走者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
二塁を回る走者のイチロー
三塁に盗塁する走者(中)
打者走者のアウト

走者(そうしゃ)とは、野球ソフトボールクリケットなどで、塁(クリケットではウィケット)に向かって走る攻撃側の選手である。英語では runner(ランナー)。野球では、公認野球規則2.68が走者を定義している。

以下では野球を基準にして述べる。

概要[編集]

打者は、フェアボールを打ったり、四球死球振り逃げ、捕手や野手による打撃妨害などによりバッターボックスを離れ一塁に向かうことで走者となる(公認野球規則6.09)。特に一塁に達するまでの走者は打者走者(だしゃそうしゃ;バッターランナー)と呼ばれて区別されることもある。

走者は、ボールインプレイの元では常に進塁を試みることができ、一塁・二塁・三塁・本塁の順に進む。走者が正規に走塁し本塁に触れると、攻撃側に 1 点が与えられる。ただし、飛球が捕らえられたときは、投球時にいた塁に触れ直さなければならない(これをリタッチという)。リタッチのためなどの理由で逆走する必要がある場合は、進塁とは逆の順で本塁・三塁・二塁・一塁の順に戻らなければならない。

進塁または帰塁の途中、何らかの理由でアウトになると、グラウンドから退かなければならない(アウトになる場合について、詳しくは後述する)。

走者がアウトになる場合[編集]

次の場合、走者はアウトになる(公認野球規則7.08)。

  • 塁を離れている状態で、球を持っている野手によって触球された場合。
    例外として、打者走者が一塁を駆け抜けたとき、二塁に向かう意思がないと審判員が判断した場合に限り、直ちに一塁に戻ることを条件として、触球されてもアウトにならない。二塁に向かうそぶりが少しでもあれば、触球されるとアウトになる。審判員の判断の基準は「打者走者に二塁へ向かう意思があるか否か」であって、打者走者がいる場所(フェアグラウンドにいるかファウルグラウンドにいるか)を判断の根拠としてはならない。
  • 一塁に触れた走者が、塁と塁とを結ぶライン(ベースライン)を離れ、明らかに走塁を放棄したと審判員が判断した場合。
  • 野手の触球を避けようとして、基準となるラインから 3 フィート(約 91 センチメートル)以上離れた場合。
    基準となるラインについての詳細は、スリーフットラインの項を参照。
  • 送球を故意に妨げたり、打球を処理しようとしている野手の妨げになった場合。
  • まだ内野手が触れていない打球にフェア地域で触れた場合。
  • 前の走者を追い越した場合、あるいは飛球を捕らえられたなどの理由で逆走しなければならないときに、前の走者に追い越された場合。(いずれにせよ、前の走者との位置関係が入れ替わってしまった場合に、本来後ろに位置するべき走者がアウトになる)
    同時に1つの塁を2人以上の走者が占有することは認められない。1つの塁に同時に2人以上の走者が触れている場合は、占有権は一番前の走者に与えられているので、それ以外の走者は触球されるとアウトになる(公認野球規則7.03)。
  • 打者走者がいるために塁を明け渡し、次の塁に進まなければならなくなった走者が(これをフォースの状態という)次の塁に達するまでに、ボールを持った野手が走者または進塁すべき塁に触球した場合。これをフォースアウトという。
    走者がフォースの状態にあるときは、元いた塁の占有権は失っている。そのためフォースの状態にある走者は、元の塁に触れていても身体に触球されればアウトになる。
  • 正しく次の塁に達している走者が、守備側を混乱させる目的でわざと逆走したと審判員が判断した場合。
  • ベースコーチが走者の走塁を援助するためにその身体に触れるなどした場合。
    日本のアマチュア野球では、本塁打等における三塁ベースコーチと走者との「ハイタッチ」行為をアウトとするローカルルールが地域で制定されていることがある。「ハイタッチ」行為が走塁の援助に当たるのかどうか、何の規則に基づいてアウトにするのかといった合理的根拠は不明である。

アピールアウト[編集]

