第45回世界遺産委員会
第45回世界遺産委員会(だい45かいせかいいさんいいんかい)は、2022年6月19日から30日にロシアのタタールスタン共和国カザンで開催される予定だったユネスコによる世界遺産委員会であるが[1]、2月24日に発生したロシアによるウクライナ侵攻により開催地変更の要望が高まり(「第44回世界遺産委員会#委員会終了後の動向」参照)、延期されることとなった[1]。
その後、11月22日にロシアが開催を断念し[2]、2023年1月24・25日にパリのユネスコ本部で開催された第18回世界遺産委員会臨時会議においてサウジアラビアを議長国として同国で9月10~25日に開催することとなり、新規登録審査に関しては2022年と2023年の2年分をまとめて行う拡大会合とすることが決まった[3]。
日程・開催地の変更について[編集]
ユネスコ加盟61ヶ国が動議提出して、19の執行委員国が招集要請、58ヶ国が出席し、3月15・16日にウクライナ問題に特化したユネスコ執行委員会の特別会合(年2回の定例総会とは別)が開催され[注 1]、3月2日に開催された第11回国際連合緊急特別総会ではロシア寄りの姿勢を示したキルギスや棄権した中国もユネスコ分野(教育や遺産事業)に関してはロシア非難に賛同し、武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(ハーグ条約)に基づくウクライナの世界遺産の保護を確実に実施することや、第45回世界遺産委員会で緊急案件として議題とすることを決めたが(下記「ウクライナ問題」の節参照)、開催地の変更などについては世界遺産委員会に一任するとした[4]。
開催地や日程の変更に関しては、ユネスコ世界遺産センターからの打診により、その年の委員国(下記「委員国」の節参照)の内、議長国・副議長国および報告担当国の発議により委員国が参集し、委員国を務める21ヶ国の内3分の2すなわち14ヶ国以上の賛同で変更が可能になるため[注 2]、議長国のロシアが自ら開催地変更を提案することはあり得ず、副議長国のイタリア・アルゼンチン・タイ・南アフリカ・サウジアラビア、報告担当のインドの内、3月2日の第11回国連緊急特別総会でのロシア非難決議および3月24日の国連安全保障理事会での人道支援決議の際にロシアとインドが反対と棄権。非難決議では委員国のルワンダ・ナイジェリア・ザンビア・エジプトも棄権または欠席、人道支援決議でも委員国のエチオピアとマリが棄権。ロシアに対する制裁措置に対してはサウジアラビア・アルゼンチンおよびメキシコが参加しないことを表明するなど、ロシア寄りの姿勢を示しており、委員会開催地変更議案が出されても反対する勢力が一定数存在することになる。なお、変更手続きは規程により60日前までに行わなければならず、期限は4月19日だった[5]。
このような状況に対して、ウクライナとの遺産保全のためのパートナーシップ協定を結ぶ隣国ポーランドの国立文化遺産研究所[注 3]は、世界遺産条約に基づく運用制度ながら、ユネスコ自体が事務的官僚機構と化し裁量権がないことは問題であり、抜本的な制度の見直しや改革が必要になっていると痛烈な批判をした[6]。
3月30日に始まった第214回ユネスコ総会(~4月13日)において、ロシアによるジェノサイドが明らかになったことをうけ、かつてソビエト連邦を構成していたリトアニアのユネスコ大使が開催地変更を公式に要求したことを皮切りに[7]、多数の国が賛同し、ロシア非難声明のノーベル賞受賞者からの公開書簡になぞらえ「Open letter from 46 countries party to the UNESCO World Heritage Convention(ユネスコ世界遺産条約46ヶ国からの公開書簡)」を取りまとめ、イギリスが代表して公開書簡として公表した[8]。一方でベネズエラのユネスコ大使はロシアでの開催に理解を示す姿勢を表した[9]。
4月13日に終了したユネスコ総会後、オードレ・アズレユネスコ事務局長が調停役となり、直ちに委員会開催についての調整が水面下で進められた。連日、ユネスコ本部において委員国以外の各国ユネスコ大使も参集しての議論が行われ、ロシア非友好国の委員がロシア入りすることで拘束されるのではないかという懸念を表す国も現れたため、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によりオンラインミーティングとなった前回の第44回世界遺産委員会を参考にロシアで開催しつつテレビ会議併用案も出されたが否定され、最終的にはロシアのユネスコ大使Grigory Ordzhonikidzeが本国の文化省およびロシアユネスコ国内委員会と協議し開催地の変更について言及しないことを条件に4月21日に開催延期を了承した。延期決定を伝える記者会見では、新型コロナウイルス感染症変異株への警戒感も残るといった付帯案件があることも付け加えられた[10]。
4月22日にウクライナへ招聘されたポーランドのPiotr Gliński副首相兼文化相とリトアニアのSimonas Kairys文化相が、リトアニア本国のガブリエリュス・ランズベルギス外相とともに、今回の戦争が終わったとしても委員会をロシアで開催すべきではないとの共同声明を出した[11]。
11月22日になり議長を務める予定であったロシアのアレクサンダー・クズネツォフ(ロシア科学アカデミー教授)が世界遺産委員会に対し辞意を表明し、ロシアは事実上開催権を返上することになり、副議長国が持ち回りで議長役を務める輪番制で早急にユネスコ本部で開催すべきとの提案もあったが[2]、委員会の運営規則では議長国名の英語アルファベット順(政体名詞は除く)で次番の副議長国を任命することになっており(Russian Federation→Kingdom of Saudi Arabia→Republic of South Africa→Kingdom of Thailand→(一巡して)→Argentine Republic→Republic of Italy)、これに従いサウジアラビアが引き継ぐこととなった。現況では本会議および各種レセプション会場はリヤドのキング・アブドゥルアズィーズ国際会議場とキング・アブドゥルアズィーズ国際文化センターを予定[3]。
なお、2023年1月25日にユネスコ本部で開催された第18回世界遺産委員会臨時会議において、緊急案件が発議され3件の新規登録と危機遺産指定が行われた(下記「臨時会議での新規登録」および「臨時会議での緊急指定」を参照)[12]。
