コンテンツにスキップ

レット・イット・ビー...ネイキッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビートルズ > 作品リスト > レット・イット・ビー...ネイキッド
『レット・イット・ビー...ネイキッド』
ビートルズリミックス・アルバム
リリース
録音
  • 1968年2月4日、1969年1月2日 – 31日 (1969-01-02 – 1969-01-31)、1970年1月3日
ジャンル ロック
時間
レーベル アップル・レコード
プロデュース
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
後述を参照
ゴールドディスク
後述を参照
ビートルズ アルバム 年表
  • レット・イット・ビー...ネイキッド
  • (2003年)
テンプレートを表示

レット・イット・ビー...ネイキッド』(Let It Be... Naked) は、2003年に発表されたビートルズリミックス・アルバム。CDは2枚組、アナログ盤は30cmLPと17cmEPのセットで発売された。日本盤を含む一部の地域でビートルズ作品としては初めてコピーコントロールCDが使用された一方、イギリス盤、アメリカ盤などは通常のCD-DAで発売された。この結果、音質の劣化が分かりやすい形で出たとされCCCD版(盤)は不評を買った[5]。その後、2010年に日本盤もCD-DAで再発売された。

概要[編集]

1969年1月のいわゆる「ゲット・バック・セッション」でレコーディングされた楽曲が、フィル・スペクターのプロデュースによりアルバム『レット・イット・ビー』としてまとめられ、1970年5月にリリースされた。しかし、アレンジがポール・マッカートニーの当初の意向とは異なった物であり、とりわけ「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」のアレンジには強い不満を抱いていた[6][7]

彼にとって「将来発売される“映画”のサウンドトラックとして、フィルのLPが使われるのは不本意」であり、「映画で聴けるテイクが、“ありのままの音”なのではないか」と思い至ったことから、 『レット・イット・ビー』を楽器パート別に録音されているマルチトラックテープそのものからトラック・ダウンし直し、映画の中で聴ける形に限りなく近くなるようにリミックスで再リリースするという計画に対し、リンゴ・スターオノ・ヨーコは同意し、ジョージ・ハリスンも2001年の死の前に同意した。

リミックス盤のリリースはメンバー総意の承認によりなされたが、ミキシングへはほとんど関与しなかった。ミキシングの方針はほとんどアビー・ロード・スタジオのエンジニア達によって決定され、最先端のテクノロジーが駆使された。しかしながら、演奏された楽曲にさらに音をかぶせて厚みを増したりするようなことはなされておらず、本来の「自然なままの」音(=裸、すなわち「ネイキッド」)を生かすことで当時のビートルズが作ろうとしていたアルバムに近づいたことは確かであり、アルバム・タイトルの由来になっている[注釈 1]

オリジナル版との違い[編集]

オリジナル版『レット・イット・ビー』に収録されている楽曲のうち「マギー・メイ」と「ディグ・イット」の2曲は、アルバムのリミックスを手がけたアラン・ラウス曰く「サウンドトラック・アルバムとしては良いが(中略)正当なアルバムのコンセプトには馴染まない」という理由からカットされた[8][9][注釈 2]。その代わりに映画で使用されたにもかかわらず、オリジナル版には収録されていない「ドント・レット・ミー・ダウン」が追加されたが、本作に収録されたのはシングル盤『ゲット・バック』にB面に収録されているテイクではなく、ルーフトップ・コンサートで2回演奏された音源を融合させたもの[8]。「アイヴ・ガッタ・フィーリング」についても、同じく2回演奏されたものを新たに編集した音源で収録されている[8]。「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」は、オリジナル版では1969年1月26日に録音されたテイクが使用されていたが、本作では1月31日に録音されたテイクが使用されている[8]

各収録曲の変更点は、以下のようになっている[8]

