PBY (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Jump to navigation Jump to search

PBY カタリナ

PBY カタリナ(PBY Catalina)は、アメリカ合衆国コンソリデーテッド・エアクラフト社が開発した飛行艇である。

1935年に初飛行、第二次世界大戦中はアメリカ海軍を始めとして、連合国各国で対潜哨戒沿岸警備海難救助などに用いられた。またアメリカ陸軍航空軍では捜索救難機として水陸両用のOA10Aカタリナを用いた。

コンソリデーテッドの他にボーイング社でも生産され、それらはPB2Bの形式名で呼ばれた。

開発[編集]

アメリカ海軍における哨戒用飛行艇として、1933年よりXP3Y-1(社内名称:モデル28)として開発が開始された。1935年3月に初飛行し、同年6月に量産発注がなされ、PBY-1の名称が付けられている。名称変更は哨戒機「P」から哨戒爆撃機「PB」 への分類変更によるものである。「Y」はコンソリデーテッド社を表す。後にPBYは『カタリナ』または『キャット』と呼ばれるようになる。双発エンジンにもかかわらず巡航速度は200km/hと決して速くはなかった。だが航続距離は4800km以上、連続飛行時間は15時間にも及んだ。

機体[編集]

双発のレシプロ機であり、主翼はパラソル配置(胴体から離れた高翼単葉)となっている。主翼端にフロートを持つが、これは格納式で、飛行中は主翼と一体となり、空気抵抗を減じている。水平尾翼垂直尾翼の中ほどにあり、垂直尾翼は方向舵の比率が高い。

運用[編集]

空中放水を行う消防機改造型PBY

1937年からアメリカ海軍で部隊配備が開始され、哨戒任務のほか救難任務にも使用された。第二次世界大戦においても活躍し、アメリカ海軍のほか、アメリカ陸軍航空隊アメリカ沿岸警備隊、そして連合国のイギリスカナダオーストラリアなどでも使用され、日本でも1956年海上自衛隊に2機が供与されたが、引き渡された時点で旧式であったため、1960年に全機除籍。

太平洋戦争開戦直前の1941年12月7日には、マレー作戦に参加する上陸部隊を乗せた輸送船団の上空護衛を行っていた日本陸軍九七式戦闘機が、哨戒中のカタリナを(正式な開戦の前であったが)撃墜した。これは同戦争における最初の連合国軍の損失であった。

第二次世界大戦後には多くが民間に払い下げられ、アメリカやブラジル、カナダ、台湾(チャイナエアライントランスアジア航空)などで旅客機として使用されたものもある他、消防機としても用いられている。

カタリナはスウェーデン空軍機(スウェーデン空軍名称Tp 47)としても用いられたが、1952年6月16日エストニアの北で行方不明となったDC-3機(C-47)を捜索していた時にソビエト軍機に撃墜された。1956年になってソビエト連邦は、DC-3機の撃墜を認めたが、当時はこの情報は公表されなかった。2003年にDC-3機と共に発見されている。冷戦期間中の外交的危機となったこの事件は、その名称をとって「カタリナ事件」と呼ばれている。

各型[編集]

海上自衛隊で使用されたPBY-6A
  • XP3Y-1:試作機。
  • PBY-1:初期量産型。60機生産。
  • PBY-2:水平尾翼の改修。50機生産。
  • PBY-3:エンジンをR-1830-66(900馬力)に換装。66機生産。
  • PBY-4:エンジンをR-1830-72(1,050馬力)に換装。33機生産。
  • PBY-5:エンジンをR-1830-90(1,200馬力)に換装。垂直尾翼後縁を直線状に変更。胴体左右の後部銃座の風防をスライド式から大型ブリスター型へ変更し、射撃範囲を拡大。684機生産。英軍名称 Catalina Mk.I
  • PBY-5A:機首下面および胴体側面に引き込み式の車輪を装備。水陸両用機となる。802機生産。英軍名称 Catalina Mk.III
  • PBY-6A:AN/APS-3レーダーを増備。水陸両用機。安定性向上のため垂直尾翼を大型化。175機生産。海上自衛隊に2機が供与。[1]
  • PB2B-1:PBY-5のボーイングでの生産型。
  • PB2B-2:PBY-6Aのボーイングでの生産型。67機生産。

