ザ・ウルトラマン (漫画)

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ザ・ウルトラマン』は、ウルトラシリーズを題材とした内山まもるの漫画作品。小学館の「小学三年生」や『コロコロコミック』などに連載された。単行本はてんとう虫コミックスから全4巻での発売を経て1998年に文庫化され、2015年にはてんとう虫コミックス版の電子書籍版が発売された[1]。なお、それらとは別に双葉社による全3巻の復刻版も存在する[2]

2015年には横山彰利による監督・脚本・絵コンテのもと、ショートアニメ化されている。

テレビアニメザ☆ウルトラマン』とは無関係である。

概要[編集]

初出は、第2期ウルトラシリーズが『ウルトラマンレオ』をもって終了した直後の1975年度に、学習雑誌「小学三年生」誌上で1年間連載(昭和50年四月号 - 昭和51年三月号)されていた、内山によるオリジナルストーリーのウルトラシリーズ外伝であり、当時は「さよならウルトラ兄弟」と題されていた。主人公はゾフィーであるが、前年度の「小学二年生」に連載された『ウルトラマンレオ』の後日談に相当し、そちらでウルトラセブンが戦死した設定を引き継いでいる。この時のストーリーは後に通称「ジャッカル編」と呼ばれている。3年後の1978年に『コロコロコミック』で『ザ・ウルトラマン』と改題して再掲されて人気となり、続編の「ファイタス編」が作られてコロコロに掲載され、共に単行本化された。なお、「さよなら」の中ではレオとアストラの兄弟はともに戦死し、ファイタス編においても復活していない。一方、セブンは「さよなら」の終盤で復活している。

単行本では、第2期ウルトラシリーズ放映時に小学館の学習雑誌で連載された同作者による『ウルトラマンA』・『ウルトラマンタロウ』・『ウルトラマンレオ』から選出された数編が収録されていた。双葉社から復刻された単行本では、1997年朝日ソノラマの雑誌宇宙船81号に掲載された『ウルトラマンティガ』の漫画版も収録されている。

「ジャッカル編」をはじめとするオリジナルストーリーでは、大仕掛けな物語が展開されている。また、各ウルトラ戦士にはいわゆる人間的な描写が盛り込まれており、例えばウルトラマンAは陽気で大らか、ウルトラマンレオは若い好青年といった性格付けがされている。ゾフィーを主人公とするストーリーが比較的多く、後述するようにオリジナルの怪獣やウルトラ戦士が登場するほか、ウルトラ戦士が鎧や剣などの武器や戦艦などの兵器を使用する場面も見られる。

上記のテレビシリーズの漫画化作品も、本編とは異なる設定や展開が多い。特に『タロウ』と『レオ』では、設定段階から本作オリジナルの話も挿入されている。

登場キャラクター[編集]

ウルトラ戦士[編集]

