キングコングの逆襲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メカニコングから転送)
移動: 案内検索
キングコングの逆襲
King Kong Escapes
監督 本多猪四郎(本編)
円谷英二(特撮)
脚本 馬淵薫
製作 田中友幸
出演者 宝田明
ローズ・リーズン
リンダ・ミラー
浜美枝
天本英世
音楽 伊福部昭
撮影 小泉一(本編)
富岡素敬(特撮)
真野田陽一(特撮)
編集 藤井良平
配給 東宝
公開 日本の旗 1967年7月22日
上映時間 104分
製作国 日本の旗 日本
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 日本語
テンプレートを表示

キングコングの逆襲』(キングコングのぎゃくしゅう)は、1967年7月22日に公開された日本特撮映画。製作は東宝ランキン・バス・プロ配給東宝テクニカラーシネマスコープ。上映時間は104分。

東宝の創立35周年記念作品として制作された。

1973年に東宝チャンピオンまつりでリバイバル上映が行われた。

概要[編集]

悪の科学者ドクター・フーの陰謀に、正義の怪獣キングコングが立ち向かう。ロボットのコングである「メカニコング」、そして1933年版『キング・コング』へのオマージュとしてゴロザウルス大ウミヘビも登場。モンド島でのコングとゴロザウルスとの対決シーンもオリジナルへのオマージュとなっている[1]

キングコング対ゴジラ』製作時に東宝が得たキングコングの使用権は5年間有効であったため、契約終了前にもう1本製作すべく企画された作品。前年に『ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ』として企画されたが、脚本にアメリカ側が難色を示し、ドクター・フーやメカニコングの登場など、同時期に製作されていたTVアニメと設定を通わせたストーリーに変更された[1]。この不採用になった脚本は、コングをゴジラに置き換えて、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』に転用された。

本作のコングは、ヒロインのスーザンに従順な性格とされたり、イルカ並みに泳ぎ、ドクター・フーやロボット・コング(メカニコング)と対決するなど、アニメと同様の“正義の怪獣”という色合いになっている。また、身長20メートルと『キングコング対ゴジラ』に比べ半分ほどの大きさに設定、着ぐるみの顔もより米国版に近い造形となっている。ライバルのメカニコングも、アメリカ側がデザインを用意したキャラクターである。円谷英二は原典である『キング・コング』に対するオマージュとして、大ウミヘビを登場させたり、髑髏島でのティラノサウルスとコングの戦いをモンド島においてのゴロザウルスとの戦いとするなどのリメイクを行っている。原典のティラノサウルスは、前足が3本指だが、本作でもそれに倣い、ゴロザウルスは3本指となり、そのため設定も「アロサウルス」の一種とする徹底ぶりだった。「絶叫女優」役は、アメリカ側が連れて来たリンダ・ミラーが務めた。

ストーリー[編集]

国際的なお尋ね者である悪の天才科学者ドクター・フーは、某国の女工作員マダム・ピラニアの要請で、国連の科学者委員ネルソンと野村のアイディアを剽窃したロボット怪獣メカニコングを建造。これを使って、北極の地下に眠る“究極の核兵器素材”である放射性物質「エレメントX」の採掘を目論むが、エレメントXが発する磁気のため、メカニコングは作動不良に陥る。

同じ頃、国連の原子力潜水艦エクスプロアー号は、海底油田調査のため南海の孤島モンド島近くを航行中、岩崩れに見舞われる。修理のため寄港したモンド島で、司令官のネルソンたちは伝説の巨獣キングコングと遭遇。コングは乗員のスーザンに強い興味を持ち、その言葉を聞き分ける。

これを知ったマダム・ピラニアは、ドクター・フーに本物のコングを使っての採掘を提案。北極地下に囚えたコングを働かせるべく催眠術がかけられるが、すぐに解けてしまう。フーはネルソン、野村、スーザンの3人を北極基地に拉致し、コングに採掘を命じるよう脅迫する。

ついに怒りを爆発させ、基地から逃げ出すコング[注 1]。フーは、東京に上陸したコングを追って、東京湾に停泊した船からメカニコング2号を出動させる。この事態にフーを見限ったマダム・ピラニアは、ネルソンたちを逃がして射殺される。

