中華人民共和国の高速道路

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中国国家高速公路網
京石高速道路趙辛店IC付近 (2004年7月上旬撮影)

中華人民共和国高速道路網は中国国家高速公路網National Trunk Highway SystemNTHS)と称される。

概要[編集]

中国の高速道路の総延長は、2020年末現在約161,000 km(キロメートル)。近年は年平均で約6,000 km以上の高速道路が建設されており、2009年には4,719 kmが建設されている。

歴史[編集]

中国で最初に開通した高速道路は1988年上海市で開通した滬嘉高速道路である。その後北京河北省石家荘を結ぶ京石高速道路が開通したが、これ以後1993年まで建設された高速道路はほとんどなかった。

1992年以降、中国では2010年までに35,000 kmの中国国家高速公路網を構築するという計画(五縦七横)が立案・実施され、5つの南北方向の道路と7つの東西の道路から成る12の高規格幹線道路の構築が目標とされた。

1997年に起きたアジア通貨危機で成長率目標(保八)の8%を割ったことで高速道路網などのインフラ整備は内需拡大策として重視されるようになり、翌1998年から長期建設国債の大量発行で促進された[1]

計画は前倒しされ2009年末には既に65,000 kmの高速道路を含む382万 kmの道路が完成していた[2]。 2005年1月13日、交通部部長であった張春賢は、五縦七横構想の次の構想として今後30年間で人口20万以上のすべての地方中核都市を相互に連絡する85,000 kmの高速道路のネットワーク(7918構想)を建設すると発表した。それは北京から放射状に伸びる7つの路線と国内を南北に結ぶ9路線、東西に結ぶ18路線から成る構想で、全長のうちの68,000 kmは幹線道路、17,000kmが5つの地方環状道路である(ただし、中国政府の支配下にない台湾における計画線も含まれる)。また2つの平行ルートと30個以上の相互接続路線が含まれる。この構想では32,000 kmの高速道路が、華中及び西部地方で構築されることになっている。

1989年1月1日の段階で147 kmのみの整備にとどまっていたが、2009年12月31日には、総延長6.5万 kmの高速道路網が整備され、2007年の1年間だけで日本の高速道路の総延長に匹敵する8,300 kmが建設され、2011年にはアメリカ合衆国州間高速道路網を超えて総延長は世界最長になり[3]2016年には総延長13万 kmを超えた[4]

建設費[編集]

高速自動車国道ネットワーク構築の総予算は2兆(およそ31兆円)と見積もられている。2005年から2010年までの年間投資額はは約1400億元(2兆1000億円)から1500億元(2兆2000億円)、2010年から2020年までの年間投資額は約1000億元(1兆5000億円)で推移するとされる。

建設資金は車両にかかる車両購入税、通行料金、地方税、省債、国内投資および海外からの投資が充当されている。他国の高速道路システムと異なって、NTHS7918構想の道路の大部分が省政府との契約に基づき民間企業が投資する有料道路となっている。民間企業は債券株式を通して資金調達を行い、通行料金により投資回収を行う。

中国共産党国務院有料道路の建設資金を賄うために、ガソリン税(国税)を課す法案を全国人民代表大会に提出したが、これは否決されている。

高速道路の呼称[編集]

京石高速道路の看板。旧表記でJingshi Freewayとしている。(2004年夏撮影)

中国ではかつて「モーターウェイ(motorway)」も「ハイウェイ(highway)」も併せて「フリーウェイ(freeway)」と称した。「フリー」とは交通が自由に流れている、すなわち交差地点は各車線が分離され、高速道路上の交通は信号機や一時停止標識のような交通制御施設によって規制されないことを意味している。しかし多くの人々が通行料金を徴収する高速道路であるにも係らず「フリー」を「無料である」と誤解したため1990年代に「エクスプレスウェイ(expressway)」の名称で統一された。現在使用される「ハイウェイ」は高速道路を意味しない単語として使用されている(中華人民共和国の国道参照)。

また中国では国家高速(国家級高速公路、路線番号標識「GXX」)と省高速(省級高速公路、路線番号標識「SXX」)、城市快速公路という区分も存在する。三者はほぼ同一であるが、城市快速公路は主に都市部に整備された高規格道路である。本文中では三者を高速道路として扱うものとする。

高速道路の制限速度[編集]

京蔵高速道路の規制速度標識。最高速度最低速度が併記されている。(2014年春撮影)

