第44回世界遺産委員会
第44回世界遺産委員会(だい44かいせかいいさんいいんかい)は、2020年6月29日から7月9日に中国・福建省の福州市で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行のため開催が中止となった。これまでにも蘇州市で開催予定だった2003年の第27回世界遺産委員会がSARSの影響で、マナーマ(バーレーン)で開催予定だった2011年の第35回世界遺産委員会がバーレーン騒乱により中止となり、フランス・パリの国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)本部で開催されたことはあったが[注 1]、今回は新型コロナウイルスのパンデミックがヨーロッパに遷移したため、ユネスコ本部での開催も行われないこととなった[hp 1][注 2][注 3]。
その後、9月30日と10月16日に委員国によるオンライン会合を開催して当初の予定通り福州で開催する方針を固め[hp 2][hp 3]、11月2-3日(日本時間)に開催した臨時セッションで正式に決定(開催日時は2021年6~7月を予定し詳細な日取りは未決)[hp 4]。また、2021年にウガンダで実施予定だった次回委員会については同時に開く案や期間を空けて21年中(秋~冬頃)に開催する案が出され、結局21年分もまとめて開催する方向となり[hp 4][hp 3]、ユネスコでは第44回拡大委員会(extended 44th session)という扱いにしている[hp 1][注 4]。
委員国[編集]
委員国は以下の通りである[hp 1]。地域区分はユネスコ執行委員会委員国のグループ区分に準じている。国名の太文字は議長・副議長国。
議長国 | ![]() |
議長 田学軍教育部副部長[注 5] |
ヨーロッパ・北アメリカ (グループⅠ・Ⅱ) |
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副議長国 |
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副議長国 | |
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カリブ・ラテンアメリカ (グループⅢ) |
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副議長国 |
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アジア・太平洋 (グループⅣ) | ||
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アフリカ (グループⅤ-a) |
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副議長国 |
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アラブ諸国 (グループⅤ-b) |
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副議長国 兼 報告担当。報告担当者はMiray Hasaltun Wosinski[注 6] |
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審議予定の推薦物件一覧[編集]
第44回世界遺産委員会の審議のために、期日(2019年2月1日)までに推薦書が提出された物件のうち、書類に不備がなかったのは以下のとおりである[資 1]。物件名に * 印が付いているものは既に登録されている物件の拡大登録などを示す。
第44回世界遺産委員会の審議で新規に世界遺産保有国となる可能性があったのは、ルワンダのみである。
自然遺産[編集]
画像 | 推薦名 | 推薦国 |
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ゲボル(韓国の干潟) | ![]() |
Getbol, Korean Tidal Flat | ||
新安干潟・高敞干潟・宝城-順天干潟・舒川干潟の4件を対象とする。2018年1月に推薦されたものの、書類不備により審議対象外となったため、再推薦されたものである[報 1]。登録されれば、韓国にとって、済州の火山島と溶岩洞窟群に続く2件目の自然遺産となるところであった。 | ||
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奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 | ![]() |
Amami-Oshima Island, Tokunoshima Island, Northern part of Okinawa Island, and Iriomote Island | ||
2018年に「登録延期」勧告を受けて[資 2]、再推薦されたもの。 | ||
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コルキスの雨林群と湿地群 | ![]() |
Colchic Rainforests and Wetlands | ||
ジョージア初の自然遺産登録を目指していた。物件の特色は、en:Euxine-Colchic deciduous forestsも参照のこと。 | ||
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古典的カルスト | ![]() |
Classical Karst | ||
スロベニアのクラス地方は、カルスト地形の語源になった。 | ||
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レンソイス・マラニャンセス国立公園 | ![]() |
Lençóis Maranhenses National Park | ||
今回から各国1件のみの推薦となったが、ブラジルは2件推薦したため、こちらは審議対象から外れた。 |
複合遺産[編集]
画像 | 推薦名 | 推薦国 |
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ホルカ・ソフ・ウマール:自然・文化遺産(ソフ・ウマール:神秘の洞窟群) | ![]() |
Holqa Sof Umar: Natural and Cultural Heritage (Sof Umar: Caves of Mystery) | ||
登録されれば、エチオピア初の複合遺産となっていた。物件概要は、en:Sof Omar Cavesも参照のこと。 |
文化遺産[編集]
画像 | 推薦名 | 推薦国 |
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カーカティーヤ朝の荘厳な寺院群と玄関群 | ![]() |
The Glorious Kakatiya Temples and Gateways – Rudreshwara (Ramappa) Temple, Palampet, Jayashankar Bhupalpally District, Telangana State | ||
