PBY (航空機)

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PBY カタリナ

アリューシャン列島上空を飛行する VP-61所属のPBY-5A(1943年撮影)

アリューシャン列島上空を飛行する
VP-61所属のPBY-5A(1943年撮影)

PBY カタリナ(PBY Catalina)は、アメリカ合衆国コンソリデーテッド・エアクラフト社が開発した飛行艇である。

1935年に初飛行、第二次世界大戦中はアメリカ海軍を始めとして、連合国各国で対潜哨戒沿岸警備海難救助などに用いられた。またアメリカ陸軍航空軍では捜索救難機として水陸両用のOA10Aカタリナを用いた。

コンソリデーテッドの他にボーイング社でも生産され、それらはPB2Bの形式名で呼ばれた。

開発[編集]

アメリカ海軍における哨戒用飛行艇として、1933年よりXP3Y-1(社内名称:モデル28)として開発が開始された。1935年3月に初飛行し、同年6月に量産発注がなされ、PBY-1の名称が付けられている。名称変更は哨戒機「P」から哨戒爆撃機「PB」 への分類変更によるものである。「Y」はコンソリデーテッド社を表す。後にPBYは『カタリナ』または『キャット』と呼ばれるようになる。双発エンジンにもかかわらず巡航速度は200km/hと決して速くはなかった。だが航続距離は4800km以上、連続飛行時間は15時間にも及んだ。

機体[編集]

双発のレシプロ機であり、主翼はパラソル配置(胴体から離れた高翼単葉)となっている。主翼端にフロートを持つが、これは格納式で、飛行中は主翼と一体となり、空気抵抗を減じている。水平尾翼垂直尾翼の中ほどにあり、垂直尾翼は方向舵の比率が高い。

運用[編集]

空中放水を行う消防機改造型PBY

1937年からアメリカ海軍で部隊配備が開始され、哨戒任務のほか救難任務にも使用された。第二次世界大戦においても活躍し、アメリカ海軍のほか、アメリカ陸軍航空隊アメリカ沿岸警備隊、そして連合国のイギリスカナダオーストラリアなどでも使用され、日本でも1956年海上自衛隊に2機が供与されたが、引き渡された時点で旧式であったため、1960年に全機除籍。

太平洋戦争開戦直前の1941年12月7日には、マレー作戦に参加する上陸部隊を乗せた輸送船団の上空護衛を行っていた日本陸軍九七式戦闘機が、哨戒中のカタリナを(正式な開戦の前であったが)撃墜した。これは同戦争における最初の連合国軍の損失であった。

第二次世界大戦後には多くが民間に払い下げられ、アメリカやブラジル、カナダ、台湾(チャイナエアライントランスアジア航空)などで旅客機として使用されたものもある他、消防機としても用いられている。

カタリナはスウェーデン空軍機(スウェーデン空軍名称Tp 47)としても用いられたが、1952年6月16日エストニアの北で行方不明となったDC-3機(C-47)を捜索していた時にソビエト軍機に撃墜された。1956年になってソビエト連邦は、DC-3機の撃墜を認めたが、当時はこの情報は公表されなかった。2003年にDC-3機と共に発見されている。冷戦期間中の外交的危機となったこの事件は、その名称をとって「カタリナ事件」と呼ばれている。

各型[編集]

海上自衛隊で使用されたPBY-6A
  • XP3Y-1:試作機。
  • PBY-1:初期量産型。60機生産。
  • PBY-2:水平尾翼の改修。50機生産。
  • PBY-3:エンジンをR-1830-66(900馬力)に換装。66機生産。
  • PBY-4:エンジンをR-1830-72(1,050馬力)に換装。33機生産。[1]
  • PBY-5:エンジンをR-1830-90(1,200馬力)に換装。垂直尾翼後縁を直線状に変更。胴体左右の後部銃座の風防をスライド式から大型ブリスター型へ変更し、射撃範囲を拡大。684機生産。英軍名称 Catalina Mk.I
  • PBY-5A:機首下面および胴体側面に引き込み式の車輪を装備。水陸両用機となる。802機生産。英軍名称 Catalina Mk.III[2]
  • PBY-6A:AN/APS-3レーダーを増備。水陸両用機。安定性向上のため垂直尾翼を大型化。175機生産。海上自衛隊に2機が供与。[3]
  • PB2B-1:PBY-5のボーイングでの生産型。
  • PB2B-2:PBY-6Aのボーイングでの生産型。67機生産。

