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{{Otheruses|大豆を原材料とする発酵食品|大豆以外の豆類やその他の実・根菜を原材料とする和菓子|甘納豆|}}
{{Otheruses|大豆を原材料とする発酵食品|大豆以外の豆類やその他の実・根菜を原材料とする和菓子|甘納豆|}}
{{栄養価 | name=糸引き納豆<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>|image=[[ファイル:Natto mixed.jpg|220px]]| kJ =837| water=59.5 g| protein=16.5 g| fat=10.0 g| satfat=(1.45) g| monofat = (2.21) g| polyfat =(5.65) g| carbs=12.1 g| starch=0.3 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=2.3 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=4.4 g| fiber=6.7 g| sodium_mg=2| potassium_mg=660| calcium_mg=90| magnesium_mg=100| phosphorus_mg=190| iron_mg=3.3| zinc_mg=1.9| copper_mg=0.61| selenium_ug =16| vitE_mg =0.5| vitK_ug=600| thiamin_mg=0.07| riboflavin_mg=0.56| niacin_mg=1.1| vitB6_mg=0.24| folate_ug=120| pantothenic_mg=3.60| opt3n=[[ビオチン|ビオチン(B<sub>7</sub>)]] | opt3v=18.2 µg| opt4n=n-3 多価不飽和 | opt4v=0.67 g| opt5n=n-6 多価不飽和 | opt5v=4.98 g| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]}}」</ref>。ビタミンK: メナキノン-7を含む| right=1 }}
{{栄養価 | name=糸引き納豆<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>|image=[[ファイル:Natto mixed.jpg|220px]]| kJ =837| water=59.5 g| protein=16.5 g| fat=10.0 g| satfat=(1.45) g| monofat = (2.21) g| polyfat =(5.65) g| carbs=12.1 g| starch=0.3 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=2.3 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=4.4 g| fiber=6.7 g| sodium_mg=2| potassium_mg=660| calcium_mg=90| magnesium_mg=100| phosphorus_mg=190| iron_mg=3.3| zinc_mg=1.9| copper_mg=0.61| selenium_ug =16| vitE_mg =0.5| vitK_ug=600| thiamin_mg=0.07| riboflavin_mg=0.56| niacin_mg=1.1| vitB6_mg=0.24| folate_ug=120| pantothenic_mg=3.60| opt3n=[[ビオチン|ビオチン(B<sub>7</sub>)]] | opt3v=18.2 µg| opt4n=n-3 多価不飽和 | opt4v=0.67 g| opt5n=n-6 多価不飽和 | opt5v=4.98 g| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]}}」</ref>。ビタミンK: メナキノン-7を含む| right=1 }}
'''納豆'''(なっとう)は、よく蒸した[[ダイズ|大豆]]を[[納豆菌]]によって[[発酵]]させた[[発酵食品]]。一般的に「'''糸引き納豆'''」を指す<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173>伊藤寛記、[https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan1915.71.173/ 浜納豆] 日本釀造協會雜誌 Vol.71 (1976) No.3 P.173-176, {{doi|10.6013/jbrewsocjapan1915.71.173}}</ref>。菓子の一種である[[甘納豆]]とは異なる。
''納豆''(なっとう)は、よく蒸した[[ダイズ|大豆]]を[[納豆菌]]によって[[発酵]]させた[[発酵食品]]。一般的に「''糸引き納豆''」を指す<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173>伊藤寛記、[https://doi.org/10.6013/jbrewsocjapan1915.71.173/ 浜納豆] 日本釀造協會雜誌 Vol.71 (1976) No.3 P.173-176, {{doi|10.6013/jbrewsocjapan1915.71.173}}</ref>。菓子の一種である[[甘納豆]]とは異なる。
日本固有と思われがちだが、類似のものは[[アジア圏]]を中心に様々な地域に存在している(→[[#日本以外]])。
日本固有と思われがちだが、類似のものは[[アジア圏]]を中心に様々な地域に存在している(→[[#アジア]]、[[#アフリカ]])。


== 概要 ==
== 概要 ==
大豆を納豆菌で細菌発酵( → [[#臭気]]参照)させた発酵食品である。日本全国の食品売り場で容易に手に入れることができる。「納豆」「[[納豆汁]]」などが冬の[[季語]]<ref>「納豆」「納豆売り」「納豆汁」は三冬・生活の季語。ただし、「納豆造る」は晩夏・生活に分類される季語である。- [[齋藤慎爾]]・阿久根末忠編『必携季語秀句用字用例辞典』[[柏書房]]、1997年、p.798, ISBN 9784760114566</ref>であるように、納豆の時期は冬である。方、[[7月10日]]が「'''納豆の日'''」とされている<ref>{{Cite web|url=https://financial-field.com/living/2020/07/10/entry-82060|title=7月10日は「納豆の日」約9割の医師が健康のために納豆を食べている?|publisher=ファイナンシャルフィールド|date=2020-07-10|accessdate=2020-11-23}}</ref>。これは[[1981年]]、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合がなっ (7) とう (10) の[[語呂合わせ]]で制定したものであり、[[1992年]]、[[全国納豆協同組合連合会|全国納豆工業協同組合連合会]]が改めて「納豆の日」として制定した。近年では健康食品としても注目を集めている。
大豆を納豆菌で細菌発酵( → [[#臭気]]参照)させた発酵食品である。日本全国の食品売り場で容易に手に入れることができる。「納豆」「[[納豆汁]]」などが冬の[[季語]]{{efn|「納豆」「納豆売り」「納豆汁」は三冬・生活の季語。ただし、「納豆造る」は晩夏・生活に分類される季語である。- [[齋藤慎爾]]・阿久根末忠編『必携季語秀句用字用例辞典』[[柏書房]]、1997年、p.798, ISBN 9784760114566}}であるように、納豆の時期は冬である。方、[[7月10日]]が「''納豆の日''」とされている<ref>{{Cite web|url=https://financial-field.com/living/2020/07/10/entry-82060|title=7月10日は「納豆の日」約9割の医師が健康のために納豆を食べている?|publisher=ファイナンシャルフィールド|date=2020-07-10|accessdate=2020-11-23}}</ref>。これは[[1981年]]、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合がなっ (7) とう (10) の[[語呂合わせ]]で制定したものであり、[[1992年]]、[[全国納豆協同組合連合会|全国納豆工業協同組合連合会]]が改めて「納豆の日」として制定した。近年では健康食品としても注目を集めている。


=== 名称 ===
=== 名称 ===
[[平安時代|平安]]中期の『[[新猿楽記]]』の中で「精進物、春、塩辛納豆」とあるのが初見で、この『猿楽記』がベストセラーになったことにより、納豆という記され方が広まったとされる。また、納豆は[[精進料理]]として主に[[禅]]寺の納所(なっしょ、寺院の倉庫)で作られた食品で、これが名前の由来という説が『[[本朝食鑑]]』([[1697年]]刊)という書物に載っている<ref>『雑学大全480』東京書籍、2007年、p.480, ISBN 978-4487799473</ref>。納所に勤めていた僧侶が納豆作りをしていたので、納所の字をとって「納豆」になったという。ただし、『本朝食鑑』では、禅の伝来以前に『新猿楽記』に名があることから寺社起源説には疑問符をつけている<ref name="siwa">鈴木晋一『たべもの史話』小学館ライブラリー、1999年、pp.60-63, ISBN 9784582828399</ref>。方で、石塚修は、納豆の発音が、納の[[呉音]]の慣用的発音である「ナッ」と、豆の[[漢音]]である「トウ」を合わせたものであり、呉音は仏教関係の語の発音に多く用いられている点から、寺院を通じて伝来したと推測している<ref>{{Cite |和書 |author = 石塚|title = 納豆のはなし |date = 2016 |publisher = 大修館書店 |pages = 70-72 |isbn = 9784469222463 |ref = harv }} </ref>
[[平安時代|平安]]中期の『[[新猿楽記]]』の中で「精進物、春、塩辛納豆」とあるのが初見で、この『猿楽記』がベストセラーになったことにより、納豆という記され方が広まったとされる。また、納豆は[[精進料理]]として主に[[禅]]寺の納所(なっしょ、寺院の倉庫)で作られた食品で、これが名前の由来という説が『[[本朝食鑑]]』([[1697年]]刊)という書物に載っている<ref>『雑学大全480』東京書籍、2007年、p.480, ISBN 978-4487799473</ref>。納所に勤めていた僧侶が納豆作りをしていたので、納所の字をとって「納豆」になったという。ただし、『本朝食鑑』では、禅の伝来以前に『新猿楽記』に名があることから寺社起源説には疑問符をつけている<ref name="siwa">鈴木晋一『たべもの史話』小学館ライブラリー、1999年、pp.60-63, ISBN 9784582828399</ref>。方で、納豆の発音が、納の[[呉音]]の慣用的発音である「ナッ」と、豆の[[漢音]]である「トウ」を合わせたものであり、呉音は仏教関係の語の発音に多く用いられている点から、寺院を通じて伝来したという説もある{{sfn|石塚|2016|pp=70-72}}。


「本来は豆を腐らせた(発酵させた)ものが[[豆腐]]、型に納めたものが納豆だったが、両者が取り違えられた」と名称の由来が語られることがあるが、これは誤った「俗説」である。納豆が日本独自の言葉であるのに対し、豆腐は[[中国]]から伝来した食品であり中国でも豆腐と呼ばれており、取り違えられることはあり得ない。
「本来は豆を腐らせた(発酵させた)ものが[[豆腐]]、型に納めたものが納豆だったが、両者が取り違えられた」と名称の由来が語られることがあるが、これは誤った「俗説」である。納豆が日本独自の言葉であるのに対し、豆腐は[[中国]]から伝来した食品であり中国でも豆腐と呼ばれており、取り違えられることはあり得ない。
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== 歴史 ==
== 歴史 ==
=== 江戸時代まで ===
=== から近世まで ===
糸引き納豆は、煮豆と藁の菌([[弥生時代]]の住居には藁が敷き詰められていた。また炉があるために温度と湿度が菌繁殖に適した温度になる)がたまたま作用し、偶然に糸引き納豆が出来たと考えられているが、起源や時代背景については様々な説があり定かではない。大豆は既に[[縄文時代]]に伝来しており、稲作も始まっていたが、納豆の起源がその頃まで遡るのかは不明である。
自然[[発酵]]法で行われた。「納豆」という語句が確認できる最古の書物は、[[11世紀]]半ば頃に[[藤原明衡]]によって書かれた『[[新猿楽記]]』である。同作中に「腐水葱香疾大根舂塩辛'''納豆'''」という記述があり、[[平安時代]]には納豆という言葉が既に存在していたことが確認できる。この記述の読み下しには諸説あるが(「舂塩辛」「納豆」、「舂塩」「辛納豆」、「大根舂」「塩辛納豆」など)、「辛納豆=唐納豆」など、これは本来の意味の納豆、つまり現在の「塩辛納豆」を指すものであろうという意見が多い。本来の納豆の由来等、詳しくは本項目後述の「[[#塩辛納豆|塩辛納豆]]」の節を参照。


塩辛納豆は古い漢語では''{{Lang|zh|豉}}''(し)と呼ばれ、中国では[[紀元前2世紀]]頃の遺跡からも出土があり<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173 />、今なお[[豆豉]](トウチ)と呼ばれ、中華料理の重要な調味料である。日本では[[奈良時代]]頃に醤の一種として伝来したのではないかとされ、元来の納豆は調味料の一種であった。豉は和名では「くき」と読まれており{{sfn|小松本ほか|2019|p=3}}、古い史料では「久喜」(くき)の名で言及されている{{efn|[[平城京]]跡から出土した[[700年]]頃の木簡に記載があるという。cf. [http://www.nattou.com/topics/history.html 納豆の歴史について]([http://www.nattou.com/ 納豆学会])}}。『[[延喜式]]』には豉の製造法が記録されており、大豆と海藻を使っている。この豉が、現代の糸引き納豆に近いとする説もある{{sfn|小松本ほか|2019|p=3}}。なお、「塩{{Lang|zh|豉}}」のほかに「淡{{lang|zh|豉}}」という名のものがあったらしいが、これは[[平安時代]]以降に姿を消している<ref>[http://www.co-4gun.eiyo.ac.jp/food%20database/2gun/foods-dic-2-natto.html 第2群 豆・豆製品 ナットウ] - [http://www.co-4gun.eiyo.ac.jp/food%20database/tamatebako_column_w_menu.html KNUダイエット・食品データベース 女子栄養大学 食材百科事典] より。</ref>。
糸引き納豆は、「煮豆」と「藁」の菌([[弥生時代]]の住居には藁が敷き詰められていた。また炉があるために温度と湿度が菌繁殖に適した温度になる)がたまたま作用し、偶然に糸引き納豆が出来たと考えられているが、起源や時代背景については様々な説があり定かではない。「大豆」は既に[[縄文時代]]に伝来しており、稲作も始まっていたが、納豆の起源がその頃まで遡るのかは不明である。糸引き納豆が資料として確認できるのは室町時代中期の御伽草子『[[精進魚類物語]]』が最古のものと言われる。なまぐさ料理と精進料理が擬人化して合戦する物語だが、「納豆太郎糸重」という納豆を[[擬人化]]した人物の描写は藁苞納豆と通ずるものがある<ref name="siwa"/>。

