キャント・バイ・ミー・ラヴ

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キャント・バイ・ミー・ラヴ
ビートルズシングル
初出アルバム『ハード・デイズ・ナイト
B面 ユー・キャント・ドゥ・ザット
リリース
規格 7インチシングル
録音
  • 1964年1月29日 (1964-01-29)
  • パテ・マルコーニ・スタジオ
  • 1964年2月25日 (1964-02-25)
  • EMIスタジオ
ジャンル ポップ・ロック[1]
時間
レーベル
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
ゴールドディスク
下記を参照
チャート最高順位
下記を参照
ビートルズ シングル U.K. 年表
ビートルズ シングル U.S. 年表
ビートルズ シングル 日本 年表
ハード・デイズ・ナイト 収録曲
テル・ミー・ホワイ
(A-6)
キャント・バイ・ミー・ラヴ
(A-7)
エニイ・タイム・アット・オール
(B-1)
ライブ映像
「Can't Buy Me Love (Around The Beatles, 6 May 1964)」 - YouTube
音源
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キャント・バイ・ミー・ラヴ」(英語: Can't Buy Me Love)は、ビートルズの楽曲。1964年3月に6作目のオリジナル・シングルとして発売された。レノン=マッカートニー名義となっているが、実質的にはポール・マッカートニーによって書かれた楽曲[2]。ビートルズ初の主演映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』で使用され、同作のサウンドトラック盤にあたる3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ハード・デイズ・ナイト』にも収録された。シングル盤はイギリス、アメリカ、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランド、スウェーデンのシングルチャートで第1位を獲得し、イギリスでは1960年代で4番目に高い売上枚数を記録したシングルとなった[3]

ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では295位にランクされている[4]

背景・曲の構成[編集]

パリ滞在時、ビートルズはホテル・ジョルジュサンク・パリ英語版に宿泊していて、メンバーはスイートルームに備え付けられていたアップライトピアノを使用して作曲を行っていた[5]。その際にマッカートニーが書いたのが「キャント・バイ・ミー・ラヴ」であった。イントロがなく、いきなりタイトルを叫ぶマッカートニーのボーカルから始まり、曲のエンディングもタイトルを連呼して終わる。これは曲に強いインパクトを持たせようとしたプロデューサーのジョージ・マーティンの発案である[6]

ヴァース部分は、ビートルズの公式発表曲では珍しく、12小節のブルース形式になっている[7]。これについて、マッカートニーは「『キャント・バイ・ミー・ラヴ』は、ブルースっぽい演奏に挑戦しようとした曲。アイデアの背景は『回りには素晴らしい物がいくつもあるけど、僕が本当に欲しいものはお金で買えない』というものだった」と語っている[8]

1966年にアメリカのジャーナリストから、歌詞の真意について質問された際にマッカートニーは「歌詞については、聴いた人がそれぞれ好きなように解釈しても良いと思う。でも、『キャント・バイ・ミー・ラヴ』が娼婦の歌だという解釈は間違ってる。それは行き過ぎた考えだ」と答えている[9]

レコーディング[編集]

「キャント・バイ・ミー・ラヴ」のレコーディングは、1964年1月29日にフランス・パリのパテ・マルコーニ・スタジオで開始された[10]。当時、ビートルズはオリンピア・シアターで、18日間におよぶライブを行っていて、その中でEMIの西ドイツ支部のプロデューサー、オット・デムラーの要請により、ビートルズの楽曲のドイツ語バージョンが制作されることになった。メンバーはレコーディングを拒否したが、マーティンの説得により渋々「抱きしめたい(ドイツ語)」と「シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)」のレコーディングを行うこととなった[注釈 1]。2曲のレコーディングを予定よりも早く終えたビートルズは、本作のガイド・ボーカルを伴ったバッキング・トラックのレコーディングに着手した[10][11]。当初はハーモニーが入っていたが、最初のテイクをプレイバックした後に、必要ないと判断されたことから消去された。これにより、本作はビートルズの楽曲で初めてバッキング・ボーカルが入っていない楽曲となった。1995年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー1』には、この日にレコーディングされたテイク1と2を組み合わせた音源が収録されており、完成バージョンよりも1音高いキーで演奏されている。