メロス
宇宙警備隊アンドロメダ星雲支部隊長。最大の特徴は、戦闘時に頭部から足までの全身を包む極めて強靭な鎧(メロス曰く「肩当部分は特に強靭である」)で、ブラックホールの高重力から身を守る機能さえ備えているという。ブレスレットからの遠隔操作により、戦闘中でも着脱が可能。鎧の頭部には能面のような目鼻口を持つ顔面パーツがあるが、素顔は初代ウルトラマンに似ている。必殺技は鎧の腹部に装着されたブーメラン「アンドラン」(左右2つに分割してそれぞれを投げる「ダブル・アンドラン」というバリエーションがある)、鎧の肩の部分のサスペンダー状のパーツから発射する「アンドロレーザー N75」、全身のエネルギーを集めて腕から放つ最強の必殺技「レーザーショット・アンドロメロス」。
ゾフィーとは旧知の仲で、ウルトラの国がジャッカルによって壊滅させられた際、ジャッカル軍団に対抗すべく来援した。性格は皮肉屋で、当初は単独でジャッカルを倒そうと先走るが、そのために残り少ないウルトラ戦士が犠牲になったことから反省し、ゾフィーらと共闘する。『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦』及び『アーマードダークネス』にも登場。
名称の由来は太宰治短編小説走れメロス』より[3]
上司にアンドロメダ星雲支部代表のゾルビーがいる。外見はメロスと同様だが、口髭をたくわえるなどやや老け顔に描かれている。
ファイタス
メロスの弟。本作での登場当時はブレストプレート状の鎧を纏い、ヘルム状の仮面を着けているために素顔は不明だったが、『アーマードダークネス』ではそれらを脱いだ姿が描かれている。武器として扱うレイピア状の剣からは、螺旋状の光線「スパイラルビーム」を放つこともできる。
最強のウルトラ戦士に憧れ、ウルトラの国の道場で師範代を務めるウルトラセブンに対して勝負を挑むが、敗れて命を落とす。その後、『アーマードダークネス』でピンチのセブンを救出するために飛来すると自らの鎧を貸与し、ブラックホールへ落ちたウルトラの父ウルトラマンヒカリの救出に向かわせた。かつて命を落とした際、ファイタスに新しい命を与えたのが当時命の研究をしていた科学者のヒカリであり、「かつてヒカリに命を救われた」旨の発言もしている。
エルフ
ウルトラマンタロウの幼馴染で親友だったが、バルタン星人の王・キングバルタンとなり、宇宙征服を企てる。タロウと再会して改心するが、裏切者と見なされてタロウと共に囚われる。バルタン星人の宇宙侵攻を阻むためにもタロウを脱出させようと、必殺技「ウルトラダイナマイト」を真似て自爆し、動力炉を破壊した。タロウは訓練により自爆しても再生できるが、エルフは無理を承知のうえで自ら死を選んだ。
ウルトラマンレオの両親
故郷の獅子座 L77星がマグマ星人に破壊された際に行方不明となり、死んだと思われていたが、生存していた。ババルウ星人(テレビ版第39話でレオに倒された星人の弟)に囚われて人質となり、レオ兄弟は脅迫されて心ならずもウルトラ兄弟と戦うことになる。
ウルトラ戦士たち
ウルトラ兄弟以外にも100万人存在するとされている、ウルトラの国の一般的なウルトラ戦士。本作に登場する無名のウルトラ戦士の多くは初代ウルトラマンに酷似した姿をしており、個人名は用いられない。ウルトラ戦士としての一般的な光線技や飛行能力のほか、地球人に変身する能力も持つ。ジャッカル軍団との戦いで壊滅状態に陥った際、ゾフィー以下28人の生き残りは「ウルトラ28人衆」と呼ばれた。そのうちの1人は『アーマードダークネス』で登場する女戦士アウラの父であり、メロスをかばって戦死している。
ウルトラの母の率いる救護部隊・銀十字軍の隊員も登場する。外見は母に似た姿だが、頭の両側の飾りがない。
ベーダー人との戦いの際には、一般的なウルトラ戦士とは赤と銀の配色が逆になっている特殊部隊「ウルトラ忍者部隊」が登場する。隊長であるゾフィーの権限でも、200名しか動員できないとされている。

敵宇宙人[編集]