en:Ramappa Templeも参照のこと。 | ||
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イラン縦貫鉄道 | ![]() |
Trans-Iranian Railway | ||
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鹿石とその関連遺跡群 : 青銅器時代の中心地 | ![]() |
Deer Stone Monuments and Related Sites, the Heart of Bronze Age Culture | ||
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ヒマー・ナジュラーンの文化的岩絵群 | ![]() |
Cultural Rock Arts in Himã Najrãn | ||
en:Bir Hima Rock Petroglyphs and Inscriptionsも参照。 | ||
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ジェノサイド追憶の場:ニャマタ、ムランビ、ギソジ、ビセセロ | ![]() |
Sites mémoriaux du génocide : Nyamata, Murambi, Gisozi et Bisesero | ||
ルワンダ虐殺に関するニャマタ虐殺記念館、ムランビ虐殺記念館、ビセセロ虐殺記念館およびキガリ虐殺記念館の4件を対象とする[資 3]。第42回世界遺産委員会の決議(「最近」の戦争遺跡の扱いをめぐる継続議論)を踏まえ、保留[資 1]。 | ||
ヨーロッパの大温泉保養地群 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() | |
The Great Spas of Europe | ||
スパ (ベルギー)、ヴィシー、バーデン=バーデン、マリアーンスケー・ラーズニェ、バース (イングランド)、モンテカティーニ・テルメなどの温泉保養地を対象とする[hp 5]。なお、バース市街はすでに単独の世界遺産になっている。 | ||
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コルドゥアン灯台 | ![]() |
Le phare de Cordouan | ||
ル・ヴェルドン=シュル=メールに残る灯台である。17世紀に建造された、フランスの近代的な灯台で最初のものと位置付けられている[資 4]。 | ||
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ダルムシュタットのマティルデの丘 | ![]() |
Mathildenhöhe Darmstadt | ||
マティルデの丘(マチルダの丘)にはヘッセン大公エルンスト・ルートヴィヒがダルムシュタット芸術家村を建設し、ユーゲント・シュティールの拠点となった[紙 1][紙 2]。 | ||
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スピナロンガの要塞 | ![]() |
Fortress of Spinalonga | ||
スピナロンガ半島北端の小島、スピナロンガ島の要塞で、16世紀にヴェネツィア共和国によって築かれた[紙 3]。 | ||
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パドウァ・ウルブス・ピクタ:ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂とパドヴァの14世紀フレスコ画作品群 | ![]() |
Padova Urbs picta, Giotto’s Scrovegni Chapel and Padua’s fourteenth-century fresco cycles | ||
パドヴァは14世紀から15世紀初頭に文化的にも最盛期を迎え、1304年にこの地に来たジョットをはじめとする芸術家たちのフレスコ画群が残る[紙 4]。 | ||
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オランダの水利防塞線(アムステルダムの防塞線の拡大申請)* | ![]() |
Dutch Water Defence Lines [extension of “Defence Line of Amsterdam”, inscribed in 1996, criteria (ii)(iv)(v)] | ||
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パセオ・デル・プラドとブエン・レティーロ、芸術と科学の景観 | ![]() |
Paseo del Prado and Buen Retiro, a landscape of Arts and Sciences | ||
マドリードのパセオ・デル・プラド(プラド通り)に面するのがプラド美術館であり、その東側にレティ―ロ公園がある[紙 5]。 | ||
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アルスランテペの墳丘 | ![]() |
Arslantepe Mound | ||
アルスランテペ遺跡はミリド遺跡(Melid)とも呼ばれる。 | ||
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ロバート・ブール・マルクス記念遺産 | ![]() |
Sítio Roberto Burle Marx | ||
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ラ・イサベラの歴史的・考古学的遺跡 | ![]() |
Historical and Archaeological Site of La Isabela | ||
ドミニカ共和国にとっては、サントドミンゴの植民都市に続く2件目の世界遺産登録を目指していた。 | ||
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チャンキーヨの太陽観測と儀礼の中心地 | ![]() |
Chankillo Solar Observatory and ceremonial center | ||
チャンキーヨは海抜300メートルの丘の上に築かれた形成期末期の遺跡で、石壁の重なった構造などから城砦だったと考えられている[資 5]。 | ||
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技師エラディオ・ディエステの作品:アトランティダの聖堂 | ![]() |
L’oeuvre de l’ingénieur Eladio Dieste : église d’Atlántida | ||
予定されていた議題・報告[編集]
新規登録審査が2年分行われる見通しで時間を要することに加え、国連が国連各機関に呼び掛けた社会の立て直し対策として、ユネスコ・世界遺産委員会では世界遺産はどのような貢献ができるかを検討するため(下記「終息後を見据えたユネスコの動き」を参照)、登録物件の保全措置報告(SOC)と 危機遺産関連を除き、事前に予定していた議題の多くが取りやめになる見込みである[hp 6]。