性能諸元[編集]

PBY-6A 3面図
機体名 PBY-4[1]
ミッション PATROL BOMBER TORPEDO
全長 65ft 10in (20.07m)
全幅 104ft (31.7m)
全高 18ft 6in (5.64m)
翼面積 1,400ft² (130.06m²)
空虚重量 14,999lbs (6,803kg)
離陸重量 29,244lbs (13,265kg) 30,000lbs (13,608kg)
搭載燃料 1,750gal (6,624ℓ) 1,185gal (4,486ℓ) 1,180gal (4,467ℓ)
携行装備 - 1,000lbs爆弾×4 MK13魚雷×2
エンジン Pratt & Whitney R-1830-72 (1,050Bhp) ×2
最高速度 194mph/12,000ft (312km/h 高度3,658m) 185mph/12,000ft (298km/h 高度3,658m) 188mph/12,000ft (303km/h 高度3,658m)
航続距離 4,110mile (6,614km) 2,630mile (4,233km) 2,400mile (3,862km)
武装 AN/M2 12.7mm機関銃×2 (弾数計800発) + AN/M2 7.62mm機関銃×2 (弾数計1,500発)
機体名 PBY-5A[2]
ミッション PATROL A.S. PATROL TORPEDO
全長 63ft 10.44in (19.47m)
全幅 104ft (31.7m)
全高 20ft 2in (6.15m)
翼面積 1,400ft² (130.06m²)
空虚重量 20,910lbs (9,485kg)
離陸重量 33,975lbs (15,411kg) 35,420lbs (16,066kg) 35,300lbs (16,012kg)
搭載燃料 1,463gal (5,538ℓ) 1,000gal (3,785ℓ)
携行装備 - 325lbs爆雷×4 MK13魚雷×2
エンジン Pratt & Whitney R-1830-92 (1,200Bhp) ×2
最高速度 179mph/7,000ft (288km/h 高度2,134m) 175mph/7,000ft (282km/h 高度2,134m) 173mph/7,000ft (278km/h 高度2,134m)
航続距離[4] 2,545st.mile (4,096km) 2,350st.mile (3,782km) 1,500st.mile (2,414km)
武装 AN/M2 12.7mm機関銃×2 (弾数計840発) + AN/M2 7.62mm機関銃×3 (弾数計2,600発)

現存する機体[編集]

  • 機体番号の欄は、無表記が米海軍航空局の機体番号(BuNo.)であり、前にRAF、RAAF、RCAF、RDAF、RSwAFとあるものはそれぞれイギリス空軍、オーストラリア空軍、カナダ空軍、オランダ空軍、スウェーデン空軍における番号である。

