ジム・クゥエル

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ジム・クゥエル (GM QUEL) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」のひとつ。初出は、1991年に発売されたOVA機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』。

作中の軍事勢力のひとつである地球連邦軍特殊部隊「ティターンズ」の量産機で、「ジム・カスタム」の改修型。「ティターンズカラー」と呼ばれる黒と濃紺の機体色が特徴で、『0083』より未来の時代を描いた『機動戦士Ζガンダム』の前半主役機「ガンダムMk-II」に通じる形状と機構を持つ。『0083』のエピローグでわずかに登場するのみで、活躍シーンはない。

当記事では、雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場する本機をベースとした試作実験機群の解説も記述する。

デザイン[編集]

メカニックデザインカトキハジメ。本機は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の最終話が発売される前に劇場版が公開されることが決まり、本編の原画が描かれた後に設定画が起こされるという特殊な例となった。そのため、原画と設定画で形状の一部相違が見られる(原画ではヒジ関節部がマルイチモールド。脚部は系列機ジム・カスタム同様、膝にスラスター、足首上の対地マルチセンサーの欠如など)。

また、プラモデル「1/100 マスターグレード ジム・クゥエル」の製作に伴って新たに設定画が描き起こされた際、当初の設定画とは全体的に印象が異なる直線的なイメージへ変更されており、特にランドセルに関しては、各部のバランスがリデザインされている(先に発売されたガンダムNT-1の金型を一部流用してのキット化という事情も重なり、デザインの統合性を重視しなければいけなかった)。カラーリングに関しても当初の灰色と黒の組み合わせから、ガンダムMk-IIを意識した濃紺中心の組み合わせへと変更されている。

設定解説[編集]

諸元
ジム・クゥエル
GM QUEL
型式番号 RGM-79Q
ARZ-79GQ(レジオン)
所属 ティターンズ
レジオン
建造 ルナツー
生産形態 量産機
頭頂高 18.0m
本体重量 39.8t
全備重量 56.3t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
出力 1,420kW
推力 27,000 kg×2(背部)
1,870 kg×4(足部裏側)
(総推力)61,480kg
武装 頭部60mmバルカン砲×2
ビーム・サーベル
ジム・ライフル
ビーム・ライフル
シールド
搭乗者 アルファ・A・ベイト
ベルナルド・モンシア
チャップ・アデル
フォルド・ロムフェロー
アーネスト・マクガイア
ヒューイット・ライネス
ソウイチ・オビノ
ジェリド・メサ
カクリコン・カクーラー
エマ・シーン
地球連邦軍(ティターンズ)一般兵
民間軍事会社「テミス」所属パイロット

ジオン公国軍残党の掃討やスペースコロニー内での治安維持任務用に配備された、ティターンズ初期の主力機[1]。機体名称の「Quel」には「鎮圧する(quell)」という意味と共に「地球の法と権限を行使する(Qualified to Use Earthly Law または QUalified to Enforce the (Earth) Law)」という意味が込められている[2]

基本構造はガンダムNT-1に連なるオーガスタ系の機体で[2]デラーズ紛争期にエースパイロット向けに配備されたジム・カスタムをベースとしている[1]。ただし、ジャミトフ・ハイマンの意向により自らの政治生命を危うくさせるガンダム開発計画の反映や、アースノイドとしてのプライドゆえにジオン公国系の技術導入を良しとしなかったため、開発は旧ジオニック社の技術者が多く在籍するアナハイム・エレクトロニクスなど民間企業の協力を介さず、アースノイドで構成されたルナツー工廠内で独自に行われた[2][注 1]。ジム・クゥエルはジム・カスタムの基礎設計を踏襲しながらも、コロニー内での戦闘に則したセンサーの強化、対人制圧用の脚部センサー設置などが行われている[2]。比較的加重の負担が少ない腕部構造に限定し、後のムーバブルフレームの前身的機構が試験的に採用されている[2][注 2]

宇宙世紀0083年12月から運用を開始[1][注 3]。コクピットは宇宙世紀0084年時点では従来型[3]だが、宇宙世紀0085年時点でリニアシート式に換装された機体が存在する[注 4]

ジムのバリエーション機のほとんどが白系統の塗装であるのに対し、本機はティターンズカラーである黒系統の塗装が施されている(例外としてコンペイトウ所属の連邦軍仕様の機体は、ジム改と同様の塗装が施されている)。ティターンズのテストチームに配備されたうちの1機は、ガンダムヘッドの装備や強化パーツの追加・パーツ交換などの改造が施され、実験機RX-121ガンダムTR-1[ヘイズル]として用いられた。ガンダムヘッドに改修しただけの予備機もあり、こちらも後日に改修を受けてRX-121-2の型式番号を得たガンダムTR-1[ヘイズル2号機]となった。

同じく連邦系の技術だけで作られたジムII同様、グリプス戦役時にはすでに旧式化し、第一線を退いていた。

武装[編集]

頭部60mmバルカン砲
頭部に2門内蔵される近接戦用機関砲。初代ガンダムより受け継がれてきた連邦系MSの伝統的な武装。
ビーム・サーベル
型式番号:XB-G-1065H
ガンダムNT-1以降の機体に採用されたセンター配置型エネルギーサプライユニットに対応した、ビーム・サーベル。グリップ内蔵のエネルギーCAPシステムと、マニピュレータープラグ双方からのドライブが可能なデュアルサプライデバイス方式を採用している。ジム・カスタムに採用されたXB-G-1019H型のマイナーチェンジモデルで、基本性能はほぼ同等。
ジム・ライフル
型式番号:HFW-GR・MR82-90mm
90mm口径の実体弾ライフル。ジム・カスタムに採用されたものと同一武装で、発砲時の排莢機構を省略したケースレスタイプの弾丸を使用し、連続発射する。ジム・クゥエルは任務の性質上、市街地での運用場面が多いことから、こうした機構は周囲の建造物や民間人に余計な被害を与えることなく、任務遂行の円滑化に貢献している。
ビーム・ライフル
型式番号:BOWA・BR-S-85-C2
ジムIIなど、別系列の機種にも広く使用されるビーム・ライフル。ビームスプレーガンの生産ラインを流用して作られた廉価モデルだが、出力や稼働時間面での改良が加えられており、充分に実用的な性能を持つ。
型式番号:XBR-M84a
コンペイトウ方面軍所属機体では、ガンダムTR-1[ヘイズル]と同型のビーム・ライフルを装備した機体が存在したとの説もある[5]。『Re-Boot』にて、火星に持ち込まれた機体はアーリー・ヘイズルも含め、2連結Eパック方式ショートバレルタイプを使用している。このため、腰部にEパックを2個マウントできるホルダーが追加されている。
シールド
型式番号:RGM・M-Sh-ABT/S-0019S
別系列機にも広く普及された防御武装。着弾時の効率的な運動エネルギーの減免・拡散を目的とした曲面主体のフォルムを持つ。表面には特殊コーティング処理が施され、ビーム兵器に対してもある程度の耐久性を持つ。裏面にはマシンガンの予備マガジンを計2基マウント可能。

劇中での活躍[編集]

OVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、結成された直後のティターンズの戦力としてラストシーンに登場する。また、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』では、警備任務中などの機体が登場するが、こちらはティターンズカラーのガンダムMk-IIに準じた塗装となっており、ガンダムMk-IIのバックパックと同型のバックパックを装着した機体も登場する。なお、いずれも止め画かそれに近い状態で、これといった活躍はしていない。

劇場アニメ『機動戦士ガンダムNT』では、宇宙世紀0087年にオーガスタ研究所に配備中の1機が1カットのみ登場する。

プラモデル 1/100 マスターグレードモデルに添付されたインスト掲載のエピソードでは、エアーズ市におけるMSを持ち出した過激な労働組合の闘争行動を瞬時に鎮圧している。その事件を描いた漫画『GUNDAM LEGACY』にはフォルド・ロムフェロー大尉の搭乗機として本機が登場しており、ザクII F2型のザクマシンガンの直撃をシールドで防ぎきっている。

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』では、下記のガンダムTR-1[ヘイズル]のベースとなっているほか、後に2号機となる予備機が配備されていた。また、コンペイトウ方面軍の一般部隊用の機体として通常のジムと同様の赤と白のカラーリングが施された機体が登場している[5]