- アックア・アルタにより水没の危機に瀕しているイタリアのヴェネツィアとその潟について、これまでにも危機遺産審査が取沙汰されてきたが、ユネスコ委任の専門家を現地へ派遣して調査にあたらせる手続きを行う予定であった[報 3][注 7]。
- 2019年12月23日に発生した船舶転覆事故に伴い、流出したオイルがエクアドルのガラパゴス諸島に到達し、海洋生態系に深刻な事態をもたらしていることに関し、ユネスコ委任の専門家を現地へ派遣して調査にあたらせる手続きを行う予定であった[hp 7][注 8]。
- メキシコのエル・ピナカテ・イ・グラン・デシエルト・デ・アルタル生物圏保護区はアメリカとの国境に接しており、トランプ政権が進める国境壁によって動物の移動が制限されるため生物多様性に影響することが懸念され、自然遺産分野の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)を中心に議論する予定であった[報 4]。
- チェコのブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通りの構成資産であるブダ城における改修工事申請について認可するか審議する予定であった[報 5]。
- ノルウェーの西ノルウェーフィヨルド群 - ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルドにおいて、ゼロ・エミッションを目指し再生可能エネルギーである水力発電と水素製造の施設を設置することを認可するか審議する予定であった[hp 8][注 9]。
- フランスのピアナのカランケ、ジロラータ湾、スカンドーラ自然保護区を含むポルト湾の構成資産スカンドーラ自然保護区の世界遺産に求められる完全性としての法的保護根拠である欧州評議会によるヨーロッパの野生生物と自然生息地の保全に関するベルヌ条約と欧州環境機関による自然保護地域の指定が取り消されることとなり、今後の扱いについて話し合う予定であった[報 6]。
- 2019年に登録された中国の黄海=渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群(第1段階)の第2段階として北大港湿原を対象としており、当初から保護区群に含まれていたが暫定リストとしては掲載されておらず、この段階を経るという手法が拡張登録と同じ扱い方としてよいのか審議する予定であった[報 7]。
- 中国の平遥古城内の磚で建てられていた廃工場を現代建築に改修し、毎年開催している国際映画祭と国際撮影展(写真フェス)の会場[注 10]として使われるアダプティブユースの在り方について報告される予定であった[報 8]。
- ギニアとコートジボアールに跨るニンバ山厳正自然保護区で継続されている鉄鉱石の採掘を引き続き認めるか、遺産の資源利用の観点から検討する予定であった[報 9]。
- 緊張関係が続くアメリカとイランだが、有事の際はイランの文化遺産も攻撃の対象とすると表明したトランプ大統領に対し、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(ハーグ条約)違反であるとして非難決議を出すべきか検討する予定であった[報 10]。
- 2014年に発生したロシアによるクリミア・セヴァストポリの編入によって、クリミア半島にあるウクライナのケルソネソス・タウリケの古代都市とその農業領域の緩衝地帯にロシア軍による射撃場が建設されたことに対し、ウクライナはユネスコにハーグ条約違反である旨の非難決議を出してもらうよう要請する予定であった[報 11]。
- 文化遺産の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)が2017年に採択した「遺産としての農村景観に関する原則」[注 11]を文化的景観の拡大解釈として世界遺産にも反映させることを検討する予定であった[hp 9]。
- 世界遺産を観光資源と位置づける遺産の商品化において持続可能な観光を追及すべく、一昨年から協議されているライフ・ビヨンド・ツーリズムについて(第42回世界遺産委員会と第43回世界遺産委員会の「その他の議題」の節参照)、エクスペディアなど各国の旅行会社がまとめた世界遺産の利用状況と2026年までの展望、観光公害について発表の場が与えられる予定であった[報 12]。
- ユネスコがGoogle Arts & Cultureと立ち上げた世界遺産モニタリングシステムについての報告がなされる予定であった[報 13]。
- 委員会にオブザーバー参加するアメリカのムーン・ビレッジ・アソシエーションが、天文遺産の拡大解釈として月に残るアポロ計画での月面着陸の痕跡を将来的に世界遺産(文化遺産)に登録することが可能か質問する予定であった[報 14]。
- オーストラリアの森林火災で被災が激しいグレーター・ブルー・マウンテンズ地域の状況報告と、危機遺産指定の可能性に関する緊急動議が予定されていた[報 15]。
- サンゴ礁の白化が著しいオーストラリアのグレートバリアリーフを危機遺産にするか討議予定であった[報 16]。
- モロッコ・ラバトの旧市街地区内に銀行の高層ビル建設計画が浮上し、景観破壊にあたるのか、その是非について討議予定であった[報 17][注 12]。
- チェコのプラハ歴史地区における都市開発による景観破壊について、危機遺産とすべきか討議予定であった[報 18]。
- 都市再開発(都市環境破壊)が理由で危機遺産指定中のイギリス・海商都市リヴァプールから保全のための提案がなされ[報 19][注 13]、特に遺産の中核となる運河沿いの住宅建設計画は外観意匠を周囲に馴染ませたトラディショナル・サクセション・アーキテクチャであることを主張する予定であった[報 20]。
中止段階での動向[編集]

(多発地区を示す茶色表示中「福清」が委員会開催地である福州市の一画)
![]() | ここでは色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。 |
中止決定の経緯[編集]
ユネスコは中国における新型コロナウイルス流行のピークを迎えた春節頃から推移を見守ってきたが、委員会に出席する各国へアウトブレイクしたことから、3月に入って以降、中国の沈阳ユネスコ大使や中国本国とのウェブ会議で委員会開催の有無について協議を重ね、中国では感染拡大が抑制され小康状態になったとして、委員会開催の中止は文化的自殺行為に等しいとの主張もあったが[報 21]、社会的距離(社会距離拡大戦略)が確保できず公衆衛生の観点から最終的に世界保健機関(WHO)のエビデンス(国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態)に従い中国の合意を取り付け世界遺産センターのメヒティルド・ロスラー所長が中止を判断した[hp 1][hp 10]。
なお、中止が決定した4月14日時点で福州市の封鎖措置は解除されていなかった[注 14](繁体字中国語版Wikipedia「2019冠狀病毒病中國大陸疫區封鎖措施」および「2019冠状病毒病福建省疫情」による)。
ユネスコの状況[編集]