開催日程および開催地の変更はこれまでにも、中国の蘇州市で開催予定だった2003年の第27回世界遺産委員会がSARSの影響で、バーレーンのマナーマで開催予定だった2011年の第35回世界遺産委員会がバーレーン騒乱により中止となり、ユネスコ本部で開催されたことはあった[注 4]。
委員国[編集]
委員国は以下の通りである[1]。地域区分はユネスコ執行委員会委員国のグループ区分に準じている。国名の太文字は議長・副議長国。
議長国→辞退 | ![]() |
※副議長国として残留 |
ヨーロッパ・北アメリカ (グループⅠ・Ⅱ) |
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副議長国 |
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カリブ・ラテンアメリカ (グループⅢ) |
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副議長国 |
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アジア・太平洋 (グループⅣ) |
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副議長国 |
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報告担当。担当者はShikha Jain(INTACH議長・元インド文化省世界遺産諮問委員会委員) | |
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アフリカ (グループⅤ-a) |
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副議長国 |
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アラブ諸国 (グループⅤ-b) |
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副議長国⇒議長国/議長ハイファ・アルモグリン王女 |
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臨時会議での新規登録[編集]
本会議に先駆け、2023年1月25日に開催された第18回世界遺産委員会臨時会議において例外的に新規登録が行われた。いずれも危機遺産指定のための緊急措置であった[12]。臨時会議で新規登録が行われたのは、1981年の第1回においてヨルダンの申請で登録されたエルサレムの旧市街とその城壁群以来のこと。
文化遺産 | |||||
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画像 | 登録名 | 推薦国 | 登録基準 | ||
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オデーサ歴史地区 | ![]() |
(2),(4) | ||
The Historic Centre of Odesa | |||||
Le centre historique d’Odesa | |||||
「黒海の真珠」と形容される港湾都市。登録決定に際しオードレ・アズレユネスコ事務局長は「自由都市、世界都市、映画[注 5]、文学、芸術に足跡を残した伝説の港」と評価した。 | |||||
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トリポリのラシッド・カラミ国際見本市 | ![]() |
(2),(4) | ||
Rachid Karami International Fair-Tripoli | |||||
Foire internationale Rachid Karameh-Tripoli | |||||
レバノンの首相を務めたラシード・カラーミーの名を冠した1962年に建てられた国際見本市会場。オスカー・ニーマイヤーによる設計。 | |||||
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古代サバ王国のランドマーク、マリブ | ![]() |
(3),(4) | ||
Landmarks of the Ancient Kingdom of Saba, Marib | |||||
Hauts lieux de l'ancien royaume de Saba, Marib | |||||
紀元前1000年頃から前630年頃に地中海や東アフリカとの交易拠点として繁栄したサバ王国の重要都市。 |
審議対象の推薦物件一覧[編集]
2022年分[編集]
2022年に開催予定だった第45回世界遺産委員会での審議を前提に、期日(2021年2月1日)までに推薦書を提出し、書類点検を経て受理された物件が対象。
![]() | この節には内容がありません。 |
2023年分[編集]
2023年に開催予定だった第46回世界遺産委員会での審議を前提に、期日(2022年2月1日)までに推薦書を提出し、書類点検を経て受理された物件が対象。
![]() | この節には内容がありません。 |
危機遺産[編集]
世界遺産センターが世界遺産委員会での危機遺産審議対象勧告として、オーストラリアのグレートバリアリーフの名を上げた[13]。 グレートバリアリーフは前回の世界遺産委員会においても危機遺産に指定するかの協議が行われ、豪側の強い反発もあり保留となり、2023年の第46回世界遺産委員会において再検討するとしていたが、ユネスコが3月21日から10日間にわたり専門家を現地に派遣し実地調査を実施し[14]、対策が不十分だとする報告が委員会委員国へも送付されたことで環境意識が高いヨーロッパの委員国を中心に世界遺産センターへの意見提出が相次ぎ、ユネスコとしても対応せざるを得なくなった[15]。
臨時会議での緊急指定[編集]
本会議に先駆け、2023年1月25日に開催された第18回世界遺産委員会臨時会議において緊急措置として指定が行われた[12]。
