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'''{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム'''(ニューガンダム、{{lang-en-short|{{スペル|ν|lang=el}}-GUNDAM}})は、「[[ガンダムシリーズ一覧|ガンダムシリーズ]]」に登場する架空の兵器。[[架空のロボット兵器の一覧|有人操縦式の人型ロボット兵器]]「'''[[モビルスーツ]]'''」の一つ。初出は、1988年公開の[[アニメーション映画]]『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』。
'''{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム'''(ニューガンダム、{{lang-en-short|{{スペル|ν|lang=el}}-GUNDAM}})は、「[[ガンダムシリーズ一覧|ガンダムシリーズ]]」に登場する架空の兵器。[[架空のロボット兵器の一覧|有人操縦式の人型ロボット兵器]]「'''[[モビルスーツ]]'''」の一つ。初出は、1988年公開の[[アニメーション映画]]『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]]』。


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==機体解説==
==機体解説==
{{機動兵器
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ネオ・ジオンの戦力に対し、在来機種では対抗しきれない事から開発された<ref name="old144n"> 「1/144 νガンダム」バンダイ 1988年 説明書</ref>。開発要請はロンド・ベルが行い、地球連邦軍が発注<ref name="old144n"/>。設計にはアムロ・レイが参加<ref name="old144n"/>。製造は[[アナハイム・エレクトロニクス社]]の[[フォン・ブラウン市|フォン・ブラウン]]工場が担当した<ref name="HGUC">「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93 νガンダム」バンダイ 2008年3月 組立説明書参照</ref>。U.C.0093年ロールアウト<ref name="old-1/100">「1/100 νガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 組立説明書参照</ref>。3か月という短期間で完成に漕ぎつけた<ref name="HGUC"/>{{Refnest|group="注"|アナハイム社製MSの中では、当初より特定個人の専用機として開発された機体は本機のみである。劇場版『機動戦士Ζガンダム』の漫画版では[[Ζガンダム]]はカミーユの専用機として作られたとされているが、公式設定かどうかは不明}}。
ネオ・ジオンの戦力に対し、在来機種では対抗しきれない事から開発された<ref name="old144n"> 「1/144 {{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」バンダイ 1988年 説明書</ref>。開発要請はロンド・ベルが行い、地球連邦軍が発注<ref name="old144n"/>。設計にはアムロ・レイが参加<ref name="old144n"/>。製造は[[アナハイム・エレクトロニクス社]]の[[フォン・ブラウン市|フォン・ブラウン]]工場が担当した<ref name="HGUC">「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93 {{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」バンダイ 2008年3月 組立説明書参照</ref>。U.C.0093年ロールアウト<ref name="old-1/100">「1/100 {{スペル|ν|lang=el}}ガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 組立説明書参照</ref>。3か月という短期間で完成に漕ぎつけた<ref name="HGUC"/>{{Refnest|group="注"|アナハイム社製MSの中では、当初より特定個人の専用機として開発された機体は本機のみである。劇場版『機動戦士Ζガンダム』の漫画版では[[Ζガンダム]]はカミーユの専用機として作られたとされているが、公式設定かどうかは不明}}。


設計はRX-78 ガンダムと歴代ガンダムタイプのスペックの平均値を基に、当時の最先端技術を導入して能力をアップデートする形で行われた<ref name="env66">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 66頁。(ISBN 978-4891890193)</ref>。また、機体名の[[ν]]はアナハイム社製ガンダムの11番目の開発コードを意味する<ref>「ガンダムセンチネル」大日本絵画 1989年9月初版発行 73頁。(ISBN 978-4499205306)</ref>。開発担当者は[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#オクトバー・サラン|オクトバー・サラン]]<ref>「機動戦士ガンダム キャラクター大図鑑1 PART.12」『機動戦士ガンダムMS大図鑑 宇宙世紀ボックス』メディアワークス、2005年3月、66頁。(ISBN 978-4840229449)</ref>。
設計はRX-78 ガンダムと歴代ガンダムタイプのスペックの平均値を基に、当時の最先端技術を導入して能力をアップデートする形で行われた<ref name="env66">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 66頁。(ISBN 978-4891890193)</ref>。また、機体名の{{スペル|[[ν]]|lang=el}}はアナハイム社製ガンダムの11番目の開発コードを意味する<ref>「ガンダムセンチネル」大日本絵画 1989年9月初版発行 73頁。(ISBN 978-4499205306)</ref>。開発担当者は[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#オクトバー・サラン|オクトバー・サラン]]<ref>「機動戦士ガンダム キャラクター大図鑑1 PART.12」『機動戦士ガンダムMS大図鑑 宇宙世紀ボックス』メディアワークス、2005年3月、66頁。(ISBN 978-4840229449)</ref>。


アナハイム社が培ってきたモビルスーツ技術も積極的に利用されており、機体に用いる部材はΖ系モビルスーツのものを使用<ref name="MG">「マスターグレード RX-93 ニューガンダム」バンダイ 2000年12月 組立説明書参照</ref>。センサー類には[[オールレンジ攻撃#インコム|インコム]]や[[サイコミュ#バイオセンサー|バイオセンサー]]の技術をスピンオフして用いている<ref name="MG"/>。さらに、整備やアップデート、量産化を踏まえて他の量産型モビルスーツの中から選別したムーバブルフレーム等を使用するとともに内装火器は極力減らされている<ref name="MG"/>。また、フィン・ファンネルの搭載にあわせて機体の慣性重心、バランスを考慮し、重心移動に対応した機体管制プログラムも搭載されている<ref name="MG"/>。操縦系統もΖ系ほどの先鋭さはない<ref name="MG"/>。これにより本機はU.C.0093年における最強クラスの性能を誇るモビルスーツでありながら<ref name="dc58"/>、実用兵器としての信頼性も兼ね備えたバランスの良い機体として完成した<ref name="MG"/>。
アナハイム社が培ってきたモビルスーツ技術も積極的に利用されており、機体に用いる部材はΖ系モビルスーツのものを使用<ref name="MG">「マスターグレード RX-93 ニューガンダム」バンダイ 2000年12月 組立説明書参照</ref>。センサー類には[[オールレンジ攻撃#インコム|インコム]]や[[サイコミュ#バイオセンサー|バイオセンサー]]の技術をスピンオフして用いている<ref name="MG"/>。さらに、整備やアップデート、量産化を踏まえて他の量産型モビルスーツの中から選別したムーバブルフレーム等を使用するとともに内装火器は極力減らされている<ref name="MG"/>。また、フィン・ファンネルの搭載にあわせて機体の慣性重心、バランスを考慮し、重心移動に対応した機体管制プログラムも搭載されている<ref name="MG"/>。操縦系統もΖ系ほどの先鋭さはない<ref name="MG"/>。これにより本機はU.C.0093年における最強クラスの性能を誇るモビルスーツでありながら<ref name="dc58"/>、実用兵器としての信頼性も兼ね備えたバランスの良い機体として完成した<ref name="MG"/>。


敵の脳波をサイコミュで強化し受信すればこちらの対応は早くなる、というアムロのアイデアにより<ref>劇場用アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」13分頃より</ref>、コクピットシート後方にサイコミュ受信パックを備える他<ref name="old144"/>、コクピットの周囲及び駆動部<ref name="b-c">「Bクラブスペシャル15 機動戦士ガンダムMS大全集」バンダイ 1988年2月10日初版発行 80-82頁。(ISBN 4-89189-336-2)</ref><ref name="dc58">『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店 1998年8月15日初版発行 58-62頁。(ISBN 4-8402-0912-X)</ref>、機体各所のムーバブルフレーム<ref name="env42"/>に[[サイコフレーム]]を分散配置<ref name="eb8">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.8 SPECIALガンダム大鑑」バンダイ 1993年2月28日初版発行 39-40頁。(ISBN 978-4891892067)</ref>してサイコミュの小型化・感応度の向上が図られ<ref name="dc4"/>、パイロットの脳波を駆動部に伝達する事により<ref name="old144n"/>、機体の追従性、並びに運動性の向上にも大きな貢献を果たしている<ref name="env42">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 126頁。(ISBN 978-4891890193)</ref>{{Refnest|group="注"|劇中オクトバー・サラン主任技師がサイコフレーム採用箇所をアムロに説明しているシーンが有り、コックピット周辺部のみである。一方で、資料によっては駆動部や機体各所にも導入しているとするものも存在する<ref name="env42"/><ref name="dc58"/><ref name="eb8"/><ref name="b-c"/>。}}<ref group="注">元々サイコミュを搭載しているため、サイコフレームがなくともフィン・ファンネルの運用自体は可能</ref>{{Refnest|group="注"|機体構造が単純化された分、各部の耐久性も高く、実戦でサザビーを拳打の応酬の末に行動不能にした後も、掌部分の可動は損なわれなかった}}{{Refnest|group="注"|νガンダムに採用されたサイコフレームは、アムロがサザビーと同等性能のMSに搭乗して決着をつけることを望んだシャアによってアナハイム社へ意図的に横流しされたもので、当初は装備されていなかった。アムロにはアナハイム社の材料開発部門が独自開発したものであると説明されたが、後にオクトバーの手紙によりネオ・ジオンより入ってきた技術であることが[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#チェーン・アギ|チェーン・アギ]]に伝えられる。このサイコフレームには未知の部分が多く、本機が小惑星アクシズ落下阻止を試みた際には、MS内部のサイコフレームがアムロの意思に応えるかの如く、機体から溢れるほどの虹色の光を放ち、地球の重力に引きずられていた小惑星を押し戻すほどのサイコ・フィールドを生み出すという奇跡を見せている}}。
敵の脳波をサイコミュで強化し受信すればこちらの対応は早くなる、というアムロのアイデアにより<ref>劇場用アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」13分頃より</ref>、コクピットシート後方にサイコミュ受信パックを備える他<ref name="old144"/>、コクピットの周囲及び駆動部<ref name="b-c">「Bクラブスペシャル15 機動戦士ガンダムMS大全集」バンダイ 1988年2月10日初版発行 80-82頁。(ISBN 4-89189-336-2)</ref><ref name="dc58">『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店 1998年8月15日初版発行 58-62頁。(ISBN 4-8402-0912-X)</ref>、機体各所のムーバブルフレーム<ref name="env42"/>に[[サイコフレーム]]を分散配置<ref name="eb8">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.8 SPECIALガンダム大鑑」バンダイ 1993年2月28日初版発行 39-40頁。(ISBN 978-4891892067)</ref>してサイコミュの小型化・感応度の向上が図られ<ref name="dc4"/>、パイロットの脳波を駆動部に伝達する事により<ref name="old144n"/>、機体の追従性、並びに運動性の向上にも大きな貢献を果たしている<ref name="env42">「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 126頁。(ISBN 978-4891890193)</ref>{{Refnest|group="注"|劇中オクトバー・サラン主任技師がサイコフレーム採用箇所をアムロに説明しているシーンが有り、コックピット周辺部のみである。一方で、資料によっては駆動部や機体各所にも導入しているとするものも存在する<ref name="env42"/><ref name="dc58"/><ref name="eb8"/><ref name="b-c"/>。}}<ref group="注">元々サイコミュを搭載しているため、サイコフレームがなくともフィン・ファンネルの運用自体は可能</ref>{{Refnest|group="注"|機体構造が単純化された分、各部の耐久性も高く、実戦でサザビーを拳打の応酬の末に行動不能にした後も、掌部分の可動は損なわれなかった}}{{Refnest|group="注"|{{スペル|lang=el}}ガンダムに採用されたサイコフレームは、アムロがサザビーと同等性能のMSに搭乗して決着をつけることを望んだシャアによってアナハイム社へ意図的に横流しされたもので、当初は装備されていなかった。アムロにはアナハイム社の材料開発部門が独自開発したものであると説明されたが、後にオクトバーの手紙によりネオ・ジオンより入ってきた技術であることが[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#チェーン・アギ|チェーン・アギ]]に伝えられる。このサイコフレームには未知の部分が多く、本機が小惑星アクシズ落下阻止を試みた際には、MS内部のサイコフレームがアムロの意思に応えるかの如く、機体から溢れるほどの虹色の光を放ち、地球の重力に引きずられていた小惑星を押し戻すほどのサイコ・フィールドを生み出すという奇跡を見せている}}。