  • ゲット・バック」 - 1969年1月27日に録音されたテイクをリミックスしており、シングル収録テイクに含まれていたコーダや、『レット・イット・ビー』収録テイクに含まれていたスタジオやルーフトップ・コンサートでのセリフはカットされている。
  • ディグ・ア・ポニー」 - 1969年1月30日に行なわれたルーフトップ・コンサートでのライブ音源をリミックス。オリジナル版と同様に、「All I Want Is You」のイントロとアウトロはカットされている。
  • フォー・ユー・ブルー」 - オリジナル版と同じマスターが使用されているが、冒頭にあったレノンの語りはカットされている[10]
  • 「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」 - オリジナル版では1969年1月26日に録音されたテイクを使用していたが、本作では1月31日に録音されたテイクを使用している。
  • トゥ・オブ・アス」 - オリジナル版と同じ1969年1月31日に録音されたテイクが使用されているが、冒頭にあった語りがカットされ、レノンのアコースティック・ギターの演奏ミスがデジタル修正されている。
  • 「アイヴ・ガッタ・フィーリング」 - 1969年1月30日に行なわれたルーフトップ・コンサートでの2回の演奏を繋ぎ合わせている。
  • ワン・アフター・909」 - 1969年1月30日に行なわれたルーフトップ・コンサートでのライブ音源をリミックスしたもので、「ダニー・ボーイ」の即興演奏がカットされている。
  • 「ドント・レット・ミー・ダウン」 - 1969年1月30日に行なわれたルーフトップ・コンサートでの2回の演奏を繋ぎ合わせている。
  • アイ・ミー・マイン」 - 1970年1月3日に録音されたテイクを使用。オーケストラは除去されているが、スペクターが施した編集[注釈 3]はそのままとなっている。これについてエンジニアのガイ・マジーは「元々は無編集にするつもりだったけど、あの長さで聴くとあまりにも短すぎるんだ」と語っている。
  • アクロス・ザ・ユニバース」 - レノンのギターボーカル、スターのドラムス、タンブーラをフィーチャーしたアレンジとなっており、エンディング部分にはエコーが加えられている。
  • レット・イット・ビー」 - 1969年1月31日に録音されたテイク27Aをリミックスし、テイク27Bに含まれているハリスンのギターソロを繋ぎ合わせている。

収録曲[編集]

ディスク1[編集]

#タイトル作詞・作曲リード・ボーカル時間
1.ゲット・バック(Get Back)レノン=マッカートニーポール・マッカートニー
2.ディグ・ア・ポニー(Dig A Pony)レノン=マッカートニー
3.フォー・ユー・ブルー(For You Blue)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
4.ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード(The Long And Winding Road)レノン=マッカートニーポール・マッカートニー
5.トゥ・オブ・アス(Two Of Us)レノン=マッカートニー
  • ポール・マッカートニー
  • ジョン・レノン
6.アイヴ・ガッタ・フィーリング(I've Got A Feeling)レノン=マッカートニー
  • ポール・マッカートニー
  • ジョン・レノン
7.ワン・アフター・909(One After 909)レノン=マッカートニー
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
8.ドント・レット・ミー・ダウン(Don't Let Me Down)レノン=マッカートニージョン・レノン
9.アイ・ミー・マイン(I Me Mine)ジョージ・ハリスンジョージ・ハリスン
10.アクロス・ザ・ユニバース(Across The Universe)レノン=マッカートニージョン・レノン
11.レット・イット・ビー(Let It Be)レノン=マッカートニーポール・マッカートニー
合計時間:

ディスク2:ボーナス・ディスク: "Fly on the Wall"[編集]

1969年に行なわれたゲット・バック・セッションから抜粋された歌と会話を収録したボーナス・ディスク。再生時間は合計で21分55秒もある。

ボーナス・ディスクには、以下の楽曲が含まれる。特記がないものは、レノン=マッカートニーによる作品。

演奏[編集]

ビートルズ
外部ミュージシャン

チャート成績[編集]

認定・セールス[編集]

国/地域 認定 認定/売上数
オーストラリア (ARIA)[39] Gold 35,000^
ドイツ (BVMI)[40] Gold 100,000^
日本 (RIAJ)[41] 2× Platinum 500,000^
スウェーデン (GLF)[42] Gold 30,000^
イギリス (BPI)[43] Gold 100,000^
アメリカ合衆国 (RIAA)[44] Platinum 1,211,000[45]

^ 認定のみに基づく出荷枚数

各国での販売形態[編集]

日付 レーベル 販売形態 カタログ番号
日本 2003年11月14日 (2003-11-14) 東芝EMI CCCD
  • TOCP-67300(ディスク1)
  • TOCP-67301(ディスク2/ボーナス・ディスク)
2004年1月21日 (2004-01-21) LP
  • TOJP-60121(ディスク1)
  • TOJP-60122(ディスク2/ボーナス・ディスク)
2010年11月3日 (2010-11-03) EMIミュージック・ジャパン CD
  • TOCP-70895(ディスク1)
  • TOCP-70896(ディスク2/ボーナス・ディスク)
2013年11月6日 (2013-11-06) USMジャパン
  • TYCP-60029(ディスク1)
  • TYCP-60030(ディスク2/ボーナス・ディスク)
イギリス 2003年11月17日 (2003-11-17) アップル・レコード CD 595 7132
LP 595 4380
ヨーロッパ諸国 2003年11月17日 (2003-11-17) パーロフォン CCCD 595 7142
アメリカ 2003年11月18日 (2003-11-18)
CD CDP 7243 5 95227 2 2