3月になりユネスコ職員に新型コロナウイルスによる疾患症状がある感染者が出たことをうけ[報 22]、パリ本部で予定していた3月16~18日予定の「無形文化遺産の保護に関する会議」、3月18~20日予定の「持続可能な開発のための国連海洋科学10年の計画会議2021-2030」(公海の世界遺産も検討議題だった)、3月20日および24日予定の「世界水開発レポート2020のプレゼンテーションと報告書発表」(ユネスコが支援する世界水システム遺産についても言及予定だった)、3月23~25日予定の「世界の記憶(記憶遺産)の枠組みに関する協議会」、3月27日予定の「女性と創造性」(世界遺産と相互補完する遺産と創造性における女性の地位向上を検討)、4月6・7日予定の「無形文化遺産保護委員会」、4月16日予定の「世界遺産専門家会議」、5月12・13日予定の「世界の記憶グローバルポリシーフォーラム」(日本信託基金が支援)、6月22~26日予定の「MAB計画人間と生物圏国際調整協議会」等、各種遺産関連事業の中止・延期を3月1日時点で決めていた[hp 11]。
また、4月3~17日に予定していた年2回開催する定例のユネスコ執行委員会も中止となった[hp 12]。
そうした中でユネスコは新型コロナウイルス蔓延に伴う社会的逼迫状態を鑑み、3月29日に73ヶ国の科学分野担当大臣・官僚とオープンサイエンスのテレビ会議を実施[報 23]。その成果から「文化の砦」の役割として緊急対策「COVID-19に対する文化(Culture against Covid-19)」を立ち上げ[hp 13]、コロナ禍により疲弊した心を癒す芸術(創作活動)や創造産業への支援[報 24][注 15]、世界中で外出禁止下にある学童に持続可能な教育提供のためオンライン教室としてユネスコが運用するワールド・デジタル・ライブラリーの活用[報 25]やインターネットに接続できない環境にある途上国でのデジタル・デバイド(情報格差)解消のためにラジオのようなアナログでの情報発信と貧困地域・難民キャンプ等への機材提供[報 26][注 16]、多くの職員を自宅待機としリモートワークで新型コロナウイルスに関する科学的に正確な情報を発信すべくデマやフェイクニュースを摘発させることに人員を割く[報 27]、などを当面の運営方針にするとオードレ・アズレ事務局長が決定したことで[注 17]、世界遺産委員会開催の余力が削がれることにもなった。

さらに、コロナ禍による影響のため維持存続が危惧される有形無形の文化遺産保護のため、グローバル・ソーシャルメディア・キャンペーン「#ShareOurHeritage」を立ち上げた他(詳細は後述する「新型コロナウイルスと世界遺産の話題」の節参照)[hp 14]、4月15日の世界芸術の日にオンライン芸術祭を開催し、ユネスコ自身もピカソに代表される600点におよぶ美術収蔵品を公開[報 28]、4月18日の記念物と遺跡の国際デー(世界遺産の日)では今年のスローガン「文化の共有、遺産の共有、責任の共有」に従い人類一丸となってウイルスに共闘し文化の存続と共生社会を目指す旨を表明[hp 15]。4月22日には文化分野担当大臣・官僚とのテレビ会議を実施[hp 16](日本からは萩生田光一文部科学大臣が参加して2021年に延期となった東京オリンピック・パラリンピックの開催と東京オリ・パラ文化プログラムの実施を改めて決意表明した[報 29])。この他にも、3月3日の世界野生生物の日に国連開発計画(UNDP)と野生生物の管理にあたる人材の健康管理[hp 17]、3月22日の世界水の日に灌漑など利水施設の保護[hp 18]、4月7日の世界保健デー(奇しくもこの日に日本では緊急事態宣言が発出された)には世界遺産の管理にあたる人材の健康管理[報 30]を呼び掛けている。
加えて、新型コロナウイルスの流行に関する医療や社会的・経済的影響など世情の経過を公的に記録するよう各国に要請し、「世界の記憶」として保存することを表明した[hp 19]。
一方で開催されなかった執行委員会から一時的にユネスコの全運営権を一任されたアズレ事務局長が、封鎖されているパリ市内で外交官ナンバーの公用車に身辺警護を同乗させず単身で運転している姿が目撃され(ユネスコ服務規程違反で、2020年3月24日に施行されたフランスの衛生緊急事態法や外交官に準じた身分の国際公務員として外交関係に関するウィーン条約にも抵触しかねない)、貸与されている公邸に各国のユネスコ大使やアタッシェを招き非公式会談(密談)をしている疑惑がもたれ(事務局長の言動は当人の記者会見やスポークスマンを介して記者クラブに公表される)、事務局長からの弁明もないため、緊急事態(歴史的緊急事態)下のこととはいえ組織運営に不信感がもたれ、このような状況を経て再開された世界遺産委員会は公平性や信憑性を欠くものになりかねない可能性も示唆される[報 31]。
なお、ユネスコの諮問機関であるICOMOSも本部を置くパリが都市封鎖されているため閉所措置をとり機能していない[hp 20][注 18]。
中国の準備状況[編集]
- 今回議長を務める予定だった田軍学は、福州での開催が決まった第43回世界遺産委員会の場において、「第44回世界遺産委員会は中国の遺産保護と生態学的保護の新時代を紹介する最高の国際会議となる。世界遺産の取り組みは”中国の時代”に突入する。」とコメントした[hp 21]。
- 開催予定地だった福州がある福建省では、習近平国家主席(党総書記)から開催成功を求められたとともに、中国が委員会のみならず世界遺産やユネスコの牽引役になれるよう指示されたことを明らかにした[hp 22]。
- 現在北京の中央政府で福建省の党委書記(地方政府の省長より上位)を務める于偉国が派遣され、現地で委員会成功のために陣頭指揮を執る予定でいた[報 32]。
- 福建省には武夷山・福建土楼・鼓浪嶼(以上、文化遺産)、中国丹霞(自然遺産)、また世界農業遺産に認定されている福州の茉莉花茶生産地やかんがい施設遺産の木蘭陂などがあり、委員会開催に合わせこれらの遺産群へ委員会参加者の視察を計画していたほか、警備体制や新型コロナウイルス対策も検討していた[hp 23]。
- 委員会開催歓迎レセプションを福州市の馬尾区において挙行する計画でいた。ここは中国が将来世界遺産にしたいとする海のシルクロードの拠点であり[注 19]、そのPRも兼ねる予定でいた[報 33]。
- 委員会開催に向け、会場となる海峡国際展示場の改修や[報 34]、運河などの史跡を修復整備し[報 35]、福州市内で整備中だった都市高速道路(城市快速公路)の開業や旧市街地の再開発も前倒しで実施した[報 36]。
- 福州の伝統工芸品で無形文化遺産の登録を目指している漆工芸品を会場に展示してPRする予定でいた[報 37]。
- 今委員会で採択される予定であったICOMOS指針「遺産としての農村景観に関する原則」(上掲「予定されていた議題・報告」の節参照)をうけ、暫定リスト掲載物件の見直しを図り、地域多様性に基づき少数民族を含む農村家屋・集落・景観を候補化することを検討[報 38][注 20]。
- 上記のように暫定リストの見直しを図る中で、もう一つ考古遺跡を柱とする計画もあり[報 38][注 21]、福州市では越族による閩越国の冶城遺跡が発見され、福建省内にある城村漢城遺跡などと合わせ、前漢代まで化外の地であった華南における独自文化と漢化への移行が確認できる稀有な例として[報 39]、また約20万年前と世界最古の洞窟壁画の可能性がある万寿岩遺跡[報 40]など、委員会開催は福建省の考古遺跡の世界遺産を目指すきっかけとする予定でいた。