・すべての機体を掲載しているわけではない。その他機体はウォーバード・レジストリ ・出典は各博物館サイトとウォーバード・レジストリに拠る。

型名     番号      機体写真     国名 所有者           公開状況 状態 備考             
PB2B-2 44248
RAF JX630
RAAF A24-385
Lighting Designer PHM.JPG オーストラリア パワーハウス・ミュージアム 公開 静態展示 飛行登録番号であるVH-ASAが
塗装されている。
PBY-5A 02459 Consolidated PBY Catalina PH-PBY 3.jpg オランダ スティッチング・ネプチューン・アソシエイション (Stichting Neptune Association)
リリステッド空港に保管
公開 飛行可能
PBY-5A 05028 写真 アメリカ 国立海軍航空博物館 公開 静態展示 分解され胴体のみ内部が見えるように展示されている。
PBY-5A 08109
RDAF FM-57
RDAF 82-857
RDAF L-857
Consolidated PBY-5A Catalina ‘382 KK-A’ (really L-857, RDAF) (43505945874).jpg ノルウェー ソラ航空歴史博物館 公開 静態展示 製造番号 928。
PBY-5 08317 写真 アメリカ 国立海軍航空博物館 公開 静態展示 純粋な水上機型として製造されたPBY-5である。
PBY-5A
OA-10A
33993
44-34033
Consolidated 28-ACF N4760C FLL 14.10.75 edited-2.jpg アメリカ 国立アメリカ空軍博物館 公開 保管中
PBY-5A 46522 Consolidated PBY-5A Catalina BuNo 46522 NX2172N LNose TAM 3Feb2010 (14626990201).jpg アメリカ ティラムック航空博物館 公開 飛行可能
PBY-5A 46582 US Navy 110406-N-YR391-008 World War II Navy veterans and their sons pose for a photo during a PBY-5A BUNO 6582 dedication at Naval Air Station Jac.jpg アメリカ ジャック海軍航空基地 公開 静態展示 製造番号 1946。
PBY-5A 46590
RAAF A24-387
Unmarked Consolidated PBY Catalina (8739100674).jpg アメリカ ピマ航空宇宙博物館 公開 修復待ち 製造番号 2143。
PBY-5A 46595 Consolidated OA-10A Catalina 44-33879 Lside light Airpower NMUSAF 25Sep09 (14619887963).jpg アメリカ 国立アメリカ空軍博物館 公開 静態展示 製造番号 1959。
PBY-5A 48287 Sub bomber3 (25989593951).jpg アメリカ ユタ銀行 公開 静態展示 製造番号 1649。
PBY-5A 48294 NAS Alameda (5039558258).jpg アメリカ トレーニングサーヴィス株式会社 (Training Services Inc) 公開 飛行可能 製造番号 1656。
PBY-5A 48334 写真 ニュージーランド クラシックフライヤーズ博物館 公開 静態展示 製造番号 1696。
PBY-5A 48406 1943 Consolidated PBY-5A Catalina Bu No 48406-1768 - San Diego Air & Space Museum (9715112198).jpg アメリカ サンディエゴ航空宇宙博物館 公開 静態展示 製造番号 1768。
PBY-5A 48419 写真 ブラジル 航空宇宙博物館 公開 静態展示
PBY-5A 48426 写真 アメリカ パームスプリングス航空博物館 公開 静態展示
PBY-5A RCAF 9742 PBY Catalina michael.jpg アメリカ ローンスター航空博物館 公開 静態展示 製造番号 407。
PBY-5A RCAF 9767 写真 フランス フライング・レジェンズ 公開 飛行可能
PBY-6A 46662 写真 アメリカ ウィルソン・コニー・エドワーズ氏(Wilson Connie Edwards) 非公開 飛行可能
PBY-5A 48375 Consolidated PBY-5A Catalina BuNo 48375 N96UC BelowLWing FOF 19Feb2010 (14403822648).jpg アメリカ ファンタジー・オブ・フライト[1] 公開 飛行可能 製造番号 1737。
PBV-1A
Tp47
(PBY-5A)
RCAF 9810
RSwAF 47001
Consolidated PBY-5A Catalina (Tp47) 47001 79 (8313755227).jpg スウェーデン スウェーデン空軍博物館 公開 静態展示
PBV-1A RCAF 9815 Consolidated PBY-5A Catalina, 1953 - Evergreen Aviation & Space Museum - McMinnville, Oregon - DSC00733.jpg アメリカ エヴァーグリーン航空博物館 公開 静態展示
PBV-1A RCAF 9825 写真 アメリカ ハロルド・カーロウ記念軍事博物館
(Harold Carlaw Memorial Military Museum)
公開 保管中
PBV-1A RCAF 9830
RAF CV264
カナダ ケベック航空財団
(Foundation Aerovision Quebec)
非公開 静態展示
PBV-1A RCAF 9837 North Atlantic Aviation Museum Forest Service Consolidated PBY Catalina.jpg カナダ 北大西洋航空博物館 公開 静態展示 [2]
PBV-1A RCAF 11005 Consolidated PBV-1A Catalina 433915 (G-PBYA) (9501325431).jpg イギリス カタリナ航空機株式会社
(Catalina Aircraft Ltd.)
公開 飛行可能 米陸軍航空隊で運用されたOA-10/44-33915号機の塗装がされている。
PBV-1A RCAF 11024 カナダ バッファロー・エアウェイズ 非公開 保管中
PBV-1A RCAF 11042 写真 ギリシャ アテネ・エアリフトサービス株式会社
(Athenian Airlift Service Ltd.)
非公開 飛行可能 米海軍で運用された機体のマーキング、5B-PBY/31-P-5の塗装がされている。
PBV-1A RCAF 11047 Canadian Vickers PBV-1A Canso A 'N413PB' (13071596384).jpg アメリカ ハンス・ローリドセン氏(Hans Lauridsen) 非公開 修復中
PBV-1A RCAF 11054 Consolidated PBY-5A Catalina, Private JP6877326.jpg ニュージーランド カタリナグループ[3] 公開 飛行可能 ニュージーランド空軍のNZ4017号機の塗装がされている。
PBV-1A RCAF 11074 写真 アメリカ ウィルソン・エドワーズ氏
(Wilson Edwards)
非公開 飛行可能
PBV-1A RCAF 11084 カナダ カナディアン・ウォープレイン・ヘリテージ[4] 公開 飛行可能
PBV-1A RCAF 11088 写真 カナダ バッファロー・エアウェイズ 公開 静態展示
PBV-1A RCAF 11089 PBY-427CV.jpg アメリカ 最高世代海軍博物館
(Greatest Generation Naval Museum)
公開 飛行可能
PBV-1A RCAF 11091 Consolidated (Canadian Vickers) PBV-1A Canso A (28), Government of Newfoundland and Labrador AN1453758.jpg カナダ ニューファンドランド・ラブラドール州政府 公開 静態展示
PBV-1A RCAF 11093 Consolidated (Canadian Vickers) PBV-1A Canso A (28) AN1249783.jpg カナダ デイヴィッド・T・ドロシュ氏
(David T. Dorosh)
非公開 保管中
PBV-1A RCAF 11094 写真 カナダ ファーヴュウ航空機修復財団(FARS) 公開 飛行可能
PBV-1A
OV-10A
67918
44-33954
写真 アメリカ アラスカ航空博物館 公開 静態展示