===武装===
===武装===
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:作動の確実性を考慮し薬莢方式を採用しており<ref name="old-1/100"/>、射撃と同時に空薬莢が頭部側面より排出される。基本的には[[ミサイル]]や[[グレネード]]などへの迎撃や牽制用に用いられるが、劇中ではギラ・ドーガ2体の頭部を続けて吹き飛ばしたり、サザビーの腹部メガ粒子砲(パワーダウン時)を押し留める程の威力を備えており、アムロの技量もあって対モビルスーツ戦においても十分な効果を発揮する。
:作動の確実性を考慮し薬莢方式を採用しており<ref name="old-1/100"/>、射撃と同時に空薬莢が頭部側面より排出される。基本的には[[ミサイル]]や[[グレネード]]などへの迎撃や牽制用に用いられるが、劇中ではギラ・ドーガ2体の頭部を続けて吹き飛ばしたり、サザビーの腹部メガ粒子砲(パワーダウン時)を押し留める程の威力を備えており、アムロの技量もあって対モビルスーツ戦においても十分な効果を発揮する。
;ビームライフル
;ビームライフル
:出力3.8MW<ref name="old144n"/>。専用の長砲身大型ライフル。サブグリップやマウントパーツはないが、銃口の上には[[グレネードランチャー]]が装備されている<ref name="old144">「1/144 νガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 説明書</ref>。バースト・セレクターの切り替えによってマシンガンのような連射に切り替え可能<ref name="old144"/>で、最大出力ならば同時期における戦艦の主砲レベルの威力を発揮する<ref name="HGUC"/>{{Refnest|group="注"|劇中では戦場に割って入ったνガンダムのライフル射撃を、敵パイロットが艦戴のメガ粒子砲だと勘違いするシーンがある。}}。劇中ではかなりの長時間使用され続けながらも、サザビーによって破壊されるまでエネルギー不足になることはなかった。
:出力3.8MW<ref name="old144n"/>。専用の長砲身大型ライフル。サブグリップやマウントパーツはないが、銃口の上には[[グレネードランチャー]]が装備されている<ref name="old144">「1/144 {{スペル|ν|lang=el}}ガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 説明書</ref>。バースト・セレクターの切り替えによってマシンガンのような連射に切り替え可能<ref name="old144"/>で、最大出力ならば同時期における戦艦の主砲レベルの威力を発揮する<ref name="HGUC"/>{{Refnest|group="注"|劇中では戦場に割って入った{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムのライフル射撃を、敵パイロットが艦戴のメガ粒子砲だと勘違いするシーンがある。}}。劇中ではかなりの長時間使用され続けながらも、サザビーによって破壊されるまでエネルギー不足になることはなかった。
;フィン・ファンネル
;フィン・ファンネル
:板状の収納形態で左背面に6基装備されている。解放型のメガ粒子加速器を備えるタイプで<ref name="env66"/>、従来のファンネルとは異なり、内部に小型のジェネレーターを内蔵し<ref name="MG"/>、ビームの威力はより強力となっている<ref name="old-1/100"/>。また、フィン・ファンネル内部にはスラスターを内蔵する<ref name="old144"/>とともに、ファンネル自体にアンバック ([[AMBAC]]) が搭載されており、燃費を下げ稼働時間を延伸している<ref name="env66"/>。
:板状の収納形態で左背面に6基装備されている。解放型のメガ粒子加速器を備えるタイプで<ref name="env66"/>、従来のファンネルとは異なり、内部に小型のジェネレーターを内蔵し<ref name="MG"/>、ビームの威力はより強力となっている<ref name="old-1/100"/>。また、フィン・ファンネル内部にはスラスターを内蔵する<ref name="old144"/>とともに、ファンネル自体にアンバック ([[AMBAC]]) が搭載されており、燃費を下げ稼働時間を延伸している<ref name="env66"/>。
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:さらにはファンネルを頂点として[[四角錐]]型の'''対ビーム・バリアー'''([[ミノフスキー粒子#Iフィールド|Iフィールドの発展技術]])を張ることにより<ref name="dc4"/>、機体の全周囲に防御シールドを展開することが可能{{Refnest|group="注"|劇中では、バリアー展開中にその内側から攻撃を行い、敵ファンネルを撃墜している描写が見られる。}}。ただし、この時展開したフィールド内に敵機のファンネルが入り込めば、サイコ・ウェーブの干渉によってパイロットに生理的ダメージを与える事がある<ref name="env66"/>。
:さらにはファンネルを頂点として[[四角錐]]型の'''対ビーム・バリアー'''([[ミノフスキー粒子#Iフィールド|Iフィールドの発展技術]])を張ることにより<ref name="dc4"/>、機体の全周囲に防御シールドを展開することが可能{{Refnest|group="注"|劇中では、バリアー展開中にその内側から攻撃を行い、敵ファンネルを撃墜している描写が見られる。}}。ただし、この時展開したフィールド内に敵機のファンネルが入り込めば、サイコ・ウェーブの干渉によってパイロットに生理的ダメージを与える事がある<ref name="env66"/>。
:その形状から、[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ギュネイ・ガス|ギュネイ・ガス]]には放熱板と誤認されている。
:その形状から、[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ギュネイ・ガス|ギュネイ・ガス]]には放熱板と誤認されている。
:ROBOT魂のνガンダムのフィン・ファンネルセットまた拡張フルセットには、Hi-νガンダムと同様に装備できるファンネルラックが存在する。
:ROBOT魂の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムのフィン・ファンネルセットまた拡張フルセットには、{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと同様に装備できるファンネルラックが存在する。
;[[ハイパーバズーカ|ニューハイパーバズーカ]]
;[[ハイパーバズーカ|ニューハイパーバズーカ]]
:口径280mmの実弾バズーカ<ref name="HGUC"/>。砲身先端部には照準用のレーザーセンサーを備える<ref name="old144n"/>。地球連邦軍製モビルスーツ用の武装としては一般的だが、本機のものは有効射程距離の向上、弾頭への変更などの改良が施されている<ref name="MG"/>。背面バックパックにマウントした状態やνガンダム本体から切り離した状態でも、通信用ワイヤーを介した指令により射撃可能であるため、アムロはこの機能を利用して変則的な攻撃を繰り出した。
:口径280mmの実弾バズーカ<ref name="HGUC"/>。砲身先端部には照準用のレーザーセンサーを備える<ref name="old144n"/>。地球連邦軍製モビルスーツ用の武装としては一般的だが、本機のものは有効射程距離の向上、弾頭への変更などの改良が施されている<ref name="MG"/>。背面バックパックにマウントした状態や{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム本体から切り離した状態でも、通信用ワイヤーを介した指令により射撃可能であるため、アムロはこの機能を利用して変則的な攻撃を繰り出した。
:同様の火器のスケールダウン品を、宇宙世紀0150年代が舞台のアニメ『[[機動戦士Vガンダム]]』第34話にて[[リガ・ミリティア]]所属モビルスーツが使用している。
:同様の火器のスケールダウン品を、宇宙世紀0150年代が舞台のアニメ『[[機動戦士Vガンダム]]』第34話にて[[リガ・ミリティア]]所属モビルスーツが使用している。
;シールド
;シールド
:裏面にビームキャノン1門(出力7.8MW<ref name="old144n"/>)とミサイル4発を装備。ビームキャノンは独自に稼動用ジェネレーターを備えており、一年戦争時に使用されていたビームライフル程度の威力を持っている<ref name="HGUC"/>。宇宙世紀0093年時の装甲材でもビームを完全に無効化することは不可能なので、この武器でもモビルスーツを撃墜することは可能。裏面にグリップはなく、マウントパーツによって左腕に装着する。
:裏面にビームキャノン1門(出力7.8MW<ref name="old144n"/>)とミサイル4発を装備。ビームキャノンは独自に稼動用ジェネレーターを備えており、一年戦争時に使用されていたビームライフル程度の威力を持っている<ref name="HGUC"/>。宇宙世紀0093年時の装甲材でもビームを完全に無効化することは不可能なので、この武器でもモビルスーツを撃墜することは可能。裏面にグリップはなく、マウントパーツによって左腕に装着する。
:シールド表面に描かれた[[ユニコーン|一角獣]]をモチーフとしたマーキングはアムロのパーソナルマークであり、νガンダムの左肩にはα字状の同種のパーソナルマーク(一角獣のモチーフはない)が描かれている。
:シールド表面に描かれた[[ユニコーン|一角獣]]をモチーフとしたマーキングはアムロのパーソナルマークであり、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムの左肩には{{スペル|α|lang=el}}字状の同種のパーソナルマーク(一角獣のモチーフはない)が描かれている。
;ビームサーベル
;ビームサーベル
:バックパック右側に装備されたメインのサーベル(カスタム・ビームサーベル)。出力0.85MW<ref name="old144n"/>。鍔を持った形状をしており、ビーム刃の形状も曲刀状となっている他、グリップエンドからも短い刃を発する。増幅装置やエミッターに仕様変更が加えられ、形状を変更することもできる<ref name="HGUC"/>。また、当時一般的な斬りかかる際のみにビームが出るオートパワーオン機構を採用しており<ref name="old-1/100"/>、無駄なエネルギーの消費を抑えている。
:バックパック右側に装備されたメインのサーベル(カスタム・ビームサーベル)。出力0.85MW<ref name="old144n"/>。鍔を持った形状をしており、ビーム刃の形状も曲刀状となっている他、グリップエンドからも短い刃を発する。増幅装置やエミッターに仕様変更が加えられ、形状を変更することもできる<ref name="HGUC"/>。また、当時一般的な斬りかかる際のみにビームが出るオートパワーオン機構を採用しており<ref name="old-1/100"/>、無駄なエネルギーの消費を抑えている。
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:左腕シールドマウント基部に装備された予備のサーベルが存在する。デバイスとしては一般的なもので<ref name="HGUC"/>、メインのビームサーベルよりも出力は低い。劇中ではメインのサーベルを失ったとき一度だけ使用している。
:左腕シールドマウント基部に装備された予備のサーベルが存在する。デバイスとしては一般的なもので<ref name="HGUC"/>、メインのビームサーベルよりも出力は低い。劇中ではメインのサーベルを失ったとき一度だけ使用している。
;その他
;その他
:マニピュレーターには、グリプス戦役時のモビルスーツと同様にダミー発射機やトリモチ・ランチャーを装備している。劇中において武装を失ったνガンダムは[[ギラ・ドーガ]]からビーム・マシンガンを奪い使用しているが、使用の際に支障をきたすことは無かった。
:マニピュレーターには、グリプス戦役時のモビルスーツと同様にダミー発射機やトリモチ・ランチャーを装備している。劇中において武装を失った{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムは[[ギラ・ドーガ]]からビーム・マシンガンを奪い使用しているが、使用の際に支障をきたすことは無かった。


===劇中での活躍===
===劇中での活躍===
νガンダムはアナハイム社の開発スタッフが総力を結集し、不眠不休の努力のもと3か月で急造された機体ではあったが、それでも「シャアの反乱」における戦況の変化に対応することはできず、納期を10日も繰り上げられるといった描写があり、サイコ・フレームへの換装作業は発注元であるロンド・ベルへの事前連絡がなされないまま行われた。
{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムはアナハイム社の開発スタッフが総力を結集し、不眠不休の努力のもと3か月で急造された機体ではあったが、それでも「シャアの反乱」における戦況の変化に対応することはできず、納期を10日も繰り上げられるといった描写があり、サイコ・フレームへの換装作業は発注元であるロンド・ベルへの事前連絡がなされないまま行われた。


物語の冒頭、5thルナをめぐる攻防戦が行われていた時点では、まだ機体の組み立てすら完了しておらず、アムロが自ら月に赴いた時には実戦配備が可能となるまでには3日かかると言われている。しかし、サイコミュのテスト中にロンド・ベルから部隊への帰還命令が下されたため、アムロはスタッフの猛反対を押し切り(「そんな状態で出たら、死にますよ!」と警告された)調整も終えていない軽装の本機で出撃、そのままシャアのロンデニオン潜入の陽動として展開したネオ・ジオン軍部隊との戦闘へ突入した。後にファンネルや他の武装も届けられ、[[ラー・カイラム]]内で戦闘の合間をぬって調整は続けられた。当初ファンネルはアムロの意志に過敏な反応をみせたり、動きが非常に悪く、たやすく敵に撃墜されたりと稼動に問題があったが、整備班の努力により改善されている。
物語の冒頭、5thルナをめぐる攻防戦が行われていた時点では、まだ機体の組み立てすら完了しておらず、アムロが自ら月に赴いた時には実戦配備が可能となるまでには3日かかると言われている。しかし、サイコミュのテスト中にロンド・ベルから部隊への帰還命令が下されたため、アムロはスタッフの猛反対を押し切り(「そんな状態で出たら、死にますよ!」と警告された)調整も終えていない軽装の本機で出撃、そのままシャアのロンデニオン潜入の陽動として展開したネオ・ジオン軍部隊との戦闘へ突入した。後にファンネルや他の武装も届けられ、[[ラー・カイラム]]内で戦闘の合間をぬって調整は続けられた。当初ファンネルはアムロの意志に過敏な反応をみせたり、動きが非常に悪く、たやすく敵に撃墜されたりと稼動に問題があったが、整備班の努力により改善されている。