中止をうけての各国・機関の反応・対応[編集]
- 委員会開催予定地であった福建省では、委員会再開の際は福州市で行うよう要請した[報 41]。
- 中国は2020年10月に雲南省昆明市において生物多様性条約締約国会議を開催予定で、世界遺産委員会で採択された生物多様性に関わる事項を反映させる計画でいたこともあり、委員会再開の動向を見守るとした[hp 24]。
- 登録審査をうける予定であった奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島を推進した鹿児島県は「これまでの取り組みを続けるだけ」、沖縄県は「仕方がない、今は待つだけ。落ち着いたらしっかり審査してもらう」とそれぞれコメントを出し[報 42]、環境省は「委員会開催の6週間前までに発表される諮問機関の勧告日程も未定」としながら、小泉進次郎環境大臣は「引き続き関係自治体と緊密に連携して対応したい」と述べた[報 43]。また、諮問機関IUCNの日本委員会も「勧告が先延ばしになるかもしれない」とした[報 44]。
- 経済制裁などが続くイランは観光業に力を注いでおり、ビザ発給の緩和や宿泊施設の充実を図りつつ、世界遺産を観光資源として位置付けていたため、イランにとっては初となる近代(20世紀)産業遺産(稼働遺産)である 国有鉄道のイラン縦貫鉄道が登録審査をうける予定であった今委員会が中止となったことを「残念である」とコメントした[報 45][注 22]。
- 登録審査をうける予定であったイギリス・イタリア・オーストリア・チェコ・ドイツ・ベルギーとの共同推薦「ヨーロッパの大温泉保養地群」の構成資産があるフランスのヴィシーでは、副市長が「引き続き他の地域と共同歩調をとるだけだが、明るい話題が欲しい」とコメントした[報 46]。
- 文化遺産の諮問機関ICOMOSは2020年の活動指針に「無形遺産の強化」を掲げており、特に詩など芸術的表現の顕彰に力点をおく計画であったことから、新型コロナウイルスにより学校へ通うことができない子供たちに聞かせる学習支援として、世界の記憶に選定されている歴史的な詩を多言語で朗読収録して公開することを委員会開催中止決定前から検討していた[報 47]。
- 自然遺産の諮問機関IUCNは国連生物多様性の10年の最終年を迎えるにあたり、自然生態系における菌や微生物・ウイルスを含めた生物圏の見直しと未知の新たな感染を生じさせないための立入禁止区域制定や土地開発の規制策を講じるほか、新型コロナウイルスの宿主探しや流行の発生源と目される武漢華南海鮮卸売市場の調査なども検討している[報 48]。
- 4月22日に設立50周年を迎えるアースデーに向け、国際植物防疫年であることもあり、国連環境計画(UNEP)が上記のIUCN同様に、未知のウイルスや原生生物が潜む可能性がある原始森林への開発規制や、そこにある薬草や土壌微生物で抗ウイルス薬が作り出せる可能性から乱獲を制限するためにも、世界遺産などによる保護も検討すべきと示唆した[報 49]。
日本への影響[編集]
- 奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島の登録審査が先送りされたため、委員会の再開時期にもよるが2021年に審査予定の北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群にも影響がでかねない[報 50](今夏に予定されていたICOMOSによる現地調査も未定[報 51])。さらに2022年の登録を目指し2020年(令和2年)3月30日に文化庁へ推薦書原案を提出した金を中心とする佐渡鉱山の遺産群 [報 52]および初めて推薦書を提出した彦根城と飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群 [報 53][注 23]の国内候補選定を行わないこととなった[報 54]。
↳その後、縄文遺跡については2020年9月4~15日にICOMOSの現地調査が行われた[報 55]。
- 2014年登録の富岡製糸場と絹産業遺産群に、世界遺産条約に基づくガイダンス施設として、群馬県立世界遺産センター「世界を変える糸(いと)の力」研究所(略称「セカイト」)[注 24]が開設したことを報告する予定であった。
- 2015年に明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業が登録された際の条件であった朝鮮人強制連行を解説するガイダンス施設設置に関し、日本国政府は東京都新宿区に産業遺産情報センター[注 25]を開設したことを報告し、韓国の非難を緩和する予定であった[注 26]。この他、保全措置報告(SOC)として、2019年7月1日の豪雨で崩壊した寺山炭窯跡の状況や、軍艦島の鉄筋コンクリート造高層集合住宅(世界遺産としては緩衝地帯扱い)の保存方法についてなども報告する予定であった[資 6]。
↳軍艦島の保全計画に関してはユネスコ諮問機関のイコモスに対して報告[資 7]。
- 2019年10月31日に発生した火災で焼失した琉球王国のグスク及び関連遺産群の構成資産である首里城の再建に関する計画概要[資 8]を承認してもらう予定であった[報 56]。
↳2020年6月5日にユネスコと日本によるオンライン会議を開催し、概要の承認は得た[hp 25][注 27]。
順延開催決定をうけ[編集]
1年遅れたものの開催される見込みが立ち、2年分の登録審査が行われる可能性もあり、関係する諸国や機関が談話を出している。
- 中国教育部は8ヶ月後の世界の感染状況に関わらず、委員会開催に際しては万全の疫学的対策と緊急医療体制を提供することを確約した[hp 26][注 28]。
- 委員会開催地となる福建省にて中国世界遺産観光振興同盟会議が開催され、新型コロナウイルス感染症流行後の外国人による中国の世界遺産観光再開のきっかけを委員会参加者による視察(上掲「中国の準備状況」参照)としたいとし、特に文化遺産に関しては漢詩の世界観を前面に押し出す「詩的旅游(Poetical Tourism)」を推進することを決めた[報 57]。
- 中国文化遺産研究院の中国世界文化遺産センター主催で中国世界文化遺産年次会議が開催され、各世界遺産所在地の省・県・鎮単位までの保護に携わる人員が文化遺産と複合遺産だけで合計で3万6千人もおり、世界最高の管理体制であることを確認し、世界遺産委員会でも報告するとした。また、2012年の世界遺産条約40周年記念会議で採択された「京都ビジョン」[hp 27]で世界遺産保全に地域住民の協力が不可欠とされたことから、人民参加型の保全を促進することも決めた[報 58]。
- 中国政府により抑圧されているウイグル族の国外を拠点とする反政府活動団体が、「本来であれば世界遺産に推薦すべきカシュガルにおいて文化遺産(主としてモスク)の破壊活動(文化浄化)が行われており、世界遺産委員会を中国で開催すべきでない」と訴えた[報 59]。
- 中国のSNSのWeChat(微信)で「武漢華南海鮮卸売市場や武漢市中心医院を世界遺産にしたほうがいい」という投稿があると当局が削除している(中国のネット検閲も照会)。
- 奄美大島と徳之島の登録審査を待つ鹿児島県知事が「(学術的評価を下す諮問機関の中間報告が出されていないことをうけ)気を緩めず着実に進める」とコメント、奄美市長は「コロナ禍を克服した上で委員会が開催されることを願う」と期待した[報 60]。