納豆という語句が確認できる最古の書物は、[[11世紀]]半ば頃に[[藤原明衡]]によって書かれた『[[新猿楽記]]』である。同作中に「腐水葱香疾大根舂塩辛''納豆''」という記述があり、[[平安時代]]には納豆という言葉が既に存在していたことが確認できる。この記述の読み下しには諸説あるが(「舂塩辛」「納豆」、「舂塩」「辛納豆」、「大根舂」「塩辛納豆」など)、「辛納豆=唐納豆」など、これは本来の意味の納豆、つまり現在の「塩辛納豆」を指すものであろうという意見が多い。

[[室町時代]]頃になると、糸引き納豆が広く知られるところとなり、日常食として消費されるようになるとともに、「納豆」という言葉もまず糸引き納豆を意味するように変化していったとされる。「納豆」の語で糸引き納豆を指したことが明らかな史料で、おそらく最も早いのは、[[15世紀]]の[[御伽草子]]『[[精進魚類物語]]』である。なまぐさ料理と精進料理が[[擬人化]]されて合戦する物語であり、「畠山のさやまめ三代の末孫、大豆の御料の嫡子納豆太節糸重」なるキャラクターが登場し、納豆の糸を引く場面もある<ref name=“siwa"/>。他方で、主に調味料として用いられた塩辛納豆は、味噌にとって代わられるようになった。

同じ頃、[[北宋]]や[[南宋]]に渡航した[[僧]]たちが塩辛納豆を持ち帰り、再度国内に紹介した。寺院内でも盛んに生産したことから、これらは寺納豆とも呼ばれるようになった。こうした伝統を持つものが今でも京都の[[大徳寺]]([[大徳寺納豆]])、[[天龍寺]]、[[酬恩庵|一休寺]]や浜松の[[大福寺 (浜松市)|大福寺]]などで作り続けられており、名物として親しまれている。このうち浜松地方で作られる塩辛納豆は浜納豆の名称で販売されている{{sfn|小松本ほか|2019|p=3}}。


[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]、丹波山国・[[常照皇寺]]にいた[[光厳天皇|光厳法皇]]が村人に藁包納豆(山国納豆)の製法を伝えた記録が残る<ref name=kagakutoseibutsu.49.57 />。[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]において、武将の[[蛋白]]源やスタミナ源ともなっていた。また[[江戸時代]]では、[[京都]]や[[江戸]]において「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩いていたが、製法は容器に付着した納豆菌による自然発酵で行われていたため、不安定であったと考えられている<ref name=kagakutoseibutsu.49.57 />。
[[南北朝時代 (日本)|南北朝時代]]、丹波山国・[[常照皇寺]]にいた[[光厳天皇|光厳法皇]]が村人に藁包納豆(山国納豆)の製法を伝えた記録が残る<ref name=kagakutoseibutsu.49.57 />。[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]において、武将の[[蛋白]]源やスタミナ源ともなっていた。また[[江戸時代]]では、[[京都]]や[[江戸]]において「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩いていたが、製法は容器に付着した納豆菌による自然発酵で行われていたため、不安定であったと考えられている<ref name=kagakutoseibutsu.49.57 />。


=== 明治時代以降 ===
=== 代以降 ===
[[1894年]]の[[矢部規矩治]]による納豆の研究<ref>矢部規矩治、[https://doi.org/10.1246/nikkashi1880.15.196 納豆ノ研究] 東京化學會誌 Vol.15 (1894) P.196-205, {{doi|10.1246/nikkashi1880.15.196}}</ref>以降数多くの研究が行われた。半澤洵により[[1918年]]に純粋培養された納豆菌によ安定的かつ衛生的な製造方法が報告され<ref>半澤洵:北海道農会報,18(4), 159 (1918).</ref>ると同時に確立し<ref>半澤:“納豆製造法”,札幌納豆容器改良会,1925</ref><ref name="kagakutoseibutsu.49.57"/>、工場生産品の流通が始まった
[[1894年]]の[[矢部規矩治]]による納豆の研究<ref>矢部規矩治、[https://doi.org/10.1246/nikkashi1880.15.196 納豆ノ研究] 東京化學會誌 Vol.15 (1894) P.196-205, {{doi|10.1246/nikkashi1880.15.196}}</ref>以降数多くの研究が行われた。[[1918年]]に半澤洵が純粋培養た納豆菌によって安定的かつ衛生的な製造方法が報告され<ref>半澤洵:北海道農会報,18(4), 159 (1918).</ref>、工場生産品の流通が始まった{{sfn|半澤編|1926|p=}}<ref name="kagakutoseibutsu.49.57"/>。


戦時中は[[レーション|軍用食]]として、終戦後は日本人を救う栄養食として食べられ<ref>GHQの栄養部長ハーブ大佐、アップルトン</ref>、日本に納豆が普及していった。常食される地域は長らく偏りがあった。1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及により<ref name=jafps1975.6.110>太田輝夫、[https://doi.org/10.5891/jafps1975.6.110 納豆とコールドチェーン] コールドチェーン研究 Vol.6 (1980-1981) No.3 P.110-114, {{doi|10.5891/jafps1975.6.110}}</ref>流通量が拡大し、全国的に見られるようになったのは近年([[平成]])になってからのことである。
戦時中は[[レーション|軍用食]]として、終戦後は日本人を救う栄養食として食べられ{{efn|GHQの栄養部長ハーブ大佐、アップルトン}}、日本に納豆が普及していった。常食される地域は長らく偏りがあった。1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及により<ref name=jafps1975.6.110>太田輝夫、[https://doi.org/10.5891/jafps1975.6.110 納豆とコールドチェーン] コールドチェーン研究 Vol.6 (1980-1981) No.3 P.110-114, {{doi|10.5891/jafps1975.6.110}}</ref>流通量が拡大し、全国的に見られるようになったのは近年([[平成]])になってからのことである。


2007年1月7日に放送された[[関西テレビ放送|関西テレビ]]・[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の[[教養番組]]「[[発掘!あるある大事典|発掘!あるある大事典2]]」で、納豆の摂取は[[ダイエット]]に効果があると大幅にデータを[[捏造]]して紹介されたことから、多くの店舗で一時品薄状態や売り切れになった<ref>{{Wayback |url=http://www.710.or.jp/news/070121.html |title=納豆のテレビ報道に関しまして 全国納豆協同組合連合会 |date=20141105075234 }}</ref>。
2007年1月7日に放送された[[関西テレビ放送|関西テレビ]]・[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の[[教養番組]]「[[発掘!あるある大事典|発掘!あるある大事典2]]」で、納豆の摂取は[[ダイエット]]に効果があると大幅にデータを[[捏造]]して紹介されたことから、多くの店舗で一時品薄状態や売り切れになった<ref>{{Wayback |url=http://www.710.or.jp/news/070121.html |title=納豆のテレビ報道に関しまして 全国納豆協同組合連合会 |date=20141105075234 }}</ref>。
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『[[本朝食鑑]]』には、「腹中をととのえて食を進め、毒を解す」とあり、整腸作用<ref>NHKテレビ『ためしてガッテン』2003年03月12日放送</ref>は古くから知られている。これは、納豆菌が胃酸に耐えて腸まで生きたまま届くためである<ref>いわゆる納豆菌の免疫調節能 浜島健治・山田誠一・奥田研爾・田所一郎(横浜市立大学細菌学教室)</ref>。
『[[本朝食鑑]]』には、「腹中をととのえて食を進め、毒を解す」とあり、整腸作用<ref>NHKテレビ『ためしてガッテン』2003年03月12日放送</ref>は古くから知られている。これは、納豆菌が胃酸に耐えて腸まで生きたまま届くためである<ref>いわゆる納豆菌の免疫調節能 浜島健治・山田誠一・奥田研爾・田所一郎(横浜市立大学細菌学教室)</ref>。


廃物も利用されている。[[ニワトリ]]の飼料に加えることで、[[鶏卵]]の[[コレステロール]]を低減させることが報告されている<ref>[http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2006/nilgs06-02.html 乾燥納豆給与による卵黄中のコレステロール低減] 「13週目には納豆を与える水準にしたがって卵黄中コレステロールが低くなり、3%区では20%以上の低下がみられる」</ref>。また、冷蔵庫で長期保存すると白いカビのような物が発生するが、これは[[チロシン]]というアミノ酸の一種で、風味は悪くなるが食べても差し支えはない。
廃物も利用されている。[[ニワトリ]]の飼料に加えることで、[[鶏卵]]の[[コレステロール]]を低減させることが報告されている{{efn|乾燥納豆給与による卵黄中のコレステロール低減] 「13週目には納豆を与える水準にしたがって卵黄中コレステロールが低くなり、3%区では20%以上の低下がみられる」<ref>[http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2006/nilgs06-02.html]</ref>}}。また、冷蔵庫で長期保存すると白いカビのような物が発生するが、これは[[チロシン]]というアミノ酸の一種で、風味は悪くなるが食べても差し支えはない。


イソフラボン (免疫力増強作用・ホルモンバランス正常化作用)、レシチン (整腸・抗菌殺菌効果)、サポニン (抗菌殺菌・高血圧・血栓予防)の効果がある。「納豆食うひと、色白美人」の[[諺]](ことわざ)<ref>[[東北地方]] 納豆の好きな女性には、肌のきれいな美人が多いという意味。</ref>があるほど、納豆は整腸効果や満腹効果以外に、良質な栄養源であり健康に役立つ食品である<ref>{{Wayback |url=http://www.710.or.jp/hyakka/ped_tyoju07.html|title=納豆百科事典 繊維質: 整腸効果。粘着物質。吸水率。タンパク質。ビタミン。|date=20150307195541}}</ref>。
イソフラボン (免疫力増強作用・ホルモンバランス正常化作用)、レシチン (整腸・抗菌殺菌効果)、サポニン (抗菌殺菌・高血圧・血栓予防)の効果がある。「納豆食うひと、色白美人」の[[諺]](ことわざ){{efn|[[東北地方]] 納豆の好きな女性には、肌のきれいな美人が多いという意味。}}があるほど、納豆は整腸効果や満腹効果以外に、良質な栄養源であり健康に役立つ食品である<ref>{{Wayback |url=http://www.710.or.jp/hyakka/ped_tyoju07.html|title=納豆百科事典 繊維質: 整腸効果。粘着物質。吸水率。タンパク質。ビタミン。|date=20150307195541}}</ref>。


[[必須元素]]の[[セレン]]が大量(234μg/100g)に含まれているとする説<ref>[http://www.nattou.com/topics/faq.html Q.納豆を毎食一パック食べているが、健康上問題はないのか?]よくあるご質問とその回答 納豆学会</ref>があるが、原料の大豆は含有量 17.8 μg/100g なので疑問がある。
[[必須元素]]の[[セレン]]が大量(234μg/100g)に含まれているとする説<ref>[http://www.nattou.com/topics/faq.html Q.納豆を毎食一パック食べているが、健康上問題はないのか?]よくあるご質問とその回答 納豆学会</ref>があるが、原料の大豆は含有量 17.8 μg/100g なので疑問がある。
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納豆の食べ方は、人による好みだけではなく地方差もあり、各種ある。いわゆる納豆ご飯として、[[白米]]を炊いたご飯に納豆を載せて一緒に食べることが多い。
納豆の食べ方は、人による好みだけではなく地方差もあり、各種ある。いわゆる納豆ご飯として、[[白米]]を炊いたご飯に納豆を載せて一緒に食べることが多い。


納豆をふんわりとした食感で食べるためには、糸を引いて空気を含むように良く練ることである<ref>「まず納豆になにも加えずに練る。白い糸状のものがたくさん出て納豆が固くなり練りにくくなったら、醤油を少量たらしてまた練る。練る、醤油を入れる作業を数回繰り返す。糸がなくなってどろどろになったところに辛子や薬味を入れてかき混ぜる」[[北大路魯山人]]『魯山人味道』中公文庫、1980年4月10日、p.170、ISBN 412202346-7</ref>。これは、先に[[タレ]]などを加えると水分過多となってしまい<!-- 誤解を招く記述 混ぜても旨みは増えない [[グルタミン酸]](旨味成分)を含む -->粘りがあまり出なくなってしまうからである。一種のアイディア商品として、納豆を混ぜる専用のスティックも売られている。
納豆をふんわりとした食感で食べるためには、糸を引いて空気を含むように良く練ることである{{efn|「まず納豆になにも加えずに練る。白い糸状のものがたくさん出て納豆が固くなり練りにくくなったら、醤油を少量たらしてまた練る。練る、醤油を入れる作業を数回繰り返す。糸がなくなってどろどろになったところに辛子や薬味を入れてかき混ぜる」[[北大路魯山人]]『魯山人味道』中公文庫、1980年4月10日、p.170、ISBN 412202346-7}}。これは、先に[[タレ]]などを加えると水分過多となってしまい<! 誤解を招く記述 混ぜても旨みは増えない [[グルタミン酸]](旨味成分)を含む -->粘りがあまり出なくなってしまうからである。一種のアイディア商品として、納豆を混ぜる専用のスティックも売られている。