地球寒冷化作戦阻止のためロンド・ベルが[[アクシズ]]への核攻撃を遂行した際には第二波として出撃。ネオ・ジオンのモビルスーツ部隊を一蹴するものの、核ミサイルが全て撃墜されたため作戦自体は失敗している。さらに、シャア打倒のためにνガンダムを手に入れようと目論むギュネイ・ガスにより[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ケーラ・スゥ|ケーラ・スゥ]]が人質にとられ、機体にワイヤーをかけられたアムロは要求どおりに武装を解除(フィン・ファンネルを外した)することで投降の姿勢を見せるものの、フィン・ファンネルを放熱板と勘違いし逆上したギュネイが、アムロの殺害を命じたためワイヤーより電撃を受け、アムロの苦痛にファンネルが反応して攻撃をおこない窮地を脱する。この攻撃によりギュネイは撤退するものの、ケーラは死亡。部下を失った悲しみの中、アムロも帰艦する。
地球寒冷化作戦阻止のためロンド・ベルが[[アクシズ]]への核攻撃を遂行した際には第二波として出撃。ネオ・ジオンのモビルスーツ部隊を一蹴するものの、核ミサイルが全て撃墜されたため作戦自体は失敗している。さらに、シャア打倒のために{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムを手に入れようと目論むギュネイ・ガスにより[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#ケーラ・スゥ|ケーラ・スゥ]]が人質にとられ、機体にワイヤーをかけられたアムロは要求どおりに武装を解除(フィン・ファンネルを外した)することで投降の姿勢を見せるものの、フィン・ファンネルを放熱板と勘違いし逆上したギュネイが、アムロの殺害を命じたためワイヤーより電撃を受け、アムロの苦痛にファンネルが反応して攻撃をおこない窮地を脱する。この攻撃によりギュネイは撤退するものの、ケーラは死亡。部下を失った悲しみの中、アムロも帰艦する。


アクシズ破壊のため三段構えの作戦をたてたロンド・ベルは再度攻撃を開始。[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#クェス・パラヤ|クェス・パラヤ]]の意志を感じたアムロは彼女の搭乗する[[α・アジール]]と、その護衛として随伴していたギュネイの[[ヤクト・ドーガ]]らと交戦。2機の高性能機とギラ・ドーガ部隊を相手に互角以上に戦い、危機に陥るもののファンネルにより展開されたバリアーで難を逃れている。最終的にはヤクト・ドーガを撃墜しクェスも追い詰めるが、アクシズの破壊を優先し止めを刺さず終わった。
アクシズ破壊のため三段構えの作戦をたてたロンド・ベルは再度攻撃を開始。[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャアの登場人物#クェス・パラヤ|クェス・パラヤ]]の意志を感じたアムロは彼女の搭乗する[[α・アジール]]と、その護衛として随伴していたギュネイの[[ヤクト・ドーガ]]らと交戦。2機の高性能機とギラ・ドーガ部隊を相手に互角以上に戦い、危機に陥るもののファンネルにより展開されたバリアーで難を逃れている。最終的にはヤクト・ドーガを撃墜しクェスも追い詰めるが、アクシズの破壊を優先し止めを刺さず終わった。


νガンダムはアクシズに取り付くが、ここでアムロと決着をつけるため待っていたシャアのサザビーと最後の戦いを行うことになる。二人の実力は伯仲しており、互いに武器を失い機体のダメージも蓄積していったが、最終的にはサザビーを撃破する事に成功し、機体より放出されたシャアの[[脱出ポッド]]を捕獲する。ロンド・ベルの工作によりアクシズは内部より爆破され2つに割れたが、作戦ミスによりそのうちの後方の1つが地球への落下コースをたどり始め、アムロは破片の落下を阻止するべく機体をアクシズに取り付かせた。その行為に味方のみならず敵機までもその行動に協力した。その後サイコフレームの共振効果か、νガンダムが虹色の光を発し、発生したサイコ・フィールドによって他の機体は押しのけられることで命を救われ、アクシズは地球から離れていくが、νガンダムおよびアムロとシャアの消息については劇中では描写されていない。
{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムはアクシズに取り付くが、ここでアムロと決着をつけるため待っていたシャアのサザビーと最後の戦いを行うことになる。二人の実力は伯仲しており、互いに武器を失い機体のダメージも蓄積していったが、最終的にはサザビーを撃破する事に成功し、機体より放出されたシャアの[[脱出ポッド]]を捕獲する。ロンド・ベルの工作によりアクシズは内部より爆破され2つに割れたが、作戦ミスによりそのうちの後方の1つが地球への落下コースをたどり始め、アムロは破片の落下を阻止するべく機体をアクシズに取り付かせた。その行為に味方のみならず敵機までもその行動に協力した。その後サイコフレームの共振効果か、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムが虹色の光を発し、発生したサイコ・フィールドによって他の機体は押しのけられることで命を救われ、アクシズは地球から離れていくが、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムおよびアムロとシャアの消息については劇中では描写されていない。


ネオ・ジオン側のエースパイロットを複数撃破し、加えて、地球の重力に引かれて落下する巨大なアクシズを弾き返したという奇跡から、「シャアの反乱」終結後15年の月日を経ても「連邦軍最強のモビルスーツ」として知られていた。
ネオ・ジオン側のエースパイロットを複数撃破し、加えて、地球の重力に引かれて落下する巨大なアクシズを弾き返したという奇跡から、「シャアの反乱」終結後15年の月日を経ても「連邦軍最強のモビルスーツ」として知られていた。
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本機はΖガンダムやΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で[[鈴木雅久]]らが中心となり、富野が提示した「マントを羽織ったガンダム」というコンセプトの元、数多くのラフデザインを提出。最終的に出渕裕によってまとめられている。その際、出渕は「自分の理想を追求した」と述べている。
本機はΖガンダムやΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で[[鈴木雅久]]らが中心となり、富野が提示した「マントを羽織ったガンダム」というコンセプトの元、数多くのラフデザインを提出。最終的に出渕裕によってまとめられている。その際、出渕は「自分の理想を追求した」と述べている。


メカデザインの面でもターニングポイントとなり、その後の作品の主役メカデザインに大きな影響を与えた。[[カトキハジメ]]は雑誌企画『[[ガンダム・センチネル]]』で、自身がΖガンダムからΖΖガンダムの流れを踏まえ、主人公機[[Sガンダム]]には複雑なデザインを考えていたため、それと対照的なνガンダムを見た時は衝撃を受けたと回想している。
メカデザインの面でもターニングポイントとなり、その後の作品の主役メカデザインに大きな影響を与えた。[[カトキハジメ]]は雑誌企画『[[ガンダム・センチネル]]』で、自身がΖガンダムからΖΖガンダムの流れを踏まえ、主人公機[[Sガンダム]]には複雑なデザインを考えていたため、それと対照的な{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムを見た時は衝撃を受けたと回想している。


機体色は従来のガンダムシリーズで採られていた[[トリコロール]]カラーから一転、白と黒([[ミッドナイトブルー]])を基調としたものになっている。なお、2014年現在、歴代ガンダム型モビルスーツでフェイスカバー部にある「へ」の字状の[[スリット]]が3本入っているのは、νガンダムと後述の[[#Hi-νガンダム|Hi-νガンダム]]のみであるが、劇場映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』のポスター用に大河原邦男が描きおろした画稿の一つには、大河原のミスにより「へ」の字スリットが3本付いたRX-78-2 ガンダムがある。
機体色は従来のガンダムシリーズで採られていた[[トリコロール]]カラーから一転、白と黒([[ミッドナイトブルー]])を基調としたものになっている。なお、2014年現在、歴代ガンダム型モビルスーツでフェイスカバー部にある「へ」の字状の[[スリット]]が3本入っているのは、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと後述の[[#Hi-νガンダム|{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム]]のみであるが、劇場映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』のポスター用に大河原邦男が描きおろした画稿の一つには、大河原のミスにより「へ」の字スリットが3本付いたRX-78-2 ガンダムがある。


====(特報版)νガンダム====
====(特報版){{スペル|ν|lang=el}}ガンダム====
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の初期の予告編である「特報」の映像に登場。バストアップで薬莢を撒き散らしつつ頭部バルカン砲を連射する映像であるが、本編に登場した機体とカラーリングが異なる。胸部インテークおよび顎と額が赤、他はグレー(塗装前とも言われる<ref>『B-CLUB』vol.21より。</ref>)となっている。さらに背景は曇天であり、地球あるいはスペース・コロニー内での映像と思われる。アムロが乗った機体はスペース・コロニーでも試験を行う余裕はなかったはずである。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の初期の予告編である「特報」の映像に登場。バストアップで薬莢を撒き散らしつつ頭部バルカン砲を連射する映像であるが、本編に登場した機体とカラーリングが異なる。胸部インテークおよび顎と額が赤、他はグレー(塗装前とも言われる<ref>『B-CLUB』vol.21より。</ref>)となっている。さらに背景は曇天であり、地球あるいはスペース・コロニー内での映像と思われる。アムロが乗った機体はスペース・コロニーでも試験を行う余裕はなかったはずである。


====マサダ中尉機====
====マサダ中尉機====
『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「ネオ・ジオンの亡霊」に登場。「シャアの反乱」後のU.C.0094年に地球に降下したネオ・ジオン軍残党のヤクト・ドーガの捜索隊に配備された。パイロットのマサダ中尉にはニュータイプの素質はなかったとされるが、フィン・ファンネルは装備されていた。ビームライフルとシールドは装備されていなかったが、左前腕部に量産型νガンダムと同様のビームスプレーガンユニットがマウントされていた。左肩には中尉のイニシャル「M」をモチーフにしたパーソナルマークが描かれていた。捜索中に撃破されたが、謎は多い。
『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「ネオ・ジオンの亡霊」に登場。「シャアの反乱」後のU.C.0094年に地球に降下したネオ・ジオン軍残党のヤクト・ドーガの捜索隊に配備された。パイロットのマサダ中尉にはニュータイプの素質はなかったとされるが、フィン・ファンネルは装備されていた。ビームライフルとシールドは装備されていなかったが、左前腕部に量産型{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと同様のビームスプレーガンユニットがマウントされていた。左肩には中尉のイニシャル「M」をモチーフにしたパーソナルマークが描かれていた。捜索中に撃破されたが、謎は多い。


====νガンダム Ver.Ka====
===={{スペル|ν|lang=el}}ガンダム Ver.Ka====
カトキのリファイン前から[[ガンプラ]]のマスターグレード(MG)は発売されていたが、ガンダムフロント東京の映像施設DOME-Gで公開された映像用にカトキハジメによってリファインデザインしたνガンダムが、後に『MG νガンダム Ver.Ka』として刷新された。基本的にDOME-Gの映像が3DCGという事から、同じ3DCG作品である[[GUNDAM EVOLVE]]5のνガンダムのデザインをベースとしてデザインされている。通常のνガンダムはサイコフレームがコックピット周辺にしか存在しないが、装甲がスライドし各種に散りばめられたフルサイコフレームが露出する「サイコフレーム発動状態」が新たに追加設定されている<ref group="注">後発機の[[ユニコーンガンダム]]のデストロイモードの装甲展開ギミックをνガンダムまで逆算したかたち。同時期に発売された『MG サザビー Ver.Ka』も同様にサイコフレーム発動状態が追加されている。</ref>。またアニメには無かったバズーカ砲身の伸縮ギミックが追加されている。
カトキのリファイン前から[[ガンプラ]]のマスターグレード(MG)は発売されていたが、ガンダムフロント東京の映像施設DOME-Gで公開された映像用にカトキハジメによってリファインデザインした{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムが、後に『MG {{スペル|ν|lang=el}}ガンダム Ver.Ka』として刷新された。基本的にDOME-Gの映像が3DCGという事から、同じ3DCG作品である[[GUNDAM EVOLVE]]5の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムのデザインをベースとしてデザインされている。通常の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムはサイコフレームがコックピット周辺にしか存在しないが、装甲がスライドし各種に散りばめられたフルサイコフレームが露出する「サイコフレーム発動状態」が新たに追加設定されている<ref group="注">後発機の[[ユニコーンガンダム]]のデストロイモードの装甲展開ギミックを{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムまで逆算したかたち。同時期に発売された『MG サザビー Ver.Ka』も同様にサイコフレーム発動状態が追加されている。</ref>。またアニメには無かったバズーカ砲身の伸縮ギミックが追加されている。


