モンゴロイド
モンゴロイド(英: Mongoloid)とは、人類学創始期の形態人類学における人種分類概念の一つである。日本語では一般に黄色人種、蒙古人種とも訳される。18世紀にドイツ人の人類学者ヨハン・フリードリヒ・ブルーメンバッハによって分類された五大人種に基づく。現代でも便宜的に用いられることはあるが、科学的に有効な概念とは見なされていない。
概要
[編集]モンゴロイドは、東アジア(北アジア及びチベット高原を含む)・東南アジアを中心に、中央アジア・南北アメリカ大陸・太平洋諸島及びアフリカ近辺のマダガスカル島に分布する。狭義ではポリネシア人やアメリカ先住民を含めない用法もある。
黄色人種の名は白人と比較した際のモンゴロイドの肌の色に由来するが、実際のモンゴロイドの肌の色は、白色から褐色まで幅がある。東アジア・北アジアでは黄白色、東南アジアでは黄褐色の傾向がある。南アジアや南アメリカなどでは褐色だが、ネグロイドのような黒い肌はみられない。
近年の人類集団を分類する学説では、各人種の原初の居住地を分類名称とすることが多くなっており、その場合、東アジア並びに東南アジアに居住するモンゴロイドを東ユーラシア人とし、アメリカ大陸で分化したモンゴロイドを南北アメリカ人とする。またオーストラロイドとされたサフール人を含めた旧来の広義のモンゴロイドを全て網羅する定義としては、「環太平洋人」とする場合がある[1]。アジアに住む人々はアジア系民族と呼ぶのが一般的であるが、アジア人にはコーカソイドに属するインド・アーリア人も含む。
概念の変遷
[編集]「モンゴリアン」概念は1785年にドイツ・ゲッティンゲン大学の学者であるクリストフ・マイナースによって初めて導入された。マイナースは人類を「タルタル・コーカサス人」と「モンゴリアン」の2つの人種に分け、前者は美しく、後者は「身体と精神が弱く、悪徳で美徳に欠けている」と信じていた[2]。
その後、ブルーメンバッハがDe Generis Humanis varietate Nativa (ヒトの自然的変種)1795年改訂版で、人類を五大人種(コーカシア/白人種、モンゴリカ/黄色人種、エチオピカ/黒人種、アメリカナ/赤色人種、マライカ/茶色人種)に分けたことで広まった[3] 。
過去には次のような説もあったが、DNA分析の結果などから現在は否定されている。
なお、「モンゴロイド」という概念は、数世紀前のヨーロッパ人による主観的な人種差別に基づく古い分類であり、最新の科学的な根拠に基づいていない分類である、とする見方もある。
「モンゴロイド」の出現と分化
[編集]東アジア方面に進出した人々は、天然の要害であるヒマラヤ山脈・アラカン山脈が障害となり、中東・インド亜大陸の人々との交流を絶たれ、独自の遺伝的変異・環境適応を成し遂げることとなる。こうしてモンゴロイドが形成された[4]。
モンゴロイドはその後、1万4000-1万2000年前にベーリング地峡(のちのベーリング海峡)を渡りアメリカ大陸に進出。また3000-2000年前には太平洋の島々にも移住した。
新モンゴロイド
[編集]東ユーラシア北部の寒冷地域で独自の寒冷適応を遂げた集団が、かつての形質人類学で新モンゴロイドとされた人々である。
日本列島に到達した新モンゴロイドが渡来系弥生人で、日本列島全体においては、渡来系弥生人と縄文系弥生人の遺伝子が混ざりその後の大和民族・和人が形成されたとする説がある。遺伝子分析の結果、縄文人の遺伝子は日本人の中でもアイヌに強く受け継がれており、大和民族にはアイヌと比べてその影響が少ないものの、日本人(アイヌ人、琉球人、大和民族)は皆縄文人の血を受け継いでいる。朝鮮半島に近い九州北部よりも、四国・近畿に渡来人由来と見られる遺伝子が多い[6][7]。