この糸引きは、食品のうち納豆ならではの特色である。納豆業界が開催する全国納豆鑑評会では、風味のほかに糸の引き具合が審査項目となる<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27358560U8A220C1CC1000/ 『日本経済新聞』朝刊2018年2月24日「窓」(社会面)]</ref>。
この糸引きは、食品のうち納豆ならではの特色である。納豆業界が開催する全国納豆鑑評会では、風味のほかに糸の引き具合が審査項目となる<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27358560U8A220C1CC1000/ 『日本経済新聞』朝刊2018年2月24日「窓」(社会面)]</ref>。
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=== 塩辛納豆 ===
=== 塩辛納豆 ===
材料として[[ムギ|麦]]を併用する<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173 />塩辛納豆もしくは寺納豆・浜納豆とは、現在一般的な糸引納豆との区別をつけるための便宜上の名称である。現在「納豆」といえば納豆菌を発酵させたいわゆる糸引納豆を指すのが一般的だが、糸引納豆が登場したのは中世以降のことであり、それ以前の定義で「納豆」とは、[[麹|麹菌]]を使って発酵させた後に乾燥・熟成させたものであった。製法も風味も[[味噌]]や[[醤]](ひしお)に近い。
材料として[[ムギ|麦]]を併用する<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173 />塩辛納豆もしくは寺納豆・浜納豆とは、現在一般的な糸引納豆との区別をつけるための便宜上の名称である。現在「納豆」といえば納豆菌を発酵させたいわゆる糸引納豆を指すのが一般的だが、糸引納豆が登場したのは中世以降のことであり、それ以前の定義で「納豆」とは、[[麹|麹菌]]を使って発酵させた後に乾燥・熟成させたものであった。製法も風味も[[味噌]]や[[醤]](ひしお)に近い。

塩辛納豆は古い漢語では'''{{Lang|zh|豉}}'''(し)と呼ばれ、中国では[[紀元前2世紀]]頃の遺跡からも出土があり<ref name=jbrewsocjapan1915.71.173 />、今なお[[豆豉]](トウチ)と呼ばれ、中華料理の重要な調味料である。日本では[[奈良時代]]頃に醤の一種として伝来したのではないかとされ、つまり元来の納豆は調味料の一種であった。古い史料では「久喜」(くき)の名で言及されているが<ref>[[平城京]]跡から出土した[[700年]]頃の木簡に記載があるという。cf. [http://www.nattou.com/topics/history.html 納豆の歴史について]([http://www.nattou.com/ 納豆学会])</ref>、[[平安時代]]には「納豆」という名でも呼ばれるようになった<ref>初出は『[[新猿楽記]]』(11世紀)とされる。</ref>。なお、「塩{{Lang|zh|豉}}」のほかに「淡{{lang|zh|豉}}」という名のものがあったらしいが、これは平安時代以降姿を消している<ref>[http://www.co-4gun.eiyo.ac.jp/food%20database/2gun/foods-dic-2-natto.html 第2群 豆・豆製品 ナットウ] - [http://www.co-4gun.eiyo.ac.jp/food%20database/tamatebako_column_w_menu.html KNUダイエット・食品データベース 女子栄養大学 食材百科事典] より。</ref>。

[[室町時代]]頃になると、日本独自の食品として登場した糸引納豆が広く知られるところとなり、日常食として消費されるようになるとともに、「納豆」という言葉もまず糸引納豆を意味するように変化していったとされる<ref>「納豆」の語で糸引納豆を指したことが明らかな史料で、おそらく最も早いのは、[[15世紀]]の[[御伽草子]]『[[精進魚類物語]]』である。この物語では「畠山のさやまめ三代の末孫、大豆の御料の嫡子納豆太節糸重」なるキャラクターが登場し、納豆の糸を引く場面もある。</ref>。その一方で主に調味料として用いられた塩辛納豆は、味噌にとって代わられるようになった。

同じ頃、[[北宋]]や[[南宋]]に渡航した[[僧]]たちが塩辛納豆を持ち帰り、再度国内に紹介した。寺院内でも盛んに生産したことから、これらは'''寺納豆'''とも呼ばれるようになった。こうした伝統を持つものが今でも京都の[[大徳寺]]([[大徳寺納豆]])、[[天龍寺]]、[[酬恩庵|一休寺]]や浜松の[[大福寺 (浜松市)|大福寺]]などで作り続けられており、名物として親しまれている。このうち浜松地方で作られる塩辛納豆は'''浜納豆'''の名称で販売されている。


なお、山形県などの東北地方の一部には、糸引き納豆に麹と塩を混ぜて発酵させた(一般的に想像される「[[塩辛]]」に似た)「五斗納豆」というものも存在する。食べ方は魚介類の塩辛と同じように、ご飯のお供やお茶漬けの具として用いる。一部の産地では雪が降る季節に熟成させることで低温発酵させているものがあり風味が少し異なる。これは「雪割納豆」と呼ばれる<ref>[http://okitamaok.com/yukiwarinattou.html/ 雪国の醗酵文化が生んだ熟成・麹納豆「雪割納豆」を紹介すっからなっす!!] おきたま新聞</ref>。
なお、山形県などの東北地方の一部には、糸引き納豆に麹と塩を混ぜて発酵させた(一般的に想像される「[[塩辛]]」に似た)「五斗納豆」というものも存在する。食べ方は魚介類の塩辛と同じように、ご飯のお供やお茶漬けの具として用いる。一部の産地では雪が降る季節に熟成させることで低温発酵させているものがあり風味が少し異なる。これは「雪割納豆」と呼ばれる<ref>[http://okitamaok.com/yukiwarinattou.html/ 雪国の醗酵文化が生んだ熟成・麹納豆「雪割納豆」を紹介すっからなっす!!] おきたま新聞</ref>。


=== その他 ===
=== その他 ===
[[山形県]][[酒田市]]の'''塩納豆'''、[[熊本県]]の'''金山寺納豆'''などローカル色に富んだ納豆もある。
[[山形県]][[酒田市]]の''塩納豆''、[[熊本県]]の''金山寺納豆''などローカル色に富んだ納豆もある。


== 納豆料理 ==
== 納豆料理 ==
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: [[高知県]]の一部の地域の[[郷土料理]]。納豆に[[塩]]と[[糠]]をまぶして鉄鍋で炒る。伝統的な製法では、市販の納豆の代わりに蒸した[[ダイズ|大豆]]を[[籾殻]]の中に入れ、糸を引くようになったものを用いる。また、上記の山国納豆が伝わったとされる[[京都府]][[亀岡市]]や[[和歌山県]]の真国川流域でも塩和えにして食している<ref>[http://www.sankei.com/west/news/160301/wst1603010022-n1.html 「納豆嫌い」の和歌山に「納豆集落」があった! 京都から伝来か] 産経新聞2016年3月1日</ref>。
: [[高知県]]の一部の地域の[[郷土料理]]。納豆に[[塩]]と[[糠]]をまぶして鉄鍋で炒る。伝統的な製法では、市販の納豆の代わりに蒸した[[ダイズ|大豆]]を[[籾殻]]の中に入れ、糸を引くようになったものを用いる。また、上記の山国納豆が伝わったとされる[[京都府]][[亀岡市]]や[[和歌山県]]の真国川流域でも塩和えにして食している<ref>[http://www.sankei.com/west/news/160301/wst1603010022-n1.html 「納豆嫌い」の和歌山に「納豆集落」があった! 京都から伝来か] 産経新聞2016年3月1日</ref>。
; スタミナ納豆
; スタミナ納豆
: [[ごま油]]、[[ショウガ]]、[[ニンニク]]で炒めた鶏の[[挽肉]]に納豆を和え、隠し味に[[タバスコ]]を加えた料理<ref>[http://www.city.kurayoshi.lg.jp/p/gyousei/div/kyouiku/kyushoku/4/ 鳥取県倉吉市 行政サイト トップページ]</ref>。[[鳥取県]]中部の学校[[給食]]で提供されている
: [[ごま油]]、[[ショウガ]]、[[ニンニク]]で炒めた鶏の[[挽肉]]に納豆を和え、隠し味に[[タバスコ]]を加えた料理。[[鳥取県]]中部の学校[[給食]]で提供されている<ref>[http://www.city.kurayoshi.lg.jp/p/gyousei/div/kyouiku/kyushoku/4/ 鳥取県倉吉市 行政サイト トップページ]</ref>。
; 納豆あえ
; 納豆あえ
: 納豆に[[チーズ]]、[[パセリ]]、[[醤油]]、[[砂糖]]を加え、よくかき混ぜた料理<ref>[http://www.city.toyota.aichi.jp/division/da00/da03/1199549_7220.html#03 学校給食レシピ|豊田市ホームページ]</ref>。[[愛知県]][[豊田市]]の学校[[給食]]で提供されている。
: 納豆に[[チーズ]]、[[パセリ]]、[[醤油]]、[[砂糖]]を加え、よくかき混ぜた料理<ref>[http://www.city.toyota.aichi.jp/division/da00/da03/1199549_7220.html#03 学校給食レシピ|豊田市ホームページ]</ref>。[[愛知県]][[豊田市]]の学校[[給食]]で提供されている。
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特に[[北関東]]から[[南東北]]にかけて消費量が多い。生産量日本一は[[茨城県]]、消費量日本一は[[福島県]]である。逆に消費量が少ないのは[[西日本]]で、最下位は[[和歌山県]]である。2004年の調査では西日本でも納豆好きは半数で嫌いは2割という結果であり、納豆消費金額は20年前の4 - 6倍以上に増加している<ref><!-- http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/news/20040426k0000e040068000c.html -->『納豆:関西では今や夕食のおかず』MSNニュース、2004年4月 「夙川学院短大(兵庫県)2004年アンケートと、2003年家計調査の20年前との比較」</ref>。
特に[[北関東]]から[[南東北]]にかけて消費量が多い。生産量日本一は[[茨城県]]、消費量日本一は[[福島県]]である。逆に消費量が少ないのは[[西日本]]で、最下位は[[和歌山県]]である。2004年の調査では西日本でも納豆好きは半数で嫌いは2割という結果であり、納豆消費金額は20年前の4 - 6倍以上に増加している<ref><!-- http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/shoku/news/20040426k0000e040068000c.html -->『納豆:関西では今や夕食のおかず』MSNニュース、2004年4月 「夙川学院短大(兵庫県)2004年アンケートと、2003年家計調査の20年前との比較」</ref>。


[[NTT]]ナビスペースが、2009年3月にPotora会員に対して実施した納豆の好き嫌いの調査では3,827の回答があり、70.2%が「好き」、15.1%が「好きではないが、健康のために食べる」、14.7%が「嫌い(食べない)」となった。近畿・四国・中国地方では、「好き」が過半数ではあるが他地域と比べ「嫌い」の比率が高く、特に[[奈良県]]、[[島根県]]、[[徳島県]]、[[高知県]]では好きが半数未満であった<ref>設問内容に「嫌いだが食べる」という項目があるのに対し、「好きだが食べない」という項目が無いので好き・嫌いの比率は得られるが、食べる・食べないの比率は得られない。また調査対象がPotora会員に限られ、回答の有効性に懸念が残る。また回答数は3,827件ではあるが、県単位の回答数では十分でない可能性があり、県別の結果の信頼性には疑問が残る。{{cite web|url=http://www.research.nttnavi.co.jp/304z/903natto01.html|title=納豆は好きですか?|accessdate=2012年12月8日}}</ref>
[[NTT]]ナビスペースが、2009年3月にPotora会員に対して実施した納豆の好き嫌いの調査では3,827の回答があり、70.2%が「好き」、15.1%が「好きではないが、健康のために食べる」、14.7%が「嫌い(食べない)」となった。近畿・四国・中国地方では、「好き」が過半数ではあるが他地域と比べ「嫌い」の比率が高く、特に[[奈良県]]、[[島根県]]、[[徳島県]]、[[高知県]]では好きが半数未満であった{{efn|設問内容に「嫌いだが食べる」という項目があるのに対し、「好きだが食べない」という項目が無いので好き・嫌いの比率は得られるが、食べる・食べないの比率は得られない。また調査対象がPotora会員に限られ、回答の有効性に懸念が残る。また回答数は3,827件ではあるが、県単位の回答数では十分でない可能性があり、県別の結果の信頼性には疑問が残る。{{cite web|url=http://www.research.nttnavi.co.jp/304z/903natto01.html|title=納豆は好きですか?|accessdate=2012年12月8日}}}}