- 縄文遺跡の登録審査が予定通り2021年に行われる可能性が高まったことに関して、青森県知事は「正式な連絡はないがチャンスがあるなら嬉しい」とした[報 61]。
新型コロナウイルスと世界遺産[編集]
流行下の世界遺産[編集]
ウィキメディア・コモンズには、日本の世界遺産における2019年コロナウイルス感染症による影響に関するメディアがあります。
※世界遺産の8割が感染防止対策や都市封鎖に伴い閉鎖されたため[hp 28]、閉鎖に関する話題は枚挙に暇ないので掲載しない[注 29]。
- 世界中で外出が制限されている人々の精神衛生のために、「#ShareOurHeritage」としてユネスコの世界遺産と博物館指針による仮想博物館やオンライン展覧会の一環で、Google アートプロジェクトと連携しインターネットで各国を代表する美術館や博物館の展示物を閲覧したり[報 62][注 30]、ユネスコが所有する世界遺産の動画をグーグルアースやストリートビューと組み合わせバーチャル・リアリティによる仮想旅行を提供している[報 63][注 31]。
- 過酷な状況下にあって心の拠り所となる宗教施設の多くが世界遺産であり、ユネスコは改めてその大切さを再認識したとし[報 26]、4月12日の復活祭では多くの世界遺産の教会が感染拡大防止のためミサをライブストリーミングで行ったことに謝意を示した[報 64]。
- 都市封鎖が続くオランダとイギリスで学芸員不在の美術館から絵画の盗難が発生したことをうけ、ユネスコは閉鎖中の世界遺産に伴う文化施設における文化財・美術工芸品の管理について厳重に注意することを呼び掛けた[報 65][注 32]。
- 新型コロナウイルスの流行で管理者不在となった世界遺産の遺跡で盗掘が横行し出土品がブラックマーケットに流出していることが判明したほか、訪問者が途絶えたため入場料で維持費用を賄っている施設の収入が減ったことで世界遺産としての存続が危ぶまれる事例も明らかになってきた[報 66]。
- ハイチのシタデル、サン=スーシ城、ラミエール国立歴史公園の構成資産ミロの礼拝堂が4月13日未明に焼失。新型コロナウイルスに伴う夜間外出禁止のため消防の出動が遅れ消火が間に合わなかった[報 67]。
- 2019年に発生したノートルダム大聖堂の火災の復興について、2024年4月の竣工予定でいたが、都市封鎖で工事も中断しており、今後も建材(文化資材)や作業員の確保も困難になるとみられ、再建予定が大幅に遅れる可能性が浮上している[紙 6]。なお、4月27日から工事は再開した[紙 7]。
- マリー・アントワネットによって改変されたヴェルサイユ宮殿の庭園を当初の姿に再現する作業(残された設計図に基づく彫刻等の調度品の位置や本来の植生復元)について、2022年の竣工予定でいたが、パリの都市封鎖の影響で完成が遅れる見込みとなった[報 68][注 33]。
- 2020年3月23日にクロアチアで大規模な地震が発生し、スタリー・グラード平原などで被害が生じたが、新型コロナウイルスの影響で復旧が着手できない状態にある[報 69]。
- マレーシアのマラッカ海峡の歴史的都市群の構成資産であるジョージタウンにおいてクラスターが発生し、家屋内を含む街全体の大掛かりな消毒が計画されたが、塩素使用や紫外線照射により木造建築の古民家に負荷がかかることが懸念される[報 70]。
- インドのカジランガ国立公園では都市封鎖により幹線道路の交通量が減ったことで動物が公園の境界線に近づきサイが密猟に遭っている[報 71]。
- コンゴ民主共和国のヴィルンガ国立公園(危機遺産)では、2000年代初頭にエボラ出血熱がゴリラに感染して個体数の⅓が失われた経緯があり、新型コロナウイルスの人獣共通感染症の可能性を考慮し、動物管理官や密猟者を含めた人間との接触感染を厳重監視することになった[報 72]。
- 中国では2020年4月4~6日が清明節の三連休で、新型コロナウイルスの猛威が収束したとして冷え込んだ地元経済を刺激しようと黄山を当局が無料開放したところ観光客が殺到した。これをうけユネスコは、感染回復者の再度の陽性化が確認され、不顕性感染があるウイルスの性質から残留潜伏によるぶり返しを懸念し、世界遺産がクラスターになることはあってはならないと表明した[報 73]。
- 新型コロナウイルスと闘う医療従事者(コ・メディカル)への感謝と応援を表すため、建造物を青い照明でライトアップする「Make it Blue(Light it Blue)運動」がイギリスから世界中へ広まり[注 34]、日本でも賛同した姫路城が2020年4月23日~5月6日まで[hp 29]、富岡製糸場の煙突が4月20日~5月6日まで[報 74]、明治日本の産業革命遺産の韮山反射炉が4月28日~5月6日まで[報 75]同じく三池炭鉱の宮原坑と万田坑および三角西港(洋館の浦島屋)が6月19日~7月8日まで[報 76]、二条城の隅櫓が5月1~31日まで[報 77]、熊野本宮大社の大鳥居が5月11~21日まで[報 78]それぞれ実施する。
- ギリシアではシリア難民キャンプで新型コロナウイルスが蔓延したため人々が逃げ出し、デロス島などにたどり着いた結果、そこで地元住民に感染し死者が増え地域社会が崩壊の危機に晒されている。ユネスコは世界遺産維持のため地域コミュニティの存在を重視しているだけに(下記「終息後を見据えたユネスコの動き」参照)、心配されている。また、難民が遺跡内で過ごしているため棄損が生じたり、難民を襲撃するコロナ狩りも起きている[hp 30]。
- ケニアのマサイ族がタンザニアのンゴロンゴロ保全地域内で挙行される伝統行事に参加しようとしたが、検査体制が不十分で感染者が紛れている可能性と集団形成による感染を考慮して越境が許可されなかったため、小競り合いへと発展。このことは伝統文化継承の危機であるとともに、社会的弱者・社会的少数者に追い打ちをかけたり、単なるコロナ差別から民族差別を助長しかねないことになる[報 79]。上記の難民襲撃なども含め、ユネスコはヒューマン・ライツ・ウォッチとともに、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約に基づいて、新型コロナウイルス蔓延下での文化と人権の擁護に乗り出す[hp 31]。
- イスラエルのエルサレムの旧市街とその城壁群(危機遺産)において、感染防止のため安息日の合同礼拝(金曜礼拝)とミクワーが禁止されたことに対し、超正統派の人々が反発し暴動へと発展。鎮圧に乗り出した警察と衝突したため、城壁などが破損した[報 80]。
- イスラエルがパレスチナ自治区に新型コロナウイルス用の臨時診療所を設けることを理由に、ヘブロン(アル=ハリール)旧市街(危機遺産)に進駐し、既成事実として収用を目論んでいるとパレスチナが主張している[報 81]。
- 英領バミューダ諸島のバミューダ島の古都セント・ジョージと関連要塞群に設置されたガイダンス施設としての世界遺産センターが新型コロナウイルスにより入場者が無くなったため、閉鎖することになった[報 82]。
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- ユネスコが行った調査によると、7月20日時点で世界遺産の42%がまだ再開できていない状況にある[報 83]。
- アイルランドのシュケリッグ・ヴィヒルは感染拡大防止のため、2021年まで封鎖することを決めた[報 84]。
