エイト・デイズ・ア・ウィーク

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エイト・デイズ・ア・ウィーク
ビートルズシングル
初出アルバム『ビートルズ・フォー・セール
A面 日本の旗 ノー・リプライ
B面 アメリカ合衆国の旗 パーティーはそのままに
リリース
録音
ジャンル ロック [1]
時間
レーベル
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
ゴールドディスク
後述を参照
チャート最高順位
後述を参照
ビートルズ シングル U.S. 年表
ビートルズ シングル 日本 年表
ビートルズ・フォー・セール 収録曲
カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ
(A-7)
エイト・デイズ・ア・ウィーク
(B-1)
ワーズ・オブ・ラヴ
(B-2)
ミュージックビデオ
「Eight Days A Week」 - YouTube
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エイト・デイズ・ア・ウィーク」(Eight Days a Week)は、ビートルズの楽曲である。レノン=マッカートニーの作品で、ポール・マッカートニーのアイデアをベースにジョン・レノンと2人で書いた。イギリスでは1964年12月4日に発売された4作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール』のB面1曲目に収録され、アメリカではシングル盤として発売され、Billboard Hot 100で第1位を獲得[2]するなどのヒットを記録した。

2016年9月22日には本曲のタイトルを冠したドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK - The Touring Years』が公開された。映画内にはレコーディング風景も含まれており、エンディング曲としても使用されている。

背景[編集]

曲のタイトルについて、マッカートニーは2つの異なる由来を語っている。1984年の『プレイボーイ』誌のインタビューでは、当時多忙を極めていたグループの実情を、リンゴ・スターが「週に8日も仕事だなんて…」と嘆いていたのがきっかけだとマッカートニーが語っている[3][注 1]。その後、『ザ・ビートルズ・アンソロジー』では、当時ウェイブリッジにあったレノンの家に向かう際に、マッカートニーが車の運転手に忙しいかどうかを尋ねた際に運転手が発した「週に8日も働かされてるよ」という言葉が元になっていると語っている[4]

楽曲はマッカートニーのアイデアをベースとして、ジョン・レノンとの2人で書かれた。このことについて、1980年にレノンは「『エイト・デイズ・ア・ウィーク』は『ヘルプ!』というタイトルを思いつくまで、あの映画『ヘルプ!』の仮りのタイトルだった。ぼくもかなり手伝ったけど、これはもっぱらポールのたまものだ」と語っている[5]

後述のようにアメリカでヒットした楽曲であるが、メンバーは本作をよく思っておらず、とくにレノンは「お粗末な曲」と酷評している[6]。このため、バンド活動期でのライブ演奏は、1965年4月3日に放送されたイギリス向けのITVシリーズ『Thank Your Lucky Stars』で披露(マイム演奏)されたのみで、それ以外の番組やコンサートでは一切演奏されなかった。発表から50年近く経った2013年、ポール・マッカートニーが「アウト・ゼアー」ツアーでオープニング・ナンバーとして演奏し[7]、ライブ初披露となった。

レコーディング[編集]

この曲は1964年10月6日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2にて録音が開始された。テイク1はアコースティック・ギターでのシンプルな演奏で、テイク2は「Oo」のコーラスから始まるアレンジとなっており、テイク6でギターのイントロに変更された[8]。10月18日に曲のエンディング部分が録音され、これが10月6日に録音されたテイク13に繋げられて完成した[9]

完成した曲はイントロは、ビートルズの楽曲では初となるフェード・イン[10][11]、同時にポップ・ソングにフェード・インが採り入れられた初の例でもある[10][11]。後に発売された『リボルバー』に収録の「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」でも採用された。マッカートニーは、イントロとエンディングで、ベースによる三連符弾きをしている。トラック上の楽器は、アコースティック・ギターエレクトリック・ギター、ベース、ドラム、そしてオーバー・ダビングで加えられたハンドクラップ英語版で構成されている。フェードインとコーダには、ジョージ・ハリスンリッケンバッカー・360/12で演奏したフレーズがオーバー・ダビングされている[12]

リリース[編集]

「エイト・デイズ・ア・ウィーク」は、イギリスで1964年12月4日に発売されたオリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール[13]のB面1曲目[14]に収録された。

アメリカでは、1965年2月15日にシングル曲としてリリースされた(B面は「パーティーはそのままに」)[15]。1965年3月13日付のBillboard Hot 100で第1位を獲得し、2週連続で第1位を独占した[16]。『ビルボード』誌の1965年度年間ランキングでは第36位を記録。『キャッシュボックス』誌では3週連続第1位を記録し[17]、年間ランキング55位だった。アメリカでは100万枚以上のセールスを記録している。後にキャピトル・レコードから発売されたアルバム『ビートルズ VI』に収録された。