===名称の由来===
===名称の由来===
もともと、νガンダムの初期名として「Hi-Sガンダム」が予定されていた。これは「シャアを超える」という意味であったが、シャアの頭文字はCであると指摘されたため、この案は立ち消えとなった。NEWガンダムという仮称で呼ばれていたのがちょうど[[ギリシア文字]]の「ν」とうまく合致したため、そのままもじってνガンダムと名付けられた。なお、「ニューガンダム」という呼称は『[[機動戦士Ζガンダム]]』第1話冒頭でも、アポリーがテスト飛行中だった[[ガンダムMk-II]]をこのように呼んでいる。
もともと、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムの初期名として「{{lang|en|Hi}}-{{スペル|S|lang=en}}ガンダム」が予定されていた。これは「シャアを超える」という意味であったが、シャアの頭文字はCであると指摘されたため、この案は立ち消えとなった。NEWガンダムという仮称で呼ばれていたのがちょうど[[ギリシア文字]]の「{{スペル|ν|lang=el}}」とうまく合致したため、そのままもじって{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと名付けられた。なお、「ニューガンダム」という呼称は『[[機動戦士Ζガンダム]]』第1話冒頭でも、アポリーがテスト飛行中だった[[ガンダムMk-II]]をこのように呼んでいる。


Hi-Sガンダムの名前は、後にSをνに変え「Hi-νガンダム」と、Hiを取って「Sガンダム」の名前となった。
{{lang|en|Hi}}-{{スペル|S|lang=en}}ガンダムの名前は、後に{{スペル|S|lang=en}}{{スペル|ν|lang=el}}に変え「{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」と、{{lang|en|Hi}}を取って「{{スペル|S|lang=en}}ガンダム」の名前となった。


{{clear}}
{{clear}}


==Hi-νガンダム==
=={{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム==
{{機動兵器
{{機動兵器
|名称=Hi-νガンダム(ハイ・ニューガンダム)<br>Hi-ν-Gundam
|名称={{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム(ハイ・ニューガンダム)<br>{{lang|en|Hi-{{スペル|ν|lang=el}}-Gundam}}
|型式番号=RX-93-ν2<ref group="注">プラモデルなどで採用している型番。</ref>(RX-93-ν-2)<ref name="dc4">『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店 1998年8月15日初版発行 4-11頁。(ISBN 4-8402-0912-X)</ref><ref>『Gジェネレーション』シリーズ</ref>
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|頭頂高=20.0m<ref name="dc4"/><ref name="HNspec">小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』口絵</ref>
|頭頂高=20.0m<ref name="dc4"/><ref name="HNspec">小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』口絵</ref>
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}}
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小説『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア#ベルトーチカ・チルドレン|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン]]』に登場したνガンダムに、映画のνガンダムと別個の設定がされたもので、『逆襲のシャア MSV(CCA-MSV)』にも分類されている<ref group="注">『Gジェネレーション』シリーズ、『MS大全集2013』などで分類している。しかし『データコレクション』では未定義、CCA-MSVを扱っている『MS大全集98』ではHi-νガンダムを掲載しておらず、『2003』ではM-MSVのページに掲載している。</ref>。同小説の口絵で描かれた独自アレンジの「νガンダム」を基に数度の再デザインを経て、サンライズによって公式設定化された(後述)。機体カラーは「白と青」、もしくは「白と紫」の2色を基調とし、νガンダムとは異なり、背部中央にスタビレーター、その左右にファンネルラック、その下にスラスターとプロペラント/スラスターユニットという構成となっている。
小説『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア#ベルトーチカ・チルドレン|機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン]]』に登場した{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムに、映画の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと別個の設定がされたもので、『逆襲のシャア MSV(CCA-MSV)』にも分類されている<ref group="注">『Gジェネレーション』シリーズ、『MS大全集2013』などで分類している。しかし『データコレクション』では未定義、CCA-MSVを扱っている『MS大全集98』では{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムを掲載しておらず、『2003』ではM-MSVのページに掲載している。</ref>。同小説の口絵で描かれた独自アレンジの「{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」を基に数度の再デザインを経て、サンライズによって公式設定化された(後述)。機体カラーは「白と青」、もしくは「白と紫」の2色を基調とし、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムとは異なり、背部中央にスタビレーター、その左右にファンネルラック、その下にスラスターとプロペラント/スラスターユニットという構成となっている。


開発自体はアナハイム社が独自に進めていたが、ロンド・ベルへの配備が決定したことを受け、アムロによる基礎設計の修正を経て完成した<ref>「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93-ν2 Hi-νガンダム」バンダイ 2009年6月 組立説明書参照</ref>。
開発自体はアナハイム社が独自に進めていたが、ロンド・ベルへの配備が決定したことを受け、アムロによる基礎設計の修正を経て完成した<ref>「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93-{{スペル|ν|lang=el}}2 {{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」バンダイ 2009年6月 組立説明書参照</ref>。


背部にはΖガンダムに似たロングテール・バーニア・スタビライザーを装備しており、AMBACシステムとスラスターとしての機能がνガンダムより強化されている。フィン・ファンネルは充電機能を持った2基のラックに、片方3基ずつをラックから吊り下げるようにマウントする。
背部にはΖガンダムに似たロングテール・バーニア・スタビライザーを装備しており、AMBACシステムとスラスターとしての機能が{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムより強化されている。フィン・ファンネルは充電機能を持った2基のラックに、片方3基ずつをラックから吊り下げるようにマウントする。


現時点で設定が大きく分けて2種類存在する。
現時点で設定が大きく分けて2種類存在する。


;νガンダムの発展型とする設定
;{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムの発展型とする設定
:『データコレクション』に掲載された設定では、急造されたνガンダムと違い、十分なテストを重ねて完成された機体であるとされている。フィン・ファンネルは再充電が可能となった。
:『データコレクション』に掲載された設定では、急造された{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと違い、十分なテストを重ねて完成された機体であるとされている。フィン・ファンネルは再充電が可能となった。
;小説版νガンダムに準じる設定
;小説版{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムに準じる設定
:[[マスターグレード]]、[[ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー|HGUC]]の模型解説書などに見られる設定で、小説『ベルトーチカ・チルドレン』の内容に合わせ、鹵獲したネオ・ジオンのモビルスーツ「サイコ・ドーガ」から入手したサイコフレームを組み込み、実質3か月という短期間で完成したものと解説している。この設定では前身にあたるνガンダムの存在には触れておらず、型式番号が「ν2」になっているのは建造途中で変更されたものとしている。
:[[マスターグレード]]、[[ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー|HGUC]]の模型解説書などに見られる設定で、小説『ベルトーチカ・チルドレン』の内容に合わせ、鹵獲したネオ・ジオンのモビルスーツ「サイコ・ドーガ」から入手したサイコフレームを組み込み、実質3か月という短期間で完成したものと解説している。この設定では前身にあたる{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムの存在には触れておらず、型式番号が「{{スペル|ν|lang=el}}2」になっているのは建造途中で変更されたものとしている。
:元となった小説版のνガンダムは、5thルナにおける戦闘で意図的にシャアが残していったサイコ・ドーガ<ref group="注">小説の「サイコ・ドーガ」は映画におけるヤクト・ドーガに相当する機体で、『CCA-MSV』に同名機が存在するが、別のものである。</ref>を捕獲したロンド・ベル隊が、機体からサイコフレームを切り出し、νガンダムのコックピット周辺に直接補強板のように取り付けたという内容であり、ほぼそれに準じた設定となる。
:元となった小説版の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムは、5thルナにおける戦闘で意図的にシャアが残していったサイコ・ドーガ<ref group="注">小説の「サイコ・ドーガ」は映画におけるヤクト・ドーガに相当する機体で、『CCA-MSV』に同名機が存在するが、別のものである。</ref>を捕獲したロンド・ベル隊が、機体からサイコフレームを切り出し、{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムのコックピット周辺に直接補強板のように取り付けたという内容であり、ほぼそれに準じた設定となる。


後者の小説版準拠の設定は2007年に「公式設定化」の際に採用されたものである。前者は98年の時点で書籍『データコレクション』に掲載された設定であり<ref name="dc4"/>、『Gジェネレーション』シリーズをはじめ、複数のゲームでこの設定を採用している。
後者の小説版準拠の設定は2007年に「公式設定化」の際に採用されたものである。前者は98年の時点で書籍『データコレクション』に掲載された設定であり<ref name="dc4"/>、『Gジェネレーション』シリーズをはじめ、複数のゲームでこの設定を採用している。


===武装(Hi-νガンダム)===
===武装({{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム)===
武装はνガンダムと同様のものが多く、バックパックにはプロペラントタンクを2基装備できる。
武装は{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと同様のものが多く、バックパックにはプロペラントタンクを2基装備できる。


;フィン・ファンネル
;フィン・ファンネル
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:形状は異なるが、サイズ、性能は劇場版の機体と同等。
:形状は異なるが、サイズ、性能は劇場版の機体と同等。
;ビームサーベル
;ビームサーベル
:柄の両端に長短のビーム刃を形成する仕様は劇場版のνガンダムと同様だが、ビーム刃が直刀となり、色も水色に変更されている。左右のファンネルラックに各1基ずつを装備。標準型のサーベル1基を左腕に内蔵する点も共通している。
:柄の両端に長短のビーム刃を形成する仕様は劇場版の{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと同様だが、ビーム刃が直刀となり、色も水色に変更されている。左右のファンネルラックに各1基ずつを装備。標準型のサーベル1基を左腕に内蔵する点も共通している。
;腕部マシンガン
;腕部マシンガン
:νガンダムにはない武装。右袖口に1門内蔵され、肘には交換可能な弾倉を備える。
:{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムにはない武装。右袖口に1門内蔵され、肘には交換可能な弾倉を備える。
;シールド
;シールド
:形状はνガンダムとほぼ同一。裏面には一年戦争時のビームライフルに匹敵する威力を持つビームガンを内蔵する。砲身の形状は描かれておらず、プラモデルでは設定は記述されているものの、砲身が存在しない。Ver.Kaではνガンダム Ver.Kaと同様に4発ミサイルと長い筒状の砲身が設定された。カラーリングは小説口絵ではインクスポット迷彩、公式設定画では表面にスプリッター迷彩が施されている。公式設定化以前にゲームに登場していたものはオリジナルの配色である。
:形状は{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムとほぼ同一。裏面には一年戦争時のビームライフルに匹敵する威力を持つビームガンを内蔵する。砲身の形状は描かれておらず、プラモデルでは設定は記述されているものの、砲身が存在しない。Ver.Kaでは{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム Ver.Kaと同様に4発ミサイルと長い筒状の砲身が設定された。カラーリングは小説口絵ではインクスポット迷彩、公式設定画では表面にスプリッター迷彩が施されている。公式設定化以前にゲームに登場していたものはオリジナルの配色である。
;ニュー・ハイパー・バズーカ
;ニュー・ハイパー・バズーカ
:基本的にνガンダムと同じだが、バックパックにマウントする機構は無くなっている。公式設定デザインでもMG/HGUC版ではマウントできないが、HCM-Proでは腰にビームライフルと択一でマウント可能となった。Ver.Kaではバックパックの中央のテールスタビライザー直下にマウントする。
:基本的に{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムと同じだが、バックパックにマウントする機構は無くなっている。公式設定デザインでもMG/HGUC版ではマウントできないが、HCM-Proでは腰にビームライフルと択一でマウント可能となった。Ver.Kaではバックパックの中央のテールスタビライザー直下にマウントする。
;ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー
;ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー
:小説『ベルトーチカ・チルドレン』で使用。ラー・カイラムより伸ばされたエネルギー・ケーブルを機体に直結する急造のエネルギー供給システムで運用されている。発射のためには莫大なエネルギーを消費し、供給を行う際には一瞬ラー・カイラム艦内の照明が切れるほどで、圧倒的な威力を誇る。アクシズの核パルス・エンジン破壊のために用意されるが、破壊は失敗している。
:小説『ベルトーチカ・チルドレン』で使用。ラー・カイラムより伸ばされたエネルギー・ケーブルを機体に直結する急造のエネルギー供給システムで運用されている。発射のためには莫大なエネルギーを消費し、供給を行う際には一瞬ラー・カイラム艦内の照明が切れるほどで、圧倒的な威力を誇る。アクシズの核パルス・エンジン破壊のために用意されるが、破壊は失敗している。
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===デザイン・設定の成立まで===
===デザイン・設定の成立まで===
;初出時の扱い
;初出時の扱い
:小説『ベルトーチカ・チルドレン』の口絵で出渕裕によって描かれたモノクロのイラストがデザインの原型だが、作中に登場しているのは単に「νガンダム」と呼ばれており、サイコ・フレームの実装される過程や武装などが映画版とは異なる程度である。[[美樹本晴彦]]による表紙や挿絵でもデザインは変更されておらず、Hi-νガンダムの原型となったものは口絵にしか存在していない。この口絵では型式番号もRX-93のままで、本体重量もνガンダムから変化していないが、頭頂高のみ20.0mに変化している。
:小説『ベルトーチカ・チルドレン』の口絵で出渕裕によって描かれたモノクロのイラストがデザインの原型だが、作中に登場しているのは単に「{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」と呼ばれており、サイコ・フレームの実装される過程や武装などが映画版とは異なる程度である。[[美樹本晴彦]]による表紙や挿絵でもデザインは変更されておらず、{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムの原型となったものは口絵にしか存在していない。この口絵では型式番号もRX-93のままで、本体重量も{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムから変化していないが、頭頂高のみ20.0mに変化している。
:この小説版口絵のデザインを基に、月刊ホビージャパン90年8月号で「νガンダム」として菅義弘による模型作例が製作され、作例のために出渕によるデザインも発表された。ただし、この時点ではあくまで「小説版νガンダム」という扱いだったとしている<ref name="hj2014">月刊ホビージャパン2014年10月号30ページ。</ref>。出渕の画稿では左胸に「RX-93 ν」、背部のプロペラントタンクに「RX-93 ν2」の文字が読み取れる。この作例は青と白で塗装され、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされている。
:この小説版口絵のデザインを基に、月刊ホビージャパン90年8月号で「{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」として菅義弘による模型作例が製作され、作例のために出渕によるデザインも発表された。ただし、この時点ではあくまで「小説版{{スペル|ν|lang=el}}ガンダム」という扱いだったとしている<ref name="hj2014">月刊ホビージャパン2014年10月号30ページ。</ref>。出渕の画稿では左胸に「RX-93 {{スペル|ν|lang=el}}」、背部のプロペラントタンクに「RX-93 {{スペル|ν|lang=el}}2」の文字が読み取れる。この作例は青と白で塗装され、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされている。
;独立した設定の定着
;独立した設定の定着
:ホビージャパン誌によると、Hi-νガンダムという名前が初めて確認されたのはB-CLUBの1/144のレジンキットであると明記されているが、実際は当時、海洋堂から発売されていた1/220ナイチンゲールに合わせて同じ原型製作した大輪正和(GGP)による1/220のレジンキットが初めてである。
:ホビージャパン誌によると、{{lang|en|Hi}}-{{スペル|ν|lang=el}}ガンダムという名前が初めて確認されたのはB-CLUBの1/144のレジンキットであると明記されているが、実際は当時、海洋堂から発売されていた1/220ナイチンゲールに合わせて同じ原型製作した大輪正和(GGP)による1/220のレジンキットが初めてである。
:後継機の意味に加えて企画段階の主役機名である「Hi-Sガンダム」にちなんで命名したとの説を紹介しているが<ref name="hj2014" />ガレージキット化の際、出渕裕氏との話し合いでνガンダムの上をいくからHiを付けようとなり、商品化申請の際に提出したらそのまま通ってしまったらしい。
:後継機の意味に加えて企画段階の主役機名である「Hi-Sガンダム」にちなんで命名したとの説を紹介しているが<ref name="hj2014" />ガレージキット化の際、出渕裕氏との話し合いでνガンダムの上をいくからHiを付けようとなり、商品化申請の際に提出したらそのまま通ってしまったらしい。
:1998年に発売されたメディアワークス発行の書籍『データコレクション7 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、Hi-νガンダムをνガンダムの上位機種として紹介した(機体スペックも設定されているが、頭頂高と重量は小説版の数値と同じである)。掲載された画稿はホビージャパン誌のものを着色したもので、紫と白のカラーで、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされたものだった。
:1998年に発売されたメディアワークス発行の書籍『データコレクション7 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、Hi-νガンダムをνガンダムの上位機種として紹介した(機体スペックも設定されているが、頭頂高と重量は小説版の数値と同じである)。掲載された画稿はホビージャパン誌のものを着色したもので、紫と白のカラーで、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされたものだった。

