ビートルズ・フォー・セール

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ビートルズ・フォー・セール
ビートルズスタジオ・アルバム
リリース
録音 アビー・ロード・スタジオ
1964年8月11日 - 8月14日9月29日 - 10月26日
ジャンル ロックンロール[1]
カントリー[2][3]
フォークロック
時間
レーベル パーロフォン
PMC 1240 (monaural LP)
PCS 3062 (stereo LP)
CDP 7 46438 2 (monaural CD)
プロデュース ジョージ・マーティン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(Billboard 200UKチャート
    ケント・ミュージック・レポート
  • 1位(日本、ミュージック・マンスリー洋楽チャート、1965年当時[4]
  • 7位(オリコン1987年盤)
  • ビートルズ U.K. 年表
    ビートルズがやって来る
    ヤァ!ヤァ!ヤァ!

    (1964年)
    ビートルズ・
    フォー・セール(ビートルズ '65)

    (1964年)
    4人はアイドル
    (1965年)
    ビートルズ 日本 年表
    ビートルズがやって来る
    ヤァ!ヤァ!ヤァ!

    (1964年)
    ビートルズ・
    フォー・セール(ビートルズ '65)

    (1965年)
    ビートルズ No.5!
    (1965年)
    テンプレートを表示

    ビートルズ・フォー・セール』(Beatles for Sale) はイギリスにおいて1964年12月4日に発売されたビートルズの4作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバムである。

    解説[編集]

    プロデュースはジョージ・マーティンであり、パーロフォンが発売した。アルバムは作詞者としてのレノン=マッカートニーにとってターニングポイントとなり、特にレノンは自叙的な曲を作ることに興味を示した。「アイム・ア・ルーザー」はレノンがボブ・ディラン[5]の影響下にあることを初めて示した曲である。なお、ビートルズのメンバーとディランはニューヨークにてツアー中の1964年8月28日に初めて会った[6]

    アルバム・タイトルは訳すると「ビートルズ売り出し中」で、クリスマスセールに引っ掛けたもの。

    アメリカにおいては、『ビートルズ '65(Capitol)』と『ビートルズ VI』として初めて発売した。日本では1965年に『ビートルズ '65』という日本語題で発売した。

    制作背景[編集]

    アルバムが録音されているとき、ビートルマニアはちょうどピークだった[7]。1964年の初め、ビートルズはアメリカにおいてテレビ出演による旋風を巻き起こしていて、彼らのレコードに空前の需要が発生していた。『ビートルズ・フォー・セール』は(最初のアルバムから数えて)21ヶ月における4作目のアルバムである。アルバムの録音は8月11日に始まる。『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』の発売からちょうど1ヶ月である。続いてツアーがあった。大部分のアルバム制作はイギリスでの演奏のオフに行われた。

    アルバムのレコーディングセッションの大半は9月29日から3週間で完了した。ビートルズのプロデューサーのジョージ・マーティンは1963年から64年にかけてビートルズは非常に忙しかったと回想している。

    本アルバムの録音はロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われた。ビートルズはスタジオをクラシックの演奏家と分け合わなければならず、これについてマッカートニーは1988年にクラシックのセッションがナンバーワンヒットにも入ってしまったりしたことを説明している。ジョージ・ハリスンはバンドが成功によってプレッシャーが取れ、録音技術をさらに洗練させたことを回想している。

    録音は10月18日に完了した。バンドは数回のミキシングやセッションの編集に参加しプロジェクトが終わる11月4日まで続いた。アルバムは急いで生産されちょうど1ヶ月後に発売した。ビートルズのマネージャー、ニール・アスピノールは後にビートルズは猛烈に働くバンドだったと回顧している。

    選曲[編集]

    いかに多作のレノン=マッカートニー作曲チームでも、クリスマスに間に合うように、自分たちの新曲だけでアルバムを作ることはできず[8]、アルバム用の数曲をカヴァー録音に頼ることにした。アルバムには6曲のカヴァーが入っている[9]。これは彼らの初期の2枚のアルバムと同じ構成であった。マッカートニーはライヴの中に新曲を入れたようなものだと思い返している。実際、3つのカヴァーは合計5回のテイクで録音されている。それは10月18日の1回のセッションでの事である。

    本アルバムには8つのオリジナル曲が収録された。この当時の2人の共作においては、レノンとマッカートニーの作曲はかなり協力的であった。

    カヴァー曲[編集]

    アルバム収録のカヴァー曲にはメンバーが敬愛するチャック・ベリーの「ロック・アンド・ロール・ミュージック」とバディ・ホリーの「ワーズ・オブ・ラヴ」、そしてカール・パーキンスの2つの曲、ジョージ・ハリスンが歌った「みんないい娘」とリンゴ・スターが歌った「ハニー・ドント」がある。スターは「ハニー・ドント」がリヴァプールのバンドが一般に演奏する曲で、ビートルズもよく演奏し、この曲のおかげで『ビートルズ・フォー・セール』においても自分のヴォーカルが入ったと回想している。

    発売[編集]