帰国後の2月25日にEMIスタジオで、マッカートニーのボーカルのオーバー・ダビングが行われた[12][13][14]。なお、同日にはジョージ・ハリスンのギターソロが録り直された[13][14]が、先のセッションでレコーディングされたギターソロも完成バージョンで聴くことができる。

ビートルズの友人で、オーバー・ダビング・セッションにも参加したヘレン・シャピロは、リンゴ・スターが追加のシンバルの音を加えたと語っている[15]。なお、ジェフ・エメリックは本作のモノラル・ミックス時に、ノーマン・スミス英語版ハイハットをオーバー・ダビングしたと述べている[16]

リリース[編集]

「キャント・バイ・ミー・ラヴ」は、B面にジョン・レノン作の「ユー・キャント・ドゥ・ザット」を収録したシングル盤として、アメリカでは1964年3月16日、イギリスでは4日後の3月20日に発売された。アメリカでは、Billboard Hot 100で5週連続で第1位を獲得し、1964年4月4日付の同チャートでは1位から5位をビートルズの楽曲が独占した[17][注釈 2]

イギリスでは、4月2日付の全英シングルチャートで第1位を獲得し[18]、4作目の首位獲得作品となった。2012年11月時点で153万枚の売上を記録し[19]、2018年12月時点でイギリスで35番目に売上枚数が多いシングルでとなっている[20]

「キャント・バイ・ミー・ラヴ」は、1964年7月6日に公開されたビートルズ初の主演映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』のメンバー4人が運動場ではしゃいでるシーンで使用された[21]。同月に発売された3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ハード・デイズ・ナイト』やアメリカでユナイテッド・アーティスツ・レコードより発売された『A Hard Day's Night (United Artists)』にも収録された。その後『オールディーズ』、『ヘイ・ジュード』、『ザ・ビートルズ1962年〜1966年』、『リール・ミュージック』、『ザ・ビートルズ1』などのコンピレーション・アルバムにも収録された。

2011年に発表されたローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500では、295位にランクインした[4]

2015年9月にビートルズは、動物の倫理的扱いを求める人々の会のテレビCMに本作を使用することを許可した[22]

演奏[編集]

※特記がない限り、出典はイアン・マクドナルド英語版の著書[23]

チャート成績[編集]

認定[編集]

国/地域 認定 認定/売上枚数
アメリカ合衆国 (RIAA)[37] Gold 1,000,000^

*認定のみに基づく売上枚数
^認定のみに基づく出荷枚数

収録アルバム[編集]

カバー・バージョン[編集]

エラ・フィッツジェラルドは、1964年に発売されたアルバム『ハロー・ドリー!英語版』で本作をカバーした[38]。後にシングル・カットされ、全英シングルチャートでは最高位34位を獲得した[39]。フィッツジェラルドによるカバー・バージョンについて、ガーディアン誌のアレクシス・ペトリディス英語版は「親しみやすいジャズ・カバー」「世代を超えたビートルズの魅力を確立する重要な役割を果たした」と評している[40]

マッカートニーは、1989年から1990年にかけて行われたワールドツアーで、24年ぶりに本作を演奏した。同ツアー以降、マッカートニーのライブの定番曲となっている。ライブ・アルバム『ポール・マッカートニー・ライブ!!』、『ポール・マッカートニー・ライブ・ハイライツ!!』、『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』、『バック・イン・ザ・ワールド』にライブ音源が収録された。

関連項目[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 抱きしめたい(ドイツ語)」は、オリジナルバージョンと同じリズムトラックが使用されたが、「シー・ラヴズ・ユー(ドイツ語)」についてはマスター・テープが破棄されていたため、新たにレコーディングしたリズムトラックが使用された[10]
  2. ^ 1位:「キャント・バイ・ミー・ラヴ」、2位:「ツイスト・アンド・シャウト」、3位:「シー・ラヴズ・ユー」、4位:「抱きしめたい」、5位:「プリーズ・プリーズ・ミー[17]

出典[編集]