メカニコングとキングコングの戦いの舞台は東京タワーに移り、コングの勝利に終わる。翌朝、フーとその部下たちを湾上の船ごと沈めたコングは、スーザンの呼びかけを背に、太平洋の彼方へ泳ぎ去る。

登場怪獣[編集]

大怪力怪獣 キングコング[編集]

  • 身長:20メートル
  • 体重:1万トン

南ジャワ海のモンド島に棲んでおり、前回の『キングコング対ゴジラ』の個体とは近い種であるが、同族ではない。身長、体重は初代の半分程度。島の老人からはボー(島の言葉で「王者」)コングと呼ばれている。

  • 関連書籍などでは2代目キングコングとも表記される[2]
  • スーツアクターは中島春雄。本作のためにゴリラの動きを研究したそうで[3]、かなり見応えのあるアクションを見せている。
造形
頭部造形は利光貞三、胴体は八木康栄による。『キングコング対ゴジラ』のコング造形に対するアメリカ側の不評を受けて、今回の着ぐるみは原点に近い頭の大きなゴリラタイプに造形された。腕の内部でマジックハンドを脱着する方式が取られ、前作のような不自然さを解消。まぶたと口がラジコンで開閉する。アップ用、アクション用の2種類の顔が同じ石膏型から作られたが、東京タワーのシーンでは、それらとは別に、歯をむき出して笑っているような表情の頭が使われている。
海のシーンに使われたコングの胴体は、『キングコング対ゴジラ』のコングのものを再使用。この胴体は、『ウルトラQ』でも大猿ゴローに使われている。
その後メインのぬいぐるみは『行け! グリーンマン』の「ゴリラ」に流用された。
着ぐるみのほかに実物大の右手と右耳周辺、ギニョール、人形も製作された。

電子怪獣 メカニコング[編集]

  • 身長:20メートル
  • 体重:1万5千トン

ネルソン司令官と野村三佐が伝説の巨獣キングコングの能力を検証し、人工的に再現したロボットの設計図を基に、ドクター・フーが作り上げた金属色に輝くゴリラ型の巨大ロボット。建造のためのスポンサーは、某国工作員マダム・ピラニアの母国であり、本来の用途はこの某国が入手したがっているエレメントXという放射性物質の採掘であり、戦闘用ではない。

1号機はエレメントXの鉱脈が帯びる強力な磁場の影響から動作不良に陥る。次に建造した2号機の初仕事は、逃走したキングコングの追跡となる。東京へ輸送され、増上寺で始まったキングコングとの激戦は、東京タワーにまで及ぶ。2号機の頭部には、キングコング用の催眠光線投射機が取り付けられ、東京タワーでのコング捕獲作戦に使用される。コングを催眠状態にすることに成功するも、野村のライフルによって催眠光線投射機が破壊され、催眠状態から覚めたコングにより投射機は叩き飛ばされてしまう。その後は東京タワーに登り人質をつかみながらコングと戦うなど高い機動性を示したが、東京タワー頂上付近の高圧線に触れてしまい、バランスを崩してそのまま落下。地面に強く叩きつけられた衝撃でバラバラに大破し、爆発する。