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 出来上がったテープを聴いたリンゴによる「いいね!『裸の"LET IT BE"』って呼ぶ事にするよ!」というコメントが、ブックレットに書かれている。
  2. ^ ただし初回限定盤付属のディスク『Fly on the Wall』にセッション音源が収録されている。いずれもオリジナル版に収録テイクのものとは異なる。
  3. ^ 2コーラス目を最後にコピーして繋ぎあわせて曲の演奏時間を延長した

出典[編集]

  1. ^ Staff, Rovi. Let It Be... Naked - The Beatles | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月23日閲覧。
  2. ^ The Beatles: Let It Be... Naked”. Pitchfork (2003年11月20日). 2009年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月24日閲覧。
  3. ^ Sweeting, Adam (2003年11月14日). “The Beatles: Let It Be... Naked”. The Guardian (Guardian Media Group). https://www.theguardian.com/music/2003/nov/14/popandrock.thebeatles 2020年8月24日閲覧。 
  4. ^ Let It Be... Naked”. Rolling Stone. Penske Business Media (2003年11月20日). 2020年8月23日閲覧。
  5. ^ “コピーコントロールCDを徹底的に総括する”. asahi.com (朝日新聞社). (2004年11月30日). https://www.asahi.com/tech/apc/041130.html 2020年8月23日閲覧。 
  6. ^ The Beatles, Let It Be... Naked”. Pitchfork. 2018年11月17日閲覧。
  7. ^ “Let It Be”. Rolling Stone. https://www.rollingstone.com/music/albumreviews/let-it-be-19700611 201811-17閲覧。 
  8. ^ a b c d e Hurwitz, Matt (2004年1月1日). “The Naked Truth About The Beatles' Let It BeNaked [sic]”. Mix magazine/ Penton Media, Inc. 2010年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月30日閲覧。
  9. ^ Archived copy”. 2004年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月30日閲覧。
  10. ^ Irvin, Jim (December 2003). “Close to the Edge”. Mojo: 86, 88. 
  11. ^ "Australiancharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  12. ^ "Austriancharts.at – The Beatles – Let It Be... Naked" (in German). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  13. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Let It Be... Naked" (in Dutch). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  14. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Let It Be... Naked" (in French). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  15. ^ "The Beatles Chart History (Canadian Albums)". Billboard. 2020年8月23日閲覧。
  16. ^ "Danishcharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  17. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Let It Be... Naked" (in Dutch). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  18. ^ "The Beatles: Let It Be... Naked" (in Finnish). Musiikkituottajat – IFPI Finland. 2020年8月23日閲覧。
  19. ^ "Lescharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  20. ^ "Offiziellecharts.de – The Beatles – Let It Be... Naked" (in German). GfK Entertainment Charts. 2020年8月23日閲覧。
  21. ^ "GFK Chart-Track Albums: Week 47, 2003". Chart-Track. IRMA. 2020年8月23日閲覧。
  22. ^ "Italiancharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  23. ^ "Norwegiancharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  24. ^ "Charts.org.nz – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  25. ^ "Portuguesecharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  26. ^ "Swedishcharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  27. ^ "Swisscharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  28. ^ "Official Albums Chart Top 100". Official Charts Company. 2020年8月23日閲覧。
  29. ^ Billboard 200 Chart”. Billboard (2003年12月6日). 2021年8月18日閲覧。
  30. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Let It Be... Naked" (in Dutch). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  31. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Let It Be... Naked" (in French). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  32. ^ "Danishcharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  33. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Let It Be... Naked" (in Dutch). Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  34. ^ "Lescharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  35. ^ "Italiancharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  36. ^ "Norwegiancharts.com – The Beatles – Let It Be... Naked". Hung Medien. 2020年8月23日閲覧。
  37. ^ "Official Albums Chart Top 100". Official Charts Company. 2020年8月23日閲覧。
  38. ^ Billboard 200 Chart”. Billboard (2013年4月20日). 2021年8月18日閲覧。
  39. ^ "ARIA Charts – Accreditations – 2003 Albums" (PDF). Australian Recording Industry Association. 2020年8月23日閲覧
  40. ^ "Gold-/Platin-Datenbank (The Beatles; 'Let It Be... Naked')" (German). Bundesverband Musikindustrie. 2020年8月23日閲覧
  41. ^ 田辺攻(編)「Gold Album+...認定 2003年11月度」『The Record』第530号、日本レコード協会、2004年1月10日、14頁。 
  42. ^ Guld- och Platinacertifikat − År 2003” (PDF) (Swedish). IFPI Sweden. 2011年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月23日閲覧。
  43. ^ "British album certifications – The Beatles – Let It Be... Naked". British Phonographic Industry. 2023年9月8日閲覧
  44. ^ "American album certifications – The Beatles – Let It Be...Naked". Recording Industry Association of America. 2020年8月23日閲覧
  45. ^ Week Ending April 7, 2013”. Yahoo! Music (2013年4月10日). 2016年5月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]