続編雑誌企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』では、火星に流れ着いたティターンズの残党が所持していた機体をジオン残党組織「レジオン」に譲渡しており、MSの配備にある程度の目途がついた後には、アリシア・ザビによる反逆兵の復帰を賭けたデスゲーム「ウサギ狩り」の搭乗MSとして使用される。このゲームは、制限時間を生き残れば復帰の権利を得るが、実質上は嬲り殺しの標的にされるというものであるため、火星の地表には本機の残骸が散らばっている。実際、アリシア親衛隊所属のガンダムTR-6[キハールII]による連携攻撃に遭った本機は一瞬の隙を突いて反撃に出て人質を取るが、最後はアリシアの操縦するガンダムTR-6[リハイゼ]に破壊されている。そのほか、反乱兵がレジオンから奪い、頭部をガンダムタイプに差し替えた機体が登場している。

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、民間軍事会社「テミス」に払い下げられており、同社所属機としてコンペイトウ駐留部隊の機体に類似したカラーリング(肩アーマーが赤)の機体が登場している[6](「テミス」のエンブレム・マーキングを外した機体も存在する[7])。

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では、反ティターンズ組織「ケラウノス」追撃部隊の機体として登場している(ヒューイット・ライネス大尉機とソウイチ・オビノ少尉機。オビノ機大破後はアーネスト・マクガイア少尉機が補充)。

「GAデータ」と呼ばれる仮想空間を舞台とする漫画『ガンダムEXA』では、脱走したゼロ・ムラサメ追跡のためにジェリド・メサカクリコン・カクーラーエマ・シーンの3人が本機に搭乗している。

アーリー・ヘイズル[編集]

雑誌企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場。ティターンズ残党がレジオンに合流した際に持ち込んだジム・クゥエルを、元ティターンズ兵が武装蜂起した際に奪取し、予備パーツとして残っていたガンダムTR-1の頭部に差し替えた機体。性能は頭部を変更しただけなので、ジム・クゥエルと変化はない。

ガンダムTR-1系試作実験機群[編集]

以下は雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場する、ジム・クゥエルをベースに開発された試作実験MS、およびその関連機である。

ガンダムTR-1[ヘイズル][編集]

諸元
ガンダムTR-1[ヘイズル]
GUNDAM TR-1[HAZEL]
型式番号 RX-121
所属 ティターンズ・テスト・チーム
建造 コンペイトウ
生産形態 試作実験機
頭頂高 18.1m
本体重量 42.1t
全備重量 65.4t(トライ・シールド・ブースター装着時)
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
(一部ルナ・チタニウム合金
出力 1,420kW
武装 ビーム・サーベル
多目的ランチャー(選択式)
ビーム・ライフル
シールド
シールド・ブースター 他
搭乗者 ウェス・マーフィー
オードリー・エイプリル

宇宙世紀0084年にティターンズがMSの最新技術を評価するため、コンペイトウ工廠にて製作した実験機。決戦兵器「ガンダム・インレ」の開発を目標としたTR計画の試作1号機であり、インレの中核となる拡張性に優れたMSの試作機でもある。

一年戦争の伝説的名機「ガンダム」を模した頭部を装着することによる自軍/敵軍(特にジオン残党軍)への心理的影響、さらにはその存在自体が戦局に与える効果の検証という役割も課せられた。その在り方から「ガンダムの定義」を問う存在[8]とも言われており、ジム・クゥエルの改修機だが「ガンダム」として型式登録され、ガンダムの名に相応しい能力を持っている[9](名実ともにガンダムになったのはヘイズル改以降とする資料もある[8])。

ベース機のクゥエルは信頼性と互換性の高さから選出された。結果、開発期間の大幅な短縮にも繋がり、各部に換装された強化パーツによって当時の新型MSに匹敵する高性能機として完成した。ベース機に対して高性能である反面、機体特性や操作性が大きく異なっており、その機体性能を遺憾なく発揮するためには高度な操作技術を要する。また、オプションパーツを装着・換装することにより、様々なミッションに対応可能である。

頭部ユニットはデュアルセンサーとV字型のマルチブレードアンテナを装備した、いわゆるガンダムヘッドに換装されている。特にセンサー能力の向上が図られ、頭頂部には強襲形態時の視界を確保するため、全周に渡ってセンサーが設置されている。それらのスペースの関係から頭部60mmバルカン砲は廃止されているが、ガンダムMk-IIと同型のバルカンポッドを装備可能である。

胸部は胴体とバックパックを繋ぐ形で、補助アクチュエーター・ユニットに換装されている。これは肩関節の動きを補助するもので、これにより肩関節の強度は大幅に増大することとなった。この部分はジム・クゥエルでは複合インテーク・ダクトが設けられていたため、排気性能はやや低下している。内側は多目的スペースとなっており、使用目的に応じて換装が可能である。

脚部は熱核ロケットエンジンを内蔵した強化パーツに換装されている。一般的なMSでは後部にのみスラスターが設置される場合が多いが、本機は高い推力を有するため、逆噴射による制動用のニー()・スラスターが前部にも設置されている。脚部左右にはプロペラントが内蔵されている。また、オプション兵装時などの重量増加に対応するため、足首関節部のアクチュエーターが強化された。それらを保護する目的で、アンクル・ジョイントは大型化している。

新たに換装されたバックパックには可動式ブースターポッドが接続されている。アームにより接続されているため、可動することでAMBACユニットとしてもベクタード・スラスターとしても機能する。次世代を見据えたハイブリッドタイプの試作熱核融合炉が搭載されており、熱核ジェット・エンジン兼ジェネレーターとしても機能する。大気圏内では熱核ジェットエンジンの前面シャッターが開き、エアインテークとなる。下部のハッチにはサブスラスターを内蔵する。上部にはマウント・ラッチが設置されている。リアアーマーは推進力向上のため、ガンダムNT-1のチョバムアーマーを改良したものに換装されている。

上記のTRシリーズ共通新型ジェネレーターの中身は、ムック6巻解説では「TOP SECRET」となっており、詳細不明であった。しかし、連載終了時の藤岡建機のコメントイラストでは、藤岡も関わったゲーム『メダロット』のメダルが封入されているものが描かれた。

ビーム・サーベル
[ヘイズル]唯一の固定武装。バックパックに1基設置されている。
ビーム・ライフル
型式番号:XBR-M84a[10]
ブラッシュ社製。Eパック方式が試験的に採用されている。連射モードでの使用はエネルギー消費が大きいため、2つのパックを繋げたものを使用する。近接戦闘での取り回しの良いショートバレルタイプやロングバレルタイプなど様々な仕様のものがテスト運用され、さらに改良されたものがガンダムMk-IIで採用されることになる。Eパックはホルダーを介して腰部や前腕部のラッチに接続される。ホルダーは、Eパックを取り外した後も一種の増加装甲として機能する。
シールド・ブースター
前腕部ラッチに装着される、22,000kgのスラスターとプロペラントタンクを搭載したシールド。推進剤は被弾時の誘爆の危険性を低減するため、低可燃性のものが使用されている。強襲時にブースターとして機能し、そのままシールドとして用いることで重量面での無駄を減らせる。これまで用いられてきたシュツルム・ブースターは戦闘時に廃棄していたが、廃棄後の回収が困難であった。このシールド・ブースターは製造コストは高くなるものの、被弾による損傷が無い限り再利用が可能という利点もある。
本装備のアイデアソースを元にギャプランが開発された[11]他、ガンダムTR-6の複合兵装コンポジットシールドブースターにも発展している。また、ガンダムMk-Vにもシールドブースターで培われた技術が使用されたと見られる[12]
多目的ランチャー
胸部補助アクチュエーター・ユニットの多目的スペースへ主に装備されたが、これは発射時に折れることで2連装のランチャーとなる。作戦内容によってグレネード弾やスモーク弾などを選択できる。また、廃止された頭部バルカン砲の代替として外部設置式のバルカン・ポッドを装着可能。その際はクリアランス確保のため、多目的スペースには何も設置しない。

戦闘形態[編集]

