サスペンデッドゲーム
サスペンデッドゲームは野球やゴルフ、テニスなどで、天災や施設の事故等によって開催が一時的に停止され、後日(通常翌日)改めて中断する前の時点から競技が再開されることをいう。
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[編集] 日本プロ野球
この制度はパシフィック・リーグでのみ設定されていた。パ・リーグの試合協定事項では、
- 照明の故障
- 照明設備のない球場で、日没などにより試合が続行できなくなった時
- 移動のため、試合続行が不可能となった場合
- 治安上、試合を打ち切る必要が生じた場合
のいずれかに該当するケースで、審判団・球団との協議で、このルールを適用するか否かを判断する、というものだった。
しかし、1994年に照明設備のない球場では適用されないこととなり、その結果、前項1.および2.のケースでは、コールドゲーム宣告の時点で試合終了となり、正式試合として成立していれば、そのときの最終均等回における両チームの得点により勝ち、敗けあるいは引き分けとなる。3.についても、現在は全国どこでも交通網や宿泊施設が整っており、移動に無理のある日程も組まれていないため、適用の可能性は低く、4.についても発生の可能性は極めて低い。ゆえにこのルールは有名無実の状態になり、2012年1月24日に行われたパ・リーグの理事会で同日付でサスペンデッドゲームの条項を削除することが決まった[1]。
なお、2005年から始まったセ・パ交流戦では、当初からすべての試合でサスペンデッドゲームを採用しないことになっていた。
[編集] 記録の扱い
サスペンデッドゲームは「一時預かり試合」とみなされ、その試合の各種記録は、試合が再開され、試合終了となるまでは有効とならない(個人記録についても試合終了までは加算しない)。またイニング途中でサスペンデッドゲームとなった場合、点数差によるコールドゲームや延長戦(サヨナラゲーム)と同じようにスコアには「x」が一旦付されるが、試合再開とともにそれは削除される。
通算の対戦回数については、サスペンデッドゲームが試合終了となるまでは「○回戦預かり」と表現される。例えば6回戦がサスペンデッドゲームとなった場合、この試合が再開され終了するまでは「6回戦預かり」と表記され、次に同じカードで試合をするときは「7回戦」となる。また対戦成績もサスペンデッドゲームが試合終了となるまでは「1預かり」と表記される。
[編集] 続行試合の出場者
試合を中断する前の状態から再開する。したがって、両チームの出場メンバー・打順は原則として変更することが出来ない。ただし、中断前の試合で出場していた選手が続行試合当日にけがや再調整などを理由に選手登録を抹消された場合など、不可抗力による選手交代は認められ、中断前の試合に出場していて、途中交代した選手は続行試合に出場出来ない。
[編集] 過去の例
以下の表のスコアはそれぞれ左に記してあるホームチームから見たもの。
| 適用された試合 | 最初の試合日 再開試合日 (カッコ内は会場) |
中断時のスコア(イニング) →最終スコア |
適用理由 |
|---|---|---|---|
| 近鉄-東映 | 1954年6月16日(中日) 8月10日(中日) |
1-4(7回裏) →1-4 |
一度試合終了としたが、7回裏に発生したインフィールドフライをめぐる近鉄側の抗議で、問題のプレイ以後の記録を無効、サスペンデッドゲームとした。ただし、公式記録では「サスペンデッドゲームの形を借りてのやり直し」となっている[2][3] |
| 南海-阪急 | 1962年4月8日(大阪) 7月14日(大阪) |
2-0(6回表) →7-1 |
日没のため |
| 阪急-大毎 | 1962年6月13日(那覇・奥武山) 7月7日(西宮) |
2-3(8回表) →4-3 |
日没のため。本来続行試合は同一球場で行われることになっているが、中断試合が地方球場で行われ、その球場での後日の試合開催が予定されていない場合は、特例として他の球場での続行試合が認められる |
| 南海-近鉄 | 1963年4月7日(大阪) 5月13日(大阪) |
7-7(7回裏) →9-8 |
日没のため |
| 西鉄-阪急 | 1964年3月15日(平和台) 5月16日(平和台) |
6-1(7回裏) →6-2 |
日没のため |
| 阪急-西鉄 | 1964年3月22日(西宮) 5月6日(西宮) |
6-5(6回裏) →6-8 |
日没のため |
| 東映-東京 | 1966年6月7日(後楽園) 6月8日(後楽園) |
1-2(7回表) →1-3 |
試合中照明が故障したため |
