三振

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空振り三振する打者(アダム・ダン

三振(さんしん)とは、野球ソフトボールにおいて打者投手からストライクを3つ取られること、またそのときの記録である。英語ではStrike Out(略記SO)といい、スコアブックではK、またはS.Oと記す。

目次

概要 [編集]

1回の打席において、打者が3回ストライクを宣告されたときの記録を三振という。このとき、第3ストライクの投球を捕手が正規に捕球するか、後述する規則により第3ストライクの宣告を受けた打者が直ちに走者となれない場合には、打者はアウトになる。ここで第3ストライクの宣告は、直ちに打者のアウトを意味するとは限らないことに注意しなければならない(→振り逃げ)。

球審は、第3ストライクを宣告する際、「ストライク・スリー」とコールする。

規定 [編集]

2ストライク後、次のような場合に三振が記録される。公式記録の上で状況による区別はないが、特に目的をもって記録をつけている者はその目的に応じてしばしば区別して記録する。

打席の途中で代打があり、1回の打席で複数の打者が出てきて最終的に三振に終わった場合は、第2ストライクが記録された時に打席に立っていた打者に三振が記録される。これは、打席に立った打者が2人であればもっとも多くストライクを受けたのは第2ストライクを受けた打者であることによると思われる。

無死または一死で、一塁には走者がいない場合、第3ストライクにあたる投球を捕手が正規に捕球出来ないと、打者はアウトではなく、打者走者となる。これを振り逃げといい、打者をアウトにするためには、内野ゴロ同様に、守備側は打者または一塁に触球しなければならない。それまでに打者が一塁に到達すれば、打者は走者となって一塁に生きることが出来る。振り逃げによる一塁出塁の成否に関わらず、打者には三振が、投手には奪三振が記録される(これにより、1イニングで4つ以上の三振が記録される場合がある。詳細は、振り逃げを参照)

  • 三振で打者がアウトになった直後に塁上の走者が盗塁に失敗、または離塁が大きかったために触球されてアウトになることを、俗に「三振ゲッツー三振併殺)」という。この場合、打者には三振が記録されるが併殺打は記録されない。

なぜ'K'か? [編集]

スコアブック上で三振をKと表記する理由は諸説あり、今も明確にはなっていない。

  • 「struck」の末尾の「K」を採ったとする説
スポーツライターのヘンリー・チャドウィックによって考案された。頭文字の「S」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice(犠打)」と重複するためだとされる。[1]
  • 「Knockout」のKを採ったとする説
現在はこれが最も有力である。「Strike out」の頭文字の「S」や「SO」をそのまま表記してしまうと、「Sacrifice(犠打)」や「Steal(盗塁)」、「StealOut(盗塁死=盗塁失敗)」と重複するためだと言われる。
  • 「kill(ed)」のKを採ったとする説
日本語で「1死」などと言うように、「アウト」は「死」を意味する。
「三振する」=「打者は死ぬ」=「投手は打者を殺した」
「殺す」=「kill」(「殺した」=「killed」)
  • 「単なる偶然」説
ルールブック編集者がアウトにする方法を適当に箇条書きした上で、アルファベットを一文字ずつ振っていき、その結果、偶然にも三振のところに「K」が振られたとする。ただし現在の公認野球規則において三振になった打者がアウトになることを規定しているのは、打者がアウトになる場合を列挙している6.05のうち(b)(c)(j)である。

三振の評価 [編集]

以前は三振が多くてもそれは思い切りの良い打撃の裏返しであり、打者の個性であると好意的に見られており、「ブンブン丸」などニックネームが付けられることもあった(逆に「大型扇風機」などと揶揄されることもあった)。三振が好意的に見られる傾向は打線の中軸を担う打者に対するものが多いが、このような打者はしばしば試合の大事な場面で決勝打を放つなどチームに貢献している選手であり、三振などの少々の失敗には目をつぶるという割り切った考え方に起因している。

しかし後のセイバーメトリクスの発達により、投手の奪三振が高く評価されるようになり(前に打球を飛ばされなければ、必然的に打者を出塁させることもない)、相対的に打者として三振の多さは欠点の1つと見られるようになってきている。ただし、いわゆる早打ちの打者は三振数は少ないが必然的に四球も少なくなり、また強打者はある程度三振数が多くなる傾向があり、その点は留意が必要である。ただし四球数との比率、打席あたりの投球数などを考慮せず、下記の打数/三振比率が高いことだけで優れた打者の指標とすることはできない。四球が多く三振が少ない選手は高い評価を受けている。