強襲形態
両前腕部ラッチにシールド・ブースターを装着した形態。[ヘイズル]のオプション形態の中では最も一般的なものであり、攻守共にバランスが取れた形態である。
フルアーマー形態
[ヘイズル]には一年戦争のフルアーマー計画と同様の増加装甲システムがオプションとして採用されている。[ヘイズル]自身がジム・クゥエルをベースとして各部を強化パーツとして既に換装されており、それらのパーツは固定されている。そのため、それまでのフルアーマーと比較して、増加装甲として着脱可能なのは胸部および腹部とフロントアーマー部のみである。被弾した装甲を容易に交換できる高いメンテナンス性を実現するため、被弾率の高い機体前面装甲のみを着脱可能としている。この増加装甲はガンダムNT-1やジム・キャノンIIのものと同タイプのものである。この形態の欠点は機体重量の増加や慣性モーメントの変化、増加装甲による可動範囲の制限、AMBAC性能の低下により、本来の機動力が失われてしまうことである。開発当時はビーム兵器が一般的となりつつあったため、その効果を疑問視する意見もあった。
高機動形態
フルアーマー形態に加え、3枚のシールド・ブースターを装着した形態で、「最終形態」とも呼ばれる。シールドは両前腕部とブースターポッドのラッチに装着され、一方向に推力を集中させることによりモビルアーマー (MA) 並の高い加速力を得ることができる。胸部補助アクチュエーター・ユニットの多目的スペースにはフォールディング・グリップが設置され、これを展開して保持することで両腕部を固定し、肩関節への負荷を低減して安定した巡航を行う。推力方向を一方に揃えるというこの形態のコンセプトは、後の可変MSの開発にも貢献している。

ガンダムTR-1[ヘイズル改][編集]

諸元
ガンダムTR-1[ヘイズル改]
GUNDAM TR-1[HAZEL CUSTOM]
型式番号 RX-121-1
所属 ティターンズ・テスト・チーム
建造 コンペイトウ
生産形態 試作実験機
頭頂高 18.1m
本体重量 41.5t
全備重量 63.0t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
(一部ルナ・チタニウム合金)
出力 1,420kW (+390kW)
推力 114,480kg
センサー
有効半径
10,200m
武装 ビーム・サーベル
多目的ランチャー(選択式)
ビーム・ライフル
シールド
シールド・ブースター 他
搭乗者 ウェス・マーフィー
オードリー・エイプリル
エリアルド・ハンター
ティターンズ一般兵

ジオン残党軍駆る改造MS 「シュトゥッツァー・シリーズ」との交戦で甚大な損傷を被った[ヘイズル]を、母艦アスワンに保管されていた予備部品とコンペイトウ配備のジム・クゥエルのパーツを用いて修復、強化した機体。形式・見た目・中身などすべての面で「ガンダム」に生まれ変わっている[8]

これまでの実働データと開発ノウハウからのフィードバックを受けて各パーツ間のマッチングが練り直されている。部材の再構成によって機体は改修前より軽量化され、約10%のスラスター出力強化によって総合的な機動性、運動性はさらに向上している。インターフェイス面も大幅に刷新され、コクピットには全天周モニター、リニアシートを本格的に導入。オペレーションシステムもバージョンアップが成され、操作性、反応速度共に格段に向上した。

胸部コクピットブロックと腰部センターアーマーは、初代[ヘイズル]との数少ない外見的差異となっている。腰部センターアーマーは前方にスライドし、そこに様々なオプション兵装の評価試験のための多目的ラッチが増設される。[ヘイズル]のオプション兵装は初期プランの実験をほぼ完了していたが、この改修によって実験プランは大幅に見直され、それまで以上の様々な形態をとることが可能となっている。武装は[ヘイズル]に準ずるが、各種オプション兵装の追加によりこれまで以上に多彩な武装を利用することが可能である。なお、シールド・ブースターは損傷時全て喪失したため、新規供給されるまでは一般のジム用シールドで代用していた(供給後も任務に応じて使用されるケースも多かった)。

本機の改修に先立って改装された[ヘイズル2号機]にRX-121-2の型式番号が付与されたことに伴い、本機の型式番号もRX-121からRX-121-1へと移行されることとなった。

なお、改修期間がわずか数日という異例の短期間であったために機体の塗装が間に合わず、一定期間は大部分の装甲の地色を晒したライトグレーの状態で運用されていた。後のグリプス戦役勃発に合わせ実戦配備が決定すると、本格的なティターンズ正規カラーへと塗り変えられている。エリアルドとマーフィーがギャプランTR-5に乗り換えた後は劇中で描写されていないため、最終的な機体状況ならびに所在は不明である。

劇場版『機動戦士Ζガンダム』DVD追加カットでは、ゼダンの門に配備された実戦配備カラーが1機確認できる。

本機はT3部隊での評価試験を経て、ゼダンの門やコンペイトウ守備隊にも配備された。主力量産機としての配備数ではバーザムの後塵を拝したとされる[13][注 5]

オプションパーツ[編集]

フレキシブル・ビーム・ライフル・ユニット
腰部ラッチに装備されるビーム・ライフル保持用のターミナル・ユニット。主にシールド・ブースターによって両腕が塞がってしまう高機動形態時に装備されるもので、基部のアームを展開することでフリーハンドでの発砲を可能としている。
姿勢制御ユニット
腰部に装備される機動装備の一種。小型のアポジモーターを多方向に複数基内蔵し、より繊細な姿勢制御を行う。
対シュトゥッツァー用ワイヤー・カッター・ユニット
ジオン残党軍の「シュトゥッツァー・シリーズ」が標準装備するウィンチユニットへの対抗手段として考案された胸部の大型V字状カッター。刃はウィンチユニットの特殊鋼ワイヤーをも切断する強度を持ち、たとえ機体を絡め取られても速やかに脱出することが出来る。
サブ・アーム・ユニット
腰部オプションの1つ。通常は無骨な増加装甲といった容貌だが、左右それぞれが3ヶ所の可動軸によりフロント・アーマーと干渉しないように展開することで第3、第4の腕として機能する。基本コンセプトはフレキシブル・ビーム・ライフル・ユニットと同様のもので、3本指の簡易なマニピュレーターではあるがEパックの換装や武装の換装などの基本動作はあらかじめ設定したプログラムによって行うことが出来る。さらにビーム・ライフル、ビーム・サーベルなど各種武装を使用できるが、メインアームと切り替えて操作するため、その間メインアームは使用不可となる。また、火器管制が複雑になることからパイロットに多大な負担がかかり、広く用いられることはなかった。また、TR-4[ダンディライアン]搭乗時はこのアームにより機体を保持し安定化させる。
イカロス・ユニット
可変機のMS形態の滞空時間が十分ではなかったことから、サブフライトシステムや可変機構に頼ることの無いMS単体での飛行を検証すべく開発された装備。変形が不要なためMS形態のまま携帯する武装で戦闘に移行することが出来る。機体前面ユニット、肩部増加ユニット、リア・スラスター・ユニットから構成される。腰部前面には高出力のハイブリッド型ジェネレーター、両肩のユニットにはコ・ジェネレーターを内蔵し、それらを利用した大推力によって無理やり機体を飛行させている。リア・スラスター・ユニットはメイン・スラスターとして機能し前面のジェネレーターと動力パイプで接続されている。胸部左右にはジェットノズルが設けられ、機体制御に用いる。飛行を安定するためのスタビライザーが設置された両肩にはジェネレーターに直結する形でロケットエンジン、さらにオプションラッチが設けられている。ここにはシールド・ブースター、ミサイル・ポッド、シールド、サブ・アーム・ユニットなど様々な装備が接続可能である。また胸部にはビーム・リフレクターが装備され、使用時に展開する。
初期設計プランは胸部ラッチに接続される巨大な飛行ユニットと腰部および足部のユニットから構成されるものであった。滑空時に水平展開する可変翼で発生する揚力と推進力を併用するものであったが、MS形態のままでは空力性能が著しく低く、十分な機動性が得られないと判断され廃案となっている。しかしこの装備で得られたデータを元にバイアランが開発されている。

ガンダムTR-1[ヘイズル2号機][編集]

諸元
ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]
GUNDAM TR-1[HAZEL II]
型式番号 RX-121-2
所属 ティターンズ・テスト・チーム
建造 コンペイトウ
生産形態 試作実験機
頭頂高 18.1m
本体重量 42.7t
全備重量 65.4t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
(一部ルナ・チタニウム合金)
出力 1,420kW
武装 ビーム・サーベル
多目的ランチャー
ジム・ライフル
ビーム・ライフル
シールド
搭乗者 エリアルド・ハンター
オードリー・エイプリル

