ニンニク

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ニンニク
Allium sativum Woodwill 1793.jpg
ニンニク
分類APG植物分類体系
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 単子葉植物綱 Liliopsida
: クサスギカズラ目 Asparagales
: ネギ科 Alliaceae
: ネギ属 Allium
: ニンニク A. sativum
学名
Allium sativum L.
和名
ニンニク
英名
Garlic
ニンニク、生
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 623 kJ (149 kcal)
炭水化物 33.06 g
- 糖分 1.00g
- 食物繊維 2.1 g
脂肪 0.5 g
タンパク質 6.39 g
- βカロテン 5 μg (0%)
ビタミンB1 0.2 mg (15%)
ビタミンB2 0.11 mg (7%)
ビタミンB3 0.7 mg (5%)
パントテン酸(ビタミンB5 0.596 mg (12%)
ビタミンB6 1.235 mg (95%)
葉酸(ビタミンB9 3 μg (1%)
ビタミンC 31.2 mg (38%)
カルシウム 181 mg (18%)
鉄分 1.7 mg (14%)
マグネシウム 25 mg (7%)
マンガン 1.672 mg (84%)
セレン 14.2 μg (20%)
リン 153 mg (22%)
カリウム 401 mg (9%)
塩分 17 mg (1%)
亜鉛 1.16 mg (12%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ニンニク(蒜、大蒜、葫、学名Allium sativum)とは、ネギ科クロンキスト体系以前の分類法ではユリ科)の多年草で、球根(鱗茎)を香辛料として用いる。

ガーリック(英:garlic)とも呼ばれる。日本ではニンニクやノビル(野蒜)など根茎を食用とする臭いの強い(ネギ属の)植物を総称して蒜(ひる)と呼んでいたが、特にノビルと区別する場合にはオオヒル(大蒜)とも称した。生薬名は大蒜(たいさん)。語源は困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」とされる。

5月頃に白い小さな花を咲かせるが、栽培時には鱗茎を太らせるために花芽は摘み取る。摘み取った茎は柔らかい物であれば野菜として利用される。

一般的に見かけるニンニクは分球ニンニクがほとんどであるが、一片種と呼ばれる中国のプチニンニクなどの品種もある。

ジャンボニンニクと呼ばれる物があるがニンニクとは別種でありリーキ(ポロネギ)に近縁の野菜である。 大きいこと以外、外見はニンニクそのものである。ニンニクよりも香りがマイルドなのでスープの具などに利用される。鱗茎の他に硬い殻に覆われた小さな球根(ヒヨコの頭に良く似ている)によって繁殖する点でニンニクと区別させる。

目次

[編集] 歴史

原産地は中央アジアと推定されるが、すでに紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていた。また、現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス』(en)には薬としても記載されている。中国には紀元前140年頃伝わり、日本には中国を経て8世紀頃には伝わっていたと見られる[1]

日本では禅宗で「不許葷酒入山門」とされたように、強壮作用が煩悩(淫欲)を増長するとされて仏教僧侶の間ではニラネギ等とともに五辛の1つとして食が禁じられた。漢字表記の「蒜」「大蒜」は漢語に由来する一方、仏教用語の「忍辱(にんにく)」がニンニクの語源となったとされる[1]。『大和本草』巻之五 草之一 菜蔬類では、悪臭甚だしくとも効能が多いので人家に欠くべからざるものと評価された。

[編集] 生産地

中国が世界のニンニク生産量の8割を占めている。

日本においては、日本国産のニンニクが中国産の半分を占めており[2]、日本国産ニンニク内では青森県産が80%を占め、田子町[3]に次いで香川県も出荷が多く、中国内でも、青森産ニンニクはブランド化している。

[編集] 栽培

暖地の場合、秋に鱗片を畑地に軽く植え付け、越冬し、翌年の夏、梅雨に入る前に収穫する。

[編集] 食材

[編集] 食材としての活用

中国料理では、球根のみならず葉(葉ニンニク)や茎(いわゆる「ニンニクの芽」)も香味野菜として利用される。その他イタリア料理フランス料理韓国料理など、さまざまな料理に用いられる。