画像 | 登録名 | 保有国 | 分類 | 世界遺産登録年 | 危機遺産登録年 |
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オデーサ歴史地区 | ![]() |
文化 | 2023年 | 2023年 - |
ロシアによる攻撃での損壊。 | |||||
トリポリのラシッド・カラミ国際見本市 | ![]() |
文化 | 2023年 | 2023年 - | |
レバノン内戦で損壊した後、見本市会場として使われることも少なくなり、近年になり保全の動きが見られたが、2019年からの金融危機で国家財政が破綻寸前となり保全費用が捻出できず、急激な劣化が進んでいた。 | |||||
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古代サバ王国のランドマーク、マリブ | ![]() |
文化 | 2023年 | 2023年 - |
イスラム国による破壊と気候変動による環境悪化で、急激な劣化が進んでいた。 |
緊急案件[編集]
2023年2月6日に発生したトルコ・シリア地震により、トルコの世界遺産であるディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園の文化的景観とギョベクリ・テペ、およびシリアの世界遺産である古代都市アレッポに甚大な被害が及んでいることを明らかにし、早急な対応策を講じる準備があるとした上で、既に危機遺産指定のアレッポを除き、トルコの2件を危機遺産にするかを委員会において協議する[16]。
軽微な変更[編集]
![]() | この節は、委員会が開催され、該当する対象が発生した際に加筆してください。 |
保全措置報告[編集]
6年毎の定期的、あるいは委員会からの指示による登録遺産の保全措置報告(SOC)および、必要に応じ自発的に提出する遺産影響評価(HIA)の審査が行われる。
- 2021年の第44回世界遺産委員会において登録抹消審査をうけたタンザニアのセルース猟獣保護区に課せられた戦略的環境アセスメントが期限までに提出されなかったことをうけ、世界自然保護基金や自然遺産の諮問機関である国際自然保護連合が行った独自調査の内容を報告する[17]。

- 2021年にヨーロッパの大温泉保養都市群の一つとして登録されたイギリスのバース(1987年にバース市街としても登録)において、世界遺産に隣接するバース・ラグビーのホームスタジアムであるレクリエーション・グラウンドの大規模改修計画(移転計画もある)について遺産影響評価を提出して判断を仰ぐ[18]。
- ラオスのルアン・パバンの町が面するメコン川に水力発電ダム建設が進められていることに対し、河岸景観も世界遺産に含まれているため水位の変化や集落景観に送電線が入り込むことなどを確認する遺産影響評価を提出する。このダムの建設にはタイが出資しており、発電される電力の大半をタイが購入することになっていることから、世界遺産当該国以外のタイにも遺産影響評価の提出を求めているが応じていない。この新設ダムの上流にあるXayaburi Damが完成した際にもルアンパバンなど下流域に影響が出ている[19][注 6]。
- ミャンマーのパガンにおけるパゴダ壁画の修復を本格的に開始するための承認審査が行われる。パガンは適正な修復作業が行われていないことを理由に世界遺産への登録を見送られてきた経緯があり、2019年にようやく登録された際にも今後の修復計画には事前届け出と審査が条件とされた。今回の修復では仏教美術に造詣があるとしてインド・中国・韓国が協力し、修復計画書の作成から携わっている[20]。
- ヴィクトリアの滝両岸(ジンバブエとザンビア)で急速な開発が手掛けられていることを懸念したユネスコが3月に現状を確認する調査団を派遣し、その報告が行われる。その結果によっては危機遺産審議に回されることになる[21]。
- 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業の旧集成館(仙厳園)前を通過する日豊本線に2024年度を目標に磯新駅 (仮称)を開設するため、周辺景観に配慮したデザイン案などの遺産影響評価を提出する予定であったが[22]、現況を鑑み2023年開催の世界遺産委員会で了承してもらい着工することとした[23]。なお、駅建設予定地は集成館に伴う周知の埋蔵文化財包蔵地であることから、着工前に遺構の存在を確認する試掘調査を実施したところ、石造倉庫の基礎となる人工的に地固めした痕跡を検出した[24]。
- 第44回世界遺産委員会の保全措置報告において、軍艦島などにおける朝鮮人徴用工訴訟問題に関して、「日本政府の戦時中における朝鮮半島出身労働者を巡る説明が不十分だ」と指摘し、2022年12月1日までに取り組みの報告をするよう求めたことをうけ、「第2次世界大戦中の徴用政策などが理解できるパネルを明治日本の産業革命遺産のガイダンス施設(産業遺産情報センター)に展示している」という従来通りの主張を盛り込んだ報告書を世界遺産センターに提出したことを岡田直樹地方創生相が明らかにし、再開される委員会にて審問される[25]。政府はユネスコ高官を招聘し、尾池厚之ユネスコ大使の案内で産業遺産情報センターの展示状況を紹介して日本の主張を解説した[26]。
- 2021年の登録の際に条件として早急な対策を求められた奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島が、①観光客の制限、②絶滅危惧種のロードキル対策、③包括的な河川再生戦略の策定、④緩衝地帯での森林伐採の制限を取りまとめ世界遺産センターに提出した。再開される委員会にて審問される[27]。
ウクライナ問題[編集]
![]() | ウクライナの地名がロシア語読みからウクライナ語読みに変更になったことをうけ、本記事でもウクライナ語読みを優先表記し、初出時のみ従来のロシア語読みを括弧綴じで併記、以後はウクライナ語読みのみとする。そのウィキリンクは記事名が修正されるまでは既存のロシア語読みで作成された記事を用いたパイプ付きリンクとする。ウクライナの地名の呼称変更も参照。 |
ウクライナの世界遺産に係る現況・政局[編集]