=== 日本以外 ===
=== 日本以外 ===
「世界の臭い食べ物」にもしばしば選出<ref>[http://purpleslinky.com/offbeat/horrible-smelling-foods/ 世界の臭い食べ物]</ref>されており、納豆が持つ臭いとネバネバした食感に対して、欧米人からは「かなり食べにくい」との声が聞かれる<ref>[http://www.enbuenasmanos.com/articulos/muestra.asp?art=429 En Buenas Manos "El Natto"]</ref>。方で納豆を好む欧米人も多く、かつ増えつつあり、類似した発酵食品がほとんどない[[セルビア]]出身の[[ドラガン・ストイコビッチ]]のような熱烈な納豆ファンもいる。
「世界の臭い食べ物」にもしばしば選出<ref>[http://purpleslinky.com/offbeat/horrible-smelling-foods/ 世界の臭い食べ物]</ref>されており、納豆が持つ臭いとネバネバした食感に対して、欧米人からは「かなり食べにくい」との声が聞かれる<ref>[http://www.enbuenasmanos.com/articulos/muestra.asp?art=429 En Buenas Manos "El Natto"]</ref>。方で納豆を好む欧米人も多く、かつ増えつつあり、類似した発酵食品がほとんどない[[セルビア]]出身の[[ドラガン・ストイコビッチ]]のような熱烈な納豆ファンもいる。


骨にカルシウムを与えて強固にする[[ビタミンK|ビタミンK2]]などの[[ビタミン]]類やミネラル([[マグネシウム]]など)、[[食物繊維]]、腸に良い[[乳酸菌]]、[[蛋白質]]が含有されている。骨にも良く、[[免疫]]力を高める健康食である。長寿国日本の長生きの秘訣として、各国の健康志向の高まりに伴い、国外でも臭いを弱めたものなども含めて人気を博している<ref>{{Cite web|url=http://japanese.joins.com/article/365/238365.html?servcode=300&sectcode=300|title=韓経:韓国の食卓に定着する納豆|accessdate=2018-04-13|website=|publisher=[[中央日報]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413071205/http://japanese.joins.com/article/365/238365.html?servcode=300&sectcode=300|archivedate=2018-4-13}}</ref><ref>{{Cite news|title=納豆市場が急拡大 ヘルシー志向の高まりで=韓国|newspaper=[[朝鮮日報]]|date=|url=http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/06/2018020600936.html|accessdate=2018-04-13|publication-date=|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413071427/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/06/2018020600936.html|archivedate=2018-4-13}}</ref><ref>{{Cite news|title=納豆にも国際規格? 類似品対策、道険しく|くらし&ハウス|NIKKEI STYLE|date=|last=|url=https://style.nikkei.com/article/DGXMZO07427120Q6A920C1TZD000?channel=DF130120166127|accessdate=2018-04-13|publication-date=|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413070802/https://style.nikkei.com/article/DGXMZO07427120Q6A920C1TZD000?channel=DF130120166127|archivedate=2018-4-13|work=[[日本経済新聞]]}}</ref>。
骨にカルシウムを与えて強固にする[[ビタミンK|ビタミンK2]]などの[[ビタミン]]類やミネラル([[マグネシウム]]など)、[[食物繊維]]、腸に良い[[乳酸菌]]、[[蛋白質]]が含有されている。骨にも良く、[[免疫]]力を高める健康食である。長寿国日本の長生きの秘訣として、各国の健康志向の高まりに伴い、国外でも臭いを弱めたものなども含めて人気を博している<ref>{{Cite web|url=http://japanese.joins.com/article/365/238365.html?servcode=300&sectcode=300|title=韓経:韓国の食卓に定着する納豆|accessdate=2018-04-13|website=|publisher=[[中央日報]]|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413071205/http://japanese.joins.com/article/365/238365.html?servcode=300&sectcode=300|archivedate=2018-4-13}}</ref><ref>{{Cite news|title=納豆市場が急拡大 ヘルシー志向の高まりで=韓国|newspaper=[[朝鮮日報]]|date=|url=http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/06/2018020600936.html|accessdate=2018-04-13|publication-date=|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413071427/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/06/2018020600936.html|archivedate=2018-4-13}}</ref><ref>{{Cite news|title=納豆にも国際規格? 類似品対策、道険しく|くらし&ハウス|NIKKEI STYLE|date=|last=|url=https://style.nikkei.com/article/DGXMZO07427120Q6A920C1TZD000?channel=DF130120166127|accessdate=2018-04-13|publication-date=|language=ja|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180413070802/https://style.nikkei.com/article/DGXMZO07427120Q6A920C1TZD000?channel=DF130120166127|archivedate=2018-4-13|work=[[日本経済新聞]]}}</ref>。


以下の地域では、納豆あるいは乾燥納豆と似た発酵食品が製造されている。日本の納豆は常温ではかなり早く発酵作用が進む(冷蔵ではその限りではなく、また冷凍も可能)ため、短期間で風味が落ちる場合もあるが、以下の発酵食品は朝鮮の「清麹醤(チョングッチャン)」のように長期保存が可能なものもある。

==== アジア ====
[[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]麓の[[ネパール]]および[[ブータン]]、[[インド]]の[[西ベンガル州]]と[[シッキム州]]、中国[[雲南省]]から[[タイ王国|タイ]]をはじめとする[[東南アジア]]にかけた地域に見られる{{Sfn|原|1990|pp=}}。東アジアや東南アジアの無塩発酵大豆から分離した納豆菌の[[プラスミド]]を調べると、共通の祖先を持つことが判明した。ネパール型の分岐は約1億6千万年前、中国・日本型とタイ型の分岐は約1億3千万年前、中国型と日本型の分岐は約7千万年前に起きていた{{Sfn|原|1990|p=679}}。アジア各地の納豆類は、藁よりも各種の植物の葉に包んで製作されることが多い。傾向として、[[シダ類]]や[[イチジク属]]の葉を使うヒマラヤ地域やミャンマーのカチン州では粒状の納豆が多く糸引きが強い。[[チーク属]]や[[サラノキ属]]の葉を使うミャンマーのシャン州やタイの北部では、乾燥したせんべい状の納豆が多く、粒では糸引きが弱い{{Sfn|横山|2010|p=91}}。
* [[朝鮮半島]] - [[チョングッチャン]](清麹醤、{{Lang|ko|청국장}})。チョングッチャンとは調理した汁物を指し、豆だけの状態は生チョングッチャンと呼ぶ{{Sfn|高野|2020b|p=104}}。[[オンドル]]を使う寒い季節に仕込みをする。大豆を煮てザルに入れて藁を混ぜ、蓋をしてオンドルで温める。ザルの前には竹籠を使っていた{{Sfn|島田|1986|p=105}}{{Sfn|高野|2020b|p=144}}。
* 中国 - [[苗族]]は大豆から[[豆豉]]と呼ぶ納豆を作り、過去には布とシダの葉で包んで仕込んでいた{{Sfn|高野|2020a|pp=378-381}}。干豆豉は唐辛子やネギと炒め物にもする{{Sfn|高野|2020a|p=370}}。
* [[インドネシア]] - [[テンペ]]。大豆をテンペ菌(クモノスカビ)で発酵させる。そのまま食べたり揚げ物などに調理する{{Sfn|吉田|2000|pp=81-84}}。
* [[タイ王国|タイ]] - 北部のシャン族を中心に、[[トゥア・ナオ]]またはトナオ(Thua-Nao)という加工食品を作る。トゥアは豆、ナオは臭いを意味する{{Sfn|吉田|2000|p=67}}{{Sfn|横山|2012|pp=132-148}}。仕込みには、過去には[[フタバガキ科]]の樹木の葉を使っており、樹木の減少によってバナナの葉やプラスチック袋{{efn|プラスチック袋は通気性があり、日本の土嚢袋に似ている{{Sfn|高野|2020a|p=38}}。}}を使うようになった{{Sfn|高野|2020a|p=49}}。トナオは形状で3種類に分かれ、せんべいに似たトナオ・ケップ、日本の納豆に似た糸を引く粒納豆のトナオ・サ、ブロック状のトナオ・ウがある。トナオ・ケップは、[[ゲーン]](汁物)や[[カノム・ジーン]](米麺)の具にする{{Sfn|高野|2020a|pp=42-43}}。トナオ・サはトナオ・メッ・コーという炒め物や、ナンピック・トナオに使う{{Sfn|高野|2020a|pp=39}}。また、農民が野良仕事の日常食として米に載せたり、蒸してペースト状にしたり焼いたりして食べる{{Sfn|高野|2020a|pp=44-48}}。トナオ・ウは調味料として使い、粉末にした納豆をトナオ・ポンとも呼ぶ{{Sfn|高野|2020a|pp=32-33}}。
* [[カンボジア]] - シエンと呼ばれる。大豆を煮てから竹製のザルで発酵させ、糸を引くくらいに発酵したものを食塩水に漬ける。調味料として使われる{{Sfn|小松本ほか|2019|p=5}}。
* [[ラオス]] -トゥアシと呼ぶ納豆を作る。せんべい状の乾燥した納豆と、ひき割り状、味噌状の納豆がある{{Sfn|吉田|2000|p=74}}{{Sfn|今津屋|2016|p=36}}。
* ミャンマー - [[シャン州]]ではトナオ、[[カチン州]]ではノップーと呼ぶ。[[シャン族]]は餅米とともに食べる{{Sfn|高野|2020a|pp=73-75, 79-80}}。ノップーは油で炒めて米と食べたり、米と混ぜて炒める{{Sfn|高野|2020a|pp=73-74, 161-162}}。糸引き納豆は[[ビルマ語]]でペー・ボウと呼び、塩を加えて発酵させる塩辛納豆にあたるものはペー・ンガピと呼ぶ{{Sfn|高野|2020a|pp=311-312}}。[[ナガ族]]には{{仮リンク|タンクル語|en|Tangkhul language}}でシュシュエと呼ぶ納豆があり、仕込みにはイチジク属、ガジュマル、バナナなどの葉を使う。料理では、牛肉や野菜を使った納豆汁を作るほか、炒め物や揚げ物にも使う。食習慣は部族ごとに異なり、1週間ほどで食べる部族から、1ヶ月以上保存する部族もある{{Sfn|高野|2020a|pp=324-327, 336}}。長期保存用には、塩や唐辛子とともに竹筒に入れる{{Sfn|高野|2020a|pp=166-168}}。味噌状にした納豆もあり、塩、唐辛子、ショウガと混ぜて熟成させている{{Sfn|吉田|2000|p=71}}。
* [[ネパール]]、ブータン - {{仮リンク|キネマ (食品)|en|Kinema|label=キネマ}}と呼ばれる{{Sfn|新国|1996|p=237}}。ブータン東部ではリビイッパ(リビは大豆を指す)、ネパール東部ではバタマス・ゴエン(バタマスは大豆を指す)とも呼ぶ{{Sfn|吉田|2000|p=64}}。バナナやパパイヤの葉、プラスチック袋などで包む。イギリスに勤務した[[グルカ兵]]もキネマを食べる{{Sfn|高野|2020a|pp=237, 243-244}}。料理では、生の納豆は唐辛子をはじめとするスパイスと炒めてカレーにする。乾燥した納豆はトマトや唐辛子と混ぜて漬物の[[アチャール]]にする{{Sfn|吉田|2000|pp=74-75}}。[[ダルバート]]のカレーや、タルカリ(おかず)に入れる{{Sfn|高野|2020a|pp=227-228, 251}}。ブータン東部には数ヶ月や1年以上保存する納豆があり、麹やチーズで仕込み、調味料や家畜の薬とする{{Sfn|吉田|2000|pp=76-77}}。
* [[インド]] - ネパールに近い[[シッキム州]]や{{仮リンク|ダージリン県|en|Darjeeling district}}でキネマが作られている。仕込みにはシダの葉を使っている{{Sfn|新国|1996|p=237}}。