元々本機は母艦アスワンにストックされた[ヘイズル]の補修、交換用パーツを組み立てて造り上げられた予備機で、頭部前面をデュアル・アイ・センサー式のガンダムフェイスに変更している以外は普通のジム・クゥエルとまったく同一の機体だった。後にティターンズ・テスト・チーム(以下、T3部隊)パイロット、エリアルド・ハンター中尉の搭乗機ジム改高機動型の中破を機に、新たに彼の乗機として改修が施された。これに伴い軍のデータベースに再登録が行われ、RX-121-2の型式番号が与えられた。

改修点はまず頭頂部全面を1号機と同一の多面形センサーに換装。なお後頭部はジム・クゥエルそのものであるため、左後部のロッドアンテナはそのまま残されている。肩部にも1号機と同じ補助アクチュエーター・ユニットが増設された。背部にはかねてより試験予定であった試作型バックパック「トライ・ブースター・ユニット」が装着されている。

トライ・ブースターはシールド・ブースター以外のもう一つの機動力強化オプションの一つとして設計された強襲戦用ユニットで、バックパック左右に配置された2基の可動式ユニバーサル・スラスター・ポッドと、後部の大容量プロペラントタンクを兼ねたテール状シュツルム・ブースターで構成される高機動型装備である。ユニバーサル・ポッドはバックパックと接続される可動フレームによって自在に推力方向を変化させることが可能で、ポッド自体の質量移動を活かしたAMBACシステムとしての機能も有する。その鋭角的かつトリッキーな挙動は、模擬戦、実戦を問わず良好な性能を示したが、同時に数々の欠点も表面化させていた。特にシュツルム・ブースターは、その長大さゆえユニット重心と機体重心が大きくかけ離れてしまっており、特に横移動の際に発生する余剰モーメントの存在が問題視された。また、本来この装備は1号機でのテストを目的に調整されていたため、ほとんど急造同然の2号機との相性はいいとは言えず、操縦難度の高いピーキーな機体となってしまった。これらの事情もあって、稼働データの収集、解析を以ってトライ・ブースターのテストは終了したが、ポッド可動フレームのノウハウなど得られたデータの多くは装甲やその他構造物と独立したより自由度の高い躯体の研究開発に大きく寄与し、後のムーバブルフレームの原初の一つとなる。

武装やその他オプションは1号機とほぼ共用で、同様に胴体前面に増加装甲を装着することでフルアーマー形態となることも可能である。ただしマルチ・コネクター・ポッドの試験が開始されるまでシールド・ブースターの使用は想定しておらず、補助アクチュエーター多目的スペース内には保持用ロールバーではなくオプションのグレネードランチャーを標準装備する。携行装備には一般のジムタイプに広く普及している曲面形シールドとジム・ライフルが多く用いられている。

ガンダムTR-1[ヘイズル2号機]アーリータイプ[編集]

エリアルド・ハンター中尉に引き渡される直前の状態。頭頂部全面を多面形センサーに換装していない、機体カラーもジム・クゥエルのままである、という違いがある。

この機体はプラモデル「HGUC 069 RX-121-2 ガンダム TR-1 [ヘイズル2号機]」の発売に当たって設定されたものである。

ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル][編集]

諸元
ガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]
GUNDAM TR-1[ADVANCED HAZEL]
型式番号 RX-121-2A
所属 ティターンズ・テスト・チーム
建造 コンペイトウ
生産形態 試作実験機
頭頂高 18.8m
本体重量 39.5t
全備重量 78.6t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
(一部ルナ・チタニウム合金)
出力 1,420kW
武装 ビーム・サーベル
多目的ランチャー(選択式)
ビーム・ライフル
シールド
シールド・ブースター
強化型シールド・ブースター
サブ・アーム・ユニット
搭乗者 エリアルド・ハンター
オードリー・エイプリル
カール・マツバラ

グリプス戦役勃発後T3部隊の本格的実戦部隊への再編成に合わせ、[ヘイズル2号機]を[ヘイズル改]と同等の強化パーツへと換装し、さらにサブ・アーム・ユニットや別途テスト中であった新規ユニットを追加した姿。その機動性、汎用性、運用効率とあらゆる要素、機能を高次元に融合させた本機は、新世代の機動兵器としての理想系の1つを体現した集大成というべき存在と言える。一部の装備は改良され、バーザムに採用された。

追加ユニット[編集]

高性能光学センサー・ユニット
本来のアンテナは折り畳まれ、そこに頭部前面を覆うようにバイザー型複合センサーユニットが配置される。光学センサー、サイトセンサーなど、内装される各種デバイスはジム・スナイパーIIIの頭部に採用されたものと同等のユニットで、明暗、熱、速度、形状、相対距離など、敵機および戦場のあらゆる情報を捉える重要な“目”である。下部には高精度のモノアイセンサーが内蔵され、カバーを下方にスライドさせることで長距離狙撃任務に特化したスナイパーモードへと変化する。
マルチ・コネクター・ポッド
可動式ブースター・ポッドに代わり設置されたバックパックのマルチ・オプショナル・ポッド。同じくT3部隊に配備されていた高機動型ガルバルディβの装備を流用したもので、両側ハードポイントにシールド・ブースターを計2基装着可能。これによって通常装備のまま強襲形態に匹敵する機動性能を発揮する。このラッチはブースターの推力に耐えうるように強化されている。さらに後部にも2基のラッチを持ち、それぞれゼク・アインも使用する汎用プロペラントタンクやその他強化パーツを接続可能。
強化型シールドブースター
より防御装備としての機能を追求したシールド・ブースターのバリエーションモデル。表面に計10基の拡散ビーム砲を内蔵し、これを一斉発射することでミサイルなどの実体弾兵器を着弾前に撃墜し身を守る。ただしサイズそのものは通常のシールド・ブースターと変わらない上、拡散ビーム砲の搭載スペース分内蔵プロペラント量を削減しているため、航続能力では通常タイプに劣る。
脚底部補助スラスター・ユニット
踵部に姿勢制御用サブスラスター・ユニットを内蔵する両足部の増加装備。純粋な機動装備としての機能は元より、着艦、着地時における減速用リバース・スラスターとしての役目を持つ。

Gパーツ[フルドド][編集]

G-PARTS [HRUDUDU] (型式番号:FF-X29A

[ヘイズル]用に開発されたパワー・アップ・メカ。それまでのオプション・パーツと異なりコックピットが設置されており、独立した支援メカとしての運用が可能となっている。「Gパーツ」の名称が示す通りGファイターのコンセプトを継承しているが、空中合体や空中換装は不可能であるため、出撃の際には単体で発進するか[ヘイズル]に装着するかを選択しなければならない[14]

本機を構成するパーツは極度にユニット化されており、接続部にムーバブル・フレーム技術を応用したエネルギー・サプライ・システムを利用しているため、接続・拡張が容易となっている[15]。単体での状態は「フルドドGファイター」とも呼ばれるが、2機が合体することで機動力と攻撃力を兼ね備えたモビルアーマー (MA) 形態(「フルドドGアーマー」[15]、または「Gパーツ[フルドド・ラー]」とも呼ばれる[16])に変化する[15]。この形態で得られたデータはハンブラビのMA形態の開発に活かされていることから、「TR試作ハンブラビ(TRハンブラビ[14])」の愛称で呼ばれることもある[17]。上部が1号機(Gトップ)、下部が2号機(Gベース)と呼ばれ、それぞれにパイロットが搭乗して[ヘイズル]と合わせて3機で小隊運用できるが、分離を考慮しない場合は1名でも運用が可能である[15]。この状態でギャプランと同型の大型ブースターを装備可能で、そのまま分離・合体もできる[15]