| 南海-ロッテ | 1987年5月23日(柏崎・佐藤池) 7月8日(平和台) |
4-4(8回表) →5-4 |
日没のため。これも中断前の試合が地方球場で開かれたための特例。[2][4]
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[編集] 日本のアマチュア野球
一般的には採用されず、同点の場合に引き分け再試合をすることが慣例となっている。
社会人野球のビッグトーナメントである都市対抗野球大会と日本選手権大会では、2002年度まで、試合開始から数えて4時間をオーバーした場合、その日の最終試合終了後に改めて続行ゲームを行うこととなっていたが2003年度からタイブレーク制度が設けられたため廃止された。サスペンデッドを廃止した理由として、最終試合終了後に再び選手・応援団を招集する負担をなくすことが挙げられよう。
全国高等学校軟式野球選手権大会(8月 兵庫県)でも選手の健康状態などを踏まえて、延長は15回(もしくは日没をもって)で一旦切り、同点の場合翌日に16回(日没の場合はそのイニングスの続き)から試合再開する。決勝戦だけ延長は15回(または日没)引き分け、翌日再試合となる。
上記の高校軟式野球を除く一般の軟式野球では、暗黒・降雨その他の事情で試合途中で中止になった場合は、正式試合として成立するイニング(9回戦なら7回完了、7回戦なら5回完了)以前に中止になった場合や、7回完了で同点の場合は、原則として再試合としないでサスペンデッドゲーム(軟式野球では特別継続試合という)して、翌日の第1試合に先立って行われる。ただし、決勝戦は再試合とする。
[編集] メジャーリーグベースボール
メジャーリーグベースボールではリーグごとの対応が異なっていたが、2001年から統一されており、サスペンデッドは通常適用しないが、ナイター照明設備が故障したり、天災など試合が続行できない場合に適用されることがある(コールドゲーム参照)。シカゴ・カブスは、1988年にリグレー・フィールドに照明設備が設けられるまではナイトゲームを行えず、すべてデーゲームで開催されたため、日没になった場合はサスペンデッドが適用されたこともあった。
アメリカン・リーグでは2000年まで、騒音等の地域環境などを考慮した「消灯ルール」として、現地時間の未明1:00を過ぎた時点で次のイニングスに入らずに(但しその時点での攻撃中のイニングスに関してはその最後まで行う)翌日(別カードの場合は次回の同一会場・同一カード開催日初日の試合前。最終戦は完全に行う)に続行試合をしたことがあったがナショナル・リーグ、及びマイナーリーグと同じく2001年から消灯ルールは撤廃された。
2007年からは規則が改定され、以下の場合にサスペンデッドゲームが行われることになった。
- 試合成立イニングを過ぎて表のチームが同点、または逆転した状態で中断。
- 試合成立イニングを過ぎて裏のチームが同点の状態で中断。
- ただし当該試合が最終カードの場合には、全日程を終えてその1試合の勝敗によって順位が変動する時以外は行わない。
以上の改定によりメジャーリーグで引き分け試合が起こる可能性はほぼ消滅した。
ポストシーズンでは、2008年のワールドシリーズ(フィラデルフィア・フィリーズ対タンパベイ・レイズ)の第5戦(6回表のレイズの攻撃で同点となり、6回表が終わってから降雨が激しくなり中断)がワールドシリーズとして史上初のサスペンデッドゲームとなった[5]。2009年シーズンからは、ポストシーズン進出決定戦も含め、雨天等で試合続行不能の場合、どのイニングで中断してもサスペンデッドゲームとすることとなった[6]。
最近では、2010年4月16日(現地時間)ボストン・レッドソックス対タンパベイ・レイズの第1戦。1対1の同点で迎えた9回表2死から雨が強くなり、9回表終了時点で中断、1時間後にサスペンディッドが宣言された。試合は翌4月17日に9回裏から続けて行われ、延長12回の表、タンパベイ・レイズのバレル選手が決勝の2ランホームランを放ち、3対1でタンパベイ・レイズがボストン・レッドソックスを破った。
[編集] サッカー
サッカーにおいては「一時停止試合」と呼ぶ場合が多い。
[編集] Jリーグ
Jリーグの場合、これまで一時停止試合は採用せずすべて無効とした上で再試合としていた。しかし、2009年の規約改正に伴い「原則再試合」となったため、得点差及び経過試合時間を考慮して一時停止試合となる場合もある。ただし、一時停止試合を適用する明確な基準についてはまだ整備されていない。