2017年10月21日 (土) 11:09時点における版

νガンダム(ニューガンダム、: ν-GUNDAM)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」の一つ。初出は、1988年公開のアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。

作中の軍事勢力の一つ「地球連邦軍」の試作機で、主人公「アムロ・レイ」が自ら設計した専用機。歴代作品に登場するガンダムタイプモビルスーツの技術を結集させた高性能機で、設計当初から「ニュータイプ」用に開発された初のガンダムでもある。白と黒を基調としたカラーリングで、左背にマントのように装備された6基の遠隔操作式ビーム砲台「フィン・ファンネル」を外観上の特徴とする。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』劇中では「リ・ガズィ」に次いでアムロが搭乗し、ライバルである「ネオ・ジオン軍」総帥「シャア・アズナブル」が搭乗する「サザビー」と死闘を繰り広げる。

メカニックデザインは出渕裕。当記事では、各メディアミックス作品などに登場するバリエーション機の解説も記述する。

機体解説

諸元
νガンダム
ν-Gundam
型式番号 RX-93
全高 24.2m
頭頂高 22.0m
本体重量 27.9t
全備重量 63.0t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 2,980kW
推力 18,300kg×4(バックパック)
12,300kg×2(脚部)
(総推力)97,800kg
センサー
有効半径
21,300m
武装 ビーム・ライフル
グレネードランチャー
ビーム・サーベル×2
90mmバルカン砲×2
ニュー・ハイパー・バズーカ
シールド
シールド・ビーム・キャノン(出力7.8MW)
ミサイル×4
フィン・ファンネル×6(型式番号AEV/PFF93AR)[1]
搭乗者 アムロ・レイ
その他 アポジモーター26

ネオ・ジオンの戦力に対し、在来機種では対抗しきれない事から開発された[2]。開発要請はロンド・ベルが行い、地球連邦軍が発注[2]。設計にはアムロ・レイが参加[2]。製造はアナハイム・エレクトロニクス社フォン・ブラウン工場が担当した[3]。U.C.0093年ロールアウト[4]。3か月という短期間で完成に漕ぎつけた[3][注 1]

設計はRX-78 ガンダムと歴代ガンダムタイプのスペックの平均値を基に、当時の最先端技術を導入して能力をアップデートする形で行われた[5]。また、機体名のνはアナハイム社製ガンダムの11番目の開発コードを意味する[6]。開発担当者はオクトバー・サラン[7]

アナハイム社が培ってきたモビルスーツ技術も積極的に利用されており、機体に用いる部材はΖ系モビルスーツのものを使用[8]。センサー類にはインコムバイオセンサーの技術をスピンオフして用いている[8]。さらに、整備やアップデート、量産化を踏まえて他の量産型モビルスーツの中から選別したムーバブルフレーム等を使用するとともに内装火器は極力減らされている[8]。また、フィン・ファンネルの搭載にあわせて機体の慣性重心、バランスを考慮し、重心移動に対応した機体管制プログラムも搭載されている[8]。操縦系統もΖ系ほどの先鋭さはない[8]。これにより本機はU.C.0093年における最強クラスの性能を誇るモビルスーツでありながら[9]、実用兵器としての信頼性も兼ね備えたバランスの良い機体として完成した[8]

敵の脳波をサイコミュで強化し受信すればこちらの対応は早くなる、というアムロのアイデアにより[10]、コクピットシート後方にサイコミュ受信パックを備える他[11]、コクピットの周囲及び駆動部[12][9]、機体各所のムーバブルフレーム[13]サイコフレームを分散配置[14]してサイコミュの小型化・感応度の向上が図られ[15]、パイロットの脳波を駆動部に伝達する事により[2]、機体の追従性、並びに運動性の向上にも大きな貢献を果たしている[13][注 2][注 3][注 4][注 5]

武装

90mmバルカン砲
作動の確実性を考慮し薬莢方式を採用しており[4]、射撃と同時に空薬莢が頭部側面より排出される。基本的にはミサイルグレネードなどへの迎撃や牽制用に用いられるが、劇中ではギラ・ドーガ2体の頭部を続けて吹き飛ばしたり、サザビーの腹部メガ粒子砲(パワーダウン時)を押し留める程の威力を備えており、アムロの技量もあって対モビルスーツ戦においても十分な効果を発揮する。
ビームライフル
出力3.8MW[2]。専用の長砲身大型ライフル。サブグリップやマウントパーツはないが、銃口の上にはグレネードランチャーが装備されている[11]。バースト・セレクターの切り替えによってマシンガンのような連射に切り替え可能[11]で、最大出力ならば同時期における戦艦の主砲レベルの威力を発揮する[3][注 6]。劇中ではかなりの長時間使用され続けながらも、サザビーによって破壊されるまでエネルギー不足になることはなかった。
フィン・ファンネル
板状の収納形態で左背面に6基装備されている。解放型のメガ粒子加速器を備えるタイプで[5]、従来のファンネルとは異なり、内部に小型のジェネレーターを内蔵し[8]、ビームの威力はより強力となっている[4]。また、フィン・ファンネル内部にはスラスターを内蔵する[11]とともに、ファンネル自体にアンバック (AMBAC) が搭載されており、燃費を下げ稼働時間を延伸している[5]
攻撃時には折れ曲がってコの字型に変形する。これによって二枚のジェネレーターアームの間に[2]磁気フィールド[2](Iフィールド[8])を発生させ、メガ粒子を発振・加速させる事でビームを発射する[2]。出力3MWで[16]、1回のチャージで7発のビームを発射可能[16]
さらにはファンネルを頂点として四角錐型の対ビーム・バリアーIフィールドの発展技術)を張ることにより[15]、機体の全周囲に防御シールドを展開することが可能[注 7]。ただし、この時展開したフィールド内に敵機のファンネルが入り込めば、サイコ・ウェーブの干渉によってパイロットに生理的ダメージを与える事がある[5]
その形状から、ギュネイ・ガスには放熱板と誤認されている。
ROBOT魂のνガンダムのフィン・ファンネルセットまた拡張フルセットには、Hi-νガンダムと同様に装備できるファンネルラックが存在する。
ニューハイパーバズーカ
口径280mmの実弾バズーカ[3]。砲身先端部には照準用のレーザーセンサーを備える[2]。地球連邦軍製モビルスーツ用の武装としては一般的だが、本機のものは有効射程距離の向上、弾頭への変更などの改良が施されている[8]。背面バックパックにマウントした状態やνガンダム本体から切り離した状態でも、通信用ワイヤーを介した指令により射撃可能であるため、アムロはこの機能を利用して変則的な攻撃を繰り出した。
同様の火器のスケールダウン品を、宇宙世紀0150年代が舞台のアニメ『機動戦士Vガンダム』第34話にてリガ・ミリティア所属モビルスーツが使用している。
シールド
裏面にビームキャノン1門(出力7.8MW[2])とミサイル4発を装備。ビームキャノンは独自に稼動用ジェネレーターを備えており、一年戦争時に使用されていたビームライフル程度の威力を持っている[3]。宇宙世紀0093年時の装甲材でもビームを完全に無効化することは不可能なので、この武器でもモビルスーツを撃墜することは可能。裏面にグリップはなく、マウントパーツによって左腕に装着する。
シールド表面に描かれた一角獣をモチーフとしたマーキングはアムロのパーソナルマークであり、νガンダムの左肩にはα字状の同種のパーソナルマーク(一角獣のモチーフはない)が描かれている。
ビームサーベル
バックパック右側に装備されたメインのサーベル(カスタム・ビームサーベル)。出力0.85MW[2]。鍔を持った形状をしており、ビーム刃の形状も曲刀状となっている他、グリップエンドからも短い刃を発する。増幅装置やエミッターに仕様変更が加えられ、形状を変更することもできる[3]。また、当時一般的な斬りかかる際のみにビームが出るオートパワーオン機構を採用しており[4]、無駄なエネルギーの消費を抑えている。
予備ビームサーベル[3]
左腕シールドマウント基部に装備された予備のサーベルが存在する。デバイスとしては一般的なもので[3]、メインのビームサーベルよりも出力は低い。劇中ではメインのサーベルを失ったとき一度だけ使用している。
その他
マニピュレーターには、グリプス戦役時のモビルスーツと同様にダミー発射機やトリモチ・ランチャーを装備している。劇中において武装を失ったνガンダムはギラ・ドーガからビーム・マシンガンを奪い使用しているが、使用の際に支障をきたすことは無かった。

劇中での活躍

νガンダムはアナハイム社の開発スタッフが総力を結集し、不眠不休の努力のもと3か月で急造された機体ではあったが、それでも「シャアの反乱」における戦況の変化に対応することはできず、納期を10日も繰り上げられるといった描写があり、サイコ・フレームへの換装作業は発注元であるロンド・ベルへの事前連絡がなされないまま行われた。