==== アフリカ ====
[[File:2014.02-414-266 Rice,African locust bean(Parkia biglobosa),soumbala Bama,(Kou Valley),BF sun23feb2014-1408h.jpg|thumb|200px|ブルキナファソのリ・オ・スンバラ(スンバラの炊き込み飯)]]
[[アフリカ]]の各地には、豆や種で作る[[スンバラ]]などの発酵食品がある{{Sfn|原|1990|pp=}}<ref>[https://news.yahoo.co.jp/articles/4bc517f180323f3d7125ccdcda85caf6e21de4cd]、[https://kadobun.jp/feature/talks/b8soqpx4ag0k.html]</ref>。伝統的に[[ヒロハフサマメノキ]](パルキア)の実で作られていたが、近年は大豆の使用が増えている。パルキアは西アフリカを中心に[[サバンナ]]に生息しており、大豆と同じくタンパク質を多く含むという共通点がある{{Sfn|原|1990|p=681}}。
* [[ナイジェリア]] - [[ハウサ語]]でダワダワ(dawadawa)、[[ジュラ語]]でスンバラと呼ばれる発酵調味料は、パルキア(ハウサ語でカルワ)の実から作る。パルキアの入手が難しくなってからは大豆が使われている{{Sfn|吉田|2000|pp=79-81}}。豆を炒ってから煮てひき割りにし、灰を混ぜてヒョウタンに入れる。パルキアの実を使う場合は大豆よりも手間がかかる{{Sfn|高野|2020b|pp=35-40}}。発酵した豆はペースト状にして乾燥させ、スープの調味料などに使う{{Sfn|高野|2020b|pp=49-50}}。ダワダワから分離した微生物株を調べたところ、大小2種類のプラスミドのうち分子量の大きいプラスミドは納豆菌と相同性を示した{{Sfn|原|1990|p=680}}。[[ヨルバ族]]は{{仮リンク|イル (食品)|en|Iru (food)|label=イル}}、[[イボ族]]は{{仮リンク|オギリ|en|Ogiri}}と呼ばれる発酵食品を作る{{Sfn|高野|2020b|pp=318, 328}}。
* [[セネガル]]、[[ギニア共和国]] - [[ウォロフ語]]でネテトウ(netetou)と呼ばれる、スンバラと同様の発酵調味料をパルキアから作る。塩辛い豆や、干した豆、つぶして固めたもの、粉末などがある。調理では、スープや炊き込み飯などに使う。ギニア共和国で作られたネテトウもセネガルに輸入されている{{Sfn|高野|2020b|p=61}}。
* [[ブルキナファソ]] - [[モシ族]]を中心にスンバラを食べる。調理では、魚、鶏、米と混ぜて炊き込み飯にしたり、[[クスクス]]と混ぜたり、スープに入れる。スンバラを混ぜた米料理はモシ語でムコロゴ(米飯を意味するムイと、スンバラを意味するコロゴを合わせた単語)とも呼ばれる{{Sfn|清水|2020|p=30-31}}{{Sfn|高野|2020b|pp=182-184, 201}}。また、ビカラガと呼ばれるハイビスカス(ローゼル草)の種を使ったものは、調理のダシに使う{{Sfn|清水|2020|p=31}}{{Sfn|高野|2020b|pp=207, 223-224}}。[[バオバブ]]の実を使ったトゥイ・ビカラガは、2日間煮てから臼で搗いて蒸す{{Sfn|高野|2020b|pp=249, 274}}。

==== アメリカ ====
* [[日系アメリカ人]][[移民]]の多い[[ハワイ州]]や[[カリフォルニア州]]には[[豆腐]]製造業者があり、納豆も製造販売されている。
* [[日系アメリカ人]][[移民]]の多い[[ハワイ州]]や[[カリフォルニア州]]には[[豆腐]]製造業者があり、納豆も製造販売されている。

* 以下の地域では、納豆あるいは乾燥納豆と似た大豆発酵食品が製造されている。日本の納豆は常温ではかなり早く発酵作用が進みすぎる(冷蔵ではその限りではなく、また冷凍も可能)ため、短期間で風味が落ちる場合もあるが、以下の各国の大豆発酵食品は朝鮮の「清麹醤(チョングッチャン)」のように長期保存が可能なものもある。
**[[ヒマラヤ山脈|ヒマラヤ]]麓の[[ネパール]]および[[ブータン]]、[[インド]]の[[西ベンガル州]]と[[シッキム州]]、中国[[雲南省]]から[[タイ王国|タイ]]をはじめとする[[東南アジア]]にかけた地域に見られる<ref>原敏夫「[https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu1962.28.676 納豆のルーツを求めて]」 (『化学と生物』28巻10号、1990年) P.676-681, {{doi|10.1271/kagakutoseibutsu1962.28.676}}</ref>。アジア各地の納豆類は、藁ではなく、各種の植物の葉に包んで製作される<ref>[[高野秀行 (ノンフィクション作家)|高野秀行]]『謎のアジア納豆』(新潮社、2016年)</ref>。[[タイ王国|タイ]]・[[ラオス]]では[[トゥア・ナオ]]という加工食品を作る<ref>[[吉田よし子]]『マメな豆の話: 世界の豆食文化をたずねて(平凡社新書)』平凡社、2000年 (ISBN 4582850383)。および、横山智「東南アジア大陸部のナットウ」『モンスーンアジアのフードと風土』明石書店、2012年、pp.132-148 (ISBN 4750336610)</ref>。
**[[アフリカ]]各地域には大豆以外の豆で作った[[ダワダワ]]、[[スンバラ]]、[[ネテトウ]]、[[オギリ]]など同様の発酵食品がある。<ref>[https://news.yahoo.co.jp/articles/4bc517f180323f3d7125ccdcda85caf6e21de4cd]、[https://kadobun.jp/feature/talks/b8soqpx4ag0k.html]</ref>
** [[朝鮮半島]]:[[チョングッチャン]](清麹醤、{{Lang|ko|청국장}})。
** [[インドネシア]]など東南アジア諸国:[[テンペ]]。大豆などをテンペ菌(クモノスカビ)で発酵させる発酵食品。
** [[ネパール]]:[[キネマ (食品)|キネマ]]。
{{臭い食べ物}}
{{臭い食べ物}}


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* [[しか屋]]([[鹿児島県]][[鹿児島市]])
* [[しか屋]]([[鹿児島県]][[鹿児島市]])


== 脚注 ==
== 出典・脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
*[[横山智]]『納豆の起源』(NHK出版、2014年)
*『納豆近代五十年史』(全国納豆協同組合連合会、2004年)
*『納豆近代五十年史』(全国納豆協同組合連合会、2004年)
*『納豆の合理的製造法』(産業評論社、1949年)
*『納豆の合理的製造法』(産業評論社、1949年)
* {{Citation| 和書
*[[半澤洵]]『納豆製造法』(札幌納豆容器改良會、1926年)
| author = [[石塚修]]
| title = 納豆のはなし
| publisher = 大修館書店
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| year = 2016
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| ref = {{sfnref|石塚|2016}}
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* {{Cite journal|和書|author=[[島田彰夫]] |title=韓国における大豆利用発酵食品 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1915/81/2/81_2_103/_article/-char/ja/ |format=PDF |journal=日本釀造協會雜誌 |publisher=日本釀造協會 |year=1986 |month=aug |volume=29 |issue=3 |pages=103-108 |naid= |issn= |accessdate=2020-08-08 |ref={{sfnref|島田|1986}}}}
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* {{Citation| 和書
| author = [[高野秀行 (ノンフィクション作家)|高野秀行]]
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| publisher = 新潮社
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* {{Citation| 和書
| author = 高野秀行
| title = 幻のアフリカ納豆を追え!―そして現れた〈サピエンス納豆〉
| publisher = 新潮社
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| year = 2020
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* {{Cite journal|和書|author=[[原敏夫]] |title=納豆のルーツを求めて |url=https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu1962.28.676 |journal=化学と生物 |publisher=日本農芸化学会 |year=1990 |month= |volume=28 |issue=10 |pages=676-681 |naid= |issn= |accessdate=2020-08-08 |ref={{sfnref|原|1990}}}}
* {{Citation| 和書
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| title = 納豆製造法
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| year = 1926
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}}
* {{Cite journal|和書|author=[[横山智]] |title=タイとミャンマーにおける無塩発酵大豆食品の製法と植物利用の特徴 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/hgeog/2010/0/2010_0_38/_article/-char/ja/ |journal=人文地理学会大会 研究発表要旨 |publisher=人文地理学会大会 |year=2010 |month= |volume= |issue= |pages=90-91 |naid= |issn= |accessdate=2020-08-08 |ref={{sfnref|横山|2010}}}}
* {{Citation| 和書
| author = 横山智
| chapter = 東南アジア大陸部のナットウ
| title = モンスーンアジアのフードと風土
| publisher = 明石書店
| series =
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| isbn = 4750336610
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* {{Citation| 和書
| author = 横山智
| title = 納豆の起源
| publisher = NHK出版
| series =
| year = 2014
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* {{Citation| 和書
| author = [[吉田よし子]]
| title = マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて
| publisher = 平凡社
| series = 平凡社新書
| year = 2000
| isbn =
| ref = {{sfnref|吉田|2000}}
}}

== 読書案内 ==
* {{Citation| 和書
| author = [[川田順造]]
| title = サバンナの博物誌
| publisher = 筑摩書房
| series = ちくま文庫
| year = 1991
| isbn =
| ref = {{sfnref|川田|1991}}
}}
*剱持裕典『納豆読本』(春日出版、2009年)
* {{Citation| 和書
| author = ナタリー・レイチェル・モリス
| title = 豆の歴史
| publisher = 原書房
| series = 食の図書館
| translator = [[竹田円]]
| year = 2020
| isbn =
| ref = {{sfnref|モリス|2020}}
}}(原書 {{Citation| 洋書
| last = Morris
| first = Natalie Rachel
| year = 2020
| title = Beans: A Global History
| publisher = Reaktion Books
| isbn =
}})


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
253行目: 377行目:
* [[大豆]]
* [[大豆]]
* [[納豆汁]]([[味噌汁]])
* [[納豆汁]]([[味噌汁]])
* [[ライス・アンド・ビーンズ]]

== 読書案内 ==
*剱持裕典『納豆読本』(春日出版、2009年)
*高野秀行『謎のアジア納豆 : そして帰ってきた〈日本納豆〉』(新潮社、2016年)
*高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え! そして現れた〈サピエンス納豆〉』(新潮社、2020年)


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2021年2月21日 (日) 23:26時点における版

糸引き納豆[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 837 kJ (200 kcal)
12.1 g
デンプン 正確性注意 0.3 g
食物繊維 6.7 g
10.0 g
飽和脂肪酸 (1.45) g
一価不飽和 (2.21) g
多価不飽和 (5.65) g
16.5 g
ビタミン
チアミン (B1)
(6%)
0.07 mg
リボフラビン (B2)
(47%)
0.56 mg
ナイアシン (B3)
(7%)
1.1 mg
パントテン酸 (B5)
(72%)
3.60 mg
ビタミンB6
(18%)
0.24 mg
葉酸 (B9)
(30%)
120 µg
ビタミンE
(3%)
0.5 mg
ビタミンK
(571%)
600 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(14%)
660 mg
カルシウム
(9%)
90 mg
マグネシウム
(28%)
100 mg
リン
(27%)
190 mg
鉄分
(25%)
3.3 mg
亜鉛
(20%)
1.9 mg
(31%)
0.61 mg
セレン
(23%)
16 µg
他の成分
水分 59.5 g
水溶性食物繊維 2.3 g
不溶性食物繊維 4.4 g
ビオチン(B7 18.2 µg
n-3 多価不飽和 0.67 g

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。ビタミンK: メナキノン-7を含む
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

納豆(なっとう)は、よく蒸した大豆納豆菌によって発酵させた発酵食品。一般的に「糸引き納豆」を指す[3]。菓子の一種である甘納豆とは異なる。 日本固有と思われがちだが、類似のものはアジア圏を中心に様々な地域に存在している(→#アジア#アフリカ)。

概要

大豆を納豆菌で細菌発酵( → #臭気参照)させた発酵食品である。日本全国の食品売り場で容易に手に入れることができる。「納豆」「納豆汁」などが冬の季語[注釈 1]であるように、納豆の時期は冬である。他方、7月10日が「納豆の日」とされている[4]。これは1981年、関西での納豆消費拡大のため、関西納豆工業協同組合がなっ (7) とう (10) の語呂合わせで制定したものであり、1992年全国納豆工業協同組合連合会が改めて「納豆の日」として制定した。近年では健康食品としても注目を集めている。

名称

平安中期の『新猿楽記』の中で「精進物、春、塩辛納豆」とあるのが初見で、この『猿楽記』がベストセラーになったことにより、納豆という記され方が広まったとされる。また、納豆は精進料理として主に寺の納所(なっしょ、寺院の倉庫)で作られた食品で、これが名前の由来という説が『本朝食鑑』(1697年刊)という書物に載っている[5]。納所に勤めていた僧侶が納豆作りをしていたので、納所の字をとって「納豆」になったという。ただし、『本朝食鑑』では、禅の伝来以前に『新猿楽記』に名があることから寺社起源説には疑問符をつけている[6]。他方で、納豆の発音が、納の呉音の慣用的発音である「ナッ」と、豆の漢音である「トウ」を合わせたものであり、呉音は仏教関係の語の発音に多く用いられている点から、寺院を通じて伝来したという説もある[7]

