満濃池
満濃池 | |
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満濃池の位置(香川県) | |
所在地 |
![]() 香川県 |
位置 | 北緯34度09分04秒 東経133度52分24秒 / 北緯34.15111度 東経133.87333度座標: 北緯34度09分04秒 東経133度52分24秒 / 北緯34.15111度 東経133.87333度 |
面積 | 1.421 km2 |
周囲長 | 19.7 km |
最大水深 | 30.14 m |
貯水量 | 0.0154 km3 |
成因 | 灌漑用人造湖 |
淡水・汽水 | 淡水 |
![]() |
満濃池(まんのういけ)は、香川県仲多度郡まんのう町にある日本最大の灌漑用のため池である。国の名勝に指定されている。
空海が改修したことでも知られ、周囲約20km、貯水量1,540万tである。また満濃太郎とも呼ばれる。
歴史[編集]
- 701年-704年頃(大宝年間) 讃岐国の国守 道守朝臣が創築[1]。
- 818年(弘仁9年) 洪水による堤防決壊[2]。
- 821年(弘仁12年) 朝廷の築池使 路真人浜継が派遣され復旧に着手するも工事は難航[2]。
- 821年(弘仁12年) 空海が築池別当として派遣され[3]、約3ヵ月後改修完了[4]。その後も決壊、復旧を繰り返す。
- 1184年(元暦元年) この年の決壊後、寛永8年の改修まで復旧されず、池跡には民家、田畑が作られ、「池内村」となる[5]。
- 1628年(寛永5年) 讃岐国領主 生駒高俊の命により普請奉行 西嶋八兵衛、改修着手[2]。
- 1631年(寛永8年) 改修完了[6]。
- 1854年(嘉永7年) 地震により破堤[2]。
- 1870年(明治3年) 復旧工事完了[7]。
- 1905年(明治38年)第一次嵩上げ工事に着手、堤防を三尺嵩上げ[8]。
- 1906年(明治39年)1月 第一次嵩上げ工事完成[9]。
- 1927年(昭和2年)10月 第二次嵩上げ工事に着手、堤防を五尺嵩上げ[10]。
- 1930年(昭和5年)12月 第二次嵩上げ工事完成[11]。
- 1941年(昭和16年)4月 第三次嵩上げ工事に着手、堤防を6m嵩上げ[12]。
- 1959年(昭和34年) 第三次嵩上げ工事及び天川導水路完成[13]。
- 1988年(昭和63年) 手づくり郷土賞(ふるさとに恵みを与える川)受賞。
- 1996年(平成8年)日本の音風景100選に選定される。- 環境庁選定
- 2000年(平成12年) 『満濃池樋門』が国の登録有形文化財(建造物)に登録される[14]。
- 2005年 ダム湖百選に選定される - 財団法人ダム水源地環境整備センター選定
- 2010年 ため池百選に選定される[15] - 農林水産省選定
- 2016年(平成28年)11月5-6日 まんのう町合併10周年を記念し、釣り大会が開催された[16][17]。
- 2016年(平成28年)11月8日 国際かんがい排水委員会(ICID)は、タイ王国チェンマイで開催された第67回ICID国際執行理事会において、かんがい施設遺産として登録することを決定した[18]
- 2019年(令和元年)10月16日 国の名勝に指定[19][20]。
データ[編集]
現在のデータ[編集]
- 形式:土堰堤 拱型[21](アーチ型)[22]
- 堤高:32.0m[23]
- 堤長:155.8m[23]
- 周囲:19.7km
- 貯水量:15,400,000m3[23]
- 満水面積:138.5ha[23]
- 池敷面積:142.1ha
- 灌漑面積:3,239ha
- 水源:金倉川、土器川(天川導水路)
- 備考:樋門は登録有形文化財
弘仁12年復旧時のデータ[編集]
寛永8年復旧時のデータ[編集]
各嵩上工事時のデータ[編集]
交通[編集]
- 鉄道
- 土讃線琴平駅または琴電琴平線・琴電琴平駅よりタクシーにて約15分
- バス
- JR琴平駅前、琴電琴平駅前より美合線(美合、美霞洞温泉、落合、川奥行き)「まんのう公園口」下車 徒歩約15分
- 車
- 高松自動車道善通寺ICより国道319号を琴平方面へ榎井交差点を左折、香川県道282号高松琴平線経由四条交差点右折、香川県道200号まんのう善通寺線で約4キロ
行事[編集]
- ゆる抜き
- 毎年6月中旬から毎秒4立方メートルの農業用水が放水され、讃岐平野の田植えが一斉に始まる。その様子をドキュメントとして収めた映像作品としては、昭和47年NHKで放送された新日本紀行『満濃太郎~香川県讃岐平野~』が存在している。近年「よみがえる新日本紀行」として同番組をデジタル処理したものもNHKにて放送された。このゆる抜きの音と堤防下に整備された「ほたる見公園」のせせらぎは「満濃池のゆるぬきとせせらぎ」として日本の音風景100選に選定されているほか、平成6年度手づくり郷土賞(人々が集い憩う水辺づくり)受賞。
池の名称[編集]
- 当初は、神野郷にあることより神野池と呼ばれていたが、平安時代初期、嵯峨天皇の即位により天皇の諱(神野親王)と同じであったため真野池と改められた[27]、その後、万農池[28]や萬農池[29]と呼ばれたが、明治になり満濃池[30]となった。
池と環境[編集]
生物[編集]
- 満濃池周辺は、アカマツ林とクヌギとコナラ等の落葉広葉樹林が広がり、オオタカやハイタカなど鳥類32科75種、ニホンリス、キュウシュウムササビなど6科12種の野生動物の生息が確認されている。これらの生息が重要であることから、香川県より鳥獣保護区に指定されている(面積321ha)[31] 。