新モンゴロイドは、寒冷地域に適合した体質として、比較的体格が大きく、凹凸の少ない顔立ち、蒙古襞(もうこひだ、目頭の襞)、体毛が少ないこと(特に男性のひげの少なさ)などの特徴を持っている。さらに、耳垢が湿ったあめ状ではなく乾燥した粉状となり、耳垢の特徴と同じ遺伝子によるわきがの原因となるアポクリン汗腺が少なく、頭髪が直毛であること、頭形は前後に短く横に広い短頭が一般的で脳容積が大きいといった特徴がある。新生児に蒙古斑が見られるのも特徴である。
モンゴロイド系とされた人々
[編集]この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
南北アメリカ大陸では、「モンゴロイド」の定着以前に人類は全く存在していなかったとの説が有力である。
モンゴロイドの一部は、フィリピン群島を経て東南アジアから太平洋に漕ぎ出し、イースター島やニュージーランドにまで到達している(今日のポリネシア人、ミクロネシア人)。さらに一部のモンゴロイドは、古代に稲作文化を携えてアフリカのマダガスカル東部地域にも居住地域を拡大したとされる。途中のインド洋島嶼部の多くは無人島で、且つアフリカ東部や中近東の陸地伝いには彼らによる移動の痕跡がみられないため、反対方向に向かったラピタ人やポリネシア人と同じく、相当高度な航海技術によって海上ルートを進んだと思われる。
ユーラシア大陸のモンゴロイドは、当初はヒマラヤ山脈以東の太平洋沿岸及びその周辺を居住地域としていた。特に、モンゴル高原を中心とする中央アジアの乾燥帯に居住した遊牧民達は生まれながらの騎兵であり、古代から中世の世界においては強大な軍事力を誇った。彼らはこの軍事力を武器に、古代はコーカソイドの居住地域であった中央アジア西域に進出、その後、一時的にヨーロッパ北東部及び中東・南アジア(インド亜大陸)にも進出した。特にモンゴル帝国はユーラシア大陸の東西に及ぶ巨大な勢力圏を築くに至った。
モンゴロイドの区分
[編集]ユーラシア大陸東部のモンゴロイドは、寒冷適応の程度の軽重によって大きく古モンゴロイド・新モンゴロイドに区分されたが、遺伝的に見ると他の集団間の差異に比べて大きな隔たりは存在しない。モンゴル地域・中国東北部・朝鮮半島には新モンゴロイドが比重として圧倒的に多いのに対し、大陸南部や島嶼部へ行く程旧モンゴロイドの比重が高まっているとされる。
現在の人類学では形質研究よりも遺伝子研究が重視されている。遺伝子的には南方系モンゴロイドと北方系モンゴロイドと区分する場合もある。
遺伝的な近縁関係から人類集団を分類する近年の学説では、先述の通り、アジアに居住を続けてのちに一部が太平洋諸島・マダガスカル島に移住した東ユーラシア人と、南北アメリカ大陸で分化した南北アメリカ人に、旧来の狭義の「モンゴロイド」が二分されるとする。
- 区分
- 北方系古モンゴロイド
- 南方系古モンゴロイド
- 新モンゴロイド(弥生人・古墳人含む)
- アメリンド:アメリカ先住民(ケット人含む)ハプログループQと関連。
遺伝子
[編集]Y染色体
[編集]モンゴロイドは出アフリカ後にイラン付近からアルタイ山脈付近に至り東アジアに拡散した、「北ルート」をとった集団である。モンゴロイド人種を特徴づけるY染色体ハプログループとしてC2、D、N、O、Qが挙げられる[8]。
- ハプログループC2は主にモンゴル系民族やツングース系民族、古シベリア諸語系民族、一部のテュルク系民族において高頻度であり、エスキモーやアサバスカ族などの北米先住民にも中頻度、中国北部や朝鮮半島でも中 - 低頻度で日本列島でも低頻度見られる。その他、モンゴル帝国の拡大とともに中央アジアなどでも確認される。
- ハプログループDは日本列島やチベット、アンダマン諸島で見られる。現在においては日本や山岳チベット、その他一部島嶼でしか見られず非常に稀なハプログループとなっている。
- D1a1系統はチベット人に約50%と高頻度に見られ、その他ヤオ族でも確認されている。
