サイ

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サイ科
生息年代: 始新世現世
White rhinos.jpg
シロサイCeratotherium simum
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 奇蹄目 Perissodactyla
: サイ科 Rhinocerotidae
学名
Rhinocerotidae
Gray1820


サイ; 英語: rhinoceros もしくは rhino (ライノー); ギリシア語: ῥινόκερωςを持つもの」の意[1])は、奇蹄目サイ科(Rhinocerotidae)に属する哺乳類の総称。


分布[編集]

サイの[分布]。橙シロサイ,紫クロサイ,赤インドサイ,青ジャワサイ,緑スマトラサイ

世界には5種のサイが現生しており、アフリカ大陸の東部と南部(シロサイ、クロサイ)、インド北部からネパール南部(インドサイ)、マレーシアインドネシアの限られた地域(ジャワサイ、スマトラサイ)に分布している。現生のサイは[体毛]がなく(或いは薄く)、寒冷地域には分布していない。

かつてサイ科の属する奇蹄目は、始新世から漸新世にかけて繁栄し、240と多様性を誇った。サイの祖先たちは、ほぼ全ての地域(可住域)に分布した[2]。特に漸新世には陸上哺乳類史上最大の種(パラケラテリウム)が現れるなど、繁栄を極めた。しかし中新世以降は地球の寒冷化によって多くの種が絶滅し、またウシ亜目などの反芻類の進化に押されて衰退し[3]、更には人間の狩猟乱獲、開発によって、現在の分布になったと考えられる。

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形態[編集]

鎧のような皮膚と、頭部の角を持つインドサイ

ゾウに次ぐ大型の陸生哺乳類である。最大の種であるシロサイのオスは体長3.7~4m、平均体重2300kg[4](最大で3600kgという記録がある[5])。サイのオスはメスと同じか、メスより大きい[要出典]奇蹄目サイ科を構成し、3本の指を持つ。(ウマは1本、バクは前脚が4本、後脚が3本)

[皮膚]は非常に分厚く硬質で、1.5~5cmの厚みを持ち、格子構造になったコラーゲンが層をなしている。皮膚はあらゆる動物の中でも最硬といわれ、肉食獣の爪や牙を容易には通さない。インドサイ等は、だぶついた硬い皮膚が特徴的で、体全体がで覆われているように見える。体色は灰色をしている種が多いが、サイは泥浴びを好み、水飲み場などでよくこれを行うので、土壌の色で茶色などを帯びたように見えることもある。

スマトラサイを除き体毛がない。しかし耳介の外縁や睫毛、尾の先端に毛を残している。幼獣は成獣より毛深く、成熟するにつれて体毛が薄くなる。スマトラサイは耳介も含めて全身が粗く長い茶褐色の体毛で被われているものの、野生種では泥にまみれるか、抜け落ち、あまり目立たない。

サイは頭部に1本または2本の硬いを持つ。他の現生哺乳類の角は骨の変化した器官であるが、サイの角は骨質ではなく、に似た器官である。サイの角は空洞がなく、体毛や蹄と同じケラチン角質)で満たされた上皮細胞の死骸が詰まってできている。「中実角」とも呼ばれる。角は髪と同じように伸び続け、シロサイやクロサイでは最大1.5mにもなる[6]。サイの角は肉食動物に抵抗するときなどに使われる。オスのほうがメスより角が大きく、また、ジャワサイのメスは角をもたない。現生する角を持たないサイはジャワサイのメスのみである(幼獣を除く)。

目は小さく、視力は非常に弱い。シロサイは30mも離れると動かないものは判別できない[7]。その代わりに鋭い嗅覚聴覚をもつことで、敵から身を守っている。耳は大きく、かなり自由に動かすことができる。は哺乳類の中では比較的小さい(400~600g)。後腸をもつ後腸発酵草食動物で、必要とあらば樹皮のような硬い植物繊維質も食料源とすることができる。単胃であるため採食が頻繁で、反芻しない。

