Singles (RPM)[24]
10
US Bubbling Under the Hot 100 (Billboard)[25]
122
US Cash Box Top 100[32]
91

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ Pollack, Alan W. (1992年). “Notes on "You Can't Do That"”. "Notes on" Series. 2018年12月11日閲覧。
  2. ^ Unterberger, Richie (2009年). “Review of "You Can't Do That"”. 2018年12月11日閲覧。
  3. ^ a b Lewisohn 1988, p. 200.
  4. ^ a b c MacDonald 2005, pp. 106–107.
  5. ^ a b c Harry 1992, p. 715.
  6. ^ Miles 1997, p. 164.
  7. ^ Courrier 2008, p. 79.
  8. ^ Margotin & Guesdon 2014, p. 184.
  9. ^ Sheff 2020, p. 213.
  10. ^ Everett 2001, p. 224.
  11. ^ Margotin & Guesdon 2014, p. 185.
  12. ^ 11.George Harrison - 100 Greatest Guitarists”. Rolling Stone (2015年12月18日). 2021年2月7日閲覧。
  13. ^ Rolston & Murray 2001, p. 63.
  14. ^ Lewisohn 1988, p. 39.
  15. ^ Winn 2008, p. 155.
  16. ^ Lewisohn 1995, p. 34.
  17. ^ The Beatles 2000, p. 81.
  18. ^ Winn 2008, p. 217.
  19. ^ ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル [SHM-CD][CD] - ザ・ビートルズ”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2020年12月5日閲覧。
  20. ^ Lewisohn 1988, p. 44.
  21. ^ Erlewine, Stephen Thomas. “Pandemonium Shadow Show - Harry Nilsson | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. All Media Group. 2021年2月7日閲覧。
  22. ^ Greenwald, Matthew. You Can't Do That | Song Info - オールミュージック. 2021年2月7日閲覧。
  23. ^ Fennessey, Sean (2013年8月6日). “» Deconstructing Harry”. GRANTLAND. ESPN Internet Ventures. 2022年2月19日閲覧。
  24. ^ a b Top RPM Singles: Issue 6240”. RPM. Library and Archives Canada. 2022年2月19日閲覧。
  25. ^ a b “Bubbling Under the Hot 100”. Billboard (Nielsen Business Media) 79 (35): 19. (2 September, 1967). ISSN 0006-2510. https://books.google.co.jp/books?id=fCgEAAAAMBAJ&pg=PA19-IA1&dq=Bubbling+Under+Hot+100+You+Can%27t+Do+That+Nilsson&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjuv-Otxov2AhUIBt4KHUpUCa4Q6AF6BAgJEAI#v=onepage&q=Bubbling%20Under%20Hot%20100%20You%20Can't%20Do%20That%20Nilsson&f=false. 
  26. ^ A Bit of Liverpool - The Supremes | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年2月7日閲覧。
  27. ^ Viglione, Joe. The Beat Goes On - Vanilla Fudge | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年2月7日閲覧。
  28. ^ Deming, Mark. B-Sides the Beatles - The Smithereens | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2021年2月7日閲覧。
  29. ^ "Ultratop.be – The Beatles – You Can't Do That" (in French). Ultratop 50. 2022年3月27日閲覧。
  30. ^ 1050 CHUM”. CHUM Chart. 2006年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月19日閲覧。
  31. ^ The Hot 100”. Billboard. 2022年2月19日閲覧。
  32. ^ Cash Box Top 100 9/09/67”. cashboxmagazine.com. 2022年2月19日閲覧。

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]