- 暫定リストに掲載されているオデーサ(オデッサ)(港湾都市オデーサの歴史的中心地)が攻撃によって破壊された場合、オデーサ・オペラ・バレエ劇場だけでも緊急事案として優先的に登録を行い、同時に危機遺産にも指定すべきとの提言がイギリスから成された[28]。緊急案件による登録は近年では2017年のパレスチナのヘブロンの事例がある(危機遺産同時指定)。その後、現実にオデーサに戦火が及んだことをうけ、8月になりユネスコが直接オデーサの世界遺産登録について言及し[29]、10月5日にウクライナが推薦を行う国内手続きを実施し[30]、同11日にはゼレンスキー大統領が開催中の第215回ユネスコ総会(10月5~19日)宛にオデーサを至急世界遺産および危機遺産にすることを要請するビデオメッセージを送り公開された[31]。この世界遺産推薦に際し、構成資産にロシアの足跡を含めるべきかが議題に浮上した。オデーサはエカチェリーナ2世の記念碑を中心に展開されており、ウクライナの文化財にも指定されているが、このモニュメントを取り壊し撤去するか残すかが焦点化し[32]、11月5日に実施された住民投票では撤去を求める声が圧倒的結果となり[33]、12月29日に撤去された(破壊はせず博物館が収蔵保管)[34]。
↳ 2023年1月25日に開催された第18回世界遺産委員会臨時会議において「オデーサ歴史地区」として緊急登録と同時に危機遺産に指定された(上掲「臨時会議での新規登録」および「臨時会議での緊急指定」の節を参照)。登録審査はロシアを含む21の委員国の内、棄権14・賛成6・反対1という圧倒的少数での賛成多数で可決された[35](委員国である日本は賛成票を投じた[36])。推薦から3ヶ月という超短期間で登録に漕ぎ着けたのは異例で、ユネスコが視察団を派遣していたものの諮問機関による現地調査も行われなかった。オードレ・アズレユネスコ事務局長は「何があってもユネスコが守り抜く」と宣言。副議長国に降格して委員会に残っていたロシアのタチアナ・ドヴガレンコ委員(ロシアユネスコ代表部常任副代表)は「感情が先走り、世界遺産における科学的客観性によるエビデンスに裏打ちされた信用が失われた。今日は世界遺産条約の葬式の日だ」と痛烈な批判を述べた[37]。登録後にゲンナジー・トゥルハノフオデーサ市長が、推薦に際してユネスコが推薦書の作成に関して協力してくれたことを明らかにした[38]。
- 暫定リストに掲載されており、ロシアの攻撃により一部損壊したチェルニーヒウに関して、ユネスコが文化的景観として世界遺産とし同時に復興作業に全面的に協力することを明らかにした[39]。
- 上記、オデーサを推薦するに際し、条件として求められる完全性の内、法的保護根拠として2000年に制定した「Law of Ukraine on Cultural Heritage Protection(文化遺産保護に関するウクライナ法)」の改正を行った。同法により文化遺産と認定されたものに対し破壊工作が行われる場合には、防衛的に交戦することも認めた[40]。

- ポーランドとウクライナのカルパティア地方の木造教会群として登録されている燃えやすい木造教会に対し、難燃剤を塗装して対応している[41]。
- 2014年に発生したロシアによるクリミアの併合によってロシアが実効支配するクリミア半島にあるケルソネソス・タウリケの古代都市とその農業領域において、今回ウクライナへ侵攻したロシア軍戦車などにスプレーで表記された”Z”の文字が都市遺跡でもタギングとして書き込まれているとの報告があった[42]。世界遺産への落書きは、2015年から日本で発生した寺社連続油被害事件に対し、2017年の第41回世界遺産委員会においてヴァンダリズムであるとして非難決議されている。
- クリミア半島にあるウクライナの暫定リスト掲載物件であるクリミア・ハン国のバフチサライ遺跡において盗掘が横行し、バフチサライ宮殿の装飾品がロシアのエルミタージュ美術館に持ち去られたとの報告があった[43]。
- 2022年9月30日にロシアによるウクライナ4州の併合宣言が強行されたが、そこに含まれるザポリージャ州にはウクライナが暫定リストに掲載した「考古遺跡"石の墓"」があり、今後の取り扱いが課題となる[44]。この強制併合に関し、同日閉幕したユネスコ主催の国際会議「Culture, a global public good」において出席していたユネスコ加盟国が連名でウクライナ領土からのロシア退去を求める声明を発した[45]。
- 第215回ユネスコ総会において、ロシアと共同歩調をとるベラルーシがユネスコには差別が介在するとし、速やかなロシアでの世界遺産委員会の開催を求める声明を発した[46]。
- EUはロシアがウクライナの文化遺産などを破壊した場合、国際刑事裁判所に関するローマ規程の①宗教・教育・芸術目的・歴史的建造物に捧げられた建物に対する攻撃を意図的に向ける、②民間所有物、つまり軍事目的ではない物に対する攻撃を意図的に向ける、③そのような攻撃が民間所有物に損害を与えることを承知の上で意図的に攻撃を開始することは、予想される具体的かつ直接的な全体的な軍事的利点に関連して明らかに過度である、④軍事的必要性によって正当化されておらず、違法かつ不法にのみ実行された財産の大規模な破壊および流用に抵触するとし、直ちに戦争犯罪として国際刑事裁判所に提訴すべきで、その窓口(原告)になることをユネスコに求めており協議する[47]。
- 世界遺産への攻撃(故意でないにせよ誤爆によるものも含む)を危惧するユネスコだが、ロシアのユネスコ国内委員会およびロシア文化省宛に書簡を送付したところ、「ロシアもハーグ条約締結国である」とし、「今回の特別軍事作戦において文化財周辺への攻撃を減らす」との返信があったことをユネスコ文化局副長のエルネスト・オットーネが明らかにした[48]。但し、文化省の提言がプーチン大統領に届き聞き入れられるか、現地の末端の兵士に徹底されるのかなどは未知数である。
- 国際連合人権理事会の第49回定例会が2022年4月1日に終了し、その中で戦時下ウクライナにおける人権の扱いと文化的権利および文化遺産の保護に関する決議が採択されたことをうけ、世界遺産委員会でも文化遺産の保護・回復・保存のアプローチを検討する[49]。なお、人権理事会における2021~23年の東ヨーロッパブロックの理事国は奇しくもウクライナとロシアであり、ウクライナに関連する案件に関してロシアは悉く反対したが、4月7日に開催した国際連合総会においてロシアの人権理事会資格停止(追放)処分が下された。