- 2009年9月12日の鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ戦(カシマスタジアム)は、3-1で川崎がリードして迎えた後半29分、降雨によるピッチコンディション不良のため試合を打ち切った。その後の協議の結果、Jリーグ史上初の一時停止試合とし、カシマスタジアムで10月7日に続行試合として開催した。再開試合では開始8秒で鹿島がゴールを決めるも及ばず、3-2で川崎の勝利となった。
[編集] 欧州サッカー
一方、ヨーロッパでは一時停止試合を採用しているリーグが多い。最近では以下の例がある。
- 2002年9月15日のリーガ・エスパニョーラ・プリメーラ・ディビシオン、レアル・ベティスvsレアル・マドリード(以下Rマドリード)が1-0でベティスリードの前半45分、照明不良のため一時停止試合となった。10月9日に前半ロスタイム2分と後半が行われ、Rマドリードが1点を返しドロー。
- 2004年12月12日の同リーグ、Rマドリードvsレアル・ソシエダが、武装組織を名乗る者による爆破予告のため1-1の後半42分で試合中断。しかし、翌年1月5日にロスタイムを含む7分が行われRマドリードが1点勝ち越し勝利したため物議を醸した。
- 2006年3月12日のセリエA、カリアリvsフィオレンティーナが0-0の前半29分、強風によりフェンスが倒壊したため一時停止試合となった。22日に再開し、結果は0-0のまま引き分けとなった。
[編集] 競馬
競馬ではサスペンデッドのことを「続行競馬」という。これはレース開催中に天災、その他不可抗力を理由に公正な競馬開催を確保できない場合に適用される。但しその日予定されていたレースの過半数を消化して、途中打ち切りとなった場合には続行開催はできない。例えば全12レース制の開催日だと、第7競走までを消化した後に途中打ち切りとなった場合には続行開催ができない。
中央競馬では過去に5例確認されている。
- 1987年3月7日 中京競馬場第6競走以後を9日に順延(積雪のため)
- 1996年9月29日 新潟競馬場第6競走以後を30日に順延(トータリゼーター=電子計算機が故障したため)
- 2001年1月20日 京都競馬場第6競走以後を22日に順延(積雪のため)
- 2008年2月9日 京都競馬場第3競走以後を11日に順延(積雪のため)
- 2011年2月12日 小倉競馬場第4競走以後を14日に順延(積雪のため)
なお一時期、続行競馬が適用される場合は最初から開催中止となった場合と同様に当日の発走順、レース番号、枠順は変更せずに行うことがあったが、現在は続行が適用された場合は途中打ち切りと同じとみなし、未消化のレースについては改めて出馬投票のやり直しが行われるため、それらの枠順や勝馬投票券は無効となり、買戻しがなされる。(ただし途中打ち切りとなった場合の重賞競走の場合は日取りを振り返る)
[編集] テニス
テニスでは照明設備のない競技場での日没、または屋外での雨天によるサスペンデッドが適用される。
サスペンデッドとなった主なケースを以下にあげる。
- 2010年ウィンブルドン選手権において照明未設置の18番コートで行われた男子シングルス1回戦のジョン・イスナーVSニコラ・マユ戦は、第5セットで決着が付かず2度の日没サスペンデッド。試合時間はそれまでのテニスにおける世界記録を更新する11時間5分183ゲームに上り、第5セットを70-68でイスナーが制した。
[編集] ゴルフ
ゴルフ場は照明設備の設置がなく、日没により視界が悪くなった場合、また、途中雨天により翌日に再開される。
[編集] 関連項目
- コールドゲーム
- 延長戦
- 提訴試合
- 放棄試合
- ダブルヘッダー
- 再試合
- 新屋晃(プロ野球史上最後のサスペンデッドゲームで球審)
- 岡田豊(同じ試合で1塁塁審。当時は哲男)
- 永見武司(同じ試合で2塁塁審)
- 山崎夏生(同じ試合で3塁塁審)
- 林忠良(同じ試合でライト側外野審判)
- 寺本勇(同じ試合でレフト側外野審判兼責任審判員)
- 岡田正義(Jリーグ史上初の一時停止試合で主審)
- 手塚洋(同じ試合で副審)
- 中原美智雄(同上)
[編集] 脚注
- ^ パ・リーグがサスペンデッドを削除 - 日刊スポーツ、2012年1月24日。
- ^ a b サスペンデッドの続きが地方球場(扱い)で行われたのはこの2つの例だけ。
- ^ 但し近鉄は名古屋を準本拠地としていたため、サスペンデッドの続きも名古屋で行った。
- ^ 本来続行試合は7月7日開催予定も雨天のため順延された
- ^ 47NEWS「雨で初のサスペンデッド ワールドシリーズ第5戦」 - 2008年10月28日
- ^ 「コールドなし 後日試合再開…ポストシーズン」 - スポーツ報知、2009年1月17日。