漂流・漂着ごみ

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ハリケーン・カトリーナによる漂着ごみ

漂流・漂着ごみ(ひょうりゅう・ひょうちゃくごみ、: Marine Litter, : Ocean Debris)とは、海洋を漂流しているごみ及び海岸に漂着したごみの総称である。「海ゴミ」とも呼ばれる。

概要[編集]

正確な実態の把握はなされていないものの海洋には無数のごみが漂流していると考えられており、それらは海洋浮遊ごみと言われ,一部は海岸に漂着して沿岸地域への被害をもたらしている。環日本海環境協力センターの調査によれば,日本の海浜上に堆積している漂流・漂着ごみの堆積している総量は約15万トンと推定されている。ただし海岸ごみは清掃で除かれたり,自然に海に流出するため、年間の漂着量は一部の海岸について以外、分かっていない。これら漂流・漂着ごみの構成は多岐にわたっているが、主に漁業活動から発生するごみ(魚網発泡スチロール製のウキなど)や、側溝河川などを経由してに流れ出た生活系のごみ(主にペットボトルなどの一次的な製品、または使い捨てを前提とした包装容器類)などから成っている。その実態は、国際的な調査やモニタリングを通して明らかにされつつあるが、すでにごみとして流出しているものをどうするか、今後ごみを発生させないようにするにはどうするか(発生抑制)の両面を考える必要から、対応策がままならないのが実情となっている。

近年日本海沿岸や東シナ海沿岸では、簡体字ハングルロシア語で商品名等が標記された中国韓国ロシアなどから排出されたと推察されるごみの漂着が増加している。特に離島はどこも、おびただしい量のごみが漂着しており、その被害は益々深刻化している。 かつて、日本海沿岸では総計約1万7千個の廃ポリタンクが漂着した例があり(確認されたものだけでハングルが記載されたものは約6千個)、ポリタンクの中には塩酸等の強酸性物質が留置、残留していた [1]。 越境大気汚染と比べ、国際協力や海洋汚染に関する行動は著しく低い。2002年OECD環境保全成果レビューでは近隣諸国や沖合いの船舶からの排出物は日本周辺の汚染原因になっている可能性を指摘されてきたが、実際には陸上で捨てられたと思われるごみが多い。しかし国境を超えた汚染物質の運搬量についての評価も行われておらず、さらに詳しい地域毎の調査が必要である。

被害[編集]

不法投棄された漁網に絡まってしまったウミガメ

一方、日本不法投棄されるなどして流出したものと見られるゴミが海流に乗ってハワイミッドウェーなどの太平洋諸島アメリカ西海岸などに流れ着き、アホウドリなどの野生動物を殺傷する一因になっていることが以前より問題になっている。プラスチック類は消化できず、生分解しにくいため、海洋生物が漂流ごみを誤食してしまう(こういった不法投棄には、毒物や有害物質が多分に含まれているので危険)ことや、海底に沈んだゴミが分解されずに残ってしまうことで深刻な問題を引き起こしている[2][3]。日本、韓国、中国のゴミは黒潮に乗りハワイ沖からアメリカ西海岸から南下、反転して西に転じ、再び黒潮に入る。冬には一部が南下し、石垣島宮古島に大量のゴミを運ぶ。

ポイ捨て」などと呼ばれることも多いが、その実態は不法投棄に端を発するものであり、いずれの国においても、重大な社会問題となっている。また、国境を越え得ることから国際問題としても認識される。

近年この問題が顕在化したことを受け、日本、韓国、中国およびロシアの政府により会合が持たれ、対策が検討されはじめるとともに、日本国内から排出されるゴミへの対策についても協議が持たれている[4] [5]

量的にかさばる発泡スチロール等については、リモネンで溶かしたり、原料に戻す(石油に変える)などの試みも行われているが、基本的に海ゴミについては、(1)塩分・水分・付着物が多い、(2)そのため炉を傷める可能性があり、焼却処理にも不向き、(3)汚れが激しく絡まった状態の場合が多い、といった理由により、分別・リサイクルは困難とされる[6]

2006年の海岸漂着ごみの個数調査においてうち最も多かったのはタバコの吸殻であり、海岸漂着ゴミの12.8%となっている(陸起源の漂着ごみのみを総計した場合の割合としては27%にのぼる)。次点は元の製品が不明な硬質プラスチック破片となった[7]

脚注[編集]

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関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]