- D1a2a系統は3.8万年程前に日本列島で誕生した日本固有の系統である。縄文人はほとんどがD1a2系統であったと考えられ、弥生人が到来するまでの日本列島では非常に高頻度であったと考えられる。現代においてはアイヌ人で75%(4人中3人)または87.5%(16人中14人)、琉球民族で約40%(1999年発表の新家利一等の研究によれば64/187 = 34.2%、2006年発表のMichael F. Hammer等の研究によれば25/45 = 55.6%、2007年発表の野中育・水口清等の研究によれば35/87 = 40.2%)、日本人全体で約35%となっている。
- なお、チベット人に見られるD1a1系統と日本固有とアンダマン諸島固有の祖型であるD1a2系統はお互いに最も近縁な兄弟群ではあるものの、5万3千年以上前に分岐しており、他のハプログループと比べるとサブグループ間でも親グループ間並に時間的距離が離れている。
- ハプログループNはサモエード系、ヤクート人と言ったシベリア北部やフィンランド、エストニアなどの北欧、バルト三国で高頻度に見られ、ウラル語族の担い手であると考えられる。ユーラシア大陸北部に広く分布している。東アジア周辺で発祥したと言われており、中国遼河文明時代の人骨からも高頻度に見つかっているため、かつては中国大陸北部などで支配的であったと考えられるが、現代の東アジアにおいては北部(満洲、モンゴル)でも概ね10%前後の頻度となっており、中国全国や朝鮮半島では5%程度で、日本ではそれを下回る低頻度となっている。
- ハプログループOは東アジアから東南アジアにかけて最多を占めるグループである。親系統別に見ると、コーカソイド系のハプログループRと並んで現代人類において最も帰属人口の多い系統である。その人口の多さから、多岐に渡るサブグループを生み出している。日本においてもO1b2が30%以上、O2がおおよそ20%見られ、親系統別で見るとやはりO系統が最多である。
- O1a系統は台湾先住民に80%前後と非常に高頻度見られ、他に東南アジアやオセアニア(ポリネシア人種•メラネシア人種)に多く見られる地域がある。マダガスカル(マラガシー人種)やケニアでも検出例有り。オーストロネシア語族、タイ・カダイ語族と関連。
- O1b1系統は中国南部及び東南アジア、並びにインドのムンダ語派の言語を使用する民族で多く、漢民族(華南)やヤオ族等の中国南部の少数民族に中頻度から低頻度見られる。オーストロアジア語族と関連。
- O1b2系統は日本、朝鮮半島、満州民族などの東アジア北東部で多い。日本では30%程見られ、D1b系統と並んで日本人で最も多く見られる系統である。
- 南方系古モンゴロイドを特徴付けるO1系統は東南アジアを中心に分布している。
- O2系統は漢民族で50%以上、朝鮮民族やベトナム人(キン族)で40%以上と東アジアで最多のサブグループである。日本人にも20%程見られ古墳人にみられるY染色体ハプログループもO2系統で古人骨ゲノムデータの主成分分析では現代日本人と大陸集団との中間に位置する。シナ・チベット語族、ミャオ・ヤオ語族と関係。
- ハプログループQは南北アメリカ大陸先住民はほとんどがQ系統であり、かつてのアメリカ大陸においては非常に高頻度に見られた。一方ユーラシア大陸においてはエニセイ系ケット人で90%以上、パシュトゥーン人に16%、東アジア地域で5%未満と道中に足跡を残してはいるが、ユーラシア大陸では総じて低頻度である。
- ただし、人種を反映する形態形質は、父系のY染色体ハプログループのみでなく、母系のミトコンドリアDNAハプログループとも相関性があること(古モンゴロイドに特徴的な母系のハプログループとしては、ハプログループM7aなどがある)、さらに多くのY染色体ハプログループの系統が同一集団として同じ人種を形成した(遺伝子の系統と集団の系統が一致しない)ため、形質とY染色体ハプログループの系統は一致しない場合が多い。