アフリカのサイ2種は前歯を持たず[8]、その代わりに口先()で餌を挟み取る。体は硬い皮膚に覆われているが口先はやわらかく、感覚に優れている。口先の形状は種によって異なり、種によって食性が微妙に違うことを示している[9]クロサイは上向きの尖った口先をしており、樹木低木から葉や果実を摘まむように食料を摂取する。シロサイは角ばった口先をしており、地面に這わせながら草を食む。

非常に大きな頭蓋骨は、前後に長く、後頭骨が立ち上がっている。 鼻骨は大きく前か上にせり出し、前上顎骨よりも前に飛び出る。角が接合する部分は、鼻骨の表面がカリフラワー状に荒れている。24~34本の歯を持ち、小臼歯大臼歯ですり潰す。(歯式は 1-2/0-1, 0/1-1, 3-4/3-4, 3/3)。アジアのサイの下顎切歯を除けば、犬歯および切歯は痕跡的である。これは突進時の衝撃への適応と考えられている[10]

生態[編集]

日中、木陰で休むシロサイの群れ。ナクル湖,ケニア 2007
生後4日のスマトラサイとその親

草原森林熱帯雨林湿地に生息する。スマトラサイとジャワサイは、特に河川や沼の周辺に好んで生息する。サイは夜行性あるいは薄明薄暮性である。昼間は木陰で休む、水場で水を飲む、水浴びや泥浴びをして体温調節したりする。薄明時や夕方に食物を摂取する。

食性は植物食で、草や葉、樹皮や枝、果実などを食べる。インドサイは水生植物も食べる。アフリカのサイは5日の干ばつに耐える。また、ミネラルを摂取することが重要で、塩を舐める行為が社会的意味をもっている[11]。またスマトラサイやジャワサイは塩分を摂るために海水を飲むことがある[12]

母子を除き、サイは基本的に単独で生活する。ただし、シロサイは数十頭の群れを作ることもある。雄は通常、縄張りを持ち、尿、足跡(スマトラサイ)などでマーキングする[13]。そして一生のほとんどを自分のなわばりの中で暮らす[7]。縄張りの大きさは、2~100平方キロメートルと様々ある。縄張りは厳密ではなく、繁殖期以外は他者の侵犯を見逃したり、縄張りが重なりあう。食料事情や繁殖の為に、縄張りの大きさも変動する。

クロサイやインドサイは最高時速55kmで走ると言われる[14](インドサイについては要出典)。また泳ぎを得意としており、スマトラサイは海を泳ぐ様子が観察されている[15]

硬い皮膚と大きな体躯を持つことで、肉食獣に襲われて捕食されることはあまり多くない[16]。しかし、幼獣はその限りではない[17]

胎生。決まった繁殖期は見られず、妊娠期間15~16ヵ月程で、普通は1産1子を出産する。種によってまちまちだが、オスは約8-10歳で性的に成熟し、メスは5-7歳で成熟する。飼育下での寿命は35~50年、野生では25~40年程度と言われている。

分類[編集]

現生するサイ 5 種
シロサイ この名称は、蘭語から英語への誤訳が原因とされる。最も大型。
クロサイ 尖った口先で葉や果実を摂取する。シロサイより気性が荒い。
スマトラサイ 5種の中で最も小さく最も原始的な種。茶褐色の体毛がある。
インドサイ 角は一本。Greater horned Rhinoとも呼ばれる。鎧が特徴。
ジャワサイ インドサイと似ている。角が一本。やや小柄。雌は角がない。

世界には4属5種が現生している。しかし地質時代を含めるなら、これらは僅かな一部分でしかない。サイ科は絶滅した種を含めて分類すべきだが、ここでは原生種の分類とその特徴を記すに留める。