構成ユニット
スラスター・ウィング・ユニット[15]
「スラスター・ユニット」「ブースター・ユニット」[14]「ウィング・バインダー」[18]「ノーマル・バインダー」とも呼ばれる[19]。TRシリーズ共通の新型ジェネレーターを内蔵し、[ヘイズル]との合体時には補助推進器として機能するほか、能動的に可動することでAMBAC作動肢となり、高機動バインダーとしてはたらく[14]
クロー・ウィング・ユニット[15]
「クロー・ユニット」[14]「クロー式バインダー」とも呼ばれる[19]。収納時はスラスター・ユニットと同様のシルエットであるが、展開してハイゴッグのような蛇腹関節アームを介した大型のクローになる[14]。クロー内部にはビーム発生器があり、ビーム・ライフル兼ビーム・サーベルとして使用するほか、ブレード(後述)を接続してクローで掴むことでビーム・キャノンとしての使用も可能である[14]。収納時には後部にブレードを接続する[14]。基部側面にはEパック・ホルダー用のラッチがある。[ヘイズル]との合体時には武装保持用のハード・ポイントとして機能するほか[14][ヘイズル・ラー]第二形態では本ユニットにも装備されているスラスターにより、縦方向に発生するモーメントを加速力を増強しつつ解消できる[20]
各ウィング・ユニットには独立した装甲板(リクレクター板を装備する案もある[15])が装備されており、[ヘイズル]との合体時には同機の肩のロールバーと同規格のバーで固定し、胸部左右に配置する[14]
単機で運用する場合は左右にそれぞれ異なるウィング・ユニットを装着する[14]。2機(MA形態)で運用する場合は、1号機に機動性とスピードを重視したスラスター・ユニット、2号機に戦闘力とパワーを重視したクロー・ユニットを装着する[15]
単体の[フルドド]のウィング・ユニットに替わって、発展型であるフルドドIIのショルダー・ユニットを装着することも可能であり[21]、この形態は「GファイターII」とも呼ばれる[22]
コックピット・ブロック[23]
[フルドド]のメイン・フレームかつ動力部[18]。[ヘイズル]との合体時、およびMA形態のジョイントも兼ねており、「ジョイント・ブロック」とも呼ばれる[18]。ノズル開口部に大型ブースターを接続可能[23]
ノーズ・センサー・ユニット[15]
「複合センサー・ユニット」とも呼ばれる[18]。[フルドド]単体では機首となるが、MA形態ではテール・スタビレーターにもなり、[ヘイズル]との合体時には2基のシールド・ブースターを束ねる「盾モード」と3つの役割がある[23]。縦に360度モノアイレールが走っており、固定武装としてジオングの口部のようなビーム砲を1門装備している[23]
本ユニットを活用して、射出しての遠隔操作を可能にした「ウィンチ・シールド」がギャプランTR-5用に考案されている。接続部の規格が統一されているため、これを[フルドド]に装着することも可能である[24]
胸部装甲ユニット[15]
ノーズ・センサー・ユニット下部に収納されており[23]、[ヘイズル]との合体時にはコックピット周辺を防御する増加装甲となる[15]。両脇に装甲板の下部との接続部を有する[15]
ブレード[15]
前後に分離し、[ヘイズル]用ビーム・ライフルのバレルとストックになることで[23]長距離狙撃用のロング・ブレード・ライフルとなり[14]、「ロング・バレル」とも呼ばれる[19]。バレル下部にはヒート・ブレード(グフザクレロR・ジャジャと同様のヒート兵器)を装備しており、これはビーム・ライフルやビーム発生器を接続せずとも使用可能[23]
作中での活躍
0087年6月、クロード・リブル少尉をテスト・パイロットとして、単体の状態でオードリーが搭乗する[アドバンスド・ヘイズル]と模擬戦をおこなう。カラーリングは白と濃紺を基調とするテスト・カラーである。8月のロサ・ギガンティア攻略戦や11月のコンペイトウ防衛戦では、オードリーが搭乗して実戦参加している。

ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー][編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH] (型式番号:RX-121-1+FF-X29A

[ヘイズル]に[フルドド]を装着した形態の機体呼称。これにより機体性能は第2世代MSに匹敵するレベルに向上し[14]、第2世代MSの中でも高級機に属するAE社製のガンダムMk-III百式といったバインダー搭載機を凌駕する[17]

装備バリエーション
ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー](フルアーマー形態)
[ヘイズル・ラー]に[アドバンスド・ヘイズル]のオプション・パーツを装着した形態で[14]、より高度な汎用性を獲得している[17]。命名法則上は[アドバンスド・ヘイズル・ラー]であるが、各部のウェポン・ラッチをフル活用して全身に装備を有することからこの名称が与えられる[17]。隠し腕はフルドド側のパイロットが操作することが可能である[14]
ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー](キャノン形態)
『A.O.Z Re-Boot』で設定された。
左右のウィング・ユニットをクローとし、ブレードをバレルとして接続して中距離支援装備へと特性を変化させた仕様[19]
高機動型ブースター装備
『A.O.Z Re-Boot』で設定された。
[ヘイズル]強化計画に際しておこなわれた強化パーツのコンペティションにおいて提出・実験されたプランのひとつとで、ウィング・ユニットに替わってメッサーラとその系列機が搭載する、木星圏での機動性も考慮された大型ブースターを装備した[フルドド](フルドド・高機動型ブースター装備)を装着する案[19]。[ヘイズル]の前腕部甲には、メッサーラの前腕部ユニット(クローおよびグレネード・ランチャー)を装備しているのが確認できる。
作中での活躍
0087年6月、[アドバンスド・ヘイズル]をベースにオードリーをパイロットとしてテストをおこなう予定であったが、エゥーゴの襲撃を受けたためにいきなり実戦投入される。ジムII 3機と交戦し、うち1機を撃破する。なお、このときの仕様はフルアーマー形態からサブ・アーム・ユニットを外した形となっている。
漫画版では、11月のコンペイトウ防衛戦で1号機をベースとした機体にエリアルドが搭乗する(ムックでは[ヘイズル改])。

ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]第二形態[編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH] SECOND FORM (型式番号:RX-121-1+FF-X29A×2[注 6]

[ヘイズル]に[フルドド]を2機装着した形態。バックパックにスラスター・ウィング・ユニット2基、股間部マルチ・ウェポン・ラッチを介して[17]腰部側面にクロー・ウィング・ユニットを2基、上下で機能を統一して計4基を接続することで、機体の稼働効率が最大限に向上する[15]。また、これらは「弾避け」としての効果もあり、被弾したユニットを切り離すことで戦闘を継続できる[15]。攻撃力などは大幅に向上する一方、MSとしての汎用性は低下している[17]

作中での活躍
0087年6月、オードリーをパイロットして単機でエゥーゴのネモ3機と交戦する。その様子を観察する母艦「イズミール」の艦長シュレーダー大佐は、本形態の戦い方がデンドロビウムに似ていると指摘する。10月にはガンダムTR-6を積んだシャトルの護衛任務にも就いている。

ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]第二形態 / ブースター装備[編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH] SECOND FORM / BOOSTER EQUIPMENT (型式番号:RX-121-1+FF-X29A×2[23] / RX-121-2+FF-X29A×2[25]

「クルーザー・モード」とも呼ばれる[25]。[ヘイズル・ラー]第二形態にギャプラン用の大型ブースターを装備した形態。これにウィング・ユニット4基、シールド・ブースター2基の推力方向を揃えることで、絶大な推力を得ることができる[23]。加速性を重視しており、運用用途はMAに近いものとなり[23]、戦闘力は第3世代MSクラスに匹敵する[17]。通常では想定不可能な距離からの単独侵攻が可能となり、一撃離脱戦法や敵勢力圏への深々度侵攻などといった特殊な作戦が遂行できるようになっている[23]

緊急脱出ポッド[プリムローズ][編集]

EMERGENCY ESCAPE POD [PRIMROSE][26] (型式番号:MP-X86[16]

[ヘイズル]用に開発された緊急脱出ポッドで、1号機がジオン残党軍との戦闘で大破した経験を踏まえ、コンペイトウ技術本部が研究・開発をおこなう[27]。「モビルポッド[プリムローズ](MOBILE-POD [PRIMROSE])」とも呼ばれる[28]

「脱出機構付き新型胴体」として[ヘイズル]の胴体部(襟部と腹部を除く)を構成し、分離時には両脇のユニットを水平に跳ね上げ、コックピット・ブロックを前方に展開する[29]。[ヘイズル]の強化バックパックはそのまま推進器として利用する[29]。一年戦争期のコア・ブロック・システムと類似するが[27]、脱出時には爆発ボルトで頭部や四肢を切り離すため[29]自力による再合体は不可能である[27]。それでも当時の一般的なMSに搭載されているイジェクション・ポッドと異なり自立航行が可能であるため、パイロットの生還率は飛躍的に向上する[27]