ジャッカル
宇宙大魔王。ジャッカル大魔王とも呼ばれる宇宙人であり、黒髪に湾曲した角を持つ。かつてウルトラマンキングに敗れ、「宇宙の地獄」と称されるブラックホールへ追放されたが、そのエネルギーを吸収することで強大な力を得て復活し、ウルトラの国を壊滅に追い込む。まず、ゼットンブラックキングバードンエースキラーなどの強力な怪獣へ変身し、ウルトラ兄弟を次々と倒していく。また、ゾフィーをはじめとするウルトラ戦士へも変身し、M87光線でアストラを倒したうえ、撤退するウルトラ戦士たちに紛れ込んでウルトラの国への侵入を果たす。変身した際には対象の姿だけではなく能力も使えるうえ、オリジナルよりも遥かに強い能力を発揮できる。
ジャッカル本来の武器は、ウルトラ戦士をも一撃で倒すほど強力な「ジャッカル破壊光線」。髪が金色に輝くと最大出力の破壊光線を放射でき、本編ではこれでウルトラの国の最重要施設であるプラズマ核融合炉を破壊し、ウルトラの国を壊滅に追い込んだ。その後、配下の軍団を率いて生き残ったウルトラ戦士の抹殺と全宇宙の支配に乗り出すが、突如現れたメロスや彼と協力したゾフィーによって妨害され、最後は復活したウルトラ兄弟の必殺技を一斉に受けて木端微塵となり、滅び去った。
名称の由来はフレデリック・フォーサイス小説ジャッカルの日』より[3]
ジャッカルに倒されたウルトラ兄弟の面々にセブンは含まれていないが、最後に復活してジャッカルを倒す面々にはセブンも加わっている。内山作の『レオ』でセブンはシルバーブルーメに特攻して命を落としているため、この機会に復活したことが本作以降の内山作品における公式設定となっている。
ジャッカル軍団
ジャッカルが従えている大軍団。四天王を筆頭に、その数は100万人にも及ぶ。姿はジャッカルに似ているが、髪はジャッカルと四天王にしかなく、四天王以下は階級に応じて角が短くなっている。また、軍団のマークの位置が異なる(ジャッカルは額、四天王は左胸、軍団長は胸部中央、軍団員は腹部)。最下級の軍団員であっても、普通の怪獣より強いとされている。ジャッカルが倒された後、四天王以下生き残りは一度は見逃されるが、その後はファイタスの計略により再びウルトラ一族に戦いを挑み、全滅する。しかし、かたおか徹治の漫画『ウルトラ兄弟物語』の一編「新・ウルトラ兄弟物語」には、本作の設定を引き継ぐ形でジャッカーという生き残りが登場している。
後年の『ウルトラマンメビウス外伝 超銀河大戦』及び『アーマードダークネス』でも生き残りが存在しており、エンペラ星人の死亡後に再び動きを見せている。
パイレーツ星人
キングパイレーツを頂点とする宇宙海賊。レオの指揮するパトロール艇を撃墜し、捜索のために出撃してきたゾフィーの率いるウルトラ戦艦をも次々と撃沈すると、旗艦を拿捕して地球侵攻を目論む。
ベーダー人
ベーダー総統に率いられる宇宙の侵略者。100日眠り100日活動するという周期で行動する。ウルトラの国が誇る大要塞を破壊し、地球とウルトラの国を目指して侵攻する。
キングバルタン、レッドバルタン、ブルーバルタン
キングバルタンはバルタン星人の王となっていたエルフ、レッドバルタンとブルーバルタンはエルフが率いるバルタン帝国のバルタンたち。詳細はバルタン星人#ザ・ウルトラマンを参照。
アヌビス星人
ウルトラ一族に降伏を要求し、受け入れなければ「超空間破壊砲」でウルトラの国を破壊すると脅迫する。実は超能力を持つ「生体コンピュータ」に操られていた。
アサシン星人
暗殺のプロ。忍者暗殺星人と呼ばれ、狙われて生き延びた者は宇宙にいないという。ゾフィーを暗殺するためにウルトラの国へ潜入して彼に重傷を負わせ、セブンとジャックを倒す。頑丈な身体にはウルトラ一族の必殺技がほとんど通用せず、個人技では最強クラスであるAのスペースQの直撃でさえ、脳震盪を起こさせる程度の効果しかない。武器はシャムシール状の刀であり、これでしかとどめを刺せなかったため、拾い上げて用いたタロウをはじめその場に居た者たちを恐怖させることとなった。

後年への影響[編集]

ショートアニメ[編集]

スタッフ
原著作 円谷プロダクション
漫画 内山まもる『ザ・ウルトラマン』より
脚本・絵コンテ・監督 横山彰利
キャラクターデザイン・作画監督 森久司
美術監督 秋山健太郎
撮影監督 山田和弘
音響監督 山田陽
色彩設計・色指定・検査 菊地和子
特殊効果 犬田腕
音楽 冬木透
アニメーション制作 スタジオカラー

2015年9月4日ドワンゴカラーによる共同企画『日本アニメ(ーター)見本市』の第30話として『ザ・ウルトラマン ジャッカル 対 ウルトラマン』が公開された。それに先立っての同年8月29日、東京・池袋で開催された『ウルトラマンフェスティバル2015』内で、本作の特別上映会が実施された[6]

