コンテンツにスキップ

コブラ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コブラ科
インドコブラ
インドコブラ Naja naja
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 爬虫綱 Reptilia
目 : 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
下目 : 真蛇下目 Alethinophidia
階級なし : 新蛇類 Caenophidia
上科 : コブラ上科 Elapoidea
科 : コブラ科 Elapidae
学名
Elapidae Boie, 1827[1]
和名
コブラ科[1]

コブラ科(コブラか、Elapidae)は、爬虫綱有鱗目に分類される科。タイプ属はElaps属だが、現在はモールバイパー科に分類されるピエロヘビ属Homoroselapsのシノニムとされる[2][3]。特定動物。

分布

[編集]

アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸南部、インドネシア、スリランカ、日本(南西諸島)、パプアニューギニア、フィリピン、台湾

ウミヘビ類はインド洋、太平洋[4]

形態

[編集]

全長585センチメートルと、毒蛇としては世界最大種のキングコブラも含む[5]。ウミヘビ類は尾が側扁して、鰭状になる[4]。

獲物に毒を注入するため特殊化した歯(毒牙)はあまり大型ではなく、上顎骨の先端に固定される[6]。毒牙は不完全な管状(溝牙)[6]。毒牙の後方に、通常の歯列がある種が多い[6]。一部の種は開口部が前を向き、筋肉で毒腺に圧力をかけることで毒液を噴出させることができる[5]。

毒

[編集]

本科の構成種が有する毒は神経毒と呼ばれる種類のものである。高い即効性を持ち、獲物となる動物の神経の放電を塞ぐことで、麻痺やしびれ、呼吸や心臓の停止をもたらし、ひいては死に至らしめる。こうして獲物の動きを止めた後に捕食することができる。中にはタイパンのように出血毒を持つものや、多くのドクハキコブラのように細胞毒を持つものもいる。人が咬傷を受けた場合、小動物よりは効き目は遅いが、出血毒を持つクサリヘビ科に噛まれた場合に比べると早いので、速やかに医療機関に連絡し、救急搬送を受ける必要がある。なお、この毒は成分が蛋白質で構成されている事から「そのまま口にしても単に養分として体内に吸収されてしまい害はない」ともされているが、口腔内や上部消化管にキズや出血性の潰瘍を生じていた場合、毒素が体内に取り込まれる場合があり、毒を口で吸い出す際は注意が必要である。

生態

[編集]

草原、森林、海洋(ウミヘビ類)等の様々な環境に生息する。一部の種では頭部を持ち上げ、頸部の肋骨を広げることもある[7]。獲物に噛みついたまま放さずに毒を注入し続けることが多いが、タイパン類やマンバ類などのように噛みついて放した後で嗅覚で獲物を追跡したり、ブラウンスネーク類などのように噛みつきによる毒の注入と締め付けを同時に行う種もいる[8]。

両生類や爬虫類を食べる種が多いが、鳥類や哺乳類などを食べる種もいる[7]。ウミヘビ類は主に魚類を食べ、魚卵を専食する種もいる[7]。

繁殖様式は卵生の種が多いが、オーストラリア周辺に分布する種やウミヘビ類などでは胎生の種もいる[7]。

分類

[編集]

伝統的な分類体系では真蛇下目 Alethinophidia のナミヘビ上科 Colubroidea に含まれていたが[9][10]、分子系統解析に基づく体系では従来のナミヘビ上科が新蛇下目 Caenophidia とされ[9][11]、本科はイエヘビ科などとともにコブラ上科 Elapoidea に分割された[11][12]。

コブラ亜科はウミヘビ亜科に対して側系統群とされる[13]。

以下の分類・英名は、付記のない限りReptile Database(2026)に従う[14]。和名は、付記のない限り中井(2021)に従う[12]。

人間との関係

[編集]