中華人民共和国道路交通安全法は、2004年5月1日に全国の高速道路の制限速度を110 km/h(キロメートル毎時)から120 km/hに改定した。しかし地方の高速道路では制限速度改定に時間がかかっている箇所もあり一部では従来の110 km/hとなっている。

最低速度制限は70 km/hであるが、追越車線の最低速度制限は100 km/hから110 km/hと別に定められている。最低速度違反および最高速度違反は交通法規違反とされる。

高速道路に関する法規[編集]

1990年代半まで免許取得1年間未満のドライバーの高速道路の運転は禁止されていたが、2004年5月1日現在では許可されている。

右側からの追越し、速度違反、非常通行帯(または路肩)の不法走行などの違反者は交通法規違反とされ、特に右側からの追い越しは厳しく警告される。

高速道路標識[編集]

京瀋高速道路の出口案内標識。(2004年夏撮影)

中国の高速道路では簡体字中国語および英語による道路標識が整備されている(京石高速道路の一部を除く)。中国の高速道路の標識は、日本スイス米国の高速道路同様、緑地に白文字を使用して表記される。

路線番号標識は、上部に赤の背景に白文字で「国家高速」、下部に緑の背景に白文字で、路線番号を示す「GXX」が記載されている。

インターチェンジの案内標識はそれぞれ出口の2,000 m、1,000 mと500 m手前、出口の直前、出口自体にあり、インターチェンジのかなり手前から表示されている。各インターチェンジには、次のインターチェンジまでの距離の案内標識もある。

サービスエリアおよびパーキングエリアは、交通量の多い高速道路では高密度に設置されており、特にガソリンスタンドの密度は高い。

標識は、インターチェンジ、料金所、サービスエリア/パーキングエリア、ジャンクションが代表的なものであるが、「車間距離確認」の標識も設置されている。2秒ルール(もしくは中華人民共和国の法律では、少なくとも100mの車間距離)を保持するためのものである。速度監視区間における取締り箇所には多くの場合標識が設置されている(京瀋高速道路北京区間には、カメラの上にも警告標識が設置されている)が、速度取締装置のダミーも存在している。

またドライバーに減速を促す標識、坂路に関する警告、非常通行帯の通行の禁止、あるいは路面の異常に関する標識が存在する。また追越車線を示す標識も設置されている。英語表記は大部分は問題ないが時々誤った表記も見られる。

高速道路ではデジタル表示機の整備が進められ、スピード超過に対して注意喚起、道路工事状況、交通渋滞情報、天候情報、迂回路などを表示する。

インターチェンジの番号[編集]

中国の高速道路のインターチェンジには番号が割り振られており、通常起点を1番とした通し番号となっている。しかし京石高速道路では河北省に0番インターチェンジが存在する。

インターチェンジの一部には補助インターチェンジ(例:No.14A、14B)を併設しているところもある。

高速道路料金と借入金[編集]

高速道路はほぼすべて有料である。料金は1 kmあたり約0.5中国元で、最低料金(例えば5)は距離にかかわらず適用される。高速道路による標準的な金額より高い場合(津薊高速道路は1 kmあたり0.66)や安い場合(京石高速道路は1 kmあたり0.33)も存在する。通行料金に係らず高速道路は高規格で建設され、また渋滞の発生とも無関係である。

京石高速道路の竇店ICの料金表。(2004年秋撮影)

高速道路計画は交通部により計画建設される。中国の高速道路は省政府による直接投資を採用せず、銀行あるいは予定される通行料金収入を担保に証券市場より資金を調達した営利の企業(官民一体となった企業体)による建設、運営される。この方式を採用する理由としては地方政府の税収が限定的であり資金調達能力に限界があるためである。

また、高速道路建設は中国共産党国務院の政策が不一致となった稀有な例である。1990年代末にガソリン税によって公の幹線道路の建設資金を調達する立法化が求められたが、全国人民代表大会によって否決されている。

課金方法[編集]

ほとんどの高速道路はカード方式を採用している。高速道路(あるいは高速道路の有料区間)への入口では、入線カードがドライバーに引き渡される。支払われる料金は、高速道路から出る時に運転手が出口料金所に入線カードを返却する際に走行距離に依拠し決定される。京通高速道路などの一部の高速道路では定額制を採用し増加する交通流量に対応しているが、収入面で不利とされる。また2019年度内にはすべての高速道路インターチェンジでETCシステムが利用可能になる予定である。[5]