性能諸元[編集]

PBY-6A 3面図
機体名 PBY-4[2]
ミッション PATROL BOMBER TORPEDO
全長 65ft 10in (20.07m)
全幅 104ft (31.7m)
全高 18ft 6in (5.64m)
翼面積 1,400ft² (130.06m²)
空虚重量 14,999lbs (6,803kg)
離陸重量 29,244lbs (13,265kg) 30,000lbs (13,608kg)
搭載燃料 1,750gal (6,624ℓ) 1,185gal (4,486ℓ) 1,180gal (4,467ℓ)
携行装備 - 1,000lbs爆弾×4 MK13魚雷×2
エンジン Pratt & Whitney R-1830-72 (1,050Bhp) ×2
最高速度 194mph/12,000ft (312km/h 高度3,658m) 185mph/12,000ft (298km/h 高度3,658m) 188mph/12,000ft (303km/h 高度3,658m)
航続距離 4,110mile (6,614km) 2,630mile (4,233km) 2,400mile (3,862km)
武装 AN/M2 12.7mm機関銃×2 + AN/M2 7.62mm機関銃×2
機体名 PBY-5A[3]
ミッション PATROL A.S. PATROL TORPEDO
全長 63ft 10.44in (19.47m)
全幅 104ft (31.7m)
全高 20ft 2in (6.15m)
翼面積 1,400ft² (130.06m²)
空虚重量 20,910lbs (9,485kg)
離陸重量 33,975lbs (15,411kg) 35,420lbs (16,066kg) 35,300lbs (16,012kg)
搭載燃料 1,463gal (5,538ℓ) 1,000gal (3,785ℓ)
携行装備 - 325lbs爆雷×4 MK13魚雷×2
エンジン Pratt & Whitney R-1830-92 (1,200Bhp) ×2
最高速度 179mph/7,000ft (288km/h 高度2,134m) 175mph/7,000ft (282km/h 高度2,134m) 173mph/7,000ft (278km/h 高度2,134m)
航続距離[4] 2,545st.mile (4,096km) 2,350st.mile (3,782km) 1,500st.mile (2,414km)
武装 AN/M2 12.7mm機関銃×2 + AN/M2 7.62mm機関銃×3

登場作品[編集]

映画[編集]

キングコングの逆襲
ドクター・フー一味の飛行艇として登場。北海道キングコングが上陸したことを受けて迎えに来た海上自衛隊所属機と見せかけて主人公たちを拉致し、北極にある一味のアジトまで輸送する。
トラ・トラ・トラ!
アメリカ海軍所属機が登場。パールハーバーの上空を飛行するほか、地上に駐機していた機体が真珠湾攻撃による爆撃で破壊されてしまう。飛行シーンなどでは実物が、破壊されるシーンでは実物大セットや飛行不可能なスクラップが撮影に使用されている。地上で破壊されるカタリナは、明らかに骨格構造のない石膏模型である。

ゲーム[編集]

War Thunder
アメリカツリーでPBY-5およびPBY-5a、ソ連課金機としてPBY-5a、イギリス課金機としてCatalina Mk.IVaが登場。
艦隊これくしょん -艦これ-
PBY-5Aが登場。
コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー
日本海軍特攻を受けて沈没したフレッチャー級駆逐艦の乗組員を救助するために着水し、救助活動を行う。

脚注・出典[編集]

  1. ^ PBY-6A Catalina Specifications
  2. ^ PBY-4 Catalina Specifications
  3. ^ PBY-5A Catalina Specifications
  4. ^ 武装を取り外したFERRYでの航続距離は2,800st.mile (4,506km)

関連項目[編集]