  • アメリカのビデオクラフト社と日本の東映動画による日米合作アニメ作品『キングコング』に登場する「ロボットコング」が基となっている。当時のポスターでは「メカニ・コング」という表記も用いられている[1]
  • 鳴き声は『ウルトラセブン』のカプセル怪獣ウインダムに流用されている[4][5]
  • チビラくん』のゲゲボボの設計図にメカニコングのものが使用されている[6]
  • ゴジラ対メカゴジラ』以降登場するメカゴジラは特技監督の中野昭慶によると、プロデューサーの田中友幸が「ゴジラ誕生20周年」のイベントとして、「昔メカニコングってロボット怪獣があったけど、ゴジラのロボットは作れないかな」とアイディアを出したことから生まれた。
造形
頭部造形は利光貞三、胴体は八木康栄による。演技者は関田裕。胴体は風呂用マットなどに使われる「ハードスポンジ」で作られている。当初、肩の丸い保護パッドは無かったが、撮影時に取り付けられた。東京タワーのシーンではこれを取り外して撮影している。腕は長・短の2種類用意された。この違いを受けて「メカニコングは二体作られた」とする文献も見られたが、安丸信行によって現在は否定されている。
眼球には8mm映写機のランプを使用し、点灯が可能。1サイズのギニョールモデルも作られ、東京タワーのシーンで使われた。実物大の右手も制作された。
落下したメカニコングの残骸には、テレビの基板、原子熱線砲メーサー車のパーツなどが混じっている。
再登場案
本作で合成スタッフを務めていた川北紘一お気に入りの怪獣であり、『ゴジラvsモスラ』の原型となった『ゴジラVSギガモス』では米軍が開発したという設定で[7]、『ゴジラvsメカゴジラ』の企画準備時にはゴジラの対戦相手となる怪獣としての登場を構想していたという[8]その際に川北の構想したメカニコング関連の設定は、同作のメカゴジラの設定に流用されている[要出典]
川北はこれらの企画の雪辱を期して『幻星神ジャスティライザー』および『劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』でメカニコングをオマージュしたメカ巨獣ブルガリオを登場させている[7]
  • 漫画『怪獣王ゴジラ』では悪の科学者であるマッド鬼山がメカニコングを再生・改造したメカニコングII として登場。メカゴジラIIIとともにゴジラと戦う。

海獣 大ウミヘビ[編集]

  • 全長:85メートル
  • 体重:4千トン

その名の通り、モンド島近海に生息する大きな海蛇。ネルソン一行がホバークラフトでモンド島からエクスプロアー号に戻る時に、突如現れ襲いかかる。追ってきたキングコングに岩を投げつけられたため、今度はコングを攻撃。強烈な巻きつきで苦しめるが、コングの怪力には敵わずに絶命する。

  • キング・コング』に登場した蛇のような怪生物へのオマージュ・キャラクター。
  • 頭部造形は利光貞三、胴体は八木康栄による。
  • 1973年に「東宝チャンピオンまつり」で公開されたリバイバル版では、登場シーンがカットされている。

登場メカニック[編集]

エクスプロアー号
国連科学委員会が保有する調査用原子力潜水艦。小型のホバークラフトを艦載している。海底油田の調査のためにモンド島付近を航行中に、岩崩れにより船体を損傷。修理のためにモンド島に寄港した際に、乗員たちがキングコングと遭遇する。
照明車
有蓋トラックの荷台にサーチライト1基を搭載している。東京タワーなどで戦うキングコングとメカニコングを照らし出す。

ドクター・フーのメカニック[編集]

メカニコングは登場怪獣参照。

ジェットヘリ
双胴輸送船
ドクター・フーが保有する輸送船。船内にキングコング、メカニコング双方を搭載できる規模の格納庫を備え、上甲板はヘリコプター数機を同時に離着船できる飛行甲板となっている。ただし固定武装は備えておらず、メカニコングを除くと乗員の携帯火器に留まる。モンド島へキングコング捕獲のために来襲する形で登場し、捕獲したキングコングを北極の基地へ輸送し、その後基地から逃走したキングコングを追跡して東京湾に出現しメカニコングを発進させるがメカニコング破壊後、キングコングの襲撃を受けドクター・フーとその部下たち共々東京湾に沈められる。

スタッフ[編集]

本編[編集]

特殊技術[編集]

キャスト[編集]

※映画クレジット順

※以下ノンクレジット出演者

※以下、海外版出演者

同時上映[編集]

1967年版
1973年版

海外公開版とのおもな相違[編集]

いくつかの差異はあるものの、『キングコング対ゴジラ』ほどの改変は見られない。

  • 劇中の文字やセリフの英語への置き換えや吹き替え。
  • タイトルロール直後に「乗組員によるスーザンへのセクハラ発言に、スーザンが釘を刺す」というシーンがある。
  • ゴロザウルスとの格闘シーンなどでは、音楽が少し編集されタイミングも異なる。
  • ドクター・フーがチーフ(田島義文)にモンド島での待機を命じるシーンがカットされている。
  • 劇中でのメカニコングの呼称が「ロボット」もしくは「ロボット・コング」。
  • モンド島の長老だけは、最期のシーンを除き、沢村いき雄による音声のままである。