- ブラジルのフェルナンド・デ・ノローニャは新型コロナウイルス感染者限定で観光訪問を認めるという逆転の発想を実施[報 85]。
終息後を見据えたユネスコの動き[編集]
- 大打撃を被った観光業への支援として、国連観光機関(UNWTO)とともにトラベルバブルから始め、3密を避けつつユニークベニューの実施やコト消費・ワーケーションの場とするなどで世界遺産を活用するヘリテージツーリズムを積極的に展開することを検討[hp 32][注 35]。

- 新型コロナウイルスが完全に終息するには2~3年かかる可能性や毎年変異して襲来する可能性が示唆され、新しい生活様式(ニューノーマル)を考えなければならない時代に際し、多くの観光客が押し寄せる世界遺産でクラスターが発生することを防ぐため、世界遺産への入場枠設定や定時入れ替え、時間指定や事前予約制を積極的に導入することも検討すべきとし、これによりオーバーツーリズムによる環境負荷の軽減になることも期待する[hp 33]。
- 5月5日のアフリカ世界遺産の日に実施したオンライン会議で、アフリカ諸国では新型コロナウイルスにより社会崩壊を起こしており、ユネスコとしても社会復興に協力すると約束した。特にいくつかの国から世界遺産におけるエッセンシャルワーカーとしての管理者(サイトマネージャー)が亡くなっていると報告が上がったことから[注 36]、後任人材の育成を最優先で取り組むこととした[報 86]。
- 国際金融市場でのコロナ暴落(コロナショック)と続く不況の景気回復に創造経済が有効であるとして創造産業を支援するとともに、第39回世界遺産委員会において持続可能な開発のための文化を採択して以降、創造産業と世界遺産に含まれる文化的財・環境財を交えた総合的な文化事業・文化産業を広めることで、文化多様性と文化的自由を包摂する持続可能な社会の構築を目指しており、委員会が再開された際の議題になりうる[報 24][注 37]。
- ユネスコは上記の「持続可能な社会」とともに、社会的包摂(インクルーシブ社会)の普及も目指している。これは「京都ビジョン」[hp 27]の中で、世界遺産の維持にはコミュニティの存在が欠かせず、それを存続させるために社会的結束やソーシャル・キャピタルが重要としており、今回の感染流行は文化的特異点になり得、ポストコロナのパラダイムシフトと合わせた戦略文化として展開するつもりでいる[hp 34]。
流行禍からの復興[編集]
- 感染拡大で甚大な被害をうけたヨーロッパの地中海に面した都市の世界遺産に関して世界遺産センター副所長のJyoti Hosagraharが中心となり、都市遺産における再流行時の住居・公共空間や移動の在り方(感染防止のために遺産の改変を認めるべきか)について議論を始め、同時に世界遺産における持続可能な開発を追及すべくグリーンリカバリーを採用することを奨励する[hp 35]。
- 海洋域の世界遺産においてマスクやビニール手袋などコロナ由来とみられる漂流・漂着ごみが増えたことをうけ、その回収を急ぐとともに、これを契機にマイクロプラスチックが世界遺産に及ぼす影響についても調査する[報 87]。
- 2020年9月28日にオンラインによる「国際討論:文化観光、コロナからの回復(Global Debate: 'Culture, Tourism and COVID-19: Recovery, Resiliency and Rejuvenation')」を開催し、レジリエント・ツーリズムが提唱された[hp 36]。
- 甚大な被害を被った今回のコロナ禍を教訓とし、ユネスコによる持続可能性を追及すべく、「持続可能な遺産管理」のプログラムを立ち上げた[hp 37]。
- 2020年12月14日、オンライン会議「世界遺産と観光:コロナ危機の課題への取り組み(World Heritage and tourism: Tackling the challenges of the COVID-19 Crisis)」を開催し、都市遺産における都市観光や文化的景観といった人口密度が高い場所や人の暮らしがあり接触確率が高い世界遺産での安全確保の方法などについて協議が行われ、オンラインツアーの有用性を確認した[hp 38]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 蘇州は翌年の第28回、マナーマは2018年に第42回として開催になった。
- ^ 今委員会で登録審査予定であったイギリス・イタリア・オーストリア・チェコ・ドイツ・フランス・ベルギーによる共同推薦ヨーロッパのグレートスパの進捗状況を聞かれたチェコで構成資産があるフランティシュコビー・ラーズネェの市長が「開催はパリで10月下旬になった」と答えたとする報道(Rozhodnutí o zápisu lázeňských měst na seznam UNESCO se odkládá EuroZpravy 2020.4.10)や11月にパリ本部で開催とする報道(Candidature de Vichy à l'Unesco : la réponse sûrement repoussée, mais jusqu'à quand ? La Montagne 2020.4.16)もあった。
- ^ 6月29日から7月10日にユネスコ本部で開催された第209回ユネスコ執行委員会において、開催日時と場所について協議されたが、結論を出せないで終わった。
- ^ 一部の報道では「expansion session」という表記も見られる。
- ^ 日本の文部科学省副大臣に相当。
- ^ 2018年に同国マナーマで開催された第42回世界遺産委員会では開催国連絡窓口を担当した。
- ^ ユネスコが注視する防潮堤工事も新型コロナウイルス流行によるロックダウンの影響で中断している。
- ^ ガラパゴスのような絶海の孤島へも新型コロナウイルスが到達しており、動物への感染も報告されていることから、ガラパゴスへの旅客航空便は運休されている。
- ^ 世界遺産における水インフラに関しては、昨年の世界遺産委員会において、世界水力発電会議による「世界遺産と水力発電」が報告されている(第43回世界遺産委員会#その他の議題参照)。
- ^ 平遥は中国国内では、世界遺産としてより時代劇のロケ地としてフィルムツーリズムの対象として人気で、ユネスコの創造都市ネットワーク映画部門への加盟を目指している。
- ^ 食糧生産と自然利用を両立(自然と人間の共生)している陸域・水域における、農業・畜産・牧畜(遊牧)・漁業・養殖・林業・狩猟および塩や燃料など食関連資源の採集地を対象とする。2017年の統計で世界の都市人口が54.82%に達した一方で、人間が生きてゆくために必要な食糧生産を支える農村の後退荒廃が顕著になっていることをうけ、伝統的生産手法と持続可能な開発を実践している生産地景観(生産に関係する建造物含む)の保護を目的とする(食の多様性や食糧供給源としての都市農業や植物工場のような工業型農業・スマート農業を否定するものではない)。ICOMOSは国連食糧農業機関(FAO)の世界重要農業遺産システム(世界農業遺産)との連携も提案し、その選定地の世界遺産化優遇も思案するが、同遺産制度は保護体制として世界遺産が求める国の法律ではなく、自治体の条例でも構わない違いがある。