約8分の短編であるが、『日本アニメ(ーター)見本市』のエグゼクティブプロデューサーの庵野秀明が探してきたウルトラシリーズのBGMや『流星人間ゾーン』のSE、そしてエンディングテーマには『帰ってきたウルトラマン』での不採用主題歌「戦え!ウルトラマン」がそれぞれ用いられているうえ、25年前からアニメ化企画を出しては却下され続けてきた監督の横山彰利や、原作における手の描き方などを徹底的に研究したキャラクターデザインと作画監督の森久司らスタッフの思いが込められた内容となっている[7]

2015年9月7日ニコニコ生放送で放送された『日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-』の第30回[8]へ、制作担当の杉谷勇樹や音響監督の山田陽、そしてアニメ特撮研究家の氷川竜介と共に出演した横山によれば、今回のアニメ化企画は『日本アニメ(ーター)見本市』の第1弾『龍の歯医者』の原画を手がけていた森との会話に端を発し、同作にも参加していた杉谷を森から紹介されたことでスタッフが結集して始動したため、「あきらめかけていたところに舞い込んだ最後のチャンスが今回の作品だった」と述べた[9]。小学校の時に本作を見ていた山田は、横山の要望に応えて現代のマイク以外に昔のマイクも3本使って録音し、「後からどの音を使うか吟味して、懐かしい音を作り上げた」と述べた[9]。また、氷川はヒーローや怪獣に機械や電気(電飾)を仕込むことでメカと生物のハイブリッドにすることを指す「機電」を挙げ、本作について「この部分をきちんと表現できている」と高評している[9]

2016年1月15日には、NHK BSプレミアムで『日本アニメ(ーター)見本市セレクション』の1つとしてテレビ放送された[10]

登場キャラクター[編集]

  • ゾフィー
  • メロス
  • ウルトラマン
  • 新ウルトラマン
  • セブン
  • タロウ
  • エース
  • アストラ
  • レオ
  • ウルトラの母
  • ウルトラ28人衆(ファースト、セカンド、サード)
  • ウルトラマンキング
  • 宇宙大魔王ジャッカル
  • ジャッカル軍団(四天王、軍団長、軍団員)
  • ゼットン
  • ブラックキング
  • ナックル星人
  • エースキラー

声の出演[編集]

  • 山寺宏一(ゾフィー、メロス、ジャッカル、他)
  • 林原めぐみ(ナレーション、ウルトラの母、他)

エンディング曲[編集]

「戦え!ウルトラマン」
作詞 - 東京一 / 作曲・編曲 - すぎやまこういち / 歌 - 団次郎

脚注[編集]

  1. ^ 「ザ・ウルトラマン」 検索結果 - 小学館
  2. ^ まんだらけ通販 | 双葉社/アクションコミックス/内山まもる「ザ・ウルトラマン 全3巻セット」
  3. ^ a b 特別復刻コミックス『ウルトラ戦士銀河大戦争』巻末インタビュー。
  4. ^ 朝日ソノラマ刊「ファンタスティックコレクション ウルトラマンマックス」には、丸山浩による「内山メロスをイメージした」とのコメントが掲載されている[要ページ番号]
  5. ^ 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE (劇場パンフレット)』 小学館『てれびくん』編集部、発行:小学館、販売:松竹2009年『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 超全集』 小学館〈てれびくんデラックス愛蔵版〉、2009年、57 - 59頁。ISBN 978-4-09-105129-5
  6. ^ 第29話「ヒストリー機関」予告編公開&ウルトラマンフェスティバル2015にて「ザ・ウルトラマン」特別上映会実施決定
  7. ^ 「コロコロコミック」の傑作「ザ・ウルトラマン」が40年の時を越えて初のアニメ化でWEB配信中 - エキレビ!(3/3)
  8. ^ ザ・ウルトラマン
  9. ^ a b c 横山彰利監督『ザ・ウルトラマン』アニメ化秘話を語る - 氷川氏も「機電をきちんと表現できている」と絶賛 | マイナビニュース
  10. ^ 内山まもる先生のマンガをショートアニメ化した「ザ・ウルトラマン」を、1/15(金)NHK BSプレミアムで放送! | 円谷ステーション

外部リンク[編集]