物語の冒頭、5thルナをめぐる攻防戦が行われていた時点では、まだ機体の組み立てすら完了しておらず、アムロが自ら月に赴いた時には実戦配備が可能となるまでには3日かかると言われている。しかし、サイコミュのテスト中にロンド・ベルから部隊への帰還命令が下されたため、アムロはスタッフの猛反対を押し切り(「そんな状態で出たら、死にますよ!」と警告された)調整も終えていない軽装の本機で出撃、そのままシャアのロンデニオン潜入の陽動として展開したネオ・ジオン軍部隊との戦闘へ突入した。後にファンネルや他の武装も届けられ、ラー・カイラム内で戦闘の合間をぬって調整は続けられた。当初ファンネルはアムロの意志に過敏な反応をみせたり、動きが非常に悪く、たやすく敵に撃墜されたりと稼動に問題があったが、整備班の努力により改善されている。

地球寒冷化作戦阻止のためロンド・ベルがアクシズへの核攻撃を遂行した際には第二波として出撃。ネオ・ジオンのモビルスーツ部隊を一蹴するものの、核ミサイルが全て撃墜されたため作戦自体は失敗している。さらに、シャア打倒のためにνガンダムを手に入れようと目論むギュネイ・ガスによりケーラ・スゥが人質にとられ、機体にワイヤーをかけられたアムロは要求どおりに武装を解除(フィン・ファンネルを外した)することで投降の姿勢を見せるものの、フィン・ファンネルを放熱板と勘違いし逆上したギュネイが、アムロの殺害を命じたためワイヤーより電撃を受け、アムロの苦痛にファンネルが反応して攻撃をおこない窮地を脱する。この攻撃によりギュネイは撤退するものの、ケーラは死亡。部下を失った悲しみの中、アムロも帰艦する。

アクシズ破壊のため三段構えの作戦をたてたロンド・ベルは再度攻撃を開始。クェス・パラヤの意志を感じたアムロは彼女の搭乗するα・アジールと、その護衛として随伴していたギュネイのヤクト・ドーガらと交戦。2機の高性能機とギラ・ドーガ部隊を相手に互角以上に戦い、危機に陥るもののファンネルにより展開されたバリアーで難を逃れている。最終的にはヤクト・ドーガを撃墜しクェスも追い詰めるが、アクシズの破壊を優先し止めを刺さず終わった。

νガンダムはアクシズに取り付くが、ここでアムロと決着をつけるため待っていたシャアのサザビーと最後の戦いを行うことになる。二人の実力は伯仲しており、互いに武器を失い機体のダメージも蓄積していったが、最終的にはサザビーを撃破する事に成功し、機体より放出されたシャアの脱出ポッドを捕獲する。ロンド・ベルの工作によりアクシズは内部より爆破され2つに割れたが、作戦ミスによりそのうちの後方の1つが地球への落下コースをたどり始め、アムロは破片の落下を阻止するべく機体をアクシズに取り付かせた。その行為に味方のみならず敵機までもその行動に協力した。その後サイコフレームの共振効果か、νガンダムが虹色の光を発し、発生したサイコ・フィールドによって他の機体は押しのけられることで命を救われ、アクシズは地球から離れていくが、νガンダムおよびアムロとシャアの消息については劇中では描写されていない。

ネオ・ジオン側のエースパイロットを複数撃破し、加えて、地球の重力に引かれて落下する巨大なアクシズを弾き返したという奇跡から、「シャアの反乱」終結後15年の月日を経ても「連邦軍最強のモビルスーツ」として知られていた。

メカニカルデザイン

本機はΖガンダムやΖΖガンダムと同様にコンペ形式で多数のデザイナーが参加、その中で鈴木雅久らが中心となり、富野が提示した「マントを羽織ったガンダム」というコンセプトの元、数多くのラフデザインを提出。最終的に出渕裕によってまとめられている。その際、出渕は「自分の理想を追求した」と述べている。

メカデザインの面でもターニングポイントとなり、その後の作品の主役メカデザインに大きな影響を与えた。カトキハジメは雑誌企画『ガンダム・センチネル』で、自身がΖガンダムからΖΖガンダムの流れを踏まえ、主人公機Sガンダムには複雑なデザインを考えていたため、それと対照的なνガンダムを見た時は衝撃を受けたと回想している。

機体色は従来のガンダムシリーズで採られていたトリコロールカラーから一転、白と黒(ミッドナイトブルー)を基調としたものになっている。なお、2014年現在、歴代ガンダム型モビルスーツでフェイスカバー部にある「へ」の字状のスリットが3本入っているのは、νガンダムと後述のHi-νガンダムのみであるが、劇場映画『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』のポスター用に大河原邦男が描きおろした画稿の一つには、大河原のミスにより「へ」の字スリットが3本付いたRX-78-2 ガンダムがある。

(特報版)νガンダム

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の初期の予告編である「特報」の映像に登場。バストアップで薬莢を撒き散らしつつ頭部バルカン砲を連射する映像であるが、本編に登場した機体とカラーリングが異なる。胸部インテークおよび顎と額が赤、他はグレー(塗装前とも言われる[17])となっている。さらに背景は曇天であり、地球あるいはスペース・コロニー内での映像と思われる。アムロが乗った機体はスペース・コロニーでも試験を行う余裕はなかったはずである。

マサダ中尉機

『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「ネオ・ジオンの亡霊」に登場。「シャアの反乱」後のU.C.0094年に地球に降下したネオ・ジオン軍残党のヤクト・ドーガの捜索隊に配備された。パイロットのマサダ中尉にはニュータイプの素質はなかったとされるが、フィン・ファンネルは装備されていた。ビームライフルとシールドは装備されていなかったが、左前腕部に量産型νガンダムと同様のビームスプレーガンユニットがマウントされていた。左肩には中尉のイニシャル「M」をモチーフにしたパーソナルマークが描かれていた。捜索中に撃破されたが、謎は多い。

νガンダム Ver.Ka

カトキのリファイン前からガンプラのマスターグレード(MG)は発売されていたが、ガンダムフロント東京の映像施設DOME-Gで公開された映像用にカトキハジメによってリファインデザインしたνガンダムが、後に『MG νガンダム Ver.Ka』として刷新された。基本的にDOME-Gの映像が3DCGという事から、同じ3DCG作品であるGUNDAM EVOLVE5のνガンダムのデザインをベースとしてデザインされている。通常のνガンダムはサイコフレームがコックピット周辺にしか存在しないが、装甲がスライドし各種に散りばめられたフルサイコフレームが露出する「サイコフレーム発動状態」が新たに追加設定されている[注 8]。またアニメには無かったバズーカ砲身の伸縮ギミックが追加されている。

名称の由来

もともと、νガンダムの初期名として「Hi-Sガンダム」が予定されていた。これは「シャアを超える」という意味であったが、シャアの頭文字はCであると指摘されたため、この案は立ち消えとなった。NEWガンダムという仮称で呼ばれていたのがちょうどギリシア文字の「ν」とうまく合致したため、そのままもじってνガンダムと名付けられた。なお、「ニューガンダム」という呼称は『機動戦士Ζガンダム』第1話冒頭でも、アポリーがテスト飛行中だったガンダムMk-IIをこのように呼んでいる。

Hi-Sガンダムの名前は、後にSνに変え「Hi-νガンダム」と、Hiを取って「Sガンダム」の名前となった。

Hi-νガンダム

諸元
Hi-νガンダム(ハイ・ニューガンダム)
Hi-ν-Gundam
型式番号 RX-93-ν2[注 9](RX-93-ν-2)[15][18]
頭頂高 20.0m[15][19]
本体重量 27.9t[19][15]
装甲材質 ガンダリウム合金[15]
武装 ビームライフル
ビームサーベル×3
60mmバルカン砲×2
右腕部マシンガン×1
シールド
フィン・ファンネル×6(出力3.0MW)
ニュー・ハイパー・バズーカ
ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー(ハイパーメガビームランチャー)
搭乗者 アムロ・レイ

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場したνガンダムに、映画のνガンダムと別個の設定がされたもので、『逆襲のシャア MSV(CCA-MSV)』にも分類されている[注 10]。同小説の口絵で描かれた独自アレンジの「νガンダム」を基に数度の再デザインを経て、サンライズによって公式設定化された(後述)。機体カラーは「白と青」、もしくは「白と紫」の2色を基調とし、νガンダムとは異なり、背部中央にスタビレーター、その左右にファンネルラック、その下にスラスターとプロペラント/スラスターユニットという構成となっている。

開発自体はアナハイム社が独自に進めていたが、ロンド・ベルへの配備が決定したことを受け、アムロによる基礎設計の修正を経て完成した[20]

背部にはΖガンダムに似たロングテール・バーニア・スタビライザーを装備しており、AMBACシステムとスラスターとしての機能がνガンダムより強化されている。フィン・ファンネルは充電機能を持った2基のラックに、片方3基ずつをラックから吊り下げるようにマウントする。

現時点で設定が大きく分けて2種類存在する。

νガンダムの発展型とする設定
『データコレクション』に掲載された設定では、急造されたνガンダムと違い、十分なテストを重ねて完成された機体であるとされている。フィン・ファンネルは再充電が可能となった。
小説版νガンダムに準じる設定
マスターグレードHGUCの模型解説書などに見られる設定で、小説『ベルトーチカ・チルドレン』の内容に合わせ、鹵獲したネオ・ジオンのモビルスーツ「サイコ・ドーガ」から入手したサイコフレームを組み込み、実質3か月という短期間で完成したものと解説している。この設定では前身にあたるνガンダムの存在には触れておらず、型式番号が「ν2」になっているのは建造途中で変更されたものとしている。
元となった小説版のνガンダムは、5thルナにおける戦闘で意図的にシャアが残していったサイコ・ドーガ[注 11]を捕獲したロンド・ベル隊が、機体からサイコフレームを切り出し、νガンダムのコックピット周辺に直接補強板のように取り付けたという内容であり、ほぼそれに準じた設定となる。

後者の小説版準拠の設定は2007年に「公式設定化」の際に採用されたものである。前者は98年の時点で書籍『データコレクション』に掲載された設定であり[15]、『Gジェネレーション』シリーズをはじめ、複数のゲームでこの設定を採用している。

武装(Hi-νガンダム)

武装はνガンダムと同様のものが多く、バックパックにはプロペラントタンクを2基装備できる。

フィン・ファンネル
バックパック左右にフィン・ファンネルのエネルギーの再充填を可能にするファンネルラックを装備している。フィン・ファンネルは折りたたまれ、左右に3機ずつ、ラックにぶら下がるように装備される。
ビームライフル
形状は異なるが、サイズ、性能は劇場版の機体と同等。
ビームサーベル
柄の両端に長短のビーム刃を形成する仕様は劇場版のνガンダムと同様だが、ビーム刃が直刀となり、色も水色に変更されている。左右のファンネルラックに各1基ずつを装備。標準型のサーベル1基を左腕に内蔵する点も共通している。
腕部マシンガン
νガンダムにはない武装。右袖口に1門内蔵され、肘には交換可能な弾倉を備える。
シールド
形状はνガンダムとほぼ同一。裏面には一年戦争時のビームライフルに匹敵する威力を持つビームガンを内蔵する。砲身の形状は描かれておらず、プラモデルでは設定は記述されているものの、砲身が存在しない。Ver.Kaではνガンダム Ver.Kaと同様に4発ミサイルと長い筒状の砲身が設定された。カラーリングは小説口絵ではインクスポット迷彩、公式設定画では表面にスプリッター迷彩が施されている。公式設定化以前にゲームに登場していたものはオリジナルの配色である。
ニュー・ハイパー・バズーカ
基本的にνガンダムと同じだが、バックパックにマウントする機構は無くなっている。公式設定デザインでもMG/HGUC版ではマウントできないが、HCM-Proでは腰にビームライフルと択一でマウント可能となった。Ver.Kaではバックパックの中央のテールスタビライザー直下にマウントする。
ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー
小説『ベルトーチカ・チルドレン』で使用。ラー・カイラムより伸ばされたエネルギー・ケーブルを機体に直結する急造のエネルギー供給システムで運用されている。発射のためには莫大なエネルギーを消費し、供給を行う際には一瞬ラー・カイラム艦内の照明が切れるほどで、圧倒的な威力を誇る。アクシズの核パルス・エンジン破壊のために用意されるが、破壊は失敗している。
デザインの初出はゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』で、大型で長砲身の兵器となっている。脇に抱える形で保持し、フィン・ファンネル・バリアを展開しつつ砲身をバリアの外に出しビームを発射する。漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』では柳瀬敬之によって作画用に改めて設定画が描かれ、さらに大型の別デザインになっている。肩に担ぐ形で発射する。なお漫画版のデザイン発表後も『GUNDAM VERSUS』などゲーム版のデザインは変更されていない。
名称は「ハイパーメガビームランチャー」とされることもある[注 12]