「本来は豆を腐らせた(発酵させた)ものが豆腐、型に納めたものが納豆だったが、両者が取り違えられた」と名称の由来が語られることがあるが、これは誤った「俗説」である。納豆が日本独自の言葉であるのに対し、豆腐は中国から伝来した食品であり中国でも豆腐と呼ばれており、取り違えられることはあり得ない。

歴史

古代から近世まで

糸引き納豆は、煮豆と藁の菌(弥生時代の住居には藁が敷き詰められていた。また炉があるために温度と湿度が菌繁殖に適した温度になる)がたまたま作用し、偶然に糸引き納豆が出来たと考えられているが、起源や時代背景については様々な説があり定かではない。大豆は既に縄文時代に伝来しており、稲作も始まっていたが、納豆の起源がその頃まで遡るのかは不明である。

塩辛納豆は古い漢語では(し)と呼ばれ、中国では紀元前2世紀頃の遺跡からも出土があり[3]、今なお豆豉(トウチ)と呼ばれ、中華料理の重要な調味料である。日本では奈良時代頃に醤の一種として伝来したのではないかとされ、元来の納豆は調味料の一種であった。豉は和名では「くき」と読まれており[8]、古い史料では「久喜」(くき)の名で言及されている[注釈 2]。『延喜式』には豉の製造法が記録されており、大豆と海藻を使っている。この豉が、現代の糸引き納豆に近いとする説もある[8]。なお、「塩」のほかに「淡」という名のものがあったらしいが、これは平安時代以降に姿を消している[9]

納豆という語句が確認できる最古の書物は、11世紀半ば頃に藤原明衡によって書かれた『新猿楽記』である。同作中に「腐水葱香疾大根舂塩辛納豆」という記述があり、平安時代には納豆という言葉が既に存在していたことが確認できる。この記述の読み下しには諸説あるが(「舂塩辛」「納豆」、「舂塩」「辛納豆」、「大根舂」「塩辛納豆」など)、「辛納豆=唐納豆」など、これは本来の意味の納豆、つまり現在の「塩辛納豆」を指すものであろうという意見が多い。

室町時代頃になると、糸引き納豆が広く知られるところとなり、日常食として消費されるようになるとともに、「納豆」という言葉もまず糸引き納豆を意味するように変化していったとされる。「納豆」の語で糸引き納豆を指したことが明らかな史料で、おそらく最も早いのは、15世紀御伽草子精進魚類物語』である。なまぐさ料理と精進料理が擬人化されて合戦する物語であり、「畠山のさやまめ三代の末孫、大豆の御料の嫡子納豆太節糸重」なるキャラクターが登場し、納豆の糸を引く場面もある[10]。他方で、主に調味料として用いられた塩辛納豆は、味噌にとって代わられるようになった。

同じ頃、北宋南宋に渡航したたちが塩辛納豆を持ち帰り、再度国内に紹介した。寺院内でも盛んに生産したことから、これらは寺納豆とも呼ばれるようになった。こうした伝統を持つものが今でも京都の大徳寺大徳寺納豆)、天龍寺一休寺や浜松の大福寺などで作り続けられており、名物として親しまれている。このうち浜松地方で作られる塩辛納豆は浜納豆の名称で販売されている[8]

南北朝時代、丹波山国・常照皇寺にいた光厳法皇が村人に藁包納豆(山国納豆)の製法を伝えた記録が残る[11]戦国時代において、武将の蛋白源やスタミナ源ともなっていた。また江戸時代では、京都江戸において「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩いていたが、製法は容器に付着した納豆菌による自然発酵で行われていたため、不安定であったと考えられている[11]

近代以降

1894年矢部規矩治による納豆の研究[12]以降、数多くの研究が行われた。1918年に半澤洵が純粋培養した納豆菌によって安定的かつ衛生的な製造方法が報告され[13]、工場生産品の流通が始まった[14][11]

戦時中は軍用食として、終戦後は日本人を救う栄養食として食べられ[注釈 3]、日本に納豆が普及していった。常食される地域は長らく偏りがあった。1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及により[15]流通量が拡大し、全国的に見られるようになったのは近年(平成)になってからのことである。

2007年1月7日に放送された関西テレビフジテレビ教養番組発掘!あるある大事典2」で、納豆の摂取はダイエットに効果があると大幅にデータを捏造して紹介されたことから、多くの店舗で一時品薄状態や売り切れになった[16]

栄養・効果

血液凝固因子を作るのに不可欠なビタミンKや大豆由来のタンパク質が豊富であり、現在でも上質なタンパク質源とも言える。食物繊維は100グラム中に4.9 - 7.6グラムと豊富に含まれる[17]食物繊維オリゴ糖等と共にプレバイオティクスと呼ばれる腸内環境に有用な成分であり、納豆菌はプロバイオティクスと呼ばれ、これも腸内環境に有用と考えられている。納豆には抗菌作用が認められ、抗生物質が見出される以前は、赤痢[18]腸チフス[19]病原性大腸菌などの増殖を抑制する[20]作用があることから、腹痛や下痢の治療に用いられていた事がある[19]。納豆に含まれるジピコリン酸は、抗菌作用を有し、溶連菌ビブリオ、病原性大腸菌などへの抗菌効果が認められている[21]

納豆には血栓を溶かす酵素が含まれており[22]、納豆から単離したナットウキナーゼを経口投与したイヌで血栓の溶解が観察されたという報告がある[23]

納豆に含まれるビタミンK2は骨タンパク質の働きや骨形成を促進することから、ビタミンK2を多く含む納豆が、特定保健用食品として許可されている[24][25]。また、ポリグルタミン酸にはカルシウムの吸収促進効果があるため、納豆から抽出されたポリグルタミン酸が特定保健用食品として許可されている[26]。納豆菌の一部には、安定した芽胞のまま腸内まで生きて到達してビフィズス菌を増やし腸内環境を正常化する効果があることから、そのような効果を持つ納豆が特定保健用食品として認可されている[27]

多くのマメ科植物の種子と同様に、ダイズ種子中には有毒なタンパク質性のプロテアーゼインヒビターアミラーゼ・インヒビターやレクチンが含まれているため、生食はできない。そのため、加熱してプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターを変性失活させて消化吸収効率を上げている。なお、加熱してもプロテアーゼ・インヒビターの失活は十分ではないので、納豆菌などを繁殖させて納豆菌の分泌するプロテアーゼによってダイズ種子中のタンパク質を分解させると、タンパク質の消化吸収効率が増大する。

米飯食、米飯+大豆食、米飯+納豆食で食後血糖値を比較したところ、米飯+納豆食、米飯+大豆食、米飯食の順で血糖の上昇が少なかった。納豆の水溶性食物繊維や粘性の高い成分が血糖の抑制に貢献した可能性がある[28]

本朝食鑑』には、「腹中をととのえて食を進め、毒を解す」とあり、整腸作用[29]は古くから知られている。これは、納豆菌が胃酸に耐えて腸まで生きたまま届くためである[30]

廃物も利用されている。ニワトリの飼料に加えることで、鶏卵コレステロールを低減させることが報告されている[注釈 4]。また、冷蔵庫で長期保存すると白いカビのような物が発生するが、これはチロシンというアミノ酸の一種で、風味は悪くなるが食べても差し支えはない。

イソフラボン (免疫力増強作用・ホルモンバランス正常化作用)、レシチン (整腸・抗菌殺菌効果)、サポニン (抗菌殺菌・高血圧・血栓予防)の効果がある。「納豆食うひと、色白美人」の(ことわざ)[注釈 5]があるほど、納豆は整腸効果や満腹効果以外に、良質な栄養源であり健康に役立つ食品である[32]

必須元素セレンが大量(234μg/100g)に含まれているとする説[33]があるが、原料の大豆は含有量 17.8 μg/100g なので疑問がある。

また、納豆菌には虫歯菌歯周病菌の働きを抑制する効果があるので虫歯や歯周病を予防する効果がある事が知られている[34][35][36][37]

臭気

納豆菌を使用して発酵させるため、納豆菌特有の発酵時の臭気がある。68種類のにおい成分から構成されている[要出典]。代表的な「ピラジン」は、アーモンドココアパン味噌醤油ほうじ茶にも含まれる臭気である。中には「アンモニア」成分も含まれており、発酵が進みすぎたり10℃以上で保管されていると時間と共にアンモニア臭が強くなる[15]。「わら納豆」はの臭気、経木で包んだものはその木の臭気が加わる。また、発酵室内で薫煙処理を行う場合もある。納豆を苦手とする人はこの臭気を理由に挙げることが多く、近年では臭気を抑えた製品も市販されている。

医薬品との相互作用

ビタミンK2は、抗凝血薬ワルファリン)の作用を弱めることから、ワルファリン服用中は、納豆を食べないこと[38][39]

作り方

一般家庭でも納豆を作ることができる。必要なものは、十分に蒸したあるいは茹でた大豆と納豆菌(納豆そのもので代用可)と、納豆菌が生育する適度な温度(30〜45度)、適度な湿度、適度な時間(1〜2日)、十分な酸素である。適度な温度や十分な時間や酸素がないと納豆にならず煮豆のままとなる。適度な湿度がないと乾燥大豆になり、過剰な時間だと腐敗同然のアンモニア臭に満ちることになる。

自然発酵による伝統製法

藁苞に包まれたわら納豆

伝統的な納豆の作り方は、蒸した大豆を藁苞(わらづと)で包み、40度程度に保温し約1日ほど置いておく。稲藁に付着している納豆菌が大豆に移行し、増殖することによって発酵が起こり、納豆ができあがる。日本における納豆の起源については、「聖徳太子飼料として残った煮豆を藁で包んで置いたら出来上がった」[40]後三年の役で農民が供出した煮豆の藁包みが、糸を引きつつ良い香りを放ち始めたので食べられるようになった」[41]といった伝説があり、いずれも藁についた納豆菌による自然発酵が契機になっている。

納豆用の藁には一定の長さと品質が求められ、手作業で丁寧に刈り取った稲をおだ掛けした自然乾燥させた物が必要となるが、こうした農家は機械化や高齢化で激減している。米価の下落や飼料用米への転作などもあり、藁不足が深刻になっている[42]。このため水戸市と納豆メーカーが稲藁確保のための協議会を設立し、加工機材の貸し出しなどに取り組む[43]

近代的製法

大量生産の要求に応えるため、純粋培養した納豆菌を用いる製造が主流である。衛生的で近代的な工場生産の手法を確立したのは半澤洵で、半澤は1930年代に研究を重ね[44]納豆菌の純粋培養法と衛生的で安定した納豆の製造方法を確立した[11]

蒸した大豆に純粋培養した納豆菌の分散液をかける。次いでこれを発泡スチロール容器や紙パックに充填し40-42℃で6時間程度保温すると納豆菌の増殖に伴う発酵熱で温度が上昇し18-24時間経過後、冷却により発酵を停止させる。流通段階でのアンモニア増加を抑制する為、10℃以下に保ち[15]食品衛生法など必要な法令により求められる表示が行われ出荷される。

衛生面

製法にかかわらず、「販売する食料品」として納豆を製造するには、食品衛生法に基づき都道府県知事保健所を設置するでは市長特別区では区長)の許可が必要である。市販の納豆の大部分は、上述のように純粋培養した納豆菌を種菌として用いる製法によって製造されている。

こうした純粋培養の種菌を使った納豆を伝統食品らしさを演出するため稲藁で包んだ製品以外に、稲藁に付着している納豆菌を用いた伝統的な製法による納豆も少ないながら製造され、流通している。この製法での納豆菌は耐熱性の高い芽胞となって藁に付着しており、沸騰している湯に数分浸すと他の雑菌は大部分が煮沸されて死滅し、納豆菌芽胞が生き残る。その後、茹でた大豆を藁と接触させ37度から42度に保つと、納豆菌は芽胞から発芽し増殖を始める。そして、その旺盛な繁殖力で、死滅を逃れた他の芽胞菌類に先んじて栄養となる物質を消費し、他の微生物の繁殖を阻む。

いずれにせよ、日本国内で流通する市販品は、食品としての基準に適合するよう衛生管理され製造されている。なお、敢えて自家で納豆を作ることを試みる場合には、いくつかの留意点がある。納豆菌はにはやや弱く、乳酸菌の活動によって生まれる乳酸によって活動が阻害されることがある。また技術開発の結果普及した臭気の弱い種の納豆では、活動がさほど旺盛ではない菌株が用いられており、環境によっては雑菌が繁殖する余地がある。また、納豆菌の天敵として細菌寄生性ウイルスのバクテリオファージがあり、ファージ活動後に雑菌が繁殖することもありうる。特に納豆菌繁殖前の茹でた大豆には雑菌が極めて繁殖しやすい。自家製といえども食用に供するには衛生面でのそれなりの配慮が必要である。