5種類のサイの大きさ比較。
Rhinocerotidae


Ceratotherium simum



Diceros bicornis





Dicerorhinus sumatrensis




Rhinoceros unicornis



Rhinoceros sondaicus





現生種の系統樹[18]
シロサイ属 Ceratotherium
  • Ceratotherium simum シロサイ
    • ミナミシロサイ (C. s. simum / Southern white rhinoceros)準絶滅危惧種(NT)
    • キタシロサイ (C. s. cottoni / Northern white rhinoceros)絶滅危惧種(CR)
アフリカ大陸に分布するサイの仲間で、南アフリカ共和国やナミビア、ジンバブエなどの南アフリカの他、ケニアなどに分布する。[体長]オス3.7-4m メス3.4-3.65m [体高]オス170-186cm メス160-177cm 平均体重約 2.3 tでサイ科最大とされる。頭部に前後2本の角をもち、前方の角は最大1.5mにもなる。名前の由来は、体が白いからではなく、口の幅が広いという意味でつけられたオランダ語"wijd"が英語で"white"に誤訳されたことによる。2亜種が認められている。
クロサイ属 Diceros
  • Diceros bicornis クロサイ
    • ミナミクロサイ (D. b. minor / South-central black rhinoceros)絶滅危惧種(CR)
    • ヒガシクロサイ (D. b. michaeli / Eastern black rhinoceros)絶滅危惧種(CR)
    • D. b. occidentals (South-western black rhinoceros)絶滅危惧種(VU)
シロサイと共にアフリカ大陸に分布する。南アフリカから東アフリカ、カメルーンなど。体はシロサイよりも小さい。体長3~4m、体重1.500~2,200kg程で、シロサイと違い口先が尖っている。またシロサイに比べ気性が荒い。頭部に前後2本の角をもち、前方の角は最大1.5mにもなる。普通3亜種が認められている。
スマトラサイ属 Dicerorhinus
  • Dicerorhinus sumatrensis スマトラサイ
    • ニシスマトラサイ (D. s. sumatrensis / Western Sumatran rhinoceros)絶滅危惧種(CR)
    • ヒガシスマトラサイ (D. s. harrissoni / Eastern Sumatran rhinoceros or Bornean rhinoceros)絶滅危惧種(CR)
    • キタスマトラサイ (D. s. lasiotis / Northern Sumatran rhinoceros or Chittagong rhinoceros)絶滅危惧種(CR)もしくは既に絶滅。
インドネシアのスマトラ島やボルネオ島、マレー半島などの一部に分布していて、標高の高い森林などに生息している。(現在は生息域の激減し、その限りではない。)体長2.5 - 3.2 m、体高 1.1 - 1.5 m、体重約 1.5 t のサイ科最小種。前後2本の角をもつ。木の葉が主食。3亜種が認められているが、いずれも100頭以下、或いは生息の報告がなく、きわめて深刻な絶滅の危機に瀕している。
インドサイ属 Rhinoceros
インド北部やネパール、ブータン、バングデシュやミャンマー北部などの分布している。サイの中では最も北方に生息している。厚い皮膚が折り返され、鎧をつけたような体つきをしている。体長はオス3.6~4mメス3~3.4m、体高はオス1.6~1.9mメス1.5~1.7m、体重はオス2100kgメス1600kg程度。角は1本で、長さは25cm程だが、50cm程に伸びるものも見られる。かつてはインドシナ半島の多くの地域で見られたと言われている。イッカクサイ(一角犀)ともよばれる。インドサイRhinoceros unicornisは[模式種]。絶滅危惧種(VU)に指定されている。
  • Rhinoceros sondaicus ジャワサイ
    • R. s. annamiticus / Vietnamese Sunda rhinoceros・Vietnamese rhinoceros(ベトナムやカンボジアなどのインドシナ半島を中心に分布していた)
    • R. s. inermis / Indian Sunda rhinoceros(ベンガル地方やミャンマーなどに分布していた)
    • R. s. sondaicus(Indonesian Sunda rhinoceros) 2007年の調査では、個体数が55頭。絶滅危惧種(CR)
かつてはパキスタン辺りからインドシナ半島、マレー半島などにも分布していたが、現在はインドネシア・ジャワ島の一部にのみ分布。低地の森林地帯などに生息する。体長は3m、体高1.5m、体重は900~1400kg程度で、インドサイ同様、鎧をつけたような体つきをしている。角は1本で、雄で25cm程度、雌には角がない。3亜種が認められているが、うち2種は既に絶滅したと結論づけられている。