デザイン・設定の成立まで

初出時の扱い
小説『ベルトーチカ・チルドレン』の口絵で出渕裕によって描かれたモノクロのイラストがデザインの原型だが、作中に登場しているのは単に「νガンダム」と呼ばれており、サイコ・フレームの実装される過程や武装などが映画版とは異なる程度である。美樹本晴彦による表紙や挿絵でもデザインは変更されておらず、Hi-νガンダムの原型となったものは口絵にしか存在していない。この口絵では型式番号もRX-93のままで、本体重量もνガンダムから変化していないが、頭頂高のみ20.0mに変化している。
この小説版口絵のデザインを基に、月刊ホビージャパン90年8月号で「νガンダム」として菅義弘による模型作例が製作され、作例のために出渕によるデザインも発表された。ただし、この時点ではあくまで「小説版νガンダム」という扱いだったとしている[21]。出渕の画稿では左胸に「RX-93 ν」、背部のプロペラントタンクに「RX-93 ν2」の文字が読み取れる。この作例は青と白で塗装され、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされている。
独立した設定の定着
ホビージャパン誌によると、Hi-νガンダムという名前が初めて確認されたのはB-CLUBの1/144のレジンキットであると明記されているが、実際は当時、海洋堂から発売されていた1/220ナイチンゲールに合わせて同じ原型製作した大輪正和(GGP)による1/220のレジンキットが初めてである。
後継機の意味に加えて企画段階の主役機名である「Hi-Sガンダム」にちなんで命名したとの説を紹介しているが[21]ガレージキット化の際、出渕裕氏との話し合いでνガンダムの上をいくからHiを付けようとなり、商品化申請の際に提出したらそのまま通ってしまったらしい。
1998年に発売されたメディアワークス発行の書籍『データコレクション7 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、Hi-νガンダムをνガンダムの上位機種として紹介した(機体スペックも設定されているが、頭頂高と重量は小説版の数値と同じである)。掲載された画稿はホビージャパン誌のものを着色したもので、紫と白のカラーで、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされたものだった。
その後、1999年にゲーム『GジェネレーションZERO』『リアルロボット戦線』に登場し、これ以降ゲームでνガンダムの上位機として登場するようになった。主に登場した『Gジェネレーション』『スーパーロボット大戦』シリーズではデータコレクションの画稿に準じたデザインであり、後の「公式設定化」以前のゲームに登場したものは紫がかったものが大半を占めていた。
一方、『MS大全集2003』に掲載されている画稿はデータコレクションのものと異なり、カラーは青と白になっており、フィン・ファンネルは白一色になっている。
公式設定化
2007年のマスターグレード化に合わせ、サンライズ主導で「公式設定化」がされている。それに伴い、出渕の手でデザインリファインが行われた。多くのパーツの形状やバランスが変更され、体型は従来のデザインより細身になった。カラーパターンも青と白に定まり、各部の配色も一新されている。この変更後のものが「公式設定画」と呼ばれており、従来のものは「正確にはアンオフィシャルの機体」であったと解説されている[21]。これ以降は設定も小説版に基づくものが知られるようになった。
公式設定化以降にバンダイから発売された立体商品(HGUC、HCMPro)やゲーム(『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威』、『ガンダムバトルユニバース』、『SDガンダム GGENERATION WARS』など)では、ほとんどが「公式設定画」のデザインで統一されている。2008年3月発売『FW GUNDAM STANDart:2』や、2014年1月に発売されたフィギュア『ROBOT魂』でリリースされたものは旧デザインや90年の作例に近い体型になっているが、これらもデザインそのものは公式設定画に準じており、主に体型についてアレンジされたものである。
2014年に発売されたマスターグレード「Hi-νガンダム Ver.Ka」は過去のデザインを元にした商品であるが、これ以降も公式設定は2007年のものであるとされている[21]。また、この商品も発展型とする設定は掲載していない。

Hi-νガンダム Ver.Ka

νガンダム Ver.Kaと同様、カトキハジメによりリデザインされたMG Hi-νガンダム。公式設定化前のデザインを元にリファインされており[注 13]、体型は太く、カラーも紫と白が採用され、ファンネルには紫のグラデーション塗装が施された。変更も多く、シールドは白一色となり、右腕部に搭載された隠し武器であるガトリング・ガンが単装から4連装化され、不使用時には格納されるようになり、各ビームサーベルラックの展開方法もシンプルになった。また、4連装ガトリングの中心軸からはビームサーベルの発振が可能であり、左腕部のラックに搭載したままの予備ビームサーベルと合わせることで、ビーム・トンファーとしての使用も可能となっている。肩アーマー上部・リアスカート・脹脛周辺が展開するスラスターギミックが、新規に盛り込まれている。

Hi-νガンダム Ver.Ka ヘビー・ウェポン・システム装備型

型式番号:FA-932 HWS

上記のHi-νガンダムVer.KaにHWS(ヘビー・ウエポン・システム)を装備したもの。プレミアムバンダイ販売用に専用の拡張セットが新たにデザインされた。外観や武装内容はνガンダムのHWSとほぼ同様だが、フロントアーマーには隠し腕が追加されており、ビームサーベルを使用できる。ハイパー・メガ・ライフルもビームライフルに追加パーツを施す形に変更されている。こちらに付属するシールドには、小説版の口絵に見られたインクスポット迷彩が施されている。

大きな違いがハイパー・メガ・シールドで、シールドから取り外して背部にマウントする第2形態が設定されている。この第2形態では、さらに2本のニュー・ハイパー・バズーカをマウントできる。

νガンダム ヘビー・ウエポン・システム装備型

諸元
νガンダム HWS装備型
ν-Gundam Heavy Weapon System
型式番号 FA-93HWS
頭頂高 21.2m
本体重量 32.6t
装甲材質 ガンダリウム合金
武装 ビームライフル
ビームサーベル×2
60mmバルカン砲×2
シールド
フィン・ファンネル×6
ニュー・ハイパー・バズーカ
肩部ミサイルランチャー
ハイ・メガ・シールド
ハイパー・メガ・ライフル

『B-CLUB』27号での出渕裕のイラストが初出で、その後『CCA-MSV』に分類されている。

フルアーマーガンダムの構想を、νガンダムに継承した機体。反乱が長期化した場合に備え、νガンダムの機能強化のため立案された。スラスター付きの追加装甲を全身に装着し、機動性を損なわず防御力を向上させた。シールドも分厚く大型化しているが、メガ粒子砲の配置上、狭い方を上向きにマウントしている。ハイパー・メガ・ライフルを装備し、火力の強化も図られている。

『B-CLUB』27号には「U.C.0100にふさわしいモビルスーツとして期待されている」とある。また、駆動系には改良型サイコフレームを使用しているとのこと。

モデルグラフィックス誌では、Ex-SガンダムのIフィールド発生装置と似た中央胸部装甲が追加装備された機体も存在する。なお、プラモデル「HGUC 1/144 RX-93 νガンダム HWS装備型」組み立て説明書に記載された設定によると、胸部装甲へのIフィールド搭載、兵装のサイコミュ・アレンジや内装のフルサイコフレーム化なども検討されていたが、反乱の早期終結でプランそのものが立ち消えになったとされている。

追加武装

肩部ミサイルランチャー
8基装備されており、ΖΖガンダムと同じ部材が採用されている。構想段階ではサイコミュによって射出後の弾道をある程度コントロールするサイコミュ・グレネードの搭載が検討されていたが、機器が小型化できずに断念された。
ハイパー・メガ・ライフル
ビームライフルを超える破壊力を持ち、最大出力では当時の戦艦の砲塔数基分に匹敵する威力を発揮する。ビームを絞っての超遠距離狙撃にも対応しており、精密射撃用バイポッドを装備している。ライフル自体がセンサーを内蔵し、射出のタイミングや攻撃対象の距離に応じ、威力をコントロールすることが可能とされており、調整にはサイコミュを利用しているという説もある。
ハイ・メガ・シールド
νガンダムのシールドに重ねて装備する。大口径メガ粒子砲を2門装備するシールド。大容量コンデンサーシステムを内蔵し、ジェネレータはνガンダムのシールド内蔵のビームガン用ジェネレータを転用することで大幅な軽量化を図っている。シールドだけでハイ・メガ・キャノン並みの威力を発揮できるが、コンデンサーへのエネルギー充填に時間がかかるため連射性能は低い。

備考

プラモデルでは「SDガンダムBB戦士 No.209 νガンダム(HWS仕様)」「HGUC νガンダム(ヘビー・ウェポン・システム装備型)」としてキット化されている。後者は組立説明書では特に言及されていないが、パーツの関係上、ノーマル状態のνガンダムを組む事も可能(成型色は若干異なる)。

漫画『機動戦士ガンダムALIVE』では主人公の新たな搭乗機として登場する。

νガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型

プラモデル「1/144 νガンダム フィン・ファンネル装備型」組立説明書に登場し、その後『CCA-MSV』に分類されている。

バックパックのサーベルラックをフィン・ファンネルのジョイントに置き換え、左右にフィン・ファンネルを3基ずつ装備した形態。ビームサーベルも、バックパックにラックが2つ増設され、左腕に搭載されている予備と合わせて計3基となる[要出典]。機体の細部や武装の形状が通常のνガンダムに比べ若干異なっている。なお、本機もヘビー・ウェポン・システムが装着可能である。

この他ゲーム等では左右にフィン・ファンネルを6基ずつ装備した形態も存在し、ゲーム『ガンダムバトルユニバース』およびその続編では、フィン・ファンネルが増えたことで、機体周囲を覆うIフィールドの形が正二十面体となる。

量産型νガンダム

諸元
量産型νガンダム
Mass Produced ν-Gundam
型式番号 RX-94[22] / RX-93[23]
頭頂高 21.2m[22]
本体重量 25.6t[22]
全備重量 64.5t(フィン・ファンネル装備時)[24]
58.0t(インコム装備時)[22]
装甲材質 ガンダリウム合金[22]
出力 2,500kW[22]
推力 87,000kg[22]
センサー
有効半径
19,400m[22]
武装 ビーム・ライフル[22]
ビーム・スプレーガン[22]
ビーム・サーベル×1[22]
インコム・ユニット(オプションパック)[25]
フィン・ファンネル(オプションパック)[25]
ビーム・サーベル・ラック[22]
ビーム・キャノン[25]
ミサイル×4[25]
60mm[26]バルカン砲×2[27]

M-MSV』に登場。初出は『SD CLUB』第11号。

「シャアの反乱」の際、ロンド・ベル隊は主力であるジェガンがギラ・ドーガと比べて明らかに戦力不足であり[22]、さらにサイコミュ搭載機であるヤクト・ドーガが量産化された場合も考慮し[25]、エース・パイロット用に本機の少数生産を計画している[22]。なお、原型機のνガンダム自体も、制式採用と開発費捻出のために量産も可能な設計とされている[8]。装甲やフレームの材質は原型機より1ランク下のものが用いられるが[28]、基本性能は原型機の80%をフォローしているとされる[27]。塗装は濃淡ブルーを基調とする。

原型機同様サイコフレームが採用されているが[22]、フィン・ファンネルのほかにニュータイプ以外でも扱えるインコムをバックパック側面のユニットを換装することで装備可能[22]。ビーム・ライフル[25]とシールド[29]は原型機と同型のものを携行し、ビーム・サーベルは臀部のほか、フィン・ファンネル装備型はバックパック右側面の1本、インコム装備型は両側面のユニットに1本ずつ、ΖΖガンダムのものを参考にした[27]ビーム・キャノン(カノン)兼用のビーム・サーベルを装備する[22]。また、左前腕部のラッチにはビーム・スプレーガンをマウントする[27]

実戦参加記録はないが写真はいくつか残されており、連邦の開発部が次期主力機のためにおこなっていたとされる月近傍でのインコムのテスト風景や[30]、アナハイム社の女性スタッフらを撮影したスナップに写り込んだりしている(写真の日付は"U.C.0094.06.22")[31]

ガンダムGファースト

諸元
ガンダムGファースト
GUNDAM G-FIRST
型式番号 RIX-001
頭頂高 21.8m
本体重量 29.8t
全備重量 63.4t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 2,890kW
スラスター推力 119,760kg
センサー
有効半径
19,800m
武装 ビーム・サーベル
ビーム・ライフル
60mmバルカン砲
マイクロ・ミサイル
ウイング・シールド
搭乗者 ジョリオン・デイ

漫画『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』に登場。

地球連邦地上軍が「ある技術検証計画」のために、キャノンガンGFタンクとともにアナハイム・エレクトロニクス社に開発を発注した機体で、量産型νガンダムの設計データを元に製作されている。サイド7でおこなわれる式典用にそのまま転用され、トリコロールを基調に塗装されている。パイロットはジョリオン・デイ中尉。