食べ方

ネギ、からしを添え、タレをかけた納豆。

納豆の食べ方は、人による好みだけではなく地方差もあり、各種ある。いわゆる納豆ご飯として、白米を炊いたご飯に納豆を載せて一緒に食べることが多い。

納豆をふんわりとした食感で食べるためには、糸を引いて空気を含むように良く練ることである[注釈 6]。これは、先にタレなどを加えると水分過多となってしまい<!— 誤解を招く記述 混ぜても旨みは増えない グルタミン酸(旨味成分)を含む -->粘りがあまり出なくなってしまうからである。一種のアイディア商品として、納豆を混ぜる専用のスティックも売られている。

この糸引きは、食品のうち納豆ならではの特色である。納豆業界が開催する全国納豆鑑評会では、風味のほかに糸の引き具合が審査項目となる[45]

納豆を食べ慣れていない場合、特有の伸びた糸やちぎれた糸によって器や食卓を汚してしまうことや、その食べにくさが問題となる。その場合は箸先を味噌汁に少しだけ浸けて納豆を食べるようにすると粘り気を保ちつつ余分な糸ができにくくなる。味噌汁に含まれる水分、塩分、そして温度などで糸を安定させている成分であるフラクタンが不安定になり、糸が伸びる前に切れるからである。

納豆を叩き刻んで味噌汁に入れた納豆汁は、江戸時代までは納豆ご飯よりも頻繁に食卓に上っていた。そばうどんカレーライスラーメンチャーハン、和風スパゲッティのトッピング、お好み焼きオムレツ、焼きの具、納豆巻き軍艦巻寿司ネタ、天ぷらのタネなどとしても用いられる。

パンが焼ける匂いと納豆の共通の臭気成分(トリメチルピラジン)において調和するためか、納豆をパンにのせる・袋状のパン(ピタ)に入れる・はさむ等の方法で食べることも、いわゆる納豆パン、納豆トーストとして定着している。

薬味・合わせ物

オクラ納豆

醤油めんつゆ等のタレの他、和ガラシを加える食べ方が一般的。薬味として鶏卵ウズラの卵、ネギミョウガ大根おろしとんぶり削り節海苔青海苔などを合わせて食べることも多い。ナガイモとろろ)、メカブオクラなめ茸など、納豆同様に粘り気がある食品と混ぜることも行われる。

ネギやからしを加えると納豆のアンモニア臭を抑える効果があり、優れた薬味ともいえる。ネギやからしを途中で加えずに、蕎麦のネギやわさびと同様に最後に少しだけ載せたり、からしの代わりにワサビを載せたりする場合もある。

北海道東北地方では、醤油に上白糖を混ぜて甘だれ風にしたものを使用する地域がある。納豆に砂糖を加えると粘りが増す。市販の納豆の添付たれは、ほとんどのメーカーで醤油やめんつゆに砂糖を添加した物が使われている。

福島県では白菜漬物を入れて食べる者もいる[46]野沢菜漬やキムチなどを混ぜて食べられることもある。漬物に含まれる乳酸はアンモニアを中和し、臭いを抑えて食べやすくする効果がある。

販売形態

発泡スチロール容器に入った納豆

主にスーパーマーケットコンビニエンスストアなど、冷蔵施設を備える食料品売り場で広く売買されている。納豆の自動販売機も存在する[47]茨城県埼玉県川越市などでは土産物(名産品)として販売している場合もある。かつては「納豆売り」と呼ばれる行商人が納豆を売り歩く振り売りなどが盛んであった。売り声は「なっと〜〜、なっと〜〜(語尾をあげる)」というものであった。

藁苞納豆は明治時代の東京で派生したもので、経木納豆は大正期以降に行われていた。

1960年代以降は、流通面で効率的なことなどから、一般的には発泡スチロール容器が使われている。発泡スチロール容器は積み重ねられる形状になっていて、2 - 4つを1セットとして売られている場合も多い。また、納豆を容器に入れたままかき混ぜて糸を引くことができるように、底に凹凸が付けられるなどの工夫もなされている。発泡スチロール容器の普及は納豆の消費拡大に大きく貢献した。ただし、藁に比べると通気性が悪く、また納豆の臭い成分を吸着しにくいために、納豆独特の臭いがこもって強くなる傾向がある。こうした風味の違いや、「自然食品」的なイメージから、一部の高級品や自然志向の商品、土産物では現在でも藁や経木を使う場合がある。

からしと納豆用のタレが付属することも多い。

なお、2008年にはミツカンが新改良の発泡スチロール容器の製品を発売した。これは同梱のタレを従来の液状袋入りからゼリー状にして容器内の小室に直接注入したもので、納豆とタレ袋を分離するフィルムを廃して通気性を向上させると共にタレとの混合を容易にしていた。しかし、ゼリー状のタレが溶けづらい、納豆のスペースが狭く混ぜにくい等の問題点もあり、2012年からは蓋に液体タレを内包させ、蓋を折って投入する新方式に変更している[48]

種類

ひきわり納豆

粒の大きさ

粒の大きさによって種類があり、大粒>中粒>小粒>極小粒>超極小粒>ひきわりの順で小さくなる[49]。原料となる大豆の粒の大きさについては農林水産省の農産物規格規程によって下表の通りに定められており、丸目のふるいを使って振り分ける[50]。なお、超極小粒については規格規定にない。

区分 ふるいの目の大きさ(直径)
大粒 7.9 mm(品種によっては8.5 mm、9.1 mm もある)
中粒 7.3 mm
小粒 5.5 mm
極小粒 4.9 mm

全国納豆協同組合連合会が2005年に実施した消費者アンケート調査では、粒の大きさとして小粒を好む人の割合がおおむね高い (40%) ものの、特にこだわらないという人も一定数存在する (25%)[51]

ひきわり納豆

碾き割り、即ち砕いた大豆を発酵させることによって作られる納豆。秋田県など北東北で古くから作られていた糸引き納豆の一種。ひきわり納豆に対し、割っていない大豆を使った納豆は「つぶ納豆」(粒納豆)または「丸大豆納豆」と呼ばれる。ひきわり納豆はつぶ納豆に比べてポリグルタミン酸は少ないが発酵が早く、消化にも良いとされる上、カルシウムを効率的に吸収する役割のビタミンKが豊富である。つぶ納豆を刻んだような形状をしていることから、発酵後に納豆を刻んだものと誤解されることがあるが、実際は発酵以前の浸水前に大豆を砕いている。

塩辛納豆

材料としてを併用する[3]塩辛納豆もしくは寺納豆・浜納豆とは、現在一般的な糸引き納豆との区別をつけるための便宜上の名称である。現在「納豆」といえば納豆菌を発酵させたいわゆる糸引き納豆を指すのが一般的だが、糸引き納豆が登場したのは中世以降のことであり、それ以前の定義で「納豆」とは、麹菌を使って発酵させた後に乾燥・熟成させたものであった。製法も風味も味噌(ひしお)に近い。

なお、山形県などの東北地方の一部には、糸引き納豆に麹と塩を混ぜて発酵させた(一般的に想像される「塩辛」に似た)「五斗納豆」というものも存在する。食べ方は魚介類の塩辛と同じように、ご飯のお供やお茶漬けの具として用いる。一部の産地では雪が降る季節に熟成させることで低温発酵させているものがあり風味が少し異なる。これは「雪割納豆」と呼ばれる[52]

その他

山形県酒田市塩納豆熊本県金山寺納豆などローカル色に富んだ納豆もある。

納豆料理

納豆汁
干し納豆
納豆餅(京都市)
納豆汁
味噌汁の調味料または具として納豆を加えたもの。江戸時代には、現代でいうインスタント味噌汁のような「叩き納豆」を売り歩く「納豆売り」がおり、当時は納豆ご飯よりも主流の食べ方だった[6]。東北地方では現在も広く食べられる。
納豆巻き
海苔の上に酢飯を乗せ、納豆を巻いた細巻の寿司。主にひきわり納豆を使用する。
そぼろ納豆
茨城県特産。おぼろ納豆、しょぼろ納豆とも呼ぶ。納豆に刻んだ切り干し大根を混ぜ込み、醤油等の調味料で味をつけたもの。そのまま酒のつまみとして食べたり、ご飯にかけて食べたりする。
干し納豆
茨城県特産。納豆を天日干しすることにより長期保存可能にしたもの。なお納豆を乾燥させても、納豆菌は死滅しない。食べ方としてはそのまま食べるほか、湯につけて戻す、お茶漬けにするなどがある。
元来は保存食だったとされるが、現在は納豆の入手できない日本国外へ旅行に行く際に持っていく場合があるという。
揚げ納豆
干し納豆に近いが、これは納豆を油で揚げ、粘り気を取り去ったもの。納豆独特の臭いも目立たない。揚げても納豆菌が死滅しないように、特別な製造技術が用いられている。そのまま酒のつまみとして食べることが多い。しょうゆ・塩・梅・一味唐辛子などの味がつけられている。日本航空の国際線機内でも酒肴として提供されている。
納豆餅(京都市)
京都市京北町界隈には、南北朝時代より作られてきた、常照皇寺発祥とされる「山国納豆」があり、これをに練りこんで保存食とする。
納豆餅(東北地方)
山形県では、搗き立て、もしくは湯で柔らかくした餅に納豆を絡めて「納豆餅」として食べる[53]。山形県では普通の食べ方であり、家庭で料理として作る・食堂のメニューに入っているのみならず、スーパーなどで総菜として販売されている程であるが、同様の食べ方をする地域は、宮城県や北海道などに限られる模様[54]
岩手県一関市、県境を挟んで隣接する宮城県栗原市では、年間を通じて様々な調理方法で餅を食べるが、その中で「納豆餅」が、山形県と同様の形で食されている[55][注釈 7]
塩納豆
高知県の一部の地域の郷土料理。納豆にをまぶして鉄鍋で炒る。伝統的な製法では、市販の納豆の代わりに蒸した大豆籾殻の中に入れ、糸を引くようになったものを用いる。また、上記の山国納豆が伝わったとされる京都府亀岡市和歌山県の真国川流域でも塩和えにして食している[56]
スタミナ納豆
ごま油ショウガニンニクで炒めた鶏の挽肉に納豆を和え、隠し味にタバスコを加えた料理。鳥取県中部の学校給食で提供されている[57]
納豆あえ
納豆にチーズパセリ醤油砂糖を加え、よくかき混ぜた料理[58]愛知県豊田市の学校給食で提供されている。
さくら納豆
納豆と馬肉を和え、醤油等で味付けした料理[59]熊本県では定番の料理。
納豆茶漬け
醤油を混ぜて練った納豆を熱い飯の上に乗せ、煎茶をかける。納豆の量は飯の4分の1程度、多すぎても少なすぎてもいけない[60]
ばくだん丼
丼飯の一種。バリエーションが多様だが、マグロなどの刺身と、納豆、とろろ、オクラなどの粘り物を載せたものが多い。

地域別状況

日本

「納豆発祥の地」碑
「納豆発祥の地」碑
  • 秋田県 - 納豆発祥の伝説は日本各地に存在するが、そのうちの一つが横手市にあり、金沢公園に「納豆発祥の地」の碑が設置されている。後三年の役の際、源義家の軍勢が兵糧として運んでいた煮豆が、馬の体温で醗酵し納豆になったという伝説である(他の地の伝説でも義家が関与するもの、あるいは他の武将でも馬の体温による醗酵を語るものが多い)。また、秋田音頭に「桧山納豆」(能代市桧山地区)が秋田名物の一つとして謳われている。
  • 福島県 - 都道府県庁所在地・政令指定都市ランキングで福島市が納豆消費量日本一である[61]。取り立てて「納豆を食べよう」というキャンペーンは行っておらず、福島市民はもちろんのこと、市役所職員ですら日本一である事に疑問を持っている。思い当たる節として「義務教育期間の給食で納豆を出すこと」が挙げられている。生産量一位の水戸市では3カ月に1回の割合で給食に納豆が出るのに対し、福島市では最低でも2週間に1回は給食に納豆が出る。幼少期から納豆を食べる習慣があるためか、スーパーには納豆コーナーが豆腐コーナーよりも大きく設置されており、ほとんどが100円以下で購入出来る。給食や朝食以外にも納豆を食べる家も多く、納豆が嫌い・臭いと言う人が珍しがられる地域である。
  • 茨城県 - 水戸市は納豆生産量が日本一である。明治以降、鉄道(水戸線)の開通に伴い、笹沼清左衛門(天狗納豆が発祥とされる)が土産品として納豆を販売したのをきっかけに、産地として最も知られている。毎年3月10日(水戸の日)に「納豆早食い大会」が開催されている。
  • 熊本県 - 九州の中でも例外的に古くから普及している。全国規模の納豆製造会社が2社ある。スーパーマーケットで普通に販売され消費量も多い[62]

特に北関東から南東北にかけて消費量が多い。生産量日本一は茨城県、消費量日本一は福島県である。逆に消費量が少ないのは西日本で、最下位は和歌山県である。2004年の調査では西日本でも納豆好きは半数で嫌いは2割という結果であり、納豆消費金額は20年前の4 - 6倍以上に増加している[63]