進化[編集]

ヒラキウスの化石。前肢4つ後肢3つの指、頭蓋骨の形状、歯などに注目。フランクフルトゼンケンベルク自然博物館

サイの進化は、他の奇蹄目の進化よりも複雑である。サイは新生代初期に多種多様な変化を遂げた。特に漸新世から中新世においては他の奇蹄目と同様に豊富な種をもっていた。ほぼ全ての可住域に適応放散した。[2]しかし、現在は絶滅の方向に向かっているように見受けられる[19]。サイのいくつかの系統には、平行進化の痕跡が見られるため[20]、ここでは最古のサイから現生のサイへ続く系統に絞って記述する。したがって、記述は主に始新世漸新世に限定される。

サイは始新世前期、約4700万年前[21]に他の奇蹄目から分岐した。角のない小さなサイの祖先ヒラキウス(Hyrachyus)属のHyrachyus eximius は、北米で発見された。このサイはサイというより、バクや小さなに似ている。これをサイ上科でなくバク上科に分類する専門家も多い[22]ウマ科の最古の祖先として有名なヒラコテリウム(Hyracotherium)ともよく似ている。このヒラキウスから、最古のサイとされるヒラコドン科トリプロプス(Triplopus)が誕生した。

しかしこの説には若干の疑いが残っている。始新世中期後半のヒラキウスと、始新世後期のトリプロプスの種の間に、歯科形態の類似性が見られることがこの説の根拠となっているが、ヒラキウスの蹄の数は前肢4つ後肢3つであるのに対しトリプロプスは四肢すべてが3つの蹄である等の相違点もあるからだ。またヒラコドン科の多くが体長5フィート肩高1.5-2フィート程度の大型動物であるのに対し、ヒラコドン科トリプロプスが特筆すべき小ささであることも注意すべき点である[23]

いづれにせよ、始新世後期までにサイは、ヒラコドン科アミノドン科サイ科の3科になった。これらは、しばしばサイ上科(Rhinocerotoidea)としてまとめられる。

ヒラコドン。角がない。仔馬のよう。
ヒラコドン科 Hyracodontidae

始新世中期から中新世前期(5580-2200万年前)にかけて北米、ヨーロッパ、アジアに広がっていた。絶滅した科。を持たない。ヒラコドン科は「走るサイ(running rhinos)」として知られ、脚が細長く快速に疾走することができ、現生のサイよりも馬に似ていた。ただ、歯の構造は既にサイそのものだった。最小のヒラコドン科の種は犬程度の大きさだったが、最大のものはパラケラテリウム(Paraceratherium)で、体長10メートル体高7メートル体重15トン程度と推定されており、これは史上最大の陸上哺乳類であると考えられている。キリンのように木から葉を食べた。なお、この科が後述のサイ科の祖先であることがわかっている。

アミノドン科メタミノドン。角がない。水生生活に適応。
アミノドン科 Amynodontidae

始新世中期から漸新世前期にかけて北米、ヨーロッパ、アジアに広く分散、生息していた。一部の種は漸新世後期まで残っていたものの、絶滅した。角を持たない。アミノドン科は「水生サイ(aquatic rhinos)」として知られている。この科の種はカバのような生態や外観をもち、川や湖に生息し、水草も食べるなど、カバと同じような水生適応を多く持つ。祖先がバク類であることは判明しているが、他の2科に比べその祖先が不明確。日本の炭田でも化石が発見されており、ワタナベサイ(Amynodon watanabei)などの例がある。