ハプログループD (Y染色体) | ハプログループC2 (Y染色体) | ハプログループN (Y染色体) | ハプログループO (Y染色体) | ハプログループQ (Y染色体) |
下戸遺伝子
[編集]
人種ごとのヌクレオチドの相違の数の見積もり、および人種間のNet Nucleotideの相違。人類遺伝学の宝来聡(国立遺伝学研究所)による[9]。 | ||||
---|---|---|---|---|
コーカソイド (口数=20) |
モンゴロイド (口数=71) |
ネグロイド (口数=10) | ||
コーカソイド | 0.0094 | 0.0012 | 0.0028 | |
モンゴロイド | 0.0128 | 0.0137 | 0.0015 | |
ネグロイド | 0.0194 | 0.0203 | 0.0238 | |
主要な人種間の遺伝の間隔と有効な発散の時間。根井正利ペンシルベニア大学教授による。 | ||||
比較 | タンパク質 (62位置 ) |
血液型 (23位置 ) |
合計 (85位置 ) |
有効な発散の時間(年) |
コーカソイド/モンゴロイド | 0.011 | 0.043 | 0.019 | 41000 ± 15000 |
コーカソイド/ネグロイド | 0.030 | 0.038 | 0.032 | 113000 ± 34000 |
ネグロイド/モンゴロイド | 0.031 | 0.096 | 0.047 | 116000 ± 34000 |
近年のDNA分析では、モンゴロイドとその他人種との混血度を検証する手段として、二つ有るアセトアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) のうちALDH2の突然変異(下戸遺伝子)をマーカー遺伝子とする方法が知られる。下戸遺伝子とは、ALDH2の487番目(N末端のシグナルペプチド17残基を考慮した場合は504番目に当たる[13])のアミノ酸を決めるコドンがGAAGluからAAALysに変化したものである(Aはアデニン、Gはグアニン)。この遺伝子は2万年程前に突然変異によって生じたとされ、特に新モンゴロイドに特有であり、この遺伝子を持つということは、「新モンゴロイド」であるか、かつて混血がおこったことの証明となる。[2]。篠田謙一によれば、その後のデータの蓄積からALDH2変異型遺伝子の発生は中国南部付近で、中国南部と北部で好まれる酒の違いにも反映されている。全く酒が飲めない下戸 (Type AA) の人々—すなわち「下戸遺伝子」を二つ持つのは、「モンゴロイド」に類される人々のうちの5%以下である。下戸遺伝子(正しくはALDH2の遺伝子)の持ち主はAAとAGであり、遺伝子頻度についてハーディー・ワインベルクの法則が成立する場合、AAが5%ならAGは2 (10-√5) √5≒35%、AAとAGで約40%になる。AGはAAより強いがGGより弱く、下戸ではないが酒豪でもなく、「モンゴロイド」以外と比較すれば酒に弱い。
下戸遺伝子の持ち主は中国南部と日本に集中しており、水耕栽培の発祥と推測される中国南部での、水田農耕地帯特有の感染症に対する自然選択の結果ではないかとも推測されている[14]。筑波大学の原田勝二による研究は、日本において九州と東北で下戸遺伝子が少ないという結果を出している[15]。
「酒に弱いタイプ」 (Type AG) は「モンゴロイド」のうちの約45%であるので、上記ハーディー・ワインベルクの法則は成立しない。詳細はハーディー・ワインベルクの法則参照。「モンゴロイド」以外コーカソイド(白人)等の人々は、ほとんどが「酒に強いタイプ」 (Type GG) であり、モンゴロイドとの混血の子孫が想定される地域住民で、そうでないタイプが見つかることもある[16]。