- 満濃池の魚類に関しては、香川県水産試験場においてブルーギルの調査が関係者(池免許権者、池土地改良区事務所など)の協力のもと1983年7月から1984年12月に実施されている。なお、ブルーギルは、香川県には、1968年に食用魚として移殖が行われている[32]。
伝説[編集]
- 『今昔物語集』巻二〇之第十一「龍王、天狗のために取られたる物語り」
- 上記の通り、空海が築池別当として派遣され改修を行ったため、これが曲解され「空海が拓いた池」ないしは「空海が渇水にあえぐ民のため、地に釈杖をついて湧き出させた水が池となった」などの伝説(弘法水伝承)を残す。香川県下における空海伝説の代表的な存在の一つでもある。
- 上記2つの伝説が結びつき「悪しき天狗に力を奪われた龍を空海が助け、その恩の(ないしは水を操り渇水を呼んで、人々を苦しめた悪しき龍を空海が法力で調伏した)ために、龍が空海のしもべとなって池と人々を守っている」などの亜種類型の伝説を見ることもできる。
ギャラリー[編集]
周辺[編集]
- 池の畔にあり、空海が朝廷より与えられた行賞で創建された。
- 国営讃岐まんのう公園
- 満濃池森林公園
- ほたる見公園
- かりん亭
脚注[編集]
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、14頁
- ^ a b c d 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、496頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、20頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、25頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、76頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、78頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、137頁
- ^ a b 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、138頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、139頁
- ^ a b 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、166頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、167頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、183頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、211頁
- ^ “国指定文化財等データベース”. 文化庁. 2015年9月26日閲覧。
- ^ “ため池百選一覧”. 農林水産省. 2015年9月26日閲覧。
- ^ “ブラックバス釣り大会”. 毎日新聞. 2016年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月7日閲覧。
- ^ “モンスターバスハンター(バス釣り大会)の内容について”. まんのう元気プロジェクト 香川県まんのう町. 2016年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月7日閲覧。
- ^ “世界かんがい施設遺産の登録について”. 農林水産省. 2016年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月10日閲覧。
- ^ 令和元年10月16日文部科学省告示第78号。
- ^ 史跡等の指定等について(文化庁報道発表、2019年6月21日)。
- ^ https://www.pref.kagawa.lg.jp/tochikai/about_tameike/introduction/mannouike.html
- ^ https://www.pref.kagawa.lg.jp/tochikai/about_tameike/repair/kukai.html
- ^ a b c d 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、満濃池仕様
- ^ a b 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、37頁
- ^ a b c 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、78頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、208頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、17頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、113頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、120頁
- ^ 満濃池史、満濃池土地改良区2001年9月発行、131頁
- ^ “香川県指定 満濃池鳥獣保護区 平成22年10月14日”. 香川県. 2015年9月26日閲覧。
- ^ “香川県の湖沼におけるブルーギルの生態”. 香川県. 2016年10月10日閲覧。