コモドオオトカゲ

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コモドオオトカゲ
コモドオオトカゲ
コモドオオトカゲ Varanus komodoensis
保全状況評価[1][2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
Status iucn2.3 VU.svgワシントン条約附属書I
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : トカゲ亜目 Sauria
: オオトカゲ科 Varanidae
: オオトカゲ属 Varanus
亜属 : オニオオトカゲ亜属 Varanus
: コモドオオトカゲ
V. komodoensis
学名
Varanus komodoensis Ouwens, 1912[2][3]
和名
コモドオオトカゲ[4]
英名
Komodo dragon
Ora
[3]

分布域

コモドオオトカゲ (Varanus komodoensis) は、有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属に分類されるトカゲ。コモドドラゴンとも呼ばれる。

分布[編集]

インドネシアギリダサミ島ギリモタン島コモド島フローレス島南部、リンチャ島[4]

種小名komodoensisは「コモド産の」を意味する。

形態[編集]

皮膚の拡大写真

最大全長313センチメートル[3]。最大体重166キログラム。頭胴長70 - 130センチメートル[4]。全長200-300cm、体重約70kg[5]。頑丈な体型をしており、メスよりもオスの方が大型になる。最大全長はトカゲ亜目最長種ハナブトオオトカゲに及ばないが、同じ全長の場合、本種の方が体重が重いため、トカゲ亜目の現生種では世界最大種とされる。分布域には数万年前まで肩高150センチメートルのゾウが分布していたため、それらを捕食するために大型化したとする説もある[4]。体色は暗灰色で、頸部や背面では褐色を帯びる個体もいる[4]

頭部は小型で細長い。吻はやや太くて短く、吻端は幅広く丸みを帯びる[4]。鼻孔は吻端寄りで、やや前方に向かって開口する[4]。嗅覚は発達し、4キロメートル先にある動物の死骸の匂いも察知することもできる[3]。四肢は発達し、鋭い爪が生える。尾は側偏する。

幼体の胴体には黄色い斑点が見られるが[3]、成長に伴い消失する[4]

分類[編集]

以前は小スンダ列島に全長7メートルに達するオオトカゲや陸棲のワニが生息するとされていたが詳細は不明であった[3][6]。一方で少なくとも1840年にはスンバ島の首長が本種に関する記録を残していた[6]1910年にコモド島で全長225センチメートルの個体が射殺されたことにより本種の詳細が判明した[6]。1912年になりジャワ島に持ち込まれた2頭の成体と1頭の亜成体を基に記載された[3]

生態[編集]

舌を出し入れして、空気中の臭いを察知する。

乾燥した落葉樹林サバンナ・雨期にのみ水がある河辺林などに生息する[3]。幼体は樹上棲傾向が強い[3]。薄明時から日光浴を行って体温を上げてから活動する[4]。大型個体を除けば木に登ることもあり、水中を泳ぐこともある[4]。外敵に襲われると噛みついたり、尾を打ちつけて応戦する。

主にイノシシシカなどの大型哺乳類を食べるが[4]齧歯類などの小型哺乳類、鳥類やそのクサリヘビ科コブラ科などのヘビ、ワニの卵や幼体、動物の死骸なども食べる[3]。幼体は昆虫やヤモリ類などを食べる[3]。獲物を待ち伏せ、通りかかった獲物を捕食する[4]

繁殖様式は卵生。オス同士は直立しての組み合いで、メスを巡って争う(コンバット行動)[4]。5 - 8月に交尾を行う[4]。オスは舌を出し入れして臭いを嗅ぎ、その後にメスの背中に爪を立てて音を出しメスが受け入れると交尾する。9月に斜面やツカツクリの巣に穴を掘り、1回に10 - 30個の卵を産む[4]。卵は4月に孵化する[4]。生後5 - 7年で性成熟すると考えられている[4]

単為生殖[編集]

2006年12月21日付けの英科学誌ネイチャーに、イギリスの二つの動物園が、との交尾なしでを産み、このうちの一カ所では子が孵ったと発表された。トカゲ類の中には雌単独の単為生殖を行う種もあるが、コモドオオトカゲで確認されたのは初めてとなる。

[編集]

口中には食べ残しを栄養とする7種類以上の腐敗菌が増殖しており、噛み付かれた獲物は敗血症を発症して死亡すると長年考えられてきた[3][4]

