かんがい施設遺産
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かんがい施設遺産(かんがいしせついさん、英語:Heritage Irrigation Structures)は、インドのニューデリーに本部を置く国際かんがい排水委員会(ICID)が、灌漑の歴史・発展を明らかにし、灌漑施設の適切な保全に資することを目的として、建設から100年以上経過し、灌漑農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたもの等、歴史的・技術的・社会的価値のある灌漑施設を登録・表彰するために2014年に創設した制度。なお、灌漑は二文字とも常用漢字の表外字のため、担当所管の農林水産省では「かんがい」と平仮名表記を正式なものとしている。
登録地[編集]
2014年[編集]
- 日本[1]
- 中国
- タイ
- スリランカ
- アブハヤ・ウェア(Abhaya Wewa) …世界遺産アヌラーダプラにある貯水池(ウェワ)
- ナッチャドゥワ・ウェア …マハーセーナ王によって作られた貯水池、かつてはマハーダラガラカと呼ばれていた
- パキスタン
- バロキ頭首工(Balloki Headworks) …インダス川支流のラヴィ川を利用した灌漑水路、現地語でバロキ・バラージュ(堰)
2015年[編集]
- 日本[3]
- 中国
- タイ
- ランシット運河(Rangsit Canal)とチュラーロンコーン調整池…チャオプラヤー川を利用しラーマ5世が整備
2016年[編集]
2017年[編集]
- 日本
- 中国
- メキシコ
- オーストラリア
- グルバーン・ウィアー、ビクトリア州
- ブリーズデール・ワイン畑の灌漑水門、サウス・オーストラリア州
2018年[編集]
- 日本
- 韓国
展開[編集]
水文学を推進するユネスコは水資源管理の観点から、国連食糧農業機関は世界重要農業遺産システム(農業遺産)の観点から、かんがい施設遺産を支援している。
詳細は「持続可能な開発のための文化#主な取り組み」を参照
展望[編集]
ユネスコや国際連合未加盟のため世界遺産などの各種遺産事業に参加できない台湾(中華民国)だが、国際かんがい排水委員会へは加盟しており、烏山頭ダムの登録の可能性がある(築100年経過の条件から2020年まで待たなければならない)。
国内施策[編集]
農林水産省では文化財としての価値を有する農業水利施設等の土地改良施設を対象に、農村地域における生活空間の質的向上を図りつつ、土地改良施設の整備を契機に地域一体となった農業水利施設の維持・保全体制の構築を目的とする「地域用水環境整備事業」を推進。
また国土交通省は歴史まちづくり法により、農村地域の水路・ダム・ため池等の農業水利施設の保全管理または整備と地域用水の多面的な機能の維持増進に資する施設の整備を行うことを目的とする「地域用水環境整備事業」を展開している。
参照(外部リンク)[編集]
脚注[編集]
- ^ 信濃毎日新聞は2014年9月17日号[リンク切れ]で長野県茅野市が申請していた滝之湯堰・大河原堰を仮登録と報じているが正確には登録見送りの誤報
- ^ 朝倉の水車は平成29年7月九州北部豪雨により破損したが、その後復旧したことから、2017年の国際かんがい排水委員会の会合では登録抹消などの措置をとらないことを確認した
- ^ 2015年は宮城県大崎市の内川、山梨県北杜市の村山六ヶ村堰疏水、長野県茅野市の滝之湯堰・大河原堰(再申請)、長野県安曇野市・松本市の拾ヶ堰、静岡県三島市の源兵衛川、三重県津市の南家城川口井水、山口県宇部市の常盤湖も立候補していたが審査継続となり、全て2016年に登録となった
- ^ 幸野溝・百太郎溝は水上村も申請地であったが、熊本地震 (2016年)により辞退
- ^ 審査にあたり大阪府北部地震と平成30年7月豪雨の被災状況が確認された