肥満関連遺伝子
[編集]内臓脂肪を貯め込む倹約遺伝子を他人種より2 - 4倍高頻度に有しており、肥満症から糖尿病になりやすいとされる[17]。
その他
[編集]最近の研究から、東アジア人(モンゴロイド)を特徴付ける遺伝子があることがわかった[18][19]。
分布
[編集]東ユーラシア
[編集]- アルタイ系
- ツングース派
- 北部ツングース
- 南部ツングース
- ツングース派
- 朝鮮民族(朝鮮半島/北方系統のY染色体ハプログループ C2系統14%、N系統4%、P系統2%、南方系統のY染色体ハプログループ O2系統41%、O1b2系統31%、O1a系統3%、O1b1系統2%、D1a2系統2%)
- アルタイ系
- モンゴル派(一部がコーカソイドと混血している)
- テュルク派(一部を除いてコーカソイドと混血している)
- 南西部テュルク(オグズ)
- 北西部テュルク(キプチャク)
- キプチャク・ブルガール
- バシキール人(バシコルトスタン共和国。テュルク化したマジャル人の末裔という[20])
- タタール語(タタールスタン共和国)
- キプチャク・クマン
- カラチャイ人(北コーカサス)
- バルカル人(カバルダ・バルカル共和国)
- クムク人(ダゲスタン共和国
- クリミア・カライム人(クリミア)
- クリムチャク人(黒海沿岸へ定住したユダヤ人)
- ウルム人(チュルク語を話すギリシャ人)
- クリミア・タタール人(クリミア共和国)
- キプチャク・ノガイ
- キルギス・キプチャク
- キプチャク・ブルガール
- 南東部テュルク(カルルク)
- 北東部テュルク(シベリア)
- 南部シベリア
- 北部シベリア
- オグールテュルク(オグール・ブルガール・ハザール・アヴァール)
縄文人を祖先とする日本列島の3民族、日本人、かつての蝦夷、大和、隼人、熊襲も含む。アイヌ民族はアイノイド(縄文人)の特徴を色濃く残しており、オホーツク文化人の特徴も見られる。大和民族と琉球民族もアイノイド(縄文人)を基盤とするが、新モンゴロイド(弥生人・古墳人)の特徴も見られる。下記はアイノイドの特徴が見受けられる順に記載。
- シナ・チベット系
- シナ派
- シナグループ
- 漢民族(中原の華夏族に東ユーラシアの多様なモンゴロイド系民族が絶え間ない混血を繰り返した。林惠祥は著書『中国民族史』で漢民族は華夏族を中心として東夷系、荊呉系、百越系及び東胡系、匈奴系などの民族を吸収し形成した民族であると論じている。黄河の上・中流を中心に居住していた華夏系は黄河の下流の東夷系、長江中下流域の荊呉系及び珠江を中心とした百越系と融合及び統合のプロセスを通して漢民族に生まれ変わったわけである。また辛亥革命以前の中国(清)では、中国人人口の80%は苗字も持たず、支配者である満州族と被支配民族である漢族のいずれの族にも含まれなかった平民だったが、辛亥革命以後、孫文は日本を訪問し、日本の近代化による発展を見て中国を近代化しようとした。 辛亥革命以後、苗字がなかった大多数の中国人が苗字を持てるようにし皆漢族に編入された。現行の漢民族のY染色体ハプログループ は主要26系統(0.1%以上)と非常に多く、さまざまな民族が近代以降に漢民族となったと考えられる。漢族が人口の大部分を成している中国の漢族、世界各地の華人のほか、周辺諸国に移住し現地化した華人であるホア族・ガイ族・コーカン族・大多数の台湾人・プラナカンなども広い意味では含まれる。漢民族を17の民系に分けることができ実際のところ言語よりも生活習慣、文化などによって分類される場合が多い。)
- 平地ヤオ族(広西壮族自治区東部・湖南省南部の開けた地域)
- 平話紅ヤオ族
- 白領ヤオ族又は四姓ヤオ族(袁・梁・侯・藍)
- サンジウ族(ベトナム社会主義共和国で広東語の方言あるいは広西平話を話すザオ族)