  1. ^ Blake 1999, p. 22.
  2. ^ Miles 1997, p. 221.
  3. ^ Ken Dodd 'third best-selling artist of 1960s'”. BBC News. BBC (2010年6月1日). 2020年9月23日閲覧。
  4. ^ a b Rolling Stone 2011.
  5. ^ Miles 1997, p. 161.
  6. ^ The Beatles 2000, p. 114.
  7. ^ Martin & Pearson 1994, p. 40.
  8. ^ Miles 1997.
  9. ^ Badman 2000, p. 97.
  10. ^ a b c Lewisohn 1988, p. 138.
  11. ^ The Beatles 2000, p. 112.
  12. ^ Miles 1997, p. 162.
  13. ^ a b ビートルズレコーディングセッション 1998, p. 44-45.
  14. ^ a b ザ・ビートルズ全記録(1) 1998, p. 186.
  15. ^ Southall 1982, p. 96.
  16. ^ a b ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実 2006, p. 131.
  17. ^ a b c The Hot 100 Chart”. Billboard. Prometheus Global Media (1964年4月4日). 2020年9月23日閲覧。
  18. ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年9月23日閲覧。
  19. ^ Sedghi, Ami (2012年11月4日). “UK's million-selling singles: the full list”. The Guardian (Guardian Media Group). https://www.theguardian.com/news/datablog/2012/nov/04/uk-million-selling-singles-full-list 2020年9月23日閲覧。 
  20. ^ Myers, Justin (2018年12月14日). “The best-selling singles of all time on the Official UK Chart”. Official Charts Company. 2020年9月23日閲覧。
  21. ^ Austerlitz 2007, p. 17-18.
  22. ^ Kretzer, Michelle (2015年9月30日). “Beatles Donate Use of 'Can't Buy Me Love' to PETA for Adoption Campaign”. PETA. http://www.peta.org/blog/see-the-video-beatles-give-peta-cant-buy-me-love-for-adoption-campaign/ 2020年9月23日閲覧。 
  23. ^ MacDonald 2005, p. 104.
  24. ^ Kent, David (2005). Australian Chart Book (1940-1969). Turramurra: Australian Chart Book. ISBN 0-646-44439-5 
  25. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Can't Buy Me Love" (in French). Ultratop 50. 2020年9月23日閲覧。
  26. ^ "Ultratop.be – The Beatles – Can't Buy Me Love" (in Dutch). Ultratop 50. 2020年9月23日閲覧。
  27. ^ "Dutchcharts.nl – The Beatles – Can't Buy Me Love" (in Dutch). Single Top 100. 2020年9月23日閲覧。
  28. ^ "The Irish Charts – Search Results – Can't Buy Me Love". Irish Singles Chart. 2020年9月23日閲覧。
  29. ^ Flavour of New Zealand, 14 May 1964”. Flavour of New Zealand. 2020年9月23日閲覧。
  30. ^ "Norwegiancharts.com – The Beatles – Can't Buy Me Love". VG-lista. 2020年9月23日閲覧。
  31. ^ Swedish Charts 1962-March 1966/Kvällstoppen - Listresultaten vecka för vecka > Mars 1964” (Swedish). hitsallertijden.nl. 2020年9月23日閲覧。
  32. ^ Hoffmann, Frank (1983). The Cash Box Singles Charts, 1950-1981. Metuchen, NJ & London: The Scarecrow Press, Inc. p. 32-34 
  33. ^ Offizielle Deutsche Charts (Enter "Beatles" in the search box)” (German). GfK Entertainment Charts. 2020年9月23日閲覧。
  34. ^ Lane, Dan (2012年11月18日). “The biggest selling singles of every year revealed! (1952-2011)”. Official Charts Company. 2012年11月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月23日閲覧。
  35. ^ Top 100 Hits of 1964/Top 100 Songs of 1964”. Musicoutfitters.com. 2016年9月27日閲覧。
  36. ^ Top 100 Year End Charts: 1964”. Cashbox Magazine. 2020年9月23日閲覧。
  37. ^ "American single certifications – The Beatles – Can't Buy Me Love". Recording Industry Association of America. 2020年9月23日閲覧 If necessary, click Advanced, then click Format, then select Single, then click SEARCH
  38. ^ Bush, John. Hello, Dolly! - Ella Fitzgerald | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月23日閲覧。
  39. ^ Official Singles Chart Top 50”. Official Charts Company (1964年5月21日). 2020年9月23日閲覧。
  40. ^ Petridis, Alex (2019年9月26日). “The Beatles' Singles - Ranked!”. The Guardian (Guardian Media Group). https://www.theguardian.com/music/2019/sep/26/the-beatles-singles-ranked 2020年9月23日閲覧。 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]