次の場合、守備側から審判員にアピールがあれば、走者はアウトになる。

  • 飛球が捕らえられた際に、走者が帰塁出来ない場合(飛球が捕らえられる前にすでに離塁していたり、タッグアップのタイミングが早かった場合など)
    本来であればこの場合にも守備側は審判員にアピールしなければならないのだが、飛球が捕らえられる前にすでに離塁していた走者が帰塁する最中に塁に触球する場合では、アピールが省略され、塁への触球のみで走者が直ちにアウトになることが多い。
  • 走者が塁を空過した(踏み損ねた)とき。[1]
    次の塁を越えてから最初にいた塁に戻る場合も、その逆の順に触れ直さなければならない。例えば、一塁走者が二塁を回った先から一塁に戻る場合、二塁に触れて一塁に戻る必要がある。また、このようなケースの往路で二塁を空過していた場合も同様に、二塁に触れていないと空過扱いとなる。
  • 一塁を駆け抜けた打者走者が直ちに一塁に帰ってこないとき。
  • 本塁に突っ込んだ走者が、本塁に触れておらず、しかも触れなおそうともしていないとき。

このようなプレイはアピールプレイと呼ばれ、アピールプレイによるアウトはアピールアウトと呼ばれる。アピールプレイでは、野手は、走者または目的の塁に触球して審判員に分かるように動作や言葉でアピールすることが要求される。

アピールプレイは「塁に触球してアウトにする」プレイであるが、アピールアウトはフォースアウトではないので、両者は厳密に区別される必要がある。ただし、状況によってはアピールプレイによるアウトがフォースアウトであることもある(例として、二死満塁でフェンスオーバーの本塁打を打った際に一塁走者が二塁を空過していたとき、守備側がアピールし審判員がこれを認めれば、そのアウトはフォースアウトになり、本塁打による得点は取り消される)。

また、フォースアウトでない第3アウトが成立してイニングが終了しても、それ以外に有利なアピールプレイが残っている場合、守備側がイニング終了後でもアピールプレイを行えば、すでに成立した第3アウトと置き換えることができる(第4アウト)。この件を題材にしたものに、水島新司の漫画『ドカベン』で描かれた「ルールブックの盲点の1点」がある。

走者が安全に進塁できる場合[編集]

本塁打ボークなどのプレイの状況によって、走者はアウトにされる恐れなく進塁することができる場合がある。これを安全進塁権という。

ボールデッド(プレイ中断)の元で安全進塁権が与えられたときは、与えられた塁以上に進むことは認められない。そのため、例えば一・二塁間に一塁走者と打者走者の二人がいたときに 2 個の安全進塁権が与えられた場合は、一塁走者は三塁まで進めるが、打者走者は二塁までしか進めない。

ボールインプレイ(プレイ継続中)の元で安全進塁権が与えられたときは与えられた塁より先に進んでも構わないが、与えられた塁に達した段階で走者が安全に進塁できる保障はなくなるので、それ以降はアウトにされる可能性がある。なお、与えられた塁を空過した(踏み損ねた)場合でも、その塁には達したものとみなされる。

また、打者に一塁が与えられた場合は、打者に一塁を明け渡すために進塁しなければならなくなった走者は安全に次の塁へ進むことができる。いわゆる四死球による押し出しは典型的な例である。

安全進塁権についての詳細は、安全進塁権の項を参照のこと。

一塁への全力疾走[編集]

日本のプロ野球などでは打者走者が明らかにアウトになりそうな場合やシングルヒットになりそうな場合は一塁まで全力では走らずに、ゆっくりと一塁まで走ることも少なくない。明らかにアウトになりそうな場合でも失策によりセーフになる可能性が無いわけではないことや、常に全力でプレーする姿勢が大切だという見地から、一塁まで全力で走らないプレーが非難の対象になることやチームとして厳しく律することもある[2][3][4]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 例:李承ヨプの本塁打が取り消された例。幻のホームラン一覧を参照のこと。
  2. ^ 野球選手の全力疾走
  3. ^ 高校野球情報.com 第92回大会総評
  4. ^ 大石監督「苦言」フェルよ、一塁まで全力疾走せよ

関連項目[編集]