日本では、1965年2月5日に発売されたシングル盤『ノー・リプライ』のB面曲としてリカットされ、オランダでは「ノー・リプライ」との両A面シングルとして発売された。

クレジット[編集]

チャート成績[編集]

週間チャート[編集]

チャート (1965年) 最高位
ベルギー (Ultratop 50 Wallonia)[18] 28
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[19] 9
Canada Top 40 (RPM)[20] 1
オランダ (Single Top 100)[21]
ベイビーズ・イン・ブラック」との両A面扱い
1
US Billboard Hot 100[2] 1
US Cash Box Top 100[17] 1
西ドイツ (Media Control Singles Chart)[22] 5

年間チャート[編集]

チャート (1965年) 最高位
US Billboard Hot 100[23] 55
US Cash Box[24] 55

認定[編集]

国/地域 認定 認定/売上数
アメリカ合衆国 (RIAA)[25] Gold 1,000,000^

* 認定のみに基づく売上数
^ 認定のみに基づく出荷枚数

カバー・バージョン[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ スターの呟きを由来とした曲名は、他に「ア・ハード・デイズ・ナイト」「トゥモロー・ネバー・ノウズ」がある。

出典[編集]

  1. ^ Unterberger, Richie. Eight Days a Week - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年7月24日閲覧。
  2. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1965年3月13日). 2020年7月24日閲覧。
  3. ^ Hertsgaard 1996, pp. 103–104, 363.
  4. ^ The Beatles 2000, p. 159.
  5. ^ 『ジョン・レノンPlayboyインタビュー』集英社、1981年、166頁。ASIN B000J80BKM 
  6. ^ Sheff 2000, p. 174.
  7. ^ “ポール・マッカートニー 11年ぶり来日!東京D最高齢公演”. スポーツニッポン (スポーツニッポン新聞社). (2013年7月17日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/07/17/kiji/K20130717006232090.html 2013年7月17日閲覧。 
  8. ^ Lewisohn 1988, p. 49.
  9. ^ Lewisohn 1988, p. 49, 50.
  10. ^ a b Hertsgaard 1996, p. 104.
  11. ^ a b Miles 2001, p. 180.
  12. ^ a b Everett 2001, p. 262.
  13. ^ Miles 2001, pp. 178–179.
  14. ^ Lewisohn 1988, pp. 53, 200.
  15. ^ Castleman & Podrazik 1976, p. 331.
  16. ^ Beatles Book. Downloadable Ebook Analyzing "Meet The Beatles" and "Introducing The Beatles." Twist And Shout. Love Me Do.”. DKR Products. 2019年9月10日閲覧。
  17. ^ a b Hoffman 1983, pp. 32–34.
  18. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Eight Days a Week" (in French). Ultratop 50. 2020年9月21日閲覧。
  19. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Eight Days a Week" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年9月21日閲覧。
  20. ^ Top RPM Singles: Issue 5710”. RPM. Library and Archives Canada. 2020年9月21日閲覧。
  21. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Eight Days A Week / Baby's In Black" (in Dutch). Single Top 100. 2020年9月21日閲覧。
  22. ^ Offizielle Deutsche Charts – The Beatles – Eight Days a Week”. Offizielle Deutsche Charts. 2020年9月21日閲覧。
  23. ^ “Top Singles of 1965”. Billboard 1966 International Record & Talent Showcase: 23-24. (December 25, 1965). https://www.americanradiohistory.com/Archive-Billboard/60s/1965/Billboard-1965-International-Record-&-Talent.pdf. 
  24. ^ Cash Box Year-End Charts: Top 100 Pop Singles, December 25, 1965”. 2015年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月24日閲覧。
  25. ^ "American single certifications – The Beatles – Eight Days a Week". Recording Industry Association of America. 2020年9月21日閲覧
  26. ^ And Now... The Runaways - The Runaways | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月8日閲覧。
  27. ^ The Punkles [Wolverine] - The Punkles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月8日閲覧。
  28. ^ Leave the Light On - Lorrie Morgan | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月8日閲覧。
  29. ^ RELEASE / リリース” (日本語). UP-FRONT WORKS. UP-FRONT WORKS Co.,Ltd.. 2021年12月8日閲覧。
  30. ^ The Test of Time - Ken Navarro | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月8日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]