空振り三振と見逃し三振は同じ三振であり分けて評価する必然性はないが、空振り三振は積極的な打撃の結果だが見逃し三振は消極的な打撃の結果であるとして、見逃し三振をより低く評価する者もいる。脇村春夫高野連会長だった頃、夏の甲子園大会の閉会式における講評の中で、「しかし課題もあります。(中略)そして、相変わらずの多い、見逃し三振」とほぼ毎年・毎回のように語っていた。

打数 / 三振比率 (At Bats per Strikeout : AB/K) [編集]

メジャーリーグの野球記録では、打者に対する「三振のしにくさ」を評価する数値として、打数を三振数で割った係数が用いられる。この係数の特徴は打数を分子とすることで、四死球や犠打、失策の要素が影響せず、その打者の打撃がどれほど確実に投球を打ち返すかを表現している点である。 数値が大きいほどその打者は三振しにくい。評価基準は概ね、7.8ほどで良好、10を上回ると優秀であるとされている。また実際は打者の打率の高さともある程度の相関を持ち、いわゆる「アベレージヒッター」ほど高い数値を示す。

奪三振 [編集]

奪三振(だつさんしん)は、投手が打者を三振に仕留めることで、投手に与えられる記録である。

上記の要領で打者に三振が記録されると同時に、投手には奪三振が記録される。対戦打者の三振と対戦投手の奪三振は必ず同数になる。

  • 1イニングが3アウトで終了することから、1イニングで記録できる奪三振は3個が基本的な上限である。しかし、振り逃げが成功した場合、奪三振は記録されるが、アウトカウントは増加しない。振り逃げは条件さえ整っていれば1イニングに何度でも行うことが可能であるので、理論上は1イニングで何個でも奪三振が記録できることになる。
  • 投手にとって三振を取ることは、打者の狙いを完全に外すことであり、投手対打者の対戦において投手の完勝と言える。特に奪三振の多い投手はドクターKなどと呼ばれ、強打者との対戦がクローズアップされるなど注目度が高い。
  • 1人の打者との対決の途中に投手が交代し、最終的にその打者が三振した場合は、第3ストライクを取った投手に奪三振1が記録される。よって「奪三振1を記録するために必要な最少投球数」は「1球」ということになる。

奪三振率 [編集]

奪三振率とは投手が1試合(9イニング)完投したと仮定した場合の平均奪三振数である。すなわち次の式により求められる。

奪三振率=奪三振数×9÷投球回

この値は投手の能力を評価する指標の1つであり、高ければ自力でアウトに取る能力が高い投手と認識される。BABIPとの関わりから奪三振率の高い投手は被打率が低くなりやすいというメリットがある。評価基準は、7.5から8.0であれば高い部類に入り9.0を超えると典型的な、三振を取る投手となる。年代別に見ると、奪三振率はメジャーリーグにおいては全体的に上昇する傾向にある[2]

シーズンを通しての日本記録(規定投球回数達成者)は1998年石井一久11.05。大リーグ記録は2001年ランディ・ジョンソン13.41。ちなみにシーズン401奪三振を記録した1968年江夏豊10.97

奪三振の評価 [編集]

日本のプロ野球では、1988年までシーズン最多奪三振が連盟表彰ではなく、さほど注目を集める数字ではなかった。しかし、1988年にロッテの小川博が右投手としては初、パリーグとしても初の「奪三振>投球回数」を記録したため注目され、翌年から連盟表彰のタイトルとなることが決まった。さらに、1990年に野茂英雄がデビューし、本拠地の藤井寺球場では「『K』ボード」が配られファンが掲げたため、「K=三振」という認識が定着した。

近年のメジャーリーグでは、奪三振は野手の守備能力や運に左右されることのない投手の能力として、スカウティングで特に評価されている。

三振数に関する記録 [編集]

日本プロ野球 [編集]

通算記録 [編集]