MS用のメイン・スラスターを装備することで、一般的な宇宙戦闘機を凌駕する機動性を誇る。また、強化バックパックの[ヘイズル]用のほとんどのオプションを装着可能であるため、高性能な支援メカとしての運用が可能である。コンペイトウ技術本部によってさまざまな機能拡張プランが立案され、いくつかの案は実際にマーフィー小隊による実戦運用が報告されている[29]

オプション装備
バインダー
「オプション・バインダー」とも呼ばれ、[プリムローズ]側面ユニット上部([ヘイズル]では胸部側面)に装着する。武装を装備する機能拡張用のジョイントとしてのほか、姿勢制御用のスラスターとしても機能する[27]
小型化されたものがガンダムTR-6[ウーンドウォート]の標準装備として採用されている(バーザムも装備可能)[30]
開放型バレル・キャノン[31]
試作型のメガ粒子砲で、発射時にバレルが上下に開放し、のちのνガンダムのフィン・ファンネルのように間にビームを発生させる[27]。基部はウィンチ・ユニットになっており射出が可能で、「ウィンチ式ビーム・キャノン」とも呼ばれる[27]。アームを介してバインダーに接続するため、マニピュレーターで保持せず自由に可動しての射撃が可能[27]。モノアイ・センサーを搭載しており、遠距離帯までを走査可能[19]
のちにガンダムTR-6用のウィンチ・キャノンとして発展する[32]
ミサイル・ポッド
[ヘイズル]の機能拡張を目的とした装備。マイクロ・ミサイルを12発内蔵し(発射口は2門)、チャフ・ディスペンサーも装備する[27]
装備バリエーション
第1種兵装[19]
左側にミサイル・ポッド、右側に開放型バレル・キャノンを装備した仕様。
第2種兵装[33]
両側にミサイル・ポッドを装備し、バックパックに[アドバンスド・ヘイズル]と同様にシールド・ブースターを2基装備した仕様。防御力重視[33]
第3種兵装[33]
両側に開放型バレル・キャノンを装備し、バックパックに[ヘイズル2号機]のトライ・ブースター・ユニットを装備し、火力を増強した[33]仕様。
第4種兵装[33]
バックパックに[フルドド]を装備した仕様[33]
『A.O.Z Re-Boot』では、フルドドIIのショルダー・ユニットおよびマルチ・アーム・ユニットを装備した、[プロトタイプ・フルドドII]とも言うべき仕様とされた[19]。左右のマルチ・アーム・ユニットで開放型バレル・キャノン2基を保持する。T3部隊によって実戦投入され、グリプス戦役終結後にパイロットたちが戦場を脱出するために使用されており、1~3に続く4番目の仕様としてカウントされる[19]
作中での活躍
0087年11月のコンペイトウ防衛戦においてカールが第1種兵装(漫画版ではフルドドIIの第4種兵装)に搭乗し、開放型バレル・キャノンをエリアルドの[ヘイズル]2号機に渡す。テスト・カラーで塗装されている。
漫画版では、0088年1月のゼダンの門撤退戦(第4種兵装)と2月のコロニーレーザー争奪戦(装備不明)でオードリーが搭乗する(ムックではフルドドII)。後者では大破し、コックピット・ブロックのみカールの[ヘイズル・アウスラ]に回収され帰投する。

ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ][編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL OWSLA] (型式番号:RX-121-2 / RX-121-2P[16]

[ヘイズル]に[プリムローズ]を装備した仕様の呼称で、胴体部はほぼ[プリムローズ]へと換装されるため区別される[27]。追加装備がさらに充実し、戦況に応じて多彩なオプションを使い分けることが可能となっている[27]。肩アーマーは[プリムローズ]とともに開発されたスラスターのない小型のものに換装、ウェポン・ラッチが増設されている(スラスター・ユニットはオプションで装着可能)[27]。また、股間部サブ・アーム・ユニットを標準装備する。

コンペイトウ技術本部では、本形態を次世代[ヘイズル]のベーシック・モデルとして位置付けており、ガンダムTR-6用オプション・パーツなどにもすべて対応している[31]。「次世代量産型試作機」とも呼ばれるほか[34]、「次世代量産機(コンセプト・イメージ)」としてバーザムと対比されることもある[32][注 7]

『A.O.Z Re-Boot』では、[ヘイズル]の高評価を受けた次世代量産機化計画のもとに開発され、正式な次世代主力機となる予定のガンダムTR-6の完成まで[19]、およびバーザムが量産されるまでの繋ぎとして[35]、また「機種統合計画」におけるジム系のアップデート機として少数が量産されたとしている[30]。また、鹵獲された本機を参考にネモ・カノンが開発されたことが相関図で示されている[30]

装備バリエーション
『A.O.Z Re-Boot』では、[プリムローズ]と共通の名称に変更された。
第一種装備形態[31] / 第1種兵装[19]
[プリムローズ]第1種兵装と同じ装備の仕様。[ヘイズル・アウスラ]のもっとも標準的な装備形態[31]
第二種装備形態[31] / 第2種兵装[19]
[プリムローズ]第2種兵装と同じ装備の仕様。高性能光学センサー・ユニットも装備し、[アドバンスド・ヘイズル]に近い[31](発展型ともいわれる[19])。携行武装も新型のもの(ガンダムMk-IIのビーム・ライフルとシールド)を装備するなど、時代に合わせたバージョン・アップがおこなわれている点が特徴[19]
第三種装備形態[31] / 第3種兵装[19]
[プリムローズ]第3種兵装と同じ装備の仕様。砲撃戦などを想定した火力重視の形態[31]。携行武装は実体弾装備(ジム・ライフル)を選択する[19]
第4種兵装[19]
後述の[ヘイズル・ラーII]が、『A.O.Z Re-Boot』で名称を変更された。
[プリムローズ]第4種兵装(フルドドII)と同じ装備の仕様。グリプス戦役の最終局面で、[ファイバーII]を運用するために戦場で急遽換装された形態[19]
カラーイラスト(バストアップのみ)では、光学センサー・ユニットも装備している[29]
フルアーマー形態[31]
[ヘイズル・アウスラ]用のオプションをひと通り装備した仕様の一例。第1種兵装に光学センサー・ユニットとトライ・ブースター・ユニットを装備し、ロング・ブレード・ライフルとシールド・ブースターを携行する[31]。第1~3種兵装の混合装備でもあり、遠距離から近距離帯までの全域に対応できる[19]。カラーイラストでは、テスト・カラーの機体がベースになっている[27]
作中での活躍
0087年11月のコンペイトウ防衛戦において、2号機をベースにした機体にカールが搭乗。開放型バレル・キャノンの砲撃によりエゥーゴのザンジバル級機動巡洋艦に損害を与え、撤退させる。第2種兵装に近いが、[プリムローズ]の武装は第1種兵装で、ロング・ブレード・ライフルと通常のジム・クゥエルと同じシールドを携行している。
翌0088年1月のゼダンの門撤退戦(装備は不明)、および2月のコロニーレーザー争奪戦(コンペイトウと同じ装備)にもカールが搭乗して参加。後者の終盤には、第4種兵装(ショルダー・ユニットのみ装備)で[ファイバーII]のコアMSとなる。エゥーゴに投降する際には[プリムローズ]となり、本体は破壊している。
漫画版では、ゼダンの門撤退戦およびコロニーレーザー争奪戦序盤における装備はトライ・ブースターとミサイル・ポッド2基、ロング・ブレード・ライフルとシールド・ブースターを携行している。[ファイバーII]のコアMSとなった際にも光学センサー・ユニットは装備しており、多くの敵MSを撃破している。

ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]ギガンティック・アーム・ユニット装備[編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL OWSLA] (with[16]) GIGANTIC ARM UNIT (型式番号:RX-121-2 / RX-121-2P[16]

サイコガンダムの腕部を[ヘイズル]に装着する武装強化プラン[36]。カラーイラストでは、テスト・カラーの[ヘイズル・アウスラ]にフルドドIIのショルダー・ユニットおよびマルチ・アーム・ユニット(開放型バレル・キャノンを保持)を装着、ドラムフレームに[31]サイコガンダムの腕部を取り付けている。サイコミュは搭載されていないため、腕部はマニピュレーターとしてではなく5連装ビーム砲装備の攻撃ユニットとして装着されている[36]。重量の増加により機動性は低下するが、圧倒的な火力を誇る[31]