- 2022年7月15日に開催された国連安全保障理事会のアリア・フォーミュラ会議において、アメリカの国連経済社会理事会代表であるリサ・カーティがロシアによるウクライナの文化遺産破壊を厳しく糾弾し、世界遺産委員会のロシアでの開催中止と議長国資格の剥奪を強く求めた[50]。アメリカは現在ユネスコを脱退中だが、ユネスコからのロシア追放を主導するため「21世紀のモンロー主義(孤立主義)と決別すべき」とユネスコに復帰することを検討しはじめている[51]。
- ロシアの攻撃による破壊行為は文化遺産だけでなく、渡り鳥の飛行ルートをトランスバウンダリー(国境を越える世界遺産)として保護することを模索している自然遺産の諮問機関国際自然保護連合(IUCN)が有力候補である中央アジアフライウェイが危機に晒されていると報告し、議題に取り上げる。特に北極シベリアの繁殖地からカザフスタン~コーカサス山脈北部のロシア(世界遺産の西コーカサス含む)~クリミア半島~黒海~ブルガリア~ルーマニアを経てウクライナ西部の穀倉地帯に至るコクガン(黒雁)のフライウェイは、水路や貯水池などの休憩地に加え農場での落穂拾いで餌を賄うなど人間の営みに立ち寄り依存しており自然と人間の共生の観点からも重要で、ヨーロッパの代表的な家禽であるガチョウはこのルート上で野生の雁を家畜化したことに始まるなど文化的余波ももたらしてきた。しかし、その飛来地であるクリミア半島やウクライナでは農地が荒れたことで餌にありつけていないことが確認されている[52]。2023年5月13日の国際渡り鳥の日にはこのフライウェイの重要性を再確認した。
- ロシアの実効支配が続くクリミア半島を2023年3月13日に電撃訪問したプーチン大統領が同地にあるウクライナの世界遺産であるケルソネソス・タウリケの古代都市とその農業領域を視察し、「ここはロシアの要素に満ち溢れており、ロシアにとっての聖地だ」とコメントした[53]。
- 4月3日にユネスコのオードレ・アズレ事務局長がウクライナを訪問して被災した文化財や美術品の状況を視察、ゼレンスキー大統領とも面会してオデーサの世界遺産登録のお祝いを伝え、引き続きユネスコがウクライナを支援すると約束した[54]。
その他の関連する話題[編集]
- 世界的な潮流として従来のロシア語表記・発音によるウクライナの地名をウクライナ語表記・発音に変更する動きが盛んになり、英語版ウィキペディアでは既にウクライナの首都がキエフ(kiev)からキーウ(kyiv)に変更になり[55]、日本でも政府が呼称変更を決定した(キーウはキエフではない)[56]。一方で、世界遺産においては、2019年にキーウの聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群及びキーウ・ペチェールシク大修道院のキーウの綴りをKievからKyivに変更した(「第43回世界遺産委員会#名称変更」参照)。これは2022年から国連国際の十年の「先住民言語の国際の10年」が始まることをうけ、ユネスコが主導した「現地語の使用可能性に関する専門家会議」による提言に基づき、当該地現地語(国語)発音や先住民による呼称を優先し外名撤廃(併記)する方針を反映したものになる[57][注 7]。

- ユネスコは国連訓練調査研究所(UNITAR)および国連衛星センター(UNOSAT)と協力して衛星画像分析により文化財等の被災状況の監視を行うことになった[58]。
- ウクライナ文化情報省が、被災した文化財の状況(位置と写真およびコメント)を一般参加者が落とし込めるインタラクティブマップ「map of culture losses(喪失文化地図)」を公開し(現時点では英語とウクライナ語のみ)、ユネスコでも公式に扱うことができるか検討する[59]。
- 文化遺産の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)などが、ウクライナの文化遺産(暫定リスト掲載物件含む)が破壊されその後の修復で真正性が失われたとしても引き続き世界遺産(暫定リストは候補のまま)であり続けられるよう確約を予め決めておくようユネスコに求めており協議する[60]。このことは近年重視されるようになってきた場所の精神を伝える宗教施設や民俗学的要素がある文化的空間としての世界遺産(候補地含む)では必ずしも真正性を厳格に求めなくても構わないのではないかとする最新の考え方も反映している[61][注 8][注 9]。真正性が失われている可能性があることを問わない決議は、ISIL(イスラム国)により破壊されたイラクのモスルに対し、新築復興を含めた前提で将来的に世界遺産に登録することを確約した前例がある(下記「その他の議題・話題」および「第42回世界遺産委員会#その他の議題」参照)。
- 戦時下のウクライナを訪ね文化財の被災状況を確認してきた文化遺産保護のNGO組織Walk of Truthによる現況報告が委員会で行われる予定である[62]。
- ポーランドに逃れてきたウクライナ人がポーランドの世界遺産であるザモシチ旧市街に流入したことで、世界遺産における2022年ウクライナ難民危機が顕在化した[63]。
- ユネスコが世界遺産の保護に奔走する様子を見て「人命優先ではないか」という意見があることに対し、「教会などの宗教施設は最前線で戦う兵士や終戦後復興に携わる人々にとって心の拠り所として必要で守らなければならない」という見解を示し、「それぞれの組織が専門とする分野で、権限が及ぶ範囲で支援を行うべき」とした一方で、「今回のことでロシアの文化遺産の価値が下がったわけでもない」ともした[64]。
- ウクライナの世界遺産が破壊された場合、世界遺産という保護制度ばかりかユネスコという組織自体の存在意義が問われることになるという責任転嫁論も出ている[65]。
- ロシア軍の攻撃による世界遺産(注:正確には暫定リスト掲載物件のチェルニーヒウ)の被災状況などをロシア語版ウィキペディア(「Вторжение России на Украину (2022)」等)に書いていたロシア人ウィキペディアンのマルク・ベルンシュテインがフェイクニュースを発信したとして、取材先のベラルーシで当局に身柄を拘留され、投稿した一部の記述が匿名利用者によって削除され、文化浄化の実態が隠匿された[66]。