NTTナビスペースが、2009年3月にPotora会員に対して実施した納豆の好き嫌いの調査では3,827の回答があり、70.2%が「好き」、15.1%が「好きではないが、健康のために食べる」、14.7%が「嫌い(食べない)」となった。近畿・四国・中国地方では、「好き」が過半数ではあるが他地域と比べ「嫌い」の比率が高く、特に奈良県島根県徳島県高知県では好きが半数未満であった[注釈 8]

日本以外

「世界の臭い食べ物」にもしばしば選出[64]されており、納豆が持つ臭いとネバネバした食感に対して、欧米人からは「かなり食べにくい」との声が聞かれる[65]。他方で納豆を好む欧米人も多く、かつ増えつつあり、類似した発酵食品がほとんどないセルビア出身のドラガン・ストイコビッチのような熱烈な納豆ファンもいる。

骨にカルシウムを与えて強固にするビタミンK2などのビタミン類やミネラル(マグネシウムなど)、食物繊維、腸に良い乳酸菌蛋白質が含有されている。骨にも良く、免疫力を高める健康食である。長寿国日本の長生きの秘訣として、各国の健康志向の高まりに伴い、国外でも臭いを弱めたものなども含めて人気を博している[66][67][68]

以下の地域では、納豆あるいは乾燥納豆と似た発酵食品が製造されている。日本の納豆は常温ではかなり早く発酵作用が進む(冷蔵ではその限りではなく、また冷凍も可能)ため、短期間で風味が落ちる場合もあるが、以下の発酵食品は朝鮮の「清麹醤(チョングッチャン)」のように長期保存が可能なものもある。

アジア

ヒマラヤ麓のネパールおよびブータンインド西ベンガル州シッキム州、中国雲南省からタイをはじめとする東南アジアにかけた地域に見られる[69]。東アジアや東南アジアの無塩発酵大豆から分離した納豆菌のプラスミドを調べると、共通の祖先を持つことが判明した。ネパール型の分岐は約1億6千万年前、中国・日本型とタイ型の分岐は約1億3千万年前、中国型と日本型の分岐は約7千万年前に起きていた[70]。アジア各地の納豆類は、藁よりも各種の植物の葉に包んで製作されることが多い。傾向として、シダ類イチジク属の葉を使うヒマラヤ地域やミャンマーのカチン州では粒状の納豆が多く糸引きが強い。チーク属サラノキ属の葉を使うミャンマーのシャン州やタイの北部では、乾燥したせんべい状の納豆が多く、粒では糸引きが弱い[71]

  • 朝鮮半島 - チョングッチャン(清麹醤、청국장)。チョングッチャンとは調理した汁物を指し、豆だけの状態は生チョングッチャンと呼ぶ[72]オンドルを使う寒い季節に仕込みをする。大豆を煮てザルに入れて藁を混ぜ、蓋をしてオンドルで温める。ザルの前には竹籠を使っていた[73][74]
  • 中国 - 苗族は大豆から豆豉と呼ぶ納豆を作り、過去には布とシダの葉で包んで仕込んでいた[75]。干豆豉は唐辛子やネギと炒め物にもする[76]
  • インドネシア - テンペ。大豆をテンペ菌(クモノスカビ)で発酵させる。そのまま食べたり揚げ物などに調理する[77]
  • タイ - 北部のシャン族を中心に、トゥア・ナオまたはトナオ(Thua-Nao)という加工食品を作る。トゥアは豆、ナオは臭いを意味する[78][79]。仕込みには、過去にはフタバガキ科の樹木の葉を使っており、樹木の減少によってバナナの葉やプラスチック袋[注釈 9]を使うようになった[81]。トナオは形状で3種類に分かれ、せんべいに似たトナオ・ケップ、日本の納豆に似た糸を引く粒納豆のトナオ・サ、ブロック状のトナオ・ウがある。トナオ・ケップは、ゲーン(汁物)やカノム・ジーン(米麺)の具にする[82]。トナオ・サはトナオ・メッ・コーという炒め物や、ナンピック・トナオに使う[83]。また、農民が野良仕事の日常食として米に載せたり、蒸してペースト状にしたり焼いたりして食べる[84]。トナオ・ウは調味料として使い、粉末にした納豆をトナオ・ポンとも呼ぶ[85]
  • カンボジア - シエンと呼ばれる。大豆を煮てから竹製のザルで発酵させ、糸を引くくらいに発酵したものを食塩水に漬ける。調味料として使われる[86]
  • ラオス -トゥアシと呼ぶ納豆を作る。せんべい状の乾燥した納豆と、ひき割り状、味噌状の納豆がある[87][88]
  • ミャンマー - シャン州ではトナオ、カチン州ではノップーと呼ぶ。シャン族は餅米とともに食べる[89]。ノップーは油で炒めて米と食べたり、米と混ぜて炒める[90]。糸引き納豆はビルマ語でペー・ボウと呼び、塩を加えて発酵させる塩辛納豆にあたるものはペー・ンガピと呼ぶ[91]ナガ族にはタンクル語英語版でシュシュエと呼ぶ納豆があり、仕込みにはイチジク属、ガジュマル、バナナなどの葉を使う。料理では、牛肉や野菜を使った納豆汁を作るほか、炒め物や揚げ物にも使う。食習慣は部族ごとに異なり、1週間ほどで食べる部族から、1ヶ月以上保存する部族もある[92]。長期保存用には、塩や唐辛子とともに竹筒に入れる[93]。味噌状にした納豆もあり、塩、唐辛子、ショウガと混ぜて熟成させている[94]
  • ネパール、ブータン - キネマと呼ばれる[95]。ブータン東部ではリビイッパ(リビは大豆を指す)、ネパール東部ではバタマス・ゴエン(バタマスは大豆を指す)とも呼ぶ[96]。バナナやパパイヤの葉、プラスチック袋などで包む。イギリスに勤務したグルカ兵もキネマを食べる[97]。料理では、生の納豆は唐辛子をはじめとするスパイスと炒めてカレーにする。乾燥した納豆はトマトや唐辛子と混ぜて漬物のアチャールにする[98]ダルバートのカレーや、タルカリ(おかず)に入れる[99]。ブータン東部には数ヶ月や1年以上保存する納豆があり、麹やチーズで仕込み、調味料や家畜の薬とする[100]
  • インド - ネパールに近いシッキム州ダージリン県英語版でキネマが作られている。仕込みにはシダの葉を使っている[95]

アフリカ

ブルキナファソのリ・オ・スンバラ(スンバラの炊き込み飯)

アフリカの各地には、豆や種で作るスンバラなどの発酵食品がある[69][101]。伝統的にヒロハフサマメノキ(パルキア)の実で作られていたが、近年は大豆の使用が増えている。パルキアは西アフリカを中心にサバンナに生息しており、大豆と同じくタンパク質を多く含むという共通点がある[102]

  • ナイジェリア - ハウサ語でダワダワ(dawadawa)、ジュラ語でスンバラと呼ばれる発酵調味料は、パルキア(ハウサ語でカルワ)の実から作る。パルキアの入手が難しくなってからは大豆が使われている[103]。豆を炒ってから煮てひき割りにし、灰を混ぜてヒョウタンに入れる。パルキアの実を使う場合は大豆よりも手間がかかる[104]。発酵した豆はペースト状にして乾燥させ、スープの調味料などに使う[105]。ダワダワから分離した微生物株を調べたところ、大小2種類のプラスミドのうち分子量の大きいプラスミドは納豆菌と相同性を示した[106]ヨルバ族イル英語版イボ族オギリ英語版と呼ばれる発酵食品を作る[107]
  • セネガルギニア共和国 - ウォロフ語でネテトウ(netetou)と呼ばれる、スンバラと同様の発酵調味料をパルキアから作る。塩辛い豆や、干した豆、つぶして固めたもの、粉末などがある。調理では、スープや炊き込み飯などに使う。ギニア共和国で作られたネテトウもセネガルに輸入されている[108]
  • ブルキナファソ - モシ族を中心にスンバラを食べる。調理では、魚、鶏、米と混ぜて炊き込み飯にしたり、クスクスと混ぜたり、スープに入れる。スンバラを混ぜた米料理はモシ語でムコロゴ(米飯を意味するムイと、スンバラを意味するコロゴを合わせた単語)とも呼ばれる[109][110]。また、ビカラガと呼ばれるハイビスカス(ローゼル草)の種を使ったものは、調理のダシに使う[111][112]バオバブの実を使ったトゥイ・ビカラガは、2日間煮てから臼で搗いて蒸す[113]

アメリカ

臭い食べ物の代表例(食べ物の臭さの「順位付け」ではない)[114]

Au: アラバスター単位、におい成分の成分量の単位である。においの強弱は、におい成分毎にヒトの感覚閾値との相乗値で評価され、純粋な「においの単位」ではない。

主な納豆製造業者

末尾の数値は2013年現在の日本国内シェア順位[115]

出典・脚注

注釈

  1. ^ 「納豆」「納豆売り」「納豆汁」は三冬・生活の季語。ただし、「納豆造る」は晩夏・生活に分類される季語である。- 齋藤慎爾・阿久根末忠編『必携季語秀句用字用例辞典』柏書房、1997年、p.798, ISBN 9784760114566
  2. ^ 平城京跡から出土した700年頃の木簡に記載があるという。cf. 納豆の歴史について納豆学会
  3. ^ GHQの栄養部長ハーブ大佐、アップルトン
  4. ^ 乾燥納豆給与による卵黄中のコレステロール低減] 「13週目には納豆を与える水準にしたがって卵黄中コレステロールが低くなり、3%区では20%以上の低下がみられる」[31]
  5. ^ 東北地方 納豆の好きな女性には、肌のきれいな美人が多いという意味。
  6. ^ 「まず納豆になにも加えずに練る。白い糸状のものがたくさん出て納豆が固くなり練りにくくなったら、醤油を少量たらしてまた練る。練る、醤油を入れる作業を数回繰り返す。糸がなくなってどろどろになったところに辛子や薬味を入れてかき混ぜる」北大路魯山人『魯山人味道』中公文庫、1980年4月10日、p.170、ISBN 412202346-7
  7. ^ 岩手県一関市宮城県栗原市は、江戸時代にはいずれも仙台藩に属した。年間を通じて餅を食べる風習は、本来は仙台藩の農政に由来する[55]
  8. ^ 設問内容に「嫌いだが食べる」という項目があるのに対し、「好きだが食べない」という項目が無いので好き・嫌いの比率は得られるが、食べる・食べないの比率は得られない。また調査対象がPotora会員に限られ、回答の有効性に懸念が残る。また回答数は3,827件ではあるが、県単位の回答数では十分でない可能性があり、県別の結果の信頼性には疑問が残る。納豆は好きですか?”. 2012年12月8日閲覧。
  9. ^ プラスチック袋は通気性があり、日本の土嚢袋に似ている[80]

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参考文献

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  • 『納豆の合理的製造法』(産業評論社、1949年)
  • 石塚修『納豆のはなし』大修館書店、2016年。 
  • 今津屋直子ラオスにおける食を営む力の育成に関する研究(2) : 伝統的な食べ物や食べ方が継承されている背景」(PDF)『教育学論究』第8巻、関西学院大学、2016年12月、29-42頁、2020年8月8日閲覧 
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  • 高野秀行『謎のアジア納豆―そして帰ってきた〈日本納豆〉』新潮社〈新潮文庫〉、2020年。 
  • 高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!―そして現れた〈サピエンス納豆〉』新潮社、2020年。 
  • 原敏夫納豆のルーツを求めて」『化学と生物』第28巻第10号、日本農芸化学会、1990年、676-681頁、2020年8月8日閲覧 
  • 半澤洵 編『納豆製造法』札幌納豆容器改良會、1926年。 
  • 横山智タイとミャンマーにおける無塩発酵大豆食品の製法と植物利用の特徴」『人文地理学会大会 研究発表要旨』、人文地理学会大会、2010年、90-91頁、2020年8月8日閲覧 
  • 横山智「東南アジア大陸部のナットウ」『モンスーンアジアのフードと風土』明石書店、2012年。ISBN 4750336610 
  • 横山智『納豆の起源』NHK出版、2014年。 
  • 吉田よし子『マメな豆の話―世界の豆食文化をたずねて』平凡社〈平凡社新書〉、2000年。 

読書案内

  • 川田順造『サバンナの博物誌』筑摩書房〈ちくま文庫〉、1991年。 
  • 剱持裕典『納豆読本』(春日出版、2009年)
  • ナタリー・レイチェル・モリス 著、竹田円 訳『豆の歴史』原書房〈食の図書館〉、2020年。 (原書 Morris, Natalie Rachel (2020), Beans: A Global History, Reaktion Books 

関連項目

外部リンク