しかし、メルボルン大学のブライアン・フライらは、この説は誤りで、コモドオオトカゲは獲物の血液の凝固を妨げ、失血によるショック状態を引き起こす毒(ヘモトキシン[7])を持っているとの研究成果を発表した。毒は、ノコギリ状の歯で噛み付いて引っ張るような動作により、歯の間にある複数の毒管から流し込まれる。これは、毒の注入に特化した結果、牙としての強度や殺傷力が弱まってしまった毒蛇などと異なり、自体の強度と殺傷能力を保ったまま毒の注入を可能とする構造であると推測されている[8]

人間との関係[編集]

飼育下では幼体からならした個体は人間や飼育環境にも適応するとされる[3]。飼い馴らすと、飼い主と一緒に散歩するほどに馴れるといわれる[9]。 一方で1974年に成人男性が襲われ食べられた記録がある[3]。コモド国立公園では国立公園が設置された1980年以降に主にリンチャ島で8件の人間への襲撃例がある[6]。家畜が襲撃された例もある[10]。日本では特定動物に指定されている[11]

農地開発や森林伐採による生息地の破壊、密猟による獲物の減少などにより生息数は減少している[4]。以前はパダール島にも分布していたが、エサとなるシカを人間が狩り尽くしてしまったため絶滅し、フロレス島の大部分でも生息数が激減している[4]。現在は生息地が世界遺産に登録されているほか、飼育下繁殖が試みられているなど、厳重な保護体制が取られている。パダール島には他島の個体を再導入する試みが進められている[4]

伝説[編集]

資料によって差異はあるが、生息地のコモド島には、主に2種類の言い伝えがある。

  • ある王女が双子の子供を生んだ。一人は人間の男の子でGerong(オラン)、もう片方はコモドオオトカゲの女の子でOrah(オラ)と言った。生まれた時にその兄妹は別れた。数年後のある日、成長したGerongは、で巨大なトカゲに遭遇する。Gerongがトカゲを殺そうとしたちょうどその時、実の母親である王女が現れ、二人が兄妹であったことをGerongに明かした。
  • 昔、双子の兄妹がいた。兄は妻をめとり、妹は嫁いでいったが、お互いの子どもたちを結婚させようと誓った。妹には美しい娘が生まれたが、兄には全身がにおおわれた醜い息子が生まれた。しかし誓いどおりに結婚させられ、村祭りの夜、息子は体から鱗をとり人間の姿で出かけた。その鱗を娘が燃やすと、その灰は森の精気を吸って大トカゲの姿になった[9](要約)。

飼育実績のある動物園[編集]

参考文献[編集]

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  1. ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(accessed April 11, 2016)
  2. ^ a b World Conservation Monitoring Centre. 1996. Varanus komodoensis. The IUCN Red List of Threatened Species 1996: e.T22884A9396736. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.1996.RLTS.T22884A9396736.en. Downloaded on 11 April 2016.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n Go!!Suzuki 「コモドオオトカゲ」『爬虫・両生類ビジュアルガイド オオトカゲ&ドクトカゲ』、誠文堂新光社2006年、28-29頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 太田英利 「コモドオオトカゲ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年、100-102、202頁。
  5. ^ デイビッド・バーニーほか編 日高敏隆ほか日本語版監修 『世界動物大図鑑』、ネコ・パブリッシング、2004年初版第2刷、420-421頁
  6. ^ a b c d 永戸豊野 「伝説では全長7m 地上最大のトカゲ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、103頁。
  7. ^ Venom Vs. Poison P.R.E.S.E.R.V.E. Venomous
  8. ^ ナショナルジオグラフィック ニュース 2009年5月19日[リンク切れ]
  9. ^ a b 『新世界絶滅危機動物図鑑5 爬虫・両生・魚類』、学習研究社、163項
  10. ^ ナショナルジオグラフィック 動物 コモドオオトカゲ[リンク切れ]
  11. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)環境省・2016年4月11日に利用)
  • 今泉吉典、松井孝爾監修 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社1984年、142頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、71頁。
  • 深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編 『動物大百科12 両生・爬虫類』、平凡社1986年、104-105、120-121、125頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館2004年、109頁。

関連項目[編集]