    『ビートルズ・フォー・セール』はイギリスにおいて1964年12月4日に発売され、12月12日から46週にわたってチャートに入り、次の週に『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』とトップを交代した。7週後、トップからは落ちてしまったように見えたが、本アルバムは1965年2月27日ローリング・ストーンズを退けてトップに1週間戻ってきた。まだアルバムのチャートの記録はすべてではない。1987年3月7日、最初の発売からほぼ23年後に本アルバムは2週間チャートに登場した。

    1987年に初CD化されたアルバムはモノラル盤であり、ステレオ盤は2009年9月9日に初CD化された[10][11]。それ以前は、アメリカ編集盤を収録した『ビートルズ'64 BOX』、『ビートルズ'65 BOX』に分散される形で全曲のステレオ・ヴァージョンが収録されていたが、一部の曲は英国盤とはミックスが異なっている。

    アメリカ盤[編集]

    同時期にアメリカで発売された"Beatles '65"(Capitol)は『ビートルズ・フォー・セール(ビートルズ '65)』から8曲を収録し、「カンサス・シティー - ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」、「エイト・デイズ・ア・ウィーク」(アメリカにおいて1位になったシングル)、「ホワット・ユー・アー・ドゥーイング」、「ワーズ・オブ・ラヴ」、「エヴリー・リトル・シング」、「パーティはそのままに」(「エイト・デイズ・ア・ウィーク」のB面として、アメリカチャートで35位に、カントリーチャートで1位になった。それはロザンヌ・キャッシュが1989年にリメイクしたものである。)が外された。一方、「アイル・ビー・バック」がイギリス盤の『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』から、シングル「アイ・フィール・ファイン」、「シーズ・ア・ウーマン」が追加された。外された6曲はアメリカでは1965年に『ビートルズ VI』に収録された。"Beatles '65"(Capitol)は『ビートルズ・フォー・セール(ビートルズ '65)』が発売された11日後(クリスマス休暇の10日前)に発売され、1週間のみで100万枚を売りその年のアメリカにおける最速で売れたアルバムとなった。

    オーストラリア盤[編集]

    LPはイギリス盤と全く同じ曲順で発売したにもかかわらず、EMIオーストラリアは自社規定に従いカヴァー写真を変更してリリースした。ジョン・レノンは会議の時にEMIオーストラリアに対して変更を抗議したが、CDで発売される1988年まで同じカヴァーのままだった[12]

    日本版・カセット・テープ[編集]

    1980年代まで、日本ではアルバムと同内容のカセットテープが発売されていたが、このアルバムのみカセット・テープはアメリカ盤の"Beatles '65"(Capitol)に準拠していた。これは、かつて『ビートルズ・フォー・セール』を日本国内で『ビートルズ '65』と称していたことの名残である。なお、ジャケット(パッケージ)写真は『ビートルズ・フォー・セール』のものが使用されていた。

    ジャケット・デザイン[編集]

    過去のアルバム三作に比べ、『ビートルズ・フォー・セール』の少し暗く大人しい雰囲気を持つ曲はアルバム・カヴァーにも反映されている。このカヴァーは笑わずに憂いを帯びた表情のビートルズを秋のロンドンハイドパークで撮ったものである[11]。マッカートニーは短いセッションでかなり良いカヴァーを作ったと回想する。また「ジョージの髪型が小さいカブのようになっていて、素晴らしい」とも語っていた。アルバム・タイトルは左上に非常に小さく配置されている。

    本作は見開きカヴァーを利用した最初のビートルズのアルバムになった [13][注釈 1]。見開きカヴァーの内側はモンタージュ写真の前に立つビートルズの写真がある。これは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のカヴァー作りにインスピレーションを与えたと一部の人間が仮定しているが、その証拠は存在しない。

    日本盤は発売当時は、写真は同じものが使われているが、アルバムのタイトル・ロゴがイギリス盤が左隅に黒で小さくあるのにたいして、日本盤はアルバムのほぼ中央に赤で大きく記載されていた。

    チャート[編集]

    『ビートルズ・フォー・セール』とアメリカ編集盤の"Beatles '65"(Capitol)はどちらも各国で1位を獲得し、イギリスでは前作の『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』を1位から降ろした。

    1987年2月26日、本アルバムはCDとして公式に発売した。それは3つの他のアルバム、『プリーズ・プリーズ・ミー』、『ウィズ・ザ・ビートルズ』、『ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』と同時であった。最初の発売からほぼ23年経って、アルバムはイギリスにおいて1987年に2週間チャート入りした。以前は輸入盤でしか入手出来なかったアメリカにおいては1987年7月21日、アルバムは国内向けにLP盤とカセットでも発売された。アルバムは4トラックテープで録音されたにもかかわらず、CDとアメリカのLP盤とカセットはモノラルでのみのリリースであった。

    収録曲[編集]