- ウクライナの知識人は「ウクライナの文化遺産はロシアによって二度殺される。一度目はソビエト連邦が成立しウクライナ・ソビエト社会主義共和国となった時に反宗教主義によって多くのウクライナ正教会の教会が解体され、今二度目の脅威が迫っている」と語り、建築史学家は「今回のハルキウ(ハリコフ)攻防戦で被災したハルキウは1920年代における機能主義の一例であるスターリン様式の建築物が多く残されており、同時代のドイツのデッサウやイスラエルのテルアビブが世界遺産(ヴァイマルとデッサウのバウハウスとその関連遺産群とテルアビブの白い都市)になっているように、ハルキウにもその資質が充分にあり、我々は社会主義と決別した後も保存に努めてきた」とした[67]。
- ジャーナリストで遺産復元コンサルタントでもあるロバート・ベヴァンの著書『なぜ人類は戦争で文化破壊を繰り返すのか 』の日本語版がタイムリーに2022年2月15日に刊行されたが、その中で「民族のアイデンティティを象徴する世界遺産などは公物財産権として守られる権利の遺産権がある」との新しい概念を提唱した[68]。直後にウクライナ侵攻が起こり、「遺産権が侵害されている」と追加のコメントを発した。
- 3月31日、ユネスコOBなどで構成される国際的NGO組織のOurWorldHeritage[注 10]が、Global Heritage Fundなどとの共催でウェビナー「Civil Society in Action for Ukraine's Endangered Heritage(ウクライナの絶滅の危機に瀕した遺産のためび活動する市民社会)」を開催し、将来の復興時に一般市民でも個々の技能で貢献できることがあれば協力してほしいと世界遺産センター第2代所長フランチェスコ・バンダリンが呼びかけた[69]。
- 2023年に無形文化遺産の登録を目指すウクライナ郷土料理のボルシチを委員会会場でふるまう計画がある[70]。なお、ユネスコは2022年7月1日に急遽ボルシチを無形文化遺産に指定することを決めた[71]。
- 6月5日、ウクライナの文化財を破壊するロシアに対し、ゼレンスキー大統領が「ユネスコにロシアの居場所はない」と除名を求めるコメントを発した[72]。同7日、ゼレンスキーの発言をうけ、自由民主党の外交部長・佐藤正久は「日本はユネスコの大きな分担金拠出国の一角を占め、現在世界遺産委員会のメンバーだ。日本がロシアの役職を停止するという議論をリードしないのはおかしい」とした[73]。
- 著書『A Future in Ruins: UNESCO, World Heritage, and the Dream of Peace』(2018年)がユネスコの世界遺産考古学遺跡の保存修復の指針に採用され、従軍調査で紛争地域の破壊された遺跡に赴くペンシルベニア大学研究機関Penn Integates Knowledgeのリン・メスケル教授が、ウクライナの被災文化遺産の復興に関して、NATOの新しい任務として復旧支援に従事する案を提示し、世界遺産委員会にNATOの事務方を招聘して協議することを提案。NATOも前向きな関心を示した[74]。
その他の議題・話題[編集]
- 新たに世界遺産センター所長に就任したラザレ・エルンドゥ・アソモ(初のアフリカ(カメルーン)出身で黒人の所長)が、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大だったアフリカの世界遺産について各国の支援を求める[75]。
- 2019年に発生したノートルダム大聖堂の火災後の再建計画に伴う議論が同年の世界遺産委員会(「第43回世界遺産委員会#委員会に対する批評」参照)では行われず、世界遺産センターに勤務経験がある再建責任者が速やかな議論を行うべきと提言したこともあり(「第44回世界遺産委員会#順延開催決定をうけ」参照)、ようやく議論が始まる[76]。
- ISIL(イスラム国)によって破壊されたイラクのモスル(暫定リスト掲載)の再建が始まったことや、事前の準備作業として瓦礫の撤去と再利用可能な資材の選別に際してレンガに模した爆弾のブービートラップが仕掛けられていたこと、そして具体的な再建計画についてなど、ユネスコプロジェクト「Revive the Spirit of Mosul(モスルの精神の復活)[77]」について報告する[78]。
- 気候変動やそれに伴う自然災害による世界遺産の被災が顕在化していることをうけ、この数年の世界遺産委員会ではその対策協議が重大案件となっている中、昨年登録されたばかりのチリの「アリカ・イ・パリナコータ州のチンチョーロ文化の集落と人工ミイラ製法」(チンチョーロ遺跡)において、乾燥地帯の遺跡周辺で昨年来より異常な降雨量が観測されるようになり、表土が洗い流され土中のミイラが露出し、劣化腐蝕が急速に進行していることが報告される[79]。
- 気候変動と並び、人為的な環境破壊による世界遺産への影響も深刻で、ネパールのカトマンズ盆地の症例が報告される。現在カトマンズは「最も汚染された都市」ランキング最上位にあり、住民の健康被害や飛行機の離着陸にも影響を及ぼしており、空気中の化学物質が世界遺産(スワヤンブナートなど)に付着することで急激な劣化を招いていることが確認されている。その原因は継続的な山火事(自然発火)煙害に加え、排気ガスや2015年に発生したネパール地震の際の集積された瓦礫が放置されていることなど、複合的なものとなっている。カトマンズ盆地は急激な都市化による開発と景観破壊が危惧され、2003年から4年間危機遺産に指定されていたが、今度は環境問題で再指定される可能性も孕んでいる(2019年にも危機遺産審査が行われ再指定は見送られた→「第43回世界遺産委員会#危機遺産」参照)[80]。
- 今委員会において新規登録を目指していた佐渡島の金山だったが、構成資産候補である西三川砂金山の水路跡が実際には一部途切れていながら推薦書添付地図上では一本の線で表記されており正確性に欠くと指摘され、2022年2月28日に推薦書の不受理が通達された(このことを日本政府が明らかにしたのは7月27日になってから)。これにより再開される本委員会での登録は不可能となった[81]。政府は9月29日に暫定版推薦書をユネスコへ再提出の上、2023年1月19日に正式な推薦書を提出し、2024年の第46回世界遺産委員会での登録審査を目指すことになった[82]。
- 第214回ユネスコ総会(2022年3月30日~4月13日)において、唯一どこの国にも属さずヨルダン管理物件扱いになっているエルサレムの旧市街とその城壁群のイスラエルによる所有権主張を否決し、トンネル建設計画が推し進められていることに対しユネスコが監視派遣団を送り込むことを決め、その報告が行われる[83]。