現在、通行料金の支払いには現金のほか、QRコードを使用するアリペイやウィチャットペイが認められている。[6]なお、2019年時点ではクレジットカードによる支払いはできない。[7]

高速道路網[編集]

五縦七横[編集]

1992年に立案された中国高速公路計画では、南北方向に5本と東西方向に7本の計12本の高速道路(五縦七横)を作る計画だった。番号の頭には「国道」(Guodao)の頭文字である「G」の文字が付けられる。縦(南北方向)にはG010、G020、G030、G040、G050の番号が、横(東西方向)にはG015、G025、G035、G045、G055、G065、G075の番号が割り振られていた。一方で、一般国道にはG101からG112、G201からG228、G301からG330までの番号が割り振られた。五縦七横の高速道路網は、2005年の「7918網」の発表によりそれらの一部へと再編され解消した。

  • 五縦
    • 同三高速公路(010):同江(黒竜江省) - 三亜(海南省)
    • 京福高速公路(020):北京 - 福州
    • 京珠高速公路(030):北京 - 珠海
    • 二河高速公路(040):二連浩特(エレンホト) - 河口(雲南省)
    • 渝湛高速公路(050):重慶 - 湛江(広東省)

7918網[編集]

2005年1月13日、交通部が公布した「国家高速公路網規画」で採用された、放射状高速道路と縦横の高速道路網を組み合わせた整備計画であり、首都からの放射線7本、9本の南北縦貫線、18本の東西横断線からなることから「7918網」と称された。

番号の頭には「国道」(Guodao)の頭文字である「G」の文字が付けられる。放射線には1から9まで(実際は7まで)の番号が、南北方向には東から順に11から89までの奇数番号が、東西方向には北から順に10から90までの偶数番号が振られている。91から99までの数字は、各地方(盆地、都市圏、島など)を環状に連絡する道路に振られる。

幹線道路に付属する連絡線には、幹線の番号の後ろに1をつけ、さらに1から始まる数字をつけた番号が振られている(たとえばChina Expwy G15 sign with name.svg瀋海高速道路の連絡線として扱われる日照蘭考高速道路にはChina Expwy G1511 sign with name.svgの番号が振られている。以下、China Expwy G1512 sign with name.svgChina Expwy G1513 sign with name.svgと続く)。都市環状高速道路には、接続する幹線道路の番号の後ろに0をつけ、さらに1から始まる数字をつけた番号が振られる(たとえばChina Expwy G15 sign with name.svgに接続する場合、China Expwy G1501 sign with name.svgChina Expwy G1502 sign with name.svgなど)。また幹線道路に並行する路線には方角の英語頭文字であるN・E・W・Sの文字が付けられる(たとえばChina Expwy G15 sign with name.svgに並行する常熟台州高速道路にはChina Expwy G15W sign with name.svgの番号が付けられている)。

中華人民共和国の高速道路一覧[編集]

(都市圏:高速道路は北から南、西から東の順に列記、その他の地域:アルファベット順に列記)

北京市[編集]

供用中の高速道路[編集]

(京蔵高速道路 (馬甸 - ラサ市)
(京滬高速道路 (北京市 - 上海市)
(京珠高速道路 (六里橋 - 珠海市 (広東省))

天津市[編集]

供用中の高速道路[編集]

上海市[編集]

上海の滬嘉高速道路2001年夏撮影)

供用中の高速道路[編集]

/ 京滬高速道路 (北京市 - 上海市)

重慶市[編集]

供用中の高速道路[編集]

河北省[編集]

供用中の高速道路[編集]

建設中の高速道路[編集]

計画中の高速道路[編集]

山西省[編集]

遼寧省[編集]

吉林省[編集]

黒竜江省[編集]

江蘇省[編集]

浙江省[編集]

安徽省[編集]

福建省[編集]

江西省[編集]

山東省[編集]

河南省[編集]

湖北省[編集]

広東省[編集]

海南省[編集]

四川省[編集]

貴州省[編集]

雲南省[編集]

陝西省[編集]

甘粛省[編集]

青海省[編集]

台湾省[編集]

内モンゴル自治区[編集]

広西チワン族自治区[編集]

チベット自治区[編集]

寧夏回族自治区[編集]

新疆ウイグル自治区[編集]

香港特別行政区[編集]

マカオ特別行政区[編集]

参照項目[編集]

  • 中国の国道 - 多くの高速道路は国道に添って建設されていて、その負担を軽減させている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

外部リンク[編集]