- ^ ラバトの世界遺産登録正式名称は「近代的首都と歴史的都市をあわせもつ遺産ラバト」で、隣り合わせる古い町並みと現代都市が共存する都市計画が評価されたものであり、ニューアーバンアジェンダ都市文化顕彰の成功例とされており、今回はゾーニングが問題となっている。
- ^ リバプールの開発は創造都市ネットワーク音楽部門加盟都市としての発展に必要なものという主張。
- ^ 外出は緩和されたが市外との往来は規制されており、福州長楽国際空港着の国際線の検疫は厳格化され、衛生当局指定国からの入国者は観察処置で一時的に隔離されるため、現況では諸外国からの委員会参加者も同様の扱いとなる。
- ^ 世界遺産センター副所長のJyoti Hosagraharが直接任にあたる。
- ^ このため世界遺産委員会用の資金を提供することを含めた支援も検討されている。
- ^ これら文化・教育・科学分野での活動はUNESCO=国連教育(E)科学(S)文化(C)機関という正式名称を反映したもの。
- ^ 同じく世界遺産委員会の諮問機関である文化財の保存及び修復の研究のための国際センター(ICCROM)も本部を置くローマがロックダウンされたため閉所措置をとり機能していない。
- ^ 海のシルクロードはChinese Section of the Silk Road: Land routes in Henan Province, Shaanxi Province, Gansu Province, Qinghai Province, Ningxia Hui Autonomous Region, and Xinjiang Uygur Autonomous Region; Sea Routes in Ningbo City, Zhejiang Province and Quanzhou City, Fujian Province - from Western-Han Dynasty to Qing Dynastyとして2008年に暫定リストに掲載されており、福建省の史跡も含まれている。
- ^ 中国で2000年代以降に登録された世界遺産には、安徽南部の古村落-西逓と宏村・開平楼閣と村落・紅河哈尼棚田群の文化的景観などの農村域があり、暫定リスト掲載物件にも山西省と陝西省の古民居・チベット族とチャン族の碉楼と村落・貴州省南東のミャオ族の村落―苗嶺山脈の雷公山山麓の村落・トン族の村落といった農村域が含まれている。
- ^ 中国で2000年代以降に登録された世界遺産には、殷墟・上都遺跡・シルクロード:長安-天山回廊の交易路網・良渚古城遺跡など発掘から明らかになったものが多く、暫定リスト掲載物件にも南越国遺跡・紅山文化遺跡・古蜀遺跡などの考古遺跡が含まれている。
- ^ イランでは国内線空港やバス乗り場そして駅などの交通機関における時刻や切符の号車・座席番号表示等が世界で一般的なアラビア数字ではなく、ペルシア文字のみで記載されている場合が多く、外国人旅行者に不評であったため、世界遺産を目指すイラン縦貫鉄道からアラビア数字併記の取り組みも始めた。
- ^ 世界遺産候補地を選定する文化審議会や日本ユネスコ国内委員会が推薦書原案が提出された3月30日時点で一部機能停止中である。
- ^ 2020年3月26日にメディア向け内覧会が開かれ、翌27日から公開予定であったが、新型コロナウイルス拡散防止のため当面休館となり、その後緊急事態宣言解除をうけ6月2日から一般公開が決定したが、6月中は事前予約制とし混雑(3密)を避ける対策を講じる。
- ^ 2020年3月31日に関係者のみで開所式を行い、翌4月1日から公開予定であったが、新型コロナウイルス拡散防止のため当面休館となり、その後5月25日に東京都の緊急事態宣言が解除、同日都が策定した休業要請緩和に向けたロードマップの第1段階で「博物館の再開」が示され、6月12日に東京アラートも解除されたこともあり6月15日から一般公開する。
- ^ 韓国は第40回世界遺産委員会と第42回世界遺産委員会においてガイダンス施設の設置を再三求めてきた。
- ^ この協議をうけ政府は「首里城復元のための関係閣僚会議」を、沖縄県も「首里城復興基本計画に関する有識者懇談会」を組織して対応することになった。
- ^ 委員会開催決定時点で中国は感染者が増加傾向にある国からの入国を拒否しており、感染者数が世界二位のブラジルと四位のロシアや感染者管理が不完全なアフリカから5ヶ国の委員国を迎えなければならず、委員会参加のための入国者に対してのPCR検査等の実施を検討。
- ^ ここに列挙している記事は、ユネスコが採用したリアクティブ・モニタリングを補完するオンライン調査(第42回世界遺産委員会#その他の話題参照)の対象として俎上したものになる。
- ^ この企画は最初に創造都市ネットワーク音楽部門に加盟するスペインのリリアにおいて市内在住のミュージシャンや音楽教師・生徒らが窓辺やバルコニーからベートーヴェンの交響曲第9番を一斉に演奏してロックダウン中の人々を勇気づけ、これに追従する都市が現れ、さらに映画・メディアアート部門の都市も映像情報発信したことをユネスコは「困難な時に必要な貢献と連帯である」とし、慈善文化イニシアチブの世界的な例と評価したことに端を発する。
- ^ バーチャルツアーではユネスコに提供しているTBSのテレビ番組・世界遺産の映像も利用されている。
- ^ 世界遺産は不動産有形財構築物が対象であるが、例えば日本であれば世界遺産に登録された寺院に安置される仏像のような可動文化財は、世界遺産としての価値を補完するものと見なされている。
- ^ この復元作業は「歴史的経緯・背景がある改修・移築(elapsed repair/dismantle)」の評価と、さらに原初の状態に戻すことの意義について注目される。
- ^ 発端はイギリスの国民保健サービスのコーポレートカラーが青色であったことに由来する。
- ^ ヘリテージツーリズムには雇用創出と経済循環の役割も持たせている。World Heritage and Sustainable Tourism Programmeも参照。
- ^ 死因として感染予防のマスクや消毒、治療用の薬や機材、そして免疫力を維持するための日常食糧などを多くの国が輸出制限を敷いたことで、アフリカにまで物資が届かなくなったことにあると分析。これはユネスコが2005年に採択した「生命倫理と人権に関する世界宣言」に反する行為であるとし、世界貿易機関(WTO)などと調査に乗り出すこととした。また、今後開発される新型コロナウイルス用ワクチンの公平な流通を世界保健機関と監視する。
- ^ ユネスコによる文化分野での持続可能性については、Culture for Sustainable Developmentを参照。
出典[編集]
ウェブサイト[編集]
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- ^ フランス ミシュランタイヤ社『ギリシア ミシュラン・グリーンガイド』実業之日本社、1993年、p.233
- ^ フランス ミシュランタイヤ社『イタリア ミシュラン・グリーンガイド』全訂版、実業之日本社、1998年、p.206-208
- ^ 地球の歩き方編集室『スペイン 2014-2015年版』2014年、pp.56-57, 76-77, 81
- ^ 読売新聞 2020年4月11日
- ^ 読売新聞 2020年4月30日
関連項目[編集]
参考文献[編集]
外部リンク[編集]
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