香味野菜の代名詞的存在であり、料理に食欲をそそる香味を付与する。また、畜肉の「くせ(臭味)」をごまかす効果も重宝されている。

中華料理・イタリア料理などでは、油が冷たいうちにニンニクのみじん切りを入れて弱火で炒めるのがコツである。火が強すぎるとすぐに焦げる。

皮をむいたニンニクの球根を乾燥させ、粉末状にした「ガーリックパウダー」もある。乾燥させることで生よりも臭気を抑えられることもあり、ガーリックトーストをはじめとする各種料理に用いられている。ガーリックパウダーは吸湿性が高く、開封後は乾燥状態を保持できる環境で保管する必要がある。逆に、わざと少量の水分を加えておろしニンニク代わりに使う例もある。

[編集] 栄養学的要素

糖質の分解を促すアリシンも含み、疲労回復や体力増強に効果がある。ニンニクは滋養強壮の効果があるといわれ、栄養ドリンク健康食品にも使われているが、ヒトでの有効性について信頼できるデータは十分でない。ビタミンB6の含有量が全食品の中で非常に多い部類に入る[4]

また、ニンニクにはビタミンB1の効果を高める成分(アリシン)が含まれており、特にビタミンB1を豊富に含む豚肉はニンニクと一緒に食べるとビタミンB1が吸収されやすくなると言われている。ニンニク、ビタミンB1、関連製剤について次のような歴史が存在する。1952年(昭和27年)3月8日に京都大学衛生学の藤原元典は、武田薬品工業研究部と提携してニンニクとビタミンB1が反応するとニンニクの成分アリシンがB1(チアミン)に作用してできる「アリチアミン」ができると報告した。そのアリチアミンは、体内でB1にもどり、さらに腸管からの吸収がきわめてよく、血中B1濃度の上昇が顕著で長時間つづく、という従来のビタミンB1製剤にはない特性があることを報告した。また、武田薬品工業は、アリチアミンの製剤化に力を入れ(製品開発のきっかけは、旧陸軍から脚気の治療薬開発を依頼されたこと)、1954年(昭和29年)3月、アリチアミンの誘導体であるプロスルチアミンの内服薬「アリナミン錠」が発売され、従来のビタミンB1剤に見られない優れた効果を示した[5][6]

[編集] ニンニクの癌予防効果

初期調査では、ニンニクの摂取が、いくつかの、特に消化器管系の癌のリスクを減少させる可能性が示唆されている。これらの研究は、さまざまな種類と量のニンニクで調査されている。 ただし、仮にニンニクの摂取が一部の癌の発生を減少させているとしても、それ以外の癌のリスクがどの程度残っているかは分かっていない。

[編集] ニンニクの殺菌力

ニンニクの持つO157菌等の腸管出血性大腸菌に対する殺菌力は、試験管やシャーレを使った実験、動物実験などでの実証が論文発表されている。1%のニンニク粉末水をマウスに経口投与し腸管内の生菌数を調べたところ、菌数の減少が観察され、ニンニクを食材として摂取した場合に消化器系の感染予防に寄与できることを示唆している[7]

[編集] ニンニク臭

ニンニクのある種の細胞には、アリインという無臭の化合物が含まれる。一方、ニンニクの別の細胞にはアリナーゼ(またはアリイナーゼ)という酵素が含まれる。ニンニクを切るとこれら細胞が壊れ、アリナーゼとアリインは細胞外に出てお互いに接触する。アリナーゼの作用によりアリインはアリシンに変化する。そのアリシンがニンニクの独特な臭いのもとである。アリシンは抗菌作用がある。 エジプト産のニンニクを品種改良をして、臭いが少ないと宣伝されている「無臭ニンニク」も流通しているが、ニンニク臭は口内に残った食べカスからだけではなく、体内に取り込まれて体臭の原因となる[8]

[編集] 悪影響

[編集] 悪臭源

ニンニクは強い悪臭(口臭・体臭)の原因となる。

[編集] 赤血球破壊

個体によるが、赤血球を破壊する事により、血尿血便、急性貧血の原因になる。

[編集] 胃腸障害

生のニンニクの強烈な香りと辛味は、刺激が強過ぎて胃壁などを痛める場合がある[9]

ニンニクの過剰な摂取は胃腸障害を含めた副作用を起こしうる。 このようにアメリカ国立癌研究所ホームページのファクトシートで明らかにしている[10]