    アナログA面
    全作詞・作曲: レノン=マッカートニー(特記を除く)。
    #タイトル作詞作曲・編曲リード・ボーカル[14]時間
    1.ノー・リプライ
    No Reply
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    2.アイム・ア・ルーザー
    I'm a Loser
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    3.ベイビーズ・イン・ブラック
    Baby's in Black
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    ポール・マッカートニー
    4.ロック・アンド・ロール・ミュージック
    Rock and Roll Music(チャック・ベリー[注釈 2])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    5.アイル・フォロー・ザ・サン
    I'll Follow the Sun
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ポール・マッカートニー
    6.ミスター・ムーンライト
    Mr. Moonlight(ロイ・リー・ジョンソン[注釈 3])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    7.カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ[注釈 4]
    Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey(ジェリー・リーバーとマイク・ストーラー/リチャード・ペニーマン[注釈 5])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ポール・マッカートニー
    アナログB面
    全作詞・作曲: レノン=マッカートニー(特記を除く)。
    #タイトル作詞作曲・編曲リード・ボーカル[14]時間
    1.エイト・デイズ・ア・ウィーク
    Eight Days a Week
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン[注釈 6]
    2.ワーズ・オブ・ラヴ
    Words of Love(バディ・ホリー[注釈 7])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    ポール・マッカートニー
    3.ハニー・ドント
    Honey Don't(カール・パーキンス[注釈 8])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)リンゴ・スター
    4.エヴリー・リトル・シング
    Every Little Thing
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    ポール・マッカートニー
    5.パーティーはそのままに
    I Don't Want to Spoil the Party
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョン・レノン
    ポール・マッカートニー
    6.ホワット・ユー・アー・ドゥーイング
    What You're Doing
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ポール・マッカートニー
    7.みんないい娘
    Everybody's Trying to Be My Baby(カール・パーキンス[注釈 8])
    レノン=マッカートニー(特記を除く)レノン=マッカートニー(特記を除く)ジョージ・ハリスン

    パーソネル[編集]

    マーク・ルウィソーンによる[15]

    脚注[編集]

    [ヘルプ]

    出典[編集]

    1. ^ 次は1967年の『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』である。
    2. ^ チャック・ベリーのカバー曲
    3. ^ ピアノ・レッドがドクター・フィールグッド&ジ・インターンズ名義で発表した楽曲のカバー。
    4. ^ メドレー形式になっている。アナログ盤では「カンサス・シティ」のみの表記となっていた。
    5. ^ リトル・リチャードのカバー曲。
    6. ^ ただしアナログ盤の曲目ではジョン・レノンとポール・マッカートニーのダブル・ボーカルと記載されている。
    7. ^ バディ・ホリーのカバー曲
    8. ^ a b カール・パーキンスのカバー曲

    出典[編集]

    1. ^ Ewing, Tom (2009年9月8日). “The Beatles: Beatles for Sale”. Pitchfork Media. 2013年1月11日閲覧。
    2. ^ Riley, Tim (2002) [1988]. Tell Me Why – The Beatles: Album by Album, Song by Song, the Sixties and After. Cambridge, MA: Da Capo Press. ISBN 978-0-306-81120-3. 
    3. ^ MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd rev. edn). Chicago, IL: Chicago Review Press. ISBN 978-1-55652-733-3. 
    4. ^ 『日経BPムック 大人のロック!特別編集 ザ・ビートルズ 世界制覇50年』日経BP社、2015年、33頁。ISBN 978-4-8222-7834-2
    5. ^ according to leading The Beatles archivist Mark Lewisohn (see Complete Beatles Chronicle, p.168)
    6. ^ see "Paul McCartney - Many Years From Now" by Barry Miles
    7. ^ Hertsgaard, Mark (1996). A Day in the Life: The Music and Artistry of the Beatles. London: Pan Books. ISBN 0-330-33891-9. 
    8. ^ Lewisohn, Mark (2005) [1988]. The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962–1970. London: Bounty Books. ISBN 978-0-7537-2545-0. 
    9. ^ Everett, Walter (2001). The Beatles as Musicians: The Quarry Men through Rubber Soul. New York, NY: Oxford University Press. ISBN 0-19-514105-9. 
    10. ^ Badman, Keith (2001). The Beatles Diary Volume 2: After the Break-Up 1970–2001. London: Omnibus Press. ISBN 978-0-7119-8307-6. 
    11. ^ a b Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2. 
    12. ^ Miles, Barry (2001). The Beatles Diary Volume 1: The Beatles Years. London: Omnibus Press. ISBN 0-7119-8308-9. 
    13. ^ Spencer, Neil (2002). “Beatles For Sale: Some Product”. Mojo Special Limited Edition: 1000 Days of Beatlemania (The Early Years – April 1, 1962 to December 31, 1964). London: Emap. 
    14. ^ a b MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (2nd rev. edn). Chicago, IL: Chicago Review Press. ISBN 978-1-55652-733-3. 
    15. ^ Lewisohn, Mark (1996). The Complete Beatles Chronicle. Chronicle Press. ISBN 1-85152-975-6. 

    参考文献[編集]

    外部リンク[編集]

    先代:
    ローリング・ストーンズザ・ローリング・ストーンズ
    Australian Kent Music Report ナンバーワンアルバム
    1965年2月6日 - 4月23日
    次代:
    リチャード・ロジャースオスカー・ハマースタイン2世
    サウンド・オブ・ミュージック (サウンドトラック)