順位 選手名 三振数 順位 選手名 三振数
1 清原和博 1955 11 小久保裕紀 1516
2 谷繁元信 1723 12 野村克也 1478
3 秋山幸二 1712 13 大島康徳 1462
4 山崎武司 1704 14 池山隆寛 1440
5 金本知憲 1703 15 田中幸雄 1416
6 タフィ・ローズ 1655 16 王貞治 1319
7 中村紀洋 1615 17 宇野勝 1306
8 衣笠祥雄 1587 18 堀幸一 1295
9 広澤克実 1529 19 新井貴浩 1294
10 門田博光 1520 20 山崎裕之 1267
  • 記録は2012年シーズン終了時点(参照[3]

シーズン記録 [編集]

順位 選手名 所属球団 三振数 記録年 備考
1 ラルフ・ブライアント 近鉄バファローズ 204 1993年 パ・リーグ記録
2 ラルフ・ブライアント 近鉄バファローズ 198 1990年
3 ラルフ・ブライアント 近鉄バファローズ 187 1989年
4 ラルフ・ブライアント 近鉄バファローズ 176 1992年
5 岩村明憲 ヤクルトスワローズ 173 2004年 セ・リーグ記録
6 オレステス・デストラーデ 西武ライオンズ 165 1990年
7 中村剛也 西武ライオンズ 162 2008年
8 ボビー・ミッチェル 日本ハムファイターズ 158 1977年
トニ・ブランコ 中日ドラゴンズ 2010年
10 トニ・ブランコ 中日ドラゴンズ 157 2009年

その他の記録 [編集]

  • 1試合記録:5 - 記録多数
  • 1イニング記録:2 - 記録多数

メジャーリーグベースボール [編集]

通算記録 [編集]

順位 選手名 三振数 順位 選手名 三振数
1 レジー・ジャクソン 2597 11 フレッド・マグリフ 1882
2 ジム・トーミ 2548 12 トニー・ペレス 1867
3 サミー・ソーサ 2306 13 ボビー・アブレイユ 1819
4 アレックス・ロドリゲス 2032 14 デーブ・キングマン 1816
5 アダム・ダン 2031 15 マニー・ラミレス 1813
6 アンドレス・ガララーガ 2003 16 ケン・グリフィー・ジュニア 1779
7 ホセ・カンセコ 1942 17 ボビー・ボンズ 1757
8 ウィリー・スタージェル 1936 18 クレイグ・ビジオ 1753
9 マイク・キャメロン 1901 19 デール・マーフィー 1748
10 マイク・シュミット 1883 アンドリュー・ジョーンズ
  • 記録は2012年シーズン終了時点(参照[5]

シーズン記録 [編集]

順位 選手名 所属球団 三振数 記録年
1 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 223 2009年
2 アダム・ダン シカゴ・ホワイトソックス 222 2012年
3 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 211 2010年
4 ドリュー・スタッブス シンシナティ・レッズ 205 2011年
5 マーク・レイノルズ アリゾナ・ダイヤモンドバックス 204 2008年
6 アダム・ダン ワシントン・ナショナルズ 199 2010年
ライアン・ハワード フィラデルフィア・フィリーズ 2007年
ライアン・ハワード フィラデルフィア・フィリーズ 2008年
9 ジャック・カスト オークランド・アスレチックス 197 2008年
10 マーク・レイノルズ ボルチモア・オリオールズ 196 2011年

奪三振数に関する記録 [編集]

日本プロ野球 [編集]

通算記録 [編集]

順位 選手名 奪三振数 順位 選手名 奪三振数
1 金田正一 4490 11 山本昌 2260
2 米田哲也 3388 12 小野正一 2244
3 小山正明 3159 13 三浦大輔 2241
4 鈴木啓示 3061 14 槙原寛己 2111
5 江夏豊 2987 15 石井一久 2110
6 梶本隆夫 2945 16 川口和久 2092
7 工藤公康 2859 17 西口文也 2060
8 稲尾和久 2574 18 山田久志 2058
9 村田兆治 2363 19 平松政次 2045
10 村山実 2271 20 星野伸之 2041
  • 記録は2012年シーズン終了時点(参照[7]

シーズン記録 [編集]

順位 選手名 所属球団 奪三振数 記録年 備考
1 江夏豊 阪神タイガース 401 1968年 セ・リーグ記録
2 稲尾和久 西鉄ライオンズ 353 1961年 パ・リーグ記録
3 金田正一 国鉄スワローズ 350 1955年
4 江夏豊 阪神タイガース 340 1970年
5 杉浦忠 南海ホークス 336 1959年
6 稲尾和久 西鉄ライオンズ 334 1958年
7 梶本隆夫 阪急ブレーブス 327 1956年
8 稲尾和久 西鉄ライオンズ 321 1959年
9 杉浦忠 南海ホークス 317 1960年
10 金田正一 国鉄スワローズ 316 1956年