- 回族(漢族のイスラム教徒。寧夏回族自治区・甘粛省など)
- ドンガン人(中央アジアのフェルガナ盆地に居住している漢族のイスラム教徒)
- ペーグループ
- シナグループ
- チベット・ビルマ派
- シナ派
- タイ・カダイ系
- ミャオ・ヤオ系
- 系統不明
- タロン族(世界でもっとも小さい種族といわれるが話者が少なく系統不明。)
- チッタゴン丘陵地帯(少数民族でジュマと総称されるモンゴロイド。)
- チャクマ族(チベット・ビルマ語族からインド・ヨーロッパ語族のチャクマ語に言語シフトをした。)
- マルマ族(アラカン語の方言のマルマ語)
- トリプラ族(ボド・ガロ諸語のコクバラ語を話す。)
- トンチョンギャ族(トンチョンギャ族はチャクマ族の支族でインド・ヨーロッパ語族のタンチャンヤ語を話す。)
- チャク族(カチン・ルイ諸語のチャク語を話す。)
- パンコー族(パンコー族とボンジョイ族の2つの氏族に分かれ、クキ・チン諸語のパンコー語を話す。)
- ムロ族(クキ・チン諸語のムロ語を話す。)
- ムルン族
- バウム族(クキ・チン諸語のバウム語を話す。)
- ルシャイ族(クキ・チン諸語のルシャイ語を話す。)
- キャン族(キャン族はチャクマ族の支族である。)
- クミ族(クキ・チン諸語のクミ語を話す。)
南方系古モンゴロイド(東南アジア)
[編集](いくつかの民族はオーストラロイドと混血している)
- オーストロアジア系
- オーストロネシア系
- 台湾派(台湾先住民族/台湾島)
- マレー・ポリネシア派
- フィピングループ
- インド・メラネシアグループ
- 中核マレー・ポリネシアグループ
- 西マレー・ポリネシア(スンダ・スラウェシ)
- マレー半島 - スンバワ島
- 南スラウェシ諸語
- セレベス諸語
- チャモロ人(チャモロ人は、ミクロネシア人で西マレー・ポリネシアの言語を話す)
- パラオ人(パラオ人は、ミクロネシア人で西マレー・ポリネシアの言語を話す)
- 西マレー・ポリネシア(スンダ・スラウェシ)
オーストラロイド人種メラネシア系/中東マレー・ポリネシア(ズンバ・フローレンス諸語/中央マルク諸語/ティモール・バベル諸語)
太平洋
[編集]- オーストロネシア系
- マレー・ポリネシア派
- 中核マレー・ポリネシアグループ
- 中東マレー・ポリネシア
- 大洋州
- フィジー・ポリネシア
- ミクロネシア( ミクロネシア人でミクロネシアに居住。他民族のポリネシア人やメラネシア人と混血が進み身体的な変異が大きい)
- 大洋州
- 中東マレー・ポリネシア
- 中核マレー・ポリネシアグループ
- マレー・ポリネシア派
オーストラロイド人種・メラネシア系/太洋州(西大洋州諸語/中部メラネシア諸語/セント・マタイアス諸語/南東ソロモン諸語/ アドミラルティ諸島諸語/ヤップ語/テモツ語諸語/南大洋州諸語)
南北アメリカ大陸
[編集]北方系古モンゴロイドに分類されるが、独自の特徴もあり、「アメリンド」とも呼ばれる。 (詳細はインディアン・インディオ・アメリカ先住民諸語 を参照)
- ナ・デナ系(北米西北部、ニューメキシコ州)
- ハイダ語(孤立言語、ナ・デネ語族に含まれるとの説もある)
- アルゴンキン・ウォキャシ系(五大湖を中心に、北米東部の大部分)
- マクロ・スー系(アパラチア山脈及び北米中西部)
- 湾岸大語族
- ホカ系(カリフォルニア半島、メキシコ湾に面した一部地域/マクロ・スー大語族と併せてホカ・スー大語族とする場合もある)
- ケレス(孤立言語、ホカ・スー大語族に含まれるとの説もある)
- ペヌート系(カリフォルニア州、メキシコ東部、グアテマラ、ベリーズ。南米大陸のいくつかの言語を含む説がある)
- アズテック・タノア系(ネバダ州、ユタ州、メキシコ西部)
- タラスコ(孤立言語)
- オト・マンゲ系(メキシコ中部)