コックピットの球形イジェクション・ポッドが露出する、極めて独特な構造が採用されているが、耐熱・耐弾性能自体は向上しており、コックピット・ブロック単体での大気圏突入も可能となっている。この部分を防御するため、両腕部にウイング・シールドをマウント。シールドは原型機と同様のウェポンラックでもあり、予備のEパックとマイクロミサイルも収納される。またシールド側面部にビーム・ディフューザーという拡散ビーム放射機構も備えるが、出力不足から下記のDX形態でしか使用できない。そのほか、Eパック方式とνガンダム同様の本体からのエネルギー供給式のハイブリッド方式のビーム・ライフルを携行、肩・腰・膝アーマー内部(展開式ニー・クラッシャー)にはビーム・サーベルが2本ずつ収納されている。

ガンダムGファーストDX

諸元
ガンダムGファーストDX
GUNDAM G-FIRST-DX
型式番号 RIX-001[GA]
頭頂高 21.8m
本体重量 49.6t
全備重量 88.3t
装甲材質 ガンダリウム合金
チタンセラミック複合材
出力 4,340kW
スラスター推力 179,760kg
センサー
有効半径
29,700m
武装 ビーム・サーベル
ビーム・ラッシュ・ライフル
60mmバルカン砲
マイクロ・ミサイル
ウイング・シールド
ロング・ビーム・ジャベリン
ミサイル・コンテナ
エクス・キャノン
ビーム・ディフューザー
搭乗者 ジョリオン・デイ
ガンズ・ラン

漫画『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』に登場。

GファーストとバックウェポンモードのGFタンクがドッキングした形態。総合性能が大幅に向上し、シールドのビーム・ディフューザーも使用可能となる。GFタンクのエクス・カートリッジを連結させた高出力ビーム兵装「ビーム・ラッシュ・ライフル」は、開放型バレルとメガ粒子偏光器により複数機をロックオン可能な拡散メガ粒子砲、高収束の通常メガ粒子砲の2つの特性を持つ。コックピットはGファースト側とGFタンク側を繋ぐ連絡通路があり、往来が可能[32]。なお、"DX"は"Dual-X(trans)cend"(二重の超越)を意味する。

実戦では「アンチェインド」状態となったユニコーンガンダム3号機「フェネクス」の機能を停止させるほどのパワーを誇る。専任パイロットのジョリオンがザナドゥによってイジェクション・ポッドごと連れ去られたあとは、ジョリオンたちを救出するためにGファースト側にジオン残党の2世であるガンズ・ランが、GFタンク側にキャノンガンのパイロットであるゾーイ・ヤンソンと民間人のニュータイプの子供であるサン・プレースが搭乗。ナイトロ隊との決戦の際にはニュータイプの素養をもつガンズに呼応しGFタンク側のサイコフレームが起動、露出し黄色と橙色に発光する[33]。整備長のワレリー・シュトロゼックによればGファーストにはサイコフレームは組み込まれていないとされるが[34]、頭部メイン・カメラとツイン・アイが緑から黄色に変化し、V字アンテナ基部のスリットからはサイコフレーム由来の黄色い光が噴出する[33]。この際に200%を超える想定外の出力上昇現象が生じ、オーバーロードによる自壊が懸念される状況となるが、ガンズの機転によりGファーストに装備されている6本のビーム・サーベルを固定装備のまま展開する緊急措置をとり、余剰エネルギーを強制的に開放することで出力を安定させている[33]

その他のバリエーション

フルアーマーνガンダム

『機動戦士ガンダム MS大全集』に登場(型式番号:FA-93S)。後にνガンダムHWS仕様としてリデザインされており、そのため基本構造はほぼ同じ物となっている。

PX-00531

漫画機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場。νガンダムの試作型でサイコミュは搭載していない。テストのために地上に下ろされた際にネオ・ジオン軍の襲撃に遭遇し、輸送担当者の独断で戦闘に投入されたが、オーバーヒートを起こして撃破された。そのためνガンダムの完成は遅れることになったとされる。「00531」は生産工場における製造番号。なお初出の資料では「RX-00531」であった[35]

Gコマンダー

漫画『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に登場(型式番号:RX-92LAS)。宇宙用のヘビーウェポンシステムと対を成す陸戦用の重装化プラン(型式番号のLASはLand Armor Systemの略)であり、シールドなどは共通のものを装備している。母機としてPX-00531同様のνガンダム試作型(RX-92B)を使用している。全備状態は非常に大型な機動兵器となり、モビルアーマーに近い様相となる。

νガンダム FAMAS仕様

漫画『機動戦士ガンダムReon』に登場。νガンダムの改良型である。ガンダムReon奪取のためにFAMASのレディス・レオノフスキーが搭乗した。フィン・ファンネルの搭載数が増加され、外観も黒い塗装に変更されている。

μガンダム

PC-9801用ゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション』に登場(型式番号:YRX-90A[注 14])。外観はνガンダムと同様であるがサイコミュは未搭載で、PX-00531同様の試作機である。U.C.0092年のエーゲ海周辺におけるネオ・ジオン地上軍との戦闘に参加し、パイロットはアムロ・レイ大尉とされる。

武者νガンダム

諸元
武者νガンダム
型式番号 RX-93 (TYPE-M)
全高 25.5m
本体重量 59.9t
全備重量 61.3t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 7,240kw
武装 サイコミュソード「妖剣ムラマサ」
60mmバルカン砲
ビームサーベル
搭乗者 不明

『SD戦国伝』シリーズとは別に、宇宙世紀の世界観上で展開されたコミックボンボンのオリジナルストーリー「プロジェクトMUSHA」に登場する(1989年3月号掲載)。地球連邦軍の機体である。

木星の宇宙海賊掃討を目的として始動した連邦軍の「プロジェクトMUSHA」機体群の内のひとつ。サイド2で建造されたνガンダムのレプリカをベースに開発された機体。その名が示すとおり、旧世紀の日本の鎧武者を模した外観を持つ。サイコミュソード「妖剣ムラマサ」を装備したニュータイプ専用機。

脚注

注釈

  1. ^ アナハイム社製MSの中では、当初より特定個人の専用機として開発された機体は本機のみである。劇場版『機動戦士Ζガンダム』の漫画版ではΖガンダムはカミーユの専用機として作られたとされているが、公式設定かどうかは不明
  2. ^ 劇中オクトバー・サラン主任技師がサイコフレーム採用箇所をアムロに説明しているシーンが有り、コックピット周辺部のみである。一方で、資料によっては駆動部や機体各所にも導入しているとするものも存在する[13][9][14][12]
  3. ^ 元々サイコミュを搭載しているため、サイコフレームがなくともフィン・ファンネルの運用自体は可能
  4. ^ 機体構造が単純化された分、各部の耐久性も高く、実戦でサザビーを拳打の応酬の末に行動不能にした後も、掌部分の可動は損なわれなかった
  5. ^ νガンダムに採用されたサイコフレームは、アムロがサザビーと同等性能のMSに搭乗して決着をつけることを望んだシャアによってアナハイム社へ意図的に横流しされたもので、当初は装備されていなかった。アムロにはアナハイム社の材料開発部門が独自開発したものであると説明されたが、後にオクトバーの手紙によりネオ・ジオンより入ってきた技術であることがチェーン・アギに伝えられる。このサイコフレームには未知の部分が多く、本機が小惑星アクシズ落下阻止を試みた際には、MS内部のサイコフレームがアムロの意思に応えるかの如く、機体から溢れるほどの虹色の光を放ち、地球の重力に引きずられていた小惑星を押し戻すほどのサイコ・フィールドを生み出すという奇跡を見せている
  6. ^ 劇中では戦場に割って入ったνガンダムのライフル射撃を、敵パイロットが艦戴のメガ粒子砲だと勘違いするシーンがある。
  7. ^ 劇中では、バリアー展開中にその内側から攻撃を行い、敵ファンネルを撃墜している描写が見られる。
  8. ^ 後発機のユニコーンガンダムのデストロイモードの装甲展開ギミックをνガンダムまで逆算したかたち。同時期に発売された『MG サザビー Ver.Ka』も同様にサイコフレーム発動状態が追加されている。
  9. ^ プラモデルなどで採用している型番。
  10. ^ 『Gジェネレーション』シリーズ、『MS大全集2013』などで分類している。しかし『データコレクション』では未定義、CCA-MSVを扱っている『MS大全集98』ではHi-νガンダムを掲載しておらず、『2003』ではM-MSVのページに掲載している。
  11. ^ 小説の「サイコ・ドーガ」は映画におけるヤクト・ドーガに相当する機体で、『CCA-MSV』に同名機が存在するが、別のものである。
  12. ^ 『Gジェネレーションオーバーワールド』ほか。『データコレクション』の解説文にも「ハイパー・メガビーム・ランチャー」と記載されている[15]
  13. ^ 商品の箱などに明記。
  14. ^ 付属解説書では「YRA-90A」だが、ゲーム本編では「YRX-90A」であり、こちらのほうが地球連邦軍MSの型式番号の法則にも合致する。

出典

  1. ^ 電撃ホビーマガジン2007年1月号UCAG連載記事より
  2. ^ a b c d e f g h i j k 「1/144 νガンダム」バンダイ 1988年 説明書
  3. ^ a b c d e f g h 「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93 νガンダム」バンダイ 2008年3月 組立説明書参照
  4. ^ a b c d 「1/100 νガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 組立説明書参照
  5. ^ a b c d 「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 66頁。(ISBN 978-4891890193)
  6. ^ 「ガンダムセンチネル」大日本絵画 1989年9月初版発行 73頁。(ISBN 978-4499205306)
  7. ^ 「機動戦士ガンダム キャラクター大図鑑1 PART.12」『機動戦士ガンダムMS大図鑑 宇宙世紀ボックス』メディアワークス、2005年3月、66頁。(ISBN 978-4840229449)
  8. ^ a b c d e f g h i j 「マスターグレード RX-93 ニューガンダム」バンダイ 2000年12月 組立説明書参照
  9. ^ a b c 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店 1998年8月15日初版発行 58-62頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  10. ^ 劇場用アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」13分頃より
  11. ^ a b c d 「1/144 νガンダム フィン・ファンネル装備型」バンダイ 1988年 説明書
  12. ^ a b 「Bクラブスペシャル15 機動戦士ガンダムMS大全集」バンダイ 1988年2月10日初版発行 80-82頁。(ISBN 4-89189-336-2)
  13. ^ a b c 「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編」バンダイ 1989年6月20日初版発行 126頁。(ISBN 978-4891890193)
  14. ^ a b 「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.8 SPECIALガンダム大鑑」バンダイ 1993年2月28日初版発行 39-40頁。(ISBN 978-4891892067)
  15. ^ a b c d e f g h 『データコレクション 機動戦士ガンダム逆襲のシャア』角川書店 1998年8月15日初版発行 4-11頁。(ISBN 4-8402-0912-X)
  16. ^ a b 『電撃ホビーマガジン』2007年1月号掲載「U.C. ARMS GALLERY」、メディアワークス。
  17. ^ 『B-CLUB』vol.21より。
  18. ^ 『Gジェネレーション』シリーズ
  19. ^ a b 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』口絵
  20. ^ 「ハイグレードユニバーサルセンチュリー RX-93-ν2 Hi-νガンダム」バンダイ 2009年6月 組立説明書参照
  21. ^ a b c d 月刊ホビージャパン2014年10月号30ページ。
  22. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『SD CLUB』第11号、バンダイ、1990年4月、121頁。
  23. ^ 『データコレクション13 機動戦士ガンダム 一年戦争外伝3プラス ORIGINAL MS IN GAMES』メディアワークス、1999年12月、37頁。
  24. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE. 25 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 MS開発競争編】』バンダイ、1991年2月、51頁。
  25. ^ a b c d e f 『ENTERTAINMENT BIBLE. 25 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 MS開発競争編】』バンダイ、1991年2月、121頁。
  26. ^ SDガンダム GGENERATION』バンダイ、1998年8月。
  27. ^ a b c d 『ガンダムマガジン』No.4、講談社、1991年4月、69頁。
  28. ^ 『ガンダムウェポンズ “逆襲のシャア”編』ホビージャパン、2001年3月。
  29. ^ 『SD CLUB』第15号、バンダイ、1990年9月、23頁(SDイラストより)。
  30. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE. 25 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 MS開発競争編】』バンダイ、1991年2月、6-7頁。
  31. ^ 『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル U.C.0083-0099』サンライズ、2003年12月。
  32. ^ 『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』第6巻、2017年7月、51頁。
  33. ^ a b c 『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』第6巻、2017年7月、4頁。
  34. ^ 『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』第3巻、2016年2月、122頁。
  35. ^ 『機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」GUNDAM NEW GENERATION』1988年8月、ホビージャパン

関連項目