1試合記録(投球回9イニングス以内) [編集]

選手名 所属球団 奪三振数 記録日 対戦相手
野田浩司 オリックス・ブルーウェーブ 19 1995年4月21日 千葉ロッテマリーンズ

延長戦では以下の記録がある。

選手名 所属球団 奪三振数 記録日 対戦相手 備考
亀田忠 イーグルス 20 1938年9月16日 巨人 投球回14

連続奪三振記録 [編集]

選手名 所属球団 記録 記録日 対戦相手
梶本隆夫 阪急ブレーブス 9 1957年7月23日 南海ホークス
土橋正幸 東映フライヤーズ 1958年5月31日 西鉄ライオンズ

通算1000奪三振スピード記録 [編集]

順位 選手名 投球回
1 野茂英雄 871.0
2 石井一久 913.0
3 江夏豊 940.0
4 杉内俊哉 979.1
5 伊良部秀輝 997.1

メジャーリーグベースボール [編集]

通算記録 [編集]

順位 選手名 奪三振数 順位 選手名 奪三振数
1 ノーラン・ライアン 5714 11 フィル・ニークロ 3342
2 ランディ・ジョンソン 4875 12 ファーガソン・ジェンキンス 3192
3 ロジャー・クレメンス 4672 13 ペドロ・マルティネス 3154
4 スティーブ・カールトン 4136 14 ボブ・ギブソン 3117
5 バート・ブライレブン 3701 15 カート・シリング 3116
6 トム・シーバー 3640 16 ジョン・スモルツ 3084
7 ドン・サットン 3574 17 ジム・バニング 2855
8 ゲイロード・ペリー 3534 18 ミッキー・ロリッチ 2832
9 ウォルター・ジョンソン 3504 19 マイク・ムシーナ 2813
10 グレッグ・マダックス 3371 20 サイ・ヤング 2803
  • 記録は2012年シーズン終了時点(参照[9]

シーズン記録 [編集]

順位 選手名 所属球団 奪三振数 記録年
1 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 383 1973年
2 サンディ・コーファックス ロサンゼルス・ドジャース 382 1965年
3 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 372 2001年
4 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 367 1974年
5 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 364 1999年
6 ルーブ・ワッデル フィラデルフィア・アスレチックス 349 1904年
7 ボブ・フェラー クリーブランド・インディアンス 348 1946年
8 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 347 2000年
9 ノーラン・ライアン カルフォルニア・エンゼルス 341 1977年
10 ランディ・ジョンソン アリゾナ・ダイヤモンドバックス 334 2002年
  • 1901年以降を対象

その他の記録 [編集]

1試合最多奪三振(延長含む)
21トム・チェニーワシントン・セネタース)(1962年、投球回16)
1試合最多奪三振(投球回9イニング以内)
20ロジャー・クレメンス(1986年、1996年)
20ケリー・ウッド(1998年)
20ランディ・ジョンソン(2001年)
連続奪三振
10トム・シーバー(1970年4月22日)
10エリック・ガニエ:(2003年5月17日 - 21日)

比喩 [編集]

「三振」という語は、三度目の有罪判決で重い罪が課せられるという三振法や、新司法試験の3回しかない受験機会の全てで不合格だった者を指す三振博士のように、野球を離れて比喩的に用いられることがある。

脚注 [編集]

  1. ^ In baseball scoring, why is a strikeout marked with a K?”. Thestraightdope.com. 2005年12月20日閲覧。
  2. ^ ナショナルリーグ全体の投手成績”. 2009年11月9日閲覧。
  3. ^ NPB 通算三振記録 - 日本野球機構オフィシャルサイト
  4. ^ NPB シーズン三振記録 - 日本野球機構オフィシャルサイト
  5. ^ MLB 通算三振記録 - Baseball Reference.com
  6. ^ MLB シーズン三振記録 - Baseball Reference.com
  7. ^ NPB 通算奪三振記録 - 日本野球機構オフィシャルサイト
  8. ^ NPB シーズン奪三振記録 - 日本野球機構オフィシャルサイト
  9. ^ MLB 通算奪三振記録 - Baseball Reference.com

関連項目 [編集]