サイ科エラスモテリウム。氷河期を生き抜いた。
サイ科 Rhinocerotidae

サイ科(Rhinocerotidae)は始新世後期にユーラシア大陸で誕生し、すべての現生のサイはこれに属している。かつて、サイ科の種は小型且つ豊富だった。漸新世中期における絶滅の波が小型種をのほぼ全て一掃するまでは、少なくとも26属がユーラシアと北アメリカに生息していた。この絶滅の波の後でも、いくつかの独立した系統は生き残った。Menoceras は豚程度大きさで、鼻の上部に左右に並ぶ角を持っていた。北米のテレオケラス(Teleoceras)は樽型の胴体と短い肢を持ち、約500万年前まで生息していた。アメリカでは鮮新世にすべてが絶滅した。

現生のサイは、中新世にアジアから拡散し始めたと考えられている。最新の氷河期を生き抜いたケブカサイ(Coelodonta antiquitatis/毛深犀)とエラスモテリウム(Elasmotherium)がそれにあたり、この両種は1万年前という最近までヨーロッパに定住していた。ケブカサイは中国周辺で約100万年前にいた事が確認されており、60万年前にはヨーロッパに到着していた。20万年前にヨーロッパで再び確認され、ケナガマンモス同様繁栄していた。しかし、最終的には初期の人間によって狩られ、絶滅した。またエラスモテリウムは体長5メートル、体高2メートル、体重5トン、前頭骨に巨大な一本の角、長冠歯、早く走れる長い肢を持ち、更新世中期氷河時代を生き抜いた巨大なサイとして知られている。ユニコーン伝説の正体と考えられることもある[24]

角のあるサイは、漸新世終盤から中新世にかけてやっと歴史に登場した。現生のサイで最古の属は、1500万年以上前に出現したスマトラサイ属(Dicerorhinus)である。前後2本の角をもつ。スマトラサイは他の現生種との関係よりケブカサイとの関係が密接だった。インドサイ属(Rhinoceros)のジャワサイインドサイの2種は、イッカクサイとも呼ばれ、角を1つ持つ。中新世中期までその祖先を遡れる。インドサイとジャワサイは密接に関連しながら、アジアにおけるサイの主流となった。インドサイとジャワサイの祖先は200-400万年前に分岐した[25]。現生のアフリカのサイの起源は、中新世後期(600万年前)のCeratotherium neumayriParadiceros mukiriなど諸説ある。現生種の両系統は、クロサイの祖先と思われるDiceros praecoxの化石が示す鮮新世前期(150万年前)に分岐したとされる。シロサイとクロサイは現在も非常に近縁かつ密接に関係し、互いに交尾し正常に子孫を残すことができる[26]

上記の3科以外にも、北米で一般化したAphelopsテレオケラス(Teleoceras) のように、新生代には多くの種が発生した。

人との関わり[編集]

密猟と保護対策

前述のとおり現生のサイは5種で、そのいずれもが絶滅の危機に瀕している。かつて人間はサイを狩猟食糧としていたとされるが、現在の生息数減少の主な原因は、生息域の開発と、角を目当てにした密猟で、現在進行形の脅威である[27]。角は工芸品、漢方薬犀角、その他の伝統医学の材料として珍重されている(もっとも角に薬としての効用はほぼない[要出典])。サイの角は、同じ重さの金と同じ価格で闇取引されている[28]

サイ科の5種すべてが絶滅の危機にあり、国際自然保護連合IUCNはジャワサイクロサイスマトラサイの3種を絶滅危惧 IA 類、絶滅寸前(Critically Endangered)に指定した。とりわけジャワサイ Rhinoceros sondaicus は、地球上で最も数が少ない大型獣として知られており、1967年から1968年に行われた調査では生息数が25頭まで減少したとされた[要出典]。保護対策には、広報活動、生息域の保全、あらかじめ角を落とす、サイには無害で人間には有害な寄生虫薬の角への注入、WWFなどの保護団体による角へのチップ埋め込み、検疫スキャナーで検知可能な染料による角の染色、空港での検疫など、多岐に渡る。保護活動は一定の成果を生んでいるものの、生息域の治安悪化などで成果が水泡に帰する場合もある。