『Re-Boot』では、ジオングやのちのクィン・マンサといった巨大MSへの対抗措置として準備され、ガンダムTR-S[エルアライラー]の実装に向けた実験機としての意味合いももつ。大型アームとして格闘戦も想定されていたが[19][37]、ガンダムTR-6の完成および強化人間人格OS "BUNNyS" の実装が遅れたために不可能となり、TR計画の拡張性の高さを示すデモンストレーションのひとつ(移動砲台)としての役割に終わったとされる[37]

ガンダムTR-1[ヘイズル・ラーII][編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH II] (型式番号:RX-121-2)

フルドドIIのショルダー・ユニットおよびマルチ・アーム・ユニットを装備した、[ヘイズル・アウスラ]のラー形態[31]。開放型バレル・キャノンを装備しているため、[ヘイズル・ラー]より火力が高くなっている[31]。[プリムローズ]にはミサイル・ポッドを2基装備。

『A.O.Z Re-Boot』では、「ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]第4種兵装」に名称が変更された[16][19]

ガンダムTR-1[ヘイズル・ラーII]第二形態[編集]

GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH II] SECOND FORM (型式番号:RX-121-2)

フルドドIIを2機装備した形態[31]。接続方法は上記形態と異なり、後述の[ハイゼンスレイ・ラーII]とほぼ同じである。光学センサー・ユニットを装備。さまざまな面で[ヘイズル・ラー]第二形態よりも性能が向上している[31]

『A.O.Z Re-Boot』では、「ガンダムTR-1[ヘイズル・ラーII]」に名称変更され、「第二形態」は外された。合体によってもたらされたドラムフレームの剛性と、BUNNySによる制御によって、ガンダムTR-6と同じく超重装備の運用が可能となる[19]

ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ][編集]

GUNDAM TR-1 [HAZE’N-THLEY] (型式番号:RX-121-3C

TR-6で得られたノウハウを元に強化されたガンダムTR-1の最終発展型である。TR-1のバリエーションの中で唯一「ヘイズル」の名を冠さない形態。

TR-6の中核ユニットとして開発された機体であり、ウーンドウォートと同様の機能・能力が与えられている。そのため、TR-6各種強化パーツやユニットなど兵器システム全般との接続・運用が可能である。しかし、TR-6が破壊されたこともあって、実際に生産・運用されることはなく、ペーパープランのみとなった[注 8]

機体は[ヘイズル・アウスラ]を素体に、[ハイゼンスレイII]の上半身強化パーツをドッキング([ヘイズル・アウスラ]のプリムローズとウーンドウォートのプリムローズIIを含めた胸部は同一規格のため、このような換装が可能)。同時にヘッドユニットはオプションの専用タイプに換装され、フロントアーマーにはウーンドウォートの上半身(頭部を除く)をサブアーム・ユニットIIとして装備する。携行武器はコンポジット・シールド・ブースターを1基装備。TR-6とのドッキングにより[ハイゼンスレイ]の上半身は、ジム・クゥエルからほぼ完全に一新され、実質的には別の機体と言っても過言ではないことから、新たにRX-121-3Cの型式番号が与えられた。[ハイゼンスレイ]は[ハイゼンスレイII]と同様に[ファイバーII]や[ダンディライアンII]、[インレ]のコアユニットとして運用する計画も存在した。

なお、名前の「ハイゼンスレイ」は電撃ホビーマガジンで行われたコンテストで入賞した作品の名前から採られている。

ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ・ラー][編集]

[ハイゼンスレイ]がフルドドII2機を装備した形態。その形態から[ハイゼンスレイ・ラー]第二形態、または[ハイゼンスレイ・ラーII][28]とも呼ばれる。

数あるTR-6の形態の中で、[ハイゼンスレイII]と[ハイゼンスレイ]のラー形態が、あらゆる戦場で平均的に高い戦果を上げるとされている。

腰部のサブアーム・ユニットIIを取り外し、代わりに[ハイゼンスレイII・ラー]のブーストポッドを1基接続。マルチ・アーム・ユニットは肩部のフルドドIIに2対とも装着され、胸部と機体の両サイドに展開。さらに頭部ブレードアンテナも女神をあしらった大型のブレードアンテナ[注 9]に換装される。コンポジット・シールド・ブースターを2基装備する。

ガンダム[ハイゼンスレイ・ラー]クルーザー巡航形態[編集]

[ハイゼンスレイ・ラー]の機体後部にギャプランのブースター・ユニットをに装着した形態。

ウーンドウォートにおける[ハイゼンスレイII・ラー]クルーザー形態に相当する形態となっているが、こちらは右肩のフルドドII側面にバイザックTR-2[ビグウィグ]のビグウィグキャノンを装備している。マルチ・アーム・ユニットは、それぞれのフルドドIIに接続され、[ヘイズル・アウスラ]のウィンチキャノンを4基保持、コンポジット・シールド・ブースターを1基装備する。

次世代試作機[編集]

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場した、ジム・クゥエルをベースとした試作機。「ヘイズル開発相関図」に記載されているバリエーションだが、コンセプトはヘイズルと異なり、オプション装備での能力拡張よりも、MS単体での完成度を高めている。

外観や装備などにガンダムMk-IIと共通点が多い形態である。機体構成は大部分がジム・クゥエルのままだが、頭部はヘイズルと同型のガンダムヘッドに換装、ガンダムMk-IIと同型のバックパック・ライフル・シールド・バルカンポッド一式を装備する。また両脛側部にガンダムNT-1のサブスラスターユニットが装備される。『A.O.Z Re-Boot』において「次世代実験機」の名称で再掲されており、ジムIIIに技術がつながることが示されている[39]

なお、プラモデル『HGUC ジム・クゥエル』外箱や説明書には、脚部をジム・クゥエルのままとした組み換えパターンが「次世代量産型試作機」として紹介されているが、「ヘイズル開発相関図」上の「次世代量産型試作機」は前述の通り[ヘイズル・アウスラ]を指す。

ガンダムTR-S[ヘイズル・フレア][編集]

『A.O.Z Re-Boot』に登場。型式番号:RX-123

TR-1[ヘイズル・アウスラ]の再設計機であり、ドラムフレームとプリムローズによる換装システムを搭載している。決戦兵器[インレ]の中核となるべく開発されていたが、「機種統合計画」も同時に達成したTR-6[ウーンドウォート]の開発によりコアMS/主力量産機の座を譲っている[40]。強化形態の[エルアライラー]に付随する形で発表されたが、素体時のはっきりした全身像は公開されていない。

『Re-Boot』におけるバーザムはヘイズル・フレアの簡易量産機(TR-6までの繋ぎ)と位置付けられている[41]

ガンダムTR-S[エルアライラー][編集]

大型MA TR-S[ラブスカトル]の護衛随伴機として開発された可変MS。ヘイズル・フレアを素体に、専用の強化パーツを装備している。

左肩のウェポンカーゴ内に搭載されたIフィールド発生装置でビーム兵器を無効化し、実体弾兵装やギガンティック・アーム・ユニットでの積極的防御を旨とする。ギガンティック・アーム・ユニットを機体前方で組み合わせ、頭部と胸部をバックパックが覆い、脚部を後方に伸ばすことで、MA形態に変形することもできる。歩行脚を持たないジオングサイコ・ギャプランと同じ「高機動戦闘用MS」ともされる。

ラブスカトルと共に地球への核攻撃作戦での投入を予定していたが、戦役後にエゥーゴの手に渡り、アナハイム社の「アドバンスオブゼータ計画」(AOZ)の開発母体なった。

漫画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』では、本機の強化パーツは宇宙世紀0089年に火星のジオン残党勢力「レジオン」において、新装備の「フレア・ユニット」として量産化されており、ガンダムTR-6[クインリィ]のみならず量産機であるハイザックも装備している。

ガンダムTR-S[ラブスカトル][編集]

GUNDAM TR-S [RUBSCUTTLE]