備考[編集]

「北極で三つ巴の戦いを繰りひろげるキングコング、メカニコング、ゴロザウルス」というスチル写真があるが、このシーンは劇中に存在しない。

本作に使用された東京タワーのミニチュアセットは「2体の着ぐるみ怪獣がよじ登って格闘する」という前提で設計されており、破損や転落事故を防ぐため、「釘打ちによる木製」ではなく「溶接組み立てによる鉄骨製」という頑丈かつ大掛かりで贅沢なものとなっている[1]。ただし、一部の壊される部分には鉛や木材が使用された。

本作の一部に『キングコング対ゴジラ』『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』の映像が使われている[注 3]

予告編にはネルソンが記者からの質問に対し「ニューヨークへ連れて帰って、また壊されたらどうするの」と答えるシーンがあるが、これは1933年版『キング・コング』との関連性を示すものではなく、単なる御愛嬌。また公開された完成版では「ニューヨークへ連れて来ても、たぶん、もてあましますよ」との台詞に変更されている。

東宝特撮映画にたびたび登場する61式戦車のミニチュアだが、本作で初めてエンジン内蔵のラジコン自走型となった[1]。それまでのミニチュアは、自走は出来ても方向転換は出来ず、直接ピアノ線で引いて向きを変えながら撮影が行われた。

リバイバル上映時のラストには、『ゴジラ対メカゴジラ』の宣伝がなされている。

本作のDVDは2004年1月30日に発売され、ジャケットにはDVD発売時と近い時期に撮影された東京タワーの写真が使用されている。特典には予告編やノンテロップ版の予告編、1973年のリバイバル版を収録。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 英題名『キングコング・エスケープ』はここから採られている。
  2. ^ 階級を一尉とする文献もあるが[9]、劇中のネルソンの台詞で三佐と言及されているため、これに従う。
  3. ^ 農民が上陸したキングコングから逃げるシーンは『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のガイラの映像を入れ替えたものである。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 東宝特撮映画大全集 2012, pp. 114 - 117
  2. ^ ゴジラ大辞典 2004, pp. 80、116
  3. ^ 中島春雄 『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』 洋泉社2010年、237 - 239頁。ISBN 978-4-86248-589-2
  4. ^ 河崎実 『ウルトラ THE BACK -ウルトラマンの背中-』 秋田書店2013年、96頁。ISBN 978-4-253-00926-3
  5. ^ 「円谷ロボット怪獣図鑑」『円谷プロSFドラマ大図鑑』 洋泉社〈洋泉社MOOK 別冊映画秘宝〉、2013年、137頁。ISBN 978-4-8003-0209-0
  6. ^ 『円谷プロ画報 円谷作品五十年の歩み』第1巻、安藤幹夫、竹書房〈B MEDIA BOOKS Special〉、2013年、63頁。ISBN 978-4812494912
  7. ^ a b 平成ゴジラパーフェクション 2012, pp. 131 - 135 「幻の平成ゴジラストーリー」。
  8. ^ 青柳宇井郎赤星政尚 『懐かしのヒーロー 大怪獣ゴジラ99の謎』 二見書房〈二見wai wai文庫〉、1993年、196頁。ISBN 4576931644
  9. ^ 『東宝特撮怪獣映画大鑑』 竹内博朝日ソノラマ1989年、475頁。ISBN 4-257-03264-2
  10. ^ a b c d e f g h i j k l 「俳優名鑑」、『東宝特撮DVDコレクション』第26号、デアゴスティーニ・ジャパン2010年10月、 9頁、 雑誌コード:22762-10/12。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

  • キングコング
  • ドクター・フー
  • ゴジラ対メカゴジラ』 - メカニコングは、「本物をモデルとした東宝ロボット怪獣」としては、メカゴジラよりも先に登場している。
  • ゲゲゲの鬼太郎』 - 「怪獣にそっくりなロボット怪獣で対抗する」というアイディアは『ゲゲゲの鬼太郎』の「大海獣」のエピソードに登場したメカ大海獣が先であり、作者水木しげる本人も著書『続・妖怪画談』において「最初に考えたのは自分である」と述べている。

外部リンク[編集]