- マクロ・チブチャ系(ホンジュラス - パナマ地峡にかけて。南米大陸の一部の言語を含む)
- アンデス・赤道系(アンデス山脈、アマゾン川流域など)
- ゲ・パノ・カリブ系(ギアナ地方、ブラジル南部、パラグアイ、アルゼンチン東部など)
- ムーラ小語族
- ピダハン語(孤立言語)
- アラウコ語族
ナワトル語はアステカ帝国の、マヤ語はマヤ文明の、ケチュア語はインカ帝国の公用語の流れをくむ言語であると考えられている。 ゲ・パノ・カリブ語族に属するブラジルのトゥピ語は現在でも多くの話者が存在しており、ブラジルの文化的ルーツの一つとして考えられている。 パラグアイなどの隣接するスペイン語地域では、グアラニー語と呼ばれており、これらは方言の違いであると考えられている。
他人種との混血
[編集]- モンゴル、中央アジア、シベリア、ヨーロッパ北東部ではモンゴロイドとコーカソイドが混血している。モンゴル系民族、テュルク系民族(トゥラン人種)、ウラル系民族(ラップ人種)など。
- ウラル系民族でウラル山脈以西の地域ではコーカソイドの集団との混血の結果、ハンティ人・マンシ人以外のフィン・ウゴル語派はモンゴロイドとコーカソイドの中間種の一部を除いて、概ね東ヨーロッパ人種に分類されており、特にバルト・フィン語派が形質にスカンジナビア人種に属するコーカソイドに分類される。
- ポリネシア人種(ポリネシア人、ミクロネシア人)は、台湾を発ったモンゴロイドのオーストロネシア集団と、オーストラロイドのニューギニア先住民が混血した集団からなっていることが遺伝子から示された[21]。
- 東南アジアや南部中国のモンゴロイドはオーストラロイドと混血している。
- オーストラロイドのメラネシア人はモンゴロイドのポリネシア人、ミクロネシア人とオーストラロイドのパプア人と混血した。
- ネパール西部からインド北東部のタルー人はもともとはコーカソイドだったが、チベット系と混血を重ねて、次第にモンゴロイド化した。
- インド東部のオーストロアジア系ムンダ人は東南アジアからインドに東進し、オーストラロイドのインド先住民(ドラヴィダ人種、ヴェッダ人種)と混血した。
- マダガスカルのオーストロネシア系マダガスカル語を話すメリナ人(マラガシー人種)は東南アジアからマダガスカルに移住してネグロイドのアフリカ先住民と混血した。
- アメリカ先住民のいくつかの部族は、コロンブスの新大陸発見以降コーカソイドと混血している。
脚注
[編集]- ^ 斎藤、2002年
- ^ Painter, Nell Irvin (2003年). “Why White People are Called Caucasian?”. Yale University. October 20, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。September 27, 2007閲覧。:34
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- ^ 原田勝二インタビュー
- ^ 『科学朝日』 モンゴロイドの道 朝日選書 (523) より。北方モンゴロイド特有の酒が飲めない下戸遺伝子 日本人: 44%、ハンガリー人: 2%、フィン人: 0% 下戸遺伝子とは、アセトアルデヒド脱水素酵素 (ALDH) の487番目のアミノ酸を決める塩基配列がグアニンからアデニンに変化したもので、モンゴロイド特有の遺伝子であり、コーカソイド(白人)・ネグロイド(黒人)・オーストラロイド(オーストラリア原住民等)には存在しない。よってこの遺伝子を持つということは、黄色人種であるか、黄色人種との混血であることの証明となる [1]。
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