オンドル

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オンドル(温突)
Korea-Seoul-Namsangol-03.jpg
オンドルの煙突
各種表記
ハングル 온돌
漢字 溫突
発音 オンドル
日本語読み: おんとつ
ローマ字 ondol
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オンドルの原理を説明したイラスト。台所の竈の煙を居室の床下に導き、部屋を暖める

オンドル온돌溫突、温突)とは朝鮮半島中国華北北部・東北部で普及している床下暖房である。クドゥル구들)ともいう。朝鮮式の漢語では「突火煖寢」もしくは「堗厝火」とも。満洲語ではナハン(nahan)、中国語では「(kang、カン)」と呼ばれる。

伝統的なオンドル[編集]

本来の形式は台所で煮炊きしたときに発生する煙を居住空間の床下に通し、床を暖めることによって部屋全体をも暖める設備。火災の危険を避けるためオンドルを備えた家の土台はすべてクドゥルジャン구들장)という板石を用いて築き、部屋の床は石板の上を漆喰で塗り固め、その上に油をしみこませた厚紙を貼る。朝鮮半島においてはすでに三国時代から使用の痕跡が見られ、飛鳥時代の日本に渡来した高句麗百済出身者もオンドルを備えた家に住んでいたらしい。しかしこの暖房方法は、日本には受け入れられなかった。

台所で調理する際の排気を利用した暖房システムだが、炊事を行わない時も暖房用として竈に火を常時入れておく。台所が無い別棟には、暖房目的での焚口を作る。また、暖房の必要が無い夏季はオンドルに繋がらない夏専用の竈を炊事に使用する。しかし床下の殺菌、殺虫目的で半月に一度ほどオンドルに火を入れることもあった。

かつてはわらなどを燃料としたが韓国においては1960年代から80年代にかけ練炭を燃料としたオンドルが主流となった。しかし床にできたひび割れから一酸化炭素が流入し、就寝中の家族が中毒死する事故が頻発した。

現代のオンドル[編集]

現在、特に韓国では中高層アパートの普及に伴い旧来の方式でのオンドル暖房が構造的に不可能になったため温水床暖房が一般的に使用されており「オンドル」といえば温水床暖房の事を指すことが多い。古くからある建物では温水床暖房ではない本来の形のオンドルが残っているが、その燃料は練炭から灯油に切り替わっているものが主流になっており、最近ではガスオンドルや電気オンドルを使用している家庭もある。

中国の華北・東北部の農村部では今でも昔ながらのオンドルをよく見かける事ができるが、都市部ではほぼ無いに等しい。

オンドルと住宅構造[編集]

冷涼乾燥気候の朝鮮半島では住宅へのオンドル設置は常識であった。同時にオンドル使用により生活様式はさまざまな影響を受け、変革していった。床下に煙が流れ込みやすいように竈がある釜屋(プオク・台所)は半地下式に作られ、台所の天井裏には「タラク」という納戸が設けられた。若い嫁が一人で泣けるのは、このタラクの中だけだったという。部屋の中で焚口=台所に近い場所ほど暖かいため、台所に近い場所が上座とされた。熱く乾燥した床に接して木材が狂わないよう、家具は「足つき」のものが主流となった。また、床のぬくもりが人体に伝わりやすいように蒲団や座布団は薄く作られた。竈の火で床下を暖めるという構造上、2階以上の床下を暖めることはできない。したがって、朝鮮半島では平屋の建築が主流となった。

日本列島も朝鮮半島も夏は暑く冬は寒い四季の明瞭な気候だが、寒暖の期間と湿気の有無が異なる。このため日本と朝鮮半島の民家は一見すると似ているようだが、近世以降の日本の民家の多くが無暖房住宅(囲炉裏こたつなどの採暖器具のみ)であり、大きなを設け縁側、襖など蒸し暑い夏の気候に最適化した開放的な造りになったのに対し、朝鮮半島の民家の多く、特に北部地域はオンドルを用い窓や出入口を極力小さくするなど寒冷で乾燥した冬の気候に最適化した閉鎖的な造りになった。ただし、ある程度温暖な朝鮮半島中南部の民家には縁側(툇마루・テッマル)や大庁(대청・デーチョン)という板張りの空間があり夏の気候に対応した開放的な造りになっている。

その他のオンドル[編集]

日本の温泉地で、地熱の直接利用や温泉の蒸気を床下に通すことで床下暖房形式にしたものを「オンドル」と呼び、湯治に利用しているケースがある[1]。地熱の直接利用タイプでは、地熱により暖かい地面に直接ゴザを敷いただけ等の簡易な家屋を「オンドル小屋」と呼んでいるケースもある[2]

脚注[編集]

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  1. ^ 後生掛温泉 - 湯治のご案内”. 2013年3月6日閲覧。
  2. ^ 大深温泉 【秘境温泉 神秘の湯】”. 2013年3月6日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]