- 4月21日に世界遺産委員会の延期が決定した直後、オードレ・アズレユネスコ事務局長がベネチアへの家族旅行を催行した。事務局長といえど休暇を取る権利はあるが、その決裁にユネスコの法人カードを使用したという公私混同がスクープされた。議題が山積するユネスコの結束が求められる状況下にあって執行委員国からの批判が相次ぎ、混迷する世界遺産委員会運営のリーダーシップに疑問が呈され、今後の開催に暗雲が垂れ込めている[84]。
- 今委員会で持続可能な遺産の資源利用の新方針を発表する予定だった自然遺産の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)が、早急な対策の実施が必要だと業を煮やし、独自に概要を公表した[85]。これをうけ急遽ユネスコも詳細を明らかにすることとなった[86]。これによると今後は開発に伴う遺産影響評価(HIA)に緩衝地帯やさらにその外側に至る広範囲まで言及しなければならず、その審査次第では間接的な余波であっても登録抹消や新規登録見送りが生じる可能性が高まり、保護の厳正化が進むことになる。
- 上記、IUCNによる遺産の資源利用新方針をうけ、ユネスコの法人管理部門が世界遺産(主として稼働遺産)における企業活動に関する指針「UNESCO Guidance for the World Heritage ‘No-Go’ Commitment: Global standards for corporate sustainability(世界遺産'No-Go(禁止事項)'コミットメントのためのユネスコガイダンス:企業による持続可能性のための世界基準)」を策定し、企業の社会的責任を求めた。そこでは既に世界遺産となっている物件および今後世界遺産とすべき分野の産業(鉱業・石油・ガス・利水・金融・宝飾など)現場での施設の劣化防止管理などについて言及。世界遺産委員会において承認を得る[87]。
- ロシアが議長国を辞退し、サウジの議長国就任の可能性が高まると、前回の委員会開催国である中国が運営などについて支援する用意がある旨を、12月7日に習近平国家主席がサウジを訪問した際にサルマン国王に伝えた[88]。
- 2023年3月20~22日に習近平国家主席がロシアを訪問してプーチン大統領と会談し、多岐にわたる中露関係の協力について話し合うことが事前確約されており、その中には東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップに基づく渡り鳥飛行ルートの保護と自然遺産として共同推薦するための試行錯誤の協議案も含まれ、上掲「ウクライナの世界遺産に係る現況・政局」にあるように、中央アジアフライウェイにおけるロシアへの批判を拭うかのような提案を持ちかける[89]。
ロシアの対応・反応[編集]

- 2022年は委員会開催予定であったカザンが立地するタタールスタンの主要構成民族であるヴォルガ・タタール人やチュヴァシ人の祖先にあたるヴォルガ・ブルガール人がイスラム教へ改宗して1100年の節目にあたることから(922年にアッバース朝のカリフがこの地域に使節団を派遣して布教)、世界遺産委員会の開催に合わせソボルナジャと呼ばれるイスラム聖堂と博物館・図書館などを併設する複合施設の建設を発表する予定でいた。カザン・ハン国はイスラム教国ながら、ロシア正教のロシア・ツァーリ国と友好関係にあったとして、ロシアによるイスラム融和(懐柔)政策を広くアピールする計画でいた[90]。
- カザンのカザン大学にある1838年に建てられた天文台を、ユネスコが推進しながら膠着状態となっている天文遺産に推挙し、それを足掛かりに世界遺産登録を目指す計画であり、委員会開催返上と引き換えに、2023年に世界遺産の推薦書を提出して2024年に審査をうける目標を立てた[91]。
- 元々委員会開催後にカザンで開催予定だったユネスコ国際フォーラムが12月5~8日に開催され、ロシアの友好10ヶ国の文化・科学・環境等の閣僚が参集し(ユネスコ関係者は欠席)、旧ソ連崩壊後の新生ロシア連邦成立時にタタールスタン共和国の初代大統領となったミンチメル・シャイミーエフ(文化間対話ユネスコ親善大使)が「タタールスタンは引き続き世界遺産の保護に邁進する」との基調講演を行った[92]。
ソ連~ロシアとユネスコ[編集]
1970年代よりユネスコは自身が標榜する平等や科学社会、文化的自由が社会主義にあると見出し、旧ソ連などの共産主義陣営に傾倒した。初期の世界遺産登録に東欧のソ連衛星国が多いことは、その実例を示している(ウクライナの世界遺産キーウはソ連邦構成国としてのウクライナ共和国時代に登録され、ソ連崩壊後に独立したウクライナの物件として再登録された)。ユネスコはその後もアフガニスタン侵攻などもありながら幻想を追い、結果としてこれに反発した米英がユネスコを脱退するという事態を招いた[93]。
そうしたソ連時代にロシア人の歴史研究家でジャーナリストでもあったユーリー・カシレフが書いた著書にはソ連のユネスコを活用した文化戦略が述べられている[94]。
ソ連が解体しロシア連邦が成立してもユネスコに対する姿勢に変わりはなく、むしろより積極的に利用する姿勢が鮮明となった[95]。
その間にユネスコは第三世界などへの関心と支援に重心を移したが、国際連合安全保障理事会常任理事国であるロシアの影響力は強く、ユネスコも無視できない存在であった。こうした経緯からロシアは軍事侵攻に関してもユネスコは緩い対応を採るであろうという希望的観測でいたと分析される。
サウジの取り組み[編集]
イスラム教の聖地を擁しアラブ諸国の盟主を自負するサウジアラビアは文化大国も標榜し、その範囲はユネスコ分野にも及び、ユネスコもその活動を高く評価している。特にウクライナとロシアの関係が混迷を極めてきた頃から、副議長国先頭位置であることを意識した行動が顕著になった。
- 気候変動が世界遺産に与える影響を地球温暖化の原因の一つである化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素排出の大元となる産油国であることから、世界遺産環境モニタリングへのオイルマネーを背景とした莫大な資金援助を表明[96]。