登場作品[編集]

映画[編集]

キングコングの逆襲
ドクター・フー一味の飛行艇として登場。北海道キングコングが上陸したことを受けて迎えに来た海上自衛隊所属機と見せかけて主人公たちを拉致し、北極にある一味のアジトまで輸送する。
トラ・トラ・トラ!
アメリカ海軍所属機が登場。パールハーバーの上空を飛行するほか、地上に駐機していた機体が真珠湾攻撃による爆撃で破壊されてしまう。飛行シーンなどでは実物が、破壊されるシーンでは実物大セットや飛行不可能なスクラップが撮影に使用されている。地上で破壊されるカタリナは、明らかに骨格構造のない石膏模型である。

ゲーム[編集]

War Thunder
アメリカツリーでPBY-5およびPBY-5a、ソ連課金機としてPBY-5a、イギリス課金機としてCatalina Mk.IVaが登場。
艦隊これくしょん -艦これ-
PBY-5Aが登場。
コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー
日本海軍特攻を受けて沈没したフレッチャー級駆逐艦の乗組員を救助するために着水し、救助活動を行う。

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b PBY-4 Catalina Specifications BU. OF AERO., NAVY DEPT. PERFORMANCE DATA
  2. ^ a b PBY-5A Catalina Specifications AIRPLANE CHARACTERISTICS & PERFORMANCE
  3. ^ PBY-6A Catalina Specifications STANDARD AIRCRAFT CHARACTERISTICS
  4. ^ 武装を取り外したFERRYでの航続距離は2,800st.mile (4,506km)

関連項目[編集]