文化への影響

サイは古代から人類と関係を持っていたと考えられている。現存する人類最古の絵画であるフランスのショーヴェ洞窟壁画にもサイ(絶滅したケブカサイと考えられている[要出典])は描かれており、これは1~3万年前のものである。

1515年、アルブレヒト・デューラーは、サイがリスボンに輸入された時の様子を描いた無名の画家のスケッチを元にして、有名な 犀の木版画を創作した。デューラーは実物を見ることができず[要出典]、描写はいくぶん不正確だが、この木版画は「動物を描写した作品のうち、これほど芸術分野に多大な影響を与えたものはおそらく存在しない」とまでいわれている作品でもある[29]。『犀』は西洋において何度も参照され、絵画や彫刻に影響を与えた。『犀』は『動物図譜』に記載され、日本にも伝わり、谷文晁がそれを模写をした『犀図』を残している[30]

ビルマ、インド、マレーシアでは、サイが火を潰すとする伝説がある。神話のサイは badak api (マレー語) の名称で呼ばれ、badakは犀、apiは火を意味する。森林の中で火が燃え広がるとサイが現れ、それを踏み消すとされる[31]。なお、この事実が確認されたことはない。しかし、この伝説は映画「The Gods Must Be Crazy(邦題ミラクル・ワールド ブッシュマン)」で紹介され有名になった。

日本や中国[32]では、水犀(みずさい)と呼ばれる動物が絵画などに見られる。頭には角、背中に甲羅、足には蹄を持つとされる[要出典]。平安末期の国宝鳥獣人物戯画の乙巻には、獅子麒麟といった海外の動物や架空の動物とともに水犀が描かれている。江戸末期の北斎漫画にも水犀が描かれている。世界遺産 日光東照宮拝殿東面、妻虹梁下にも水犀(通天犀とも)が彫刻されている。

中国では、現在でも犀の角で作られた彫刻や工芸品が重宝され売買されている。中国の検索サイトで犀角を検索すると、検索結果に価格や鑑定方法が挙がる(2016年現在)。西洋諸国のサーカスでは、サイを使うショープログラムがある。現在、多くの国の動物園でサイは飼育展示されている。

犀と文化
世界遺産日光東照宮拝殿東面、妻虹梁下にある犀の彫刻。
国宝鳥獣人物戯画 乙巻 水犀 陶板模写
ドイツのCircus Kroneのステージでショーをするシロサイの牡。
ウィキメディア・コモンズには、サイに関するカテゴリがあります。

脚注[編集]