TR-S[ヘイズル・フレア]を素体に成層圏機動および大気圏突入用のバインダーを装着した大型MA形態。

宇宙から地球に侵攻してくる外敵に対して、成層圏にて待ち構えて迎撃することを目的に開発されている。成層圏では大気の抗力を利用した軌道制御を行い、必要ならばバインダーをリフティングボディとして大気圏突入、ミノフスキークラフトユニットである「ダイダロス・ユニット」によって大気圏飛行も可能。[エルアライラー]と2機1組でのセット運用を前提に設計されており、ウェポンカーゴ内にMA形態のTR-S[エルアライラー]を格納することも可能で、その換装パーツなども格納している。ベースとなっているのはTR-4[ダンディライアン]である。機体正面に装備された2連装ハイ・メガ粒子砲や巨大なクロー・アームによってジオン軍機を連想させるMA形態から、武装を展開したMF(モビルフォートレス)形態への変形機能を持つ(MF形態のデザインは未発表)。

戦役後、TR-S[エルアライラー]と共にエゥーゴの手に渡り、SSDに配備された。この形態は強化人間の搭乗が推奨されている[42]

ZZZガンダムユニット(AOZガンダム)[編集]

MSA-0012:[ADVANCE OF Z GUNDAM UNIT][40] / ZZZ GUNDAM[43]

接収したTR-Sを母体にアナハイム社が「アドバンスオブゼータ計画」(AOZ計画)で改修した機体[40]。AE社製のパーツが多数追加されている[40]。現状ではエルアライラーをベースとした形態と線画のみが公開。

型式番号はΖ計画機の「λガンダム」と一致しているが、同一機かどうかは不明。λと同じく「ネロ」へと繋がることも判明している。

『A.O.Z Re-Boot』におけるエゥーゴ側の主役機として予定されている[40]が、2021年末時点でストーリー上は登場していない(名称のみ言及されている)。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 腹部コクピットハッチのほか、額中央、頭部側面インテーク、胸部左に増設されたセンサーなどに、後のRX-178 ガンダムMk-IIへと繋がる意匠が認められる。
  2. ^ 胸部複合インテーク・ダクトおよびバックパックは、ジム・カスタムと同じくオーガスタ系ガンダムであるガンダムNT-1に準ずる形状のものが設置されている。
  3. ^ 宇宙世紀0083年のティターンズ設立計画書によれば、そもそもはオーガスタ研究所で開発されて宇宙世紀0084年に地球連邦軍の各部隊に配備予定であったものを、前倒しでティターンズに配備し、専用機として運用することとなった。
  4. ^ ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』第1巻による[4]。同書137頁には「ジム・クゥエルの近代化改修」との記述があるが、これがリニアシート式への換装を指すかは不明。
  5. ^ コンペイトウ配備機の作例にはTRマーキングが残ったままになっている[13]
  6. ^ カラーイラストでは、本体は[アドバンスド・ヘイズル]であるが、型式番号に変更はない[15]。ただし、後述のブースター装備では "RX-121-2" とされることもある。
  7. ^ ここで掲載された画稿は、「ガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]次世代量産機(実戦配備カラー)」としてプレミアムバンダイよりHGUCで2021年にキット化された。
  8. ^ 書籍『データガンダム キャラクター列伝[宇宙世紀編II]』では実機が存在したかのように書かれている。
  9. ^ サイコ・ブレード」とする資料もあるが[38]、本機へのサイコミュ搭載に言及した資料はない。

出典[編集]

  1. ^ a b c 『HGUC 1/144 ジム・クゥエル』バンダイ、2007年1月、組立説明書。
  2. ^ a b c d e 『1/100 MG ジム・クゥエル』バンダイ、1999年12月、組立説明書。
  3. ^ GUNDAM LEGACY』第3巻、角川書店、2009年4月。(ISBN 978-4-04-715181-9)
  4. ^ ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』第1巻、アスキー・メディアワークス、2011年3月、169頁。(ISBN 978-4048704564)
  5. ^ a b 『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに Vol.2』メディアワークス、2003年12月、74-75頁。(ISBN 978-4840225892)
  6. ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』第7巻、角川書店、2013年9月、3頁。(ISBN 978-4041208410)
  7. ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』第1巻、角川書店、2010年12月、159頁。(ISBN 978-4047155923)
  8. ^ a b c 「A.O.Z Re-Boot Vol.07」『電撃ホビーマガジン』2014年7月号、アスキー・メディアワークス。
  9. ^ 漫画「A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢(2)」KADOKAWA、2019年5月
  10. ^ 「U.C. ARMS GALLERY」『電撃ホビーマガジン』2006年9月号、付録、アスキー・メディアワークス。
  11. ^ 『MG 1/100 RX-178 ガンダムMk-II Ver.2.0(ティターンズ)』バンダイ、2006年3月。
  12. ^ 『A.O.Z Re-boot Vol.40 ARZ-121-1 ガンダムTR-1[ヘイズルカスタム]』電撃ホビーウェブ。
  13. ^ a b 『電撃ホビーマガジン』2012年6月号、アスキー・メディアワークス、73-74頁。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o AOZ Vol4 2006, p. 48-49.
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q AOZ Vol5 2007, p. 16-17.
  16. ^ a b c d e f 新訳MS大全集0081-0900 2022, p. 66-69.
  17. ^ a b c d e f g AOZ ReBoot54 2018.
  18. ^ a b c d AOZ Vol5 2007, p. 74-75.
  19. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v くろうさぎのみた夢2 2019, p. 145-156.
  20. ^ AOZ Vol5 2007, p. 34-35.
  21. ^ AOZ Vol5 2007, p. 56.
  22. ^ 藤岡建機公式Twitter 2022.
  23. ^ a b c d e f g h i j k AOZ Vol5 2007, p. 18-19.
  24. ^ AOZ Vol5 2007, p. 41.
  25. ^ a b AOZ Vol5 2007, p. 72-73.
  26. ^ MS大全集2013 2012, p. 45.
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m AOZ Vol5 2007, p. 68-69.
  28. ^ a b 新訳MS大全集0081-0900 2022, p. 69.
  29. ^ a b c d e AOZ Vol5 2007, p. 70-71.
  30. ^ a b c AOZ ReBoot23 2016.
  31. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p AOZ Vol6 2008, p. 5-6.
  32. ^ a b AOZ Vol6 2008, p. 70-71.
  33. ^ a b c d e f AOZ Vol5 2007, p. 98-99.
  34. ^ AOZ Vol4 2006, p. 5-6.
  35. ^ くろうさぎのみた夢1 2018, p. 148.
  36. ^ a b AOZ Vol5 2007, p. 57.
  37. ^ a b AOZ ReBoot32 2017.
  38. ^ HG 1/144 ガンダムTR-1[ハイゼンスレイ・ラーII](ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに)”. プレミアムバンダイ. BANDAI SPIRITS. 2020年7月27日閲覧。
  39. ^ A.O.Z Re-Boot Vol.23 ページ右上
  40. ^ a b c d e 電撃ホビーマガジン2015年7月号(最終号)A.O.Z Re-Boot Vol.19。
  41. ^ A.O.Z Re-Boot Vol.23
  42. ^ 「A.O.Z Re-Boot Vol.20」『電撃ホビーウェブ』KADOKAWA
  43. ^ 「電撃ホビーマガジン2014年5月号 A.O.Z Re-Boot Vol.5」予告。

参考文献[編集]

  • 書籍
    • 『機動戦士ガンダム MS大全集2013[+線画設定集]』アスキー・メディアワークス、2012年12月25日。ISBN 978-4-04-891215-0 
    • 『機動戦士ガンダム 新訳MS大全集 U.C.0081-0090』KADOKAWA、2022年3月26日。ISBN 978-4-04-111179-6 
  • ムック
    • 『電撃ホビーマガジンスペシャル アドバンズ・オブ・Ζ ~ティターンズの旗のもとに~ Vol.4』メディアワークス、2006年2月15日。ISBN 4-8402-3357-8 
    • 『電撃ホビーマガジンスペシャル アドバンズ・オブ・Ζ ~ティターンズの旗のもとに~ Vol.5』メディアワークス、2007年3月5日。ISBN 978-4-8402-3780-2 
    • 『電撃ホビーマガジンスペシャル アドバンズ・オブ・Ζ ~ティターンズの旗のもとに~ Vol.6』メディアワークス、2008年2月15日。ISBN 978-4-8402-3780-2 
  • 漫画
    • 藤岡建機 『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』 第1巻、KADOKAWA、2018年12月27日。ISBN 978-4-04-912225-1 
    • 藤岡建機 『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』 第2巻、KADOKAWA、2019年5月27日。ISBN 978-4-04-912510-8 

関連項目[編集]