- 近現代都市の歴史的文化的価値の顕彰を始めているユネスコの活動に賛同し、現代都市イニシアチブを開始し、アラブの伝統を採り入れたトラディショナル・サクセション・アーキテクチャを国内の都市開発に積極的に採用することとし、将来的に都市遺産を目指すとした[97]。
- 2023年5月14日からパリのユネスコ本部で始まった執行委員会に本世界遺産委員会の議長を務めるハイファ王女が出席し、世界遺産委員会を成功裡に修めることを表明した[98]。
世界遺産条約50周年[編集]
2022年11月17-18日にギリシャにおいて「世界遺産条約50周年記念会合」が開催された。当初は第45回世界遺産委員会での議題を反映させる予定であったが、委員会に先駆けるかたちでの開催となった[99]。2012年の条約40周年の際には京都で国際会議・シンポジウムが開催され、世界遺産を維持するためコミュニティの存在の重要性を確認し、地域コミュニティの関与が必要であるとする「世界遺産と持続可能な開発:地域社会の役割」(京都ビジョン)を採択。以後、新規登録の現地調査において、遺産そのものの価値の顕彰とは別に、地域住民への取り組みなどに関する質疑も行われるようになるなど、大きな影響を残した[100]。

今回の50周年会合のタイトルは「The Next 50—The future of World Heritage in challenging times enhancing resilience and sustainability(次の50年へ - 困難な時代における世界遺産の未来 回復力と持続可能性を強化する)」で、世界遺産という制度が100年続くための試行錯誤。主たる議事は、第44回世界遺産委員会において気候変動による自然災害が世界遺産に及ぼす影響を新規推薦に際して遺産影響評価(HIA)として被害想定シミュレーションと対策案を盛り込むよう義務付けたこと[101]の再確認と徹底を求めたほか、アフターコロナにおける観光公害(オーバーツーリズム)再燃対策が話し合われた。特に世界遺産観光(ヘリテージツーリズム)での偏重傾向にはマスツーリズムの影響が強いと指摘。大衆の旅行動向を左右するメディアによる印象操作・大衆誘導的な報道の中には誤ったものも含まれており、その結果として訪問者にとってツーリストトラップとなり、最終的には現地の印象を貶める悪循環を引き起こしていると厳しく糾弾した。ユネスコは遺産の商品化として、世界遺産を観光資源として一定の利用は容認している[99]。
このことに関しては2021年よりユネスコや国連世界観光機関(UNWTO)が協賛して複数回の国際的なシンポジウムを開催しており、そこから導き出された方向性を今回の国際会合で公式に発表した。そこでは例えば長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産において大浦天主堂以外の教会建築物は厳密には世界遺産ではないが、イメージ画像として使われ続けていることも挙げられる[102]。
2023年4月18日の記念物と遺跡の国際デー(世界遺産の日)にユネスコが開催した国際会議では、世界遺産観光におけるサスティナブルツーリズム・レジリエントツーリズムのさらなる奨励に加え、正しい遺産の解釈を伝えなければならないことを確認し、SNSインフルエンサーによる遺産の価値の発信協力要請やフェイクニュースの取り締りについても検討すべきとした[103]。
40周年の京都ビジョンがその後の世界遺産に影響を与えたことを鑑みると、今回の議題も今後の世界遺産の在り方や方向性に影響する可能性がある。このことに関しては、再開された世界遺産委員会でも継続審議として取り上げられる。
COP15をうけて[編集]
2022年12月7~19日にカナダで開催された第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)において、生物多様性の確保に関し、世界遺産のような自然環境の厳正保護(要塞的保護と揶揄される)も大切ではあると認めた上で、実は先住民族居住地や伝統的な暮らし(例えば日本の里山)がある文化的環境が伴う身近な自然に生物多様性が多く、従来のコミュニティベースの保全から自然と人間の共生に転換し、世界遺産にも取り込むべきではとの意見集約が行われ、世界遺産委員会でも議題として取り上げることを検討[104]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 当初は15日のみの予定であったが、議論が紛糾し翌日にまで持ち越し議事となった。
- ^ 2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で第44回世界遺産委員会の開催延期を判断した際にも同様の手続きがとられた。
- ^ ウクライナとポーランドはポーランドとウクライナのカルパティア地方の木造教会群を共同所有しており、傷みやすい木造建築の保全方法の均一化、修復の際の統一ルール策定や文化資材の共有管理を行っている。
- ^ 蘇州は翌年の第28回、マナーマは2018年に第42回として開催になった。
- ^ 『戦艦ポチョムキン』で描かれたポチョムキンの階段のこと
- ^ 世界遺産委員会では近年、世界遺産とダムや水資源との関係について議題化している(第42回世界遺産委員会#その他の議題および第43回世界遺産委員会#その他の議題参照)。またタイは、タンザニアのセルース猟獣保護区のダム建設による登録抹消審査の際に、メコン川上流の中国内で複数のダムが建設され下流に影響が出ていると報告している(第44回世界遺産委員会#登録抹消審査参照)。
- ^ この他、ウクライナが世界遺産登録を目指すチェルノブイリ原子力発電所があるチェルノブイリもチョルノービリに変更になった。
- ^ 場所の精神は21世紀になり人文科学などの分野に暗黙知的な解釈を導入する考えがヨーロッパを中心に広まり、無形文化遺産のような無形財の民俗知を評価するようになり、それを世界遺産にも波及させようとするもの。
- ^ ヴェネツィア憲章および文化的意義を持つ「場所」の保存のためのオーストラリアイコモス憲章(ブーラ憲章)に基づき、現地に残された原材料を極力再利用するアナスタイローシスを推奨はする。
- ^ OurWorldHeritageは公式な綴りとして組織名を分かち書きしない(半角スペースを空けない)。
出典[編集]
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