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  1. ^ ῥινος」+ κέρας
  2. ^ a b Donald R. Prothero, Robert M. Schoch: Classification of the Perissodactyla. In: Donald R. Prothero, R. M. Schoch (Hrsg.): The evolution of the Perissodactyls. New York 1989, S. 530–537.米国サンディエゴ動物学協会、サンディエゴ1993年、頁82から91。
  3. ^ 『哺乳類の進化』 98 - 99頁
  4. ^ Macdonald, D. (2001). The New Encyclopedia of Mammals. Oxford University Press, Oxford. ISBN 0198508239.
  5. ^ Groves, C. P. (1972). "Ceratotherium simum". Mammalian species. 8 (8): 1–6. doi:10.2307/3503966. JSTOR 3503966.
  6. ^ シロサイ 日経ナショナルジオグラフィック
  7. ^ a b Tomorrow is lived
  8. ^ Rhinoceros Fact iheartrhinos.com
  9. ^ ナショナルジオグラフィック Black Rhinoceros by Diceros bicornis
  10. ^ Rhinoceros New World Encyclopedia
  11. ^ RHINOCEROS FEEDING bioexpedition.com
  12. ^ Hutchins, M.; M.D. Kreger (2006). “Rhinoceros behaviour: implications for captive management and conservation”. International Zoo Yearbook (Zoological Society of London) 40 (1): 150–173. doi:10.1111/j.1748-1090.2006.00150.x. 
  13. ^ Richard Estes (1991). The Behavior Guide to African Mammals: Including Hoofed Mammals, Carnivores, Primates. University of California Press. pp. 323–. ISBN 978-0-520-08085-0. https://books.google.com/?id=g977LsZHpcsC&pg=PA323. 
  14. ^ Rhino facts, World Wildlife Fund
  15. ^ 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』、講談社2000年、30、133頁。
  16. ^ Wildlife: Rhinoceros. AWF. Retrieved 2012-02-24.
  17. ^ 1985年から1995年の間にインドのカジランガ国立公園において行われた調査では、インドサイのトラによる捕食が密猟に次ぐ脅威になっているとの報告があり、178頭のサイが公園内で虎の被害に遭ったと報告している。ただし、この中の149頭(83.7%)は幼獣である [1]
  18. ^ Tougard, C. et al. (2001) Phylogenetic relationships of the five extant Rhinoceros species (Rhinocerotidae, Perissodactyla) based on mitochondrial cytochrome b and 12S rRNA genes.
  19. ^ Martin, E. B. 1984. "They're Killing off the Rhino." National Geographic, 165:404-422.
  20. ^ Title: Basic Created Kinds and the Fossil Record of Perissodactyls. Author(s): James S. Monroe National Center for Science Education 米カルフォルニア機関
  21. ^ Christelle Tougard, Thomas Delefosse, Catherine Hänni und Claudine Montgelard: Phylogenetic Relationships of the Five Extant Rhinoceros Species (Rhinocerotidae, Perissodactyla) Based on Mitochondrial Cytochrome b and 12S rRNA Genes. Molecular Phylogenetics and Evolution 19, 2001, S. 34–44.
  22. ^ Title: Basic Created Kinds and the Fossil Record of Perissodactyls. Author(s): James S. Monroe National Center for Science Education 米カルフォルニア機関
  23. ^ Lucas, S. G. et al. 1981. "The Systematics of Forstercooperia, a Middle to Late Eocene Hyracodontid (Perissodactyla: Rhinocerotoidea) from Asia and Western North America." Journal of Paleontology, 55:826-84 1.
  24. ^ やはり伝説のユニコーンは実在していた! 2万6千年前の人類と「エラスモテリウム」の出会いで判明か!? tocana.jp
  25. ^ Lacombat, Frédéric (2005). “The evolution of the rhinoceros”. In Fulconis, R.. Save the rhinos: EAZA Rhino Campaign 2005/6. London: European Association of Zoos and Aquaria. pp. 46–49. 
  26. ^ Robinson, Terry J.; V. Trifonov; I. Espie; E.H. Harley (January 2005). “Interspecific hybridization in rhinoceroses: Confirmation of a Black × White rhinoceros hybrid by karyotype, fluorescence in situ hybridization (FISH) and microsatellite analysis”. Conservation Genetics 6 (1): 141–145. doi:10.1007/s10592-004-7750-9. http://www.springerlink.com/openurl.asp?genre=article&doi=10.1007/s10592-004-7750-9. 
  27. ^ ケニアの2013年サイ密猟数、前年の2倍に フランス通信社 2014年03月01日観覧
  28. ^ http://www.npr.org/sections/parallels/2013/05/14/181587969/Vietnams-Appetite-For-Rhino-Horn-Drives-Poaching-In-Africa
  29. ^ Clarke, T. H. (1986). The Rhinoceros from Dürer to Stubbs: 1515–1799. London: Sotheby's Publications. ISBN 0-85667-322-6. 20ページ
  30. ^ 『平賀源内展カタログ』(2003年)p.118
  31. ^ Rhinoceros Frequently Asked Questions”. Sosrhino.org. 2010年9月23日閲覧。
  32. ^ 《国语·越语上》:“今 夫差 衣水犀之甲者亿有三千。” 韦昭 注:“犀形似豕而大。今徼外所送,有山犀、水犀。”

参考文献[編集]


関連項目[編集]