日本では2026年の時点で科単位で特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[16]。

日本国外では食用としても認知されており、特に心臓は珍味とされ、特に捌いてすぐの心臓が旨いという。だが少なくとも日本国内ではゲテモノ食材という評価が一般的である。

出典

[編集]
  1. 1 2 3 4 5 日本爬虫両棲類学会 (2026) 日本産爬虫両生類標準和名リスト(2026年7月2日版). https://herpetology.jp/wamei/ (2026年7月11日アクセス).
  2. ↑ 福山伊吹、福山亮部、田原義太慶、堺淳『日本のヘビ 日本産種を完全網羅 美しい写真で識別点がわかる』誠文堂新光社、2025年、13頁。ISBN 978-4-416-52496-1。
  3. ↑ Homoroselaps. Uetz, P., Freed, P, Aguilar, R., Reyes, F., Kudera, J. & Hošek, J. (eds.) (2026) The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed 11 July 2026.
  4. 1 2 高橋寛 「陸から海への適応 ウミヘビ」『動物たちの地球 両生類・爬虫類 10 コブラ・マムシほか』第5巻 106号、朝日新聞社、1993年、298-300頁。
  5. 1 2 森哲 「特異な威嚇行動と防御行動 コブラ、サンゴヘビ」『動物たちの地球 両生類・爬虫類 10 コブラ・マムシほか』第5巻 106号、朝日新聞社、1993年、292-295頁。
  6. 1 2 3 鳥羽道久 「全世界に分布する毒ヘビ類は、獲物を鎮圧するために毒と注毒機構を発達させてきた。」『動物たちの地球 両生類・爬虫類 10 コブラ・マムシほか』第5巻 106号、朝日新聞社、1993年、290-291頁。
  7. 1 2 3 4 Herndon G. Dowling 「ヘビ類」鳥羽道久訳『動物大百科 12 両生・爬虫類』深田祝監修 T.R.ハリディ、K.アドラー編、平凡社、1986年、126-143頁。
  8. ↑ 鳥羽道久 「最も強力な毒を持つ タイパン亜科」『動物たちの地球 両生類・爬虫類 10 コブラ・マムシほか』第5巻 106号、朝日新聞社、1993年、296-297頁。
  9. 1 2 3 疋田努「2007年以降の日本産爬虫類の分類の変遷について」『爬虫両棲類学会報』第2013巻第2号、日本爬虫両棲類学会、2013年、141-155頁。
  10. ↑ 松井正文「爬虫綱分類表」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、343–345頁。
  11. 1 2 Nicolas Vidal; Anne-Sophie Delmas; Patrick David; Corinne Cruaud; Arnaud Couloux; S. Blair Hedges, “The phylogeny and classification of caenophidian snakes inferred from seven nuclear protein-coding genes,” Comptes Rendus. Biologies, Volume 330, No. 2, Académie des sciences, 2007, Pages 182–187.
  12. 1 2 3 中井穂瑞領「本書で紹介するヘビの分類」「コブラ科」『ヘビ大図鑑 ナミヘビ上科、他編 分類ほか改良品種と生態・飼育・繁殖を解説』誠文堂新光社、2021年、14-15、365-371頁。ISBN 978-4-416-52162-5。
  13. ↑ 田原義太慶、福山伊吹、福山亮部、堺淳『日本ヘビ類大全 日本で見られる種を完全網羅 分類から生態、文化まで、美しい写真で紹介』誠文堂新光社、2024年、156頁。ISBN 978-4-416-52412-1。
  14. ↑ Elapidae. Uetz, P., Freed, P, Aguilar, R., Reyes, F., Kudera, J. & Hošek, J. (eds.) (2026) The Reptile Database, http://www.reptile-database.org, accessed 11 July 2026.
  15. 1 2 3 4 5 田原義太慶編著、柴田弘紀・友永達也編『毒ヘビ全書』グラフィック社、2020年、313-316頁。ISBN 978-4-7661-3313-4。
  16. ↑ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2026年7月11日に利用)

参考文献

[編集]
  • 『小学館の学習百科図鑑36 両生・はちゅう類』、小学館、1982年、117-120頁。
  • 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、145頁。
  • クリス・マティソン 『ヘビ大図鑑』、緑書房、2000年、178-183頁。
  • 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、130-133頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、129-133頁。

外部リンク

[編集]
  • ウィキメディア・コモンズには、コブラ科 (カテゴリ)に関するメディアがあります。
  • ウィキスピーシーズには、コブラ科に関する情報があります。