[編集] 伝承・逸話

ニンニクにまつわる伝承は世界各地に伝えられている。独特の香気は香辛料として用いられるほか、魔除けとしても用いられてきた。

古代エジプト
古代エジプトではピラミッドの建設のさい、労働者にタマネギラディッシュとともにニンニクが与えられた。古代ギリシアでも徴集の際に兵士が持参する食料品の一つとして数えられている。
ドラキュラ
吸血鬼ドラキュラがニンニクを嫌うというのは有名な話である。
日本神話
日本では古事記の小碓命(ヤマトタケル)東征の逸話に、足柄山で白鹿に化けた坂の神を蒜(ひる)で打ち殺したと記されている。同じ逸話が日本書紀では、信濃坂(現在の神坂峠)で白鹿に化けた山の神を蒜で打ち倒したところ、霧が立ちこめ道を見失ったが、白い犬が出てきて導いた。以前は旅人が信濃坂で神気に当たり病になることがあったが、この後蒜を嚼んで体に塗ると神気に当たらなくなったと記されている。ただし、この蒜はニンニクではなくノビル(野蒜)である可能性が高い。
長野県にある 昼神温泉は、この神話(蒜嚼み→昼神)にもとづく名前である。
ニンニクの鱗茎
源氏物語
源氏物語にもニンニクが登場する。第2帖帚木の巻で藤式部の丞が女性を訪ねたさい「極暑の薬草を用いて臭いので会えませんが、ご用は承りましょう」といわれた。そこで「ささがにのふるまひしるき夕暮れにひるますぐせと言うがあやなさ」と詠んだ。女性は「あうことの夜をし隔てぬ仲ならばひるまも何かまばゆらかまし」と返した(「ひる」が昼と蒜の掛け詞になっていて「極暑の薬草」が蒜だと判る)。
徳川家康
元和2年(1616年)1月21日徳川家康は、駿府の城内で豪商の茶屋四郎次郎が献上した、上方で当時流行の珍味、ニンニクのすりおろしをつけた天ぷらの食べ過ぎで起きた食中毒が死因となったとの俗説がある。ただし、実際に徳川家康が死去したのは、上方の珍味を食した3ヶ月後の元和2年4月17日であり、因果関係を立証し難く、現在はむしろ胃がんが死因と推測する仮説が最も流布している。

[編集] 青くなる理由

ニンニクを摺り下ろすと、稀に青くなることがある。これはクロロフィルの色であり、体に影響はない。また醤油や焼酎に漬けた場合も青くなることがあるが同じ理由による。[要出典]

ニンニクは通常休眠状態で流通されるが、保管状態が悪い(野積みした場合など)と芽だし寸前の状態になり、この状態で摺り下ろすと光に反応してクロロフィルが生成され、これが青く見える。

[編集] 脚注

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  1. ^ a b 林輝明「薬になる動植物:第38回葫(ニンニク)」『漢方医薬新聞』2009年12月10日、3面。
  2. ^ “中国でニンニクバブル 不作・投機が影響、輸入価格倍に”. asahi.com. (2004年9月15日). http://www.asahi.com/national/update/1004/TKY201010030323.html 2010年10月4日閲覧。 
  3. ^ 「ニンニクの町」としてPRしている にんにくについて (PDF)”. 田子町. 2010年1月26日閲覧。
  4. ^ 五訂増補日本食品標準成分表:文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会
  5. ^ 山下政三『鴎外森林太郎と脚気紛争』日本評論社、2008年、459-460頁
  6. ^ 日本の脚気史
  7. ^ http://www.hs.hirosaki-u.ac.jp/kouhou/yonen/pdf/HEALTHSCIENCESHIROSAKI_Vol5.pdf HEALTHSCIENCESHIROSAKI_Vol5(p145)
  8. ^ 体中からアリルメルカブタンの臭いを消し去る効果的な方法は発見されていない
  9. ^ http://co-4gun.eiyo.ac.jp/food%20database/spice_herb/foods-dic-sh-garlic.html
  10. ^ Garlic and Cancer Prevention: Questions and Answers”. National Cancer Institute. 2010年7月24日閲覧。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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