消防

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消火活動に当たる消防士

消防(しょうぼう)は、火災防御鎮静するとともに、火災を予防する活動、及び組織。世界各国で消防組織が整備されており、火災の防御・予防だけでなく救急・救助・防災の実施機関であることも多い。

歴史[編集]

コンクリートやレンガではなく木造家屋が主だった時代に、火災は周囲の家屋まで燃え広がるため重大な損害を与える災害であった。住人がグループを組み、巡回したり消化したり、けが人の救助、住人らがお金を出し合って損壊した家屋を修理する損害保険など、江戸時代の『火消し』をはじめ、役割的に現代の消防署消防団へと総合的に繋がって発展してきた。

ベルギーの対自動車火災訓練のひとコマ
火災報知器(アメリカ合衆国で使用されているもの。ニュージャージー州の学校で)「火事 押し込んで(引き手になったら)引き下げる」と書かれている
消防船

任務[編集]

火事のための消火活動。 要救助者の救助。

消防の施設・設備[編集]

消防の施設・設備には、消防水利を始めとして、消防庁舎、消防車両、各種資機材、通信機器、隊員の服装などがある。

消防水利[編集]

消防水利は、消火などのために水を供給する施設をいう。消火栓防火水槽などの他、プール河川も消防水利として用いられる事がある。

消防車両[編集]

消防は現場活動が多いため、消防車両が欠かせない。消防車両は大きく消防車、その他の車両に分けられる。それぞれの車両には、活動内容に応じた資機材が積載される。

消防車は主に火災の防御・消火に使用される。(詳しくは消防車を参照のこと。)

装備[編集]

火災時の消防活動では耐火性をもつ防火衣、高温の火点を抑圧する場合は耐熱服を着用する。

各国の消防[編集]

イギリス[編集]

イギリスにおける消防実施機関は、カウンティ(州)消防・大都市圏消防事務組合・単一自治体消防事務組合、単一自治体消防の4種類に大別される。4種類の差異を説明するにはまず連合王国の複雑な地方自治制度を理解する必要があるが、要するに消防は地方自治に委ねられているのである。約58の消防機関があり、日本よりも広域的である。消防を所管する国機関は内務省消防監察局と同省消防緊急事態計画局である。消防の教育機関として消防大学や緊急事態計画大学が設置されている。救急業務は消防ではなく別組織(国民健康サービス)が担当している。年間の出火件数は約40万件(人口1万人当たり約80件)と多く、約3万5千人(人口1万人当たり約6人)の消防職員が対処している。

ドイツ[編集]

ドイツの消防車と救急車
ドイツの消防隊員
空母ジョン・F・ケネディでの消防訓練の様子
大田消防本部南部消防署(韓国)の訓練の様子
消防訓練の様子(日本)
日本のはしご式消防車(30メートル級)

ドイツ連邦では、特別市(概ね10万人以上)に常備消防が設置され、小都市(約2万人以上)にも常備消防隊員を置かれている。総計約290の常備消防が存在している。その他はボランティア消防隊約2万6千隊(日本の消防団に当たる)が消防任務に当たっている。国(連邦政府)に消防主管機関はなく、各州の内務省等が消防を所管している。消防教育機関も連邦政府にはなく、各州に設置されている。消防のあり方は各州により規定されているため細部で異なるが、救急業務もほとんどが消防機関で実施しており、救急ヘリコプター(ドクターヘリコプターも含む)システムが非常によく整備されていることもドイツの特徴である。年間の火災出動件数は約20万件(人口1万人当たり約25件)で、約2万7千人の常備消防職員(人口1万人当たり約3人)と約100万人のボランティア消防隊員が消防任務に当たっている。

フランス[編集]

フランスの消防は、パリとその周辺では陸軍パリ消防工兵旅団が、マルセイユとその周辺では海軍マルセイユ消防大隊が、その他の地域では県消防が、消防業務を行っている。国の消防所管機関は、内務省市民安全局救急・消防部である。消防教育機関として、国立消防大学校や各県の消防学校などがある。救急業務は消防が行うほか、警察や民間も実施している。年間の火災出動件数は約35万件(人口1万人当たり約60件)で、約3万5千人の消防職員(人口1万人当たり約6人)と約20万人のボランティア消防隊員が消防任務に当たっている。

アメリカ[編集]

アメリカ合衆国の消防は、連邦政府、州政府、さらに各州内の地方政府である市町村などが実施しているが、自治制度が大きく異なるため、アメリカの消防機関を類型的に説明することは困難である。連邦政府には国土安全保障省連邦消防局が置かれている。大都市には常備消防組織が整備されているが、中小都市ではキャリア消防隊員とボランティア消防隊員とが1つの消防署に配置されていることもある。小規模自治体ではボランティア消防局(日本の消防団に当たる)が消防の主体となっていることも多い。緊急対応部署(=警察保安官事務所など)が消防業務を行なう地域やケースもある。消防教育機関は、全米消防アカデミー・危機管理研修所・各州および自治体の消防教育機関などがあり、消防教育システムが非常に充実している。救急業務は消防や救急組織が行うことも、民間会社・ボランティア・病院・警察・赤十字などが行うこともある。年間の出火件数は約180万件(人口1万人当たり約65件)であり、約26万人の消防職員(人口1万人当たり約9人)と約75万人のボランティア消防隊員が消防任務に当たっている。 またMAST(METRO ARSON STRIKE TEAM)という消防職員でありながら、銃と手錠を業務で使用し放火犯を逮捕する警察と同じ職務執行権を持った隊員がいる。

中国[編集]

中国では、各省・自治区・直轄市に消防局が設置され、その内部の市・区・県に消防支隊が置かれている。国の消防主管機関は中華人民共和国公安部消防局である。消防教育機関には全国5か所の消防式学校がある。救急業務は消防ではなく医療機関が行う。年間出火件数は約18万件(人口1万人当たり約1.5件)で、約11万人の消防職員と約300万人のボランティア消防隊員が消防任務に当たっている。

韓国[編集]

韓国では、ソウル特別市・広域市・道、昌原市に消防本部が置かれ、非常に広域的な消防機関が組織されている。国には2004年に消防防災庁が設置された。消防教育機関としては、中央(1か所)と地方(5か所)に消防学校がある。救急業務は消防が行う。年間の出火件数は約3万件(人口1万人当たり約7件)であり、約2万3千人の消防職員(人口1万人当たり約5人)と約8万人のボランティア消防隊員が消防任務に当たっている。

日本[編集]

日本の消防は、各市町村が消防機関(消防本部消防団)を設置することとされており、ほとんどの市町村に常備消防(消防本部)が置かれている。国の機関として総務省消防庁がある。消防教育機関には消防大学校消防学校(各都道府県消防学校と8つの政令指定都市に置かれている政令指定都市消防学校)がある。救急業務は消防が行うこととされている。年間出火件数は約6万件(人口1万人当たり約5件)で、約15万人の消防職員(人口1万人当たり約12人)と約90万人の消防団員が消防任務に当たっている。

関連項目[編集]